JP3361602B2 - 樹脂組成物 - Google Patents
樹脂組成物Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、YAGレーザーマーキ
ング性に優れた半導体封止用樹脂組成物に関するもので
ある。 【0002】 【従来の技術】従来、プラスチック封止された半導体デ
バイスは、熱硬化もしくはUV硬化タイプの特殊なイン
クでマークされていたが、マーキングやその硬化に時間
がかかり、さらにインクの取扱いも容易でないため、最
近はレーザーマークを採用する電子部品メーカーが増加
している。YAG又はCO2のレーザー光の短時間照射
によるエポキシ樹脂成形品表面への印字は、インクによ
るマーキングよりも作業性に優れ、しかも短時間で終わ
る方法であるために、電子部品メーカーにとってはメリ
ットが多い方法である。しかし、従来の封止用樹脂組成
物を用いて封止した半導体デバイスの封止成形品表面に
レーザーマーキングした場合、マーキングした部分とマ
ーキングしていない部分とのコントラストが不鮮明であ
り、しかも印字が黄色であるために、印字の読みとりが
困難である。CO2レーザーマークに関しては、既に効
果的な着色剤が開発され、鮮明な印字が得られる半導体
封止樹脂組成物上市されているが、YAGレーザーマー
クに関しては、YAGレーザーマーク性に効果的なカー
ボンブラックが種々研究されている。例えば、特開平2
−127449号公報によると、「カーボン含有量が9
9.5重量%以上、水素含有量が0.3重量%以下であ
るカーボンブラック」が同目的に効果的であるとされて
いる。しかし、カーボンブラックが揮散した後のマーキ
ングコントラストが未だ充分でなく、鮮明な印字は得ら
れておらず、優れたレーザーマーク性を有する半導体封
止用樹脂組成物が要求されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、レーザ
ーマーキング性のメカニズムの検討を行い、更に封止用
樹脂組成物の個々の原料にまで遡り鋭意検討を行った結
果、平均粒径が50nm以上であるカーボンブラック、
酸化防止剤及び青色系着色剤を用いることによって、Y
AGレーザーマークのコントラスト向上に絶大な効果が
あることを見いだし本発見に至ったものである。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明は、エポキシ樹
脂、硬化剤、無機充填材、硬化促進剤を主成分とする樹
脂組成物において、全組成物100重量%中に、平均粒
径が50nm以上、150nm以下であるカーボンブラ
ックを0.2〜1.0重量%、酸化防止剤を0.01〜
1.0重量%及び青色系着色剤を0.005〜0.3重
量%含むことを特徴とする半導体封止用樹脂組成物であ
り、この硬化物は優れたレーザーマーキング性を示し、
鮮明なマーキングを得ることができる。 【0005】以下、本発明に用いる各成分について説明
する。本発明に用いるエポキシ樹脂は、分子中に2個以
上のエポキシ基を有するものならば特に限定するもので
はないが、例えばオルソクレゾールノボラック型エポキ
シ樹脂、フエノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフ
ェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、
トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含
有エポキシ樹脂、ビフェニル型二官能エポキシ樹脂及び
