JP3372020B2 - ブラックマトリックス用着色組成物、ブラックマトリックスの製造方法及び遮光性ブラックマトリックスを付した部品 - Google Patents

ブラックマトリックス用着色組成物、ブラックマトリックスの製造方法及び遮光性ブラックマトリックスを付した部品

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はカラーディスプレ
イ、液晶カラーディスプレイ或いは撮像素子等に使用さ
れるカラーフィルター等の遮光性ブラックマトリックス
を形成する為に使用される黒色乃至暗色の着色組成物、
該ブラックマトリックスの製造方法及び該遮光性ブラッ
クマトリックスを付した部品に関する。
【0002】更に詳しくは、本発明は、カラーフィルタ
ー等の基板にブラックマトリックスを形成させる為の遮
光性顔料含有着色組成物において、遮光性顔料として、
優れた着色力及び遮光性等の特性及び耐光性、耐熱性等
の優れた堅牢性を有するカーボンブラック系顔料を、電
気抵抗性や荷電性の制御等の電気的特性の改良、着色組
成物における分散性、分散安定性等の特性を更に改良す
る為に、その表面を水和無定形シリカ、無水無定形シリ
カ、硬化重合体及び媒体に対して実質的に不溶性である
重合体からなる群から選ばれた被覆材料で表面処理した
黒色乃至暗色の顔料を使用するブラックマトリックス用
着色組成物、それを使用した遮光性ブラックマトリック
スの製造方法及びその方法で製造した遮光性ブラックマ
トリックスを付した部品に関する。
【0003】従来、液晶カラーディスプレイ或いは撮像
素子等に使用されるカラーフィルターは、ガラス等の透
明基板上に赤色(以下Rと称す)、緑色(以下Gと称
す)及び青色(以下Bと称す)の3原色のモザイク状又
はストライプ状等の画素パターンを印刷又はリソグラフ
法等により形成したものであるが、R、G及びBの3色
だけでは各色の分離性や鮮明度に難点がある為に、R、
G及びBの3色にブラックマトリックスを加えて上記の
問題点を解決する試みが提案されている。
【0004】このブラックマトリックスの形成はカラー
フィルター側に上記R、G及びBの画素パターンと共に
形成させる方法と、画素パターンの開口率を上げる為に
画素パターンとは別に、例えば、TFTアレイ基盤側に
ブラックマトリックスを形成させるオン・アレイの方法
等がある。
【0005】本発明においては、これらのブラックマト
リックスを形成させる基板をカラーフィルター等の基板
と総称する。ブラックマトリックスを形成する方法とし
ては(1)クロム等の金属を蒸着する方法、(2)黒色
染料による染着方法、(3)カーボンブラックや黒色の
配合染料等を含む印刷インキを用いる印刷方法及び
(4)感光性黒色樹脂組成物を使用し、リソグラフ法に
よる方法等が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとしている課題】上記(1)の方法
は、コスト高で工程が複雑で生産性が向上しないこと
や、設備等が大型で高価になる欠点がある。(2)の方
法は、黒色に染める良い染料がなく、2色乃至3色の染
料を混合して黒色に染色する必要があり、色むらが出来
たり、充分な濃度の黒色が染色出来ず、又、高温処理を
する場合の耐熱性や耐光性等の物性に問題があり、実用
化されるには至っていない。(3)の方法の黒色顔料を
含有する印刷法及び(4)の感光性樹脂を使用するリソ
グラフ法は、黒色顔料として無処理のカーボンブラック
顔料を使用した場合には、カーボンブラック特有の導電
性の問題や高含有量の場合における光硬化が不充分にな
る等の問題があった。
【0007】又、鉄黒は磁性を有しており、着色組成物
を製造するに分散が困難であり、着色力も低く、経時安
定性に劣った。従って、上記した如き色素は優れた遮光
性、分散性、堅牢性等を要求されるブラックマトリック
ス用色素としては不十分であった。本発明は、従来のブ
ラックマトリックス形成に伴う問題点を解決し、精度が
高く遮光性に優れたブラックマトリックスを有するカラ
ーフィルター等の遮光性ブラックマトリックスを付した
部品を提供する事を目的とする。
【0008】
【課題を解決する為の手段】本発明者等はバックライト
に用いる蛍光ランプの等の光に対して遮光性を有する顔
料をブラックマトリックス用として種々検討した結果、
特定の表面処理を施した特定のカーボンブラック系顔料
