JP3357532B2 - 分岐二量化アルキルリン酸塩基性アミノ酸塩の製造方法 - Google Patents

分岐二量化アルキルリン酸塩基性アミノ酸塩の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分岐二量化アルコ
ールのリン酸エステル(以下、「分岐二量化アルキルリ
ン酸」という。)の塩基性アミノ酸塩の製造方法に関す
る。更に詳しくは、色、匂いなどの品質に優れ、結晶性
の良好な分岐二量化アルキルリン酸塩基性アミノ酸塩の
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】有機ヒ
ドロキシ化合物のリン酸エステルは、19世紀よりヒドロ
キシル化合物を五酸化リン、三塩化ホスホリル等のリン
酸化剤と反応させることにより得られることが知られて
おり、そのアルカリ金属塩、アルカノールアミン塩等の
塩類は、洗浄剤、繊維処理剤、乳化剤、防錆剤、液状イ
オン交換体、医薬品等として幅広い分野で利用されてい
る。なかでも、ゲルベ反応により得られる分岐二量化ア
ルコールのリン酸エステルは直鎖アルコールのリン酸エ
ステルに比較して融点が低い、疎水性が大きいなどの性
質を有するため、電子写真現像剤(DE2224563, Gevaert
-Agfa N.V.(1972)) 、生体膜類似物質の前駆体(Deroo,
Pool. W., Chem. Phys. Lipids., 16(1), 60-70(197
6)) 、ヘアリンス剤(特開昭56-77218号公報)等の用途
が知られている。
【0003】また、アルキルリン酸の塩基性アミノ酸
塩、特に分岐二量化アルキルリン酸のアルギニン塩等の
塩基性アミノ酸塩は、油の種類にかかわらず安定なゲル
を形成するため、化粧品基剤として幅広い応用が期待さ
れている(特開昭58-180496 号公報、特開昭63-122775
号公報)。
【0004】このように、アルキルリン酸エステル塩
類、特に分岐二量化アルキルリン酸塩類は、化粧料、洗
浄剤等の基剤成分として重要であるため、着色や臭気の
ないことが必要である。そのため、従来、アルキルリン
酸エステル又はその塩類を精製する種々の方法が知られ
ている。
【0005】従来、アルキルリン酸エステル又はその塩
類の精製法としては、(1) 酸性リン酸エステルを脱臭処
理した後、ポリリン酸を添加する方法(特公昭60-41673
号公報)、(2) アルキルリン酸エステルに吸着剤を加え
てヒ素等を取り除く方法(特公昭62-45874号公報)、
(3) アルキルリン酸エステルのナトリウム塩又はカリウ
ム塩を有機溶剤から析出させて分離する方法(特公昭60
-41674号公報)、(4) 炭化水素と低級アルコール−水と
を用いてアルキルリン酸エステルから未反応のオルトリ
ン酸を水層に抽出除去し(特公昭63-47715号公報)、又
は更に炭化水素層に混入する低級アルコール及び水を共
沸蒸留により除去して(特公平2-46040 号公報)再結晶
ないしトッピングする方法、(5) 炭化水素と低級アルコ
ール−水とを用いてアルキルリン酸エステル塩から非イ
オン性化合物を抽出除去する方法(特公平3-27558 号公
報)、(6) 電気透析によりアルキルリン酸から過剰のリ
ン酸を取り除く方法(特開昭61-129189 号公報)、(7)
アルキルリン酸エステルアルギニン塩をメタノールから
析出させて分離する方法(特開昭58-180496 号公報)等
が提案されている。
【0006】しかし、分岐二量化アルキルリン酸塩類中
には、未反応の分岐二量化アルコール、分岐二量化アル
コール中の不純物、着色成分、更にはリン酸化中に副生
する炭化水素等の非イオン性物質が含まれ、特に副生炭
化水素は色、匂い等の品質面に悪影響を及ぼすため、化
粧料等の基剤成分として用いる上での問題となっている
が、上記精製法のうち(5) 以外の方法ではこの非イオン
性物質を除去することができない。また、方法(5) は非
イオン性物質を除去する方法ではあるが、分岐二量化ア
ルキルリン酸アルギニン塩のような塩基性アミノ酸塩の
場合には溶液抽出ができないため、これに適用すること
