JP3373909B2 - 光ファイバケーブル - Google Patents
光ファイバケーブルInfo
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Description
光ファイバケーブル、特に、光ファイバテープ心線を収
納する収納溝を有する収納部材を備えた光ファイバケー
ブルの改良に関するものである。 【0002】 【従来の技術】光通信等に用いられる光ファイバケーブ
ルの1つとして、従来から、図6に示すように、外周面
に螺旋状に設けられた収納溝12を有する収納部材14
と、この収納溝12内に積層して収納された複数枚の光
ファイバテープ心線16とを備えた光ファイバケーブル
10が知られている。 【0003】この種の光ファイバケーブルに用いられる
収納部材14の収納溝12は、一般には、図7に示すよ
うに、その横断面が矩形状に形成されていた。しかし、
この図7に示す横断面が矩形状の収納溝12に、複数枚
の光ファイバテープ心線16を積層して収納すると、収
納溝12の底面12Aと光ファイバテープ心線16とが
面接触となるため、両者の間の摩擦抵抗が大きくなる。
このため、光ファイバケーブル10に曲げを加えた場
合、収納溝12内に収納された光ファイバテープ心線1
6が自由に移動することができず、その結果、光ファイ
バテープ心線16は、曲げの内側で圧縮を、曲げの外側
で引張を受け、特に、圧縮を受ける内側においてマイク
ロベンドロスが生じるおそれがある。 【0004】このため、従来、収納溝12の底面12A
を、図8に示すように、収納溝12の内向きに凸である
湾曲面とする技術が提供されていた。この従来技術にお
いては、収納溝12の底面12Aが凸状の湾曲面である
ため、光ファイバテープ心線16と底面12Aが線接触
となり、従って、両者の摩擦抵抗が小さい。その結果、
光ファイバケーブルに曲げが加わった場合でも、光ファ
イバテープ心線が容易に移動することができ、マイクロ
ベンドロスの増加を抑えることができる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかし、横断面が矩形
状である収納溝でも、また、底面が凸状の湾曲面である
収納溝でも、光ファイバテープ心線の素線数が増え幅寸
法が広い場合において、光ファイバテープ心線の幅方向
に曲げが加わる部分では、最上層の光ファイバテープ心
線を構成する光ファイバ素線のうちの両端の光ファイバ
素線及び最下層の光ファイバテープ心線を構成する光フ
ァイバ素線のうちの両端の光ファイバ素線(以下、4隅
の光ファイバ素線という。)に生じるマイクロベンドロ
スの増加を抑えることはできないことが確認された。 【0006】すなわち、16心の光ファイバ素線(直径
180μm)を平面上に並行に配置して樹脂にて一括被
覆し、幅3mm、厚さ0.25mmの16心の光ファイ
バテープ心線を形成し、この光ファイバテープ心線を1
0枚積層して、溝幅が3.5mm、溝深さが3.6mm
である横断面が矩形状の収納溝を有する収納部材に収納
して、内部が観察することができるように透明のマイラ
ーテープを巻付けて、図4に示すように光ファイバケー
ブルに曲げを加えた場合のマイクロベンドロスの増加と
積層された光ファイバテープ心線の挙動を観察したみ
た。 【0007】その結果、光ファイバテープ心線の厚み方
向に曲げが加わる部分(図4のA点参照)では問題はな
いが、光ファイバテープ心線の幅方向に曲げが加わる部
分(図4のB点参照)では、光ファイバテープ心線の積
層体は、曲がりにくく、光ファイバテープ心線の積層体
全体が回転することにより曲げによる歪みを緩和しよう
と挙動することが判明した。 【0008】しかし、この場合、収納溝の断面が矩形状
であるため、図9に示すように、光ファイバテープ心線
16の積層体の回転許容角度(図9のθ1 参照)が小さ
く、光ファイバテープ心線16の積層体は、回転しても
収納溝の側面に当接しその回転に制限が加えられるた
め、曲げによる歪みを完全に緩和し切る程回転すること
ができない。このため、図9に示すように、最下層の光
ファイバテープ心線16Bの一端の光ファイバ素線が収
納溝の底面に押し付けられて側圧を受け、また、最上層
の光ファイバテープ心線16Aの一端の光ファイバ素線
が収納溝の側面に押し付けられて側圧を受け、それぞれ
