JP3364844B2 - 共役ジエン系ゴム状重合体組成物及びその製造方法並びにそれを用いたゴム変性芳香族ビニル系共重合体樹脂とその製造法 - Google Patents

共役ジエン系ゴム状重合体組成物及びその製造方法並びにそれを用いたゴム変性芳香族ビニル系共重合体樹脂とその製造法

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JP3364844B2 JP33836593A JP33836593A JP3364844B2 JP 3364844 B2 JP3364844 B2 JP 3364844B2 JP 33836593 A JP33836593 A JP 33836593A JP 33836593 A JP33836593 A JP 33836593A JP 3364844 B2 JP3364844 B2 JP 3364844B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スチ−ムストリッピン
グ法で凝固した時にクラムが適度な粒子径を有し、脱
水、乾燥性が改善され、耐コルドフローおよびホットフ
ロ−性に優れていると共に、スチレンモノマ−に溶解し
た時の、溶液粘度が極めて低く、耐衝撃性付与成分とし
て、スチレン系樹脂などの製造に使用した場合、耐衝撃
性と光沢のバランスの改善された耐衝撃性樹脂を与える
共役ジエン系ゴム状重合体組成物の製造方法、この方法
で得られる共役ジエン系ゴム状重合体組成物、これを用
いたゴム変性芳香族ビニル系共重合体樹脂とその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】スチレン系樹脂は、成形性や物理的特性
に優れていることに加え、安価であることから種々の用
途に使用されており、特に、ポリブタジエン等のゴム状
重合体で変性されたHIPSやABS樹脂等のゴム変性
スチレン系樹脂は、優れた耐衝撃性等の特性を有してお
り、家電分野等に広く利用されてきている。
【0003】HIPSやABS樹脂等のゴム変性スチレ
ン系樹脂の製造においては、強靱化剤として、ポリブタ
ジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴムが従来か
ら用いられているが、一般にポリブタジエンゴムの方が
優れた耐衝撃性を与える。ポリブタジエンゴムには、リ
チウム系触媒によって溶液重合して得られるシス−1,
4含有量が25〜45%程度である低シスポリブタジエ
ンゴム、チ−グラ−系触媒によって溶液重合して得られ
るシス−1,4含有量が90%以上である高シスポリブ
タジエンゴム等があり、ゴム変性スチレン系樹脂の有用
な強靱化剤として広く用いられている。
【0004】しかしながら、近年、HIPSやABS樹
脂等のゴム変性スチレン系樹脂の用途が多様化し、特に
耐衝撃性と光沢が大幅に改善されたゴム変性スチレン系
樹脂が益々要求される傾向にある。耐衝撃性を改善させ
るには、強靱化剤としてのポリブタジエンゴムの充填量
を増加させればよいが、ポリブタジエンゴム量を増加す
ると耐衝撃性は改良されるものの、ゴム変性スチレン系
樹脂製造工程において溶液粘度が高くなり、攪拌、輸送
が困難となるばかりでなく、ゴム変性スチレン系樹脂の
表面光沢も著しく低下するという欠点を有している。
【0005】ゴム変性スチレン系樹脂の表面光沢を改良
する方法として、特開昭51−131590号公報に
は、比較的低い溶液粘度を持つポリブタジエンゴムを用
いる方法が開示されているが、光沢改良効果は充分では
ない。また、特開昭58−4934号公報、特開平2−
229818号公報等には、耐衝撃性を改良する方法と
して、溶液粘度の極めて低いポリブタジエンゴムを多量
使用する方法が開示されている。この方法により耐衝撃
性は改良されるが、溶液粘度の極めて低いポリブタジエ
ンゴムは、製造時の凝固、乾燥が困難なこと、更にコ−
ルドフロ−し易くその防止のため包装、貯蔵法等に特別
な配慮を必要とする等問題点が多い。
【0006】また、HIPSの表面光沢と耐衝撃性を改
善するためにスチレン−ブタジエンブロック共重合体を
使用する方法が種々提案されている。その一つとして特
開平4−198342号公報には、第1段の重合で活性
ポリスチレンを生成させ、第2段の重合では活性ポリス
チレンの存在下にブタジエンと重合触媒を添加して重合
を継続し、重合完結後四塩化ケイ素でカップリングして
得られるポリスチレン−ポリブタジエンブロック共重合
体を含むゴム組成物の使用が開示されている。開示のゴ
ム組成物は凝固時に適度な粒子径を有するクラムとな
り、本来は脱水され易いのであるが、脱水および乾燥工
程においても脱水が充分でないという問題点がある。ま
た、このゴム組成物を用いたスチレン系耐衝撃性樹脂は
表面光沢と耐衝撃性のバランスが充分ではなく改良が必
要である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、このよ
うな背景に鑑み、重合後の凝固工程でクラムが適度な粒
子径を有し、脱水、乾燥工程で充分に脱水することがで
き、コールドフロー性も改善された、表面光沢と耐衝撃
性のバランスに優れたスチレン系耐衝撃性樹脂の製造を
可能とするスチレン−ブタジエン系ブロック共重合体を
含むゴム組成物の製造方法を開発すべく鋭意検討した結
果、上記開示方法において、第1段の重合時に特定量の
ブタジエンの存在下にスチレンを重合すること、得られ
たブロック共重合体を含むゴム組成物中のブロックスチ
レン量を一定量以下とすることによって上記の製造上の
問題点が改善され、更にこのゴム成分を用いることによ
り高度の有するHIPSやABS樹脂等のゴム変性芳香
族ビニル系共重合体樹脂が得られることを見出し、その
