JP3360787B2 - 立体表示装置 - Google Patents

立体表示装置

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JP3360787B2
JP3360787B2 JP32193796A JP32193796A JP3360787B2 JP 3360787 B2 JP3360787 B2 JP 3360787B2 JP 32193796 A JP32193796 A JP 32193796A JP 32193796 A JP32193796 A JP 32193796A JP 3360787 B2 JP3360787 B2 JP 3360787B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、左目用画素と右目
用画素とを備えた立体表示装置や、等方性状態の高分子
領域で液晶滴が囲まれた表示媒体を有する液晶パネルま
たは液晶分子の配向方向が異なる複数の液晶領域を有す
る液晶パネル等を備えた液晶表示装置等に好適に用いる
ことができる位相差素子およびその製造方法並びにそれ
を備えた立体表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、位相差素子は、プラスティックフ
ィルム等の高分子フィルムを一軸方向に延伸することに
より作製されている。この方法により得られる位相差素
子はフィルム状であり、そのフィルム内の全ての領域で
均一な遅相軸方向または進相軸方向を有するものとな
る。
【0003】また、特開平6−289374号公報に
は、遅相軸方向または進相軸方向が異なる複数の位相差
領域を有する位相差素子が提案されている。この位相差
素子は、光により配向可能な高分子層を偏光で露光して
配向させ、その高分子層に接するように液晶層を設ける
ことにより液晶層内に配向軸方向が異なる領域をパター
ン形成している。この配向軸方向が異なる各領域により
遅相軸方向または進相軸方向が異なる各位相差領域が構
成される。
【0004】また、特開平7−72331号公報には、
光学的異方性を有する有機高分子を用いた分割波長板が
提案されている。この分割波長板は、有機高分子を基板
上に配置し、これをエッチングプロセスを用いて短冊状
に加工することにより作製したものである。
【0005】ところで、従来の立体表示装置において
は、映像装置により右目から見た映像と左目から見た映
像とを高速で交互に表示する。その表示を観察する際に
は、左右のレンズに設けたシャッターを高速で交互に開
閉させるようにした眼鏡をかけて、右目のシャッターが
閉じているときに左目から見た映像を表示し、左目のシ
ャッターが閉じているときに右目から見た映像を表示す
るように、映像装置の動作と眼鏡の動作とを同期制御し
ており、これにより立体視を可能としている。
【0006】また、他の立体表示装置として、偏光透過
軸方向が異なる複数の領域を有する偏光フィルムを用い
たものも知られている。この偏光フィルムは、互いの偏
光透過軸方向が直交する第1の偏光板および第2の偏光
板を、互いに隣接し、かつ、対称性を有する均等な配列
パターンで交互に配置することにより得られる。この偏
光フィルムを液晶パネルの画素等の所定の表示単位に対
応させて配置することにより、立体表示装置が得られ
る。例えば、特開平7−5325号公報には、液晶パネ
ルを構成する一対の基板の各々に互いに異なる偏光板部
分が対応するように上記偏光フィルムを配置した立体表
示装置が開示されている。その表示を観察する際には、
左目用レンズと右目用レンズとに対して互いの偏光透過
軸方向が直交する偏光フィルムを配置した眼鏡をかける
ことにより、立体視を可能としている。
【0007】さらに、図8に示すようなレンチキュラ板
120を用いた立体表示装置も報告されている。このレ
ンチキュラ板120の裏面(焦点面)には異なる方向か
ら見た画像、例えば右目から見た画像120Rと左目か
ら見た画像120Lとを連続的に縦縞状に印刷してお
き、レンチキュラ板120の前方で右目画像120Rと
左目画像120Lとを互いに両目間隔を開けて結像させ
るようにする。このように左右分離された別々の映像を
右目と左目とで見ることにより3次元像が観察される。
この原理を利用して、例えば特開平3−65943号公
報には、図9に示すような立体表示装置が開示されてい
る。この立体表示装置は、液晶パネル110の前面11
1側にレンチキュラ板120を配置して、液晶パネル1
10の縦ラインの1つ毎に右目情報112Rと左目情報
112Lとを入力することにより立体像が得られる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来の位相差素子は、高分子フィルムを一様に一定方向
に延伸することにより作製されているので、遅相軸方向
または進相軸方向が異なる位相差領域を任意の形状で選
択的に配置することは不可能であった。
【0009】また、特開平6−289374号公報に開
示されている方法では、光により配向可能な高分子層の
作製後に光が照射されると、高分子層の配向が変化して
これに接する液晶層の配向軸方向が変化するため、位相
差領域の遅相軸方向または進相軸方向が変化してしまう
という問題がある。また、この公報では、光重合性の液
晶モノマーを紫外線照射により重合させて液晶層の配向
固定を行っているが、紫外線照射時の熱により液晶層の
配向が乱れることがあり、また、光重合では分子量の大
きい高分子が得られないので耐熱性を充分確保できない
場合もある。
【0010】また、特開平7−72331号公報に開示
されている分割波長板は、光通信分野において、光信号
を変換するための素子として利用されるものであり、位
相差素子や立体表示装置とは全く異なる分野に用いられ
るものである。また、この分割波長板は、1/2波長板
を短冊状にパターニングして作製するので表面に凹凸が
形成されており、例えばポリカーボネートからなる1/
2波長板を用いた場合には、ポリカーボネートの塩化メ
チレン溶液で基板全体を覆うことにより表面を平坦化し
ている。しかし、この塩化メチレン溶液は、1/2波長
板を構成しているポリカーボネートをも溶解するので、
リターデーション値が変化して1/2波長板としての役
割を果たさなくなる。
【0011】上述の従来の立体表示装置においては、左
右のレンズに設けたシャッターを高速で交互に開閉する
ような複雑な構造の眼鏡を必要とし、さらに、映像装置
の動作と眼鏡の動作とを同期制御させるための制御回路
を必要とするため、装置が非常に複雑になるという問題
があった。
【0012】また、上述の偏光透過軸方向が異なる領域
を有する偏光フィルムを用いた立体表示装置では、配向
膜をラビング処理してそれに接する液晶材料を一軸方向
に配向させた液晶パネルに対して偏光フィルムを配置す
る。この場合、図10または図11に示すような構成に
ならざるを得ないので、以下のような問題点が生じる。
即ち、図10に示す構成では、ノーマリーホワイト(N
W)モードの領域を右目用画素に対応させ、ノーマリー
ブラック(NB)モードの領域を左目用画素に対応させ
ているため、右目用画素と左目用画素とで色調のずれが
生じる。また、図11に示す構成では、配向膜のラビン
グ軸と偏光フィルムの透過軸とが一致せず、液晶層を透
過してきた偏光の振動方向と偏光フィルムの透過軸方向
とが一致しないため、偏光フィルムを透過する際に透過
光量のロスが大きくなって充分なコントラストが得られ
ない。これらの問題点は、立体表示装置として用いる場
合のみならず、通常の表示装置として用いる場合にも表
示品位に関わる大きな問題点となる。
【0013】また、レンチキュラ板を用いた立体表示装
置では、以下のような問題点がある。この立体表示装置
は、図12に示すように、液晶パネル110における画
素開口部112の間にブラックマトリクス113と称さ
れる遮光部が存在する。このため、眼を移動させても立
