JP3332482B2 - 反射防止フィルムの製造方法 - Google Patents

反射防止フィルムの製造方法

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JP3332482B2
JP3332482B2 JP16418693A JP16418693A JP3332482B2 JP 3332482 B2 JP3332482 B2 JP 3332482B2 JP 16418693 A JP16418693 A JP 16418693A JP 16418693 A JP16418693 A JP 16418693A JP 3332482 B2 JP3332482 B2 JP 3332482B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カーブミラー、バック
ミラー、ゴーグル、窓ガラス、及びパソコン・ワープロ
等のディスプレイの表面に光の反射を防止することので
きる反射防止フィルム及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、カーブミラー、バックミラー、ゴ
ーグル、窓ガラス、パソコン・ワープロ等のディスプレ
イ、その他種々の商業ディスプレイ等には、ガラスやプ
ラスチック等の透明支持基材が用いられており、これら
の透明支持基材を通して物体や文字、図形等の視覚情報
を、或いはミラーでは透明支持基材を通して反射層から
の像を観察する場合に、これらの透明支持基材の表面が
光で反射して内部の視覚情報が見えにくいという問題が
あった。
【0003】このような透明支持基材の反射を防止する
方法としては、従来、ガラスやプラスチック表面に反射
防止塗料を塗布する方法、ガラス等の透明支持基材の表
面に膜厚0.1μm程度のMgF2 等の薄膜や金属蒸着
膜を設ける方法、電離放射線硬化型樹脂の硬化膜上に、
その樹脂よりも相対的に低屈折率の樹脂塗膜を形成する
方法等があった。
【0004】前記ガラス上に形成された膜厚0.1μm
程度のMgF2 の薄膜をさらに説明する。入射光が薄膜
に垂直に入射する場合に、特定の波長をλ0 とし、この
波長に対する反射防止膜の屈折率をn0 、反射防止膜の
厚みをh、及び支持基材の屈折率をng とすると、反射
防止膜が光の反射を100%防止し、光を100%透過
するための条件は、次の式(1)及び式(2)の関係を
満たすことが必要であることは既に知られている(サイ
エンスライブラリ 物理学=9「光学」70〜72頁、
昭和55年,株式会社サイエンス社発行)。
【0005】
【数1】
【0006】
【数2】 例えば、ガラス基材の屈折率ng =約1.5であり、M
gF2 膜の屈折率n0=1.38、入射光の波長λ0
5500Å(基準)と既に知られているので、これらの
値を前記式(2)に代入すると、反射防止膜の厚みhは
約0.1μmが最適であると計算される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の蒸着による反射防止膜の形成技術においては、蒸着
工程のコストが高く、かつ量産性が低いという問題点が
あった。
【0008】また、前記従来の反射防止塗料を塗布する
方法では形成された塗膜の膜厚は、前記のごとく式
(2)から計算されるように0.1μm程度とかなり薄
いものである。このような極めて薄い膜を形成すること
は、コーティング法や押出法等による積層では、加工精
度から考えて極めて困難であった。
【0009】そこで本発明は、反射防止膜をコーティン
グ法や押出法等による積層によって形成しても精度よく
製造することができる反射防止フィルムを製造する方法
を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の問題点を解決する
ために本発明の1番の発明は、上に形成される樹脂層よ
りも厚みが相対的に厚い、樹脂からなる支持基材の上
に、屈折率が支持基材より相対的に低い樹脂層を単層あ
るいは最上層が最も低屈折率になるように複数層積層し
て積層体とし、得られた積層体を、延伸法あるいはプレ
ス法等の機械的手段で変形して積層体の膜厚を減少させ
ることにより、空気と積層体との界面での反射率を低減
することを特徴とする反射防止フィルムの製造方法とす
るものである。
【0011】上記の問題点を解決するために本発明の2
番目の発明は、上に形成される樹脂層よりも厚みが相対
的に厚い、樹脂からなる支持基材の上に、最初に屈折率
が相対的に高い樹脂層を積層し、次いで屈折率が相対的
に低い樹脂層を積層し、交互に各々膜厚がほぼ等しくな
るように偶数層積層して積層体とし、得られた積層体