知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0008】従って、本発明の目的は、スチ−ムストリ
ッピング法により重合体溶液から生成重合体組成物を適
度な粒子径を有するクラム状に凝固させることができ、
脱水性が改善された優れた性能を有する共役ジエン系ゴ
ム状重合体組成物の製造方法を提供することにある。ま
た、本発明の他の目的は、このような方法で製造され、
乾燥性、成形性及び、コ−ルドフロ−性に優れた溶液粘
度が極めて低い共役ジエン系ゴム状重合体組成物を提供
することにある。更に、本発明の他の目的は、この共役
ジエン系ゴム状重合体組成物をゴム成分として使用する
ことにより、高度の耐衝撃性と光沢のバランスを有する
HIPSやABS樹脂等のゴム変性芳香族ビニル系共重
合体樹脂を提供することにある。更に、本発明の他の目
的は、このように高度の耐衝撃性と光沢のバランスが付
与されたHIPSやABS樹脂等のゴム変性芳香族ビニ
ル系共重合体樹脂の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、芳
香族ビニルモノマーと共役ジエンモノマ−を有機アルカ
リ金属触媒を用いて重合するに際し、芳香族ビニルモノ
マー(A)の全量と共役ジエンモノマ−(B)の全量の
重量比〔(A)対(B)〕が3:97〜15:85の範
囲であり、第1工程で、使用する芳香族ビニルモノマー
(A)の全量と共役ジエンモノマ−(B)の一部を重量
比で(A)対(B)を9:1〜5:5の範囲の割合で仕
込み、有機溶媒中、使用する有機アルカリ金属触媒の全
量の2〜60モル%の存在下に重合せしめて、活性末端
を持つ芳香族ビニルポリマーと共役ジエンモノマ−との
共重合体を形成させ、引続き第2工程で、残りの有機ア
ルカリ金属触媒の全量と残りの共役ジエンモノマーの全
量を添加して有機溶媒中で重合せしめて、活性末端を持
つ芳香族ビニルモノマーと共役ジエンモノマーとのブロ
ック共重合体及び活性末端を持つ共役ジエン重合体を形
成させ、第3工程で活性重合体を含む重合反応系にカッ
プリング剤を添加し、全活性ポリマー量の60〜99重
量%をカップリングして、 a)芳香族ビニルモノマーの含有量が3〜15重量%、 b)共役ジエン部分のビニル結合含有量が10〜45重
量%、 c)5重量%スチレン溶液の粘度が5〜30cps、 d)ブロック芳香族ビニルモノマー含量が芳香族ビニル
モノマー含有量の90%以下、 e)カップリング重合体成分の含有量が60〜99重量
% であるゴム状重合体組成物を得ることを特徴とする共役
ジエン系ゴム状重合体組成物の製造方法であり、また、
この方法で得られる共役ジエン系ゴム状重合体組成物で
ある。
【0010】また、本発明は、芳香族ビニルモノマー、
又は芳香族ビニルモノマーとシアン化ビニルモノマーと
の共重合体、又は芳香族ビニルモノマーとシアン化ビニ
ルモノマーとこれらと共重合し得るビニルモノマーとの
共重合体からなるマトリックス樹脂100重量部に対し
て、3〜30重量部のゴム成分が粒子状に分散したゴム
変性芳香族ビニル系共重合体樹脂であり、上記マトリッ
クス樹脂は、その芳香族ビニルモノマー分含有量が60
〜100重量%であってシアン化ビニルモノマー分含有
量が0〜40重量%であり、かつ、その重量平均分子量
が60000〜180000であって分子量分布が3.
1以下であり、また、上記ゴム成分は、a)芳香族ビニ
ルモノマ−の含有量が3〜15重量%、b)共役ジエン
部分のビニル結合含有量が10〜45重量%、c)25
℃での5重量%スチレン溶液の粘度が5〜50cps、
d)ブロック芳香族ビニルモノマー含量が芳香族ビニル
モノマー含有量の90%以下、e)カップリング重合体
成分の含有量が60〜99重量%の範囲からなるカップ
リングブロック共重合体を含むゴム状重合体組成物であ
り、かつ、その分散粒子の平均粒径(Dw)が0.2〜
2μmであることを特徴とするゴム変性芳香族ビニル系
共重合体樹脂である。
【0011】更に、本発明は、芳香族ビニルモノマー含
有量が60〜100重量%であってシアン化ビニルモノ
マー含有量が0〜40重量%であるモノマー混合物10
0重量部に対し、ゴム成分としてa)芳香族ビニルモノ
マ−の含有量が3〜15重量%、b)共役ジエン部分の
ビニル結合含有量が10〜45重量%、c)25℃での
5重量%スチレン溶液の粘度が5〜50cps、d)ブ
ロック芳香族ビニルモノマー含量が芳香族ビニルモノマ
ー含有量の90%以下、e)カップリング重合体成分の
含有量が60〜99重量%の範囲であるカップリングブ
ロック共重合体を含むゴム状重合体組成物3〜30重量
部、並びに、溶媒2〜100重量部を配合して原料液を
調製し、この原料液に重合開始剤及び連鎖移動剤を添加
し、次いで上記モノマー混合物の重合転化率が40〜9
0%となるまで塊状重合又は溶液重合させ、得られた重
合反応混合物から揮発分を除去することを特徴とするゴ
ム変性芳香族ビニル系共重合体樹脂の製造方法である。
【0012】以下、本発明について詳細に説明する。先
ず、本発明の共役ジエン系ゴム状重合体組成物とその製
造方法について以下に説明する。本発明で用いられる芳
香族ビニルモノマ−としては、スチレン、o−メチルス
チレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ビ
ニルトルエン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン、
ビニルアントラセン等が挙げられるが、特にスチレンが
好ましい。本発明で用いられる共役ジエンモノマ−とし
ては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペン
タジエン、2,3−ジメチル−1,3−ヘキサジエン等
が挙げられるが、特に1,3−ブタジエン及びイソプレ
ンが好ましい。
【0013】本発明で用いられる芳香族ビニルモノマ−