これらの変性樹脂が挙げられる。樹脂組成物の耐湿性向
上のためには、不純物としてのClイオン、Naイオン
等の不純物イオンが極力少ないことが望ましく、又硬化
性の点からエポキシ当量が150〜300g/eqが望
ましい。 【0006】硬化剤は、分子中にフェノール性水酸基を
有するものならば、特に限定するものではないが、例え
ばフェノールノボラック樹脂、パラキシリレン変性フェ
ノール樹脂、トリフェノールメタン樹脂及びこれらの変
性樹脂が挙げられる。硬化性点から、水酸基当量は80
〜250g/eqが望ましい。 【0007】無機充填材として、溶融シリカ粉末、球状
シリカ粉末、結晶シリカ粉末、アルミナ等を使用するこ
とができるが、特に溶融シリカ粉末と球状シリカ粉末の
混合物が望ましい。また、良好なレーザーマーク性を得
るため、樹脂組成物中の無機充填材の配合量を増やすこ
とが望ましいが、この配合量については流動性低下によ
る成形性不良が懸念されるために要求特性に合わせ適宜
選択、調整して用いられる。硬化促進剤は、エポキシ基
と水酸基の反応を促進するものであればよく、一般に封
止用樹脂組成物に用いられるものを利用することができ
る。たとえば、1,8−ジアザビシクロウンデセン、ト
リフェニルホスフィン、ジメチルベンジルアミン、2−
メチルイミダゾール等があり、単独でも混合して用いて
もよい。 【0008】本発明に用いるカーボンブラック、酸化防
止剤及び青色着色剤は、樹脂成形品のレーザーマーク性
向上の鍵であり、重要な技術上のポイントである。先
ず、YAGレーザーマークのメカニズムを簡単に説明す
る。YAG(イットリウム、アルミニウム、ガリウム)
レーザーの波長は、1.06μmであり、1.06μm
の波長の光の吸収帯を有する有機化合物は、YAGレー
ザーの照射を受けるとレーザーエネルギーが熱に変換
し、発熱→燃焼→蒸発のプロセスを経て表面が焼け飛ん
だ状態となる。カーボンブラックは1.06μmの吸収
帯を有するが、エポキシ樹脂/硬化剤/シリカフィラー
/その他には吸収帯はなく、YAGレーザーの照射によ
りカーボンブラックのみが燃焼/蒸発し、後にはカーボ
ンブラックの抜けた樹脂組成物が露出し、露出した面の
色が白っぽいために、白い印字が得られる。即ち、YA
Gレーザーのエネルギーを吸収し、速やかに燃焼/蒸発
するカーボンブラックの開発が必要である。 【0009】本発明における技術上の第一のポイント
は、特殊なカーボンブラックが挙げられる。本発明に用
いられるカーボンブラックは、その平均粒径が50nm
以上である必要がある。平均粒径が50nm未満だと、
マーキングした部分とマーキングしない部分とのコント
ラストが不充分で、不鮮明なマーキングしか得られな
い。特に印字そのものが黒っぽく、カーボンブラックが
YAGレーザーの照射によっても充分に燃焼/蒸発して
いないことが確認された。そこで平均粒径50nm以上
のカーボンブラックを用いることによって、印字そのも
のの黒っぽさはなくなり、マーキングコントラストを大
幅に向上することができた。カーボンブラックの粒径が
大きくなることにより、カーボンブラックが燃焼/蒸発
され易くなったと推測される。又、平均粒径が150n
mを越えると、YAGレーザーマーク性は問題ないが、
できた成形品自体の着色度が低く、多少カーボンブラッ
クの含有量を増量しても、灰色っぽい黒の成形品とな
り、実用上問題があるので、望ましくは平均粒径150
nm以下のカーボンブラックを用いることが好ましい。
更に、本発明に用いるカーボンブラックは、全組成物1
00重量%中に、0.2〜1.0重量%含むことを必要
とする。従来の小粒径のカーボンブラックの場合、0.
