JP3113371B2 - 多層反射防止膜 - Google Patents

多層反射防止膜

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JP3113371B2
JP3113371B2 JP04046107A JP4610792A JP3113371B2 JP 3113371 B2 JP3113371 B2 JP 3113371B2 JP 04046107 A JP04046107 A JP 04046107A JP 4610792 A JP4610792 A JP 4610792A JP 3113371 B2 JP3113371 B2 JP 3113371B2
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紀子 塩川
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、カメラ、望遠
鏡、各種光学測定機器、各種OA機器、レーザー応用機
器、各種電子映像機器、光通信装置、光情報処理装置、
光学応用製造装置等の光学機器を構成する光学部品に対
して施される多層反射防止膜に関する。
【0002】
【従来の技術】カメラ、望遠鏡、レーザープリンター、
光ディスク装置、レーザー加工装置および測定装置のよ
うなレーザー応用機器、ビデオカメラ、ビデオプロジェ
クターのような電子映像機器等の光学機器類には、レン
ズやプリズム等の多くの光学部品が用いられているが、
このような光学部品に対しては、有害な表面反射を防止
するために、反射防止膜を形成することが一般に行われ
ている。この反射防止膜は、光学部品の表面に、真空蒸
着法等により、例えばTiO2 、SiO2 、MgF2
ような無機物質よりなる薄膜を1層または2層以上積層
して形成したものである(特開昭62−178901
号、特開平3−246501号、特開平3−25260
2号等)。
【0003】ところで、レーザー用の光学系では、多く
の光学部品等が用いられ、その構造も複雑化している
が、近年では、これらをよりコンパクトにすることが課
題とされており、そのため、光路の設計をする上で、光
学部品へのレーザー光の入射角が大きくなる(45〜6
0°程度)傾向がある。しかしながら、一般に、光学部
品の表面に形成される反射防止膜は、入射角が大きくな
るほど反射防止効果が少なくなることが知られている。
【0004】また、例えば光ディスク装置の光学系にお
いては、偏光ビームスプリッターが用いられており、S
偏光成分およびP偏光成分のそれぞれについて反射を防
止することが必要となる場合があるが、この場合、従来
では、1つの多層反射防止膜でS偏光成分およびP偏光
成分のそれぞれの反射を防止し得るものは存在せず、S
偏光成分の反射を防止するための専用の反射防止膜と、
P偏光成分の反射を防止するための専用の反射防止膜と
をそれぞれ別途に設けなければならなかった。そのた
め、形成する反射防止膜の層数が多くなり、また2以上
の箇所に反射防止膜を形成しなければならず、よって、
設計の幅が狭くなり、コストの上昇を招くという問題が
あった。
【0005】また、S偏光成分、P偏光成分のいずれの
反射防止膜についても、反射防止効果に波長依存性があ
り、例えば、入射光の波長が設計波長から±20nm以上
離れると、反射率が3%を超え、反射防止効果が不十分
となっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、1つ
の多層反射防止膜でS偏光成分およびP偏光成分の反射
を防止し、しかも、広い波長域にわたって優れた反射防
止効果が得られる多層反射防止膜を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)および(2)の本発明により達成される。
【0008】(1) 入射角が60°以下で用いられ、
かつ屈折率が1.50〜1.54である光学部品の表面
に第1層から第11層までの層を前記表面側からこの順
に積層してなる多層反射防止膜であって、奇数番目の層
のうち、任意の2つの層の屈折率はそれぞれ2.29〜
2.35であり、残りの4つの層の屈折率はそれぞれ
1.37〜1.39であり、偶数番目の層のうち、任意
の1つの層の屈折率は1.99〜2.01であり、その
他の任意の1つの層の屈折率は1.87〜1.97であ
り、その他の任意の2つの層の屈折率はそれぞれ1.6
4〜1.65であり、残りの1つの層の屈折率は1.4
7〜1.49であり、前記第1層から第11層までの各
層の光学的膜厚は、反射を防止したい波長域の中心波長
の0.1〜0.4倍であることを特徴とする多層反射防
止膜。
【0009】(2) 前記第1層から第11層までの各
