JP3367436B2 - 塩素溶出濃度の低いスラグの製造方法 - Google Patents

塩素溶出濃度の低いスラグの製造方法

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JP3367436B2 JP36010798A JP36010798A JP3367436B2 JP 3367436 B2 JP3367436 B2 JP 3367436B2 JP 36010798 A JP36010798 A JP 36010798A JP 36010798 A JP36010798 A JP 36010798A JP 3367436 B2 JP3367436 B2 JP 3367436B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、都市ごみ焼却炉か
ら発生した飛灰又は飛灰が混合された焼却残渣から塩素
溶出濃度の低いスラグを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】都市ごみや産業廃棄物などを焼却した際
に発生する焼却残渣の処分に際しては、重金属類の不溶
化処理が義務づけられているものがある。又、最終処分
場の逼迫に伴い、焼却残渣の減容化についても要望され
ている。このため、焼却残渣中の重金属を不溶化すると
同時に焼却残渣自体を減容化できる処理として、溶融処
理が行われるようになってきた。
【0003】焼却残渣の溶融処理に際しては、種々の溶
融炉が使用されているが、これらのうち、炉内が還元性
雰囲気に保持される溶融炉、例えば、特開平7−225
013号公報に示されているような電気抵抗式溶融炉を
使用して溶融処理を行う方法がある。このような溶融炉
を用いる溶融処理においては、炉内が還元性雰囲気に保
持された溶融炉に焼却残渣を装入して溶融し、この溶融
物を溶融炉内に一時滞留させて、主として酸化物よりな
る溶融スラグと塩化物などの塩類よりなる溶融塩とに分
離し、溶融スラグと溶融塩を分別して排出する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
還元性雰囲気に保持される溶融炉内で、飛灰又は飛灰が
混合された焼却残渣を溶融処理した場合、溶融スラグと
塩類を分別排出しているにもかかわらず、得られるスラ
グには多量の塩素が含まれている。このような処理条件
下で生成したスラグは、その組成によっても異なるが、
数%にも及ぶ塩素を含有していることもある。そして、
このスラグは塩素が溶出し易い状態になっており、この
スラグの溶出試験を行うと、多量の塩素が溶出する。こ
のため、このスラグは、土木建築用の骨材として使用し
た場合、金属の腐食など種々の弊害がもたらされること
が予想されるので、骨材としての用途には供されていな
い。
【0005】なお、焼却残渣を溶融処理して得たスラグ
を土木建築用の骨材として使用しようとする場合、その
塩素含有率については、現在のところ、定められた基準
はないが、ポルトランドセメントのJIS規格(R52
10)においては、塩化物イオンの含有率が0.02%
以下とされており、さらに、業界では0.01%(10
0mg/kg)未満の値が要求されている。そして、この業
界要求値を、土壌環境基準の判定方法(環境庁告示46
号)に準じた溶出試験による溶出塩素濃度に換算する
と、10mg/lに相当するので、上記ポルトランドセメ
ント品質の業界要求値に準拠すれば、許容されるスラグ
の溶出塩素濃度は10mg/lが上限であるものと考えら
れる。
【0006】ところで、本発明者らの試験結果によれ
ば、図6に示すように、塩素含有率が高いスラグほど、
その溶出量が多くなるので、塩素の溶出濃度を上記の値
(10mg/l)以下にとどめるためには、スラグ中の塩
素含有率を1%以下にしなければならない。しかし、
灰又は飛灰が混合された焼却残渣を還元性雰囲気で溶融
し、溶融物を炉内に一時滞留させる上記従来の方法で処
理した場合には、スラグ中に多量の塩素が混入するの
で、塩素含有率を1%以下にすることは極めて困難であ
る。
【0007】又、飛灰又は飛灰が混合された焼却残渣
溶融処理した場合、溶融炉内においては、焼却残渣中の
金属類も溶融物(溶融メタル)となるので、溶融スラグ
と溶融塩を分別排出するだけの上記従来の方法による場