はできないという問題がある。そこで、分岐二量化アル
キルリン酸塩基性アミノ酸塩の精製には方法(7) のよう
に溶媒から析出させる方法が考えられるが、方法(7) で
は非イオン性物質を除去することができなかった。
【0007】そこで、本発明者らは、リン酸化及び中和
後の粗分岐二量化アルキルリン酸塩基性アミノ酸塩をケ
トン系溶剤に加え、これから分岐二量化アルキルリン酸
塩基性アミノ酸塩の結晶を析出させて分離することによ
り、炭化水素等の非イオン性物質が効率的に除去される
こと、及び非イオン性物質の含有率が1重量%以下に抑
えられることを見いだし既に特許出願した(特願平7−
118218号)。しかしこの方法においては、用いたケトン
系溶剤と分岐二量化アルキルリン酸塩基性アミノ酸塩と
の相互作用により、ケトン系溶剤のアルドール縮合が起
こり、例えばアセトンを用いた場合にはメシチルオキサ
イド、メチルエチルケトンを用いた場合には5−メチル
−4−ヘプテン−3−オン等の二量体が副生し、これら
の二量体が匂い原因物質となり、匂いがまだ十分に満足
できる程度にまで低減されていなかった。
【0008】従って、本発明の目的は、匂いの原因とな
るケトン系溶剤の二量体を低減した、香粧品、化粧品、
医薬品等に使用できる高品質の分岐二量化アルキルリン
酸塩基性アミノ酸塩の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】かかる実情において、本
発明者らは鋭意研究を重ねた結果、ケトン系溶剤による
結晶析出を特定温度範囲内で行うことにより、色、匂い
等の点で十分満足でき、また結晶性の良好な高品質の分
岐二量化アルキルリン酸塩基性アミノ酸塩が得られるこ
とを見出し、本発明を完成した。
【0010】すなわち、本発明は、下記の工程(a) 〜
(c) を行うことを特徴とする分岐二量化アルキルリン酸
塩基性アミノ酸塩の製造方法を提供するものである。 工程(a) :分岐二量化アルコールをリン酸化して分岐二
量化アルキルリン酸を得る工程 工程(b) :工程(a) で得られた粗分岐二量化アルキルリ
ン酸を塩基性アミノ酸で中和する工程 工程(c) :工程(b) で得られた中和物をケトン系溶剤に
加え、0〜20℃の温度で分岐二量化アルキルリン酸塩基
性アミノ酸塩の結晶を析出させて分離する工程
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳細
に説明する。
【0012】工程(a) :本工程は、分岐二量化アルコー
ルをリン酸化して分岐二量化アルキルリン酸を得る工程
である。本工程に用いられる分岐二量化アルコールは、
ゲルベ反応により得られるものであるが、炭素数4〜1
8、特に炭素数6〜12のアルコールを原料として得られ
るものが好ましい。具体的には、2−ブチルオクタノー
ル、2−ヘキシルデカノール、2−ヘプチルウンデカノ
ール、2−オクチルドデカノール、2−デシルテトラデ
カノール、2−ドデシルヘキサデカノール等が挙げら
れ、中でも2−ヘキシルデカノール、2−ヘプチルウン
デカノール、2−オクチルドデカノールが好ましい。こ
れらの分岐二量化アルコールは単独で又は2種以上を組
み合わせて使用することができる。
【0013】本工程におけるリン酸化反応の方法として
は、例えば、分枝二量化アルコールとオキシ塩化リンを
反応させて得られるモノホスホロジクロリデートを加水
分解する方法(K.Sasse編:Methoden der Ofganischen C
hemie, 第12/2巻, 163 〜164頁、及び特開昭50-64226号
公報)、分枝二量化アルコールにあらかじめ一定量の水
を添加し、次いで五酸化リンを反応させる方法(特公昭
41-14416号公報)、分枝二量化アルコールにオルトリン
酸及び五酸化リンを反応させる方法(特公昭42-6730 号
公報)、分枝二量化アルコールと縮合リン酸(ポリリン
酸)を反応させる方法(A. K. Nelson et al., Inorg.
Chem., 2, 775(1963)、F. B. Clarke etal., J. Amer.
