JP4747892B2 - 透光性セラミックおよびその製造方法、ならびに光学部品および光学装置 - Google Patents

透光性セラミックおよびその製造方法、ならびに光学部品および光学装置 Download PDF

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Description

本発明は、レンズ等の光学部品として有用な透光性セラミックおよびその製造方法、ならびにそれを用いた光学部品および光学装置に関するものである。
従来より、光ピックアップ等の光学装置に搭載するレンズ等の光学部品の材料としては、例えば特許文献1や特許文献2に記載されているように、ガラスまたはプラスチック、あるいはニオブ酸リチウム(LiNbO3)等の単結晶が用いられている。
ガラスやプラスチックは、光透過率が高く、所望の形状への加工が容易であることから、レンズ等の光学部品に用いられている。また、LiNbO3の単結晶は電気光学特性と複屈折を利用して、光導波路等の光学部品に用いられている。このような光学部品を用いた光ピックアップなどの光学装置ではさらなる小型化や薄型化が要求されている。
ところが、従来のガラスやプラスチックでは、その屈折率が2.00以下であることから、それらを用いた光学部品や光学装置において小型化や薄型化に限界がある。また、プラスチックは耐湿性が悪く、そのうえ複屈折が生じることがあるため、入射光を効率よく透過、集光させるのが難しかった。また、たとえばLiNbO3単結晶は、屈折率=2.3と高いものの、複屈折があるため、レンズ等の光学部品には用いる事が難しく、用途が限定されてしまうため好ましくなかった。
複屈折を生じず、かつ優れた光学特性を得るには、Ba(Mg,Ta)O3系およびBa(Zn,Ta)O3系透光性セラミックが適しており、特許文献3および4にそれぞれ開示されている。これらは、2.01以上の屈折率(以下、特に断りのない限り、波長633nmにおける屈折率のことをいう)を示す。
一般に、透光性セラミックにおいて十分な直線透過率を得るには、理論密度に対する焼結密度の比が1に近づくよう、十分に焼結させる必要がある。上記のBa(Mg,Ta)O3系およびBa(Zn,Ta)O3系透光性セラミックでは、1550〜1650℃の焼成温度にて10〜20時間焼成している。すなわち十分な焼結密度を得るのに長い焼成時間が必要であった。
透光性セラミックにおいて焼結密度を効率よく高める方法として、特許文献5に、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(以下、「YAG」と記す)セラミックに焼結助剤としてフッ化物、およびSiO2、Na2 O、MgO、CaO、Li2Oから選ばれる少なくとも1種を添加する方法が開示されている。
特開平5−127078号公報(全頁、図1) 特開平7−244865号公報(請求項6、段落番号0024) 特開2004−75512号公報(全頁、全図) 特開2004−75516号公報(全頁、全図) 特開平5−286762号公報(請求項2、段落番号0015)
透光性セラミックスをレンズ等の光学部品に加工する際、表面の研磨加工が必要となる。この場合、加工効率が高いメカノケミカル研磨が加工に適しており、例えばCeO2粉を含む研磨スラリーが用いられる。メカノケミカル研磨を行った場合、研磨液により、透光性セラミックの表面が若干溶解する。
ここで、特許文献5に開示されているYAGセラミックでは、前記焼結助剤により焼結性が向上するものの、粒成長が生じる。これは、添加したSiがセラミック主成分中のAlと置換固溶し、その結果粒子表面における溶解度が増加するためと考えられる。このように粒成長が生じた場合、上記研磨時におけるセラミックの溶解により、セラミック表面の表面粗さが大きくなり、これによりセラミックの直線透過率に低下するという問題があった。
また、研磨時にセラミックの溶解を生じにくい研磨方法としては、ダイヤモンドスラリーを用いたメカニカル研磨があげられる。しかしこの場合、セラミックの表面におけるスクラッチ傷の発生を防ぐために研磨速度を遅くする必要があり、これにより研磨時間が非常に長くなってしまい、好ましくなかった。
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ペロブスカイト化合物を主成分とする透光性セラミックにおいて、焼成の短時間化を促進することにあり、またメカノケミカル研磨加工後の表面粗さを小さくし、レンズ等の光学部品の透過率向上に有効な透光性セラミックを提供することにある。