合、溶融スラグに溶融メタルが混入する。このため、排
出されたスラグを冷却して固化させ、破砕した後、磁力
選別してメタル分を除去する処理を行わなければならな
い。
【0008】本発明は、都市ごみ焼却炉から発生した飛
灰又は飛灰が混合された焼却残渣から、塩素の溶出が抑
制されると共にメタル分を含まないスラグの製造方法
提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、第一の発明は、還元性雰囲気に保持された溶融炉
を用いる焼却残渣の溶融処理方法において、都市ごみ焼
却炉から発生した飛灰又は飛灰が混合された焼却残渣
に、Ca又は/及びMgを含む成分調整材、又はSi及
び/又はAlを含む成分調整材を加えて、下記の(1)
式によって求められる成分比の値を0.7〜2.0の範
囲になるように調整した後、前記溶融炉に装入して溶融
し、この溶融物を溶融炉内に滞留させて溶融スラグ層と
溶融塩層と溶融メタル層とに分離して、溶融スラグを分
別して排出し、この溶融スラグを急冷処理することを特
徴としている。 成分比(モル比)=(Ca+Mg)/(Si+Al) ・・・(1)
【0010】第二の発明は、第一の発明において、溶融
スラグを水と接触させる方法により急冷することを特徴
としている。
【0011】第三の発明は、第一の発明において、溶融
スラグを水冷した金属面に接触させて急冷することを特
徴としている。
【0012】第四発明は、第一の発明において、溶融ス
ラグを金属製水冷ドラムの外周面上に供給して急冷する
ことを特徴としている。
【0013】第五の発明は、第一の発明において、溶融
スラグを金属製水冷ロールの外周面上に供給して急冷す
ることを特徴としている。
【0014】焼却残渣の成分比を調整するために添加す
る成分調整材は、処理する焼却残渣の組成によって異な
る。都市ごみ焼却炉の排ガスを集塵処理した際に捕集さ
れる通常の飛灰(中性飛灰)などのように、SiやAl
の含有量が多いものを処理する場合には、CaやMgを
多量に含む鉄鋼スラグや石灰等を添加し、成分調整をす
る。又、都市ごみ焼却炉の煙道に消石灰等を吹き込ん
で、塩化水素を除去した際に捕集される飛灰(アルカリ
飛灰)などのように、CaやMg等のアルカリ金属類を
多量に含むものを処理する場合には、SiやAlを多量
に含むごみ焼却灰や石炭灰のようなものを添加する。
【0015】スラグからの塩素の溶出を少なくするため
には、スラグ自体の塩素含有率を下げればよいが、前述
のように、飛灰又は飛灰が混合された焼却残渣を還元性
雰囲気で溶融した場合、スラグ中に多量の塩素が混入す
ることは避けられない。本発明者らの試験によれば、特
に、都市ごみ焼却炉の煙道に消石灰等を吹き込んで、塩
化水素を除去した際に捕集される飛灰(アルカリ飛灰)
などのように、Clを含むと共にCaやMg等を多量に
含有する焼却残渣を、還元性雰囲気で溶融し、溶融物を
炉内に一時滞留させる上記従来の方法で処理した場合に
は、スラグ中に多量の塩素が混入する。
【0016】そこで、本発明者らは、上記の現象を解明
するために、焼却残渣の組成とスラグの塩素含有率又は
スラグからの塩素溶出量との関係を調べた。まず、焼却
残渣の組成とスラグの塩素含有率との関係を調べたとこ
ろ、図7に示す結果を得た。この試験においては、
(1)式に示す成分比が種々の値になるように、焼却残
渣の組成を調整し、この焼却残渣を溶融処理した溶融ス
ラグを固化させ、このスラグの塩素含有率を分析した。
なお、(1)式に示す成分比は焼却残渣の分析値から求
めた元素の存在割合(モル比)であり、焼却残渣の性状
を示す指標として使用した。
【0017】図7によれば、(Ca+Mg)/(Si+
Al)で示す成分比が大きくなるほど、スラグ中の塩素
含有率が高くなることは明らかである。この試験は、溶
融スラグを徐冷した場合と、急冷した場合についてそれ
ぞれ行ったが、冷却方法による塩素含有率の差は認めら
れなかった。このように、上記成分比が大きい組成の焼
却残渣を溶融処理した溶融スラグは、塩化物などの溶融
塩が溶け込みやすい状態になっており、スラグ中の塩素
含有率は焼却残渣の組成によって支配されるので、スラ
グの塩素含有率自体を低下させることはできないことが
分かった。
【0018】次いで、(Ca+Mg)/(Si+Al)