Chem. Soc., 88, 4401(1966)、及び特公昭43-26492号公
報)等が挙げられ、いずれの方法によってもよい。
【0014】例えばポリリン酸を用いてリン酸化反応を
行う場合、用いるポリリン酸は、オルトリン酸に換算し
て 110〜 120%、特に 112〜 116%の濃度のものが、反
応率、操作性及びアルキルリン酸の分解抑制の面で好ま
しい。またその使用量は分岐二量化アルコールに対し1
〜10当量、特に2〜3当量が好ましい。
【0015】ポリリン酸によるリン酸化反応は、溶媒を
用いずに行ってもよいが、操作性の向上のために炭素数
4〜8の直鎖もしくは分岐の飽和炭化水素又は飽和環式
炭化水素、例えばn−ペンタン、n−ヘキサン、シクロ
ヘキサン等を溶媒として用いて行ってもよい。リン酸化
反応は、60〜 100℃で1〜16時間行い、その後反応混合
物に対し1〜30重量%の水を加えて60〜 100℃で1〜20
時間加水分解反応を行う。反応混合物は静置によって短
時間のうちに分層し、軽液層から常圧又は減圧で溶媒を
留去することにより、酸性の粗分岐二量化アルキルリン
酸が得られる。
【0016】工程(b) :本工程は、工程(a) で得られた
粗分岐二量化アルキルリン酸を塩基性アミノ酸で中和す
る工程である。中和剤として用いられる塩基性アミノ酸
としては、例えばリジン、アルギニン、ヒスチジン等が
挙げられるが、取り扱いやすさ及び価格の点から特にア
ルギニンが好ましい。これらの塩基性アミノ酸は、粉末
のままで又は水溶液として使用することができるが、精
製の容易さから粉末で用いる方が好ましい。
【0017】塩基性アミノ酸による中和は、例えば、工
程(a) で得られた酸性の粗分岐二量化アルキルリン酸 1
00重量部に対し、適当な溶媒を50〜 500重量部加えた
後、塩基性アミノ酸を粗分岐二量化アルキルリン酸の酸
価に対して 0.5〜3当量加えることにより行われる。溶
媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール等
のアルコール系溶媒のほか、テトラヒドロフラン等のエ
ーテル系溶媒やジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素
系溶媒でも数%の水分を含んでいるものであれば使用す
ることができる。中和反応の反応温度は70〜80℃が好ま
しく、反応時間は5〜10時間が好ましい。
【0018】工程(c) :本工程は、工程(b) で得られた
中和物をケトン系溶剤に加え、0〜20℃の温度で分岐二
量化アルキルリン酸塩基性アミノ酸塩の結晶を析出させ
て分離する工程である。
【0019】中和物をケトン系溶剤に加えて分岐二量化
アルキルリン酸塩基性アミノ酸塩の結晶を析出させる時
の温度は0〜20℃、好ましくは0〜10℃である。この温
度が0℃より低いと不純物のケトン系溶剤中への溶出効
率が悪く、また20℃より高いとケトン系溶剤が分岐二量
化アルキルリン酸塩基性アミノ酸塩との相互作用により
アルドール縮合を起こしてメシチルオキサイド、5−メ
チル−4−ヘプテン−3−オン等の二量体が生成しやす
く、匂いの十分に良好な目的物を得ることができない。
【0020】ここで用いられるケトン系溶剤としては、
アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられるが、結晶
性の良さと乾燥の容易さから特にアセトンが好ましい。
またケトン系溶剤の量は粗分岐二量化アルキルリン酸塩
基性アミノ酸塩の1〜10倍量、特に2〜5倍量が好まし
い。
【0021】ケトン系溶剤中に析出した結晶を濾過等の
方法で取り出し、常圧又は減圧下で乾燥することによ
り、精製分岐二量化アルキルリン酸塩基性アミノ酸塩が
得られるが、更に、0〜20℃で、ケトン系溶剤による洗
浄と分離を繰り返して行い、ケトン系溶剤の二量体の含
有量を500 ppm 以下、好ましくは200ppm以下、特に好ま
しくは150ppm以下に低減することが望ましい。
【0022】かくして得られた分岐二量化アルキルリン
酸塩基性アミノ酸塩は、色、匂い等の品質に優れ、化粧
品等の用途に好適に使用することができる。
【0023】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0024】実施例1 市販の2−ヘキシルデカノール(新日本理化(株)製エ