が上記の問題解決に有効な手段を与えることを見出し本
発明を完成した。
【0009】即ち、本発明は、カラーフィルター等の基
板にブラックマトリックスを形成させる為の遮光性顔料
含有着色組成物において、使用される遮光性顔料が、カ
ーボンブラック系顔料を微細に分散させた水、メタノー
ル又はエタノール水溶液、もしくは含水メタノール又は
エタノール中で生成させた水和無定形シリカ又は無定形
シリカで表面処理されたカーボンブラック系顔料である
ことを特徴とするブラックマトリックス用着色組成物、
該着色組成物を使用するブラックマトリックスの製造方
法及びその結果得られるブラックマトリックスを付した
遮光性部品である。
【0010】従来、一般の印刷等に使用する印刷インキ
の黒色顔料としてはカーボンブラックが使用されてい
る。カーボンブラックは導電性を有し、又、感光性樹脂
の重合反応を禁止する性質を有し、樹脂の光硬化反応を
阻害する欠点を有している。又、カーボンブラックは紫
外部から赤外部迄一様に光を吸収し、高含有量の場合は
光硬化型のリソグラフ法に使用するには難しい場合もあ
った。
【0011】又、ソルベントブラック3等の黒色染料を
用いる場合、黒色としての濃度は充分であるものの耐熱
性が不十分であり、ポリイミド前駆体のポリアミック酸
ワニス等の耐熱性樹脂ワニス中に溶解させて使用する場
合、イミドを閉環させる焼付条件が高温である為に黒色
染料が褪色する場合もあった。又、鉄黒はマグネタイト
とも呼ばれ磁性を有している為に、顔料粒子が磁性によ
って凝集する傾向があり、着色組成物を製造する際に分
散が困難で且つ分散してもすぐ凝集する傾向にあり経時
的にも分散安定性が劣り、着色力も低く、空気酸化に対
しても安定性に劣り黒度が徐々に低下して茶色味に変わ
るという欠点を有している。
【0012】これに対して、本発明において表面を被覆
して使用されるカーボンブラック系顔料は本来、遮光性
顔料として着色力及び遮光性等の特性に優れ、又、耐光
性、耐熱性等の優れた堅牢性を有する顔料である。それ
らの顔料の表面を水和無定形シリカ、無水無定形シリ
カ、それらの混合物、硬化重合体及び媒体に対して実質
的に不溶性である重合体から選ばれた被覆材料で表面処
理することによって、カーボンブラック系顔料はカーボ
ンブラックの官能基の作用に起因する感光性樹脂ワニス
の重合阻害が改良され、顔料の導電性の性質も電気絶縁
性の方向に改良することが出来た。又、被覆により顔料
に荷電性や親媒性を付与することが出来、着色組成物の
製造や保存時においてもワニス中での分散性も良好にな
った。
【0013】カラーフィルター等の製造時には、フィル
ター基板上にITO電極を蒸着により形成させたり、ワ
ニスや配向膜の樹脂としてポリイミド前駆体のポリアミ
ック酸を使用し、後処理でイミド化反応をする場合等、
高温熱処理を必要とする場合においても、表面処理黒色
顔料は前記した様に本来耐熱性が優れており充分使用す
ることが出来る。
【0014】従来使用範囲が限られていたカーボンブラ
ック系顔料も表面処理によって特に電気的特性が改良さ
れたことで、表面処理黒色顔料はカラーフィルター等の
使用時の耐久性や耐光性にも優れている汎用性のブラッ
クマトリックス用遮光性顔料として使用することが出来
る様になった。
【0015】
【発明の実施の形態】次に好ましい発明の実施の形態に
より本発明を更に詳しく説明する。本発明のブラックマ
トリックス用着色組成物は、表面処理黒色顔料を従来公
知のブラックマトリックス用の感光性或いは非感光性樹
脂ワニス等に練肉分散させたものであり、従来公知の方
法でカラーフィルター等のガラス基板等にパターンを形
成することにより、所望のブラックマトリックスを形成
することが出来る。特に上記顔料を感光性樹脂ワニスに
分散させて感光性着色組成物とした場合には、フォトリ
ソグラフ法によりパターニングし、所望のブラックマト
リックスを形成することが出来る。
【0016】本発明の表面処理される母体のカーボンブ
ラック系顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブ
ラック6、C.I.ピグメントブラック7、C.I.ピ
グメントブラック8、C.I.ピグメントブラック9又
はC.I.ピグメントブラック10等の単独或いは混合
物があげられ、カーボンブラック系であることから高い
着色力及び隠蔽力を有し、耐熱性、耐光性、耐水性、耐