で示す成分比を種々変えた焼却残渣をそれぞれ調整した
後、溶融処理した溶融スラグを放置冷却し、得られた固
形スラグを粉砕して、溶出試験をしたところ、何れのス
ラグについても多量の塩素が溶出した。この結果は図8
に示す。この図から明らかなように、溶融スラグを放置
冷却する場合、塩素溶出濃度がセメント品質の業界要求
値である10mg/lを下回るスラグを得る得るために
は、焼却残渣の組成を(Ca+Mg)/(Si+Al)
で示す成分比で約0.7以下にしなければない。このた
め、処理可能な焼却残渣の組成がごく狭い範囲に限定さ
れる。
【0019】この原因は、溶融スラグを冷却して固形ス
ラグにする際に、放置冷却するなどして徐々に冷却した
場合には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシ
ウムなどの塩類が析出するためであると考えられる。そ
して、析出した塩類は、単にスラグ塊の表面に存在する
だけでなく、スラグの割れ目や内部の空隙部にも存在
し、スラグを粉砕処理することによって、上記の塩類が
溶出してくるものと考えられる。
【0020】このため、本発明においては、塩素の溶出
を抑制することが図られている。すなわち、焼却残渣の
組成を上記(1)式に従って調整してから溶融し、生成
した溶融スラグを急冷し、非晶質部を含むものにすれ
ば、塩素の溶出が抑制されたスラグが得られる。
【0021】そこで、本発明者らは、(Ca+Mg)/
(Si+Al)で示す成分比を種々の値に調整した焼却
残渣を溶融した後、溶融スラグを急冷する試験を行っ
た。この試験では、急冷したスラグを粉砕し、土壌環境
基準の判定方法(環境庁告示46号)に準じた溶出試験
をしたところ、図9に示すように、塩素溶出濃度は何れ
のスラグについてもセメント品質の業界要求値である1
0mg/lを下回る値になった。又、上記のスラグをX線
回折によって調べたところ、このスラグは非晶質のも
の、或いは非晶質を含むものであった。又、このスラグ
を走査型分析電子顕微鏡で観察したところ、塩素は非晶
質組織(ガラス組織)中に一様に分布しており、析出し
た塩化物は認められなかった。
【0022】上記の各試験結果によれば、塩素が溶解し
た状態で存在している溶融スラグが固化する過程におい
て、その冷却が徐々に行われると、塩素(Cl)が溶融
スラグ中を移動して、Na,K,Caなどと結合し、N
aCl,KCl,CaCl2などの化合物になり、これ
らの化合物が析出するものと考えられる。しかし、溶融
スラグを急冷した場合には、塩素の移動が行われない間
に固化してしまうので、塩素は非晶質組織中に原子レベ
ルで均一に固定される。このため、このスラグを粉砕
し、水で浸出しても、塩素の溶出は僅かな量に抑えられ
る。
【0023】図9に示す結果によれば、焼却残渣を(C
a+Mg)/(Si+Al)で示す成分比が0.3〜
2.3になるように調整すれば、塩素溶出濃度が10mg
/lを下回る値になることが分かった。しかし、実際の
溶融炉の操業においては、炉内の溶融物の流動性を炉の
操作上要求される状態にすることが必要になり、又、溶
融温度をできるだけ低くすることが望まれる。このよう
な操業上の問題を勘案すると、溶融スラグの流動性を確
保するためには、(Ca+Mg)/(Si+Al)で示
す成分比の値を0.7付近より大きくする必要があり、
溶融温度を通常操業時よりもあまり高くしないようにす
るためには、上記成分比の値を2.0以下程度する必要
がある。従って、(Ca+Mg)/(Si+Al)で示
す成分比の値は0.7〜2.0であるのが適当である。
【0024】又、上記のようにして、溶融物が適度な流
動性を有する状態で操業すると、炉内においては、溶融
塩層、溶融スラグ層、溶融メタル層よりなる3層が形成
されやすくなる。このようにして分離された3層の溶融
物をそれぞれ別に排出するように操作すれば、溶融スラ
グ中にメタルが混入することはなくなる。
【0025】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係る実施の形態の
一例を示す図である。飛灰又は飛灰が混合された焼却残
を成分調整工程10へ送り、成分調整材として、例え
ば、焼却灰、石炭灰、ケイ石などのもの、又は製鉄所で
発生する鉄鋼スラグ、石灰などを添加し、(1)式に示