体視が可能な範囲は左右の眼を中心として画素開口部1
12の像112iが形成されている範囲であり、ブラッ
クマトリクス113の像113iが形成されている範囲
まで眼を移動させるとブラックマトリクス113の像1
13iが観察されてしまう。例えば、液晶パネル110
における横方向(図12の左右方向)の画素ピッチを
L、横方向の画素開口部幅をM、人間の眼の間隔を65
mmとすると、眼が移動しても立体視が可能な範囲は
(65×M/L)となり、これ以上に大きく眼を移動さ
せると立体像が観察できなくなる。
【0014】本発明は、このような従来技術の課題を解
決すべくなされたものであり、遅相軸方向または進相軸
方向が異なる複数の位相差領域を有する位相差素子およ
びその製造方法並びにそれを備えた立体表示装置を提供
することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の位相差素子は、
基材上に、光学的異方性を有する有機高分子からなる複
数の片状位相差部材が、互いに隣接し、かつ、隣接する
もの同士の遅相軸または進相軸を互いに異なる2以上の
方向に向けて配置されており、そのことにより上記目的
が達成される。
【0016】遅相軸または進相軸が同一方向に向いた一
定幅の前記位相差部材の間に、遅相軸または進相軸が別
の方向に向いた一定幅の前記位相差部材が設けられてい
てもよい。
【0017】本発明の位相差部材は、基材上に、光学的
異方性を有する有機高分子からなる膜状位相差部材が部
分的に穴を有して、または部分的に光学的等方性部分を
有して設けられ、光学的異方性を有する有機高分子から
なり、該膜状位相差部材と異なる1方向または2以上の
方向にその遅相軸または進相軸を向けた複数の片状位相
差部材が、該膜状位相差部材の穴に入り込んで、または
該光学的等方性部材部分の上に配置されており、そのこ
とにより上記目的が達成される。
【0018】前記片状位相差部材の隣接するもの同士に
おいて、または片状位相差部材と膜状位相差部材とにお
いて、一方と他方とで遅相軸または進相軸が互いに異な
る2方向に向いていてもよく、直交していてもよい。
【0019】前記位相差部材は、その位相差部材を透過
する光の位相を入射光の波長の1/4ずらす1/4波長
板からなっていてもよい。
【0020】本発明の位相差素子の製造方法は、遅相軸
方向または進相軸方向が異なる複数の位相差領域を有す
る位相差素子の製造方法であって、光学的異方性を有す
る有機高分子フィルムを基材上に配置してエッチングす
ることにより、遅相軸または進相軸を1方向に向けた位
相差部材を形成する第1工程と、該基材上に、既に形成
された位相差部材とは異なる方向に遅相軸または進相軸
を向けた有機高分子フィルムを配置してエッチングする
ことにより、既に形成された位相差部材の無い部分に、
既に形成された位相差部材の遅相軸または進相軸とは異
なる方向に遅相軸または進相軸を向けた位相差部材を形
成することを1回行い、または2回以上繰り返す第2工
程とを含み、そのことにより上記目的が達成される。
【0021】本発明の位相差素子の製造方法は、遅相軸
または進相軸を第1方向に向けた複数の第1位相差領域
と、遅相軸または進相軸を該第1方向とは異なる第2方
向に向けた複数の第2位相差領域とが設けられた位相差
素子の製造方法であって、第1基材上に光学的異方性を
有する有機高分子フィルムを配置してエッチングするこ
とにより、第1位相差領域形成用位相差部材を設けると
共に、第2基材上に光学的異方性を有する有機高分子フ
ィルムを配置してエッチングすることにより、第2位相
差領域形成用位相差部材を形成する工程と、該第1位相
差領域形成用位相差部材と該第2位相差領域形成用位相
差部材とで遅相軸方向または進相軸方向が異なり、か
つ、両位相差部材が重ならないように両基材を貼り合わ
せる工程とを含み、そのことにより上記目的が達成され
る。
【0022】前記両基材を貼り合わせる際に、前記第1
位相差領域形成用位相差部材の間に前記第2位相差領域
形成用位相差部材を挟持して設けるのが好ましい。
【0023】本発明の立体表示装置は、表示媒体を挟ん
で対向配置され、該表示媒体側表面に該表示媒体を駆動
するための電極が設けられた一対の基板のうちの少なく
とも一方の基板に、本発明の位相差素子が形成されてお
り、そのことにより上記目的が達成される。
【0024】前記位相差素子は、前記一方の基板の表示
媒体側に形成されているのが好ましい。
【0025】本発明の立体表示装置は、表示媒体を挟ん
で対向配置され、該表示媒体側表面に該表示媒体を駆動
するための電極が設けられた一対の基板のうちの少なく
とも一方の基板が本発明の位相差素子そのものからな
り、そのことにより上記目的が達成される。
【0026】前記位相差素子は、前記位相差部材を表示
媒体側に向けて配置されているのが好ましい。
【0027】以下に、本発明の作用について説明する。
【0028】本発明にあっては、光学的異方性を有する
有機高分子からなる片状位相差部材(以下、位相差片と
称する)を、隣接するもの同士の遅相軸または進相軸を
互いに異なる2以上の方向に向けて基材上に配置し、各
位相差部材により遅相軸方向または進相軸方向が異なる
各位相差領域を構成している。尚、隣接する2つ以上の
位相差部材の遅相軸または進相軸を同じ方向に向けて配
置して、複数の位相差部材により各位相差領域を構成す
ることも考えられるが、このような構成は製造工程を煩
雑にするのみであるので本明細書ではあえて説明しない
ことにする。
【0029】遅相軸または進相軸が同一方向に向いた一
定幅の位相差片の間に、遅相軸または進相軸が別の方向
に向いた一定幅の位相差片を配置すると、位相差領域を
規則的に配置することができる。尚、位相差片の配置
は、基材上の一部(例えば基材の右半分や左半分)に遅
相軸または進相軸が同一方向に向いた位相差片(例えば
遅相軸または進相軸が上下方向や左右方向に向いたも
の)が偏在していたり、1つの遅相軸方向または進相軸
方向を向けた位相差片と他の遅相軸方向または進相軸方
向を向けた位相差片との大きさが非常に異なっていたり
しなければ十分である。例えば、図1(a)に示すよう
に、帯状の位相差片2a、2bをストライプ状に配置さ
せたり、正方形や長方形の位相差片を格子状に配置にさ
せたりすることができ、液晶パネルのマトリクス状に配
列させた画素等の所定の表示単位に対応させて位相差領
域を配置することができる。
【0030】本発明の位相差素子にあっては、図1
(c)に示すように、部分的に穴を開け、または部分的
に光学的等方性部分を設けた膜状位相差部材(以下、位
相差膜と称する)2tを基材上に配置し、その位相差膜
2tと異なる1方向または2以上の方向にその遅相軸ま
たは進相軸を向けた複数の位相差片2sを、位相差膜2
tの穴に入り込ませ、または光学的等方性部材部分の上
に配置することもできる。この場合にも、各位相差部材
により遅相軸方向または進相軸方向が異なる各位相差領
域が構成される。
【0031】片状位相差部材の隣接するもの同士、また
は片状位相差部材と膜状位相差部材とは、一方と他方と
で遅相軸または進相軸を互いに異なる2方向に向ける
と、遅相軸または進相軸が互いに異なる2種類の位相差
領域が形成される。例えば、右目用画素と左目用画素と
を備えた立体表示装置において、遅相軸または進相軸を
2方向のうちの一方に向けた位相差領域を右目用画素に
対応させて配置し、遅相軸または進相軸を他方に向けた
位相差領域を左目用画素に対応させて配置することがで
きる。また、光学的に等方性状態の高分子領域で液晶滴
が囲まれているような表示媒体を有する液晶パネルに対
して、各位相差領域を液晶滴と高分子領域とに対応させ
て配置したり、広視野角化を図るために液晶分子の配向
方向が異なる2種類の液晶領域を有する液晶パネルに対
して、各位相差領域を各液晶領域に対応させて配置した
りすることができる。
【0032】特に、互いに異なる方向の遅相軸または進
