JP3362528B2 - 電動パワーステアリング装置の制御装置 - Google Patents

電動パワーステアリング装置の制御装置

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JP3362528B2
JP3362528B2 JP28395094A JP28395094A JP3362528B2 JP 3362528 B2 JP3362528 B2 JP 3362528B2 JP 28395094 A JP28395094 A JP 28395094A JP 28395094 A JP28395094 A JP 28395094A JP 3362528 B2 JP3362528 B2 JP 3362528B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両の操舵系に電動モ
ータによる操舵補助力を付与するようにした電動パワー
ステアリング装置の制御装置に関し、特に制御装置の始
動時/停止時における制御の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、乗用車や産業用車両等に用いられ
る電動パワーステアリング装置の制御装置として、特開
昭62−181958号公報に示された制御装置等が知られてい
る。この電動式パワーステアリング装置の制御装置は、
定常状態での運転中等においてパワーステアリング装置
を停止すべき条件が検出された場合に、その後直ちに制
御装置が停止するのではなく、その後も一定期間は制御
装置が作動を継続し、制御信号の値を徐々に変化させて
電動モータの出力を漸減させた後に完全に停止するもの
である。このように一定期間をかけて緩やかに操舵トル
クを変化させることにより、キックバックによる不快感
を防止しているのである。すなわち、車両のイグニッシ
ョンスイッチをオン状態からオフ状態とした場合など
に、直ちに電動モータの制御を止めてステアリングホイ
ールの操舵力の補助を打ち切ると、操舵補助力によって
操舵系に蓄えられていた弾性エネルギーの開放等が即座
に行われてステアリングホイールにキックバックが発生
し、これによってステアリングホイールを介して車両等
の運転者に掛かる操舵トルクが突然に増大してステアリ
ングホイールが急激に重くなり、運転者にショックを与
えてしまうおそれがあったが、このようなキックバック
による不快感・違和感の解消を図ったものである。
【0003】一方、車両のイグニッションスイッチをオ
フ状態からオン状態とした場合などに、直ちに電動モー
タの制御を開始してステアリングホイールの操舵力の補
助を再開すると、運転者がステアリングホイールを操舵
中である場合、そのときの運転者の操舵トルクに対応し
た大きな操舵補助力が発生し、この操舵補助力が運転者
の操舵力に突然に加わって操舵輪の操舵力が急増し、ス
テアリングホイールが運転者の予想を超えて急に激しく
回転してしまって運転者に不快感や違和感を与えてしま
うおそれがあった。これに対しては、特開昭64−78976
号公報等に示された制御装置が知られている。これは、
パワーステアリング装置を始動すべき条件が検出された
後に、直ちにトルクセンサで検出したトルク検出信号に
対応する操舵補助力を電動モータに発生させるのではな
く、その後一定期間をかけて制御信号の値を徐々に変化
させて電動モータの出力を漸増させ、その一定期間後に
定常状態の制御に移行するものである。このように一定
期間をかけて緩やかに操舵トルクを変化させることによ
り、操舵トルクの突然の変動の防止を図っているのであ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように従来の電動
パワーステアリング装置の制御装置においては、イグニ
ッションスイッチ操作等に伴う制御装置の始動/停止時
に、数秒程度の一定期間をかけて操舵補助力を穏やかに
変化させることにより、ステアリングホイールが全く操
舵されていない場合や、ステアリングホイールが操舵さ
れている場合でも操舵状態がほぼ一定の状態であれば、
操舵トルクの突然の変動を防止して運転者が不快感や違
和感を感じることがないようにしている。
【0005】しかし、制御装置の始動/停止時における
操舵補助力の変動緩和が一定期間をかけて固定的な手順
で行われるものであることから、この一定期間内にステ
アリングホイールの操舵状態が大きく変化した場合に
は、運転者の不快感や違和感を防止しきれないという未
解決の課題がある。具体的には、イグニッションスイッ
チをオフ状態からオン状態とした場合であってさらにそ
の直後にステアリングホイールの操舵を開始したような
ときには、まだ上述の一定期間が経過していないので操
舵補助力の発生を抑制するような電動モータの制御が行
われており、このためにステアリングホイールを軽快に
操舵するのに必要とされる操舵補助力を十分には得るこ
とができず、その結果ステアリングホイールの引っ掛か
り感を運転者に与えてしまうという問題があった。
【0006】そこで、本発明は、上記従来例の未解決の
課題に着目してなされたものであり、イグニッションス
イッチをオフからオンにしたとき等の制御装置の始動時
に直ちに操舵を行ったときでもステアリングホイールの
引っ掛かり感等の不快感や違和感が無い電動パワーステ
アリング装置の制御装置を提供することを目的としてい
る。また、本発明は、イグニッションスイッチをオンか
らオフにしたとき等の制御装置の停止時における操舵補
助力の発生停止を操舵トルクの変化に応じて穏やかに行
うことによって、キックバックによる不快感・違和感の
発生を防止することができる電動パワーステアリング装
置の制御装置を提供することを目的としている。さら
に、このような電動パワーステアリング装置の制御装置
を簡易な構成で実現することをも目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る電動パワーステアリング装置の制御
装置は、操舵系の操舵トルクを検出する操舵トルク検出
手段と、前記操舵系に対して操舵補助力を発生する電動
モータと、少なくとも前記操舵トルク検出手段のトルク
検出値に基づいて操舵補助力指令値を算出し、この操舵
補助力指令値を出力する制御手段と、該制御手段からの
操舵補助力指令値に応じた駆動電流を前記電動モータに
供給する駆動手段とを備えた電動パワーステアリング装
置の制御装置において、イグニッションスイッチの状態
変化を検出する状態変化検出手段と、該状態変化検出手
段で状態変化を検出したときに所定期間前記操舵ト
ルク検出手段のトルク検出値の変化に基づく補正値で
前記制御手段の操舵補助力指令値の変動による前記操舵
トルク検出手段のトルク検出値の変動を抑制する方向
前記制御手段の操舵補助力指令値を補正する補正手
段とを備えたものである。
【0008】また、請求項2に係る電動パワーステアリ
ング装置の制御装置は、請求項1記載の電動パワーステ
アリング装置の制御装置であって、前記補正手段による
補正値が前記操舵トルク検出手段のトルク検出値につい
ての微分値又は差分値に基づいて算出されたものであ
り、前記イグニッションスイッチの状態変化がオフ状態
からオン状態への変化である場合には、前記制御手段の
指令値に対する前記補正手段による補正が、前記操舵補
助力指令値から前記補正値を減ずることで行われ、前記
イグニッションスイッチの状態変化がオン状態からオフ
状態への変化である場合には、前記制御手段の指令値に
対する前記補正手段による補正が、前記操舵補助力指令
値を前記補正値で置換することで行われるものである。
【0009】
【作用】請求項1に係る本発明のパワーステアリング装
置の制御装置は、状態変化検出手段によってイグニッシ
ョンスイッチの状態変化を検出し、この検出に対応して
所定の期間は、操舵トルク検出手段のトルク検出値等に
基づいて生成した操舵補助力指令値をそのまま用いて電
動モータへの駆動電流を制御するのではなく、操舵トル
ク検出手段のトルク検出値の変化に基づいて補正値を求
め、この補正値で操舵補助力指令値を補正する。しか
も、操舵補助力指令値の変動による操舵トルク検出手段
のトルク検出値の変動を抑制する方向に操舵補助力指
令値を補正する。そして、補正された操舵補助力指令値
に応じて電動モータへの駆動電流を制御する。このよう
にトルク検出値の変化に応じてトルク変動抑制のための
補正を行うことから、イグニッションスイッチの状態変
化に対応した所定の期間は、操舵トルクの急変を招くよ
うな操舵補助力の急激な変動が抑えられる。
【0010】具体的には、イグニッションスイッチをオ
ン操作したときの装置の始動時に既に運転者がステアリ
ングホイールを操舵中であったときには、補正前の操舵
補助力指令値がそのときの運転者の操舵トルクに対応し
た大きな値となっても、駆動手段に出力される操舵補助
力指令値はトルク検出値の変化に応じて補正前より小さ
な値に補正されることから、操舵補助力が急変すること
はない。そこで、操舵補助力が緩やかに増加して操舵ト