と共役ジエンモノマ−の使用割合(芳香族ビニルモノマ
−:共役ジエンモノマ−)、重量比で3:97〜15:
85であり、好ましくは4:96〜10:90である。
芳香族ビニルモノマ−の重量割合が3より少ないと得ら
れたゴム状重合体組成物の凝固が困難となり、またコ−
ルドフロ−性が悪化し成形性が低下する。逆に、15よ
りも高くなると、このゴム状重合体組成物を用いて得ら
れる樹脂中の分散ゴムの粒子径分布が広くなる傾向があ
り耐衝撃性が低下し好ましくない。
【0014】本発明で用いられる有機アルカリ金属触媒
としては、代表的には一般式R−Mで示される有機モノ
アルカリ金属触媒(式中、Rはメチル、エチル、プロピ
ル、ブチル、アミル、ヘキシル等のアルキル基又はフェ
ニル、キシリル、ナフチル等のアリ−ル基であり、Mは
リチウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等のアルカ
リ金属である)が挙げられる。このアルカリ金属触媒の
具体例としては、メチルリチウム、エチルリチウム、プ
ロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチル
リチウム、tert−ブチルリチウム、リチウムナフタ
レン、リチウムアントラセン等が挙げられるが、n−ブ
チルリチウム及びsec−ブチルリチウムが汎用され
る。有機アルカリ金属触媒は、通常、芳香族ビニルモノ
マ−と共役ジエンモノマ−との混合物100g当たり、
0.1〜10ミリモルの範囲、好ましくは0.2〜7ミ
リモルの範囲で用いられる。
【0015】本発明で用いられるカップリング剤は、重
合体末端のアルカリ金属と反応し、鎖状または分岐重合
体を生成し得るものであれば特に限定されず、従来から
知られているカップリング剤が使用される。例えば、ト
リクロロメチルシラン、ジメチルジクロロシラン、シリ
コンテトラクロライド、テトラメトキシシラン等のシラ
ン化合物;炭酸ジエチル等の炭酸ジエステル類;ジビニ
ルベンゼン等のジビニル芳香族化合物;四塩化炭素等の
ハロゲン化合物;テトラクロロスズのようなスズ化合物
等が挙げられる。これらは単独で、あるいは2種類以上
組み合わせて用いることができる。
【0016】重合反応は、通常、炭化水素溶媒又はテト
ラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等の
有機アルカリ金属触媒を破壊しない溶媒で行われる。炭
化水素溶媒は通常、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、
脂環族炭化水素から選択される。特に、炭素数2〜12
のプロパン、ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−
ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、
1−ブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテ
ン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−
ヘキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベン
ゼン等が好ましい。これらの溶媒は2種類以上混合して
用いることもできる。
【0017】また、重合系には、共役ジエン単位のミク
ロ構造(1,2−結合含有量)を調節するために、テト
ラヒドロフラン、ジエチルエ−テル、ジオキサン、ジエ
チレングリコ−ルジメチルエ−テル等のエ−テル化合
物;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミ
ン、トリエチルアミン、ピリジン等のアミン化合物;ト
リフェニルホスフィン等のホスフィン化合物;等の極性
化合物を添加することができる。これらの極性化合物の
使用量は、通常、有機アルカリ金属触媒1モルに対して
0〜30モルである。
【0018】本発明のゴム状重合体組成物の製造方法
は、以下の3つの工程を順に実施することが特徴であ
る。先ず、第1の工程において、本発明のゴム状重合体
組成物を製造するために必要な、芳香族ビニルモノマ−
(A)の全量と共役ジエンモノマ−(B)の一部とを重
量比(A対B)9:1〜2:8の範囲、好ましくは9:
1〜4:6の範囲の割合で重合反応器に仕込み、必要な
有機アルカリ金属触媒の全量の2〜60モル%の存在下
に、有機溶媒中で重合せしめて、活性末端を有する芳香
族ビニルポリマ−と共役ジエンポリマ−とのリビング共
重合体を形成させる。この第1工程では、芳香族ビニル
モノマーを主とする重合体ブロック鎖と共役ジエンモノ
マーを主とする重合体ブロック鎖を有するブロック共重
合体を生成させるのが本発明の特徴である。尚、両ブロ
ック鎖の境界は明瞭に区別される必要はない。
【0019】共役ジエンモノマ−(B)に対する芳香族
ビニルモノマ−(A)の重量比(A/B)が9を越える
と、得られるゴム状重合体組成物のコ−ルドフロ−性や
スチ−ムストリッピング性は改良され、生成ゴム状重合
体組成物は適度な粒子径を有するクラム状に凝固する
が、本発明のゴム状重合体組成物を用いて得られる耐衝
撃性樹脂中の分散ゴム粒子径分布が広くなり耐衝撃強度
が低下する。また、共役ジエンモノマ−(B)に対する
芳香族ビニルモノマ−(A)の重量比(A/B)が1よ
り低いと、得られるゴム状重合体組成物を重合体溶液か
らスチ−ムストリッピングにより凝固させると微粒子状
のクラムとなり、脱水工程に掛けるのが困難となり脱水
が不十分となり好ましくない。また得られるゴム状重合
体組成物の耐コールドフロー性も悪化する。
【0020】有機アルカリ金属触媒の量は、本発明のゴ
ム状重合体組成物を製造するのに必要な全量の2〜60