相軸を直交させた場合、液晶分子の配向方向を直交させ
た2種類の液晶領域を有する液晶パネルに対して、第1
位相差領域を一方の液晶領域に対応させると共に、その
遅相軸または進相軸と直交する方向に遅相軸または進相
軸を向けた第2位相差領域を他方の液晶領域に対応させ
て配置することにより、各液晶領域での色調の違いを補
償できる。また、この位相差素子を透過する直線偏光
は、第1位相差領域を透過したものと第2位相差領域を
透過したものとで回転方向が逆になるので、回転方向が
逆の2種類の楕円偏光または回転方向が逆の2種類の円
偏光が得られる。
【0033】位相差部材を1/4波長板で構成すると、
位相差素子を透過した偏向光の位相が波長の1/4ずれ
て円偏光が得られる。
【0034】本発明の位相差素子の製造方法にあって
は、光学的異方性を有する有機高分子フィルムを、その
遅相軸または進相軸を所定の方向に向けて基材上に配置
してエッチングする工程を繰り返すことにより、1枚の
基材上に遅相軸方向または進相軸方向が異なる位相差領
域を微細パターンで配置することが可能である。
【0035】また、第1基材上に第1位相差領域形成用
位相差部材を形成すると共に第2基材上に第2位相差領
域形成用位相差部材を形成して両基材を貼り合わせる
と、各位相差部材がエッチング液に触れる回数を減らす
ことができるので、位相差素子のリターデーション値が
低下するのを抑えることができる。
【0036】両基材を貼り合わせる際には、位相差部材
の形成側表面同士を対向させてもよく、位相差部材が形
成されていない側の表面同士を対向させてもよく、位相
差部材の形成側表面と位相差部材が形成されていない側
表面とを対向させてもよい。但し、位相差部材の形成側
表面同士を対向させて、第1位相差領域形成用位相差部
材の間に第2位相差領域形成用位相差部材が挟持される
ようにすると、各位相差領域がほぼ同一面内に形成され
るので、視差の発生を最小限度に抑制することができ
る。
【0037】本発明の立体表示装置にあっては、本発明
の位相差素子が形成されているため、各位相差領域を透
過する光が位相差の異なる光となる。例えば左目用画素
と右目用画素とに対して遅相軸方向または進相軸方向が
互いに異なる位相差領域の各々を配置すると、左目用画
素を透過する偏向光と右目用画素を透過する偏向光とで
位相差の異なる偏向光が得られる。位相差素子を形成す
る際には、液晶パネルを構成する一対の基板の少なくと
も一方の表示媒体側に形成してもよく、表示媒体とは反
対側に形成してもよい。特に、一対の基板の表示媒体側
に位相差素子を形成すると、液晶パネルを構成する基板
など、光学的に等方性状態で一定厚みを有する領域を透
過する場合に発生する視差を抑えることができるので好
ましい。また、一対の基板の少なくとも一方を位相差素
子としてもよい。位相差素子は、位相差部材を表示媒体
側に向けて配置してもよく、表示媒体と反対側に向けて
配置してもよい。位相差部材を表示媒体側に向けて配置
した場合には、位相差素子の基材など、光学的に等方性
状態で一定厚みを有する領域を透過する場合に発生する
視差を抑えることができるので好ましい。
【0038】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施形態を図面
を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に述べる
実施形態に限られない。
【0039】(実施形態1)本実施形態では、光学的異
方性を有する有機高分子フィルムを、その遅相軸または
進相軸を所定の方向に向けて基材上に配置してエッチン
グする工程を繰り返すことにより、1枚の基材上に遅相
軸方向または進相軸方向が異なる複数の位相差領域を配
置した位相差素子について説明する。
【0040】図1(a)は実施形態1の位相差素子10
を示す平面図であり、図2(j)はその断面図である。
【0041】この位相差素子10は、透明な基材(図示
せず)上に、光学的異方性(リターデーション)を有す
る有機高分子からなる帯状の位相差片2、4がストライ
プ状に配置されている。隣接する位相差片2と位相差片
4とは遅相軸または進相軸(図に矢印で示す)が互いに
異なる方向(この実施形態では直交する方向)に向いて
おり、各位相差片2、4から遅相軸方向または進相軸方
向が異なる位相差領域が構成されている。
【0042】この位相差素子10は、例えば図2に示す
ようにして作製することができる。
【0043】まず、図2(a)に示すように、基材1上
にリターデーションを有する高分子フィルム2aを設け
る。基材1は、シートと称される形態を初めとして、フ
ィルムや膜状の形態、板状の形態、他の支持体上に形成
された塗布膜の形態等、様々な形態を取る物質を用いる
ことができ、例えばガラスやプラスティック等からなる
ものが挙げられる。基材1の厚さは1500μm以下で
あるのが好ましく、より好ましくは500μm以下であ
り、さらに好ましくは300μm以下である。また、リ
ターデーションを有する高分子フィルム2aは、一般に
は、有機高分子からなるフィルムを一軸延伸により配向
処理したものであり、様々なリターデーションを有する
高分子フィルムが市販されている。このような高分子フ
ィルム2aの材料としてはポリカーボネートが一般的で
あるが、ポリスルホンやポリアリレート等も用いられ、
さらにはポリエーテルスルホンやポリエーテルエーテル
ケトン等も用いられている。本実施形態では、7059
ガラス基板(コーニング社製)からなる基材1上に、高
分子フィルム2aとしてリターデーション値が140n
mのポリスルホンフィルムを設けた。この高分子フィル
ム2aに粘着層(図示せず)が設けられている場合に
は、そのまま基材1に貼り付ければよい。高分子フィル
ム2aに粘着層が設けられていない場合や、粘着層が設
けられていても後述する工程でレジストの現像液や高分
子フィルムのエッチング液またはレジストの剥離液等に
より粘着層が剥がれてしまうような場合には、高分子フ
ィルム2aと基材1とを貼り付けるための接着剤層(図
示せず)を別に設けても良い。この接着剤層の材料は、
透明なものであればいずれも用いることができ、例えば
紫外線硬化性接着剤、可視光硬化性接着剤を初めとし
て、二液性のエポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂やアロ
ンアルファ(商品名)のような瞬間接着剤等を用いるこ
とができる。接着剤層はスピンコーターやロールコータ
ー等により基材1上に塗布することができ、必要に応じ
て紫外線または可視光線等の光や熱等を加えることによ
り接着力を向上させてもよい。また、必要に応じて高分
子フィルム2a上に保護膜(図示せず)としてアルミニ
ウム等の金属膜、インジウムスズ酸化膜(ITO)等の
無機酸化膜等を設けても良い。この保護膜はスパッタ法
等により形成することができ、その膜厚は50nm〜1
000nmであるのが好ましく、さらに好ましくは70
nm〜200nmである。このような保護膜を設けるこ
とにより、後述のエッチング工程でエッチング液により
高分子フィルム2aの必要な部分(位相差片2の部分)
までエッチングされてしまうのを防ぐことができる。
【0044】次に、図2(b)に示すように、高分子フ
ィルム2a上にレジスト層3aを形成する。レジスト層
3aは、ポジ型レジストまたはネガ型レジストのいずれ
でもよいが、耐性を有するもの、例えば、後述するエッ
チング液に溶解しないようなものを用いる。レジスト層
3aは、スピンコート法やロールコート法等により形成
することができる。また、ドライフィルム等のフィルム
状レジストの場合には、ラミネーター等を用いて高分子
フィルム2a上に貼着してもよい。また、レジスト中に
含まれる溶剤を揮発させる等の目的でレジストを加熱す
る必要がある場合には、レジスト層3aが形成された基
材1を恒温槽中で加熱しても良い。このときの加熱温度
は30℃〜120℃であるのが好ましく、さらに好まし
