JP3044359B2 - 多層反射防止膜が施された光学系 - Google Patents
多層反射防止膜が施された光学系Info
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Description
などに多層反射防止膜が施された光学部品からなる光学
系に関する。
るレンズ、プリズム、フィルター等の光学部品において
は、表面反射による光の損失等の悪影響が生じ、光学系
の透過率の低下や画像不良等の原因となる。そのため、
レンズ等の光学部品においては、一般に反射防止膜が施
されている。反射防止膜としてはMgF2 等の単層膜が
基本であるが、レンズの硝材(光学ガラス)の屈折率に
よっては必ずしも反射防止効果が十分でなく、また、反
射防止の有効な波長域が狭いため、短波長側(400n
m)から長波長側(700nm)までの広い範囲を有効
に反射防止することは困難である。
般にわたる広い反射防止効果を実現するために、種々の
多層反射防止膜がレンズ等に施されている。しかしなが
ら、反射防止効果は基板である硝材の屈折率に応じて異
なり、一般に光学ガラスの屈折率が1.49〜1.85
と広い範囲に分布しているため、硝材の異なる個々のレ
ンズに応じて個別の膜設計が必要となる。通常のカメラ
等の光学系においては、要求される光学性能を満たすべ
く異なる硝材からなる多くのレンズが組み合わされてお
り、それぞれのレンズに対して異なる膜構成の多層反射
防止膜を蒸着するすることは、蒸着管理および作業の煩
雑さを招き、製品コストの上昇につながる。
が存在しない場合が多いことから、高低屈折率の物質を
分割蒸着し疑似屈折率を作り出す等価膜法や、複合物質
を蒸着することが通常行われているが、この場合は蒸着
条件によって得られる薄膜の屈折率が変化しやすいの
で、できるだけ同一条件で、同一物質を蒸着することが
望ましく、この点からも連続蒸着装置においては、蒸着
条件の変更は少ないことが望ましい。
光学部品の屈折率に関係なく、必要な反射防止効果を付
与しうる多層反射防止膜を提供するものである。本発明
は、また、可視波長域において全体として反射量が平均
化して抑えられた反射防止膜付きの光学系を低供するも
のである。
は、屈折率が異なる少なくとも2種以上の光学部品から
なる光学系において、屈折率によらず全部の光学部品の
表面に対して、反射防止を施す波長範囲内の基準波長を
λとしたとき、光学材料からなる基板上に順次、 (a)光学的膜厚がλ/4で、屈折率nが1.72≦n
≦1.74のAl 2 O 3 /Pr 2 O 3 系複合材料からなる中
間屈折率層、 (b)光学的膜厚がλ/2で、屈折率nが1.97≦n
≦2.13のTiO 2 /La 2 O 3 複合材料からなる高屈
折率層および (c)光学的膜厚がλ/4で、MgF2 からなる低屈折
率層。
少なくとも2種以上の光学部品からなる光学系におい
て、屈折率によらず全部の光学部品の表面に対して、反
射防止を施す波長範囲内の基準波長をλとしたとき、光
学材料からなる基板上に順次、 (a´)光学的膜厚がλ/4で、屈折率nが1.74<
n≦1.77のAl 2 O 3 /Pr 2 O 3 系複合材料からな
る中間屈折率層、 (b´)光学的膜厚がλ/2で、屈折率nが2.07≦
n≦2.13のTiO 2 /La 2 O 3 複合材料からなる高
屈折率層および (c´)光学的膜厚がλ/4で、MgF2 からなる低屈
折率層。
る少なくとも2種以上の光学部品からなる光学系におい
て、屈折率によらず全部の光学部品の表面に対して、上
記の同一膜構成の多層反射防止膜が施されていることを
特徴とする。
り、光学材料からなる基板11上に、中間屈折率層2
3、高屈折率層25および表面層となる低屈折率層27
が順次積層されて多層反射防止膜21を形成している。
基板11は、光学ガラス、光学用プラスチックなどから
なる。光学ガラスの場合は、屈折率が1.49〜1.8
5程度のものが知られており、要求される光学特性に応
じて使い分けられている。したがって、カメラ等の鏡胴
(光学系)においては、異なる屈折率をもつ複数の硝材
が使用されていることになる。
防止膜を検索すべく、表面の低屈折率層27をMgF2
で固定し、各種屈折率の中間屈折率層23および高屈折率
層25を形成し、その反射防止特性を検討した。具体的
には、反射防止を施す波長範囲を400〜700nmと
し基準波長λを520nmに設定し、各種屈折率の硝材
上に光学的膜厚がλ/4の中間屈折率層、λ/2の高屈
折率層およびλ/4のMgF2 層(n=1.38)を、
電子銃を蒸着源として用いる真空蒸着法により形成し
た。
85の各種硝材、すなわち、1.52(BK7)、1.