ヌジエコール160BRA)380g(1.52mol) と 116%ポリリン
酸 270g(3.20mol) を、ヘキサン 380g中、70℃で3時
間反応させた。この反応溶液に水168gを加え、70℃で16
時間加水分解反応を行い、余剰のピロリン酸を分解し
た。過剰のリン酸を除去するためこの反応液を静置して
分層し、抽出軽液から溶媒分を留去し、酸性の粗2−ヘ
キシルデシルリン酸を得た。この粗2−ヘキシルデシル
リン酸中のメシチルオキサイドの含量は0ppm であっ
た。またこの物質の色相はクレット32であった。
【0025】この酸性の粗2−ヘキシルデシルリン酸に
等量のエタノールを加えて60℃で溶解させ、アルギニン
粉末265gを加えて70℃で6時間中和した。反応液は透明
となった。この中和反応物を粗2−ヘキシルデシルリン
酸の3倍量のアセトンに加えて10℃で1時間攪拌したと
ころ白色の結晶が生成した。結晶中のメシチルオキサイ
ドの含有量は1100ppm であった。この結晶を濾過して取
り出し、さらに3倍量のアセトンで10℃にて3回洗浄し
た後、16時間減圧乾燥して精製物を得た。得られた2−
ヘキシルデシルリン酸アルギニン塩中のメシチルオキサ
イドの含有量は75ppm であった。またこの物質の色相は
クレット10で、匂いの官能評価は良好であった。
【0026】実施例2 実施例1と同様の2−ヘキシルデカノールを用い、実施
例1と同様にしてリン酸化、及び中和を行い、中和反応
物を得た。得られた中和反応物を粗2−ヘキシルデシル
リン酸の3倍量のアセトンに加えて20℃で1時間攪拌し
たところ白色の結晶が生成した。結晶中のメシチルオキ
サイドの含有量は2000ppm であった。この結晶を濾過し
て取り出し、さらに3倍量のアセトンで20℃にて3回洗
浄した後、16時間減圧乾燥して精製物を得た。得られた
2−ヘキシルデシルリン酸アルギニン塩中のメシチルオ
キサイドの含有量は110ppmであった。またこの物質の色
相はクレット15で、匂いの官能評価は良好であった。
【0027】実施例3 実施例1と同様の2−ヘキシルデカノールを用い、実施
例1と同様にしてリン酸化、及び中和を行い、中和反応
物を得た。得られた中和反応物を粗2−ヘキシルデシル
リン酸の3倍量のアセトンに加えて0℃で1時間攪拌し
たところ白色の結晶が生成した。結晶中のメシチルオキ
サイドの含有量は800ppmであった。この結晶を濾過して
取り出し、さらに3倍量のアセトンで0℃にて3回洗浄
した後、16時間減圧乾燥して精製物を得た。得られた2
−ヘキシルデシルリン酸アルギニン塩中のメシチルオキ
サイドの含有量は65ppm であった。またこの物質の色相
はクレット9で、匂いの官能評価は良好であった。
【0028】実施例4 市販の2−ヘプチルウンデカノール(三菱化学(株)製
ダイヤドール18GT)380g (1.40mol) と 116%ポリリン酸
265g(3.16mol) を、ヘキサン380g中、70℃で3時間反応
させた。この反応溶液に水156gを加え、70℃で16時間加
水分解反応を行い、余剰のピロリン酸を分解した。過剰
のリン酸を除去するためこの反応液を静置して分層し、
抽出軽液から溶媒分を留去し、酸性の粗2−ヘプチルウ
ンデシルリン酸を得た。この粗2−ヘプチルウンデシル
リン酸中のメシチルオキサイドの含量は0ppm であっ
た。またこの物質の色相はクレット30であった。
【0029】この酸性の粗2−ヘプチルウンデシルリン
酸に等量のエタノールを加えて60℃で溶解させ、アルギ
ニン粉末244gを加えて70℃で6時間中和した。反応液は
透明となった。この中和反応物を粗2−ヘプチルウンデ
シルリン酸の3倍量のアセトンに加えて10℃で1時間攪
拌したところ白色の結晶が生成した。結晶中のメシチル
オキサイドの含有量は1000ppm であった。この結晶を濾
過して取り出し、さらに3倍量のアセトンで10℃にて3
回洗浄した後、16時間減圧乾燥して精製物を得た。得ら
れた2−ヘプチルウンデシルリン酸アルギニン塩中のメ
シチルオキサイドの含有量は80ppm であった。またこの
物質の色相はクレット11で、匂いの官能評価は良好であ
った。
【0030】実施例5 市販の2−オクチルドデカノール(花王(株)製カルコ
