JP3357910B2 - 透明マグネシア焼結体の製造法 - Google Patents

透明マグネシア焼結体の製造法

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JP3357910B2 JP08777599A JP8777599A JP3357910B2 JP 3357910 B2 JP3357910 B2 JP 3357910B2 JP 08777599 A JP08777599 A JP 08777599A JP 8777599 A JP8777599 A JP 8777599A JP 3357910 B2 JP3357910 B2 JP 3357910B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、SiO2 とB2
3 で緻密化を促進して透明化したマグネシア焼結体の製
造法、さらに詳しくは、高温光学・照明材料等の高機能
性を有する透明MgO焼結体の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】透明なMgO焼結体は次世代材料として
潜在的能力が大きいことから、LiF等のフッ化物等
を添加後ホットプレスする方法、2CaO・Ga2
3 添加による方法、MgO粉末を有機溶媒に分散し再
仮焼して焼結性を改善する方法、微量のSiO2 を添
加する方法等が開発されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これらの方法には以下
で述べる欠点がある。の方法では、圧粉体をホットプ
レスや熱間静水圧プレスする必要があり、作業性に劣り
コスト高になるという欠点がある。の方法では、添加
物として高価なGa2 3 を使用するのでコスト高にな
るという欠点がある。の方法では、MgOの緻密化を
促進する有機溶剤の役割が未解明であり、粉末の製造履
歴によっては有機溶媒の添加効果が発現しない場合があ
るという欠点がある。さらにの微量のSiO2 を添加
する方法では、SiO2 単独の働きでMgOを透明化す
るには、非常に焼結性に優れた出発原料粉末を使用する
必要があるという欠点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の如き
従来技術の問題点に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、シリ
カと微量のB2 3 を同時に添加すると極めて容易にM
gO焼結体を透明できることを発見し、本製造法を開発
した。
【0005】すなわち、本発明は、一次粒子の平均粒径
が0.01μm〜0.4μmのマグネシア粉末または仮
焼により一次粒子の平均粒径が0.01μm〜0.4μ
mのマグネシア粉末を生成するマグネシウム化合物に、
加熱によりSiO2を生成する200〜3000重量
pm(但し、MgOに対しSiO2として)の珪素化合
物と加熱によりB2 3を生成する10〜300重量
pm(但し、Mg0に対しB2 3として)のボロン化
合物を湿式法によって均一に混合し、600℃〜140
0℃で仮焼した後、その圧粉体を窒素やアルゴンなどM
gOの結晶内を実質的に拡散できない気体成分が0.5
気圧以下の雰囲気で1500℃〜1800℃で焼成する
ことを特徴とする透明マグネシア焼結体の製造方法であ
る。
【0006】
【発明の実施の形態】<原料のマグネシウム塩>本発明
では一次粒子の平均粒径が0.01μmから0.4μm
の範囲の微細なマグネシア粉末を使用する必要がある。
これはマグネシアの平均粒径が0.4μm以上になる
と、焼結の駆動力である表面エネルギーが少ないため焼
結性が急激に低下し、焼結で気孔を完全に取り除くこと
がでず、焼結体が透明にならないためである。粒径が小
さくなると緻密化の駆動力である表面エネルギーが大き
くなるので、透明焼結体を製造するには好ましい。平均
粒径が0.1μm以下の粉末が特に好ましい。
【0007】一方、平均粒径が小さくなるほど粒子間に
作用する摩擦力が大きくなる。該摩擦力に比例して圧粉
体中の密に充填した所と疎に充填した所の密度の差が大
きくなる。密に充填した所は焼成中に急激に緻密化す
る。充填が疎であるために緻密化が遅れた残りの領域に
とっては、この緻密に焼結した領域は大きな粒子が出現
したことに相当する。このため、焼結が進むにつれ緻密
化の遅れた領域の緻密化は一段と困難になり、気孔を完
全に取り除くことはできない。このために平均粒径が
0.02μm以下になると透明焼結体を製造することが
次第に困難になり、一次粒子の平均粒径が0.01μm
以下では透明焼結体は製造できない。
【0008】本発明で使用する加熱により一次粒子の平
均粒径が0.01μm〜0.4μmのマグネシア粉末と
なるマグネシウム化合物としては、例えば水酸化マグネ
シウム、炭酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、
蓚酸マグネシウム、酢酸マグネシウム等が挙げられる。
しかし、これらに限定されるものでなく、仮焼の際に分