15〜0.3重量%部程度で充分黒い成形品が得られた
が、本発明に用いるカーボンブラックでは、やや多めに
配合する必要がある。カーボンの粒径が大きくなること
により、着色力は低下し、成形品の色が本来黒であると
ころが、灰色っぽい黒となるからである。0.2重量%
未満の場合、レーザーマークのコントラスト自体が低下
する。そして1重量%を越えると、レーザー光の照射に
よってもカーボンブラックが充分除去されず、印字部分
が黒くなり、本発明の効果が低下する。用いるカーボン
ブラックは、上記の特性を有するものなら特に限定され
るものではないが、樹脂組成物中に均一に分散されるた
めには粉体であることが望ましい。又、これら粒子は造
粒されたものであっても容易にほぐれる形状のものであ
れば特に問題はない。 【0010】更に本発明の第二の技術上のポイントとし
て、酸化防止剤を配合することが挙げられる。白い印字
を得るためには、カーボンブラックを除去した時の樹脂
組成物成形品表面が白色である必要があるが、従来の成
形品は、ポストキュア後にはこの部分が黄色に酸化着色
する。そのために印字のコントラストを向上させるに
は、カーボンブラックのみの改良で対応できるが、反面
印字そのものが黄色になり、白い美しい印字は得られな
い。そこで、カーボンブラックを除去した後の樹脂組成
物成形品の色を白くすることが必要である。成形品の色
を白くするためには、チタンホワイト等の白色着色剤を
添加することが考えられる。しかし、チタンホワイト等
の白色着色剤について検討したところ、着色のカーボン
ブラックを含有しない樹脂組成物を用いた成形品の色は
成形直後こそ白いが、ポストキュア後にはチタンホワイ
トの未添加時と同様に黄色に着色し、また、カーボンブ
ラックを配合した時の樹脂組成物のYAGレーザーマー
ク性も良くなかった。これらの問題に対して、鋭意検討
の結果、酸化防止剤を少量配合することにより、カーボ
ンブラック除去時の成形品の色が白くなり、しかもカー
ボンブラックを含有したときの成形品においてもYAG
レーザーマーク部が白くなりコントラストが向上するこ
とを見いだした。 【0011】半導体封止樹脂組成物の原料中で、最も酸
化劣化し易い原料はフェノール樹脂である。封止樹脂組
成物の硬化反応後も成形品の表面に僅かに残存している
未反応のフェノール樹脂が酸化劣化することにより、成
形品表面が着色すると考えられる。そこで、成形品表面
の酸化劣化を防止するために酸化防止剤を添加すると、
成形品表面の酸化着色が抑えられ、上記のような良好な
効果が確認された。この技術及び前述の大粒径のカーボ
ンブラックを組み合わせることによって、従来にない優
れたYAGレーザーマーキング性を有する半導体封止用
樹脂組成物を見いだした。本発明に用いられる酸化防止
剤は、エポキシ樹脂/フェノール樹脂の酸化劣化を防止
する化合物であれば特に限定するものではないが、樹脂
組成物中に均一に分散させるために粉状であることと、
更にイオン性不純物が少ない構造のものが望ましい。代
表的なものとして、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレ
ゾール、ブチル化ヒドロキシアニゾール(BHA)等の
フェノール系酸化防止剤、2,2’−メチレン−ビス−
(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のビスフ
ェノール系酸化防止剤、トリフェニルホスファイト、1
0−デシロキシ−9,10,−ジヒドロ−9−オキサ−
10−ホスファフェナンスレン等のリン系酸化防止剤、
ジステアリルチオジプロピオネート等の硫黄系酸化防止
剤等が挙げられる。更に本発明に用いる酸化防止剤は、
全組成物100重量%中に0.01〜1.0重量%含有
することを特徴とする。0.01重量%未満だと酸化防
止の効果が不充分で、レーザーマークの白色化が充分で
はなく、印字は黄色となる。また、1.0重量%を越え
ると、耐湿信頼性が低下する。 【0012】更に本発明の第三の技術上のポイントとし
て、青色着色剤を配合することである。酸化防止剤の配
合により、成形品表面の酸化劣化が極力防止され、かな
り良好なレーザーマーク性を得ることはできるが、酸化
防止剤だけでは完全な白色化ができないことが判明し
た。そこで、更に成形品表面の白色化を完全にするため
鋭意検討を行った結果、上述の大粒径のカーボンブラッ
クと酸化防止剤に加え、青色着色剤を併用することによ
って成形品の表面の白色化が促進され、レーザーマーク
の印字の白色化に、更に大きな効果が得られることが判