ール200GD) 380g(1.27mol)と 116%ポリリン酸241g(2.8
6mol) を、ヘキサン380g中、70℃で3時間反応させた。
この反応溶液に水142gを加え、70℃で16時間加水分解反
応を行い、余剰のピロリン酸を分解した。過剰のリン酸
を除去するためこの反応液を静置して分層し、抽出軽液
から溶媒分を留去し、酸性の粗2−オクチルドデシルリ
ン酸を得た。この粗2−オクチルドデシルリン酸中のメ
シチルオキサイドの含量は0ppmであった。またこの物
質の色相はクレット28であった。
【0031】この酸性の粗2−オクチルドデシルリン酸
に等量のエタノールを加えて60℃で溶解させ、アルギニ
ン粉末243gを加えて70℃で6時間中和した。反応液は透
明となった。この中和反応物を粗2−オクチルドデシル
リン酸の3倍量のアセトンに加えて10℃で1時間攪拌し
たところ白色の結晶が生成した。結晶中のメシチルオキ
サイドの含有量は1050ppm であった。この結晶を濾過し
て取り出し、さらに3倍量のアセトンで10℃にて3回洗
浄した後、16時間減圧乾燥して精製物を得た。得られた
2−オクチルドデシルリン酸アルギニン塩中のメシチル
オキサイドの含有量は70ppm であった。またこの物質の
色相はクレット9で、匂いの官能評価は良好であった。
【0032】実施例6 実施例1と同様の2−ヘキシルデカノールを用い、実施
例1と同様にしてリン酸化を行い酸性の粗2−ヘキシル
デシルリン酸を得た。この粗2−ヘキシルデシルリン酸
中のメシチルオキサイドの含量は0ppm であった。また
この物質の色相はクレット32であった。
【0033】この酸性の粗2−ヘキシルデシルリン酸に
等量のエタノールを加えて60℃で溶解させ、ヒスチジン
粉末236gを加えて70℃で6時間中和した。反応液は透明
となった。この中和反応物を粗2−ヘキシルデシルリン
酸の3倍量のアセトンに加えて10℃で1時間攪拌したと
ころ白色の結晶が生成した。結晶中のメシチルオキサイ
ドの含有量は1200ppm であった。この結晶を濾過して取
り出し、さらに3倍量のアセトンで10℃にて3回洗浄し
た後、16時間減圧乾燥して精製物を得た。得られた2−
ヘキシルデシルリン酸ヒスチジン塩中のメシチルオキサ
イドの含有量は80ppm であった。またこの物質の色相は
クレット10で、匂いの官能評価は良好であった。
【0034】実施例7 実施例1と同様の2−ヘキシルデカノールを用い、実施
例1と同様にしてリン酸化を行い酸性の粗2−ヘキシル
デシルリン酸を得た。この粗2−ヘキシルデシルリン酸
中の5−メチル−4−ヘプテン−3−オンの含量は0pp
m であった。またこの物質の色相はクレット32であっ
た。
【0035】この酸性の粗2−ヘキシルデシルリン酸に
等量のエタノールを加えて60℃で溶解させ、アルギニン
粉末265gを加えて70℃で6時間中和した。反応液は透明
となった。この中和反応物を粗2−ヘキシルデシルリン
酸の3倍量のメチルエチルケトンに加えて10℃で1時間
攪拌したところ白色の結晶が生成した。結晶中の5−メ
チル−4−ヘプテン−3−オンの含有量は860ppmであっ
た。この結晶を濾過して取り出し、さらに3倍量のメチ
ルエチルケトンで10℃にて3回洗浄した後、16時間減圧
乾燥して精製物を得た。得られた2−ヘキシルデシルリ
ン酸アルギニン塩中の5−メチル−4−ヘプテン−3−
オンの含有量は40ppm であった。またこの物質の色相は
クレット10で、匂いの官能評価は良好であった。
【0036】比較例1 実施例1と同様の2−ヘキシルデカノールを用い、実施
例1と同様にしてリン酸化、及び中和を行い、中和反応
物を得た。得られた中和反応物を粗2−ヘキシルデシル
リン酸の3倍量のアセトンに加えて25℃で1時間攪拌し
たところ白色の結晶が生成した。結晶中のメシチルオキ
サイドの含有量は5000ppm であった。この結晶を濾過し
て取り出し、さらに3倍量のアセトンで25℃にて3回洗
浄した後、16時間減圧乾燥して精製物を得た。得られた
2−ヘキシルデシルリン酸アルギニン塩中のメシチルオ
キサイドの含有量は600ppmであった。またこの物質の色
相はクレット25で、匂いの官能評価では異臭が認められ
た。
【0037】比較例2 実施例1と同様の2−ヘキシルデカノールを用い、実施
例1と同様にしてリン酸化を行い酸性の粗2−ヘキシル