を、延伸法あるいはプレス法等の機械的手段変形して
積層体の膜厚を減少させることにより、空気と積層体と
の界面での反射率を低減することを特徴とする反射防止
フィルムの製造方法とするものである。
【0012】前記1番目の発明及び前記2番目の発明に
おいて、支持基材は、その上に形成される樹脂層よりも
相対的に厚みが厚いものであることが必要である。その
理由は、支持基材が薄いと、後述する光の干渉の式に関
する項として取り扱う必要があるが、支持基材が厚いと
この項を無視することができるからである。また、支持
基材が厚いと、製造されたフィルムの機械的強度を付与
することができる。例えば、反射防止フィルムとして
の、実用的な強度とするためには、支持基材の厚みは、
50μm以上あることが必要である。
【0013】図1及び図2は本発明の反射防止フィルム
の層構成の1例であり、図1は相対的に高屈折率の樹脂
層と相対的に低屈折率の樹脂層とが、各々単層である場
合を示す。図1中、1は支持基材、2は支持基材1上に
形成されている樹脂層であり直接接する他の樹脂層とは
相対的に高屈折率を有し、かつ支持基材1の屈折率より
も低い屈折率を有する樹脂層、3は樹脂層2上に形成さ
れた樹脂層であり相対的に樹脂層2より低屈折率を有す
る樹脂層である。図2は、相対的に高屈折率を有する樹
脂層2と相対的に低屈折率を有する樹脂層3とが交互に
繰り返して、支持基材1上に積層されている反射防止フ
ィルムの層構成を示している。図3及び図4は、延伸処
理する前の反射防止フィルムの中間体を示す。
【0014】図1、図2に記載の本発明の反射防止フィ
ルムを製造するには、図1、図2に比べ相対的に膜厚が
厚い積層フィルムを図3、図4のごとく予め作製した
後、この積層フィルムを延伸して製造する。反射防止フ
ィルムの樹脂層の厚みを、例えば、反射防止フィルムの
反射防止層を0.1μmとする場合の精度を考察する
に、支持基材に直接コーティング等により反射防止層を
形成すれば、得られる反射防止層の膜厚の誤差は通常1
0%以上となる。これに対して、本発明のように得よう
とする反射防止層の厚みの10倍の厚みで図3、図4の
ような積層フィルムを予め作製し、これを10倍に延伸
して図1、図2に示す反射防止層の厚みが0.1mm程
度である反射防止フィルムを得ることを考えれば反射防
止層の膜厚の誤差は数%以内に抑えることが可能にな
る。
【0015】本発明で使用可能な支持基材及び樹脂層と
しては、延伸処理が可能である樹脂、例えば熱可塑性樹
脂であれば使用できる。本発明の支持基材及び樹脂層に
用いることができる樹脂の例、及びその樹脂の屈折率
(n)及びガラス転移温度(Tg)を次に示す。
【0016】 ポリマー n Tg(K°) ─────────────────────────────────── ポリビニリデンフルオライド 1.42 233 ポリジメチルシリレン(ポリジメチルシロキサン) 1.43 146 ポリオキシプロピレン 1.4495 198 ポリビニルイソブチルエーテル 1.4507 254 ポリビニルエチルエーテル 1.4540 230 ポリオキシエチレン 1.4563 232 ポリビニルブチルエーテル 1.4563 218 ポリビニルペンチルエーテル 1.4581 207 ポリビニルヘキシルエーテル 1.4591 199 ポリ(4−メチル−1−ペンテン) 1.459 -1.465 302 セルロースアセテートブチレート 1.46 -1.49 322-388 ポリビニルオクチルエーテル 1.4613 194 ポリ(ビニル2−エチルヘキシルエーテル) 1.4626 207 ポリビニルデシルエーテル 1.4628 211 ポリ(2−メトキシエチルアクリレート) 1.463 223 ポリブチルアクリレート 1.4631 251 ポリ(t−ブチルメタクリレート) 1.4638 333 ポリ(3−エトキシプロピルアクリレート) 1.465 218 ポリビニルプロピオネート 1.4665 283 ポリビニルアセテート 1.4665 305 ポリビニルメチルエーテル 1.467 242 ポリエチルアクリレート 1.4685 249 エチレン−ビニルアセテート共重合体 1.47 -1.50 (80%−20%ビニルアセテート) セルロースプロピオネート 1.47 -1.49 400 セルローストリアセテート 1.47 -1.48 322-751 ポリビニルメチルエーテル(アイソタクティック) 1.4700 242 ポリ(3−メトキシプロピルアクリレート) 1.471 198 ポリ(2−エトキシエチルアクリレート) 1.471 223 ポリメチルアクリレート 1.472 -1.480 283 ポリイソプロピルメタクリレート 1.4728 