モル%であることが必要である。2モル%未満では本発
明のゴム状重合体組成物を用いて得られる耐衝撃性樹脂
中の分散ゴム粒子径分布が大きくなり易く好ましくな
い。一方、60モル%を越えると、得られるゴム状重合
体組成物のコ−ルドフロ−が悪化し、該組成物のハンド
リング性が著しく低下する。好ましくは3〜50モル%
である。
【0021】次の第2工程では、第1工程で生成した活
性末端を持つ芳香族ビニルポリマ−と共役ジエンポリマ
−とのリビング共重合体が存在する重合反応系に、有機
アルカリ金属触媒の残りの全量を添加し、更に共役ジエ
ンモノマ−の残りの全量を仕込み、有機溶媒中にて重合
せしめて、活性末端を有する芳香族ビニルと共役ジエン
との共重合体と共役ジエンポリマ−とのブロック共重合
体及び活性末端を有する共役ジエンポリマ−の混合物を
形成させる。
【0022】最後の第3工程では、第2工程で得られた
活性末端を有するブロック共重合体及び活性末端を有す
る共役ジエンポリマ−が存在する重合反応系に、カップ
リング剤を添加して活性重合体をカップリングする。こ
のカップリング剤の使用量は、重合に使用した有機アル
カリ金属触媒1モル当たり0.1〜0.5モルの範囲が
好ましく、カップリングにより生成した重合体成分の含
有量はゴム状重合体組成物中60重量%以上、より好ま
しくは70〜99重量%であることが好ましい。60重
量%未満下では本発明ゴム状重合体組成物を使用した耐
衝撃性樹脂の耐衝撃性が低下し、該組成物のコ−ルドフ
ロ−性も悪くなる。
【0023】上記の方法で得られる本発明のゴム状重合
体組成物中の芳香族ビニルモノマー含有量は3〜15重
量%、好ましくは4〜10重量%である。3重量%未満
では耐コ−ルドフロ−性が悪く、15重量%を越えると
本発明のゴム状重合体組成物を用いて製造した耐衝撃性
樹脂の耐衝撃性が低くなる。
【0024】また、ブロック芳香族ビニルモノマー含有
量は芳香族ビニルモノマー含有量の90%以下、好まし
くは20〜80%、より好ましくは40〜78重量%で
ある。90%を越えると、本発明ゴム状重合体組成物の
コ−ルドフロ−性は改良されるものの、脱水性は悪くな
り、該組成物を使用して得られる耐衝撃性樹脂中の分散
ゴム粒子径分布が広くなり易く耐衝撃性が低下し、光沢
とのバランスが悪化する。また、20%未満になると該
組成物のコ−ルドフロ−性が悪くなり、成形性も低下す
る。なお、ここでいうブロック芳香族ビニル量はブロッ
クきょう重合体をOsO4 を触媒として有機過酸化物で
酸化分解する方法〔L. M. Kolthoff, etal., Polymer s
ci. ,Voll, 429(1948) 〕で測定したものである。
【0025】更に、本発明のゴム状重合体組成物はその
25℃での5重量%スチレン溶液の粘度が5〜50cp
sである。この粘度が5cpsより低いと、これをゴム
成分とする耐衝撃性樹脂の耐衝撃性が悪く、反対に、5
0cpsより高いと、光沢が悪くなる。また、このゴム
状重合体組成物のスチレン分含有量は3〜15重量%で
あり、このゴム成分中の芳香族ビニルモノマー分含有量
が3重量%未満であるとコ−ルドフロ−が悪くなり、ま
た、15重量%を越えると耐衝撃性が悪くなる。
【0026】上記した本発明のゴム状重合体組成物中の
カップリングブロック共重合体の構造は、活性ブロック
共重合体同志がカップリングした場合には、一般式で示
せば、〔(Z−X)n m Y(但し、Xは共役ジエンモ
ノマーを主とするブロック重合体であり、Zは共役ジエ
ンモノマーを主とするブロック重合体部分と共役ジエン
モノマー/芳香族ビニルモノマーのランダム重合体部分
又は当該共役ジエンモノマー/芳香族ビニルモノマーの
ランダム重合体部分と芳香族ビニルモノマーを主とする
ブロック重合体部分とからなり、重合体ブロックの芳香
族ビニルモノマー含量が結合スチレン量の90%以下、
好ましくは20〜80%の共重合体であり、Yは多官能
性カップリング剤の残基を示し、mは2以上の整数で多
官能性カップリング剤の官能基の数を示し、nは1以上
の整数である)で表される直鎖状及び分岐構造を有する
ブロック共重合体である。これ以外にブロック共重合体
としては、例えば四官能性カップリング剤でカップリン
グした場合を例にとれば、カップリング反応の系中には
活性芳香族ビニルモノマー共役ジエンモノマーブロック
共重合体と活性共役ジエンモノマー重合体が存在するか
ら、(X−Z)1-3Y(共役ジエンモノマー重合体)
3-1 で表される種々のカップリングブロック共重合体の
混合物が生成する。従って、本発明のゴム状重合体組成
物は、使用するカップリング剤の官能性に応じた種々の
カップリングブロック共重合体と活性共役ジエンモノマ
ー重合体同志がカップリングしたカップリング共役ジエ
ンモノマー重合体混合物から構成される。
【0027】次に、本発明のゴム変性芳香族ビニル系共
重合体樹脂について説明する。マトリックス樹脂は、芳
香族ビニルモノマー、又は芳香族ビニルモノマーとシア
ン化ビニルモノマーとの共重合体、又は芳香族ビニルモ
ノマーとシアン化ビニルモノマーとこれらと共重合し得
るビニルモノマーとの共重合体である。ただし、芳香族
ビニルモノマー分の含有量は60〜100重量%であ
り、シアン化ビニルモノマー分の含有量は0〜40重量
%であり、その他のビニルモノマー分の含有量は39重
量%以下である。シアン化ビニルモノマー分の含有量が
40重量%を超えるものは流動性が悪い。
【0028】なお、芳香族ビニルモノマーとしては前述
したものが利用できる。シアン化ビニルモノマーとして
は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニ
トリル、マレオニトリル、α−クロロアクリロニトリル
等を挙げることができ、これらと共重合し得るその他の
ビニル系モノマーとしては、アクリル酸ブチル等のアク