ルクは緩やかに減少し、操舵トルクの突然の変動が防止
されるので、ステアリングホイールが運転者の予想を超
えて急に激しく回転してしまって運転者に不快感や違和
感を与えるということはない。
【0011】また、装置の始動時には操舵していなかっ
たがイグニッションスイッチをオンした直後に運転者が
ステアリングホイールを操舵したときには、補正前の操
舵補助力指令値がそのときの運転者の操舵トルクに対応
した値となり、そしてこの場合も駆動手段に出力される
操舵補助力指令値はトルク検出値の変化に応じてトルク
変動抑制のための補正がなされる。しかし、この場合の
操舵トルクの変化は、運転者の操舵操作によるものであ
るから、上述の電動モータの応答による操舵補助力の変
化ひいては操舵トルクの変化に比べると、ゆっくりとし
たものである。そして、比較的緩やかな変動に対応して
補正値は小さなものとなる。そこで、この場合は、運転
者のステアリングホイールの操舵操作に追従するのに十
分な操舵補助力が発生して、軽快な操舵操作が行えるこ
ととなる。
【0012】したがって、請求項1に係る本発明にあっ
ては、イグニッションスイッチをオフからオンにしたと
き等の制御装置の始動時に直ちに操舵を行ったときでも
ステアリングホイールの引っ掛かり感等の不快感や違和
感が無い電動パワーステアリング装置の制御装置を提供
することができる。請求項2に係る電動パワーステアリ
ング装置の制御装置は、請求項1記載の電動パワーステ
アリング装置の制御装置であるが、特に、微分値に基づ
く演算又は差分値に基づく算出によって補正値が求めら
れ、操舵補助力指令値から補正値を減ずること又は操舵
補助力指令値を補正値で置換することで補正が行われ
る。このように微分演算や差分算出によって補正値を求
めることにより、微分値や差分値が信号等の変化の度合
いを示す代表的なものであるから、トルク検出値の変化
に基づく補正値が得られる。また、微分演算や差分算出
は比較的簡易な微分回路やプログラムによって具現化で
き、減算や置換も簡易な演算回路やスイッチ回路あるい
はプログラムによって具現化できる。したがって、請求
項2に係る本発明にあっては、請求項1に係る電動パワ
ーステアリング装置の制御装置を簡易な構成で実現する
ことができる。
【0013】請求項2に係る本発明において、操舵補助
力指令値を微分値等に基づく補正値で置換するとき、つ
まり、イグニッションスイッチをオフ操作したときの装
置の停止時については、操舵トルクが変化しているとき
にはその急変を招くような操舵補助力の急激な変動を抑
えることに加えて、操舵トルクがほぼ一定値で安定して
いるときには操舵トルクの変化率がほぼ“0”であるこ
とに対応して操舵補助力の目標値がほぼ“0”になるよ
うに作用する。すなわち、操舵トルクの急変を防止しつ
つ操舵補助力を減少させて、最終的には操舵補助力が
“0”になるように働く。
【0014】そこで、イグニッションスイッチをオフ操
作したときに未だ運転者がステアリングホイールを操舵
中であったときには、操舵トルクが安定していると操舵
補助力指令値が一旦“0”にされて操舵補助力が“0”
に向かうように操舵補助力が減少し始める。もしこのま
ま急激に操舵補助力が“0”になるとキックバックが発
生することになってしまうがその前に補正手段が働く。
すなわち、操舵補助力の減少に応じて操舵トルクが変化
し始めるとその変化率に応じて操舵補助力の急激な変動
を抑える向きに操舵補助力指令値が回復して操舵補助力
の急激な減少が緩和される。そして、その後は、操舵ト
ルクの急変を抑制しつつ操舵補助力が徐々に減少し、最
後に操舵補助力の発生がなくなる。これにより、操舵補
助力によって操舵系に蓄えられていた弾性エネルギーの
開放等が徐々に行われてステアリングホイールにキック
バックは発生しない。そこで、運転者にショックを与え
ることがない。したがって、本発明の電動パワーステア
リング装置の制御装置は、イグニッションスイッチをオ
ンからオフにしたときの制御装置の停止時における操舵
補助力の発生停止を操舵トルクの変化に応じて穏やかに
行うことによって、キックバックによる不快感・違和感
の発生を防止することができる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の電動パワーステアリング装置
の制御装置についての実施例を図面に基づいて説明す
る。図1は、本発明の一実施例を示す概略構成図であ
る。図中、1はステアリングホイールであり、このステ
アリングホイール1に作用された操舵力は、入力軸2a
と出力軸2bとから構成されたステアリングシャフト2
に伝達される。この入力軸2aの一端はステアリングホ
イール1に連結され、他端は操舵トルク検出手段として
のトルクセンサ3を介して出力軸2bの一端に連結され
ている。そして、出力軸2bに伝達された操舵力は、ユ
ニバーサルジョイント4を介してロアシャフト5に伝達
され、さらに、ユニバーサルジョイント6を介してピニ
オンシャフト7に伝達される。操舵力は、さらにステア
リングギヤ8を介してタイロッド9に伝達されて転舵輪
を転舵させる。ステアリングギヤ8は、ピニオン8aと
ラック8bとを有するラックアンドピニオン形に構成さ
れ、ピニオン8aに伝達された回転運動をラック8bで
直進運動に変換している。
【0016】ステアリングシャフト2の出力軸2bに
は、操舵補助力(アシスト力)を出力軸2bに伝達する
減速ギヤ10が連結されている。また、減速ギヤ10に
は、操舵補助力の伝達・遮断を行う電磁クラッチ装置1
1(以後、クラッチという。)を介して、操舵補助力を
発生する電動モータとしてのモータ12の出力軸が連結
されている。このクラッチ11は例えば電磁式で構成さ
れ、モータ12は例えば直流サーボ電動機で構成され
る。さらに、クラッチ11はソレノイドを有し、このソ
レノイドに後述する制御手段としてのコントローラ13
によって励磁電流が供給されることによって、減速ギヤ
10とモータ12とが機械的に連結され、励磁電流の停
止により離脱される。
【0017】トルクセンサ3は、ステアリングホイール
1に配設されて入力軸2aに伝達された操舵トルクを検
出するものであり、例えば、操舵トルクを入力軸2a及
び出力軸2b間に介挿したトーションバーの捩じれ角変
位に変換し、この捩じれ角変位をポテンショメータで検
出するように構成される。そして、運転者がステアリン
グホイール1を操舵操作することによって、ステアリン
グシャフト2に生じる捩じれの大きさと方向とに応じた
アナログ電圧からなるトルク検出信号を出力する。すな
わち、このトルク検出信号は操舵トルクの検出値TV
値とする信号である。トルクセンサ3は、例えば、図9
に示すように、ステアリングホイール1が中立状態にあ
る場合には、トルク検出値TV として所定の中立電圧V
0 を出力し、これよりステアリングホイール1を右切り
するとそのときの操舵トルクに応じて中立電圧V0 より
増加する電圧を、左切りするとそのときの操舵トルクに
応じて中立電圧V0 より減少する電圧を出力するように
なされている。
【0018】13は、モータ12を駆動制御して操舵系
への操舵補助力の制御を行うコントローラであって、車
載のバッテリ16から電源供給されることによって作動
するようになされている。そして、バッテリ16の負極
は接地され、その正極はエンジン始動を行うイグニッシ
ョンスイッチ14及びヒューズ15aを介してコントロ
ーラ13に接続されると共に、ヒューズ15bを介して
コントローラ13に直接接続されている。このヒューズ
15bを介して供給される電源は例えば、メモリバック
アップ用に使用される。そして、コントローラ13はト
ルクセンサ3からのトルク検出信号(TV )と車速セン
サ17からの車速検出信号VP とに基づきモータ12を
駆動制御すると共に、クラッチ11をオン/オフ制御し
モータ12の出力軸と減速ギヤ10とを結合/離脱状態
に制御する。
【0019】図2は、コントローラ13の回路構成を示
すブロック図である。このコントローラ13は、例え
ば、制御回路20、モータ駆動回路30、電流検出回路
61、クラッチ制御回路62、リレー駆動回路63、フ
ェールリレー64から構成されている。そして、制御回
路20は、マイクロコンピュータ21と、これの周辺回
路をなすA/D変換器22,23,24、位相補償器2
5、カウンタ26、入力回路27とから構成されてい
る。
【0020】このマイクロコンピュータ21は、少なく
とも、外部接続機器との入出力処理を行うインタフェー
ス部とROM,RAM等の記憶部とを備えて構成されて
いる。マイクロコンピュータ21は、位相補償器25で
例えば位相を進める等の制御系を安定化させるための位
相補償を行ったトルクセンサ3からのトルク検出信号
(TV )がA/D変換器22を介してデジタル値に変換
されたトルク検出値Tを入力する。同様に、電流検出回
路61からの右方向モータ電流検出信号IR をA/D変
換器24を介して右方向モータ電流検出値iR として入
力し、また、左方向モータ電流検出信号IL をA/D変