354 ポリ(1−デセン) 1.4730 232 ポリプロピレン(アタクティック,密度0.8575g/cm3 ) 1.4735 260 ポリ(ビニルsec−ブチルエーテル)(アイソタクティック) 1.4740 254 ポリドデシルメタクリレート 1.4740 208 ポリオキシエチレンオキシスクシノイル 1.4744 244 (ポリエチレンスクシネート) ポリテトラデシルメタクリレート 1.4746 201-264 エチレン−プロピレン共重合体(EPR−ゴム) 1.4748-1.48 140-260 ポリヘキサデシルメタクリレート 1.4750 288 ポリビニルフォルメート 1.4757 310 ポリイソブチルメタクリレート 1.477 333 エチルセルロース 1.479 316 ポリビニルアセタール 1.48 -1.50 305 セルロースアセテート 1.48 -1.50 322-751 セルローストリプロピオネート 1.48 -1.49 400 ポリオキシメチレン 1.48 232 ポリビニルブチラール 1.48 -1.49 322 ポリ(n−ヘキシルメタクリレート) 1.4813 268 ポリ(n−ブチルメタクリレート) 1.483 293 ポリ(n−プロピルメタクリレート) 1.484 308 ポリエチルメタクリレート 1.485 338 ポリ(1,1−ジエチルプロピルメタクリレート) 1.4889 268 ポリメチルメタクリレート 1.4893 378 ポリ(2−デシル−1,3−ブタジエン) 1.4899 220 ポリビニルアルコール 1.49 -1.53 358 ポリエチルグリコレートメタクリレート 1.4903 328 メチルセルロース(低粘度) 1.497 423 ポリウレタン 1.5 -1.6 200-400 ポリ(1,2−ブタジエン) 1.5000 269 ポリビニルフォルマール 1.50 セルロースニトレート 1.50 -1.514 326 ポリ(2−ヘプチル−1,3−ブタジエン) 1.5000 190 ポリ(2−イソプロピル−1,3ブタジエン) 1.5028 221 ポリプロピレン(密度0.9075g/cm3 ) 1.5030 260 ポリイソブテン 1.505 -1.51 200 ポリボルニルメタクリレート 1.5059 383 ポリ(2−t−ブチル−1,3−ブタジエン) 1.5060 293 ポリエチレングリコールジメタクリレート 1.5063 ポリシクロヘキシルメタクリレート 1.5066 356 グッタペルカ(β) 1.509 215 ポリオキシエチレン(高分子量) 1.51 -1.54 232 ポリエチレン(密度0.914g/cm 3 ) 1.51 148 ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート) 1.5119 328 ポリブテン(アイソタクティック) 1.5125 249 グッタペルカ(α) 1.514 215 ポリ(1,3−ブタジエン) 1.5154 269 ポリ(2−クロロエチルメタクリレート) 1.517 365 ポリ(2−ジエチルアミノエチルメタクリレート) 1.5174 289 天然ゴム 1.519 -1.52 200 ポリアクリロニトリル 1.52 ポリメタクリロニトリル 1.52 ポリイソプレン 1.521 200 ポリアクリックアシド 1.527 379 ポリ(1−ビニル−2−ピロリドン) 1.53 327 セルロース 1.54 243-443 ポリビニルクロライド 1.54 -1.55 354 ポリ(2−ブロモエチルメタクリレート) 1.5426 325 ポリ(N−アリルメタクリルアミド) 1.5476 433 ポリイソプロピルメタクリレート 1.552 354 ポリ(p−イソプロピルスチレン) 1.554 360 ポリクロロプレン 1.554 -1.558 253 ポリベンジルメタクリレート 1.5680 327 ポリフェニルメタクリレート 1.5706 383 ポリ(オキシ−2,6−ジメチルフェニレン) 1.575 482 ポリオキシエチレンオキシテレフタロイル(アモルファス) 1.5750 342 ポリビニルベンゾエート 1.5775 344 ポリ(4−メトキシ−2−メチルスチレン) 1.5868 358 ポリ(o−メチルスチレン) 1.5874 409 ポリスチレン 1.59 -1.592 373 ポリ(o−メトキシスチレン) 1.5932 348 ポリ(p−メトキシスチレン) 1.5967 362 ポリビニリデンクロライド 1.60 -1.63 255 ポリ(2,6−ジクロロスチレン) 1.6248 440 ポリビニルナフタレン 1.6818 432 ポリビニルカルバゾール 1.683 423,481 本発明で使用可能な支持基材及び樹脂層には、前記熱可