くは70℃〜100℃である。加熱時間は10分〜2時
間であるのが好ましく、さらに好ましくは20分〜1時
間である。本実施形態ではポジ型レジストであるTFR
−B3(東京応化工業社製)をスピンコート法により塗
布してレジスト層3aを形成し、恒温槽中において80
℃で30分間加熱した。
【0045】続いて、フォトマスクを介してレジスト層
3aを露光した後、現像液で現像することにより、図2
(c)に示すようなレジストパターン3を形成する。こ
のときの露光量は60mJ/cm2〜500mJ/cm2
であるのが好ましい。本実施形態では露光量200mJ
/cm2で露光を行い、現像液DE−3(東京応化工業
社製)を用いて現像することにより、幅280μmの帯
状のレジストパターン3を複数形成した。その後、ポス
トベーク等の目的でレジストパターン3を加熱する必要
がある場合には、レジストパターン3が形成された基材
1を恒温槽中で加熱しても良い。このときの加熱温度は
80℃〜180℃であるのが好ましい。
【0046】次に、図2(d)に示すように、レジスト
パターン3をマスクとして高分子フィルム2aをエッチ
ングすることにより位相差片2を形成する。このときの
エッチング液は、たとえばジクロロメタン、クロロホル
ム、ジクロロエタン、ジクロロベンゼン、ジフルオロエ
タン、ジフルオロベンゼン等のハロゲン化炭化水素や、
テトラヒドロフラン(THF)、N−メチル−2−ピロ
リドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、
ジメチルスルホキシド(DMS)等を用いることができ
る。これらのエッチング液は、必要に応じてn−ヘキサ
ンやシクロヘキサン等の溶剤、またはメタノール、エタ
ノール、2−プロパノール等のアルコール類を初めとす
る有機溶剤等を用いて希釈してもよい。本実施形態で
は、エッチング液としてジクロロエタンを用いてエッチ
ングを行った。
【0047】その後、剥離液を用いてレジストパターン
3を剥離することにより図2(e)に示すようなパター
ン化された位相差片2を得る。本実施形態では、剥離液
として2%NaOH液を用いてレジストパターン3を剥
離し、幅280μmの帯状の位相差片2を複数形成し
た。
【0048】次に、図2(f)に示すように、パターン
化された位相差片2の上にリターデーションを有する高
分子フィルム4aを設ける。このとき、高分子フィルム
4aの遅相軸または進相軸は、既に形成されている位相
差片2の遅相軸または進相軸と異なる所定の方向に向く
ように配置する。この高分子フィルム4aは、高分子フ
ィルム2aと同じ材質で同じリターデーション値を有す
るものであってもよく、異なる材料を用いたものやリタ
ーデーション値が異なるものであってもよい。本実施形
態では高分子フィルム2aと同じリターデーション値が
140nmのポリスチレンフィルムを、その遅相軸また
は進相軸が位相差片2の遅相軸または進相軸と直交する
ように配置した。さらに、必要に応じて高分子フィルム
4aを基材1および位相差片2に貼り付けるための接着
剤層(図示せず)を別に設けても良く、この接着剤層に
光や熱等を加えることにより接着力を向上させてもよ
い。さらに、必要に応じて高分子フィルム4a上に保護
膜(図示せず)としてアルミニウム等の金属膜、ITO
等の無機酸化膜等を設けても良い。この保護膜はスパッ
タ法等により形成することができ、その膜厚は50nm
〜1000nmであるのが好ましく、さらに好ましくは
70nm〜200nmである。
【0049】次に、図2(g)に示すように、高分子フ
ィルム4a上にレジスト層5aを形成し、フォトマスク
を介してレジスト層5aを露光後、現像液で現像するこ
とにより図2(h)に示すようなレジストパターン5を
形成する。この工程は、図2(b)で示したレジスト層
3aを形成する工程および図2(c)で示したレジスト
パターン2を形成する工程と同様に行うことができる。
但し、露光工程においては、位相差片2が形成されてい
ない基材部分上に位相差片4が形成されるようにフォト
マスクのマスクパターンを合わせる。
【0050】その後、図2(i)に示すように、レジス
トパターン5をマスクとして高分子フィルム4aをエッ
チングすることにより位相差片4を形成し、剥離液を用
いてレジストパターン5を剥離することにより図2
(j)に示すようなパターン化された位相差片4が得ら
れる。この工程は、図2(d)で示した高分子フィルム
2aをエッチングする工程および図2(e)で示したレ
ジストパターン2を剥離する工程と同様に行うことがで
きる。このとき、位相差片2上に上述の保護膜を設けて
おくと、エッチング液により位相差片2までエッチング
されてしまうのを防ぐことができる。また、高分子フィ
ルム4a上に上述の保護膜を設けておくと、エッチング
液により高分子フィルム4aの必要な部分(位相差片4
部分)までエッチングされてしまうのを防ぐことができ
る。これらの保護膜は、必要に応じて酢酸、リン酸、シ
ュウ酸等の酸性溶液やNaOH、KOH等のアルカリ性
溶液を用いて取り除くことができる。
【0051】このようにして、基材1上に互いの遅相軸
または進相軸が直交する複数の位相差片2、4が幅28
0μmの帯状でストライプ状に設けられた位相差素子1
0を作製した。得られた位相差素子10は、位相差片2
および位相差片4により構成される帯状の位相差領域で
リターデーション値が140nmであった。この位相差
素子10を、クロスニコルに配置した偏光顕微鏡を用い
て観察すると、位相差片2、4の帯状パターンに従って
明るさの異なる領域が観察された。また、偏光顕微鏡の
ステージを回転させるに従って、位相差片2、4の各領
域の明るさが変化し、各位相差片2、4の明るさが90
゜ずれて観察された。このことから、この位相差素子1
0には、遅相軸または進相軸の直交する2つの位相差領
域が各位相差片2、4の帯状パターンに従って形成され
ていることが分かった。
【0052】なお、上記実施形態1では、各位相差領域
の遅相軸または進相軸を互いに直交させたが、90度以
外の角度としてもよい。また、位相差領域の遅相軸また
は進相軸は2方向以上であればよく、3以上の方向に異
ならせてもよい。例えば図1(b)に示すように、位相
差片2p、2q、2rの遅相軸または進相軸(図に矢印
で示す)を3方向に向けた位相差素子を液晶表示装置に
配置すると、各位相差片2p、2q、2rをカラーフィ
ルターの3色の各々に対応させて配置して、色調補正を
行うことができる。このように遅相軸または進相軸を3
以上の方向に向けた位相差領域を設ける場合には、3層
目以降の位相差部材は、実施形態2の位相差片4と同様
に形成することができる。但し、この場合、既に形成さ
れた位相差部材の遅相軸または進相軸と異なる方向に遅
相軸または進相軸を向けて高分子フィルムを配置し、既
に形成された位相差片が無い基材部分上に形成されるよ
うにエッチングを行う。
【0053】また、上記実施形態1では、位相差片2、
4を帯状にしてストライプ状に配置した例について説明
したが、位相差片の形状はその他の形状であってもよ
く、正方形、長方形、円形、楕円形等、様々な形状とす
ることができる。位相差片の形状を他の形状にした場合
には格子状に配置してもよい。さらに、図1(c)に示
すように、所定の遅相軸方向または進相軸方向(図に矢
印で示す)を向かせた位相差膜2tを部分的に穴を開け
た状態で設け、その穴に入り込むように、遅相軸方向ま
たは進相軸方向(図に矢印で示す)を異なる方向に向か
せた位相差片2sを配置してもよい。この場合、位相差
片2sの一部の遅相軸または進相軸をさらに異なる2以
上の方向に向けることもできる。また、位相差膜2tの
穴の部分に接着剤層やレベリング層等の光学的に等方性
の部分を設け、その上に位相差片2sを配置してもよ
い。この位相差膜2tは、実施形態1の位相差片2また
は位相差片4と同様に、基材上に高分子フィルムを配置