明した。黄色っぽいものを白色化する手法として、青色
着色剤を少量添加するのは、ブルーイングというが、こ
の技術及び前述の大粒径のカーボンブラックと酸化防止
剤を組み合わせることによって、従来にない優れたYA
Gレーザーマーキング性を有する半導体封止用樹脂組成
物を見いだした。本発明に用いる青色着色剤は、エポキ
シ樹脂を青く着色する性能を有するものならば特に限定
するものではないが、樹脂組成物中に均一に分散させる
ために粉状であることが望ましい。例えば、シアニンブ
ルー、紺青、群青、インダンスレンブルー、コバルトブ
ルー等が挙げられる。更にイオン性不純物等の極力少な
いものが望ましい。 【0013】本発明に用いる青色着色剤は、全組成物1
00重量%中に0.005〜0.3重量%含有すること
を特徴とする。0.005重量%未満だとブルーイング
の効果が不充分であり、レーザーマークの白色化が充分
ではなく、印字は黄色となる。又、0.3重量%を越え
ると印字が青色となり、白色の印字を得られない。 【0014】本発明は、エポキシ樹脂、硬化剤、無機充
填材、硬化促進剤及びカーボンブラック、酸化防止剤、
青色系着色剤を必須成分とするが、これ以外に必要に応
じてシランカップリング剤、三酸化アンチモンヘキサブ
ロモベンゼン等の難燃剤、天然ワックス、合成ワックス
等の離型剤及びシリコーンオイル、ゴム等の低応力剤等
の種々の添加剤を適宜配合しても差し支えない。又、本
発明の封止用樹脂組成物を成形材料として製造するに
は、エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填材、硬化促進剤及
びカーボンブラック、酸化防止剤、青色系着色剤、その
他の添加剤をミキサー等によって充分に均一に混合した
後、更に熱ロール又はニーダー等で溶融混練し、冷却後
粉砕して封止材料とすることができる。 【0015】以下本発明を実施例にて具体的に説明す
る。 実施例1 下記組成物 オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(軟化点65℃、エポキシ当量2 00g/eq) 18重量部 フエノールノボラック樹脂硬化剤(軟化点100℃、水酸基当量100g/e q) 9重量部 溶融シリカ粉末 70重量部 トリフェニルホスフィン 0.3重量部 カルナバワックス 0.3重量部 シリコーンオイル 2.4重量部 カーボンブラックA(平均粒径60nm) 0.35重量部 2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾ―ル 0.05重量部 シアニンブルー 0.007重量部 を、ミキサーにて常温混合し、70〜100℃で二軸ロ
ールにて混練し、冷却後粉砕し成形材料とした。得られ
た成形材料をタブレット化し、低圧トランスファー成形
機にて175℃、70kg/mm2、120秒の条件で
成形し、更にポストモールドキュアとして175℃で8
時間の処理を行い、成形品を得た。 【0016】YAGレーザーマーク性試験 得られた成形品について、以下の条件でYAGレーザー
マーク試験を行った。 YAGレーザーマーク条件: レーザーマーカー:NEC製、パルスタイプ 波長 :1.06μm レーザーパワー :2.0kV パルス幅 :120μsec YAGレーザーマーク評価法: 目視により印字のコン
トラストと白さを確認。 半田耐湿試験 上記の材料で封止したテスト用素子(16pSOP)を
85℃/85%RHで72時間処理後、260℃の半田
槽に10秒浸漬後、プレッシャークッカー試験(125
℃,100%RH)を行い、回路のオープン不良が発生
する時間を示した。評価結果を表1に示す。 【0017】実施例2〜4 表1の処方に従って配合し、実施例1と同様にして成形
材料を得、同様に評価した。 比較例1〜8 表2の処方に従って配合し、実施例1と同様にして成形
材料を得、同様に評価した。評価結果を表2に示す。 【0018】 【表1】【0019】 【表2】【0020】 【発明の効果】本発明に従うと、YAGレーザーマーク
した印字が白く、更にコントラストも明瞭である。電
気、電子部品の封止用に用いた場合、YAGレーザーマ
ークによる良好な印字が高速で得られるので、工程短
縮、経費の節減に大きな効果がある。
ング性に優れた半導体封止用樹脂組成物に関するもので
ある。 【0002】 【従来の技術】従来、プラスチック封止された半導体デ
バイスは、熱硬化もしくはUV硬化タイプの特殊なイン
クでマークされていたが、マーキングやその硬化に時間
がかかり、さらにインクの取扱いも容易でないため、最