塑性樹脂以外では、電離放射性硬化型樹脂を用いること
ができる。電離放射線硬化型樹脂には、電子線硬化型樹
脂及び紫外線硬化型樹脂があり、後者の紫外線硬化型樹
脂は光重合開始剤及び増感剤を含有することを除いて、
前者の電子線硬化型樹脂と成分的に同様なものである。
これらの電離放射線硬化型樹脂は、一般的には皮膜形成
成分としてその構造中にラジカル重合性の活性基を有す
るポリマー、オリゴマー、モノマーを主成分とする。そ
のポリマー、オリゴマーには、ウレタンアクリレートや
ポリエステルアクリレートのような市販品から容易に入
手可能なものが本発明に好適に利用できる。モノマーに
は、市販のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体等の電
離放射線型硬化型モノマーが本発明に好適に利用でき
る。上記の電離放射線硬化型モノマーを紫外線硬化型樹
脂とするためには、この中に光開始剤として、アセトフ
ェノン類、ベンゾフェノン、ミヒラーベンゾイルベンゾ
エート、α−アミノキシムエステル、テトラメチルチウ
ラムモノサルファイド、チオキサントン類や光増感剤と
してn−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−
ブチルホスフィン等を混合して用いることができる。
【0017】電離放射線硬化型樹脂の硬化にあたって
は、機械的手段により変形後に電離放射線を照射するこ
とによって行なう。電離放射線照射方法としては従来の
技術がそのまま適用でき、例えば、電子線照射の場合
は、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変
圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、
高周波型等の各種電子線加速機から放出される50〜
1,000KeV、好ましくは100〜300KeVの
エネルギーを有する電子線を0.1〜100Mrad.
好ましくは1〜10Mrad.照射することにより行な
い、また紫外線照射の場合は、超高圧水銀灯、高圧水銀
灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライド
ランプ等の光源から発せられる紫外線を0.1〜10,
000mJ/cm2 、好ましくは10〜1,000mJ
/cm2 照射することにより行なう。
【0018】次に本発明の第1番目の発明である樹脂層
が単層である場合の、樹脂層の樹脂材料及び樹脂層の膜
厚の選定方法を説明する。
【0019】図5は、反射防止フィルムの反射防止層と
しての樹脂層が単層である場合の、反射光と透過光の様
子を示している。屈折率ns の支持基材上に屈折率nの
樹脂層が膜厚hで積層されており、その上方から複素振
幅ao の平面波の入射光L0が入射する場合を例にして
説明する。L1 ’は入射光L0 が界面1で反射した光を
示す。L2 ’は入射光L0 が界面1を透過し、引続き界
面界面2で反射し、界面1を透過した光を示す。L3
は入射光L0 が界面1を透過し、引続き界面界面2で反
射し、界面1で反射し、界面2で反射し、界面1を透過
した光を示す。
【0020】上方より第1境界面への入射光の透過率を
1 および第2境界面への入射光の透過率をt2 とし、
反射率を各々r1 、r2 とし、相隣れる反射光の位相差
をδとする。また、前記と逆向きの第2境界面への入射
光の透過率をt2 ’、第1境界面への入射光の透過率を
1 ’とし、反射率を各々r2 ’、r1 ’とする。
【0021】ここで、L1 ’の複素振幅ar とすると、
樹脂層での繰り返し反射光のうち、空気中に反射され戻
ってくる光の複素振幅ar は、前記の通り入射光L0
複素振幅がao であるので、次の式(3)の通りにな
る。
【0022】
【数3】 となる。ここでStokesの定理のr1 ’=−r1
1 1 ’=1−r1 2の関係を用いた。したがって、
反射光の強度Irは、次の式(4)の通りになる。
【0023】
【数4】 となる。この式(4)で、r1 =r2 (振幅条件)で、
δ=2m+1(位相条件)であるならばIrは0とな
る。つまり、振幅条件、位相条件の両方を満たせば反射
はないことになる。入射光がフィルムに垂直に入射する
場合は、特定の波長をλとすれば、第1、第2面のFr
esnel反射係数r1 =(1−n)/(1+n),r
2 =(1−ns )/(1+ns )を用いて振幅条件は、
次の式(5)の通りになる。
【0024】 (1−n)/(1+n)=(1−ns )/(1+ns ) … 式(5) したがって、次の式(6)が導きだせる。