リル酸エステル類や、メタクリル酸メチル等のメタクリ
ル酸エステル類や、無水マレイン酸、フェニルマレイミ
ド、エチレン、プロピレン、ブタジエン、塩化ビニル等
を挙げることができる。
【0029】また、マトリックス樹脂の重量平均分子量
は60000〜180000、好ましくは95000〜
150000である。このマトリックス樹脂の重量平均
分子量が60000未満のものは耐衝撃性が悪く、反対
に、180000を超えるものは流動性が悪い。更に、
マトリックス樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は3.1
以下、好ましくは2.7以下である。この分子量分布が
3.1を越えると耐衝撃性が著しく悪くなる。なお、本
発明におけるマトリックス樹脂の重量平均分子量は、ゲ
ルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC法)によ
り求めたポリスチレン換算の重量平均分子量であり、ま
た、マトリックス樹脂の分子量分布は重量平均分子量を
求めたのと同様にして数平均分子量を求め、重量平均分
子量/数平均分子量の計算で求められる値である。
【0030】本発明のゴム成分であるゴム状重合体組成
物は、そのカップリングブロック共重合体が直鎖状又は
分岐状のブロック共重合体であるが、特に分岐状ブロッ
ク共重合体を含むゴム状重合体組成物をゴム変性芳香族
ビニル系共重合体樹脂のゴム成分として用いることによ
り、従来公知の直鎖状ポリブタジエンゴムや直鎖状スチ
レン−ブタジエンゴムを用いる場合よりも著しくその耐
衝撃性が向上する。この理由としては、分岐型ゴムは直
鎖状ポリブタジエンゴムや直鎖状スチレン−ブタジエン
ゴムに比較してその分子量が大きいためと考えられる。
また、従来から分岐型スチレン−ブタジエン共重合ゴム
(SBR)として3官能以上のカップリング剤でカップ
リングされた分岐型ランダムあるいはブロックSBRも
知られているが、同一反応条件では、その理由はよくわ
からないが、本発明中の分岐型ゴムの方が優れた強度物
性を示すことが確認されている。
【0031】ゴム成分はマトリックス樹脂中に粒子状に
分散しており、ゴム分散粒子の平均粒径(Dw)は0.
2〜2μm、好ましくは0.3〜1μmである。ゴム分
散粒子の平均粒径が0.2μm未満のものは耐衝撃性が
悪く、反対に、2μmを超えるものは光沢特性が悪い。
粒径分布は2.0以下が好ましく、2.0を越えると耐
衝撃性が著しく低下する。
【0032】そして、ゴム分散粒子が共重合体樹脂分を
内包しているものは、光沢特性と耐衝撃性のバランスが
よく、共重合体樹脂分のゴム分散粒子に対するグラフト
率が0.4〜2.0のものがよい。このグラフト率が
0.4未満のものは光沢、耐衝撃性の何れの物性とも劣
り、2.0を越えるものは特に流動性と耐衝撃性が悪く
なる。また、膨潤比は5〜15のものがよく、この膨潤
比が5未満のものは耐衝撃性が悪く、10を越えるもの
は光沢が悪くなる。
【0033】次に、本発明のゴム変性芳香族ビニル系共
重合体樹脂を溶液重合によって製造する方法について説
明する。芳香族ビニルモノマーとシアン化ビニルモノマ
ーとを含むモノマー混合物を、重合開始剤及び連鎖移動
剤により、ゴム成分及び溶媒の存在下にグラフト共重合
させる。使用できる溶媒としてはベンゼン、トルエン、
キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素化合物の
他、アセトン、メチルエチルケトン、アセトフェノン等
のケトン系化合物や、プロピルアルコール、フェノール
等のアルコール系化合物を挙げることができるが、芳香
族炭化水素化合物を単独で使用するか、芳香族炭化水素
化合物とケトン系化合物又はアルコール系化合物とを併
用するのが好ましい。溶媒の使用量はモノマー混合物1
00重量部に対して2〜100重量部である。溶媒の使
用量が少ないと反応液の粘度が高くなるため、ゴム分散
粒子の形成を制御し難くなり、多すぎると重合反応の効
率が悪くなる。
【0034】重合開始剤としては、有機過酸化物等のラ
ジカル開始剤を配合することが好ましい。用いられるラ
ジカル開始剤としては、例えばベンゾイルパ−オキサイ
ド、ラウロイルパ−オキサイド、タ−シャリブチルパ−
オキシ(2−エチルヘキサノネイト)、1,1−ビス
(タ−シャリブチルパ−オキシ)−3,3,5−トリメ
チルシクロヘキサン、ジ−タ−シャリブチルパ−オキシ
ヘキサハイドロテレフタレ−ト、アゾビスイソブチロニ
トリル、アゾビス−2−メチルブチロニトリル等の1種
又は2種以上を使用することができる。その使用量につ
いては、特に制限はないが、モノマー混合物100重量
部に対して0.005〜0.5重量部がよい。また、連
鎖移動剤としてはメルカプタン類、α−メチルスチレン
ダイマー、テルピリン等がある。そして、重合反応は完
全混合槽又はプラグフロ−型反応器あるいはこれらを組
み合わせた重合プロセスにより適宜攪拌下に重合温度8
0〜160℃で行うのがよい。
【0035】そして、本発明においては、連鎖移動剤の
種類や使用量及び添加位置を変えることにより、マトリ
ックス樹脂の分子量を制御することができる。また、連
鎖移動剤の種類や使用量の他、攪拌条件を変えることに
より、ゴム分散粒子の粒径を制御することができる。す
なわち、連鎖移動剤の使用量を多くするとマトリックス
樹脂の平均分子量が小さくなり、攪拌動力を大きくする
とゴム分散粒子の平均粒径が小さくなる傾向がある。
【0036】本発明のゴム成分を使用して得られた樹脂
に、例えばラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベ
ヘニン酸アミド、メチレンビスラウリン酸アミド、エチ
レンビスラウリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸
アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビ
スベヘニン酸アミド、エチレンビスベヘニン酸アミド等
の脂肪酸アミド系や、例えばラウリルアルコ−ル、ステ
アリルアルコ−ル等の脂肪族アルコ−ル系の添加剤を単
独で又は混合して0.5〜4重量%の範囲で配合する
と、光沢の金型温度依存性、すなわち射出成形時の金属
温度変化に対する光沢値の変動が著しく小さくなる。な
お、これらの添加剤は、重合プロセスの途中の段階で添
加してもよい。
【0037】また、本発明のゴム成分を用いて得られた
ゴム変性芳香族ビニル系共重合体樹脂には、例えばフォ
スファイト等の有機安定剤や、カルシウム、錫等の無機
安定剤や、フェノ−ル系、スルフィド系等の酸化防止剤
や、ベンゾフェノン系、サリチル酸フェニル等の紫外線
吸収剤や、ジメチルポリシロキサン等の各種ポリシロキ
サン、脂肪酸系、脂肪酸アミド系、エステル系、金属石
鹸等の滑剤や離型剤、その他目的に合わせて繊維補強
材、無機充填材、顔料、可塑剤、帯電防止剤、着色剤、
難燃剤等の種々の添加剤を配合することもできるが、こ
れらに限られるものではない。更に、これらの添加剤を
樹脂に配合する際には、添加剤を単独で配合してもよい
し、また、複数の種類の添加剤を配合してもよい。更に
他の樹脂とブレンドして成形に供することもできる。ま
た、これらの添加剤は、重合プロセスの途中の段階で添
加してもよい。
【0038】
【実施例】以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を
更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例及び比
較例に限定されるものではない。
【0039】最初にゴム成分の実施例について記載す
る。 〔実施例1〜6と比較例1〜4〕2m3 のステンレス製
オ−トクレ−ブに脱水処理されたシクロヘキサン700
kg、スチレン5kg及びブタジエン0.56kgを仕
込む。更に、n−ブチルリチウム1モル当たりテトラメ
チルエチレンジアミン0.1モルを添加し、これに重合
開始剤n−ブチルリチウム1.847モルを添加し、7
5℃で1時間30分重合を行った。次いで、n−ブチル
リチウム1.696モル及びブタジエン94.44gを
添加し、75℃で2時間重合を行い、活性末端を持つポ
リスチレンの活性末端からポリブタジエンのブロックを
形成させると共に、追加したn−ブチルリチウムにより
新たにポリブタジエンを形成させた。
【0040】重合終了後、重合反応系にn−ブチルリチ
ウム1モル当たり0.25モルのテトラメトキシシラン
を添加し、更に3時間カップリング反応を行った。しか
る後に、メタノ−ル0.2リットルを添加して反応を停
止させた。この重合反応系にゴム状重合体組成物100
重量部に対して4−メチル−ジ−t−ブチルフェノ−ル
を0.2重量部の割合で添加した後、オ−トクレ−ブの
内容物を温水中に注ぎ、スチ−ムを吹き込みながら脱溶
媒と凝固を行った。このようにして得られた含水ゴム状
重合体組成物を裁断し、60℃で24時間減圧下に乾燥
した。
【0041】このようにして得られた実施例1〜6及び
比較例1〜4のゴム状重合体組成物を下記の方法で評価
した。結果を表1に示す。 1)スチレン含有量及びポリブタジエン部分のビニル含
有量は、赤外分光分析法〔Hampton, Anal. Chem., 21,
923 (1949)〕により求めた。
【0042】2)重量平均分子量、カップリング率、及
びスチレンブロック部の分子量は、ゲルパ−ミエイショ
ンクロマトグラフィ−(GPC、カラム:東ソ社製G4
000H,G5000H;測定温度:38℃;流速:
1.0ml/分;溶媒:テトラヒドロフラン)を用いて
測定した。また、検量線は東ソ社製標準ポリスチレンに
て作成し、これから重量平均分子量を求めた。
【0043】3)ゴム状重合体組成物のコ−ルドフロ−
性を評価するため、ゴム状重合体組成物を圧縮成形(圧
縮圧力:160kg/cm2 ;温度:60℃;圧縮時
間:30秒;放置時間:3時間)し、3時間放置後の成
形品の外観状態を下記の基準で評価した。 評価基準 A:成形直後の形状を保持しており、成形物の角が垂れ
ずに残っている。 B:成形直後の形状を保持しているが、成形物の角が少
々垂れている。 C:形状が若干変形し、成形物の角が垂れている。 D:成形直後の形状が保持できず、フロ−する
【0044】4)ゴム状重合体組成物のホットフロ−性
を評価するため、JIS K6301記載の引張試験片
3号形ダンベルを成形し、100℃の高温槽に3号形ダ
ンベルの一方の端を固定して吊し、測定時間を短縮する
ためダンベルの残りの端に重りを付け、100mm伸び
るまでの時間を測定して評価した。
【0045】5)スチ−ムストリッピング性および脱水
性を評価するため、表1記載のゴム状重合体組成物の重
合体溶液(重合体濃度20重量%)を作成した。これら
の重合体溶液を200リットル/時間の割合で凝固タン
クに送る。重合体溶液が凝固タンクに入る直前に180
℃のスチ−ムを250kg/時間の割合で重合体溶液に
噴射させた。凝固タンクの温度が105℃、圧力が1k
g/cm2 G、クラム濃度が3重量%となるように水と
スチ−ムを凝固タンクに送り込み、重合溶媒をストリッ
ピングし、目的の重合体混合物の熱水に浮遊したスラリ
−を連続的に製造した。クラムをサンプリングし、外観
状態を下記の基準で評価した。また、得られたクラムを
押出型脱水機に掛け脱水機出口の含水率を測定し、クラ
ム形状と脱水機の含水率を加味した以下の基準で評価し
た。また、エクスパンション型乾燥機を用いて乾燥し、
乾燥後の含水率を測定した。これらの結果を表1に示し
た。
【0046】評価基準 A:ゴム状重合体粒子は小指の爪の大きさ(既述の適度
