JP3368956B2 - 樹脂組成物 - Google Patents

樹脂組成物

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、YAGレーザーマーキ
ング性に優れた半導体封止樹脂組成物に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、プラスチック封止された半導体デ
バイスは、熱硬化性もしくはUV硬化タイプの特殊なイ
ンクでマークされていたが、マーキングやその硬化に時
間がかかり、更にインクの取扱いも容易でないため、最
近はレーザーマークを採用する電子部品メーカーが増加
している。YAG、またはCO2のレーザー光の短時間
照射によるエポキシ樹脂成形品表面への印字は、インク
によるマーキングよりも作業性に優れ、しかも短時間で
終わる方法であるために、電子部品メーカーにとっては
メリットが多い方法である。しかし、従来の封止樹脂組
成物を用いて封止した半導体デバイスの封止成形品表面
にレーザーマーキングした場合、マーキングした部分と
マーキングしていない部分とのコントラストが不鮮明で
あり、しかも印字が黄色であるために、印字の読みとり
が困難である。CO2レーザーマークに関しては、既に
効果的な着色剤が開発され、鮮明な印字が得られる半導
体封止用樹脂組成物が上市されているが、YAGレーザ
ーマークに関しては、YAGレーザーマーク性に効果的
なカーボンブラックが種々研究されている。例えば、特
開平2−127449号公報によると、「カーボン含有
量が99.5重量%以上、水素含有量が0.3重量%以
下であるカーボンブラック」が同目的に効果的であると
されている。しかし、カーボンブラックが揮散した後の
マーキングコントラストが未だ充分でなく、鮮明な印字
は得られておらず、優れたレーザーマーク性を有する半
導体封止用樹脂組成物が要求されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、レーザー
マーキング性のメカニズムの検討を行い、更に封止樹脂
組成物の個々の原料にまで遡り、鋭意検討を行った結
果、平均粒径が50nm以上であるカーボンブラック
と、青色系着色剤を併用することによって、YAGレー
ザーマークのコントラスト向上に絶大な効果があること
を見いだし本発明に至ったものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、(A)
エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)無機充填材、
(D)硬化促進剤及び(E)平均粒径が50nm以上で
あるカーボンブラックと(F)シアニンブルー、紺青、
群青、インダンスレンブルー、コバルトブルーから選ば
れる少なくともひとつ以上の青色系着色剤を必須成分と
する樹脂組成物において、全組成物100重量%中に、
平均粒径が50nm以上であるカーボンブラックを0.
2〜1.0重量%、上記青色系着色剤を0.005〜
0.3重量%含む半導体封止用エポキシ樹脂組成物であ
り、この硬化物は優れたレーザーマーキング性を示し、
鮮明なマーキングを得ることできる。
【0005】以下に各組成物について説明する。本発明
に用いるエポキシ樹脂は、分子中に2個以上のエポキシ
基を有するものならば特に限定するものではないが、例
えばオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フエ
ノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エ
ポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリフェノー
ルメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹
脂、ビフェニル型二官能エポキシ化合物及びこれらの変
性樹脂があげられる。樹脂組成物の耐湿性向上のために
は、不純物としてのClイオン、Naイオン等の不純物
イオンが極力少ないことが望ましく、又、硬化性の点か
らエポキシ当量としては150〜300g/eqが望ま
しい。硬化剤は、分子中にフェノール性水酸基を有する
ものならば、特に限定するものではないが、例えばフェ
ノールノボラック樹脂、パラキシリレン変性フェノール
樹脂、トリフェノールメタン樹脂及びそれらの変性樹脂
が挙げられ。硬化性の点から、水酸基当量は80〜25
0g/eqが望ましい。無機充填材として、溶融シリカ
粉末、球状シリカ粉末、結晶シリカ粉末、アルミナ等を
使用することができるが、特に溶融シリカ粉末と球状シ
リカ粉末の混合物が望ましい。また、良好なレーザーマ
ーク性を得るため、樹脂組成物中の無機充填材の配合量
を増やすことが望ましいが、この配合量については流動
性低下による成形性不良が懸念されるために要求特性に
合わせ適宜選択、調整して用いられる。硬化促進剤は、