近はレーザーマークを採用する電子部品メーカーが増加
している。YAG又はCO2のレーザー光の短時間照射
によるエポキシ樹脂成形品表面への印字は、インクによ
るマーキングよりも作業性に優れ、しかも短時間で終わ
る方法であるために、電子部品メーカーにとってはメリ
ットが多い方法である。しかし、従来の封止用樹脂組成
物を用いて封止した半導体デバイスの封止成形品表面に
レーザーマーキングした場合、マーキングした部分とマ
ーキングしていない部分とのコントラストが不鮮明であ
り、しかも印字が黄色であるために、印字の読みとりが
困難である。CO2レーザーマークに関しては、既に効
果的な着色剤が開発され、鮮明な印字が得られる半導体
封止樹脂組成物上市されているが、YAGレーザーマー
クに関しては、YAGレーザーマーク性に効果的なカー
ボンブラックが種々研究されている。例えば、特開平2
−127449号公報によると、「カーボン含有量が9
9.5重量%以上、水素含有量が0.3重量%以下であ
るカーボンブラック」が同目的に効果的であるとされて
いる。しかし、カーボンブラックが揮散した後のマーキ
ングコントラストが未だ充分でなく、鮮明な印字は得ら
れておらず、優れたレーザーマーク性を有する半導体封
止用樹脂組成物が要求されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、レーザ
ーマーキング性のメカニズムの検討を行い、更に封止用
樹脂組成物の個々の原料にまで遡り鋭意検討を行った結
果、平均粒径が50nm以上であるカーボンブラック、
酸化防止剤及び青色系着色剤を用いることによって、Y
AGレーザーマークのコントラスト向上に絶大な効果が
あることを見いだし本発見に至ったものである。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明は、エポキシ樹
脂、硬化剤、無機充填材、硬化促進剤を主成分とする樹
脂組成物において、全組成物100重量%中に、平均粒
径が50nm以上、150nm以下であるカーボンブラ
ックを0.2〜1.0重量%、酸化防止剤を0.01〜
1.0重量%及び青色系着色剤を0.005〜0.3重
量%含むことを特徴とする半導体封止用樹脂組成物であ
り、この硬化物は優れたレーザーマーキング性を示し、
鮮明なマーキングを得ることができる。 【0005】以下、本発明に用いる各成分について説明
する。本発明に用いるエポキシ樹脂は、分子中に2個以
上のエポキシ基を有するものならば特に限定するもので
はないが、例えばオルソクレゾールノボラック型エポキ
シ樹脂、フエノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフ
ェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、
トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含
有エポキシ樹脂、ビフェニル型二官能エポキシ樹脂及び
これらの変性樹脂が挙げられる。樹脂組成物の耐湿性向
上のためには、不純物としてのClイオン、Naイオン
等の不純物イオンが極力少ないことが望ましく、又硬化
性の点からエポキシ当量が150〜300g/eqが望
ましい。 【0006】硬化剤は、分子中にフェノール性水酸基を
有するものならば、特に限定するものではないが、例え
ばフェノールノボラック樹脂、パラキシリレン変性フェ
ノール樹脂、トリフェノールメタン樹脂及びこれらの変
性樹脂が挙げられる。硬化性点から、水酸基当量は80
〜250g/eqが望ましい。 【0007】無機充填材として、溶融シリカ粉末、球状
シリカ粉末、結晶シリカ粉末、アルミナ等を使用するこ
とができるが、特に溶融シリカ粉末と球状シリカ粉末の
混合物が望ましい。また、良好なレーザーマーク性を得
るため、樹脂組成物中の無機充填材の配合量を増やすこ
とが望ましいが、この配合量については流動性低下によ
る成形性不良が懸念されるために要求特性に合わせ適宜
選択、調整して用いられる。硬化促進剤は、エポキシ基
と水酸基の反応を促進するものであればよく、一般に封
止用樹脂組成物に用いられるものを利用することができ
る。たとえば、1,8−ジアザビシクロウンデセン、ト
リフェニルホスフィン、ジメチルベンジルアミン、2−
メチルイミダゾール等があり、単独でも混合して用いて
もよい。 【0008】本発明に用いるカーボンブラック、酸化防
止剤及び青色着色剤は、樹脂成形品のレーザーマーク性
向上の鍵であり、重要な技術上のポイントである。先