すなわち本発明は、一般式:A(M,B1,B2) v w (vおよびwは電気的中性を保つために必要な正の数であり、前記AがBaおよびSrから選ばれる少なくとも1種以上であり、前記B1がMg、Zn、YおよびInから選ばれる少なくとも1種以上であり、前記B2がTaおよびNbから選ばれる少なくとも1種以上であり、前記MがTi、Hf、SnおよびZrから選ばれる少なくとも1種以上である)で表されるペロブスカイト型化合物を主成分とし前記主成分100重量部に対してSiO 2 を0.005重量部以上0.1重量部以下含むことを特徴とする。
また、前記SiO 2 合計の含有量が、前記主成分100重量部に対して0.01重量部以上0.03重量部以下であることが好ましい。
本発明の透光性セラミックは、好ましくは、波長が633nmである可視光の、試料厚み0.4mmにおける直線透過率が20%以上である。
本発明は、また、上述したような透光性セラミックを製造する方法にも向けられる。本発明の透光性セラミックの製造方法は、前記セラミックの原料粉末を所定形状に成形してなる未焼成のセラミック成形体を、前記原料粉末と実質的に同組成の組成物と接触させ、この状態で前記未焼成のセラミック成形体を酸素濃度が90体積%以上の雰囲気中で焼成する工程を備えることを特徴とする。
本発明は、前述した透光性セラミックからなる光学部品、およびこの光学部品が搭載されている光学装置にも向けられる。
本発明の透光性セラミックおよびその製造方法によれば、複屈折がなく、高屈折率を示すペロブスカイト型化合物を主成分とする透光性セラミックにおいて、短時間での焼成が可能となるため、工程時間の短縮およびコストダウンを可能である。また、粒成長を抑制しながら十分な焼結密度を得られるため、メカノケミカル研磨を行っても表面粗さが大きくならない。したがって、表面散乱による透過率低下の懸念の少ないレンズ等の光学部品を効率的に得ることができる。
本願発明の透光性セラミックの具体的な構成について説明する。
本発明の透光性セラミックは、一般式:A(M,B1,B2) v w (vおよびwは電気的中性を保つために必要な正の数であり、前記AがBaおよびSrから選ばれる少なくとも1種以上であり、前記B1がMg、Zn、YおよびInから選ばれる少なくとも1種以上であり、前記B2がTaおよびNbから選ばれる少なくとも1種以上であり、前記MがTi、Hf、SnおよびZrから選ばれる少なくとも1種以上である)で表されるペロブスカイト型化合物を主成分とし前記主成分100重量部に対してSiO 2 を0.005重量部以上0.1重量部以下含むことを特徴とする。
上記Aはペロブスカイト構造の通称「Aサイト元素」と呼ばれる陽イオンであり、Bは通称「Bサイト元素」と呼ばれる陽イオンである。BとAのモル比vは1に近い値であり、またwは3に近い値である。A、Bはそれぞれ一種類の元素から構成されても、複数の元素の組み合わせで構成されても構わない。すなわち、A、Bそれぞれの構成元素が複数である場合、ペロブスカイト構造の電気的中性が保たれるよう、その構成元素の種類および比率が適宜調整される。
副成分であるSiO 2 焼結助剤として作用する。すなわち、焼成時の昇温時に溶解して液相となり、これが主成分の粒子を効果的に配列させ、緻密化を促進させる。
次に、本発明の透光性セラミックの主成分となるペロブスカイト化合物の、より好ましい一態様について説明する。
すなわち、前記ペロブスカイト型化合物は、一般式:A(M,B1,B2)vw(vおよびwは電気的中性を保つために必要な正の数)で表され、AがBaおよびSrから選ばれる少なくとも1種以上であり、B1がMg、Zn、YおよびInから選ばれる少なくとも1種以上であり、B2がTaおよびNbから選ばれる少なくとも1種以上であり、MがTi、Hf、SnおよびZrから選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする。
上記のA(M,B1,B2)vw系セラミックは、上記の一般式の組成とすることにより、結晶系が立方晶となり、透光性が発現する。この場合、上記ペロブスカイト型化合物は常誘電体となっており、複屈折が生じない。これらの現象は、特に4価元素Mによる作用が大きい。このMの含有量の調節により、屈折率、アッベ数などの光学特性を幅広く調節可能となる。
また、A(M,B1,B2)vwの電気的中性を保つには、Aサイト構成元素であるAは+2、M、B1およびB2からなるBサイトは+4に近くなればよい。このとき、vは1に近い値であり、wは3に近い値である。このうちB1は2価または3価の陽イオンの組み合わせであり、B2は5価の陽イオン、Mは4価の陽イオンである。すなわち、B1とB2の比は、B1とB2との平均の価数が+4に近くなるようにすることにより、電気的中性が保たれる。電気的中性を大きく損なうような元素の構成比を選択した場合、異相が析出しやすくなり、直線透過率が低下する。