デシルリン酸を得た。この粗2−ヘキシルデシルリン酸
中のメシチルオキサイドの含量は0ppm であった。また
この物質の色相はクレット32であった。
【0038】この酸性の粗2−ヘキシルデシルリン酸に
等量のエタノールを加えて60℃で溶解させ、ヒスチジン
粉末236gを加えて70℃で6時間中和した。反応液は透明
となった。この中和反応物を粗2−ヘキシルデシルリン
酸の3倍量のアセトンに加えて25℃で1時間攪拌したと
ころ白色の結晶が生成した。結晶中のメシチルオキサイ
ドの含有量は7000ppm であった。この結晶を濾過して取
り出し、さらに3倍量のアセトンで25℃にて3回洗浄し
た後、16時間減圧乾燥して精製物を得た。得られた2−
ヘキシルデシルリン酸ヒスチジン塩中のメシチルオキサ
イドの含有量は680ppmであった。またこの物質の色相は
クレット26で、匂いの官能評価は異臭が認められた。
【0039】比較例3 実施例1と同様の2−ヘキシルデカノールを用い、実施
例1と同様にしてリン酸化を行い酸性の粗2−ヘキシル
デシルリン酸を得た。この粗2−ヘキシルデシルリン酸
中のメシチルオキサイドの含量は0ppm であった。また
この物質の色相はクレット32であった。
【0040】この酸性の粗2−ヘキシルデシルリン酸に
等量のエタノールを加えて60℃で溶解させ、トリエタノ
ールアミン276gを加えて70℃で6時間中和した。反応液
は透明となった。この中和反応物を粗2−ヘキシルデシ
ルリン酸の3倍量のアセトンに加えて10℃で1時間攪拌
したところ白濁した液体となった。この物質中のメシチ
ルオキサイドの含有量は800ppmであった。結晶化しなか
ったためアセトンで精製することはできなかった。また
この物質の色相はクレット16であった。
【0041】比較例4 実施例1と同様の2−ヘキシルデカノールを用い、実施
例1と同様にしてリン酸化を行い酸性の粗2−ヘキシル
デシルリン酸を得た。この粗2−ヘキシルデシルリン酸
中のメシチルオキサイドの含量は0ppm であった。また
この物質の色相はクレット32であった。
【0042】この酸性の粗2−ヘキシルデシルリン酸に
等量のエタノールを加えて60℃で溶解させ、トリエタノ
ールアミン276gを加えて70℃で6時間中和した。反応液
は透明となった。この中和反応物を粗2−ヘキシルデシ
ルリン酸の3倍量のアセトンに加えて25℃で1時間攪拌
したところ白濁した液体となった。この物質中のメシチ
ルオキサイドの含有量は5400ppm であった。結晶化しな
かったためアセトンで精製することはできなかった。ま
たこの物質の色相はクレット27であった。
【0043】比較例5 実施例1と同様の2−ヘキシルデカノールを用い、実施
例1と同様にしてリン酸化を行い酸性の粗2−ヘキシル
デシルリン酸を得た。この粗2−ヘキシルデシルリン酸
中のメシチルオキサイドの含量は0ppm であった。また
この物質の色相はクレット32であった。
【0044】この酸性の粗2−ヘキシルデシルリン酸に
等量のエタノールを加えて60℃で溶解させ、モノエタノ
ールアミン92.9g を加えて70℃で6時間中和した。反応
液は透明となった。この中和反応物を粗2−ヘキシルデ
シルリン酸の3倍量のアセトンに加えて10℃で1時間攪
拌したところ白濁した液体となった。この物質中のメシ
チルオキサイドの含有量は1500ppm であった。結晶化し
なかったためアセトンで精製することはできなかった。
またこの物質の色相はクレット10であった。
【0045】比較例6 実施例1と同様の2−ヘキシルデカノールを用い、実施
例1と同様にしてリン酸化を行い酸性の粗2−ヘキシル
デシルリン酸を得た。この粗2−ヘキシルデシルリン酸
中のメシチルオキサイドの含量は0ppm であった。また
この物質の色相はクレット32であった。
【0046】この酸性の粗2−ヘキシルデシルリン酸に
等量のエタノールを加えて60℃で溶解させ、モノエタノ
ールアミン92.9g を加えて70℃で6時間中和した。反応
液は透明となった。この中和反応物を粗2−ヘキシルデ
シルリン酸の3倍量のアセトンに加えて25℃で1時間攪
拌したところ白濁した液体となった。この物質のメシチ
ルオキサイドの含有量は6500ppm であった。結晶化しな
かったためアセトンで精製することはできなかった。ま