ず、YAGレーザーマークのメカニズムを簡単に説明す
る。YAG(イットリウム、アルミニウム、ガリウム)
レーザーの波長は、1.06μmであり、1.06μm
の波長の光の吸収帯を有する有機化合物は、YAGレー
ザーの照射を受けるとレーザーエネルギーが熱に変換
し、発熱→燃焼→蒸発のプロセスを経て表面が焼け飛ん
だ状態となる。カーボンブラックは1.06μmの吸収
帯を有するが、エポキシ樹脂/硬化剤/シリカフィラー
/その他には吸収帯はなく、YAGレーザーの照射によ
りカーボンブラックのみが燃焼/蒸発し、後にはカーボ
ンブラックの抜けた樹脂組成物が露出し、露出した面の
色が白っぽいために、白い印字が得られる。即ち、YA
Gレーザーのエネルギーを吸収し、速やかに燃焼/蒸発
するカーボンブラックの開発が必要である。 【0009】本発明における技術上の第一のポイント
は、特殊なカーボンブラックが挙げられる。本発明に用
いられるカーボンブラックは、その平均粒径が50nm
以上である必要がある。平均粒径が50nm未満だと、
マーキングした部分とマーキングしない部分とのコント
ラストが不充分で、不鮮明なマーキングしか得られな
い。特に印字そのものが黒っぽく、カーボンブラックが
YAGレーザーの照射によっても充分に燃焼/蒸発して
いないことが確認された。そこで平均粒径50nm以上
のカーボンブラックを用いることによって、印字そのも
のの黒っぽさはなくなり、マーキングコントラストを大
幅に向上することができた。カーボンブラックの粒径が
大きくなることにより、カーボンブラックが燃焼/蒸発
され易くなったと推測される。又、平均粒径が150n
mを越えると、YAGレーザーマーク性は問題ないが、
できた成形品自体の着色度が低く、多少カーボンブラッ
クの含有量を増量しても、灰色っぽい黒の成形品とな
り、実用上問題があるので、望ましくは平均粒径150
nm以下のカーボンブラックを用いることが好ましい。
更に、本発明に用いるカーボンブラックは、全組成物1
00重量%中に、0.2〜1.0重量%含むことを必要
とする。従来の小粒径のカーボンブラックの場合、0.
15〜0.3重量%部程度で充分黒い成形品が得られた
が、本発明に用いるカーボンブラックでは、やや多めに
配合する必要がある。カーボンの粒径が大きくなること
により、着色力は低下し、成形品の色が本来黒であると
ころが、灰色っぽい黒となるからである。0.2重量%
未満の場合、レーザーマークのコントラスト自体が低下
する。そして1重量%を越えると、レーザー光の照射に
よってもカーボンブラックが充分除去されず、印字部分
が黒くなり、本発明の効果が低下する。用いるカーボン
ブラックは、上記の特性を有するものなら特に限定され
るものではないが、樹脂組成物中に均一に分散されるた
めには粉体であることが望ましい。又、これら粒子は造
粒されたものであっても容易にほぐれる形状のものであ
れば特に問題はない。 【0010】更に本発明の第二の技術上のポイントとし
て、酸化防止剤を配合することが挙げられる。白い印字
を得るためには、カーボンブラックを除去した時の樹脂
組成物成形品表面が白色である必要があるが、従来の成
形品は、ポストキュア後にはこの部分が黄色に酸化着色
する。そのために印字のコントラストを向上させるに
は、カーボンブラックのみの改良で対応できるが、反面
印字そのものが黄色になり、白い美しい印字は得られな
い。そこで、カーボンブラックを除去した後の樹脂組成
物成形品の色を白くすることが必要である。成形品の色
を白くするためには、チタンホワイト等の白色着色剤を
添加することが考えられる。しかし、チタンホワイト等
の白色着色剤について検討したところ、着色のカーボン
ブラックを含有しない樹脂組成物を用いた成形品の色は
成形直後こそ白いが、ポストキュア後にはチタンホワイ
トの未添加時と同様に黄色に着色し、また、カーボンブ
ラックを配合した時の樹脂組成物のYAGレーザーマー
ク性も良くなかった。これらの問題に対して、鋭意検討
の結果、酸化防止剤を少量配合することにより、カーボ
ンブラック除去時の成形品の色が白くなり、しかもカー
ボンブラックを含有したときの成形品においてもYAG
レーザーマーク部が白くなりコントラストが向上するこ
とを見いだした。 【0011】半導体封止樹脂組成物の原料中で、最も酸
化劣化し易い原料はフェノール樹脂である。封止樹脂組
成物の硬化反応後も成形品の表面に僅かに残存している
未反応のフェノール樹脂が酸化劣化することにより、成
形品表面が着色すると考えられる。そこで、成形品表面