エポキシ基と水酸基の反応を促進するもので有れば良
く、一般に封止樹脂に使用されているのものを利用する
ことができる。例えば、1,8−ジアザビシクロウンデ
セン、トリフェニルホスフィン、ベンジルジメチルアミ
ン、2−メチルイミダゾール等があり、単独でも混合し
て用いてもよい。
【0006】本発明に用いるカーボンブラック及び青色
系着色剤は、樹脂成形品のレーザーマーク性向上の鍵で
あり、重要な技術上のポイントである。先ず、YAGレ
ーザーマークのメカニズムを簡単に説明する。YAG
(イットリウム、アルミニウム、ガリウム)レーザーの
波長は、1.06μmであり、1.06μmの波長の光
の吸収帯を有する有機化合物は、YAGレーザーの照射
を受けるとレーザーエネルギーが熱に変換し、発熱→燃
焼→蒸発のプロセスを経て表面が焼け飛んだ状態とな
る。カーボンブラックは1.06μmの吸収帯を有する
が、エポキシ樹脂/硬化剤/シリカフィラー/その他に
は吸収帯はなく、YAGレーザーの照射によりカーボン
ブラックのみが燃焼/蒸発し、後にはカーボンブラック
の抜けた樹脂組成物が露出し、露出した面の色が白っぽ
いために、白い印字が得られる。即ち、YAGレーザー
のエネルギーを吸収し、速やかに燃焼/蒸発するカーボ
ンブラックの開発が必要である
【0007】本発明における技術上の第一のポイント
は、特殊なカーボンブラックが挙げられる。本発明に用
いられるカーボンブラックは、その平均粒径が50nm
以上である必要がある。粒径が50nm未満だと、マー
キングした部分とマーキングしない部分とのコントラス
トが不充分で、不鮮明なマーキングしか得られない。特
に印字そのものが黒っぽく、カーボンブラックがYAG
レーザーの照射によっても充分に燃焼/蒸発していない
ことが確認された。そこで平均粒径50nm以上のカー
ボンブラックを用いることによって、印字そのものの黒
っぽさはなくなり、マーキングコントラストを大幅に向
上することができた。カーボンブラックの粒径が大きく
なることにより、カーボンブラックが燃焼/蒸発され易
くなったと推測される。
【0008】又、平均粒径が150nmより大きくなる
と、YAGレーザーマーク性は問題ないが、できた成形
品自体の着色度が低く、多少カーボンブラックの含有量
を増量しても灰色っぽい黒の成形品となり、実用上問題
があるので、望ましくは平均粒径150nm以下のカー
ボンブラックを用いることが好ましい。更に、本発明に
用いるカーボンブラックは、全組成物100重量%中
に、0.2〜1.0重量%含むことを必要とする。従来
の小粒径のカーボンブラックの場合、0.15〜0.3
重量部程度で充分黒い成形品が得られたが、本発明に用
いるカーボンブラックでは、やや多めに配合する必要が
ある。カーボンの粒径が大きくなることにより、着色力
は低下し、成形品の色が本来黒であるところが、灰色っ
ぽいとなるからである。0.2重量%以上配合しない
と、レーザーマークのコントラスト自体が低下する。そ
して1重量%を越えると、レーザー光の照射によっても
カーボンブラックが充分除去されず、印字が黒くなり、
本発明の効果が低下する。用いるカーボンブラックは、
上記の特性を有するものなら特に限定されるものではな
いが、樹脂組成物中に均一に分散されるためには紛体で
あることが望ましい。又、これら粒子は造粒されたもの
であっても容易にほぐれる形状のものであれば特に問題
はない。
【0009】更に本発明の第二の技術上のポイントとし
て、青色系着色剤を併用することである。白い印字を得
るためには、カーボンブラックを除去した時の樹脂組成
物成形品の表面が白色である必要があるが、従来の成形
品は、ポストキュア後にはこの部分が黄色に酸化着色す
る。そのために印字のコントラストを向上させるには、
カーボンブラックのみの改良で対応できるが、反面印字
そのものが黄色になり、白い美しい印字は得られない。
そこで、カーボンブラックを除去した後の樹脂組成物成
形品の色を白くすることが必要である。成形品の色を白
くするためには、チタンホワイト等の白色着色剤を添加
することが考えられる。しかし、チタンホワイト等の白
色着色剤について検討したところ、着色のカーボンブラ
ックを含有しない封止樹脂を用いた成形品の色は成形直
後こそ白いが、ポストキュア後にはチタンホワイトの添
加時と同様に黄色に着色し、また、カーボンブラックを
配合した時の樹脂組成物のYAGレーザーマーク性も良
くなかった。
【0010】これらの問題に対して、鋭意検討の結果、
青色着色剤を少量配合することにより、カーボンレス時
の成形品の色が白くなり、しかもカーボンブラックを含
有したときの成形品においてもYAGレーザーマーク部
が白くなりコントラストが向上することを見いだした。
黄色っぽいものを白色化する手法として、青色着色剤を
少量添加することを、ブルーイングというが、この技術
及び前述の大粒径のカーボンブラックを組み合わせるこ
とによって、従来にない優れたYAGレーザーマーキン