薬品性、耐溶剤性等、優れた特性を有している。
【0017】本発明においては、上記のカーボンブラッ
ク系顔料は、その表面が水和無定形シリカ、無水無定形
シリカ、それらの混合物等の無機表面処理性化合物、或
いは硬化重合体、媒体に対して実質的に不溶性である重
合体から選ばれた一種又は二種以上の被覆材料で表面処
理されている。
【0018】上記の水和無定形シリカ、無水無定形シリ
カ、それらの混合物等の無機表面処理性化合物による表
面処理は、従来公知のこれらシリカの形成方法により行
われる。例えば、上記のカーボンブラック系顔料を水中
に微細に分散させ、これに珪酸ナトリウム、珪酸カリウ
ム等の水溶液と希硫酸水溶液を同時に滴下乃至流下して
添加し、攪拌する方法、又、これら顔料を含水エタノー
ル等の溶媒中に微細に分散させ、これにテトラエチルオ
ルソシリケートやテトラメチルオルソシリケート等を添
加し、加水分解反応及び縮合反応させる方法によって得
られる。
【0019】生成した表面処理カーボンブラック系顔料
においては、カーボンブラック系顔料の表面は水和無定
形シリカ、無水無定形シリカ、それらの混合物でほぼ均
質に表面処理されている。この水和無定形シリカ、無水
無定形シリカ、それらの混合物の処理量はカーボンブラ
ック系顔料の表面が被覆される量が必要であり、カーボ
ンブラック系顔料に対しては100重量部当たり3〜3
00重量部、好ましくは5〜100重量部の割合で処理
される。顔料粒子の粒子径及び比表面積の大小により、
それに見合った量で処理することが望ましく、顔料の吸
油量を目安としてもよい。
【0020】又、硬化重合体としては従来公知の硬化樹
脂が使用され、例えば、硬化アミノ樹脂、硬化エポキシ
樹脂、硬化フェノール樹脂、硬化ウレタン樹脂、架橋不
飽和ポリエステル樹脂、架橋ポリ(メタ)アクリレート
樹脂等が挙げられる。又、カラーフィルターの製造の工
程で使用される溶媒や薬品等に実質的に不溶性であれば
非硬化性重合体でも使用出来る。これら媒体に対して実
質的に不溶性である重合体としては、例えば、ポリアミ
ド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹
脂、ポリエステルイミド系樹脂等が挙げられる。
【0021】これらの不溶性被覆を形成し得る有機表面
処理性化合物としては、硬化性樹脂の場合では従来公知
の如くそれぞれの単量体、初期縮合物等の可溶性の状態
のもので、必要に応じて適切な架橋剤、硬化剤、触媒、
重合開始剤等と共に使用される。非硬化性重合体の場合
はそれぞれ可溶性の溶媒中に溶解させて使用される。
【0022】これらの有機表面処理性化合物による表面
処理は上記のカーボンブラック系顔料を水中或いは溶剤
中に微細に分散させ、攪拌しつつ、これに上記の有機表
面処理性化合物をそれぞれ被覆形成の常法に従って、例
えば、水溶液、エマルジョン、溶剤溶液等の形で滴下乃
至流下して添加し、必要に応じて加熱し、アミン等の硬
化剤或いは酸或いはアルカリ等の硬化触媒、重合開始剤
の添加等によって表面処理が行われる。
【0023】生成した表面処理カーボンブラック系顔料
においては、カーボンブラック系顔料の表面は、生成し
た媒体に対して実質的に不溶性である重合体によりほぼ
均質に表面処理されている。この重合体の処理量も上記
と同様にカーボンブラック系顔料の表面が被覆される量
が必要であり、カーボンブラック系顔料に対しては10
0重量部当たり3〜400重量部、好ましくは5〜30
0重量部の割合で処理される。顔料粒子の粒子径、比表
面積及び顔料の吸油量を目安とすることも同様である。
【0024】又、上記の水和無定形シリカ、無水無定形
シリカ、それらの混合物の被覆及び硬化重合体、不溶性
重合体の被覆は同一のカーボンブラック系顔料に対して
多重に或いは混合して行ってもよい。
【0025】被覆した水和無定形シリカ、無水無定形シ
リカ、それらの混合物或いは硬化重合体、不溶性重合体
の量が過小であると電気絶縁性等の特性の改良が不十分
であり、過剰であると顔料の含有率が下がる為に所望の
着色度を確保する為に多量の表面処理顔料を必要とす
る。生成した表面処理カーボンブラック系顔料は処理を
行った後、可溶性の塩類や水可溶分を除く為に充分に水
洗し、乾燥後使用される。
【0026】前記表面処理カーボンブラック系顔料を分
散させてブラックマトリックス用着色組成物とする為の
ワニスとしては、従来公知のブラックマトリックス用着