層のうち、任意の層をこれに等価的な複数の層に置き換
えた上記(1)に記載の多層反射防止膜。
【0010】
【発明の構成】以下、本発明の多層反射防止膜を添付図
面に示す好適実施例に基づいて詳細に説明する。図1
は、本発明の多層反射防止膜の構成例を拡大して示す断
面側面図である。同図に示すように、多層反射防止膜1
5は、光学部品20の表面に形成されている。
【0011】光学部品20としては、例えば、透明な各
種硝材またはプラスチック(例えばアクリル系樹脂、ポ
リカーボネート、ポリスチレン)で構成されたレンズ、
プリズム、光学フィルター等が挙げれらる。また、光学
部品20の多層反射防止膜15を形成する表面は、図示
のごとく平面であっても、また曲面(球面または非球
面)であってもよい。
【0012】このような光学部品20は、通常の使用状
態において、入射角θが60°以下、好ましくは30〜
60°、より好ましくは45〜60°、さらに好ましく
は50〜60°で用いられるものである。
【0013】また、光学部品20の屈折率は、1.50
〜1.54であり、好ましくは1.51〜1.53であ
る。屈折率がこのような範囲のものにおいて、後述する
反射防止効果が有効に発揮される。
【0014】多層反射防止膜15は、光学部品20の表
面側から順に積層された、第1層1、第2層2、第3層
3、第4層4、第5層5、第6層6、第7層7、第8層
8、第9層9、第10層10および第11層11の合計
11層で構成されている。これらの層のうち、隣接する
2つの層の屈折率をある程度乖離させることが反射防止
に有効である。
【0015】すなわち、奇数番目の層1、3、5、7、
9および11のうち、任意の2つの層の屈折率をそれぞ
れ2.29〜2.35の範囲のものとし、残りの4つの
層の屈折率をそれぞれ1.37〜1.39の範囲のもの
とし、さらに、偶数番目の層2、4、6、8および10
のうち、任意の1つの層の屈折率を1.99〜2.01
の範囲のものとし、その他の任意の1つの層の屈折率を
1.87〜1.97の範囲のものとし、その他の任意の
2つの層の屈折率をそれぞれ1.64〜1.65の範囲
のものとし、残りの1つの層の屈折率を1.47〜1.
49の範囲のものとする。なお、ここで言う屈折率は、
波長550nmで測定した屈折率である。
【0016】各層1〜11の屈折率を上記のようにする
ことにより、入射角θが比較的小さい場合はもちろんの
こと、入射角θが60°程度であっても、優れた反射防
止効果、特に、S偏光成分とP偏光成分の双方について
優れた反射防止効果が得られ、しかもその効果は広い波
長域において得られる。
【0017】各層1〜11の構成材料としては、次のよ
うなものが挙げられる。屈折率が2.29〜2.35の
範囲のものとしては、例えば、TiO2 のようなチタン
酸化物、CeO2 のようなセリウム酸化物、またはこれ
らを主成分とする組成物が挙げられる。
【0018】屈折率が1.99〜2.01の範囲のもの
としては、例えば、In23 のようなインジウム酸化
物、Sb23 のようなアンチモン酸化物、TaO2
Ta25 のようなタンタル酸化物とY23 のような
イットリウム酸化物との混合物(好ましい混合比は、タ
ンタル酸化物70重量%、イットリウム酸化物30重量
%)、またはこれらを主成分とする組成物が挙げられ
る。
【0019】屈折率が1.87〜1.97の範囲のもの
としては、例えば、Yb23 のようなイッテルビウム
酸化物、SiO2 のようなケイ素酸化物とZrO2 のよ
うなジルコニウム酸化物との混合物(好ましい混合比
は、ケイ素酸化物30重量%、ジルコニウム酸化物70
重量%)、またはこれらを主成分とする組成物が挙げら
れる。
【0020】屈折率が1.64〜1.65の範囲のもの
としては、例えば、Al23 のようなアルミニウム酸
化物、CeF3 のようなセリウムフッ化物、またはこれ
らを主成分とする組成物が挙げられる。
【0021】屈折率が1.47〜1.49の範囲のもの
としては、例えば、SiO2 のようなケイ素酸化物、M
gF2 のようなフッ素化合物とAl23 のようなアル
ミニウム酸化物との混合物(好ましい混合比は、フッ素
化合物60重量%、アルミニウム酸化物40重量%)、
またはこれらを主成分とする組成物が挙げられる。
【0022】屈折率が1.37〜1.39の範囲のもの
としては、例えば、MgF2 、CaF2 のようなフッ素
化合物、またはこれらを主成分とする組成物が挙げられ
る。
【0023】各層を上記のような材料で構成することに
より、多層反射防止膜15は、劣化が少なく、優れた耐
久性が得られる。また、各層1〜11間の境界面および
光学部品20の表面における膜の密着性も良好である。
【0024】なお、本発明においては、各層の構成材料