マイクロベンドロスが増加する。同様に、1ピッチ逆側
でも、最下層の光ファイバテープ心線の他端の光ファイ
バ素線が収納溝の底面に押し付けられて側圧を受け、ま
た、最上層の光ファイバテープ心線の他端の光ファイバ
素線が収納溝の側面に押し付けられて側圧を受け、それ
ぞれマイクロベンドロスが増加し、4隅の光ファイバ素
線それぞれのマイクロベンドロスが増加する。 【0009】このように、従来の横断面が矩形状の収納
溝を有する収納部材を備えた光ファイバケーブルでは、
曲げが加わった場合に曲げによる歪みを充分に緩和する
ことができず、4隅の光ファイバ素線のマイクロベンド
ロスが増加する欠点があった。 【0010】また、上記の観察例と同様の仕様の光ファ
イバテープ心線の積層体を、溝幅が3.5mm、溝深さ
が凸面の頂点まで3.6mmである底面が凸状湾曲面の
収納溝を有する収納部材に収納して、同様に観察したと
ころ、光ファイバケーブルに曲げが加わった場合には、
図10に示すように、やはり光ファイバテープ心線16
の積層体は上記観察例と同様の挙動を示し、その結果4
隅の光ファイバ素線に側圧によるマイクロベンドロスの
増加が生じることが確認された。このような状態は、上
記観察例と同様、収納溝の側面が平面であることにより
光ファイバテープ心線の積層体の回転許容角度(図10
のθ2 参照)が小さいため、光ファイバテープ心線が充
分に回転することができないことにより生じるものであ
る。 【0011】本発明の目的は、上記の欠点を回避し、光
ファイバテープ心線に加わった曲げを充分に緩和して、
4隅の光ファイバ素線のマイクロベンドロスが増加する
のを抑制することができる光ファイバケーブルを提供す
ることにある。 【0012】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するための手段として、外周面に螺旋状に設けられ
た収納溝を有する収納部材と、この収納溝内に積層して
収納された複数枚の光ファイバテープ心線とを備えた光
ファイバケーブルにおいて、収納溝の底面及び両側面は
収納溝の内向きに凸である湾曲面を有することを特徴と
する光ファイバケーブルを提供するものである。 【0013】 【作用】このように、収納溝の底面及び両側面を収納溝
の内向きに凸である湾曲面とすると、収納溝内における
光ファイバテープ心線の積層体の回転許容角度が大きく
なるので、光ファイバテープ心線に曲げが加わった場合
に光ファイバテープ心線の積層体が収納溝内で容易に回
転して曲げ応力を緩和することができるため、4隅の光
ファイバ素線が収納溝の底面及び側面に押し付けられて
側圧を受けることがなく、従って、マイクロベンドロス
の増加を抑制することができる。 【0014】 【実施例】本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明
すると、図1は本発明の光ファイバケーブル10を示
し、この光ファイバケーブル10は、外周面に螺旋状に
設けられた収納溝12を有する収納部材14と、この収
納溝12内に積層して収納された複数枚の光ファイバテ
ープ心線16とを備えている。なお、図1において、符
号18は収納部材14の外周に巻付けられる押え巻き
を、符号20は、この押え巻き18の上に被覆されるシ
ースを示す。 【0015】光ファイバテープ心線16は、図2に示す
ように、複数の光ファイバ素線22を平面上に平行に配
置してこれらの光ファイバ素線22上に樹脂24を一括
被覆して形成されている。この光ファイバ素線の本数
は、適宜設定することができる。 【0016】収納部材14は、可撓性を有する例えば樹
脂等から形成され、また、この収納部材14に形成され
る収納溝12は、押出、切削等の適宜な手段により設け
られる。なお、図示の実施例では、4つの収納溝12が
形成されているが、伝達すべき情報量等に応じて他の適
宜な数とすることができる。 【0017】収納溝12の底面12A及び両側面12B
は、図1及び図3に示すように、収納溝12の内向きに
凸である湾曲面を有している。このため、図4に示すよ
うに、光ファイバケーブル10に曲げを加えた場合に、
光ファイバテープ心線16の幅方向に曲げが加わる部分
(図4のB点参照)においては、上述の通り光ファイバ
テープ心線16の積層体全体が回転して応力を緩和しよ