してエッチングすることにより形成することができる。
また、この位相差膜2tを2つ以上の膜で構成すること
により、各々の膜で遅相軸または進相軸を互いに異なる
方向に向けることもできる。
【0054】尚、上記実施形態1では、エッチング工程
をウェットプロセスで行ったが、ドライプロセスで行っ
ても良い。このことは、以下の実施形態2および3でも
同様である。
【0055】(実施形態2)本実施形態では、第1位相
差領域形成用位相差片を設けた第1基材と、第2位相差
領域形成用位相差片を設けた第2基材とを、位相差片形
成側表面を対向させて、各基材上の位相差片の遅相軸方
向または進相軸方向が異なるように、かつ、各位相差片
が重ならないように貼り合わせることにより、一対の基
材の間に遅相軸方向または進相軸方向が異なる位相差領
域を配置した位相差素子について説明する。
【0056】図3は実施形態2の位相差素子20を示す
断面図である。
【0057】この位相差素子20は、一対の基材11
a、11bの間に帯状の位相差片12aと帯状の位相差
片12bとがストライプ状に配置されている。隣接する
位相差片12aと位相差片12bとは遅相軸または進相
軸が互いに異なる方向(この実施形態では直交)に向い
ており、各位相差片12a、12bから遅相軸方向また
は進相軸方向が異なる位相差領域が構成されている。
【0058】この位相差素子20は、例えば図4に示す
ようにして作製することができる。
【0059】まず、図4(a)〜図4(c)に示すよう
に、基材11aの上に高分子フィルム12cを設け、そ
の上にレジスト層13aを塗布して露光・現像すること
によりレジストパターン13を形成する。次に、図4
(d)に示すようにレジストパターン13をマスクとし
て高分子フィルム12cをエッチングし、図4(e)に
示すようにレジストパターン13を剥離することにより
位相差片12aを形成する。それと共に、図4(f)〜
図4(h)に示すように、基材11bの上に高分子フィ
ルム12dを設け、その上にレジスト層14aを塗布し
て露光・現像することによりレジストパターン14を形
成する。次に、図4(i)に示すようにレジストパター
ン14をマスクとして高分子フィルム12dをエッチン
グし、図4(j)に示すようにレジストパターン14を
剥離することにより位相差片12bを形成する。この工
程は、実施形態1において図2(a)〜図2(e)で示
した基材1の上に位相差片2を形成する工程と同様に行
うことができる。但し、後述する工程で両基材11a、
11bを貼り合わせる際に遅相軸または進相軸を所定の
方向に配置することができるように、遅相軸方向または
進相軸方向と位相差片のパターンとを考慮する必要があ
る。例えば、位相差片12aの遅相軸または進相軸と位
相差片12bとの遅相軸または進相軸を直交させる場合
には、各基材11a、11b上の位相差片12a、12
bの遅相軸方向または進相軸方向が90゜異なるように
帯状にパターニングし、各位相差片12a、12bが重
ならないように遅相軸または進相軸を直交させて両基材
11a、11bを貼り合わせればよい。本実施形態で
は、基材11a上の高分子フィルム12cの遅相軸方向
または進相軸方向と帯状のレジストパターン13の長手
方向とが平行になるようにレジストパターン13を設け
て、遅相軸方向または進相軸方向と帯状パターンの長手
方向とが平行な位相差片12aを複数形成し、基材11
b上の高分子フィルム12dの遅相軸方向または進相軸
方向と帯状のレジストパターン14の長手方向とが直交
するようにレジストパターン14を設けて、遅相軸方向
または進相軸方向と帯状パターンの長手方向とが直交す
る位相差片12bを複数形成した。
【0060】次に、図4(k)に示すように、両基材1
1a、11bを位相差片12a、12b側表面を対向さ
せ、位相差片12a、12bの遅相軸方向または進相軸
方向が異なるように、かつ、両位相差片12a、12b
が重ならないように両基材11a、11bを貼り合わせ
る。貼り合わせの際には、液晶パネルのシール材等を用
いて基材の周辺部だけを接着してもよく、また、透明な
接着剤を基材全面に塗布して全面を接着しても良い。本
実施形態では、各位相差片12a、12bを隣接させて
位相差片12aの間に位相差片12bを挟持させると共
に、互いの遅相軸または進相軸が直交するように両基板
11a、11bを対向させ、紫外線硬化性の接着剤を用
いて基材全面に紫外線を照射することにより接着した。
【0061】このようにして、基材11a、11bの間
に互いの遅相軸または進相軸が直交する複数の位相差片
12a、12bが幅280μmの帯状でストライプ状に
設けられた位相差素子20を作製した。得られた位相差
素子20は、位相差片12aおよび位相差片12bによ
り構成される帯状の位相差領域でリターデーション値が
140nmであった。この位相差素子20を、クロスニ
コルに配置した偏光顕微鏡を用いて観察すると、位相差
片12a、12bの帯状パターンに従って明るさの異な
る領域が観察された。また、偏光顕微鏡のステージを9
0゜回転させるに従って、位相差片12a、12bの各
領域の明るさが変化し、各位相差片12a、12bの明
るさが90゜ずれて観察された。このことから、この位
相差素子20には遅相軸または進相軸が直交する2つの
位相差領域が各位相差片12a、12bの帯状パターン
に従って形成されていることが分かった。
【0062】なお、上記実施形態2では、隣接する位相
差片同士の遅相軸または進相軸を互いに直交させたが、
90度以外の角度としてもよい。また、位相差領域の遅
相軸または進相軸は2方向以上であればよく、3以上の
方向に異ならせてもよい。例えば図1(b)に示したよ
うに、位相差片2p、2q、2rの遅相軸または進相軸
を3方向に向けることができる。このように遅相軸また
は進相軸を3以上の方向に向けた位相差領域を設ける場
合には、一対の基材のうちの少なくとも一方に、実施形
態1と同様にして2以上の遅相軸方向または進相軸方向
を有する位相差領域を形成し、両基材を貼り合わせれば
よい。また、遅相軸または進相軸を4方向以上に向けた
位相差領域を設ける場合には、一対の基板の両方に2以
上の方向を向けた位相差領域を形成し、両基材を貼り合
わせてもよい。
【0063】また、上記実施形態2では、位相差片12
a、12bを帯状にしてストライプ状に配置した例につ
いて説明したが、実施形態1と同様に、位相差片の形状
はその他の形状であってもよく、正方形、長方形、円
形、楕円形等、様々な形状とすることができる。位相差
片の形状を他の形状にした場合には格子状に配置しても
よい。
【0064】さらに、図1(c)に示したように、所定
の遅相軸方向または進相軸方向を向かせた位相差膜2t
を部分的に穴を開けた状態で設けて、その穴に入り込む
ように、遅相軸方向または進相軸方向を異なる方向に向
かせた位相差片2sを配置してもよい。または、位相差
膜2tの穴の部分に光学的等方性部分を設けて、その上
に位相差片2sを配置してもよい。この位相差膜2t
は、実施形態2の位相差片12a、12bと同様に、基
材上に高分子フィルムを配置してエッチングすることに
より基材上に形成することができ、位相差片2sが配置
された基材と貼り合わせることにより位相差素子を作製
することができる。
【0065】(実施形態3)本実施形態では、遅相軸方
向または進相軸方向の異なる複数の位相差領域を有する
位相差素子を備えた立体表示装置について説明する。
【0066】図5は本実施形態の立体表示装置を示す断
面図である。
【0067】この立体表示装置は単純マトリクス型の液
晶表示素子であり、液晶パネルを構成する一対の基板2
1、21bの間に液晶材料26からなる表示媒体が挟持
されている。一方の基板21は位相差素子からなり、基
材21aの表示媒体側に位相差片22a、22bが配置
されている。隣接する位相差片22a、22bは遅相軸
または進相軸が互いに異なる方向に向いており、各位相
差片12a、12bから遅相軸方向または進相軸方向が