す成分比が0.7〜2.0の範囲内の所定値になるよう
に調整する。この成分調整された焼却残渣を、例えば、
電気抵抗式溶融炉20へ装入する。この溶融炉20には
既に溶融された焼却残渣の溶融物が滞留しており、この
溶融物中に電極21が浸漬されている。そして、溶融物
に通電して電気抵抗熱を発生させ、溶融物を加熱するよ
うになっている。炉内へ装入された焼却残渣は溶融物か
らの伝熱によって加熱され、溶融する。この溶融物は1
0〜20時間程度炉内に滞留した後、排出されるが、そ
の間に、塩類、酸化物、メタルの各成分が比重差によっ
て分離され、炉内には、溶融塩層40、溶融スラグ層4
1、溶融メタル層42の3層が形成される。3層に分離
された各成分は分別排出される。なお、溶融塩は溶融塩
排出口22が排出され、溶融メタルはメタル排出口24
から排出され、廃棄処分されるか、或いは資源として回
収される。
【0026】分別排出された成分のうち、溶融スラグは
冷却処理工程30へ送られる。この工程においては、溶
融スラグが非晶質化する転移温度(約700〜800
℃)まで急冷する処理が行われる。この際の処理方法と
して、溶融スラグを水槽中に投入したり、流水中に投入
したりして、溶融スラグと水を直接接触させる方法を採
用すれば、溶融スラグの急冷が効率よく行われる。又、
溶融スラグを高圧空気と一緒に吹き飛ばして冷却させる
方法で急冷してもよい。
【0027】又、溶融スラグを間接冷却して急冷しても
よい。間接冷却による場合、水冷された金属製のモール
ドや金属製の樋に溶融スラグを排出し、水冷された金属
面に接触させて冷却してもよい。
【0028】さらに他の方法としては、例えば、図2又
は図3に示すような水冷ドラムを備えた冷却・固化装
置、あるいは図4又は図5に示すような水冷ロールを備
えた冷却・固化装置を使用して溶融スラグを急冷する方
法を採用することができる。
【0029】図2は2基の水冷ドラムを備えた溶融スラ
グの冷却・固化装置である。この装置は外周面を対向さ
せた一対の水冷ドラム31a,31bに溶融スラグを接
触させて急冷するものであり、水冷ドラム31a,31
b内には冷却水の噴霧ノズル32が設けられ、その内面
に吹き付けられた冷却水によって水冷ドラムが冷却され
るようになっている。溶融スラグの冷却速度の調節は冷
却水の流量及び水冷ドラムの回転速度を適宜調整するこ
とによって行われる。この装置により溶融スラグを急冷
して固化させる場合、回転する水冷ドラム31a,31
b上に溶融スラグを供給し、2基の水冷ドラム31a,
31bの間隔を所定の寸法に調整する。固化したスラグ
は平たい塊状物になって落下する。
【0030】この装置を使用すると、溶融スラグをモー
ルドに受け入れて冷却する場合に比べ、冷却時間が大幅
に短縮され、装置の小型化が達成される。又、固化スラ
グは厚さがほぼ同じ塊状物になるので、これを破砕して
所定粒度のものを得る場合、破砕処理やその後の粒度調
整処理の負荷が大幅に軽減されると共に、破砕品の粒度
分布の幅が狭く、所定粒度品の歩留が高くなる。又、ド
ラムの表面に凹凸を設ければ、適度の大きさに形作られ
たスラグを得ることができ、破砕処理やその後の粒度調
整処理の負荷が一層軽減されると共に、破砕される度合
いが少なく、角があまりないスラグを得ることができ
る。
【0031】図3は1基の水冷ドラムを備えた溶融スラ
グの冷却・固化装置である。この装置においては、図2
に示す装置のものと同じ構造の水冷ドラム31を備えて
おり、この水冷ドラム31の外周面と対向する位置に水
冷壁33が設けられている。この装置により溶融スラグ
を急冷して固化させる場合、回転する水冷ドラム31と
水冷壁33の間に溶融スラグを供給し、両者の間隔を所
定の寸法に調整する。固化したスラグは平たい塊状物に
なって落下する。
【0032】図4は2基の水冷ロールを備えた溶融スラ
グの冷却・固化装置である。この装置は外周面を対向さ
せた一対の水冷ロール34a,34bに溶融スラグを接
触させて急冷するものであり、外周面を形成する外殻部
に冷却水の流路35が設けられ、水冷ロールが冷却され
るようになっている。溶融スラグの冷却速度の調節は冷
却水の流量及び水冷ロールの回転速度を適宜調整するこ
とによって行われる。この装置により溶融スラグを急冷
して固化させる場合、回転する水冷ロール34a,34