うと挙動するが、図5に示すように、この場合における
光ファイバテープ心線16の積層体の回転許容角度(図
5のθ参照)が大きくなる。 【0018】従って、光ファイバテープ心線16の積層
体は、図5に示すように、充分に回転することにより曲
げによる応力を緩和することができる。これにより、収
納溝12の一方の側面12Bに当接する最上層の光ファ
イバテープ心線16Aの一端の光ファイバ素線22A
と、収納溝12の底面12Aに当接する最下層の光ファ
イバテープ心線16Bの一端の光ファイバ素線22Bに
側圧が加わることがなく、この2本の光ファイバ素線2
2A、22Bのマイクロベンドロスの増加を抑えること
ができる。同様に、図示しない1ピッチ逆側において
は、最上層の光ファイバテープ心線16の他端の光ファ
イバ素線、また、最下層の光ファイバテープ心線の他端
の光ファイバ素線は、光ファイバテープ心線16の積層
体が充分に回転することができることにより、それぞれ
収納溝の他方の側面及び底面に押し付けられることがな
く、側圧が加わらないため、マイクロベンドロスの増加
が抑制される。 【0019】以上のように、収納溝12の底面12A及
び両側面12Bが、溝の内向きに凸である湾曲面を有し
ていると、4隅の光ファイバ素線22のマイクロベンド
ロスの増加が抑制される。これは、収納溝12の側面1
2Bを凸状とすることにより、この側面12Bの凸部の
頂点の接線にほぼ添って光ファイバテープ素線16が傾
いて回転することができるからである。従って、収納溝
12を、収納される光ファイバテープ心線16の積層体
の高さに対し、あまりに深く設定すると、接線の傾きが
大きいことによるこの効果を発揮することができなくな
るため、適当な深さとする必要がある。また、この凸部
の曲率半径があまりに小さく緩やかであると接線の傾き
が小さくなるため、光ファイバテープ心線16の積層体
が充分に傾くことができる程度の曲率半径とする必要が
ある。なお、上述のように、ピッチによって、最上層の
光ファイバテープ心線16が当接する側面が異なるた
め、片側のみでなく両側の側面12Bを共に、凸状の湾
曲面とする必要がある。 【0020】具体的には、例えば、直径180μmの光
ファイバ素線22を16本平面上に並行に配置して樹脂
にて一括被覆し、幅3mm、厚さ0.25mmの16心
の光ファイバテープ心線16を形成し、この光ファイバ
テープ心線16を10枚積層して収納溝12内に収納す
る場合、溝幅を3.5mm、溝深さを3.6mm、凸で
ある湾曲面の曲率半径を7mmと設定することができ
る。 【0021】次に、本発明の光ファイバケーブルに曲げ
を加えた場合の光ファイバテープ心線の観察例について
述べると、既述した従来技術に関する観察例と同様の仕
様の光ファイバテープ心線の積層体を、溝幅が3.5m
m、溝深さが凸状の底面の頂点まで3.6mm、また両
側面が凸面である収納溝を有する収納部材に収納して、
内部が観察することができるように透明のマイラーテー
プを巻付けて、図4に示すように光ファイバケーブル1
0をマンドレル30にあてがって曲げを加えた場合のマ
イクロベンドロスの増加と積層された光ファイバテープ
心線の挙動を観察したみた。 【0022】その結果、光ファイバテープ心線の幅方向
に曲げが加わる部分(図4のB点参照)において、光フ
ァイバテープ心線の積層体は、既に述べた従来技術に関
する観察例と比べ、充分に回転し曲げによる歪みを緩和
できることが解り、そのため、4隅の光ファイバ素線に
側圧が加わらず、マイクロベンドロスの増加も抑制され
た。このことは、本発明における光ファイバテープ心線
の積層体の回転許容角度(図5のθ)が、従来技術にお
ける光ファイバテープ心線の積層体の回転許容角度(図
のθ1 又は図 のθ2 )よりも大きいことによる。 【0023】なお、本発明にかかる収納溝12は、底面
12Aが凸である湾曲面であるため、従来技術と同様、
光ファイバテープ心線16が底面12Aと線接触とな
り、両者の摩擦抵抗が小さいため、光ファイバケーブル
10に曲げが加わった場合でも光ファイバテープ心線1
6が容易に移動することができ、マイクロベンドロスの
増加を抑制することができる。 【0024】また、本発明の光ファイバケーブル10
は、図示の実施例(図1)では、1つの収納部材14の