異なる位相差領域が構成されている。位相差素子21の
表示媒体側表面には偏光フィルム23aが設けられ、他
方の基板21bの表示媒体と反対側表面には偏光フィル
ム23bが設けられている。偏光フィルム23aの表示
媒体側表面にはITO等からなる帯状の透明電極24a
が複数設けられ、基板21bの表示媒体側表面にはIT
O等からなる帯状の透明電極24bが複数設けられてい
る。両透明電極24a、24bは互いに交差(図では直
交)しており、両透明電極が重なり合っている箇所が画
素25a、25bとなっている。位相差片22aは画素
25aに対応するように配置されており、位相差片22
bは画素25bに対応するように配置されている。ま
た、透明電極24a、24bと表示媒体との間には、電
気絶縁膜および配向膜(共に図示せず)が、配向膜を表
示媒体側に配置して設けられている。
【0068】この立体表示装置は、例えば図6に示すよ
うにして作製することができる。
【0069】まず、図6(a)に示すように、透明な基
材21a上に、実施形態1と同様にして互いの遅相軸方
向または進相軸方向が異なる位相差片22a、22bを
配置する。本実施形態では、7059ガラス基板(コー
ニング社製)からなる基材21a上に、ポリスルホンか
らなるリターデーション値130nmの1/4波長板を
配置してエッチングすることにより、互いの遅相軸また
は進相軸が直交する位相差片22a、22bを幅280
μm、間隔20μmの帯状パターンでストライプ状に配
置した。このとき、図7に示すように、位相差片22a
の遅相軸方向または進相軸方向と帯状パターンの長手方
向とを平行にし、位相差片22bは遅相軸方向または進
相軸方向と帯状パターンの長手方向とを直交させた。
【0070】次に、図6(b)に示すように、位相差片
22a、22bの上に偏光フィルム23aを設ける。こ
の偏光フィルムは、ST−1882AP(住友化学工業
社製)や、SID’95 Applications
Digest Vol.XXVI p.7に記載されて
いるようなKE偏光フィルム等、耐熱性の高い偏光フィ
ルムを用いることができる。この実施形態では、偏光フ
ィルム23aとしてST−1882AP(住友化学工業
社製)を貼り付けた。本実施形態においてこのように耐
熱性の高い偏光フィルムを用いた理由は、後の工程で配
向膜をベーキングする工程(150℃)があるからであ
る。このとき、偏光フィルム23aの偏光透過軸方向と
位相差片22a、22bの遅相軸方向または進相軸方向
とを図7に示すように配置した。
【0071】続いて、図6(c)に示すように、偏光フ
ィルム23aが配置された位相差素子21の偏光フィル
ム23a側表面に帯状の透明電極24aを複数形成し、
図6(d)および図6(e)に示すように、基板21b
の一方の表面に帯状の透明電極24bを複数形成する。
本実施形態では、ITO膜をスパッタ法により100℃
で形成し、フォトリソグラフィ工程を行うことにより幅
280μm、間隔20μm、厚み70μmの帯状の透明
電極24a、24bを複数形成した。このとき、基板
(位相差素子)21上の透明電極24aは、位相差片2
2a、22bの帯状パターンとほぼ一致するように形成
した。これにより位相差片22aが画素25aに対応し
て配置され、位相差片22bが画素25bに対応して配
置される。
【0072】その後、必要に応じて透明電極24a、2
4bを覆うように電気絶縁膜(図示せず)を形成する。
この電気絶縁膜は、例えばスパッタ法等により形成した
SiO2膜を用いることができる。この電気絶縁膜の厚
みは50nm〜300nmであるのが好ましく、さらに
好ましくは70nm〜100nmである。
【0073】次に、必要に応じて電気絶縁膜上にポリイ
ミド等の有機材料からなる配向膜(図示せず)を形成
し、ナイロン布等を用いてラビング処理を行う。この配
向膜の厚みは30nm〜200nmであるのが好まし
く、さらに好ましくは50nm〜100nmである。例
えば、TN(ツイスティッドネマティック)モードやS
TN(スーパーツイスティッドネマティック)モード等
の液晶表示素子を作製する場合には配向膜を形成し、軸
対称配向モード等の液晶表示素子を作製する場合には配
向膜を形成しない。本実施形態では、AL3046(日
本合成ゴム社製)をスピンコート法により厚み70nm
の膜を形成し、150℃のホットプレート上で2分間加
熱した後、ナイロン布でラビング処理を行って配向膜と
した。このときのラビング処理は、図7に示すような配
向軸が得られるように行った。
【0074】続いて、図6(f)に示すように、一対の
基板(位相差素子)21と基板21bとを、帯状の透明
電極24a、24bが互いに交差するように対向させ、
スペーサー27を間に介して基材21aの端部と基板2
1bの端部とをシール材28により貼り合わせる。この
とき、周囲の一部を後述する液晶材料26の注入孔(図
示せず)として残しておく。なお、本実施形態では透明
電極24a、24bを直交させたが、これらは厳密には
直交していなくてもよく、互いに交差していればよい。
【0075】その後、貼り合わせられた一対の基板2
1、21bの間に液晶材料26を注入する。この液晶材
料26は、従来のTNモードやSTNモード、ECBモ
ード、強誘電性液晶モード、光散乱モードおよび軸対称
配向モード等の液晶表示素子に用いられる液晶材料のい
ずれでも用いることができる。本実施形態では液晶材料
26としてカイラル剤(S−811)を0.3%添加し
たZLI−4792(メルク社製)を用い、公知の真空
注入法により温度約25℃、湿度約20%の環境下で注
入を行った。
【0076】次に、注入孔を紫外線硬化性樹脂、二液混
合系接着剤または瞬間接着剤や可視光硬化性樹脂等を用
いて封止する。本実施形態では注入孔に紫外線硬化性樹
脂を塗布して紫外線を照射することにより封止した。
【0077】その後、基板21bの表示媒体と反対側に
偏光フィルム23bを設けることにより立体表示装置を
作製する。本実施形態では、偏光フィルム23bとして
ST−1882AP(住友化学工業社製)を設けた。こ
のとき、偏光フィルム23bの偏光透過軸方向と位相差
片22a、22bの遅相軸方向または進相軸方向とを図
7に示すように配置した。
【0078】このようにして得られた立体表示装置に対
して、右目用信号を位相差片22aが配置された画素2
5aに送信し、左目用信号を位相差片22bが配置され
た画素25bに送信した。そして、位相差フィルムとそ
の位相差フィルムの遅相軸に45゜ずらせた偏光透過軸
方向を有する偏光板とを貼り合わせて円偏光板としたも
のを右目用レンズに配置すると共に、右目用レンズの位
相差フィルムと直交する遅相軸方向を有する位相差フィ
ルムとその位相差フィルムの遅相軸と45゜ずらせた偏
光透過軸方向を有する偏光板とを貼り合わせて円偏光板
としたものを左目用レンズに配置した眼鏡を作製し、こ
の眼鏡をかけて画面を観察すると、画面に表示される画
像が立体的に観察された。
【0079】尚、上記実施形態3では、偏光片22a、
22bを画素の1列毎にストライプ状に配置したが、画
素の1行毎にストライプ状に配置してもよく、1画素毎
に格子状に配置しても良い。これ以外の配置の仕方で
も、隣接するもの同士で遅相軸方向または進相軸方向が
異なる位相差部材が1つまたは複数の画素に対応して規
則的に配置されていればよい。
【0080】また、上記実施形態3において示した位相
差片22a、22bの遅相軸または進相軸、偏光フィル
ム23a、23bの偏光透過軸、眼鏡に配置した円偏光
板の遅相軸または進相軸や偏光透過軸の配置は一例であ
り、その他の配置の仕方でもよい。互いに偏光透過軸方
向が異なる偏光板を右目用レンズおよび左目用レンズに
配置した眼鏡をかけることにより、液晶パネルの右目用
画素および左目用画素の各々から出射された光が区別で
きるような配置の仕方であれば、どのような配置仕方で
も用いることができる。
【0081】上記実施形態3では、遅相軸方向または進