の酸化劣化を防止するために酸化防止剤を添加すると、
成形品表面の酸化着色が抑えられ、上記のような良好な
効果が確認された。この技術及び前述の大粒径のカーボ
ンブラックを組み合わせることによって、従来にない優
れたYAGレーザーマーキング性を有する半導体封止用
樹脂組成物を見いだした。本発明に用いられる酸化防止
剤は、エポキシ樹脂/フェノール樹脂の酸化劣化を防止
する化合物であれば特に限定するものではないが、樹脂
組成物中に均一に分散させるために粉状であることと、
更にイオン性不純物が少ない構造のものが望ましい。代
表的なものとして、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレ
ゾール、ブチル化ヒドロキシアニゾール(BHA)等の
フェノール系酸化防止剤、2,2’−メチレン−ビス−
(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のビスフ
ェノール系酸化防止剤、トリフェニルホスファイト、1
0−デシロキシ−9,10,−ジヒドロ−9−オキサ−
10−ホスファフェナンスレン等のリン系酸化防止剤、
ジステアリルチオジプロピオネート等の硫黄系酸化防止
剤等が挙げられる。更に本発明に用いる酸化防止剤は、
全組成物100重量%中に0.01〜1.0重量%含有
することを特徴とする。0.01重量%未満だと酸化防
止の効果が不充分で、レーザーマークの白色化が充分で
はなく、印字は黄色となる。また、1.0重量%を越え
ると、耐湿信頼性が低下する。 【0012】更に本発明の第三の技術上のポイントとし
て、青色着色剤を配合することである。酸化防止剤の配
合により、成形品表面の酸化劣化が極力防止され、かな
り良好なレーザーマーク性を得ることはできるが、酸化
防止剤だけでは完全な白色化ができないことが判明し
た。そこで、更に成形品表面の白色化を完全にするため
鋭意検討を行った結果、上述の大粒径のカーボンブラッ
クと酸化防止剤に加え、青色着色剤を併用することによ
って成形品の表面の白色化が促進され、レーザーマーク
の印字の白色化に、更に大きな効果が得られることが判
明した。黄色っぽいものを白色化する手法として、青色
着色剤を少量添加するのは、ブルーイングというが、こ
の技術及び前述の大粒径のカーボンブラックと酸化防止
剤を組み合わせることによって、従来にない優れたYA
Gレーザーマーキング性を有する半導体封止用樹脂組成
物を見いだした。本発明に用いる青色着色剤は、エポキ
シ樹脂を青く着色する性能を有するものならば特に限定
するものではないが、樹脂組成物中に均一に分散させる
ために粉状であることが望ましい。例えば、シアニンブ
ルー、紺青、群青、インダンスレンブルー、コバルトブ
ルー等が挙げられる。更にイオン性不純物等の極力少な
いものが望ましい。 【0013】本発明に用いる青色着色剤は、全組成物1
00重量%中に0.005〜0.3重量%含有すること
を特徴とする。0.005重量%未満だとブルーイング
の効果が不充分であり、レーザーマークの白色化が充分
ではなく、印字は黄色となる。又、0.3重量%を越え
ると印字が青色となり、白色の印字を得られない。 【0014】本発明は、エポキシ樹脂、硬化剤、無機充
填材、硬化促進剤及びカーボンブラック、酸化防止剤、
青色系着色剤を必須成分とするが、これ以外に必要に応
じてシランカップリング剤、三酸化アンチモンヘキサブ
ロモベンゼン等の難燃剤、天然ワックス、合成ワックス
等の離型剤及びシリコーンオイル、ゴム等の低応力剤等
の種々の添加剤を適宜配合しても差し支えない。又、本
発明の封止用樹脂組成物を成形材料として製造するに
は、エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填材、硬化促進剤及
びカーボンブラック、酸化防止剤、青色系着色剤、その
他の添加剤をミキサー等によって充分に均一に混合した
後、更に熱ロール又はニーダー等で溶融混練し、冷却後
粉砕して封止材料とすることができる。 【0015】以下本発明を実施例にて具体的に説明す
る。 実施例1 下記組成物 オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(軟化点65℃、エポキシ当量2 00g/eq) 18重量部 フエノールノボラック樹脂硬化剤(軟化点100℃、水酸基当量100g/e q) 9重量部 溶融シリカ粉末 70重量部 トリフェニルホスフィン 0.3重量部 カルナバワックス 0.3重量部 シリコーンオイル 2.4重量部 カーボンブラックA(平均粒径60nm) 0.35重量部 2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾ―ル 0.05重量部 シアニンブルー 0.007重量部 を、ミキサーにて常温混合し、70〜100℃で二軸ロ
