JP2887466B2 - 安定なスラグの製造方法 - Google Patents

安定なスラグの製造方法

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JP2887466B2
JP2887466B2 JP8148241A JP14824196A JP2887466B2 JP 2887466 B2 JP2887466 B2 JP 2887466B2 JP 8148241 A JP8148241 A JP 8148241A JP 14824196 A JP14824196 A JP 14824196A JP 2887466 B2 JP2887466 B2 JP 2887466B2
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泰典 柴田
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彰 加賀
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    • C04B5/00Treatment of  metallurgical  slag ; Artificial stone from molten  metallurgical  slag 
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    • C04B2103/0068Ingredients with a function or property not provided for elsewhere in C04B2103/00
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ごみ焼却灰、ごみ
焼却飛灰、石炭灰、下水汚泥、その他の汚泥等の廃棄物
の溶融処理による溶融スラグ、石炭等の燃焼によるクリ
ンカ、鉱石からの金属精製によって副生するスラグ等を
水冷して水冷スラグ(水砕スラグ)を製造する方法にお
いて、冷却水の水質や溶融条件を監視し、調整すること
により、安定なスラグを得ることに関するものであり、
天然骨材の代替として、土木資材、建築資材、水産資材
等への利用を促進するものである。
【0002】
【従来の技術】溶融スラグとなる融液を水冷により冷却
する方法として、従来は、多量の水が入ったタンクに融
液を投入するか、圧力水を融液に衝突させる方法が行わ
れていた。これらの方法ではいずれも、水は外部に引き
出され、空冷や水冷を行ったのち、再循環されており、
この際、スラグにより持ち出された水量、及び蒸発で失
われた水量のみが補給されていた。このように、従来の
方法は、水量のみの監視を行っており、水への溶解物質
量等の監視及び調整は行われていなかった。
【0003】したがって、冷却水への溶解物質量が増加
すれば、スラグに水が付着することにより、スラグに入
り込むPb等の有害物の量が増加することになり、スラ
グの溶出試験における有害物の量が土壌環境基準値を超
えてしまい、スラグの利用が阻害されていた。また、灰
の塩基度を調整し、還元雰囲気で溶融することが確実に
行われていなかったため、スラグ中のPb含有量が高く
なり、かつ、スラグ溶出液のpHが8よりも低くなってい
た。また、特開平4−326975号公報には、廃棄物
を溶融した後、溶融炉雰囲気圧力の沸騰温度よりも2〜
50℃低い範囲で±10℃に維持された熱水中に、又は
/及びpH8.0〜13.0に調整された熱水中に、融液
を流下・冷却してスラグを製造する方法が記載されてい
る。しかし、この公報記載の方法は、高強度で表面に凹
凸のあるスラグを製造することを目的とするもので、ス
ラグ中の有害物含有量を低減させることについては何ら
言及されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来