色組成物とする為のワニスが用いられる。感光性の樹脂
ワニスとして、例えば、紫外線硬化型インキ、電子線硬
化型インキ等に用いられる感光性樹脂ワニスであり、非
感光性の樹脂ワニスとしては凸版インキ、平版インキ、
凹版グラビヤインキ、孔版スクリーンインキ等の印刷イ
ンキに使用するワニス、電着塗装に使用するワニス、電
子印刷や静電印刷の現像剤に使用するワニス、熱転写リ
ボンに使用するワニス等のいずれもが使用出来る。
【0027】本発明の着色組成物が感光性である場合に
は、ワニスとして感光性樹脂ワニスを用いる。感光性樹
脂ワニスの例としては、レジストとして使用される感光
性環化ゴム系樹脂、感光性フェノール系樹脂、感光性ポ
リメチルメタクリレート系樹脂、感光性ポリメチルイソ
プロペニルケトン系樹脂、感光性ポリアミド系樹脂、感
光性ポリイミド系樹脂等のワニスが挙げられる。
【0028】又、一般的な光硬化型樹脂ワニスとして、
不飽和ポリエステル系樹脂、ポリエステルアクリレート
系樹脂、ポリエポキシアクリレート系樹脂、ポリウレタ
ンアクリレート系樹脂、ポリエーテルアクリレート系樹
脂、ポリオールアクリレート系樹脂等に反応性希釈剤と
してモノマーが加えられたワニスが挙げられる。前記の
表面処理カーボンブラック系顔料と上記のワニスにベン
ゾインエーテル、ベンゾフェノン等の光重合開始剤を加
え、従来公知の方法により練肉することにより、本発明
のコーティング剤タイプの感光性着色組成物とすること
が出来る。
【0029】又、上記の光重合開始剤に代えて熱重合開
始剤を使用して熱重合性着色組成物とすることが出来
る。上記表面処理カーボンブラック系顔料に対するバイ
ンダーの添加重量割合は、処理顔料100重量部に対
し、バインダー5〜500重量部、好ましくは10〜3
00重量部の範囲である。
【0030】上記の感光性樹脂コーティング剤を用いて
ブラックマトリックスを形成する場合には、該コーティ
ング剤をスピンコート、ロールコート等のコーティング
方式により透明基板上に均一に塗布し、予備乾燥後フォ
トマスクを密着させ、超高圧水銀灯を使用し露光を行
う。次いで現像及び洗浄を行い、必要に応じポストベー
クを行うことによりブラックマトリックスを形成するこ
とが出来る。
【0031】非感光性の樹脂コーティング剤のバインダ
ーの例としては、セルロースアセテートブチレート系樹
脂、ニトロセルロース系樹脂、スチレン系(共)重合
体、ポリビニルブチラート系樹脂、アミノアルキッド系
樹脂、ポリエステル系樹脂、アミノ樹脂変性ポリエステ
ル樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリルポリオールウレ
タン系樹脂、可溶性ポリアミド系樹脂、可溶性ポリイミ
ド系樹脂等、カゼイン、ヒドロキシエチルセルロース、
スチレン−マレイン酸エステル系共重合体の水溶性塩、
(メタ)アクリルエステル系(共)重合体の水溶性塩、
水溶性アミノアルキッド系樹脂、水溶性アミノ樹脂変性
ポリエステル樹脂、水溶性ポリアミド系樹脂等が挙げら
れ、単独或いは組み合わせて使用される。
【0032】前記表面処理カーボンブラック系顔料と上
記のバインダーを従来公知の方法により、混合及び分散
練肉することにより本発明の着色組成物が得られる。
又、上記着色組成物を用いてブラックマトリックスを形
成する印刷方法としては、凸版印刷、平版印刷、凹版印
刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、電着塗装、電子印
刷、静電印刷、熱転写等が挙げられる。
【0033】上記の如くして形成されたブラックマトリ
ックスは、同様にしてカソードレイチューブを用いたカ
ラーディスプレイ、発光ダイオードを用いたカラーディ
スプレイ等のカラーディスプレイの色の滲み或いは色の
重なり合いを避ける手段としても使用され、鮮明でくっ
きりとした画像を生じるカラーディスプレイを提供する
ことが出来る。
【0034】上記の表面処理カーボンブラック系顔料含
有着色組成物に、例えば、塗布膜の黒色度を上げてオプ
ティカルデンシティを大きくする等の為に、更に従来公
知の顔料を添加することも好ましいことである。使用さ
れる顔料としては堅牢性に優れ、電気的物性に優れ、着
色力が高く且つ黒色乃至黒色に調色し易い色相の顔料が
好ましい。例えば、黒色顔料として特公平4−1526
5号公報に記載のアゾメチンアゾ系黒色顔料、C.I.