換器23を介して左方向モータ電流検出値iL として入
力する。さらに、カウンタ26からの車速検出値Vを入
力する。
【0021】ここで、このカウンタ26は、例えば図示
しない変速機の出力軸に配設され、出力軸の回転に応じ
てパルス信号を発生する回転数センサ等の車速センサ1
7からのパルス信号でなる車速検出信号VP を入力し、
単位時間当たりのパルス数を積算し、マイクロコンピュ
ータ21に積算値が車速検出値Vとして読み込まれたと
き、マイクロコンピュータ21からのリセット信号RC
によってカウント値がリセットされるようになされてい
る。
【0022】また、マイクロコンピュータ21に接続さ
れた入力回路27は、イグニッションスイッチ14のオ
ンオフ切り換え状態を示すスイッチ状態信号Kpを入力
とし、信号レベル変換等を行ってオン/オフ2状態の何
れかの値を採るスイッチ状態値Kを生成し、これをマイ
クロコンピュータ21に送出するものである。この回路
27は、例えばバッファーやチャタリング除去回路等で
構成される。そして、マイクロコンピュータ21は、入
力回路27を介してスイッチ状態値Kを読み込んでプロ
グラム処理することによりイグニッションスイッチ14
の状態変化を検出することができる。
【0023】マイクロコンピュータ21では、これら入
力信号に基づいて、例えば、PID制御(比例・積分・
微分)によりモータ12に供給するモータ駆動信号SM
を算出し、このモータ駆動信号SM に基づいてPWM
(Pulse Width Modulation) 信号を生成し、このPWM
信号に基づいて左パルス幅変調信号PWML ,右パルス
幅変調信号PWMR ,右方向信号DR ,左方向信号DL
を生成する。そして、これをモータ駆動回路30に出力
する。
【0024】また、マイクロコンピュータ21では、起
動時には、所定の故障検出処理を実行し、正常であると
きリレー駆動回路63に対するリレー制御信号SR
“HIGH”として出力すると共に、クラッチ制御回路
62に漸増するクラッチ制御信号SC を出力する。ま
た、モータ12の駆動制御時には、電流検出回路61か
らのモータ電流検出値iR 及びiL に基づいて異常監視
処理を行い、異常検出時にはモータ駆動回路30への各
指令信号PWML ,PWMR ,DR ,DL 及びリレー制
御信号SR を“LOW”として出力すると共に、クラッ
チ制御信号SC の出力を停止し、異常ランプを点灯させ
る等の異常発生時の所定の処理を行う。
【0025】モータ駆動回路30は、少なくとも、4つ
のスイッチング素子を有するHブリッジ回路40と、こ
れらスイッチング素子を駆動するゲート駆動回路51〜
54とから構成されている。なお、ゲート駆動回路51
〜54の全体をまとめてゲート駆動回路50として示
す。そして、Hブリッジ回路40は、例えば、エンハン
スメント型のNチャネルMOS型FET(電界効果トラ
ンジスタ)等の4つのFET41〜44を有し、そのF
ET41及び43が直列に接続されていると共に、FE
T42及び44が直列に接続され、これらの直列回路が
並列に接続されてバッテリ16にフェールリレー64を
介して接続される。そして、FET41と43との接続
点とFET42と44との接続点との間にモータ12が
接続されている。また、FET43のソース側は右方向
電流検出抵抗RR を介して接地され、同様に、FET4
4のソース側は左方向電流検出抵抗RL を介して接地さ
れている。
【0026】そして、これらFET41〜44の各ゲー
ト端子G1 〜G4 は、それぞれ対応するゲート駆動回路
51〜54と接続され、ゲート駆動回路51〜54から
所定の電圧供給が行われたとき、FET41〜44がオ
ン状態となるようになされており、FET42及び43
のみがオン状態となったとき、FET42、モータ1
2、FET43、右方向電流検出抵抗RR の方向に通電
されて、モータ12が正回転し、FET41及び44の
みがオン状態となったとき、FET41、モータ12、
FET44、左方向電流検出抵抗RL の方向に通電され
てモータ12が逆回転するようになされている。
【0027】一方、電流検出回路61は、例えば、右方
向電流検出抵抗RR 及び左方向電流検出抵抗RL の両端
に発生した電圧を増幅及びノイズ除去し、右方向モータ
電流検出信号IR 及び左方向モータ電流検出信号IL
して制御回路20に出力する。また、クラッチ制御回路
62は、制御回路20からのクラッチ制御信号SC に応
じて励磁電流iC を生成してクラッチ11のソレノイド
に出力しモータ12の出力軸と減速ギヤ10とを機械的
結合状態/離脱状態に制御する。
【0028】そして、リレー駆動回路63は、マイクロ
コンピュータ21の出力信号SR に基づいてフェールリ
レー64のオン/オフ制御を行っている。このフェール
リレー64は、常開接点を有するリレースイッチであっ
て、Hブリッジ回路40へのバッテリ16の供給電源を
ON/OFF制御するものである。次に、マイクロコン
ピュータ21でのモータ12の駆動制御処理の処理手順
を図3等に示すフローチャートに基づいて詳述する。こ
のモータ駆動制御処理は、予め設定された所定時間毎の
タイマ割り込みによって行われ、例えば、数msec毎
に実行される。
【0029】なお、マイクロコンピュータ21では、イ
グニッションスイッチ14がオン状態となったときに所
定の異常検出処理を実行し、異常が検出されないとき
に、リレー制御信号SR を“HIGH”として出力す
る。これに応じて、リレー駆動回路63がコイル64L
への通電を行うことによってフェールリレー64が閉状
態となり、Hブリッジ回路40への通電が行われる。さ
らに、クラッチ制御信号SC によってクラッチ制御回路
62を制御することによりクラッチ11を作動させ、モ
ータ12の回転軸と減速ギヤ10と機械的結合状態にさ
せる。また、モータ12の駆動制御時には、電流検出回
路61からのモータ電流検出値iR 及びiLに基づいて
異常監視処理を行い、異常検出時にはモータ駆動回路3
0への各指令信号PWML ,PWMR ,DR ,DL 及び
リレー制御信号SR を“LOW”として出力すると共
に、クラッチ制御信号SC の出力を停止し、異常ランプ
を点灯させる等の異常発生時の所定の処理を行う。この
処理は後述する始動時処理の最初に行われる。
【0030】図3のフローチャートは、イグニッション
スイッチ14の状態変化を検出し、この検出結果に応じ
て、定常状態における処理である定常処理と、イグニッ
ションスイッチ14のオン操作に対応した始動時処理
と、イグニッションスイッチ14のオン操作後の所定期
間における処理である始動継続処理と、イグニッション
スイッチ14のオフ操作に対応した停止時処理と、イグ
ニッションスイッチ14のオフ操作後の所定期間におけ
る処理である停止継続処理とのうちから何れか1つの処
理を選択するものである。また、図4のフローチャート
は定常処理及び他の処理にも共通する共通処理を示す。
さらに、図7のフローチャートは始動時処理と始動継続
処理を示し、図8のフローチャートは停止時処理と停止
継続処理を示す。
【0031】先ず図3のフローチャートに基づいてモー
タ12の駆動制御処理における選択処理(状態検出手段
としての処理)の部分について説明する。マイクロコン
ピュータ21では、ステップS1で、直前の処理サイク
ルで読み込まれたスイッチ状態値Kを旧いスイッチ状態
値Kold として保存する。また、ステップ2で、現時点
におけるイグニッションスイッチ14の操作状態につい
てのスイッチ状態値Kを読み込む。
【0032】そして、ステップS3で、旧いスイッチ状
態値Kold が“OFF”で且つスイッチ状態値Kが“O
N”であるか否かを調べ、条件が満足されているときに
はイグニッションスイッチ14のオン操作が行われたも
のと判定してステップS3aに移行し始動時処理を選択
実行する。ステップS3で条件が満足されていないとき
には次のステップS4に移行し、このステップS4で
は、旧いスイッチ状態値Kold が“ON”で且つスイッ
チ状態値Kが“OFF”であるか否かを調べ、条件が満
足されているときにはイグニッションスイッチ14のオ
フ操作が行われたものと判定してステップS4aに移行
し停止時処理を選択実行する。
【0033】ステップS4で条件が満足されていないと
きには次のステップS5に移行し、このステップS5で
は、旧いスイッチ状態値Kold が“OFF”で且つスイ
ッチ状態値Kが“OFF”であるか否かを調べ、条件が
満足されているときにはイグニッションスイッチ14の
オフ操作が行われた後であって装置が完全に停止するま
での所定の期間であると判定してステップS5aに移行
し停止継続処理を選択実行する。
【0034】ステップS5で条件が満足されていないと
きには次のステップS6に移行するが、ここまで残され
た条件は旧いスイッチ状態値Kold が“ON”で且つス
イッチ状態値Kも“ON”のときだけであることから、
イグニッションスイッチ14はオンのままの状態を維持
している場合に限られる。そして、ステップS6では、