たこの物質の色相はクレット24であった。
【0047】比較例7 実施例1と同様の2−ヘキシルデカノールを用い、実施
例1と同様にしてリン酸化を行い酸性の粗2−ヘキシル
デシルリン酸を得た。この粗2−ヘキシルデシルリン酸
中の5−メチル−4−ヘプテン−3−オンの含量は0pp
m であった。またこの物質の色相はクレット32であっ
た。
【0048】この酸性の粗2−ヘキシルデシルリン酸に
等量のエタノールを加えて60℃で溶解させ、アルギニン
粉末265gを加えて70℃で6時間中和した。反応液は透明
となった。この中和反応物を粗2−ヘキシルデシルリン
酸の3倍量のメチルエチルケトンに加えて25℃で1時間
攪拌したところ白色の結晶が生成した。結晶中の5−メ
チル−4−ヘプテン−3−オンの含有量は4500ppm であ
った。この結晶を濾過して取り出し、さらに3倍量のメ
チルエチルケトンで25℃にて3回洗浄した後、16時間減
圧乾燥して精製物を得た。得られた2−ヘキシルデシル
リン酸アルギニン塩中の5−メチル−4−ヘプテン−3
−オンの含有量は890ppmであった。またこの物質の色相
はクレット11で、匂いの官能評価では異臭が認められ
た。
【0049】参考例 実施例1と同様の2−ヘキシルデカノールを用い、実施
例1と同様にしてリン酸化を行い酸性の粗2−ヘキシル
デシルリン酸を得た。この粗2−ヘキシルデシルリン酸
中の5−メチル−4−ヘプテン−3−オンの含量は0pp
m であった。またこの物質の色相はクレット32であっ
た。
【0050】この酸性の粗2−ヘキシルデシルリン酸に
等量のエタノールを加えて60℃で溶解させ、粗2−ヘキ
シルデシルリン酸の3倍量のアセトンに加えて25℃で1
時間攪拌したところ、2−ヘキシルデシルリン酸中のメ
シチルオキサイドの含量は0ppm であった。色相はクレ
ット25であった。
【0051】この結果から、2−ヘキシルデシルリン酸
を中和せずに酸型のままで、25℃でアセトン処理しても
アセトンの二量化が起こらなかったことがわかる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−180496(JP,A) 特開 昭62−135481(JP,A) 特開 平8−311085(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07F 9/09 C07F 9/11

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の工程(a) 〜(c) を行うことを特徴
    とする分岐二量化アルキルリン酸塩基性アミノ酸塩の製
    造方法。 工程(a) :分岐二量化アルコールをリン酸化して分岐二
    量化アルキルリン酸を得る工程 工程(b) :工程(a) で得られた粗分岐二量化アルキルリ
    ン酸を塩基性アミノ酸で中和する工程 工程(c) :工程(b) で得られた中和物をケトン系溶剤に
    加え、0〜20℃の温度で分岐二量化アルキルリン酸塩基
    性アミノ酸塩の結晶を析出させて分離する工程
  2. 【請求項2】 更に工程(c) で得られた結晶のケトン系
    溶剤による洗浄と分離を0〜20℃の温度で繰り返し、ケ
    トン系溶剤の二量体の含有量を500ppm以下にすることを
    特徴とする請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 ケトン系溶剤が、アセトン又はメチルエ
    チルケトンである請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 ケトン系溶剤による結晶析出及び洗浄を
    0〜10℃の温度で行う請求項1〜3のいずれか一項に記
    載の製造方法。
  5. 【請求項5】 分枝二量化アルコールが、炭素数4〜18
    のアルコールをゲルベ反応により二量化して得られるア
    ルコールである請求項1〜4のいずれか一項に記載の製
    造方法。
  6. 【請求項6】 塩基性アミノ酸がアルギニン、ヒスチジ
    ン又はリジンである請求項1〜5のいずれか一項に記載
    の製造方法。
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