【0025】 n=√ns … 式(6) また位相条件は、次の式(7)の通りになる。
【0026】 δ=(2m+1)π=4πnS h/λ … 式(7) 従って、m=1に対しては膜の光学的厚みとして次の式
(8)を得る。
【0027】 hnS =λ/4 … 式(8) 以上のことから、樹脂層として支持基材の屈折率の平方
根になるような材料を選び、その膜の厚みを、波長λの
1/4nS になるようにすれば、その波長においては反
射光はなく、100%透過するようになることが分か
る。実際には、上記の屈折率の関係を満たすような屈折
率の低い樹脂はないので、位相条件を満足したとしても
反射光を0にすることはできず、一般的には境界面の反
射率を低減する方法として上記各式は用いられる。例え
ば、支持基材として屈折率1.50のものを使用し59
0nmを中心に反射防止をするとすれば、位相条件、振
幅条件は前記式(6)及び式(7)により、 h=589/4/1.50=98(nm)=0.098
(μm) n=√1.5=1.22 となる。
【0028】上記のようにして得られた膜厚hは本発明
の積層フィルムを延伸する方法により、精度よく加工可
能であるが、しかしながら、屈折率が1.22の樹脂は
存在しない。ここで、屈折率が1.42のポリビニリデ
ンフルオライドを使用すれば、反射率は約3%となる。
これは、本発明の反射防止処理を行なわない場合(未処
理の場合)が反射率が4%となるのに比べて、本発明の
方法により反射防止が発揮される反射防止フィルムが得
られることが分かる。
【0029】次に、本発明の2番目の発明である樹脂層
が多層構成による反射防止方法について説明する。
【0030】多層反射防止フィルムの樹脂層の積層数、
各々の屈折率、については次のような関係がある。一般
にN層の薄膜が重ねられている場合には、境界面はN+
1個あり、第1境界面及び最終境界面における振幅ベク
トルをE1 、EN+1 、磁気ベクトルをH1 、HN+1 とす
れば、次の式(9)に示す関係がある。
【0031】
【数5】 ここで、〔M1 〕、〔M2 〕、〔MN 〕は、1,2,N
層の薄膜の特性マトリックスである。このとき、N個の
特性マトリックスの積は1つのマトリックスで表すこと
ができ、次の式(10)の通りに表せる。
【0032】
【数6】 垂直光入射のときは、高屈折率ポリマー、低屈折率ポリ
マーの平均の屈折率をn、回折波長をλとすると、その
ときの膜厚をdとして、次の式(11)において最も効
率がよくなる。
【0033】nd=λ/4 …式(11) これは、樹脂層が単層の場合の反射防止フィルムの例で
述べた位相条件である。この条件では、特性マトリック
ス〔M〕は、次の式(12)で示される。
【0034】
【数7】 ここで、p=√(ε0 /μ0 )n となる。
【0035】いま、屈折率がn1 及びn2 と異なる2種
類の樹脂層の2層膜をそれぞれ前記式(11)のnd=
λ/4の条件で作ると、その特性マトリックスは、次の
式(13)で示される。
【0036】
【数8】 したがって、樹脂層をN層積層すれば、その特性マトリ
ックスは、次の式(14)で示される。
【0037】
【数9】 ところで、入射媒質(本発明では空気)の屈折率を
0 、出射媒質(本発明では支持基材)の屈折率をns
とし、p0 =√(ε0 /μ0 )n0 、ps =√(ε0
μ0 )ns とすると、回折効率DEは次の式(15)で
示される。
【0038】
【数10】 上記式(15)において、回折効率が0となるときに、
反射が起こらないことになる。すなわち、次の式(1
6)を満たす場合である。
【0039】 n0 2 N −nS 1 N =0 …式(16) 例えば、支持基材の屈折率をnS =1.5とすると、前
記式(16)は、 n2 N −1.5×n1 N =0 n2 =(1.5)1/N ×n1 となる。また、樹脂層の積層数を4とすると、前記式
は、 n2 =1.107×n1 となる。ここで、上記式のn1 に屈折率1.44の物質
を使用すれば、 n2 =1.594 となる。
【0040】逆に、使用する支持基材と樹脂層の屈折率
が決まっている場合には、最適な積層数を求めることが
できる。例えば、支持基材として屈折率1.66、高屈
折率樹脂として屈折率1.59、低屈折率樹脂として屈
折率1.50のものを使用する場合の積層回数を計算し
てみると、n=8.7となる。積層回数を8とすれば反
射率は0.04%にまで低減できる。
【0041】
【実施例】
〔実施例1〕支持基材として膜厚600μmのポリスチ
レンフィルム(n=1.59)を用い、この上に樹脂層
としてポリビニリデンフルオライド(n=1.42)
を、N−メチルピロリドン溶液中に5%溶液になるよう