は、溶融スラグの冷却水の水質を管理していなかったた
め、冷却水に溶解したPb等の有害物がスラグに付着
し、利用のための基準となる土壌環境基準値をしばしば
超えてしまい、スラグの利用が阻害されていた。このよ
うに、スラグの溶出試験において、Pb等の有害物の量
が土壌環境基準値を超えてしまうのは、冷却水の水質の
監視及び調整を行っていないことに起因する。
【0005】また、灰の塩基度を調整し、還元雰囲気で
溶融することにより、スラグ中のPb含有量が低くな
り、かつ、スラグ溶出液のpHが8よりも高くなり、Pb
の溶出量が低減されることから、スラグの溶出試験にお
いて、Pb等の有害物の量が土壌環境基準値を超えてし
まうのは、灰の塩基度の調整及び還元雰囲気で確実に溶
融することが行われていないことに起因する。
【0006】本発明は上記の諸点に鑑みなされたもの
で、本発明の目的は、溶融スラグの冷却水の水質を監視
し、水質調整を行うことにより、また、溶融条件の調
整、制御を行うことにより、スラグの利用促進につなが
る安定なスラグを製造する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の安定なスラグの製造方法は、溶融スラグ
を水冷して水冷スラグ(水砕スラグ)を製造する方法に
おいて、冷却水の導電率を導電率計で監視しながら、冷
却水の導電率が常に2〜200μS/cmの範囲になるよう
に、新鮮な水の投入量の調整及び水処理装置による水処
理の少なくともいずれかを行うことを特徴としている。
また、本発明の方法は、溶融スラグを水冷して水冷スラ
グ(水砕スラグ)を製造する方法において、冷却水のpH
をpH計で監視し、冷却水の導電率を導電率計で監視しな
がら、冷却水のpHが8.0〜12.4の範囲、かつ、冷
却水の導電率が2〜1000μS/cmの範囲になるよう
に、アルカリ物質の投入量を調整し、かつ、新鮮な水の
投入量の調整及び水処理装置による水処理の少なくとも
いずれかを行うことを特徴としている。
【0008】上記の本発明の方法においては、投入する
アルカリ物質として、石灰スラリーを用いることが望ま
しい。また、ごみ焼却飛灰とごみ焼却灰との混合割合を
調整し、又は/並びに石灰源材及びシリカ源材の少なく
ともいずれかを添加して、灰の塩基度(CaO/SiO
2 モル比)を0.7〜1.5の範囲に調整した後、還元
材の添加及び空気量の調整の少なくともいずれかを行っ
て、溶融雰囲気を還元状態とし、上記のいずれかの方法
を実施することが望ましい。上記の本発明の方法におい
ては、添加する還元材として、コークス、石炭及び廃棄
物固形燃料(RDF: Refuse Derived
Fuel)の少なくともいずれかを用いることが望ま
しい。また、以上の本発明の方法において、冷却水の温
度が50℃以下になるように、新鮮な水の投入量の調整
及び投入する水の冷却の少なくともいずれかを行うこと
が望ましい。
【0009】上記のように、冷却水の導電率は2〜20
0μS/cmの範囲、望ましくは、20〜100μS/cmの範
囲になるように監視・調整する。冷却水の導電率が20
0μS/cmを超える場合は、水への溶解物質量が多いの
で、スラグ中におけるPb等の有害物の量が土壌環境基
準値を超えてしまう結果となりやすく、一方、純水でも
導電率が2μS/cm前後であることから、導電率を2μS/
cm未満に調整することは現実的でない。
【0010】また、冷却水のpHを8.0〜12.4の範
囲、望ましくは、9.0〜11.0の範囲に監視・調整
する場合、冷却水の導電率は2〜1000μS/cmの範
囲、望ましくは、20〜800μS/cmの範囲になるよう
に監視・調整する。冷却水のpHが8.0未満の場合は、
水へのPb等の有害物の溶解度が高いので不都合であ
り、一方、pHが12.4を超える場合は、溶解物の反応
による難溶物の生成が進まず、Pb等の有害物の難溶化
が促進されないという不都合がある。そして、冷却水の
pHが上記の範囲内であっても、冷却水の導電率が100