始動時の所定の期間中であることを示すフラグSflagを
調べ、フラグSflagが“ON”であればイグニッション
スイッチ14のオン操作が行われた後であって装置が定
常状態に達するまでの所定の期間であると判定してステ
ップS6aに移行し始動継続処理を選択実行する。
【0035】一方、ステップS6で、フラグSflagが
“OFF”であれば、既に装置が定常状態にあるものと
判定してステップS7に移行し定常処理を選択実行す
る。そして、選択されてそれぞれ異なる処理を実行した
各処理から戻った後は、さらに上位プログラムに戻る。
これで、モータ駆動制御処理の一回の処理サイクルを終
える。
【0036】次に、図3のフローチャートの処理によっ
て選択される各処理について説明するが、先ず定常状態
における処理手順である定常処理を説明する。図4のフ
ローチャートに沿って説明する。なお、この処理は、既
に、イグニッションスイッチ14がオン状態となってお
り、しかも異常検出もなくてHブリッジ回路40への通
電も行われている状態で実行される。
【0037】この定常処理では、マイクロコンピュータ
21は、ステップS21で、A/D変換器22を介し
て、位相補償器25で位相補償を行ったトルクセンサ3
からのトルク検出値Tを読み込む。次いで、ステップS
22に移行し、T=T−V0 なる演算を行い、中立時の
トルク検出値Tが零となるようオフセット処理を行う。
【0038】次いで、ステップS23に移行し、カウン
タ26のカウント値、すなわち、車速検出値Vを読み込
み、カウンタ26にリセット信号RC を出力してカウン
タ値をリセットする。そして、ステップS24に移行
し、図10に示す、操舵トルクと車速とモータ電流との
対応を表す特性線図を参照し、例えば、トルク検出値T
と車速検出値Vとに対応するモータ電流を検索し、これ
をモータ電流指令値SIとして設定する。
【0039】この特性線図は、ステアリングシャフト2
に入力された操舵トルクに対応する補助操舵力をモータ
12に発生させるためにモータ12を駆動するのに必要
とするモータ電流と、操舵トルクと、車速との対応を表
したものであり、車速が小さくなるほどモータ電流指令
値は大きくなり、また操舵トルクが大きくなるほどモー
タ電流指令値は大きくなり、ある値を越えるとそれ以上
は大きくならないように設定されている。
【0040】そして、ステップS25に移行し、モータ
電流指令値SI に対して微分処理を行い所定の比例ゲイ
ンを乗算してこれを微分処理値fD とする。次いで、ス
テップS26で右方向のモータ電流検出値iR 及び左方
向のモータ電流検出値iL を読み込み、右方向のモータ
電流検出値iR を正の値、左方向のモータ電流検出値i
L を負の値として設定し、これら検出信号の和からモー
タ電流検出値iM を算出する。すなわち、iM =iR
L により算出する。
【0041】ここで、電流検出回路61では、左右方向
のモータ電流検出信号IR 及びILの実効値が得られる
よう、それぞれの信号に対し充分なフィルタ処理を行っ
ているものとする。また、これに続くステップS27で
は、例えば、図5のフローチャートに示すような異常監
視処理を行う。次いで、ステップS28に移行し、ステ
ップS24で設定したモータ電流指令値SI とステップ
S26で算出したモータ電流検出値iM との差、すなわ
ち、eM =SI −iM により、電流偏差eM を算出す
る。
【0042】続くステップS29で、電流偏差eM に所
定の比例ゲインを乗算してこれを比例処理値fP とし、
さらに、ステップS30で比例処理値fP に対して積分
処理を行い所定の比例ゲインを乗算してこれを積分処理
値fI とする。そして、ステップS31で、微分処理値
D と、比例処理値fP と、積分処理値fI とを加算
し、これをモータ駆動信号SM とし、ステップS32に
移行する。
【0043】このステップS32では、モータ駆動信号
M がSM ≧0であるか否かを判定し、SM ≧0である
場合には、ステアリングホイール1が右操舵されたもの
としてステップS33に移行し、モータ12の回転方向
を正回転方向に設定する右方向信号DR を“HIGH”
とし、また、モータ駆動信号SM に応じた駆動電流をモ
ータ12に供給するためのデューティ比を設定しこれを
右パルス幅変調信号PWMR としてそれぞれ対応するゲ
ート駆動回路52,53に出力し、ゲート駆動回路5
1,54には左パルス幅変調信号PWML 及び左方向信
号DL を“LOW”として出力する。そして、処理を終
了して呼出し側のプログラムに戻る。
【0044】一方、ステップS32で、SM ≧0でない
場合には、ステアリングホイール1を左操舵した状態で
あるものと判定してステップS34に移行し、モータ1
2の回転方向を逆回転方向に設定する左方向信号DL
“HIGH”とし、また、モータ駆動信号SM に応じた
駆動電流をモータ12に供給するためのデューティ比を
設定しこれを左パルス幅変調信号PWML として、それ
ぞれ対応するゲート駆動回路51,54に出力する。ま
た、右方向信号DR 及び右パルス幅変調信号PWMR
“LOW”としてそれぞれゲート駆動回路51,54に
出力する。そして、処理を終了して呼出し側のプログラ
ムに戻る。
【0045】なお、ステップS27での異常監視処理
は、図5に示すように、まず、ステップS41で、モー
タ電流検出値iM の絶対値が最大電流値IMAX よりも小
さいか否かを判定する。ここで最大電流値IMAX は、モ
ータ駆動回路30が正常に作動しているとみなす値とし
て予め設定されたものである。そして、モータ電流検出
値iM の絶対値が最大電流値IMAX よりも小さいとき
は、正常であるものと判定して、ここでの処理を終了し
て呼出し側のプログラムに戻る。
【0046】一方、ステップS41で、モータ電流検出
値iM の絶対値が最大電流値IMAXよりも小さくないと
きには、Hブリッジ回路40に過大電流が流れており、
異常が発生したものと判定してステップS42に移行す
る。ステップS42では、ゲート駆動回路51〜54へ
の各指令信号PWML ,PWMR ,DR ,DL を“LO
W”として出力し、これによってHブリッジ回路40の
通電路を遮断する。そして、ステップS43に移行し、
クラッチ制御回路62へのクラッチ制御信号SC の出力
を停止することによって、クラッチ11を作動させてモ
ータ12の出力軸と減速ギヤ10とを離脱状態にする。
さらに、ステップS44に移行して、リレー駆動回路6
3へのリレー制御信号SR を“LOW”として出力する
ことによって、フェールリレー64を作動させて、バッ
テリ16からのHブリッジ回路40への通電を遮断す
る。そして、ステップS45では、例えば、メイン処理
プログラム等の上位プログラムに異常通知を行い、処理
を終了する。以後、異常通知を受けた上位プログラムで
は、モータ駆動制御処理を実行しない。
【0047】始動時処理の処理手順を図7のフローチャ
ートに沿って説明する。この処理では、マイクロコンピ
ュータ21は、ステップS51で、先ず起動時の異常検
出処理を行う。その具体的内容は既に説明したが、ここ
で異常が検出されれば以後はモータ駆動制御処理が実行
されない。そこで、異常の検出はなくてHブリッジ回路
40への通電やクラッチ11によるモータ12の出力軸
と減速ギヤ10との機械的結合は行われているものとし
て、以下説明する。このステップS51では、計時カウ
ンタとして割当られた変数tを“0”クリアするとも
に、この後の所定期間におけるモータ駆動制御処理の処
理サイクルで始動継続処理を選択実行させるために、フ
ラグSflagを“ON”にする。なお、ステップS51を
除いたステップ52以降は始動時処理と始動継続処理と
は同一なので以下まとめて説明する。
【0048】ステップS52では、トルクセンサ3から
のトルク検出値Tの読み込みとT=T−V0 なるオフセ
ット処理を行い、ステップS53でカウンタ26から車
速検出値Vを読み込み、ステップS54でトルク検出値
Tと車速検出値Vとに対応したモータ電流指令値SI
設定する。この部分は定常処理のステップS21〜S2
4と同じである。なお、トルク検出値Tについては、新
たに読み込んだトルク検出値をトルク検出値TK とし、
直前の実行処理で読み込んだ旧いトルク検出値をトルク
検出値TK-1 として保持する。これらは次のステップで
の処理に供される。
【0049】続くステップS55では、直前の実行処理
で算出されていた微分処理値dTを旧い微分処理値dT
K-1 とおいて、差分式dT=((2×TK −2×
K-1 )−(h−2×UB )×dTK-1 )/(2×UB
+h)によって新たな微分処理値dTを算出する。ここ
に、hはトルク検出値のサンプリング期間であり、UB
は、周波数fB 以上の高周波での変化に対しては微分処
理値dTを増加させず一定値とするときの周波数fB
対応する周期すなわち(1/fB )である。周波数fB
以下では、微分処理値dTは、トルク検出値Tの微分値
として、上記の差分式により近似的に求められる。これ