な粒子径に該当し、好ましい粒子径である)を有し、ス
トリッパ−器壁、攪拌器への付着が極めて少なく、移送
ポンプで詰まらない。また脱水性も優れている。 B:ゴム状重合体粒子は親指の爪大で、Aよりは大きい
が、ストリッパ−器壁、攪拌器への付着が少なく、移送
ポンプで詰まらない。脱水性は正常である。 C:ゴム状重合体粒子は、こぶし大で、ストリッパ−器
壁、攪拌器への付着が多くなり、移送ポンプでの詰まり
が発生する。脱水性は劣っている。 D:ゴム状重合体粒子は、小指の爪大であり、ストリッ
パ−器壁、攪拌器への付着は極めて少なく、移送ポンプ
で詰まらない。しかしながら、脱水性は極めて劣ってい
る。
【0047】
【表1】
【0048】次に、本発明のゴム成分を用いたゴム変性
スチレン系樹脂について実施例を挙げる。 〔実施例7〜9〕スチレン含有量75重量%、アクリロ
ニトリル含有量25重量%のモノマー混合物100重量
部に対して、エチルベンゼン30重量部、ゴム成分は1
3〜18重量部、有機過酸化物系の重合開始剤は0.0
85〜0.1重量部、及びt−ドデシルメルカプタン
(連鎖移動剤)は0.20〜0.5重量部の範囲でそれ
ぞれ混合してなる原料液を、完全混合槽とプラグフロ−
型反応器等を直列に組み合わせた連続重合プロセスで、
モノマー混合物の重合転化率が約60〜80%になるま
で連続溶液重合させた後、脱揮装置にて揮発分を除去し
てゴム成分含有量約13〜18重量%のABS樹脂を製
造した。なお、ゴム成分としては、前記実施例2で得ら
れた溶液粘度SVが20.1cpsのプロックブタジエ
ン−スチレンゴムを使用した。得られた樹脂の物性を測
定した。結果を表2に示す。
【0049】〔実施例10〕スチレンモノマー100重
量部に対して、エチルベンゼン20重量部、ゴム成分1
2重量部、有機過酸化物系の重合開始剤0.050重量
部、及びt−ドデシルメルカプタン(連鎖移動剤)0.
25重量部を混合してなる原料液を、完全混合槽とプラ
グフロ−型反応器等を直列組み合わせた連続重合プロセ
スで、モノマー混合物の重合転化率が約80%になるま
で連続溶液重合させた後、脱揮装置にて揮発分を除去し
てゴム成分含有量約13重量%のHI樹脂を製造した。
なお、ゴム成分としては、前記実施例7で使用したもの
と同じゴムを使用した。得られた樹脂の物性を測定し
た。結果を表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】〔比較例5〕スチレン分含有量が10重量
%で、25℃での5重量%スチレン溶液粘度が25cp
sであり、分岐構造を有さないスチレンブタジエンゴム
を使用したほかは、上記実施例7と同じ条件で樹脂を製
造した。得られた樹脂の物性を測定した。結果を表3に
示す。特にIZが低いことが判る。
【0052】〔比較例6〕25℃での5重量%スチレン
溶液粘度が4cpsのゴムを使用したほかは、実施例7
と同じ条件で樹脂を製造した。得られた樹脂の物性を測
定した。結果を表3に示す。
【0053】〔比較例7〕連鎖移動剤の追加でマトリク
ス樹脂の分子量を下げたほかは、実施例7と同じ条件で
樹脂を製造した。得られた樹脂の物性を測定した。結果
を表3に示す。
【0054】〔比較例8〕連鎖移動剤の途中追加でマト
リクス樹脂の分子量分布を広くしたほかは、実施例7と
同じ条件で樹脂を製造した。得られた樹脂の物性を測定
した。結果を表3に示す。
【0055】
【表3】
【0056】〔比較例9〕攪拌回転数を低減してゴム粒
子径を大きくしたほかは、実施例7と同じ条件で樹脂を
製造した。得られた樹脂の物性を測定した。結果を表4
に示す。
【0057】〔比較例10〕攪拌回転数を違えて異なる
ゴム粒子径を作り込んだ後重合液を混合しゴム粒径分布
を広げたほかは、実施例7と同じ条件で樹脂を製造し
た。得られた樹脂の物性を測定した。結果を表4に示
す。
【0058】〔比較例11〕反応を重合転化率34%で
終了したほかは、実施例7と同じ条件で樹脂を製造し
た。得られた樹脂の物性を測定した。結果を表4に示
す。
【0059】〔比較例12〕脱揮温度を下げて膨潤比を
大きくしたほかは、実施例7と同じ条件で樹脂を製造し
た。得られた樹脂の物性を測定した。結果を表4に示
す。
【0060】
【表4】
【0061】なお、上記表2〜4において、IZはAS
TM−D−256に準じて測定したアイゾット衝撃強度
を、MIはJIS−K−7210に準じて測定したメル
トフローレイト(220℃、10kg)を、光沢値はJ
IS−K−7105に準じて測定した値をそれぞれ示
す。また、ゴム分散粒子の平均粒子径(Dw)は、樹脂
を四酸化オスミウム染色し、超薄切片法による透過型電
子顕微鏡写真より200〜1000個のゴム粒子径を測
定し、重量平均粒子径を求めたものであり、楕円形をし
ている場合には、長径aと短径bとの平均、即ち(a+
b)/2をもって粒子径とした。更に、ゴム分散粒子の
粒子径分布(Dw/Dn)は、重量平均粒子径を求めた
と同様にして数平均粒子径を求め、重量平均粒子径/数
平均粒子径で粒子径分布を計算した。
【0062】また、グラフト率(g)は、試料A(約1
gを精秤)をアセトン30ccに分散し、不溶分を遠心
分離法にて分離して乾燥し、アセトン不溶分の重量
(B)を精秤し、次の式1で求めた。ただし、Cは試料
A中のゴム状重合体の含有率を示す。 グラフト率(g)=[(B/A)−C]/C 〔式1〕 膨潤比は、試料D(約1gを精秤)をトルエン/メチル
エチルケトンの1/1混合溶剤30ccに投入し、1時
間攪拌して溶解させた後、遠心分離して上澄みを除去
し、残存した膨潤物の重量(E)を精秤し、下記〔式
2〕により計算して求めた。 膨潤比=E/D 〔式2〕
【0063】
【発明の効果】本発明の共役ジエン系ゴム状重合体組成
物をゴム成分とするゴム変成芳香族ビニル系共重合体樹