0μS/cmを超える場合は、スラグに付着した水ととも
に、Pb等の有害物が固形物としてスラグに多く入り込
むので不都合である。
【0011】また、灰の塩基度(CaO/SiO2 モル
比)は0.7〜1.5の範囲、望ましくは、0.8〜
1.4の範囲に調整する。灰の塩基度が0.7未満の場
合は、スラグのpHが8.0以上とならないため、スラグ
からPb等の有害物が溶出しやすくなるという不都合が
あり、一方、灰の塩基度が1.5を超える場合は、灰の
融点が高くなって、安定溶融しにくくなり、かつ、Pb
等の有害物のスラグ内の安定化が低下するという不都合
がある。
【0012】また、冷却水の温度は50℃以下、望まし
くは、20〜40℃の範囲に保持する。冷却水の温度が
50℃を超える場合は、水へのPb等の有害物の溶解度
が高くなるとともに、スラグからの有害物の溶出量が多
くなり、冷却水の導電率を大きくする結果となる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図4を参照しなが
ら、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は
以下に述べる実施の形態に何ら限定されるものではな
い。図1は、本発明の実施の第1形態による安定なスラ
グの製造方法を実施する装置の概略を示している。本発
明の実施の第1形態は、新鮮な水の投入により冷却水の
導電率を調整する場合である。図1において、電気、油
燃焼等が熱源となるプラズマ炉、油バーナ炉等の溶融炉
10に、溶融スラグの原料となるごみ焼却灰、ごみ焼却
飛灰等が投入され、得られた融液(溶融スラグ)が、冷
却水槽12に供給される。冷却水槽12内における冷却
水の水質を管理するために、抜出ポンプ14を介して水
質調整槽16に送られた水は、水質調整槽16にて、導
電率計18により導電率が200μS/cm以下、望ましく
は、100μS/cm以下に保持されるように監視され、導
電率がこの値を超えると、導電率計18と接続されてい
る新鮮水流量調節弁20が開いて、新鮮な水が水質調整
槽16に供給され、導電率が調整されるようになってい
る。また、冷却水の温度を低く保持するために、水質調
整槽16にて、温度計22により水温が監視され、水温
が一定の値、例えば、50℃を超えると、温度計22と
接続されている循環水流量調節弁24が冷水機26側に
開いて、冷水機26により冷却された循環水が冷却水槽
12に供給され、水温が調整されるようになっている。
水温が好ましい一定の範囲に入っている場合は、循環水
は冷水機26をバイパスして流れる。なお、温度計2
2、冷水機26等を設けないで、冷却水の温度を監視・
調整しない構成とすることも可能である。28は、水質
調整槽16から出た水を循環させるための循環ポンプで
ある。冷却水槽12に供給された融液は、上記のように
水質が管理された水中に投入され冷却・破砕され、安定
なスラグとなる。そして、得られたスラグは、コンベア
30により冷却水槽12から搬出される。なお、冷却水
槽12における余剰水は、排水としてオーバーフロー口
32から排出される。
【0014】図2は、本発明の実施の第2形態による安
定なスラグの製造方法を実施する装置の概略を示してい
る。本発明の実施の第2形態は、水処理装置で水を浄化
することにより冷却水の導電率を調整する場合である。
図2において、溶融炉10に溶融スラグの原料が投入さ
れ、得られた融液が、冷却水槽12に供給される。冷却
水槽12内における冷却水の水質を管理するために、抜
出ポンプ14を介して水質調整槽16に送られた水は、
水質調整槽16にて、導電率計18により導電率が20
0μS/cm以下、望ましくは、100μS/cm以下に保持さ
れるように監視され、導電率がこの値を超えると、導電
率計18と接続されている循環水流量調節弁34が水処
理装置36側に開いて、水処理装置36により浄化され
た水が、浄化水タンク38、浄化水循環ポンプ40を介