ールにて混練し、冷却後粉砕し成形材料とした。得られ
た成形材料をタブレット化し、低圧トランスファー成形
機にて175℃、70kg/mm2、120秒の条件で
成形し、更にポストモールドキュアとして175℃で8
時間の処理を行い、成形品を得た。 【0016】YAGレーザーマーク性試験 得られた成形品について、以下の条件でYAGレーザー
マーク試験を行った。 YAGレーザーマーク条件: レーザーマーカー:NEC製、パルスタイプ 波長 :1.06μm レーザーパワー :2.0kV パルス幅 :120μsec YAGレーザーマーク評価法: 目視により印字のコン
トラストと白さを確認。 半田耐湿試験 上記の材料で封止したテスト用素子(16pSOP)を
85℃/85%RHで72時間処理後、260℃の半田
槽に10秒浸漬後、プレッシャークッカー試験(125
℃,100%RH)を行い、回路のオープン不良が発生
する時間を示した。評価結果を表1に示す。 【0017】実施例2〜4 表1の処方に従って配合し、実施例1と同様にして成形
材料を得、同様に評価した。 比較例1〜8 表2の処方に従って配合し、実施例1と同様にして成形
材料を得、同様に評価した。評価結果を表2に示す。 【0018】 【表1】【0019】 【表2】【0020】 【発明の効果】本発明に従うと、YAGレーザーマーク
した印字が白く、更にコントラストも明瞭である。電
気、電子部品の封止用に用いた場合、YAGレーザーマ
ークによる良好な印字が高速で得られるので、工程短
縮、経費の節減に大きな効果がある。
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI
H01L 23/31
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C08L 63/00 - 63/10
C08K 3/04
C08K 5/13
C08K 5/53 - 5/5317
H01L 23/29
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填材、硬
化促進剤を主成分とする樹脂組成物において、全組成物
100重量%中に、平均粒径が50nm以上、150n
m以下であるカーボンブラックを0.2〜1.0重量
%、酸化防止剤を0.01〜1.0重量%及び青色系着
色剤を0.005〜0.3重量%含むことを特徴とする
半導体封止用樹脂組成物。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP03255194A JP3361602B2 (ja) | 1994-03-02 | 1994-03-02 | 樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03255194A JP3361602B2 (ja) | 1994-03-02 | 1994-03-02 | 樹脂組成物 |
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Family
ID=12362074
Family Applications (1)
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JP03255194A Expired - Fee Related JP3361602B2 (ja) | 1994-03-02 | 1994-03-02 | 樹脂組成物 |
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Families Citing this family (2)
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JP6331525B2 (ja) * | 2014-03-14 | 2018-05-30 | オムロン株式会社 | 樹脂組成物の硬化方法 |
-
1994
- 1994-03-02 JP JP03255194A patent/JP3361602B2/ja not_active Expired - Fee Related
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