ピグメントブラック31、32、青色顔料としてC.
I.ピグメントブルー15、22、紫色顔料としてC.
I.ピグメントバイオレット23、33、茶色顔料とし
てC.I.ピグメントブラウン28、ボルドー色顔料と
して特公昭56−2102号公報に記載のアゾメチンア
ゾ系ボルドー色顔料等が挙げられる。又、二種以上の金
属の酸化物からなる複合酸化物顔料、例えば、C.I.
ピグメントブラック26、28等が挙げられる。これら
の各種の顔料は上記と同様な表面処理をして、あるいは
せずにそのままで上記の表面処理カーボンブラック系顔
料と組み合わせて使用される。
【0035】本発明のカラーフィルター及びその製造方
法は、上記の表面処理カーボンブラック系顔料含有着色
組成物を上記の如くブラックマトリックスの形成に使用
することを特徴としたものであり、その他、カラーフィ
ルターのR、G及びB画素を形成する為の着色組成物及
び形成方法は、従来公知のものでよく、使用する顔料の
好ましい例としては、例えば、C.I.ピグメントレッ
ド122、123、149、177、179、190、
194、207、209等、C.I.ピグメントイエロ
ー24、108、109、110、166等、C.I.
ピグメントグリーン7、36、37等、C.I.ピグメ
ントブルー15、60、66等が挙げられる。又、カラ
ーフィルターの画素はR、G及びBの三原色の組合せに
限られず、藍色、紅色及び黄色の三原色の組合せ等の他
の組合せも勿論可能である。
【0036】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説
明する。尚、文中、部又は%とあるのは特に断りのない
限り重量基準である。 合成例1(シリカ表面処理) カーボンブラック顔料(C.I.ピグメントブラック
7)500部を50部のアニオン性分散剤を含む10%
メタノール水溶液1,000部を加えて湿潤させ、更に
4,000部の水を加え、スチールボールを充填したア
トライターで均一で粘稠なスラリーになるまで充分に分
散させる。得られたスラリーを網を通してスチールボー
ルと分離し、水で希釈して10,000容量部とした。
【0037】別に珪酸ナトリウム水溶液(無水珪酸とし
て30%)334部を水で希釈して2,000容量部と
した。又、2.50%硫酸水溶液2,000部を準備し
た。上記の顔料分散液を90℃に加熱し、希水酸化ナト
リウム水溶液の添加によりpHを10.0に調整した。
そこへ上記で調製した希釈珪酸ナトリウム水溶液及び希
硫酸水溶液を同時に滴下した。滴下量は反応液がアルカ
リ性を保つ様に制御して添加した。上記の両液の添加終
了後、更に2時間攪拌を続け、希硫酸を加えpHを6.
5〜7.0に調整する。次いでスラリーを濾過し、可溶
性塩がなくなるまで洗浄し、乾燥し、表面処理カーボン
ブラック顔料600部を得た。表面処理量は顔料に対し
ておよそ20%である。上記で得られた表面処理カーボ
ンブラック顔料(BK−1)はブローオフ法による摩擦
帯電量を測定したところマイナスの値を示し、又、電気
絶縁性の向上が認められた。
【0038】合成例2(メラミン樹脂表面処理) メチル化メチロールメラミンの70%水溶液50部を水
50部で希釈溶解し、その溶液にグリシン2.5部、7
%塩酸水溶液1.4部及び水10部を加えて50〜55
℃で反応させ、初期縮合物が冷水中に析出するまで重縮
合をさせた後、20%水酸化ナトリウム水溶液7.6部
及び水3.5部を加えて中和し、反応を終了させた。こ
の溶液は約30%の固形分を有し、水で希釈しても透明
な溶解状態を保った。この樹脂溶液200部に水を加え
て600部にし、顔料処理用のメチロールメラミン系初
期縮合物樹脂溶液とした。
【0039】別に、カーボンブラック顔料(C.I.ピ
グメントブラック7)100部に10部のアニオン性分
散剤を含む10%メタノール水溶液200部を加えて湿
潤させ、更に1700部の水を加え十分に解膠分散し
た。次いで反応容器に仕込み、酢酸水溶液でpHを4.
5〜5にし、80〜90℃で上記樹脂溶液600部を4
時間を要して滴下した。更に、酢酸水溶液でpHを4.