して、冷却水槽12に供給され、導電率が調整されるよ
うになっている。ここで、水処理装置36としては、一
例として、逆浸透膜、イオン交換膜などで構成された水
浄化装置等が挙げられる。なお、浄化水等を循環させる
のみでは、スラグによる水の持ち出しや蒸発等により、
冷却水槽12における冷却水の水量が少なくなる場合が
あるので、冷却水槽12にレベル計42を設置して水量
を監視し、水量が足りなくなれば、レベル計42と接続
されている新鮮水流量調節弁44が開いて、新鮮な水が
冷却水槽12に供給され、水量が確保されるようになっ
ている。冷却水槽12に供給された融液は、上記のよう
に水質が管理された水中に投入され、冷却・破砕され、
安定なスラグとなる。そして、得られたスラグは、コン
ベア30により冷却水槽12から搬出される。その他の
構成及び作用は、本発明の実施の第1形態の場合と同様
である。
【0015】図3は、本発明の実施の第3形態による安
定なスラグの製造方法を実施する装置の概略を示してい
る。本発明の実施の第3形態は、石灰スラリーの投入及
び新鮮な水の投入により、冷却水のpH及び導電率を調整
する場合である。図3において、溶融炉10に溶融スラ
グの原料が投入され、得られた融液が、冷却水槽12に
供給される。冷却水槽12内における冷却水の水質を管
理するために、抜出ポンプ14を介して水質調整槽16
に送られた水は、水質調整槽16にて、pH計46により
pHが8.0〜12.4の範囲、望ましくは、9.0〜1
1.0の範囲に保持されるように監視され、pHの値がこ
の範囲よりも酸性側にずれると、pH計46と接続されて
いる流量調節弁48が開いて、アルカリ物質である石灰
スラリーが水質調整槽16に供給され、pHが調整される
ようになっている。なお、石灰スラリー以外の他のアル
カリ物質を用いてpHを調整することも勿論可能である。
また、水質調整槽16内の水は、水質調整槽16にて、
導電率計18により導電率が1000μS/cm以下、望ま
しくは、800μS/cm以下に保持されるように監視さ
れ、導電率がこの値を超えると、導電率計18と接続さ
れている新鮮水流量調節弁20が開いて、新鮮な水が水
質調整槽16に供給され、導電率が調整されるようにな
っている。その他の構成及び作用は、本発明の実施の第
1形態の場合と同様である。
【0016】図4は、本発明の実施の第4形態による安
定なスラグの製造方法を実施する装置の概略を示してい
る。本発明の実施の第4形態は、石灰スラリーを投入
し、かつ、水処理装置で水を浄化することにより、冷却
水のpH及び導電率を調整する場合である。図4におい
て、溶融炉10に溶融スラグの原料が投入され、得られ
た融液が、冷却水槽12に供給される。冷却水槽12内
における冷却水の水質を管理するために、抜出ポンプ1
4を介して水質調整槽16に送られた水は、水質調整槽
16にて、pH計46によりpHが8.0〜12.4の範
囲、望ましくは、9.0〜11.0の範囲に保持される
ように監視され、pHの値がこの範囲よりも酸性側にずれ
ると、pH計46と接続されている流量調節弁48が開い
て、アルカリ物質である石灰スラリーが水質調整槽16
に供給され、pHが調整されるようになっている。また、
水質調整槽16内の水は、水質調整槽16にて、導電率
計18により導電率が1000μS/cm以下、望ましく
は、800μS/cm以下に保持されるように監視され、導
電率がこの値を超えると、導電率計18と接続されてい
る循環水流量調節弁34が水処理装置36側に開いて、
水処理装置36により浄化された水が、浄化水タンク3
8、浄化水循環ポンプ40を介して、冷却水槽12に供
給され、導電率が調整されるようになっている。その他
の構成及び作用は、本発明の実施の第1、第2、第3形
態の場合と同様である。
【0017】つぎに、安定なスラグを製造するための溶
融スラグの冷却水の条件及び溶融条件について説明す
る。まず、溶融スラグの冷却水の条件について説明す