は、上記例示したものに限定されず、屈折率が上記範囲
内のものであればいかなるものでもよい。
【0025】各層1〜11の光学的膜厚は特に制限され
ないが、反射を防止したい波長域の中心波長の0.1〜
0.4倍が好ましく、0.15〜0.35倍がより好ま
しい。また、各層の屈折率に応じたさらに好ましい範囲
は、以下の通りである。
【0026】屈折率が2.29〜2.35の範囲の層の
光学的膜厚は、反射を防止したい波長域の中心波長の
0.18〜0.32倍程度とするのが好ましい。
【0027】屈折率が1.99〜2.01の範囲の層の
光学的膜厚は、反射を防止したい波長域の中心波長の
0.19〜0.31倍程度とするのが好ましい。
【0028】屈折率が1.87〜1.97の範囲の層の
光学的膜厚は、反射を防止したい波長域の中心波長の
0.18〜0.32倍程度とするのが好ましい。
【0029】屈折率が1.64〜1.65の範囲の層の
光学的膜厚は、反射を防止したい波長域の中心波長の
0.19〜0.31倍程度とするのが好ましい。
【0030】そして、その他の層の光学的膜厚は、それ
ぞれ、反射を防止したい波長域の中心波長の0.20〜
0.30倍程度とするのが好ましい。
【0031】本発明において、第1層1から第11層1
1までの各層は、それぞれ、それ自体で固有の光学的特
性を有するものであり、多層反射防止膜を構成する1単
位として認識することができる。従って、各層1〜11
のうちの任意の1つの層は、図示のごとき物理的に1層
である場合のみならず、それと等価的な複数の層に置き
換えることができる。
【0032】このような置き換えは、等価膜法やコンポ
ジット法(参考文献:「光学薄膜」P154〜158,
1986年10月10日、共立出版社発行)等に基づい
て行うことができ、特に等価膜法による置き換えが好ま
しい。以下、等価膜法による置き換えを行う場合の例に
ついて説明する。
【0033】例えば、後述する実施例6(表3)および
実施例7(表4)で示すように、第4層を第4a層、第
4b層および第4c層の3つの層に置き換えることがで
きる。この場合、第4a層と第4c層とは、実質的に同
一の材料で構成され、中間の第4b層の構成材料とは異
なっている。
【0034】そして、第4a層、第4b層および第4c
層の積層体は、その屈折率および光学的膜厚に関し第4
層と等価である。例えば、第4層を屈折率が1.87〜
1.97である層とした場合、例えば第4a層および第
4c層をそれぞれ屈折率が1.47〜1.49である層
とし、第4b層を屈折率が2.10〜2.12である層
とすることができる。
【0035】ここで、屈折率が2.10〜2.12であ
る構成材料としては、ZrO2 のようなジルコニウム酸
化物、Nd23 のようなネオジウム酸化物、CeO2
のようなセリウム酸化物とY23 のようなイットリウ
ム酸化物との混合物(好ましい混合比は、セリウム酸化
物45重量%、イットリウム酸化物55重量%)、また
はこれらを主成分とする組成物が挙げられる。なお、こ
のような置き換えは、第4層以外の層においても行うこ
とができることは言うまでもない。
【0036】このような置き換えを行うと、多層反射防
止膜の層数は増加するが、次のような利点がある。すな
わち、例えば、置き換えられる層(例:第4層)の構成
材料が希少であるかまたは成膜に適さないものであった
り、隣接する層(例:第3層または第5層)との適合性
が低かったり(例えば、密着性が低いことやストレスの
蓄積が多いこと)した場合に、それと異なる材料の層で
構成される等価な積層体に置き換えることにより、光学
的特性を変えることなく、このような問題を改善するこ
とができる。
【0037】本発明の多層反射防止膜15における各層
1〜11(置き換えられた層も含む)の形成は、通常、
真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の
気相成膜法により行われ、成膜条件の設定により、上記
膜組成および膜厚を得ることができる。以上のような多
層反射防止膜15は、波長800〜860nm、さらに
は、波長810〜850nmの入射光に対し、特に優れた
反射防止効果を発揮する。
【0038】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例について説明す
る。
【0039】(実施例1) [1]多層反射防止膜の製造 光学ガラス部品(BK7、屈折率:1.51)を精密洗
浄した後、真空蒸着法により、この光学ガラス部品の表
面側から下記表1に示す材料で構成される第1層〜第1
1層を順次形成し、本発明の多層反射防止膜を得た。な
お、表1中には、各層の屈折率(測定波長550nm)お
よび膜厚を併せて示す。