5〜5にして3時間攪拌をつづけ皮膜を硬化させた。そ
の後、濾過、水洗、乾燥して表面処理をしたカーボンブ
ラック顔料130部を得た。表面処理量は顔料に対して
およそ30%である。上記で得られた表面処理カーボン
ブラック顔料(BK−2)はブローオフ法による摩擦帯
電量を測定したところプラスの値を示し、又、電気絶縁
性の向上が認められた。
【0040】合成例3(エポキシ樹脂表面処理) ビスフェノールAのジグリシジルエーテルを主成分とす
る液状エポキシ樹脂をアスパラギン酸のナトリウム塩と
反応させた10%水溶液を300部準備し、顔料処理用
の水性エポキシ樹脂溶液とした。別に、カーボンブラッ
ク顔料(C.I.ピグメントブラック7)100部に1
0部のアニオン性分散剤を含む10%メタノール水溶液
200部を加えて湿潤させ、更に1,700部の水を加
え十分に解膠分散した。次いで反応容器に仕込み、上記
樹脂溶液300部を常温で2時間を要して滴下した。更
に、50℃に昇温し、2%ヘキサメチレンジアミン水溶
液を1時間を要して滴下し、60℃にて3時間攪拌を続
けて皮膜を硬化させた。その後、濾過、水洗、乾燥して
表面処理をしたカーボンブラック顔料130部を得た。
表面処理量は顔料に対しておよそ30%である。上記で
得られた表面処理カーボンブラック顔料(BK−3)は
ブローオフ法による摩擦帯電量を測定したところプラス
の値を示し、又、電気絶縁性の向上が認められた。
【0041】合成例4(熱重合性ポリイミド樹脂処理) カーボンブラック顔料(C.I.ピグメントブラック
7)100部に、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳
香族ジアミンとからなる全芳香族ポリイミドを骨格とす
る熱重合性ポリイミド樹脂ワニス(溶剤:N−メチルピ
ロリドン、固形分:10%)100部及びN−メチルピ
ロリドン320部を加え、解膠し、充分に分散した。次
いで分散液を取り出し、更にN−メチルピロリドン13
0部を加えて残存の分散液を取り出した。同量のN−メ
チルピロリドンで希釈し、100倍量のキシロールを攪
拌し、その中に徐々に滴下して被覆処理顔料を析出させ
た。析出物を濾別し、メタノールで洗浄し、水洗し、加
熱乾燥した。表面処理をしたカーボンブラック顔料96
部を得た。表面処理量は顔料に対しておよそ10%であ
る。上記で得られた表面処理カーボンブラック顔料(B
K−4)は電気絶縁性の大幅な向上が認められた。
【0042】合成例5(非架橋性ポリイミド樹脂処理) 芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとか
らなる非架橋性全芳香族ポリイミドワニス(溶剤:N−
ビニルピロリドン、固形分:10%)を準備した。この
非架橋性全芳香族ポリイミドの乾燥皮膜は以下の実施例
1、3及び5に使用した溶剤には実質的に不溶性であ
る。カーボンブラック顔料(C.I.ピグメントブラッ
ク7)100部に、上記の非架橋性全芳香族ポリイミド
ワニス100部及びN−ビニルピロリドン320部を加
え、解膠し、充分に分散した。次いで分散液を取り出
し、更にN−ビニルピロリドン130部を加えて残存の
分散液を取り出した。同量のN−ビニルピロリドンで希
釈し、100倍量のキシロールを攪拌し、その中に徐々
に滴下して被覆処理顔料を析出させた。析出物を濾別
し、メタノールで洗浄し、水洗、乾燥した。表面処理を
したカーボンブラック顔料98部を得た。表面処理量は
顔料に対しておよそ10%である。上記で得られた表面
処理カーボンブラック顔料(BK−5)は電気絶縁性の
大幅な向上が認められた。
【0043】実施例1 合成例1にて得られた表面処理カーボンブラック顔料B
K−1、赤色顔料R、緑色顔料G及び青色顔料Bの顔料
を分散機を用いてポリウレタンアクリレート樹脂を主体
とする感光性樹脂ワニス中に分散させ、UV硬化型のイ
ンキを調製した。配合は下記表1の処方にて行った。
【0044】
【表1】
【0045】液晶ディスプレー用のブラックマトリック
スとしての性能を調べる為に、上記黒色インキをロール
コーターを用いて、シランカップリング剤で表面処理を
行ったガラス基板上に乾燥前3μmの厚さで全面に塗布
し、60℃で5分間予備乾燥を行った。次いで超高圧水
銀灯250Wを用い、400mJ/cm2の光量で全面
に露光を行った。塗膜の光学密度は2.6であった。表
面抵抗も高く十分な電気絶縁性を示し、遮光性も高く、
ブラックマトリックスとして優れた性能を有することが
示された。
【0046】次いで、ブラックマトリックスを有するカ
ラーフィルターを作製した。上記黒色インキをロールコ