b上に溶融スラグを供給し、2基の水冷ロール34a,
34bの間隔を所定の寸法に調整する。固化したスラグ
は平たい塊状物になって落下する。
【0033】この装置を使用した場合には、図2及び図
3に示した水冷ドラムを備えた装置を使用した場合と同
様の効果が得られる他に、熱回収が可能であると言う利
点を活用することができる。すなわち、水冷ロールに設
けた流路35に通水した冷却水がそのまま外部へ排出さ
れ、冷却排水を高温の状態で取り出すことがであるの
で、熱回収をすることができる。
【0034】図5は1基の水冷ロールを備えた溶融スラ
グの冷却・固化装置である。この装置においては、図4
に示す装置のものと同じ構造の水冷ロール34を備えて
おり、この水冷ロール34と対向する位置に水冷壁33
が設けられている。この装置により溶融スラグを急冷し
て固化させる場合、回転する水冷ロール34と水冷壁3
3の間に溶融スラグを供給し、両者の間隔を所定の寸法
に調整する。固化したスラグは平たい塊状物になって落
下する。
【0035】上記のような間接冷却によれば、塊状のス
ラグが得られる。このため、直接冷却した際に得られる
砂状のスラグとは別の用途、例えば、砕石の代替材料な
どに供することができる。特に、平たい塊状のスラグは
破砕処理後の粒度分布の幅が狭く、吸水・吸音舗装の骨
材としての用途に供することもできる。
【0036】又、上記のようにして得られたスラグは塩
素の溶出量が非常に少なく、土木建築用の骨材としての
用途に供することができる。
【0037】次に、飛灰が混合された焼却残渣を溶融処
理した結果について説明する。 (実施例1) 都市ごみ焼却炉の煙道に消石灰等を吹き込んで、塩化水
素を除去した際に捕集された飛灰と焼却灰(分析値は表
1に示す)を1:2の割合で混合し、(1)式に示す成
分比を約0.8に調整した成分調整焼却残渣(分析値は
表2に示す)を実験炉へ装入して溶融し、溶融スラグを
分別排出した。この際、溶融スラグを水槽へ投入して急
冷した。急冷させたスラグを乾燥したものの分析値は表
3に示す通りであり、その塩素含有率は1.5%であっ
た。
【0038】このスラグを2mm以下の大きさに破砕し、
この試料について、土壌環境基準の判定方法(環境庁告
示46号)に準じた溶出試験を行なった。この溶出試験
に際しては、スラグを2mm未満の大きさになるように破
砕し、このスラグにその10倍量の精製水を加えて6時
間振盪し、次いで、濾過分離し、溶出液中の塩素濃度を
分析した。この溶出試験結果は表4に示す。この表のよ
うに、スラグからの塩素溶出濃度は2mg/lであり、極
めて良好な値であった。
【0039】又、このスラグは磁力選別処理をしたもの
ではないが、粒鉄は認められず、溶融スラグを排出する
際に、溶融メタルが十分に分離されていたことを示して
いる。
【0040】(実施例2)実施例1で使用した飛灰と焼
却灰を1:1の割合で混合して(1)式に示す成分比を
約1.1に調整した成分調整焼却残渣(分析値は表2に
示す)を溶融し、生成した溶融スラグを、実施例1の場
合と同様に、水槽へ投入して急冷した。得られたスラグ
は、表3に示すように、2.3%の塩素を含有していた
が、その塩素溶出濃度は、表4に示すように、3mg/l
であり、極めて良好な値であった。
【0041】(実施例3)実施例2で調整したものと同
じ成分調整焼却残渣を溶融し、生成した溶融スラグを、
水冷構造の銅板製の樋へ流し込んで急冷し、厚さ2cm程
度のスラグの板を得た。得られたスラグは、表3に示す
ように、2.4%の塩素を含有していたが、その塩素溶
出濃度は、表4に示すように、4mg/lであり、実施例
1及び実施例2の場合と同様に、極めて良好な値であっ
た。
【0042】(実施例4)実施例1で使用した飛灰と焼
却灰を1:1の割合で混合して(1)式に示す成分比を
約1.0に調整した成分調整焼却残渣(分析値は表2に
示す)を溶融し、生成した溶融スラグを、図2と同様の
構成による水冷ドラムを使用して急冷した。この場合、
ドラム間隔を2cmに調整した水冷ドラム上に溶融スラ
グを流し込み、冷却・固化したスラグを掻き取った。掻
き取られたスラグは厚さが約2cmの平たい塊状物であ
った。次いで、このスラグをジョークラッシャーで破砕
し、主として2cm程度の粒度のスラグを得た。このス
ラグの分析値を表3に示し、塩素溶出濃度を表4に示