解して一次粒子の平均粒径が0.01μm〜0.4μm
のマグネシウム粉末を生成するものであればよい。
【0009】本発明では、光を吸収する不純物は一般に
好ましくなく、材料の使用目的が着色していると不都合
な場合、そのような不純物の合計は100重量ppm以
下に制限する必要がある。その他の不純物の場合、Mg
Oに固溶する範囲内であれば特に問題はない。固溶限界
以上であっても偏析層や第2相介在物の厚さが0.1μ
m以下であると光は散乱されないので、特に問題はな
い。しかしながら、0.1μm以上の厚さの第2相介在
物や偏析層は光を散乱し、焼結体の透明度を低下させる
ので、0.1μm以上の厚さの第2相介在物を出現させ
る不純物は好ましくない。
【0010】本発明に使用する珪素化合物としては、珪
酸ナトリウム、珪酸カリウム等のような無機珪酸や珪酸
エチルなどの有機化合物等が例示されるが、本発明にお
いて仮焼後にMgOの焼結に対してSiO2 としての働
きをする化合物であるならば、化合物として特に限定さ
れるものでない。無機珪酸化合物の中で、珪酸ナトリウ
ムや珪酸カリウムのように強い塩基性を発現する金属の
珪酸塩は、比較的水に良く溶解する。このため、それら
の珪酸塩を湿式法で添加するとMgO粉末上に均一に分
散するので好ましい。しかしながら、塩基性の強い金属
はマグネシアの特性を悪くするので、添加後に十分に水
洗して取り除く必要がある。
【0011】一方、珪酸エチル等の有機化合物を高純度
の水と混合すると、水と反応してコロイド状のシリカゲ
ルを生成し、分散性が悪くなる欠点がある。しかしなが
ら、該有機化合物はアンモニア等で塩基性にした水溶液
に溶解するので、塩基性の水溶液に溶解させてマグネシ
アあるいはマグネシウム化合物に添加すると、シリカは
均一に添加することができる。この場合、塩基剤として
アンモニアのように仮焼過程で試科から完全に離脱する
化合物はマグネシア焼結体の性質を劣化させないので好
ましい。これに対し塩基剤として苛性ソーダや苛性カリ
などの塩基性の強い金属の水酸化物を用いた場合、既に
指摘したが水洗を十分に行ないそれらの金属を完全に除
去する必要がある。
【0012】珪素化合物の添加量は、CaO等のよう
に、SiO2と強く結合して第2相を出現させる不純物
が存在しない場合、100〜3000重量ppm(但
し、MgOに対しSiO2として)の範囲であることが
必要がある。100重量ppmよりも少ないとSiO2
の添加効果は認められない。一方、3000重量ppm
以上になると粒界に偏析し、厚さが0.1μm以上にな
り、入射光は粒界の偏析層や第2相介在物で散乱するよ
うになるので、透明度が低下する。
【0013】一方、CaOのようにSiO2 と強く結合
して第2相介在物や偏析層を出現させる不純物が存在す
る場合、SiO2の添加量は出現した第2相介在物や偏
析層の厚さが0.1μm以下の条件を満足させる必要が
ある。第2相介在物や偏析層の厚さはSiO2 の量ばか
りでなく、焼結体の微細構造にも依存するので、木発明
の特徴を満足させるSiO2 の量を予め決めることはで
きない。実際には実験的に最適なSiO2 の添加量を決
める必要がある。
【0014】本発明に使用する硼素化合物としては、例
えば硼酸や硼酸カリウム、硼酸ナトリウム等が例示され
る。しかしながら、仮焼後に本発明の添加効果を満足さ
せる酸化硼素になる化合物であれば特に制限されない。
本発明で使用する酸化硼素の量は微量であるので、水や
有機溶剤に極めて溶解量が少ない硼素化合物以外は本発
明で使用できる。硼素化合物の中で、硼酸カリウムや硼
酸ナトリウムなどのような塩基性の強い金属と硼酸の化
合物を添加剤として使用する場合、該金属は一般に焼結
後のマグネシアの実用的に重要な性質を劣化させるの
で、水洗で可能な限り除去する必要がある。
【0015】本発明における酸化硼素の添加量はMgO
に対し10〜300重量ppmの範囲に制限される。1
重量ppm以下であると酸化硼素の添加効果は認めら
れない。酸化硼素は微量でもマグネシアの高温の機械的
強度を低下させる。このため、酸化硼素を300重量
pm以上添加するとマグネシア焼結体の性質を劣化させ
るばかりでなく、マグネシアの焼結に用いる焼成炉も低
融点物である硼素化合物で激しく汚染され好ましくな
い。
【0016】本発明では、珪素化合物と硼素化合物を添
加したマグネシア粉末は400℃〜1400℃で仮焼す
る。仮焼温度が400℃よりも低いと、珪素化合物や硼
素化合物の熱分解が不十分であり、仮焼後に得られる粉
末の成形性が悪く充填が不均一になる。粉末が不均一に
充填した圧粉体を透明に焼結することはできない。珪素
化合物と硼素化合物をマグネシウム化合物に添加する場
合、600℃〜1400℃の温度範囲で仮焼する必要が
ある。仮焼温度が600℃よりも低いと、マグネシウム
化合物から生成したマグネシア粉末の平均粒径は0.0
1μm以下となるので好ましくない。一方、1400℃
で仮焼すると平均粒径が0.4μm以上に成長するので
好ましくない。
【0017】本発明では、仮焼・成形後、1500℃〜