る。冷却水の水質の監視は、それぞれ導電率計、温度
計、pH計で行うのが好ましい。 導電率の適正値 通常、冷却水のpHは6〜8の範囲であり、この範囲で
は、水へのPb等の有害物の溶解度が高いので、冷却水
の導電率を200μS/cm以下、望ましくは、100μS/
cm以下とすることにより、水への溶解物質量は微量とな
るため、スラグに冷却水が付着しても、スラグの溶出試
験におけるPb等の有害物の溶出量を土壌環境基準値以
下に抑えることができる。 温度の適正値 通常、冷却水の温度は30〜60℃の範囲である。冷却
水のpHが6〜8である場合、水温が高くなると、水への
Pb等の有害物の溶解度が高くなるとともに、スラグか
らの有害物の溶出量が多くなり、その結果、冷却水の導
電率が速く高くなり、大きくなる。したがって、冷却水
の温度を可能な限り、低く保持することが重要である。 pHの適正値 pHが8.0〜12.4の範囲、望ましくは、9.0〜1
1.0の範囲内では、スラグ成分の溶解と溶解物の反応
による難溶物の生成が繰り返される。冷却水の温度が6
0℃程度以下では、難溶物の生成が支配的となり、スラ
グに冷却水が付着しても、スラグの溶出試験におけるP
b等の有害物の溶出量を土壌環境基準値以下に抑えるこ
とができる。 以上のように、導電率、温度、pHで冷却水の水質を監視
するのが好ましいが、導電率を200μS/cm以下、望ま
しくは、100μS/cm以下にすれば、冷却水へのPb等
の有害物の溶解量が微量となり、温度、pHによらず、安
定なスラグを製造することができる。
【0018】つづいて、冷却水の水質の調整について説
明する。循環水等の冷却水の導電率を上記のようにして
監視し、新鮮な水を投入することにより、あるいは、逆
浸透膜、イオン交換膜などで構成された水浄化装置等の
水処理装置を組み込むことにより、冷却水への溶解物質
を低減し、導電率を200μS/cm以下、望ましくは、1
00μS/cm以下に保持することが必要である。ただし、
溶融原料中にPb等の有害物が多い場合には、排ガスの
リーク、高温のスラグからの有害物の溶出増大により、
冷却水中の有害物濃度が高くなるので、冷却水の導電率
を低く保持するためには、多量の水の補給が必要とな
る。この場合、導電率の調整だけでなく、冷却水のpHを
8.0〜12.4の範囲、望ましくは、9.0〜11.
0の範囲に調整することにより、Pb等の有害物を難溶
化することができ、多量の水の補給が必要なくなる。た
だし、この場合でも、冷却水の導電率が高くなりすぎる
と、スラグに付着した水とともに、Pb等の有害物が固
形物としてスラグに多く入り込むので、1000μS/cm
以下、望ましくは、800μS/cm以下の導電率を保持す
る必要がある。なお、冷却水のpHを調整する際に投入す
るアルカリ物質としては、上述した石灰スラリーの他
に、ドロマイトスラリー、セメントスラリー、高炉スラ
グスラリー等が挙げられる。
【0019】次に、溶融スラグの溶融条件について説明
する。 灰の塩基度の調整 塩基度の異なるごみ焼却灰とごみ焼却飛灰(石灰分が多
い)との混合割合を調整し、あるいは、高炉スラグ、コ
ンクリート廃材、石灰石等の石灰源材又は/及び石炭
灰、ケイ石等のシリカ源材を灰に加えて、塩基度(Ca
O/SiO2 モル比)を0.7〜1.5の範囲に調整す
ることで、溶融スラグの融液の流動性が良好となり、
鉄、鉛(Pb)等の比重の大きい物質は金属融液に移行
し、スラグ融液中の鉄、Pb等の比重の大きい物質が減
少する。なお、焼却飛灰単独では溶融処理できないが、
このようにすれば、焼却飛灰をも溶融処理することがで
きる。 溶融雰囲気の調整 灰にコークス、石炭、廃棄物固形燃料(RDF)等の還
元材を加えるか、空気量を調整して、溶融雰囲気を還元
状態とすることにより、鉄、銅、Pb、Cr等の金属融
液への移行が促進され、スラグ中の有害重金属の含有量
が減少する。スラグ中のPb等の含有量が減少すれば、
Pb等の溶出量が減少し、土壌環境基準値を満足させる