ーターを用いて、シランカップリング剤で表面処理を行
ったガラス基板上に乾燥前3μmの厚さで塗布した。次
いで60℃で5分間予備乾燥を行った。その後、格子状
のパターンを有するフォトマスクを密着させ、超高圧水
銀灯250Wを用い、400mJ/cm2の光量で露光
を行ない不溶化させた。次いでイソプロピルアルコール
/トルエン/酢酸エチルを主成分とする現像剤で未露光
部を洗い流し、イソプロピルアルコールでリンス後、乾
燥空気で乾燥させ、線巾50μmの格子状のブラックマ
トリックスを得た。
【0047】上記で得た格子状のブラックマトリックス
を有するガラス基板上に青色、緑色及び赤色のインキ及
びB、G及びR各々のフォトマスクを用いて同様な操作
を3回繰り返し、モザイク状のR、G及びBパターンを
有するカラーフィルターを得た。
【0048】上記で得られたカラーフィルターは、R、
G及びB各色がブラックマトリックスによって分離され
ており、色の純度、コントラストが高く、輝度に優れた
鮮明な画像を形成することが出来る。
【0049】実施 実施例1と同様にして表面処理黒色複合酸化物顔料、表
面処理カーボンブラック顔料BK−、赤色顔料R、緑
色顔料G及び青色顔料Bの顔料をポリウレタンアクリレ
ート樹脂を主体とする感光性樹脂ワニス中に分散させ、
UV硬化型のインキを調製した。配合は下記表の処方
にて行った。
【0050】
【表2】
【0051】上記に於て表面処理黒色複合酸化物顔料は
以下のようにして黒色複合酸化物顔料をシリカ表面処理
したものである。合成例1と同様にして、銅、鉄及びマ
ンガン系複合酸化物よりなるC.I.ピグメントブラッ
ク26を500部をアニオン性分散剤を含むメタノール
水溶液を加えて湿潤させ、更に水を加え、スチールボー
ルを充填したアトライターで均一で粘稠なスラリーにな
るまで充分に分散させる。得られたスラリーを網を通し
てスチールボールと分離し、水で希釈して10,000
容量部とした。別に珪酸ナトリウム水溶液167部を水
で希釈して1000容量部とし、又、硫酸水溶液100
0部を準備した。顔料分散液を90℃に加熱し、pHを
10.0に調整した。そこへ上記の希釈珪酸ナトリウム
水溶液及び希硫酸水溶液を滴下して添加した。添加終了
後1時間攪拌を続け、pHを6.5〜7.0に調整す
る。次いでスラリーをろ過し、洗浄、乾燥し、表面処理
黒色複合酸化物顔料550部を得た。表面処理量は顔料
に対しておよそ10%である。
【0052】ブラックマトリックスとしての性能を調べ
る為に、上記黒色インキを実施例1と同様にしてシラン
カップリング剤処理を行ったガラス板上にロールコータ
ーを用いて全面に塗布し、プリベーク後、超高圧水銀灯
を用いて全面露光し不溶化させた。塗膜の光学密度は
2.8であった。表面抵抗も高く十分な電気絶縁性を示
し、遮光性も高く、ブラックマトリックスとして優れた
性能を有することが示された。
【0053】次いで、実施例1と同様にしてブラックマ
トリックスを有するカラーフィルターを作製した。上記
黒色インキをロールコーターを用いて、シランカップリ
ング剤で表面処理を行ったガラス基板上に塗布し、予備
乾燥を行った。次いで、格子状のパターンを有するフォ
トマスクを密着させ、超高圧水銀灯を用いて露光を行な
い不溶化させた。現像剤で未露光部を洗い流し、リンス
後、乾燥させ、線巾50μmの格子状のブラックマトリ
ックスを得た。次いで、青色、緑色及び赤色のインキ及
びB、G及びR各々のフォトマスクを用いて同様な操作
を3回繰り返し、モザイク状のR、G及びBパターンを
有するカラーフィルターを得た。
【0054】上記で得られたカラーフィルターは、R、
G及びB各色がブラックマトリックスによって分離され
ており、色の純度、コントラストが高く、輝度に優れた
鮮明な画像を形成することが出来る
【0055】実施 表面処理カーボンブラック顔料BK−1、C.I.ピグ
メントブルー15(BL−1)及びC.I.ピグメント
バイオレット23(V−1)、及び赤色顔料R、緑色顔
料G、青色顔料Bの顔料を、下記表の処方にて配合
し、分散させ、オフセット平版印刷の黒、赤、緑及び青
のインキを調製した。
【0056】
【表3】
【0057】ブラックマトリックスとしての性能を調べ
る為に上記の黒色インキをオフセット印刷機を用いてベ
タ印刷した。塗膜の光学密度は2.7であった。表面抵
抗も高く十分な電気絶縁性を示し、遮光性も高く、ブラ
ックマトリックスとして優れた性能を有することが示さ
れた。次いで、ブラックマトリックスを有するカラーフ
ィルターを作製した。4色オフセット印刷機を用い、線
幅200μmのストライプ状のR、G及びBの画素パタ
ーンを形成した。又、黒色インキはR、G及びBの各々