なお、A、BおよびMそれぞれの必須の構成元素は上記の通りであるが、電気的中性がほぼ保たれ、かつ本発明の目的を損なわない範囲、たとえば可視光を大幅に吸収して直線透過率を下げるようなことがなければ、上記必須の構成元素以外の元素を含んでも構わない。
次に、本発明の特徴部分であるSiO 2 ついて説明する。上記ペロブスカイト型化合物にSiO2を添加した場合、Si成分は、YAGセラミックの場合とは異なり、主成分中へ置換固溶することは殆どないと考えられる。そのため、本発明の透光性セラミックでは大きな粒成長を伴うことなく、セラミックを緻密化させることができる
SiO 2 適正な合計の含有量は、前記主成分100重量部に対し、0.005重量部以上0.1重量部以下である。これにより、10〜20時間必要であった焼成時間を、焼成温度さらに上げることなく、1時間程度に短縮することができるため、粒成長を抑制することができる。
SiO 2 含有量が主成分100重量部に対し0.0025重量部未満であると、1時間の焼成では十分な焼結密度を得られない。一方、0.2重量部を超えると、液相成分が必要以上に多くなるため、大きな粒成長が生じてしまう。特にSiO 2 含有量は、焼結密度と粒成長抑制の両立の安定性を考慮すると、0.01重量部以上0.03重量部以下であることがより好ましい。
なお、SiO 2 、予め用意した主成分原料に添加する形で含有させてもよいし、主成分の生原料素材を混合するときに添加する形で含有させてもよい。またSiO 2 、単独の粉末でもよいし、他の成分を含んだガラス成分の一部であってもよい。
なお、本願発明の透光性セラミックの組成には、本願発明の目的を損わない範囲で、不可避的に混入する不純物が含まれていてもよい。例えば原料として用いる酸化物もしくは炭酸塩に含まれる不純物や作製工程中で混入する不純物として、Fe23、CaO、Al23、SrO、WO3、Bi23、Sb25、P25、CuOおよびLa23等の希土類酸化物などが挙げられる。
さらに、上記SiおよびBiを除くそれぞれの構成元素は、主としてペロブスカイト化合物の所定のサイトに位置するが、本発明の目的を損なわない範囲でならば、若干量粒界に存在していたり、他のサイトに位置していても構わない。
次に本願発明の透光性セラミックの製造方法について説明する。
本願発明の透光性セラミックの製造方法によれば、セラミック原料粉末を所定形状に成形してなる未焼成のセラミック成形体を用意する工程と、前記セラミック原料粉末と実質的に同組成の同時焼成用組成物を用意する工程と、前記同時焼成用組成物を前記未焼成のセラミック成形体に接触させながら、酸素濃度が90体積%以上の雰囲気中で、前記未焼成のセラミック成形体を焼成する工程とを備える。
未焼成のセラミック成形体は、前記セラミック原料粉末と実質的に同組成の組成物からなる粉末に埋め込んだ状態で焼成することが特に好ましい。
また、同組成の組成物とは、たとえば、上記成形体と同じ組成となるように調整した原料を仮焼し、粉砕して得られた粉末である。この同組成の組成物により、上記成形体中の揮発成分が焼成時に揮発することを抑制することができる。また、この同組成の組成物は、粉末に限らず、成形体または焼結体であってもよい。なお、この同組成の組成物は、上記成形体と同じ組成を有することが好ましいが、実質的に同組成であれば良い。実質的に同組成とは、同一の構成元素を含んだ同等の組成系であれば、全く同一の組成でなくてもよいということを意味する。また、前記実質的に同組成の組成物は必ずしも透光性を備えるものでなくても構わない。
なお、本願発明の透光性セラミックの製造方法によれば、その焼成時雰囲気の気圧は、1気圧またはそれ以下でも構わない。すなわち、特にHIP(Hot Isostatic Press)等の加圧焼成を行う必要はない。
また、本発明の透光性セラミックは高い直線透過率を示すが、表面に屈折率が透光性セラミックより低い反射防止膜(AR膜=Anti-Reflection膜)を形成すれば、さらに直線透過率を高めることができる。この反射防止膜は、MgO等の誘電体からなる膜であることが望ましい。たとえば直線透過率が73.4%であり、かつ屈折率が2.0153の場合、Fresnelの法則より直線透過率の理論最大値は78.6%となる。このとき、理論値に対する相対透過率は93.4%となる。これは、試料内部での透過損失がほとんどないことを示している。したがって、試料表面に反射防止膜を形成すれば、得られる直線透過率をほぼ理論値とすることができる。