により、微分処理値dTに所定のゲインKdを乗じたK
d×dTを、トルク検出値Tの変化に基づく補正値とし
て算出する。すなわち、この補正値はトルク検出値Tに
対する伝達特性(Kd×s/(UB ×s+1))を近似
するものである。このゲインKdを設定変更することで
補正の効果の程度を調整することができる。なお、図6
に、横軸にトルク検出値Tの周波数fをとり縦軸に微分
処理値dTの絶対値をとって上述の差分式で近似される
微分処理の関数形を示す。図中、各軸は対数的に目盛ら
れている。
【0050】その次のステップS56では、式SI =S
I −Kd×dTに従ってモータ電流指令値SI を再設定
する。これによってモータ電流指令値SI を補正値Kd
×dTで補正する。これは、Kを定数としてトルク検出
値Tに対する伝達特性(K×((UB −(Kd/K))
×s+1)/(UB ×s+1))を近似するものであ
る。ここで、定数Kは、図10に示した操舵トルク対モ
ータ電流の特性が近似的に比例すると見なしたときの比
例定数である。この補正は、周波数(1/UB )以下の
操舵トルク変動に対してはあまり影響を与えない一方、
周波数(1/UB)以上の操舵トルク変動に対してはこ
れを抑制するように、モータ電流指令値SI を再設定す
る。
【0051】この後のステップS57では、定常処理,
始動時処理,停止時処理等に共通する共通処理を行う。
具体的には、定常処理におけるステップS25〜S34
の処理を行う。これにより、補正されたモータ電流指令
値SI に基づいてのPID制御処理やPWM信号の生成
処理等が行われる。次いで、ステップS58では、変数
tの値が所定の値tS に達したか否かが判定される。こ
の値tS は、状態変化を検出したときの所定期間の1つ
としての期間すなわち始動時処理に続く始動継続処理を
行うべき期間を定めるためのものであり、通常1〜3秒
程度の何れかの時間に対応して決められる。そこで、ス
テップS58の判定で変数tの値が所定の値tS に達し
ていなければ、まだ始動継続処理の期間が終了していな
いのでステップS59に移る。ステップS59では変数
tを+1する。すなわち計時カウンタを進める。そし
て、呼出し側のプログラムに戻る。このときフラグSfl
agは“OFF”のままであるから、以後のモータ駆動制
御処理の処理サイクルでは、イグニッションスイッチが
操作されない限り始動継続処理が呼び出され、再びステ
ップS52からの処理が実行される。この処理ループに
より、値tS によって決定される一定期間は始動継続処
理が継続して実行される。
【0052】一方、ステップS58の判定で変数tの値
が所定の値tS に達していれば、始動時処理及びこれに
続く始動継続処理の期間が終了しているので、ステップ
60でフラグSflagを“OFF”にし、呼出し側のプロ
グラムに戻る。これにより、以後のモータ駆動制御処理
の処理サイクルでは、定常処理に移行することとなる。
【0053】なお、ここでは始動時処理及び始動継続処
理の期間が値tS による一定期間である場合を例にとっ
て説明したが、ステップS58における判定条件を値t
S によらず微分処理値dTが所定の微小値以下になった
か否かによるものとしてもよい。こうすれば、所定期間
が可変となり、始動時処理等の期間が短くてもよいとき
には直ちに定常処理に入ることができる。また、例えば
数百ms程度の一定期間に対応する値tS による固定期
間と、微分処理値dTの値による可変期間とを組み合わ
せてもよい。
【0054】停止時処理の処理手順を図8のフローチャ
ートに沿って説明する。この処理では、マイクロコンピ
ュータ21は、ステップS61で、先ず計時カウンタと
して割当られた変数tを“0”クリアする。なお、ステ
ップS61を除いたステップ62以降は停止時処理と停
止継続処理とは同一なので以下まとめて説明する。次ぎ
のステップS62では、トルクセンサ3からのトルク検
出値Tの読み込みとT=T−V0 なるオフセット処理を
行う。また、トルク検出値Tについては、新たに読み込
んだトルク検出値をトルク検出値TK とし、直前の実行
処理で読み込んだ旧いトルク検出値をトルク検出値T
K-1 として保持する。なお、車速検出値Vの読み込みや
補正前のモータ電流指令値SI の設定は、不要なので行
わない。そして、続くステップS63では、差分式dT
=((2×TK −2×TK-1 )−(h−2×UB )×d
K-1 )/(2×UB +h)によって微分処理値dTを
算出する。
【0055】その次のステップS64では、式SI =K
d×dTに従ってモータ電流指令値SI を設定する。こ
れによってモータ電流指令値SI を補正値Kd×dTで
置換補正する。なお、このときのゲインKdとしては始
動時処理等におけるものと異なる値を使用してもよい。
これらを個別に設ければ、始動時における処理について
の調整と、停止時における処理についての調整とをそれ
ぞれ任意に行うことができる。さらに、この後のステッ
プS57では、定常処理,始動時処理,停止時処理等に
共通する共通処理を行い、補正されたモータ電流指令値
I に基づいてのPID制御処理やPWM信号の生成処
理等が行われる。
【0056】次いで、ステップS66では、変数tの値
が所定の値tE に達したか否かが判定される。この値t
E は、値tS と同様にやはり状態変化を検出したときの
所定期間の1つとしての期間すなわち停止時処理に続く
停止継続処理を行うべき期間を定めるためのものであ
り、通常1〜3秒程度の何れかの時間に対応して決めら
れる。そこで、ステップS66の判定で変数tの値が所
定の値tE に達していなければ、まだ停止時処理等の期
間が終了していないのでステップS67に移る。ステッ
プS67では変数tを+1し、すなわち計時カウンタを
進める。そして、呼出し側のプログラムに戻る。そうす
ると、以後のモータ駆動制御処理の処理サイクルでは、
イグニッションスイッチが操作されない限り停止継続処
理が呼び出され、再びステップS62からの処理が実行
される。この処理ループにより、値tE によって決定さ
れる一定期間は停止継続処理が継続して実行される。
【0057】一方、ステップS66の判定で変数tの値
が所定の値tE に達していれば、ステップS68に移行
する。ステップS68では、停止継続処理の期間が終了
しているので、クラッチ制御回路62へのクラッチ制御
信号SC の出力を停止することによってクラッチ11を
作動させてモータ12の出力軸と減速ギヤ10とを離脱
状態にしたり、リレー駆動回路63へのリレー制御信号
R を“LOW”として出力することによってフェール
リレー64を作動させてバッテリ16からのHブリッジ
回路40への通電を遮断する等の最終的な停止処理を行
う。そして、処理を完全に終了する。なお、ステップS
68の後、処理を完全に終了するのでなく、終了した旨
の通知等を行ってメイン処理プログラム等の上位プログ
ラムに戻ることとしてもよい。
【0058】なお、ここでは停止時処理及びこれに続く
停止継続処理の期間が値tE による一定期間である場合
を例にとって説明したが、始動時処理等についてのとき
と同様に、ステップS66における判定条件を値tE
よらず微分処理値dTが所定の微小値以下になったか否
かによるものとしてもよい。こうすれば、停止時処理等
の期間が可変となり、停止時処理等の期間が短くてもよ
いときには直ちに最終的な停止処理まで完了することが
できる。また、例えば数百ms程度の値tE による固定
期間と微分処理値dTの値による可変期間とを組み合わ
せてもよい。このように停止時処理の期間が短縮されれ
ば、バッテリの節約を図ることができる。
【0059】かかる構成からなるこの実施例の電動パワ
ーステアリング装置の制御装置について、その動作を説
明する。運転者がステアリングホイールを操舵中に車両
のイグニッションスイッチをオフ状態からオン状態とし
た場合の動作(第1の場合の動作)と、イグニッション
スイッチをオフ状態からオン状態とした場合であってさ
らにその直後にステアリングホイールの操舵を開始した
場合の動作(第2の場合の動作)と、車両のイグニッシ
ョンスイッチをオン状態からオフ状態とした場合の動作
(第3の場合の動作)とを、順に説明する。
【0060】第1の場合の動作について説明する。今、
運転者がステアリングホイールを例えば右に操舵しなが
ら車両の停車状態からイグニッションスイッチ14をオ
ン状態に操作すると、バッテリ16からの供給電源がコ
ントローラ13に供給されてコントローラ13が作動開
始する。そして、イグニッションスイッチ14がオフ状
態からオン状態にされたことが検出され、これに対応し
て始動時処理が選択実行される(図3参照)。この処理
では(図7参照)、例えば故障検出処理等によって制御
回路20及びモータ駆動回路30の故障検出を行い、異
常がない場合には、クラッチ11を作動させてモータ1
2の出力軸と減速ギヤ10とを機械的結合状態し、フェ
ールリレー64を閉状態としてHブリッジ回路40への
通電を開始すること等の処理を行う。
【0061】そして、制御回路20ではトルク検出値T