脂は、光沢特性、耐衝撃性及び流動性の何れもが良好で
ある。また、本発明のゴム変成芳香族ビニル系共重合体
樹脂の製造方法によれば、光沢特性、耐衝撃性及び流動
性の何れにおいても良好な樹脂を容易に製造することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松田 弘明 神奈川県川崎市川崎区夜光1−2−1、 日本ゼオン株式会社 研究開発センター 内 (56)参考文献 特開 昭60−192739(JP,A) 特開 平5−331246(JP,A) 特開 平5−287033(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 297/04 C08F 8/42 C08F 279/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ビニルモノマ−と共役ジエンモノ
    マーとを有機アルカリ金属触媒を用いて重合するに際
    し、芳香族ビニルモノマー(A)の全量と共役ジエンモ
    ノマ−(B)の全量の重量比〔(A)対(B)〕が3:
    97〜15:85の範囲であり、第1工程で、使用する
    芳香族ビニルモノマー(A)の全量と共役ジエンモノマ
    −(B)の一部を重量比で(A)対(B)を9:1〜
    5:5の範囲の割合で仕込み、有機溶媒中、使用する有
    機アルカリ金属触媒の全量の2〜60モル%の存在下に
    重合せしめて、活性末端を持つ芳香族ビニルポリマーと
    共役ジエンモノマ−との共重合体を形成させ、引続き第
    2工程で、残りの有機アルカリ金属触媒の全量と残りの
    共役ジエンモノマーの全量を添加して有機溶媒中で重合
    せしめて、活性末端を持つ芳香族ビニルモノマーと共役
    ジエンモノマーとのブロック共重合体及び活性末端を持
    つ共役ジエン重合体を形成させ、第3工程で活性重合体
    を含む重合反応系にカップリング剤を添加し、全活性ポ
    リマー量の60〜99重量%をカップリングして、 a)芳香族ビニルモノマーの含有量が3〜15重量%、 b)共役ジエン部分のビニル結合含有量が10〜45重
    量%、 c)5重量%スチレン溶液の粘度が5〜30cps、 d)ブロック芳香族ビニルモノマー含量が芳香族ビニル
    モノマー含有量の90%以下、 e)カップリング重合体成分の含有量が60〜99重量
    % である共役ジエン系ゴム状重合体組成物を得ることを特
    徴とする共役ジエン系ゴム状重合体組成物の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の方法で得られる、 a)芳香族ビニルモノマ−の含有量が3〜15重量%、 b)共役ジエン部分のビニル結合含有量が10〜45重
    量%、 c)25℃での5重量%スチレン溶液の粘度が5〜50
    cps、 d)ブロック芳香族ビニルモノマー含量が芳香族ビニル
    モノマー含有量の90%以下、 e)カップリング重合体成分の含有量が60〜99重量
    %の範囲 である共役ジエン系ゴム状重合体組成物。
  3. 【請求項3】 芳香族ビニルモノマー、又は芳香族ビニ
    ルモノマーとシアン化ビニルモノマ−との共重合体、又
    は芳香族ビニルモノマーとシアン化ビニルモノマーとこ
    れらと共重合し得るビニルモノマーとの共重合体からな
    るマトリックス樹脂100重量部に対して、3〜30重
    量部のゴム成分が粒子状に分散したゴム変性芳香族ビニ
    ル系共重合体樹脂であり、上記マトリックス樹脂は、そ
    の芳香族ビニルモノマー分含有量が60〜100重量%
    であってシアン化ビニルモノマー分含有量が0〜40重
    量%であり、かつ、その重量平均分子量が60000〜
    180000であって分子量分布が3.1以下であり、
    また、上記ゴム成分は、a)芳香族ビニルモノマ−の含
    有量が3〜15重量%、b)共役ジエン部分のビニル結
    合含有量が10〜45重量%、c)25℃での5重量%
    スチレン溶液の粘度が5〜50cps、d)ブロック芳
    香族ビニルモノマー含量が芳香族ビニルモノマー含有量
    の90%以下、e)カップリング重合体成分の含有量が
    60〜99重量%の範囲からなるカップリングブロック
    共重合体を含むゴム状重合体組成物であり、かつ、その
    分散粒子の平均粒径(Dw)が0.2〜2μmであるこ
    とを特徴とするゴム変性芳香族ビニル系共重合体樹脂。
  4. 【請求項4】 芳香族ビニルモノマー含有量が60〜1
    00重量%であってシアン化ビニルモノマー含有量が0
    〜40重量%であるモノマー混合物100重量部に対
    し、ゴム成分としてa)芳香族ビニルモノマ−の含有量
    が3〜15重量%、b)共役ジエン部分のビニル結合含
    有量が10〜45重量%、c)25℃での5重量%スチ
    レン溶液の粘度が5〜50cps、d)ブロック芳香族
    ビニルモノマー含量が芳香族ビニルモノマー含有量の9
    0%以下、e)カップリング重合体成分の含有量が60
    〜99重量%の範囲であるカップリングブロック共重合
    体を含むゴム状重合体組成物3〜30重量部、並びに、
    溶媒2〜100重量部を配合して原料液を調製し、この
    原料液に重合開始剤及び連鎖移動剤を添加し、次いで上
    記モノマー混合物の重合転化率が40〜90%となるま
    で塊状重合又は溶液重合させ、得られた重合反応混合物
    から揮発分を除去することを特徴とするゴム変性芳香族
    ビニル系共重合体樹脂の製造方法。
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