周囲に押え巻き18とシース20とを被覆して形成され
ているが、複数の収納部材14を図示しないテンション
メンバのまわりに撚り合わせて形成してもよい。 【0025】 【発明の効果】本発明によれば、上記のように、収納溝
の底面及び両側面を収納溝の内向きに凸である湾曲面と
しているため、収納溝内における光ファイバテープ心線
の積層体の回転許容角度が大きくなり、光ファイバケー
ブルに曲げが加わった場合でも光ファイバテープ心線の
積層体が収納溝内で容易に回転して曲げ応力を緩和する
ことができるので、4隅の光ファイバ素線が収納溝の底
面及び側面に押し付けられて側圧を受けることがなく、
従って、マイクロベンドロスの増加を抑制することがで
きる実益がある。
る。 【図2】 本発明に用いられる光ファイバテープ心線の
横断面図である。 【図3】 本発明に用いられる収納溝の拡大断面図であ
る。 【図4】 光ファイバテープ心線に曲げを加える状態を
示す側面図である。 【図5】 本発明の光ファイバケーブルに曲げが加わっ
た場合における光ファイバテープ心線の状態を示す一部
断面図である。 【図6】 一般的な光ファイバケーブルの一部破断斜視
図である。 【図7】 一の従来技術における収納溝の拡大断面図で
ある。 【図8】 他の従来技術における収納溝の拡大断面図で
ある。 【図9】 一の従来技術の光ファイバケーブルに曲げが
加わった場合における光ファイバテープ心線の状態を示
す一部断面図である。 【図10】 他の従来技術の光ファイバケーブルに曲げ
が加わった場合における光ファイバテープ心線の状態を
示す一部断面図である。 【符号の説明】 10 光ファイバケーブル 12 収納溝 12A 収納溝の底面 12B 収納溝の両側面 14 収納部材 16 光ファイバテープ心線 22 光ファイバ素線 24 樹脂
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 外周面に螺旋状に設けられた収納溝を有
する収納部材と、前記収納溝内に積層して収納された複
数枚の光ファイバテープ心線とを備えた光ファイバケー
ブルにおいて、前記収納溝の底面及び両側面は前記収納
溝の内向きに凸である湾曲面を有することを特徴とする
光ファイバケーブル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25629593A JP3373909B2 (ja) | 1993-09-21 | 1993-09-21 | 光ファイバケーブル |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25629593A JP3373909B2 (ja) | 1993-09-21 | 1993-09-21 | 光ファイバケーブル |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0792358A JPH0792358A (ja) | 1995-04-07 |
JP3373909B2 true JP3373909B2 (ja) | 2003-02-04 |
Family
ID=17290678
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25629593A Expired - Lifetime JP3373909B2 (ja) | 1993-09-21 | 1993-09-21 | 光ファイバケーブル |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3373909B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4902542B2 (ja) | 2005-09-07 | 2012-03-21 | 日本化薬株式会社 | 半導体ブリッジ、点火具、及びガス発生器 |
-
1993
- 1993-09-21 JP JP25629593A patent/JP3373909B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0792358A (ja) | 1995-04-07 |
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