グ性を有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物を見いだ
した。本発明に用いられる青色着色剤は、エポキシ樹脂
を青く着色する性能を有するものなら特に限定するもの
ではないが、樹脂組成物中に均一に分散させるために粉
状であることが望ましい。代表的なものとしては、シア
ブルー、紺青、群青、インダンスレンブルー、コバ
ルトブルー等が挙げられるが、これに限定されるもので
はない。更にイオン性不純物等が極力少ないことが好ま
しい。更に本発明に用いられる青色着色剤は、全組成物
100重量%中に、0.005〜0.3重量%配合する
ことが好ましい。0.005重量%未満ではブルーイン
グの効果が十分でないために、レーザーマークの白色化
が充分ではなく、印字は黄色となる。また、0.3重量
%を越えると印字が青色となり、これもまた白色の印字
を得られない。
【0011】本発明のエポキシ樹脂組成物はエポキシ樹
脂、硬化剤、無機充填材、硬化促進剤及びカーボンブラ
ックと青色系着色剤を必須成分とするが、これ以外に必
要に応じてシランカップリング剤、ブロム化エポキシ樹
脂、三酸化アンチモン、ヘキサブロムベンゼン等の難燃
剤、天然ワックス及び合成ワックス等の離型剤等の種々
の添加剤を適宜配合しても差し支えない。また、本発明
の封止用エポキシ樹脂組成物を成形材料として、製造す
るには、エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填材、硬化促進
剤及びカーボンブラックと青色系着色剤、その他の添加
剤をミキサー等によって充分に均一に混合した後、更に
熱ロールまたはニーダー等で溶融混練し、冷却後粉砕し
て封止材料とすることができる。
【0012】実施例 以下本発明を実施例にて具体的に説明する。 実施例1 下記組成物 オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂(軟化点65℃、エポキシ当量20 0) 18重量部 フエノールノボラック樹脂硬化剤(軟化点100℃、水酸基当量100) 9重量部 溶融シリカ粉末 70重量部 トリフェニルホスフィン 0.3重量部 カルナバワックス 0.3重量部 シリコーンオイル 2.4重量部 カーボンブラックA(平均粒径60nm) 0.35重量部 シアニブルー 0.006重量部 を、ミキサーにて常温混合し、70〜100℃で二軸ロ
ールにて混練し、冷却後粉砕し成形材料とした。得られ
た成形材料をタブレット化し、低圧トランスファー成形
機にて175℃、70kg/mm2、120秒の条件で
梨地表面ののDIPを成形した。更にポストモールドキ
ュアとして175℃で、8時間の処理を行い、YAGレ
ーザー評価用成形品を作成した。得られた成形品につい
て、以下の条件でYAGレーザーマーク試験を行った。
【0013】YAGレーザーマーク条件:レーザーマー
カー:NEC製、パルスタイプ 波長 :1.06μm レーザーパワー :2.0kV パルス幅 :120μsec YAGレーザーマーク評価法:目視により印字のコント
ラストと白さを確認。評価結果を表1に示す。 実施例2〜4 表1の処方に従って配合し、実施例1と同様にして成形
材料を得、同様に評価した。評価結果を表1に示す。 比較例1〜6 表2の処方に従って配合し、実施例1と同様にして成形
材料を得、同様に評価した。評価結果を表2に示す。
【0014】
【表1】
【0015】
【表2】
【0016】
【発明の効果】本発明に従うと、従来技術では得れらな
かったYAGレーザーマークした印字が白く、更にコン
トラストも明瞭である良好なYAGレーザーマーク性を
有する樹脂組成物が得られる。本樹脂組成物を電気、電
子部品の封止用に用いた場合、YAGレーザーマークに
よる良好な印字が高速で得られるので、工程短縮、経費
の節減に大きな効果がある。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、
    (C)無機充填材、(D)硬化促進剤及び(E)平均粒
    径が50nm以上であるカーボンブラックと(F)シア
    ニンブルー、紺青、群青、インダンスレンブルー、コバ
    ルトブルーから選ばれる少なくともひとつ以上の青色系
    着色剤を必須成分とする樹脂組成物において、全組成物
    100重量%中に、平均粒径が50nm以上であるカー
    ボンブラックを0.2〜1.0重量%、上記青色系着色
    剤を0.005〜0.3重量%含むことを特徴とする半
    導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 カーボンブラックの平均粒径が150
    m以下である請求項1記載の半導体封止用エポキシ樹脂
    組成物。
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