相軸方向を異ならせた位相差領域を右目用画素と左目用
画素とに対応させて配置したが、光学的に等方性状態の
高分子領域で液晶滴が囲まれているような表示媒体を有
する液晶パネルに対しては、各位相差領域を液晶滴と高
分子領域に対応させて配置することができる。また、広
視野角化を図るために液晶分子の配向方向を2以上の方
向に向けた複数の液晶領域を有する液晶パネルに対して
は、各位相差領域を各液晶領域に対応させて配置するこ
とにより各液晶領域での色調の違いを補償することがで
きる。また、必要に応じて、位相差素子を2枚以上配置
することにより、立体表示を得ると共に色調補償や視野
角拡大等を図ることもできる。
【0082】また、上記実施形態3では、液晶パネルを
構成する一対の基板のうちの一方の基板として位相差素
子21を配置したが、実施形態1と同様にして基材上に
遅相軸方向または進相軸方向が異なる位相差領域を配置
した位相差素子を作製し、これを一対の基板のいずれか
一方の基板に貼り付けてもよい。また、実施形態2と同
様にして一対の基材の間に遅相軸方向または進相軸方向
が異なる位相差領域を配置した位相差素子を作製し、こ
れを一対の基板のいずれか一方の基板に貼り付けてもよ
い。また、位相差素子を2枚以上配置する場合には、一
対の基板の両方に位相差素子を貼り付けたり、一対の基
板の両基板を位相差素子としてもよい。
【0083】上記実施形態3では、偏光フィルム23a
と位相差片22a、22bとを基材21aの表示媒体側
に設けたが、基材21aの表示媒体とは反対側に位相差
部材や偏光フィルムを配置してもよい。この場合、熱プ
ロセスを経ることなく偏光フィルムを配置することもで
き、その場合には汎用の偏光板を用いることができるの
で、立体表示装置のコストダウンを図ることができる。
【0084】上記実施形態では、単純マトリクス駆動に
より表示が行われるTNモードの液晶表示素子について
説明したが、それ以外の駆動方法と表示モードとを組み
合わせた液晶表示素子に本発明を適用することも可能で
ある。例えば、TFT(Thin Film Tran
sistor)やMIM(Metal Insulat
or Metal)等を用いたアクティブ駆動により表
示が行われる液晶表示素子に対して本発明を適用するこ
ともでき、駆動方法については限定されない。また、S
TNモードやFLCモード、ECBモード、光散乱モー
ド等に用いられる液晶材料を一対の基板の間に挟持した
液晶表示素子に本発明を適用することもできる。また、
透過型液晶表示素子のみでなく、一対の基板の一方に反
射板を設けた反射型液晶表示素子に本発明を適用するこ
とも可能である。さらに、カラーフィルターやブラック
マトリクスを形成してカラー表示を行うカラー液晶表示
素子に本発明を適用することも可能である。この場合、
カラーフィルターの各色に合わせてリターデーション値
を選択してもよい。例えば、カラーフィルターが3色で
ある場合には、3種類のリターデーション値を有する高
分子フィルムを用いて遅相軸または進相軸が直交する位
相差領域を配置することにより、6種類の位相差領域が
得られる。
【0085】本発明において、液晶パネルを構成する基
板材料は特に限定されず、光を透過する透明固体であれ
ばいずれも用いることができる。例えば、ガラス、プラ
スティックフィルム等が挙げられる。また、一方の基板
が透明であれば、他方の基板が不透明であってもよく、
他方の基板上に金属膜などの不透明膜を設けても良い。
さらに、液晶パネルの色調補償や広視野角化のために、
延伸した有機高分子フィルム等からなるパターニングし
ていない位相差フィルム等を設けてもよい。
【0086】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の位相差素
子によれば、複数の位相差片を、隣接するもの同士で遅
相軸方向または進相軸方向を異ならせて基材上に配置す
ることにより、遅相軸方向または進相軸方向が異なる複
数の位相差領域を設けることができる。従って、各位相
差領域により、透過する光の色調補償を行ったり、位相
差領域を透過する光の偏光方向を変化させることができ
る。この位相差素子は、光により配向可能な高分子層を
用いた従来の位相差素子のように光照射で遅相軸方向ま
たは進相軸方向が変化することはなく、耐熱性も十分で
ある。
【0087】位相差片は、遅相軸または進相軸が同一方
向に向いた一定幅の位相差片の間に、遅相軸または進相
軸が別の方向に向いた一定幅の位相差片を配置すると、
位相差領域を規則的に配置することができるので、液晶
パネルのマトリクス状に配列させた画素等の所定の表示
単位に対応させて位相差領域を配置することができる。
従って、液晶パネルの画素毎に色調補償を行ったり、画
素毎に透過光の偏光方向を変化させることができる。
【0088】また、部分的に穴を開け、または部分的に
光学的等方性部分を設けた位相差膜を基材上に配置し、
その位相差膜と異なる1方向または2以上の方向にその
遅相軸または進相軸を向けた複数の位相差片を、位相差
膜の穴に入り込ませ、または光学的等方性部材部分の上
に配置すると、光学的に等方性状態の高分子領域で液晶
滴が囲まれた表示媒体を有する液晶パネルにおける液晶
滴と高分子領域等に対応させて位相差領域を配置するこ
とができる。
【0089】隣接する位相差片において、または位相差
片と位相差膜とにおいて、一方と他方とで遅相軸または
進相軸を互いに異なる2方向に向けると、2種類の位相
差領域が形成されるので、2種類の色調補償を行った
り、2種類の透過光の偏向方向を変化させることができ
る。この位相差素子は、例えば、右目用画素と左目用画
素とを備えた立体表示装置や、光学的に等方性状態の高
分子領域で液晶滴が囲まれた表示媒体を有する液晶パネ
ルまたは液晶分子の配向方向が異なる2種類の液晶領域
を有する液晶パネル等を備えた液晶表示装置において、
異なる2つの位相差領域を配置したい領域に対して遅相
軸方向または進相軸方向を異ならせた位相差領域を各々
配置することができる。
【0090】位相差部材の遅相軸または進相軸を直交さ
せた位相差素子によれば、液晶分子の配向方向を互いに
直交させた液晶領域を有する液晶パネルにおいて、各液
晶領域での色調の違いを補償できる。また、この位相差
素子においては、遅相軸または進相軸が直交する第1位
相差領域と第2位相差領域とを透過した光の回転方向が
逆になるので、回転方向が逆の楕円偏光または回転方向
が逆の円偏光が得られる。例えば、位相差部材を1/4
波長板とすると、位相差素子を透過した偏向光の位相が
入射光の波長の1/4ずれるので、第1領域を透過した
直線偏光と第2領域を透過した直線偏光とは互いの回転
方向が逆の円偏光となる。この回転方向が逆の円偏光
に、さらに、遅相軸方向または進相軸方向が異なる位相
差領域を有さない普通の1/4波長板を透過させると、
互いに直交する直線偏光が得られる。
【0091】本発明の位相差素子の製造方法にあって
は、基材上に配置した高分子フィルムをエッチングする
ことにより遅相軸方向または進相軸方向が異なる位相差
部材を形成しているので、遅相軸方向または進相軸方向
が異なる位相差領域を微細パターンで配置することが可
能であり、例えば、液晶パネルの各画素に対応した大き
さの位相差領域を所定の位置に配置することができる。
【0092】各々位相差部材を設けた一対の基材を、両
基材上の位相差部材の遅相軸方向または進相軸方向が異
なるように、かつ、両位相差部材が重ならないように貼
り合わせると、各位相差部材がエッチング液に触れる回
数を減らすことができるので、位相差素子のリターデー
ション値が低下するのを防いでリターデーション値のム
ラが少ない位相差素子を得ることができる。
【0093】両基材を貼り合わせる際には、一方の基材
上の位相差部材の間に他方の基材上の位相差部材を挟持
させるようにすると、各位相差領域をほぼ同一面内に形
成できる。このように位相差領域がほぼ同一面内に配置