を読み込み、T=T−V0 により中立位置が零となるよ
うにオフセット処理を行い、このトルク検出値Tと車速
センサ17からの車速検出値Vとをもとに図10に示す
特性線図を参照して対応するモータ電流を検索する。こ
のとき、運転者がステアリングホイールを右操舵中であ
ることから、オフセット処理後のトルク検出値Tは正の
値となり、これに対応して図10から設定されるモータ
電流指令値SI も正の値となる。さらに、このとき車両
は走行していない状態であるから、操舵トルクがある程
度大きい場合には、大きな操舵補助力を必要とするの
で、モータ電流指令値SI は大きく設定される。
【0062】また、dT=((2×TK −2×TK-1
−(h−2×UB )×dTK-1 )/(2×UB +h)に
よって微分処理値dTが算出されるが、イグニッション
スイッチ14のオン以前から右操舵操作により発生して
いた操舵力に対応するトルク検出値Tはほぼ一定してい
るから、この時点での微分処理値dTはほぼ“0”とな
る。そこで、式SI =SI −Kd×dTに従って補正さ
れたモータ電流指令値SI は、上述の大きな値のものが
設定される。
【0063】そして、設定したモータ電流指令値SI
対して所定の微分演算処理を行って微分処理値fD を算
出し、左右方向のモータ電流検出値iR 及びiL をもと
に、iM =iR −iL により、モータに流れる電流値と
してモータ電流検出値iM を算出する。そして、モータ
電流指令値SI とこのモータ電流検出値iM とから電流
偏差eM を算出し、この電流偏差eM に対して所定の比
例演算処理を行って比例処理値fP を算出し、比例処理
値fP に対して積分演算処理を行って積分処理値fI
算出し、微分処理値fD と比例処理値fP と積分処理値
I とを加算してモータ駆動信号SM を算出する。ここ
で、始動直後はモータ電流検出値iM がほぼ“0”であ
るのに対し右操舵によってモータ電流指令値SI は大き
な値となっていることから、モータ駆動信号SM は大き
なものとなる。
【0064】そして、モータ駆動信号SM の符号に基づ
き操舵方向を判断し、この場合、右操舵が行われたこと
から、モータ駆動信号SM ≧0となり、よって、指令信
号PWML 及びDL は“LOW”として出力し、指令信
号DR は“HIGH”、指令信号PWMR はモータ駆動
信号SM に応じたデューティ比のパルス信号として出力
する。これに応じて、ゲート駆動回路53が所定の電圧
供給を行ってFET43をオン状態とし、また、指令信
号PWMR が“HIGH”である間、ゲート駆動回路5
2が所定の電圧供給を行うことによってFET42がオ
ン制御される。一方、指令信号PWML 及びDL が“L
OW”であることから、ゲート駆動回路51、54はF
ET41及び44に所定の電圧供給を行わないので、F
ET41及び44はオフ状態のままである。
【0065】したがって、FET42がオン状態となる
とき、バッテリ16からの電源供給により、FET4
2、モータ12、FET43、右方向電流検出抵抗RR
の方向に通電されてモータ12が正回転され、FET4
2がオンオフ制御されることによってモータ駆動信号S
M に応じた電流が供給されてモータ12が駆動制御され
る。このとき、モータ駆動信号SM が大きな値であるか
ら、指令信号PWMR のデューティ比も大きなものすな
わち“HIGH”の期間の長いものとなる。こうして最
初のモータ駆動制御処理の処理サイクル具体的には始動
時処理を終了する。
【0066】そして、以下繰り返しとなる部分の説明は
簡潔に行うが、次のモータ駆動制御処理の処理サイクル
から所定期間は始動継続処理が繰り返される。この所定
期間の最初の処理サイクルでは、モータ12が大きな値
のモータ駆動信号SM に応じて回転するまでは上述した
始動時処理とほぼ同様の制御処理が繰り返される。すな
わち、モータの応答性と処理サイクルの期間によって決
まる処理サイクルが経過するまでモータ駆動信号SM
大きな値とされ、これに応じてモータ12が回転し始め
その回転が加速される。そして、モータ12の回転駆動
力が増加し始めると、この回転駆動力が減速ギヤ10を
介してステアリングシャフト2に伝達される。よって、
操舵トルクに応じた操舵補助力が発生し始めて、操舵ト
ルクの軽減が開始される。
【0067】すると、操舵トルクが減少し始めたことに
対応してトルク検出値Tも減少し始める。このトルク検
出値Tは直前のトルク検出値に対し絶対値はあまり変わ
らないが、モータの応答性によってその変化率が決まる
ことからトルク検出値Tの変化率は大きなものとなる。
このため、このときのモータ駆動制御処理の処理サイク
ルでは、モータ電流指令値SI はほぼ同じであるのに対
し式dT=((2×TK −2×TK-1 )−(h−2×U
B )×dTK-1 )/(2×UB +h)によって算出され
た微分処理値dTは大きなものとなる。そして、始動継
続処理においては式SI =SI −Kd×dTに従ってモ
ータ電流指令値SI が補正されることから、直ちにモー
タ電流指令値SI が小さな値に補正される。これに応じ
てモータ駆動信号SM もあまり大きくない値となり、指
令信号PWMR のデューティ比も抑制されてモータ12
の回転駆動力の急激な増加は抑制される。そこで、操舵
補助力の急激な増加は実際には行われずに緩和され、操
舵トルクの変化が抑制される。
【0068】これ以後の処理サイクルでは、操舵トルク
の抑制された変化に対応する微分処理値dTとそれまで
に軽減された操舵トルクに対応する大きさのモータ電流
指令値SI との釣合いによって決まる変化度で緩やかに
操舵補助力が増加し、これにより操舵トルクがゆっくり
と軽減される。したがって、このパワーステアリング装
置の制御装置にあっては、運転者がステアリングホイー
ルを操舵中に車両のイグニッションスイッチをオフ状態
からオン状態とした場合であっても、ステアリングホイ
ールが運転者の予想を超えて急に激しく回転してしまっ
て運転者に不快感や違和感を与えてしまうことはない。
そして、始動継続処理が終了するときには操舵トルクは
小さな値で安定して微分処理値dTも微小な値となり、
スムーズに定常処理に移行することとなる。
【0069】第2の場合の動作について説明する。すな
わち、イグニッションスイッチ14をオフ状態からオン
状態とした場合であってさらにその直後にステアリング
ホイール1の操舵を開始した場合の動作を説明する。運
転者が停車状態からイグニッションスイッチ14をオン
状態とすると、コントローラ13が作動開始して、イグ
ニッションスイッチ14がオフ状態からオン状態にされ
たことが検出され、この検出に対応して始動時処理が選
択実行される。そして、トルク検出値Tを読み込み、モ
ータ電流を検索する。このときは、運転者がステアリン
グホイールを操舵していないことから、操舵力の発生及
び変化はなく、モータ電流指令値SI 及び補正値dTは
共にほぼ“0”となる。これに対応して補正後のモータ
電流指令値SI もほぼ“0”となる。そして、このこと
と、始動直後のモータ電流検出値iM がやはりほぼ
“0”であることから、モータ駆動信号SM もほぼ
“0”となる。そこで、このときは、操舵補助力がほと
んど発生されず、操舵トルクは変化しない。
【0070】この状態で、運転者がステアリングホイー
ル1を右に操舵すると、このことによって操舵トルクが
増加し始める。このときの処理サイクルでは、操舵トル
クが増加したことに対応してトルク検出値Tも増加し、
トルク検出値Tは“0”から正の値となり、これに対応
するモータ電流指令値SI も正の値となる。また、微分
処理値dTも正の値となる。そして、式SI =SI −K
d×dTに従ってモータ電流指令値SI が補正される。
ここで、操舵トルクの変化度は運転者の操作速度に応じ
て決まるものであるが、一般に運転者の操作速度はモー
タ12の応答性等に比べて遅いものであるから、この場
合の微分処理値dTは第1の場合の動作説明における値
に比べて小さいものとなる。また、補正値が微分処理値
dTにゲインKdを乗じて求められるものであるから、
ゲインKdの値があまり大きくなければ、補正後のモー
タ電流指令値SI も正の値となる。
【0071】モータ電流指令値SI が正であれば、これ
に応じてPID制御されたモータ駆動信号SM も通常正
の値となり、これに応じたPWM制御によってモータ1
2への駆動電流の供給が行われる。そこで、この処理サ
イクルでは運転者の操舵操作に対し補正されたモータ電
流指令値SI に応じて操舵補助力が増加することとな
る。そして、これ以後の処理サイクルでは、急激な操舵
トルクの変動は抑制しつつも運転者の操作速度に応じる
には十分な早さで操舵補助力が増加する。これにより、
始動直後の操舵操作に対してもこれに応じて操舵トルク
が直ちに発生する。
【0072】したがって、このパワーステアリング装置
の制御装置にあっては、運転者がイグニッションスイッ
チをオフ状態からオン状態とした場合であってさらにそ