ことができる。
【0020】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例及びその比較例
について説明する。 実施例1 ごみ焼却灰をプラズマ溶融炉を用いて溶融し、融液を導
電率30μS/cmの冷却水に投入して、水冷スラグを製造
し、その後、固液分離を行って、含水率20%のスラグ
を得た。このスラグについて、環境庁告示46号の方法
で溶出試験を行った結果、すべての項目において、土壌
環境基準値を満足した。
【0021】実施例2 ごみ焼却灰とごみ焼却飛灰との混合灰をプラズマ溶融炉
を用いて溶融し、導電率が150μS/cmで、石灰スラリ
ーを加えてpHを10.5に調整した冷却水中に融液を投
入して、水冷スラグを製造した。その後、スラグの固液
分離を行って、含水率22%のスラグを得た。このスラ
グについて、環境庁告示46号の方法で溶出試験を行っ
た結果、すべての項目において、土壌環境基準値を満足
した。
【0022】実施例3 塩基度0.6のごみ焼却灰100重量部に対して、塩基
度2.7のごみ焼却飛灰20重量部を添加して、塩基度
が0.95の混合灰にした後、この混合灰100重量部
にコークス3重量部を添加し、これをプラズマ溶融炉で
溶融し、導電率60μS/cm、温度40℃の冷却水中に融
液を投入して、水冷スラグを製造し、その後、固液分離
を行って、含水率19%のスラグを得た。スラグのPb
含有量は25mg/kgであり、また、このスラグについて
溶出試験を行った結果、すべての項目において、土壌環
境基準値を満足した。
【0023】実施例4 塩基度2.7のごみ焼却灰100重量部に対して、塩基
度0.09の石炭灰100重量部を添加して、塩基度が
1.4の混合灰にした後、この混合灰100重量部に廃
棄物固形燃料(RDF)5重量部を添加し、これをプラ
ズマ溶融炉で溶融し、導電率70μS/cm、温度50℃の
冷却水中に融液を投入して、水冷スラグを製造し、その
後、固液分離を行って、含水率24%のスラグを得た。
スラグのPb含有量は15mg/kgであり、また、このス
ラグについて溶出試験を行った結果、すべての項目にお
いて、土壌環境基準値を満足した。
【0024】実施例5 ごみ焼却灰を油バーナ炉を用いて溶融し、融液を、pH
7.5、導電率50μS/cm、温度40℃の冷却水に投入
して、水冷スラグを製造し、その後、固液分離を行っ
て、含水率22%のスラグを得た。このスラグについ
て、環境庁告示46号の方法で溶出試験を行った結果、
Pbの溶出量は、土壌環境基準値(<0.01ppm)を
満足した。
【0025】比較例1 ごみ焼却灰をプラズマ溶融炉を用いて溶融し、融液をpH
7.6、導電率300μS/cmの冷却水に投入して、水冷
スラグを製造し、その後、固液分離を行って、含水率1
9%のスラグを得た。このスラグについて、環境庁告示
46号の方法で溶出試験を行った結果、Pbの溶出量が
0.04ppmとなり、土壌環境基準値(<0.01ppm)
を超えた。
【0026】比較例2 ごみ焼却灰とごみ焼却飛灰との混合灰をプラズマ溶融炉
を用いて溶融し、導電率が1200μS/cmで、石灰スラ
リーを加えてpHを10.5に調整した冷却水中に融液を
投入して、水冷スラグを製造した。その後、スラグの固
液分離を行って、含水率20%のスラグを得た。このス
ラグについて、環境庁告示46号の方法で溶出試験を行
った結果、Pbの溶出量が0.09ppmとなり、土壌環
境基準値(<0.01ppm)を超えた。
【0027】比較例3 塩基度0.6のごみ焼却灰をプラズマ溶融炉を用いて溶
融し、融液をpH7.3、導電率275μS/cmの冷却水に
投入して、水冷スラグを製造し、その後、固液分離を行
って、含水率21%のスラグを得た。スラグのPb含有
量は70mg/kgであり、また、このスラグについて、環
境庁告示46号の方法で溶出試験を行った結果、Pbの
溶出量が0.06ppmとなり、土壌環境基準値(<0.