また、本願発明の透光性セラミックは、レンズ等の光学部品に用いることができ、たとえば、図1(a)に示すような両凸レンズ10、図1(b)に示すような両凹レンズ11、図1(c)に示すようなメニスカスレンズ12、図1(d)に示すような光路長調整板13、および図1(e)に示すような球状レンズ14に利用することができる。
また、このような光学部品を搭載した光学装置として、光ピックアップを例に取り、説明する。
光ピックアップは、図2に示すように、コンパクトディスクやミニディスク等の記録媒体1に対して、コヒーレントな光であるレーザー光を照射し、その反射光から記録媒体1に記録された情報を再生するものである。
このような光ピックアップにおいては、光源としての半導体レーザー装置5からのレーザー光を平行光に変換するコリメータレンズ4が設けられ、その平行光の光路上にハーフミラー3が設けられている。このハーフミラー3は、コリメータレンズ4からの入射光は通して直進させるが、記録媒体1からの反射光については、反射光の進行方向を例えば約90度の反射により変更するものである。
また、光ピックアップには、ハーフミラー3からの入射光を記録媒体1の記録面上に集光するための対物レンズ2が設けられている。この対物レンズ2は、記録媒体1からの反射光を効率よくハーフミラー3に対して出射するものである。反射光が入射されたハーフミラー3では、反射により位相が変化することで、上記反射光の進行方向が変更される。
さらに、光ピックアップには、変更された反射光を集光するための集光レンズ6が設けられている。そして、反射光の集光位置に、反射光からの情報を再生するための受光素子7が設けられている。
このように構成される光ピックアップにおいて、本発明にかかる透光性セラミックを対物レンズ2の素材として用いた場合、本発明の透光性セラミックは屈折率が大きいため、光ピックアップの小型化や薄型化が可能である。
[実施例1]素原料として高純度のBaCO3、SrCO3、MgCO3、ZnO、Ta25、Nb25、SnO2、ZrO2、TiO2、HfO2を準備した。そして、組成式(Sr1-sBas){(Mx(Mg1-tZnty(Ta1-uNbuzvw(MはTi,Sn,Zr,Hfから選ばれる少なくとも一種以上、wは電気的中性を保つために必要な正の数)で表される、表1に示す組成の原料が得られるように、各素原料を秤量し、ボールミルで16時間湿式混合した。この混合物を乾燥させたのち、1300℃で3時間仮焼し、表1のa〜hに示す組成の仮焼粉体を得た。このときwの値はほぼ3になっていた。
この表1に示す組成a〜hの仮焼粉体に、SiO2粉末、B23粉末を表2および表3に示す試料が得られるように加え、水、有機分散剤および有機バインダーとともにボールミルに入れ、12時間湿式粉砕した。有機バインダーとしては、例えばエチルセルロースが用いられる。エチルセルロース以外でも、ポリビニルアルコール等のようにセラミック成形体用の結合剤としての機能を備え、かつ焼成工程において焼結温度に達する前に、500℃程度で大気中の酸素と反応して炭酸ガスや水蒸気などにガス化して消失するものであれば、有機バインダーとして用いることができる。
上記粉砕物を乾燥させた後、50メッシュの網(篩)を通して造粒し、得られた粉末を196MPaの圧力で押圧することにより、直径30mm、厚さ2mmの円板成形体を得た。
次に、上記未焼成の成形体を、前記仮焼粉体と同組成の粉末中に埋め込んだ。この埋め込まれた成形体を焼成炉に入れ、大気雰囲気中で加熱し、脱バインダーを行った。引き続き、昇温しながら前記大気雰囲気中に酸素を注入し、最高温度域の1600〜1700℃において、焼成雰囲気中の酸素濃度を約98体積%まで上昇させた。この焼成温度および酸素濃度を維持し、前記成形体を1時間焼成して焼結体を得た。
こうして得られた焼結体のセラミック粒径、焼結密度を測定した。その結果を表2に示す。こののち、焼結体に#2000の研磨粉を用いてラップ研磨を行い、焼結体の厚みを0.6mmとした。
次にこの焼結体の両主面を、CeO2研磨粉を含む研磨スラリーを用いて、メカノケミカル研磨を行った。得られた研磨体を試料Aとする。同時に比較例として、別の焼結体の両主面を、ダイヤモンド砥粒を含む研磨スラリーを用いて、メカニカル研磨を行った。得られた研磨体を試料Bとする。試料Bの研磨方法は、表面粗さの小さい良好な研磨面が得られるが、時間がかかりすぎるため実用性の低い方法である。すなわち試料Bの位置付けは、試料Aの研磨面品質の評価のための比較対象である。