の直後にステアリングホイールの操舵を開始したような
場合であっても、操舵補助力の発生が行われるので、ス
テアリングホイールを軽快に操舵することができる。な
お上記の動作説明より、ゲインKdは、値が大きい程操
舵補助力の変動抑制に関する抑制効果が大きい一方、値
が小さい程操舵操作への応答性がよいので、ゲインKd
の値は両者の兼ね合いによって決定されるものである。
具体的には、既に説明したようにモータ電流指令値SI
に対する補正が近似的に周波数(1/UB )以下の操舵
トルク変動に対してはあまり影響を与えないことから、
周波数(1/UB )がステアリングホイールを軽快に操
舵することができるような運転者の操舵速度に対応した
値例えば2Hz以下になるように、先ず周期UB が定め
られる。そして、次に、モータ電流指令値SI に対する
補正が近似的に周波数(1/UB )以上の操舵トルク変
動に対してこれを抑制することから、特に少なくとも周
波数(1/(UB −(Kd/K)))がモータ12の発
生する操舵補助力の急変を抑えるような値例えば5Hz
以上になるように、ゲインKdが定められる。
【0073】第3の場合の動作について説明する。すな
わち、車両のイグニッションスイッチをオン状態からオ
フ状態とした場合の動作について説明する。なお、この
とき運転者がステアリングホイールを右に操舵中であっ
たため操舵補助力によって操舵系に弾性エネルギーが蓄
えられていたとする。運転者が運転中の状態からイグニ
ッションスイッチ14をオフ状態とすると、コントロー
ラ13ではイグニッションスイッチOFFのスイッチ状
態変化の検出に対応して停止時処理が選択実行される。
そして、トルク検出値Tを読み込み、モータ電流を検索
する。
【0074】このときは、運転者がステアリングホイー
ルを操舵していることから、ステアリングホイールには
操舵トルクが作用し、操舵輪には大きな操舵力が作用し
ているが、この操舵トルクに応じてコントローラ13の
定常状態における制御による操舵補助力も発生してい
る。そこで、このときのステアリングホイールの操舵ト
ルクは比較的小さな力である。そこで、最初のモータ駆
動制御処理の処理サイクルでは、トルク検出値Tは操舵
操作に対応した正の値で安定しており、モータ電流指令
値SI は正の値で、補正値dTはほぼ“0”となる。そ
して、モータ電流指令値SI は、補正値Kd×dTによ
って置換されて、ほぼ“0”となる。これにより、操舵
補助力の制御目標値が“0”に設定される。こうして最
初のモータ駆動制御処理の処理サイクル具体的には始動
時処理を終了する。
【0075】そして、モータ12の応答性に応じて決ま
るその後の何回かの処理サイクルでは、慣性等によって
モータ12が操舵補助力の発生を継続することから、操
舵トルクが安定してやはり操舵補助力の制御目標値がほ
ぼ“0”に設定される。これに対し、モータ12の回転
駆動力が減少し操舵補助力が減少し始めると、キックバ
ックが発生しかけて操舵トルクが増加し始める。
【0076】すると、操舵トルクが増加し始めたことに
対応してトルク検出値Tも増加し始める。このトルク検
出値Tは直前のトルク検出値に対し絶対値はあまり変わ
らないが、モータの電気的時定数によって定まる応答性
によってその変化率が決まることからトルク検出値Tの
変化率は大きなものとなる。このため、このときのモー
タ駆動制御処理の処理サイクルでは、微分処理値dTは
大きなものとなる。そして、停止継続処理においては式
I =Kd×dTに従ってモータ電流指令値SI が置換
補正されることから、直ちにモータ電流指令値SI が回
復する。そして、僅かに減少したモータ12の回転駆動
力に見合う値に近い値にまでモータ電流指令値SI が回
復する。そこで、操舵補助力の急激な減少は実際には行
われずに緩和され、操舵トルクの急激な変化も抑制され
る。
【0077】そして、これ以後の処理サイクルでは、操
舵系に蓄えられていた弾性エネルギーの開放とこれを抑
制する補正処理との釣合いによって、トルク検出値Tの
急激な変動を抑制しつつも、操舵トルクの安定に対応し
た操舵補助力の目標値の低下によって操舵補助力が徐々
に減少し、停止継続処理の終了までには操舵補助力が
“0”となる。あるいは、操舵補助力が“0”となった
ところで、停止継続処理が終了する。このように操舵補
助力が穏やか減少することから、結局キックバックは
発生ぜず、停止継続処理の間に操舵トルクの急激な増加
等は起こらず操舵トルクは緩やかに変化する。
【0078】したがって、このパワーステアリング装置
の制御装置にあっては、運転者がステアリングホイール
を右に操舵中にイグニッションスイッチをオフにした場
合であっても、操舵補助力によって操舵系に蓄えられて
いた弾性エネルギーの開放が徐々に行われてキックバッ
クが発生しないので、ステアリングホイールが急激に重
くなって運転者に不快感を与えてしまうということがな
い。
【0079】なお、上記実施例では、右操舵を行った場
合について説明したが、左操舵を行った場合でも、上記
と同様の効果を得ることができる。また、イグニッショ
ンスイッチ14がオフ操作されたことに応じて停止時処
理等が行われる場合について説明したが、これに限ら
ず、例えば異常検出があった場合等にも自動的に停止時
処理を開始することとしてもよい。さらに、イグニッシ
ョンスイッチ14がオン操作されたことに応じて始動時
処理が行われる場合について説明したが、これに限ら
ず、例えば異常検出から自動復帰した場合等にも始動時
処理を開始することとしてもよい。
【0080】また、上記実施例では、制御回路20をマ
イクロンピュータ21によって形成した場合について説
明したが、これに限らず、演算回路、加算回路、論理回
路等の電子回路を組み合わせて構成することも可能であ
る。図11にそのブロックを示すが、例えば、マイクロ
ンピュータ21に相当する回路210は、トルク検出値
Tと車速検出値Vとに基づいてモータの駆動電流値設定
等のための指令値としてのモータ電流指令値SI を生成
する電流指令演算器211、モータ電流指令値SI を制
御目標としてPID制御によるモータ駆動信号SM を生
成するPID制御回路212、状態変化検出手段として
のIG.キーON検出器213、やはり状態変化検出手
段としてのIG.キーOFF検出器214、トルク検出
値Tの変化に基づく補正値としての微分処理値dTを生
成する微分補償器215、補正手段として動作するスイ
ッチ216+スイッチ217+演算器218などから構
成される。
【0081】さらに、上記実施例では、FET(電界効
果トランジスタ)によりモータドライブ回路を構成した
場合について説明したが、これに限らず、バイポーラト
ランジスタ等、その他のスイッチング素子を適用するこ
とも可能である。また、上記実施例では、PID制御に
よってモータ12の駆動制御を行う場合について説明し
たが、これに限らず、例えば、PI制御、P制御等によ
り制御を行うことも可能である。
【0082】さらに、上記実施例では、操舵トルクと車
速とをもとにモータ電流指令値を設定するようにした場
合について説明したが、例えば、操舵トルクのみに基づ
いてモータ電流指令値を設定することも可能である。あ
るいは、例えば、高速走行中に走行車線を変更する場合
には、操舵トルクの他に更に、ステアリングホイールの
舵角速度や舵角加速度に応じて操舵状態を検知し、これ
らの値に応じた補助トルクを発生してモータ駆動制御を
行うことも可能である。トルク検出値、舵角速度値及び
舵角加速度値に基づいて操舵状態を検知する制御回路の
一例について、その概略ブロック図を図12に示す。
【0083】この制御回路100は、電流指令演算器2
11や微分補償器215等の上述したものの他、さら
に、加算器37aと、加算器37bと、舵角速度加速度
演算回路102と、ダンパ係数回路103と、慣性補償
係数回路104とを具備するものである。そして、トル
ク検出値Tは、制御回路100の電流指令演算器211
に入力され、所定のモータ電流指令値SI に変換された
後、加算器37aに供給される。なお、イグニッション
スイッチ14がオンオフ操作された後の所定の期間はモ
ータ電流指令値SI に対し微分補償器215による補正
の施されたものが、加算器37aに供給される。加算器
37aには、モータ電流指令値SI の他に、電流検出回
路61、ダンパ係数回路103及び慣性補償係数回路1
04のそれぞれの出力信号であるモータ電流検出値
M 、ダンパ信号DI および慣性信号KI が供給され、
モータ電流指令値SI に対して、モータ電流検出値iM
の減算、ダンパ信号DI の減算、及び慣性信号KI の加
算の処理が行われる。加算器37aの出力信号が供給さ
れる比例演算器38では所定の比例ゲインが乗算され、
その乗算値は、加算器37bに直接供給されると共に、
所定の積分処理を行う積分演算器39を介して加算器3
7bに供給される。そして、これら入力信号を加算処理
した加算器37bからの出力信号はモータ駆動回路30
に供給され、モータ駆動回路30では、この出力信号を
もとに所定のパルス幅を有するパルス幅変調信号PWM