された位相差素子を液晶パネルに配置すると、表示ムラ
の発生を最小限度に抑えることができる。
【0094】本発明の立体表示装置にあっては、液晶パ
ネルに本発明の位相差素子を配置することにより、例え
ば、左目用画素と右目用画素とを有する立体表示装置に
おいて、左目用画素を透過する偏光と右目用画素を透過
する偏光とを位相差の異なる偏光とすることができる。
この立体表示装置の映像を観察する場合には、左目用レ
ンズと右目用レンズとに偏光透過軸が異なる偏光板を貼
着した眼鏡を観察者がかけることにより、左目から見た
画像と右目から見た画像とを識別することができる。従
来の立体表示装置のように複雑な構造の眼鏡を必要とし
ないので、非常に簡単な構造とすることができる。
【0095】位相差素子を形成する際に、液晶パネルを
構成する一対の基板の一方の表示媒体側に形成すると、
液晶パネルを構成する基板等のように、光学的に等方性
状態で一定厚みを有する領域を透過する場合に発生する
視差を防ぐことができる。また、液晶パネルを構成する
一対の基板の一方を位相差素子として基材の表示媒体側
に位相差部材を配置した場合にも同様である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は実施形態1に係る位相差素子における
位相差部材の配置を示す断面図であり、(b)および
(c)は位相差部材の他の配置例を示す断面図である。
【図2】(a)〜(j)は実施形態1に係る位相差素子
の製造工程を示す断面図である。
【図3】実施形態2に係る位相差素子の断面図である。
【図4】(a)〜(k)は実施形態2に係る位相差素子
の製造工程を示す断面図である。
【図5】実施形態3に係る立体表示装置を示す断面図で
ある。
【図6】(a)〜(f)は実施形態3に係る立体表示装
置の製造工程を示す断面図である。
【図7】実施形態3に係る立体表示装置における位相差
素子、偏光フィルムおよび配向膜の配置を示す斜視図で
ある。
【図8】従来の立体表示装置の構成を示す図である。
【図9】従来の立体表示装置の構成を示す図である。
【図10】従来の立体表示装置における偏光フィルムお
よび配向膜の配置を示す斜視図である。
【図11】従来の立体表示装置における偏光フィルムお
よび配向膜の配置を示す斜視図である。
【図12】従来の立体表示装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
1、11a、11b、21a 基材 2、2p、2q、2r、2s、4、12a、12b、2
2a、22b 位相差片 2t 位相差膜 3、5、13、14 レジストパターン 10、20 位相差素子 21a 基板(位相差素子) 21b 基板 23a、23b 偏光フィルム 24a、24b 透明電極 25a、25b 画素 26 液晶材料 27 スペーサー 28 シール材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−29618(JP,A) 特開 平1−298303(JP,A) 特開 平3−252606(JP,A) 特開 平6−289374(JP,A) 特開 平6−34969(JP,A) 特開 平7−151913(JP,A) 特開 昭63−189824(JP,A) 特開 昭63−300201(JP,A) 特開 平10−20301(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/13 - 1/141 G02B 5/30

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表示媒体を挟んで対向配置され、該表示
    媒体側表面に該表示媒体を駆動するための電極がそれぞ
    れ設けられた一対の基板を有する立体表示装置であっ
    て、 少なくとも一方の基板に位相差素子が形成されており、 該位相差素子は、基材上に、光学的異方性を有する有機
    高分子からなる複数の片状位相差部材が、互いに隣接
    し、かつ、隣接するもの同士の遅相軸または進相軸を互
    いに異なる2以上の方向に向けて配置されて構成されて
    いることを特徴とする立体表示装置。
  2. 【請求項2】 表示媒体を挟んで対向配置され、該表示
    媒体側表面に該表示媒体を駆動するための電極がそれぞ
    れ設けられた一対の基板を有する立体表示装置であっ
    て、 少なくとも一方の基板に位相差素子が形成されており、 該位相差素子は、基材上に、光学的異方性を有する有機
    高分子からなる膜状位相差部材が部分的に穴を有して、
    または部分的に光学的等方性部分を有して設けられ、光
    学的異方性を有する有機高分子からなり、該膜状位相差
    部材と異なる1方向または2以上の方向にその遅相軸ま
    たは進相軸を向けた複数の片状位相差部材が、該膜状位
    相差部材の穴に入り込んで、または該光学的等方性部材
    部分の上に配置されて構成されていることを特徴とする
    立体表示装置。
  3. 【請求項3】 前記位相差素子は、前記一方の基板の表
    示媒体側に形成されている請求項1または2に記載の立
    体表示装置。
  4. 【請求項4】 表示媒体を挟んで対向配置され、該表示
    媒体側表面に該表示媒体を駆動するための電極がそれぞ
    れ設けられた一対の基板を有する立体表示装置であっ
    て、 少なくとも一方の基板が位相差素子によって形成されて
    おり、 該位相差素子は、基材上に、光学的異方性を有する有機
    高分子からなる複数の片状位相差部材が、互いに隣接
    し、かつ、隣接するもの同士の遅相軸または進相軸を互
    いに異なる2以上の方向に向けて配置されて構成されて
    いることを特徴とする立体表示装置。
  5. 【請求項5】 表示媒体を挟んで対向配置され、該表示
    媒体側表面に該表示媒体を駆動するための電極がそれぞ
    れ設けられた一対の基板を有する立体表示装置であっ
    て、 少なくとも一方の基板が位相差素子によって形成されて
    おり、 該位相差素子は、基材上に、光学的異方性を有する有機
    高分子からなる膜状位相差部材が部分的に穴を有して、
    または部分的に光学的等方性部分を有して設けられ、光
    学的異方性を有する有機高分子からなり、該膜状位相差
    部材と異なる1方向または2以上の方向にその遅相軸ま
    たは進相軸を向けた複数の片状位相差部材が、該膜状位
    相差部材の穴に入り込んで、または該光学的等方性部材
    部分の上に配置されていることを特徴とする立体表示装
    置。
  6. 【請求項6】 前記位相差素子は、前記位相差部材を表
    示媒体側に向けて配置されている請求項4または5に記
    載の立体表示装置。
  7. 【請求項7】 前記位相差素子は、遅相軸または進相軸
    が同一方向に向いた一定幅の前記位相差部材の間に、遅
    相軸または進相軸が別の方向に向いた一定幅の前記位相
    差部材が設けられている請求項1または4に記載の立体
    表示装置。
  8. 【請求項8】 前記位相差素子が、前記片状位相差部材
    の隣接するもの同士において、または片状位相差部材と
    膜状位相差部材とにおいて、一方と他方とで遅相軸また
    は進相軸が互いに異なる2方向に向いている請求項1乃
    至7のいずれかに記載の立体表示装置。
  9. 【請求項9】 前記位相差素子の互いに異なる2方向が
    直交している請求項8に記載の立体表示装置。
  10. 【請求項10】 前記位相差素子の位相差部材は、その
    位相差部材を透過する光の位相を入射光の波長の1/4
    ずらす1/4波長板からなる請求項1乃至9のいずれか
    に記載の立体表示装置。
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