す。表3及び表4によれば、このスラグは1.8%の塩
素を含有していたが、塩素溶出濃度が3mg/lであり、
実施例1〜実施例3の場合と同様に、極めて良好な値で
あった。
【0043】(比較例1)実施例2で調整したものと同
じ成分調整焼却残渣を溶融し、生成した溶融スラグを鋳
鉄製のモールドへ流し込んで放置し、自然冷却させた。
このスラグの分析値は表3に示す通りであり、その塩素
含有率は2.4%であった。
【0044】このスラグを、実施例1と同じ方法で溶出
試験を行なった。この結果は表4に示す。この表のよう
に、スラグからの塩素溶出濃度は510mg/lであり、
セメント品質の業界要求値である10mg/lには遙かに
及ばない値であった。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、塩素の溶出濃度が極め
て低く、かつメタル分を殆ど含まず、土木建築用骨材の
用途に向けられるスラグが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施の形態の一例を示す図であ
る。
【図2】2基の水冷ドラムを備えた溶融スラグの冷却・
固化装置である。
【図3】1基の水冷ドラムを備えた溶融スラグの冷却・
固化装置である。
【図4】2基の水冷ロールを備えた溶融スラグの冷却・
固化装置である。
【図5】1基の水冷ロールを備えた溶融スラグの冷却・
固化装置である。
【図6】スラグ中の塩素含有率と塩素溶出濃度の関係を
示す図である。
【図7】(1)式に示す成分比とスラグ中の塩素含有率
の関係を示す図である。
【図8】溶融スラグを徐冷した場合における(1)式に
示す成分比と塩素溶出濃度の関係を示す図である。
【図9】溶融スラグを急冷した場合における(1)式に
示す成分比と塩素溶出濃度の関係を示す図である。
【符号の説明】
10 成分調整工程 20 電気抵抗式溶融炉 21 電極 21 排ガス排出口 22 溶融塩排出口 23 スラグ排出口 24 メタル排出口 30 急冷処理工程 31,31a,31b 水冷ドラム 32 冷却水の噴霧ノズル 33 水冷壁 34,34a,34b 水冷ロール 35 冷却水の流路 40 溶融塩層 41 溶融スラグ層 42 溶融メタル層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−89923(JP,A) 特開 平4−317436(JP,A) 特公 平1−24739(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B09B 3/00 - 5/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 都市ごみ焼却炉から発生した飛灰又は該
    飛灰が混合された焼却残渣に、Ca及び/又はMgを含
    む成分調整材、又はSi及び/又はAlを含む成分調整
    材を加えて、下記の(1)式によって求められる成分比
    の値を0.7〜2.0の範囲になるように調整した後、
    還元性雰囲気に保持された溶融炉に装入して溶融し、こ
    の溶融物を溶融炉内に滞留させて溶融スラグ層と溶融塩
    層と溶融メタル層とに分離して、溶融スラグを分別して
    排出し、この溶融スラグを急冷処理することを特徴とす
    塩素溶出濃度の低いスラグの製造方法。 成分比(モル比)=(Ca+Mg)/(Si+Al) ・・・(1)
  2. 【請求項2】 溶融スラグを水と接触させる方法により
    急冷することを特徴とする請求項1に記載の塩素溶出濃
    度の低いスラグの製造方法
  3. 【請求項3】 溶融スラグを水冷した金属面に接触させ
    て急冷することを特徴とする請求項1に記載の塩素溶出
    濃度の低いスラグの製造方法
  4. 【請求項4】 溶融スラグを金属製水冷ドラムの外周面
    上に供給して急冷することを特徴とする請求項1に記載
    塩素溶出濃度の低いスラグの製造方法
  5. 【請求項5】 溶融スラグを金属製水冷ロールの外周面
    上に供給して急冷することを特徴とする請求項1に記載
    塩素溶出濃度の低いスラグの製造方法
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