1800℃で焼成する。焼成温度が1500℃よりも低
いと気孔を完全に取り除くことはできないので透明度に
優れた焼結体を製造できない。一方、1800℃以上の
高温で焼成すると、MgOの昇華が激しくなり焼成炉を
汚染するので好ましくない。
【0018】本発明の焼成雰囲気では、窒素やアルゴン
などのように原子がMgOの結晶内を実質的に拡散でき
ない気体の分圧の合計が0.5気圧以上になると焼結の
後期段階で発生する閉気孔から焼結で該気体を完全に取
り除くことが急激に困難になる。このため、本発明で
は、該気体の分圧を0.5気圧以下に制限する必要があ
る。水素原子や酸素原子はMgO格子間を拡散できるの
で水素ガスや酸素ガスの分圧は特に制限はない。また、
真空雰囲気で焼結を行うと、実質的に閉気孔の消失を阻
害するガスは無視できるので、特に好ましい。
【0019】
【実施例】以下に本発明の実施例及び比較例を示すが、
本発明は、これらの実施例に制限されるものではない。 実施例1 30gの塩化マグネシウム六水和物を溶解した0.4リ
ットルの蒸留水に、MgOに対して500重量ppmの
SiO2に相当する珪酸エチルと30重量ppmのB2
3に相当する硼酸を溶解させた1.5規定のアンモニ
ア水溶液を加えて水酸化マグネシウムを沈殿させる。ろ
過した該沈殿を蒸留水に分散し再びろ過する。この操作
を再び繰り返し沈殿を洗浄する。洗浄後、窒素気流中で
室温で乾燥し、アルミナ乳鉢で乾燥体を軽く解す。解し
た粉末を酸素気流中で900℃で4時間仮焼する。該仮
焼粉を成形し圧粉体とし、真空雰囲気中1600℃で1
時間焼成する。得られたMgO焼結体は透明であった。
【0020】実施例2 0.4モル/リットルの炭酸ナトリウム溶液1000m
l中に、MgOに対して600重量ppmのSiO2
相当する珪酸エチルと60重量ppmのB23に相当す
る硼酸を予め混合し、これに0.4モル/リットルの塩
化マグネシウム溶液100mlを滴下した。生成した炭
酸マグネシウムを室温で3時間熟成した後、この沈殿を
十分に洗浄し乾燥した。得られた塩基性炭酸マグネシウ
ムを酸素気流中900℃で4時間仮焼する。該仮焼粉を
成形し圧粉体とし、真空雰囲気中1600℃で1時間焼
成する。得られたMgO焼結体は透明であった。
【0021】実施例3 30gの塩化マグネシウム六水和物を硼珪酸ガラスビー
カーに入った0.4リットルの蒸留水に溶解させ、マグ
ネチックスターラーで撹拌しながら軽く沸騰させる。該
沸騰水に4規定のアンモニア水溶液を加えて水酸化マグ
ネシウムを沈殿させ、3時間保持する。該沈殿をろ過し
た後、室温の蒸留水に分散し再びろ過する。この操作を
再び繰り返し沈殿を洗浄する。洗浄後、窒素気流中で室
温で乾燥し、アルミナ乳鉢で乾燥体を軽く解す。解した
粉末を酸素気流中で900℃で4時間仮焼する。仮焼後
のMgO粉末はMgOに対して900重量ppmのSi
2と90重量ppmのB2 3が存在した。該仮焼粉を
成形し圧粉体とし、真空雰囲気中1600℃でl時間焼
成する。得られたMgO焼結体は透明であった。
【0022】比較例1 珪酸エチルや硼素を加えない以外は実施例2の方法で製
造したMgO焼結体は乳白色で、その見掛け密度はMg
Oの理論密度の98%であった。
【0023】比較例2 沸騰水溶液の代わりに室温で水酸化マグネシウムの生成
や熟成を行う以外は実施例3の方法に従い製造したMg
O焼結体は乳白色で、その見掛け密度はMgOの理論密
度の97%であった。また、この方法で製造したMgO
仮焼粉には120重量ppmのSiO2が存在するのみ
で、B2 3を含めてその他の不純物は10重量ppm
以下であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−242956(JP,A) 特開 昭61−111961(JP,A) 特開 昭58−181764(JP,A) 特公 昭49−16246(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/04

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一次粒子の平均粒径が0.01μm〜
    0.4μmのマグネシア粉末または仮焼により一次粒子
    の平均粒径が0.01μm〜0.4μmのマグネシア粉
    末を生成するマグネシウム化合物に、加熱によりSiO
    2を生成する200〜3000重量ppm(但し、Mg
    Oに対しSiO2として)の珪素化合物と、加熱により
    2 3を生成する10〜300重量ppm(但し、M
    gOに対しB23として)のボロン化合物を湿式法によ
    って均一に混合し、600℃〜1400℃で仮焼した
    後、その圧粉体をMgOの結晶内を実質的に拡散できな
    い気体成分が0.5気圧以下の雰囲気で1500℃〜1
    800℃で焼成することを特徴とする透明マグネシア焼
    結体の製造法。
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