01ppm)を超えた。
【0028】比較例4 ごみ焼却灰を油バーナ炉を用いて溶融し、融液を、pH
8.2、導電率330μS/cm、温度80℃の冷却水に投
入して、水冷スラグを製造し、その後、固液分離を行っ
て、含水率19%のスラグを得た。このスラグについ
て、環境庁告示46号の方法で溶出試験を行った結果、
Pbの溶出量が0.06ppmとなり、土壌環境基準値
(<0.01ppm)を超えた。
【0029】
【発明の効果】本発明は上記のように構成されているの
で、つぎのような効果を奏する。 (1) 冷却水の導電率、pH、温度や溶融条件を監視
し、調整することにより、安定なスラグを製造すること
ができ、天然骨材の代替として、土木資材、建築資材、
水産資材等へのスラグの利用を促進することができる。 (2) 冷却水の導電率、pH、温度や溶融条件を監視
し、調整することにより、スラグ中のPb等の有害物の
含有量を減少させることができ、その結果、土壌等への
Pb等の有害物の溶出量を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1形態による安定なスラグの
製造方法を実施する装置を示す概略系統図である。
【図2】本発明の実施の第2形態による安定なスラグの
製造方法を実施する装置を示す概略系統図である。
【図3】本発明の実施の第3形態による安定なスラグの
製造方法を実施する装置を示す概略系統図である。
【図4】本発明の実施の第4形態による安定なスラグの
製造方法を実施する装置を示す概略系統図である。
【符号の説明】
10 溶融炉 12 冷却水槽 14 抜出ポンプ 16 水質調整槽 18 導電率計 20、44 新鮮水流量調節弁 22 温度計 24、34 循環水流量調節弁 26 冷水機 28 循環ポンプ 30 コンベア 32 オーバーフロー口 36 水処理装置 38 浄化水タンク 40 浄化水循環ポンプ 42 レベル計 46 pH計 48 流量調節弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加賀 彰 神戸市中央区東川崎町1丁目1番3号 川崎重工業株式会社 神戸本社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C04B 5/02 B09B 3/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融スラグを水冷して水冷スラグを製造
    する方法において、 冷却水の導電率を導電率計で監視しながら、冷却水の導
    電率が常に2〜200μS/cmの範囲になるように、新鮮
    な水の投入量の調整及び水処理装置による水処理の少な
    くともいずれかを行うことを特徴とする安定なスラグの
    製造方法。
  2. 【請求項2】 溶融スラグを水冷して水冷スラグを製造
    する方法において、 冷却水のpHをpH計で監視し、冷却水の導電率を導電率計
    で監視しながら、冷却水のpHが8.0〜12.4の範
    囲、かつ、冷却水の導電率が2〜1000μS/cmの範囲
    になるように、アルカリ物質の投入量を調整し、かつ、
    新鮮な水の投入量の調整及び水処理装置による水処理の
    少なくともいずれかを行うことを特徴とする安定なスラ
    グの製造方法。
  3. 【請求項3】 投入するアルカリ物質として、石灰スラ
    リーを用いる請求項2記載の安定なスラグの製造方法。
  4. 【請求項4】 ごみ焼却飛灰とごみ焼却灰との混合割合
    を調整し、又は/並びに石灰源材及びシリカ源材の少な
    くともいずれかを添加して、灰の塩基度を0.7〜1.
    5の範囲に調整した後、 還元材の添加及び空気量の調整の少なくともいずれかを
    行って、溶融雰囲気を還元状態とし、請求項1、2、3
    のいずれかに記載の方法を実施する安定なスラグの製造
    方法。
  5. 【請求項5】 添加する還元材として、コークス、石炭
    及び廃棄物固形燃料の少なくともいずれかを用いる請求
    項4記載の安定なスラグの製造方法。
  6. 【請求項6】 冷却水の温度が50℃以下になるよう
    に、新鮮な水の投入量の調整及び投入する水の冷却の少
    なくともいずれかを行う請求項1〜5のいずれかに記載
    の安定なスラグの製造方法。
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