に溶解し、スライドダイを用いて厚さ2μmとなるよう
に均一にコートした。これを延伸機で20倍に延伸処理
し、ポリスチレン層が30μm、ポリビニリデンフルオ
ライドが0.1μmのフィルムを得た。このフィルムの
透過率を測定したところ、ポリビニリデンフルオライド
層を設けないものに比較して透過率が0.8%向上して
いた。すなわち、反射防止効果のある反射防止フィルム
が得られた。
【0042】〔実施例2〕 支持基材として2mmのポリエチレンテレフタレートシ
ート(n=1.59)を用い、この上に樹脂層としてポ
リスチレン(n=1.59)、エチレンポリビニルアル
コール共重合体(n=1.50)を各々20μmの膜厚
に押出成形で交互にラミネートし、合計8層形成した。
これを延伸機で200倍に延伸処理し、ポリエチレンテ
レフタレート層が10μm、ポリスチレン層、エチレン
ポリビニルアルコール共重合体層が各々0.1μmの間
隔で合計8層積層されているフィルムを得た。このフィ
ルムの透過率を測定したところ、樹脂層を設けないもの
に比較して透過率が3.2%向上していた。すなわち、
反射防止効果のある反射防止フィルムが得られた。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、上に形成される樹脂層
よりも相対的に厚い、樹脂からなる支持基材の上に、支
持基材より屈折率が低い樹脂層を単層あるいは最上層が
最も屈折率が低くなるように複数層積層し、さらに延伸
法あるいはプレス法等の機械的手段により変形して膜厚
を減少させることにより、あるいは、上に形成される樹
脂層よりも相対的に厚い、樹脂からなる支持基材の上
に、屈折率が高・低と繰り返すような各樹脂層を等膜厚
で積層し、延伸法あるいはプレス法等の機械的手段によ
り変形して、各樹脂層の厚みを減少させることにより、
反射防止効果のある反射防止フィルムを得ているため、
蒸着工程を必要とする従来の技術に比べ、コストが低
く、かつ量産性が高い。また、樹脂、支持基材も従来に
比べ、多くのものを選択できるため、得られるフィルム
の応用範囲が広く、また、材料を選択することによって
コストが抑えられる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の反射防止フィルムの層構成の1例を示
し、相対的に高屈折率の樹脂層と相対的に低屈折率の樹
脂層とが各々単層である場合を示す。
【図2】本発明の反射防止フィルムの層構成の1例を示
し、相対的に高屈折率の樹脂層と相対的に低屈折率の樹
脂層とが各々交互に複数層積層されている場合を示す。
【図3】延伸処理する前の図1の反射防止フィルムの中
間体を示す。
【図4】延伸処理する前の図2の反射防止フィルムの中
間体を示す。
【図5】反射防止フィルムの反射防止層としての樹脂層
が単層である場合の、反射光と透過光との様子を示す。
【符号の説明】
1 支持基材 2 樹脂層(高屈折率) 3 樹脂層(低屈折率)
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // B29L 9:00 G02B 1/10 A (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 B29C 55/00 - 55/30

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上に形成される樹脂層よりも厚みが相対
    的に厚い、樹脂からなる支持基材の上に、屈折率が
    持基材より相対的に低い樹脂層を単層あるいは最上層が
    最も低屈折率になるように複数層積層して積層体とし、 得られた積層体を、延伸法あるいはプレス法等の機械的
    手段で変形して積層体の膜厚を減少させることにより、
    空気と積層体との界面での反射率を低減することを特徴
    とする反射防止フィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 上に形成される樹脂層よりも厚みが相対
    的に厚い、樹脂からなる支持基材の上に、最初に屈折率
    が相対的に高い樹脂層を積層し、次いで屈折率が相対的
    に低い樹脂層を積層し、交互に各々膜厚がほぼ等しくな
    るように偶数層積層して積層体とし、得られた積層体を、 延伸法あるいはプレス法等の機械的
    手段変形して積層体の膜厚を減少させることにより、
    空気と積層体との界面での反射率を低減することを特徴
    とする反射防止フィルムの製造方法。
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