62(F3)、1.70(SF15)、1.80(SF
60)、1.86(LASF21)を用いた。中間屈折
率層23は、Al2O3/Pr2O3系複合材料を用い、組
成および蒸着条件を制御することにより、屈折率1.6
5〜1.77の層として形成した。高屈折率層25は、
TiO2/La2O3 複合材料を用い、組成および蒸着条
件を制御することにより、屈折率1.90〜2.13の
層として形成した。この結果、図2にドットを付して示
した領域(境界を含む)で、使用したすべての硝材につ
いて良好な反射防止特性が得られた。この中でも斜線を
示した領域が特に好ましく、さらに好ましくは直交する
斜線が施された領域である。
て、好適な反射防止特性を得られる領域を考えると、以
下の通りとなる。 (1) 中間屈折率層の屈折率nが1.72≦n≦1.
74の場合(請求項1に対応) 高屈折率層:1.97≦n≦2.13であり、好ましく
は2.00≦n≦2.10、さらに好ましくは2.02
≦n≦2.04 (2) 中屈折率層の屈折率nが1.74≦n≦1.7
7の場合 高屈折率層:2.07≦n≦2.13であり、好ましく
は2.09≦n≦2.11
は、基板上に次の屈折率の各層を形成した場合の反射特
性である。 中間屈折率層:n=1.73(Al2O3/Pr2O3) 高屈折率層:n=2.03(TiO2/La2O3) 低屈折率層:n=1.38(MgF2 ) 図3中の引き出し線は、基板の硝材の屈折率を示す。図
2から、図2の直交斜線領域における中間屈折率層と高
屈折率層の組合せにより、屈折率1.52〜1.85の
すべての硝材において好適な反射防止特性の得られるこ
とが判る。
組み合わせた場合の具体例を表1に示す。表1ではマト
リックスを組み、個々の組合わせの特性を総合判定し、
その根拠を示した。なお、表中の略式記載の意味を例を
挙げて以下に説明する。nd=1.85:1.5%超→
屈折率1.85の硝材の場合に、全波長域にあるいは中
間波長領域で反射率が1.5%を超える 0点浮く→400〜700nmの全波長領域で反射率が
零に近づかず反射曲線が浮き上がり、目視により反射光
がやや白っぽく見える。
広い範囲の屈折率の基板に対して良好な反射防止能を付
与しうる。一般に、カメラ、テレビカメラ等において
は、レンズ等の複数の光学部品から形成され、しかも個
々のレンズが異なる屈折率を有しているが、これら光学
系の全てのレンズに対して同一の反射防止膜を施して
も、本発明の反射防止膜であれば、何ら問題がない。こ
のような光学系としては、屈折率1.49〜1.85の
光学部品からなるものが好適である。
発明の反射防止膜を施した場合について説明する。この
ビデオカメラ用レンズ系は、屈折率1.49のレンズ1
枚、1.52のレンズ1枚、1.59レンズ1枚、1.
62のレンズ3枚、1.64のレンズ1枚、1.72の
レンズ2枚、1.80のレンズ2枚、1.85のレンズ
の2枚の計13枚のレンズからなる。これら全てのレン
ズに対して、中心波長λを520nmとし、屈折率1.