のストライプの上下及び左右を埋めつくす形で印刷し、
R、G及びBのを黒のマトリックス完全に分離させた。
【0058】上記で得られたカラーフィルターは、R、
G及びB各色がブラックマトリックスによって分離され
ており、色の純度、コントラストが高く、輝度に優れた
鮮明な画像を形成することが出来る
【0059】
【効果】上記本発明によれば、遮光性顔料として優れた
堅牢性、隠蔽力及び優れた着色力を併せ有するカーボン
ブラック系顔料の表面を、水和無定形シリカ、無水無定
形シリカ、それらの混合物から選ばれた被覆材料で処理
している表面処理黒色顔料を含有する着色組成物は更に
分散液としても分散安定性にも優れており、この表面処
理黒色顔料含有着色組成物をカラーフィルター等のブラ
ックマトリックスの形成に使用することにより、従来方
法に比べより容易に且つ安価に、遮光性、電気絶縁性に
優れ、耐熱性、耐溶剤性や耐光性等の堅牢性に優れたブ
ラックマトリックスが提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C09D 7/12 C09D 7/12 Z G02B 5/20 101 G02B 5/20 101 G02F 1/1335 G02F 1/1335 (72)発明者 坂本 茂 東京都中央区日本橋馬喰町一丁目7番6 号 大日精化工業株式会社内 (72)発明者 山崎 三雄 東京都中央区日本橋馬喰町一丁目7番6 号 大日精化工業株式会社内 (72)発明者 安斉 俊明 東京都中央区日本橋馬喰町一丁目7番6 号 大日精化工業株式会社内 (72)発明者 中島 啓二 東京都中央区日本橋馬喰町一丁目7番6 号 大日精化工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平8−259838(JP,A) 特開 平9−95625(JP,A) 特開 平9−20869(JP,A) 特開 平10−260310(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 5/00 G02B 5/20 - 5/28 C09C 1/00 - 3/12 C09D 15/00 - 17/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カラーフィルター等の基板にブラックマ
    トリックスを形成させる為の遮光性顔料含有着色組成物
    において、使用される遮光性顔料が、カーボンブラック
    系顔料を微細に分散させた水、メタノール又はエタノー
    ル水溶液、もしくは含水メタノール又はエタノール中で
    生成させた水和無定形シリカ又は無定形シリカで表面処
    理されたカーボンブラック系顔料であることを特徴とす
    るブラックマトリックス用着色組成物。
  2. 【請求項2】 カーボンブラック系顔料が、C.I.ピ
    グメントブラック6、C.I.ピグメントブラック7、
    C.I.ピグメントブラック8、C.I.ピグメントブ
    ラック9及びC.I.ピグメントブラック10からなる
    群から選ばれたカーボンブラック系顔料の単独或いは混
    合物である請求項1に記載のブラックマトリックス用着
    色組成物。
  3. 【請求項3】 カラーフィルター等の基板上に遮光性顔
    料含有着色組成物によりブラックマトリックスを形成す
    る製造方法において、使用される遮光性顔料が、カーボ
    ンブラック系顔料を微細に分散させた水、メタノール又
    はエタノール水溶液、もしくは含水メタノール又はエタ
    ノール中で生成させた水和無定形シリカ又は無定形シリ
    カで表面処理された中で生成させた水和無定形シリカ又
    は無定形シリカで表面処理されたカーボンブラック系顔
    料であることを特徴とするブラックマトリックスの製造
    方法。
  4. 【請求項4】 カラーフィルター等の基板上に遮光性顔
    料含有着色組成物により形成された遮光性ブラックマト
    リックスを付した部品において、使用される遮光性顔料
    、カーボンブラック系顔料を微細に分散させた水、メ
    タノール又はエタノール水溶液、もしくは含水メタノー
    ル又はエタノール中で生成させた水和無定形シリカ又は
    無定形シリカで表面処理された中で生成させた水和無定
    形シリカ又は無定形シリカで表面処理されたカーボンブ
    ラック系顔料であることを特徴とする遮光性ブラックマ
    トリックスを付した部品。
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