試料Aにおいて、表面粗さRaを測定した。また、島津製作所製分光光度計(UV−2500)を用いて、試料AおよびBの波長633nmの可視光における直線透過率を測定した。これらの結果、および試料Bの直線透過率から試料Aの直線透過率を差し引いた値を表2に示す。この差し引いた値が小さければ、研磨効率の良いCeO2系メカノケミカル研磨を行っても、十分に平滑な研磨面が得られるということである。
表2、表3において、本発明の範囲内の試料Aすべてにおいて、1時間の焼成時間にて、焼結密度の理論密度比が99%以上と十分な値が得られた。また、セラミック粒径が10μm以下と小さいため、CeO2系研磨スラリーを使用しても表面粗さRaは10nm以下に抑えられ、そのため直線透過率の試料Bから試料Aを差し引いた値が5%未満と低い値が得られた。
表2および表3において、試料番号1,2,10,18,23,24,30,37,38,46,54,61,68,75,82,89および96は、SiO2とB23との合計含有量が主成分100重量部に対して0.0025重量部未満であるため、1時間の焼成時間では十分な焼結密度が得られず、その結果、その材料組成本来の直線透過率が得られない。
試料番号8,9,16,17,22,28,29,35,36,44,45,52,53,57,60,64,67,71,74,78,81,85,88,92,95,99および102は、SiO2とB23との合計含有量が主成分100重量部に対して0.15重量部以上と多いので、セラミック粒径が大きくなるためRaが大きくなり、その結果、直線透過率の試料Bから試料Aを差し引いた値が5%以上と大きくなった。
また、表2、表3において、試料番号に*印を付したものは本発明の範囲外のものである。
また、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、発明の目的を損わない範囲内で適宜変更を加えることができる。例えば、原料の形態は酸化物もしくは炭酸塩に限定されるものではなく、焼結体とした段階で所望の特性が得られる原料であればよい。また、焼成雰囲気について、上記実施例の約98体積%という酸素濃度の値は、使用した実験設備の条件下において最も好ましいものである。
本発明の透光性セラミックからなる光学部品の説明図であり、(a)は両凸レンズを表し、(b)は両凹レンズを表し、(c)はメニスカスレンズを表し、(d)は光路長調整板を示し、(e)は球状レンズを示す。 本発明の透光性セラミックからなる光学部品を搭載した光学装置の一実施例ある光ピックアップを示す説明図である。
1 記録媒体
2 対物レンズ
3 ハーフミラー
4 コリメータレンズ
5 半導体レーザ素子
6 集光レンズ
7 受光素子
8 レーザー光
10 両凸レンズ
11 両凹レンズ
12 メニスカスレンズ
13 光路長調整板
14 球状レンズ

Claims (7)

  1. 一般式:A(M,B1,B2) v w (vおよびwは電気的中性を保つために必要な正の数であり、前記AがBaおよびSrから選ばれる少なくとも1種以上であり、前記B1がMg、Zn、YおよびInから選ばれる少なくとも1種以上であり、前記B2がTaおよびNbから選ばれる少なくとも1種以上であり、前記MがTi、Hf、SnおよびZrから選ばれる少なくとも1種以上である)で表されるペロブスカイト型化合物を主成分とし前記主成分100重量部に対してSiO 2 を0.005重量部以上0.1重量部以下含むことを特徴とする、透光性セラミック。
  2. 前記SiO 2 含有量が、前記主成分100重量部に対して0.01重量部以上0.03重量部以下である、請求項1に記載の透光性セラミック。
  3. 波長が633nmである可視光の、試料厚み0.4mmにおける直線透過率が20%以上である、請求項1〜のいずれかに記載の透光性セラミック。
  4. 多結晶体である、請求項1〜に記載の透光性セラミック。
  5. 請求項に記載の透光性セラミックの製造方法であって、
    セラミック原料粉末を所定形状に成形してなる未焼成のセラミック成形体を用意する工程と、前記セラミック原料粉末と実質的に同組成の同時焼成用組成物を用意する工程と、
    前記同時焼成用組成物を前記未焼成のセラミック成形体に接触させながら、酸素濃度が90体積%以上の雰囲気中で、前記未焼成のセラミック成形体を焼成する工程とを備える、透光性セラミックの製造方法。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の透光性セラミックからなる光学部品。
  7. 請求項に記載の光学部品が搭載されている光学装置。
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