73のAl2O3/Pr2O3複合材料膜λ/4、屈折率
2.03のTiO3/La2O3 複合材料膜λ/2および
屈折率1.38のMgF2 膜λ/4を積層して多層反射
防止膜を形成し、鏡胴に組み込んで本発明のレンズ系を
作成した。
2 のλ/4膜からなる単層反射防止膜を形成する他は同
様にして、比較例のレンズ系を作成した。これらレンズ
系(鏡胴)の分光透過特性を測定し、その結果を図6に
示した。本発明の多層反射防止膜は、従来の単層反射防
止膜に対して、格段に優れた分光透過特性を有している
ことが判る。これは即ち、本発明の反射防止膜およびこ
れが蒸着された光学系が、可視域全般に対して優れた反
射防止特性を有することを意味する。
反射防止膜を異なる屈折率の硝材に蒸着すると、硝材に
よって反射ピークがシフトしていることが判る。したが
って、異なる硝材のレンズを用いた光学系全体で分光反
射特性を見ると、全体的に均一化され、ピークが緩やか
でブロードな反射防止特性が得られると考えられる。
率層、λ/2の高屈折率層およびλ/4のMgF2 低屈
折率表面層の3層膜とし、中間屈折率層と高屈折率層の
組成とその屈折率を所定範囲に設定することにより、そ
れが形成される基板の屈折率にかかわらず、優れた特性
を有する多層反射防止膜が得られる。この多層反射防止
膜を用いれば、蒸着すべき光学部品の屈折率を逐次管理
する必要がなく、自動化や連続蒸着装置への適用に便利
であり、コストの低減も可能である。
学部品の全部に対して同一の上記多層反射防止膜を形成
することにより、反射防止特性に優れた光学系が低コス
トで得られる。
である。
層と高屈折率層での屈折率の組合わせの適否を示す説明
図である。
性について、基板屈折率ごとに示したグラフである。
性について、基板屈折率ごとに示したグラフである。
性について、基板屈折率ごとに示したグラフである。
示すグラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】 屈折率が異なる少なくとも2種以上の光
学部品からなる光学系において、屈折率によらず全部の
光学部品の表面に対して、 反射防止を施す波長範囲内の基準波長をλとしたとき、
光学材料からなる基板上に順次、 (a)光学的膜厚がλ/4で、屈折率nが1.72≦n
≦1.74のAl 2 O 3 /Pr 2 O 3 系複合材料からなる中
間屈折率層、 (b)光学的膜厚がλ/2で、屈折率nが1.97≦n
≦2.13のTiO 2 /La 2 O 3 複合材料からなる高屈
折率層および (c)光学的膜厚がλ/4で、MgF2 からなる低屈折
率層を積層した同一の多層反射防止膜が施されているこ
とを特徴とする光学系。 - 【請求項2】 屈折率が異なる少なくとも2種以上の光
学部品からなる光学系において、屈折率によらず全部の
光学部品の表面に対して、 反射防止を施す波長範囲内の基準波長をλとしたとき、
光学材料からなる基板上に順次、 (a´)光学的膜厚がλ/4で、屈折率nが1.74<
n≦1.77のAl 2 O 3 /Pr 2 O 3 系複合材料からな
る中間屈折率層、 (b´)光学的膜厚がλ/2で、屈折率nが2.07≦
n≦2.13のTiO 2 /La 2 O 3 複合材料からなる高
屈折率層および (c´)光学的膜厚がλ/4で、MgF2 からなる低屈
折率層を積層した同一の多層反射防止膜が施されている
ことを特徴とする光学系。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP5063166A JP3044359B2 (ja) | 1993-02-26 | 1993-02-26 | 多層反射防止膜が施された光学系 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP5063166A JP3044359B2 (ja) | 1993-02-26 | 1993-02-26 | 多層反射防止膜が施された光学系 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH06250001A JPH06250001A (ja) | 1994-09-09 |
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ID=13221395
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP5063166A Expired - Fee Related JP3044359B2 (ja) | 1993-02-26 | 1993-02-26 | 多層反射防止膜が施された光学系 |
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-
1993
- 1993-02-26 JP JP5063166A patent/JP3044359B2/ja not_active Expired - Fee Related
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