【0040】[2]分光特性の測定 上記多層反射防止膜に対し、波長800〜860nm(設
計波長830nm)の光を入射角60°で入射させ、S偏
光成分およびP偏光成分のそれぞれの反射率を測定し
た。その結果を図2のグラフに示す。
【0041】このグラフに示すように、S偏光成分、P
偏光成分共に、設計波長からの乖離が±30nm以内で反
射率約2%以下、±20nm以内で反射率約1%以下を達
成している。
【0042】(実施例2) [1]多層反射防止膜の製造 実施例1と同様の光学ガラス部品を精密洗浄した後、真
空蒸着法により、この光学ガラス部品の表面側から下記
表2に示す材料で構成される第1層〜第11層を順次形
成し、本発明の多層反射防止膜を得た。なお、表2中に
は、各層の屈折率(測定波長550nm)および膜厚を併
せて示す。
【0043】
【表2】
【0044】[2]分光特性の測定 上記多層反射防止膜に対し、波長800〜860nm(設
計波長830nm)の光を入射角60°で入射させ、S偏
光成分およびP偏光成分のそれぞれの反射率を測定し
た。その結果を図3のグラフに示す。
【0045】このグラフに示すように、S偏光成分、P
偏光成分共に、設計波長からの乖離が±30nm以内で反
射率約2%以下、±20nm以内で反射率約1%以下を達
成している。
【0046】(実施例3)実施例1と同様の光学ガラス
部品を精密洗浄した後、その表面に、上記表1中の第5
層と第9層とを入れ替え、第2層と第8層とを入れ替え
た層構成の多層反射防止膜を製造した。
【0047】この多層反射防止膜に対し、実施例1と同
様にして分光特性を測定したところ、S偏光成分、P偏
光成分共に、実施例1とほぼ同様の低反射率が達成され
た。
【0048】(実施例4)実施例1と同様の光学ガラス
部品を精密洗浄した後、その表面に、上記表1中の第1
層と第3層とを入れ替え、第5層と第9層とを入れ替
え、第4層と第10層とを入れ替えた層構成の多層反射
防止膜を製造した。
【0049】この多層反射防止膜に対し、実施例1と同
様にして分光特性を測定したところ、S偏光成分、P偏
光成分共に、実施例1とほぼ同様の低反射率が達成され
た。
【0050】(実施例5)上記実施例1、2、3および
4のそれぞれについて、入射角を45°に変えた以外は
同様にして測定を行ったところ、いずれも、S偏光成分
およびP偏光成分の反射率は大幅に低減した。これらの
うち、実施例1についての結果を図4のグラフに示す。
【0051】このグラフに示すように、S偏光成分、P
偏光成分共に、設計波長からの乖離が±30nm以内で反
射率約1.0%以下、±20nm以内で反射率約0.5%
以下を達成しており、上記実施例1の結果に比べ、さら
に低い反射率が得られている。その結果、有効波長域を
さらに広い範囲とすることができる。
【0052】(実施例6) [1]多層反射防止膜の製造 実施例1と同様の光学ガラス部品を精密洗浄した後、真
空蒸着法により、この光学ガラス部品の表面側から下記
表3に示す材料で構成される第1層〜第11層を順次形
成し、本発明の多層反射防止膜を得た。この多層反射防
止膜は、上記表1に示す層構成の多層反射防止膜におけ
る第4層を、これと等価な第4a層、第4b層および第
4c層の積層体に置き換えたものである。なお、表3中
には、各層の屈折率(測定波長550nm)および膜厚を
併せて示す。
【0053】
【表3】
【0054】[2]分光特性の測定 上記多層反射防止膜に対し、波長800〜860nm(設
計波長830nm)の光を入射角60°で入射させ、S偏
光成分およびP偏光成分のそれぞれの反射率を測定し
た。その結果を図5のグラフに示す。
【0055】このグラフに示すように、S偏光成分、P
偏光成分共に、設計波長からの乖離が±30nm以内で反
射率約2%以下、±20nm以内で反射率約1%以下を達
成している。
【0056】(実施例7) [1]多層反射防止膜の製造 実施例1と同様の光学ガラス部品を精密洗浄した後、真
空蒸着法により、この光学ガラス部品の表面側から下記
表4に示す材料で構成される第1層〜第11層を順次形
成し、本発明の多層反射防止膜を得た。この多層反射防
止膜は、上記表2に示す層構成の多層反射防止膜におけ
る第4層を、これと等価な第4a層、第4b層および第
4c層の積層体に置き換えたものである。なお、表4中
には、各層の屈折率(測定波長550nm)および膜厚を
併せて示す。
【0057】
【表3】
【0058】[2]分光特性の測定 上記多層反射防止膜に対し、波長800〜860nm(設
計波長830nm)の光を入射角60°で入射させ、S偏
光成分およびP偏光成分のそれぞれの反射率を測定し
た。その結果を図6のグラフに示す。
【0059】このグラフに示すように、S偏光成分、P