を生成しこれを舵角速度加速度演算回路102に供給す
ると共に、生成したパルス幅変調信号PWMに応じてモ
ータ12を駆動する。
【0084】そして、モータ12からは、検出されたモ
ータ電流検出値i(iR ,iL )が、舵角速度加速度演
算回路102及び電流検出回路61に出力され、舵角速
度加速度演算回路102では、入力されたパルス幅変調
信号PWM及びモータ電流検出値iに基づいて算出した
舵角速度ω0 をダンパ係数回路103に出力すると共
に、同じく算出した舵角加速度ω1 を慣性補償係数回路
104に出力する。
【0085】ここで、舵角速度加速度演算回路102で
の舵角速度ω0 及び舵角加速度ω1の算出は次のように
行われる。パルス幅変調信号PWMのデューティ比D、
電源電圧VBAT (=バッテリ電圧B)とすると、モータ
12に供給される平均電圧Vは、次のように表される。 V=D×VBAT …(1) また、モータ12は回転することにより逆起電力が発生
し、逆起電力定数をkT とすると、モータ12に発生す
る逆起電圧はkT ×ω0 となるので、コイル抵抗Rを有
するモータ12に供給された平均電圧Vは次のようにも
表される。
【0086】V=kT ×ω0 +R×i …(2) よって、式(1)及び(2)より、舵角速度ω0 は次の
ように求められる。 ω0 =(D×VBAT −R×i)/kT …(3) この式(3)の両辺を時間tで微分することにより、舵
角加速度ω1 が算出される。
【0087】算出された舵角速度ω0 は、ダンパ係数回
路103で所定のダンパ係数KV と乗算され、この乗算
値をモータ電流指令値SI から減算してダンパ制御を実
行し、これにより、操舵系に電気的粘性抵抗が与えられ
車両の安定性の向上が図られる。また、算出された舵角
加速度ω1 は、慣性補償係数回路104で所定の慣性補
償係数KG と乗算され、この乗算値とモータ電流指令値
I とを加算して慣性補償制御を実行し、これにより、
モータ慣性に起因するモータの応答性の遅れが補償され
る。なお、舵角加速度ω1 はセンサで直接検出してもよ
く、また、例えば、モータ軸に取り付けた角度センサに
より検出された角度値を、時間tで微分して先ず舵角速
度ω0 を求め、更にもう一度微分して舵角加速度ω1
求めるようにしてもよい。
【0088】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る本
発明のパワーステアリング装置の制御装置にあっては、
所定の期間は、操舵トルクの変化に応じて操舵補助力指
令値を補正する。しかも、操舵補助力指令値の変動によ
操舵トルク検出手段のトルク検出値の変動を抑制する
方向に操舵補助力指令値を補正する。そして、補正され
た操舵補助力指令値に応じて電動モータへの駆動電流を
制御する。これにより、イグニッションスイッチをオフ
からオンにしたとき等の制御装置の始動時に直ちに操舵
を行ったときでもステアリングホイールの引っ掛かり感
等の不快感や違和感が無い電動パワーステアリング装置
の制御装置を提供することができる。
【0089】また、請求項2に係る電動パワーステアリ
ング装置の制御装置は、請求項1記載のものであるが、
特に、微分値に基づく演算又は差分値に基づく算出によ
って補正値が求められ、操舵補助力指令値から補正値を
減ずること又は操舵補助力指令値を補正値で置換するこ
とで補正が行われる。これにより、制御装置を簡易な構
成で実現することができる。
【0090】さらに、請求項2に係る発明にあっては、
操舵補助力指令値を微分値等に基づく補正値で置換する
とき、つまり、イグニッションスイッチをオンからオフ
にしたときの制御装置の停止時における操舵補助力の発
生停止を操舵トルクの変化に応じて穏やかに行うことに
よって、キックバックによる不快感・違和感の発生を防
止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す概略構成図である。
【図2】コントローラを中心とした回路構成のブロック
図である。
【図3】マイクロコンピュータによるモータの駆動制御
処理について具体的な処理を選択する手順を示すフロー
チャートである。
【図4】マイクロコンピュータによるモータの駆動制御
処理について定常状態における処理手順を示すフローチ
ャートである。
【図5】マイクロコンピュータによるモータの駆動制御
処理について異常監視処理における処理手順を示すフロ
ーチャートである。
【図6】周波数で表したトルク検出値の変化とこれの微
分値又は差分値との関係を示す特性線図である。
【図7】マイクロコンピュータによるモータの駆動制御
処理について始動時処理における処理手順を示すフロー
チャートである。
【図8】マイクロコンピュータによるモータの駆動制御
処理について停止時処理における処理手順を示すフロー
チャートである。
【図9】操舵トルクとトルクセンサの出力電圧との関係
を示す特性線図である。
【図10】車速をパラメータとして操舵トルクとモータ
電流値との関係を示す特性線図である。
【図11】制御回路20を電子回路で構成したときのブ
ロック図である。
【図12】トルク検出値、舵角速度値及び舵角加速度値
に基づいて操舵状態を検知する制御回路についての概略
ブロック図である。
【符号の説明】
1 ステアリングホイール 2 ステアリングシャフト 3 トルクセンサ 4 ユニバーサルジョイント 5 ロアシャフト 7 ピニオンシャフト 8 ステアリングギヤ 9 タイロッド 10 減速ギヤ 11 クラッチ 12 モータ 13 コントローラ 14 イグニッションスイッチ 15a,15b ヒューズ 16 バッテリ 17 車速センサ 20 制御回路 21 マイクロコンピュータ 22,23,24 A/D変換器 25 位相補償器 26 カウンタ 27 入力回路 30 モータ駆動回路 40 Hブリッジ回路 41〜44 FET(電界効果トランジスタ) 51〜55 ゲート駆動回路 61 電流検出回路 62 クラッチ制御回路 63 リレー駆動回路 65 ゲート回路 64 フェールリレー 66 異常検出回路 211 電流指令演算器 212 PID制御器 213 IG.キーON検出器 214 IG.キーOFF検出器 215 微分補償器 216,217 スイッチ 218 演算器218
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−78976(JP,A) 特開 昭61−115771(JP,A) 特開 昭62−181958(JP,A) 特開 平1−223069(JP,A) 特開 平2−74464(JP,A) 特開 昭60−80967(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B62D 6/00 - 6/06 B62D 5/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】操舵系の操舵トルクを検出する操舵トルク
    検出手段と、前記操舵系に対して操舵補助力を発生する
    電動モータと、少なくとも前記操舵トルク検出手段のト
    ルク検出値に基づいて操舵補助力指令値を算出し、この
    操舵補助力指令値を出力する制御手段と、該制御手段か
    らの操舵補助力指令値に応じた駆動電流を前記電動モー
    タに供給する駆動手段とを備えた電動パワーステアリン
    グ装置の制御装置において、イグニッションスイッチの
    状態変化を検出する状態変化検出手段と、該状態変化検
    出手段で状態変化を検出したときに所定期間前記操
    舵トルク検出手段のトルク検出値の変化に基づく補正値
    、前記制御手段の操舵補助力指令値の変動による前記
    操舵トルク検出手段のトルク検出値の変動を抑制する方
    向に前記制御手段の操舵補助力指令値を補正する補正
    手段とを備えたことを特徴とする電動パワーステアリン
    グ装置の制御装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の電動パワーステアリング装
    置の制御装置であって、前記補正手段による補正値が前
    記操舵トルク検出手段のトルク検出値についての微分値
    又は差分値に基づいて算出されたものであり、前記イグ
    ニッションスイッチの状態変化がオフ状態からオン状態
    への変化である場合には、前記制御手段の指令値に対す
    る前記補正手段による補正が、前記操舵補助力指令値か
    ら前記補正値を減ずることで行われ、前記イグニッショ
    ンスイッチの状態変化がオン状態からオフ状態への変化
    である場合には、前記制御手段の指令値に対する前記補
    正手段による補正が、前記操舵補助力指令値を前記補正
    値で置換することで行われるものであることを特徴とす
    る電動パワーステアリング装置の制御装置。
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