偏光成分共に、設計波長からの乖離が±30nm以内で反
射率約2%以下、±20nm以内で反射率約1%以下を達
成している。
【0060】(実施例8)実施例1と同様の光学ガラス
部品を精密洗浄した後、その表面に、上記表3中の第7
層と第11層とを入れ替え、第2層と第8層とを入れ替
えた層構成の多層反射防止膜を製造した。
【0061】この多層反射防止膜に対し、実施例6と同
様にして分光特性を測定したところ、S偏光成分、P偏
光成分共に、実施例6とほぼ同様の低反射率が達成され
た。
【0062】(実施例9)実施例1と同様の光学ガラス
部品を精密洗浄した後、その表面に、上記表3中の第1
層と第9層とを入れ替え、第4a層、第4b層および第
4c層の積層体と第6層とを入れ替えた層構成の多層反
射防止膜を製造した。
【0063】この多層反射防止膜に対し、実施例6と同
様にして分光特性を測定したところ、S偏光成分、P偏
光成分共に、実施例6とほぼ同様の低反射率が達成され
た。
【0064】(実施例10)上記実施例6、7、8およ
び9のそれぞれについて、入射角を45°に変えた以外
は同様にして測定を行ったところ、いずれも、S偏光成
分およびP偏光成分の反射率は大幅に低減した。これら
のうち、実施例6についての結果を図7のグラフに示
す。
【0065】このグラフに示すように、S偏光成分、P
偏光成分共に、設計波長からの乖離が±30nm以内で反
射率約1.0%以下、±20nm以内で反射率約0.5%
以下を達成しており、上記実施例6の結果に比べ、さら
に低い反射率が得られている。その結果、有効波長域を
さらに広い範囲とすることができる。
【0066】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の多層反射防
止膜によれば、入射角θが比較的小さい場合はもちろん
のこと、入射角が60°程度であっても、優れた反射防
止効果、特に、S偏光成分とP偏光成分の双方について
優れた反射防止効果が得られる。
【0067】しかも、S偏光成分およびP偏光成分の反
射防止を1つの多層反射防止膜で達成することができ
る。さらに、上記優れた反射防止効果が広い波長域にわ
たって得られる。
【0068】このようなことから、光学機器の設計の幅
が広がる。すなわち、例えば、光路の設計においては、
反射による損失を考慮することなく光学部品への入射角
を60°程度とすることができ、その結果、装置の構成
の簡素化、小型化や、精度の向上を図ることができる。
また、本発明の多層反射防止膜は、耐久性にも優れてい
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層反射防止膜の構成例を拡大して示
す断面側面図である。
【図2】本発明の実施例1における分光特性を示すグラ
フである。
【図3】本発明の実施例2における分光特性を示すグラ
フである。
【図4】本発明の実施例5における分光特性を示すグラ
フである。
【図5】本発明の実施例6における分光特性を示すグラ
フである。
【図6】本発明の実施例7における分光特性を示すグラ
フである。
【図7】本発明の実施例10における分光特性を示すグ
ラフである。
【符号の説明】
1 第1層 2 第2層 3 第3層 4 第4層 5 第5層 6 第6層 7 第7層 8 第8層 9 第9層 10 第10層 11 第11層 15 多層反射防止膜 20 光学部品
【表1】

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入射角が60°以下で用いられ、かつ屈
    折率が1.50〜1.54である光学部品の表面に第1
    層から第11層までの層を前記表面側からこの順に積層
    してなる多層反射防止膜であって、 奇数番目の層のうち、任意の2つの層の屈折率はそれぞ
    れ2.29〜2.35であり、残りの4つの層の屈折率
    はそれぞれ1.37〜1.39であり、 偶数番目の層のうち、任意の1つの層の屈折率は1.9
    9〜2.01であり、その他の任意の1つの層の屈折率
    は1.87〜1.97であり、その他の任意の2つの層
    の屈折率はそれぞれ1.64〜1.65であり、残りの
    1つの層の屈折率は1.47〜1.49であり、 前記第1層から第11層までの各層の光学的膜厚は、反
    射を防止したい波長域の中心波長の0.1〜0.4倍で
    あることを特徴とする多層反射防止膜。
  2. 【請求項2】 前記第1層から第11層までの各層のう
    ち、任意の層をこれに等価的な複数の層に置き換えた請
    求項1に記載の多層反射防止膜。
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