JP2007326819A - リン酸モノエステルの製造法 - Google Patents

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Abstract


【課題】 リン酸ジエステル含量が少なく、リン酸モノエステル純度が高くオルトリン酸及び未反応有機ヒドロキシ化合物含量の少ないリン酸モノエステルの製造法の提供。
【解決手段】 (1)オルトリン酸、ポリリン酸及び五酸化リンから選ばれるリン酸化剤と有機ヒドロキシ化合物を反応させる1回目の反応工程、(2)n(nは1以上の整数)回目の反応工程で得られた反応物に有機溶剤を混合し、該混合液からリン酸モノエステルを析出させ、得られたスラリーから析出物を分離してリン酸モノエステルを得た後、得られた分離溶液にリン酸化剤と有機ヒドロキシ化合物を加え、更に(n+1)回目のリン酸化反応を行う操作を繰り返す工程を行い、工程(2)において2回目以上の反応に加えられるリン酸化剤及び有機ヒドロキシ化合物あるいは水の合計量を基準にした特定の条件で反応を行う。
【選択図】 なし

Description

本発明は、リン酸ジエステル含量が少なく、リン酸モノエステル純度が高くオルトリン酸及び未反応有機ヒドロキシ化合物含量の少ないリン酸モノエステルの製造法に関する。
有機ヒドロキシ化合物のリン酸エステルは、洗浄剤、乳化剤、繊維処理剤、防錆剤、液状イオン交換体、医薬品等の幅広い分野で利用されている。従来、リン酸エステルを工業的に製造する方法として、有機ヒドロキシ化合物に五酸化リンを反応させる方法があるが、この方法によるとその生成物は主に下記式(A)で表されるリン酸モノエステルと下記式(B)で表されるリン酸ジエステルのほぼ等モル混合物(以下セスキホスフェートと称す)である。
Figure 2007326819
(式中、Rは炭素数6〜30の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示す。)
しかしながら、リン酸モノエステルとリン酸ジエステルとでは物性において大きな差異を有する。例えば、長鎖アルキルリン酸エステルのアルカリ金属塩及びアルカノールアミン塩を例にとってみると、リン酸モノエステルは水溶性、起泡力、洗浄力が良好で毒性が低く皮膚刺激が小さいので洗浄剤として優れているのに対し、リン酸ジエステルは水にはほとんど溶解せず、起泡力はほとんどなく、むしろ抑泡性を有し、高起泡性洗浄剤としては使用できない。従って、セスキホスフェートではリン酸モノエステルの有する上記性能を発現できず、リン酸モノエステルの用途分野ではこれを代替品とすることはできない。
従って、リン酸モノエステル含量の高いリン酸エステルを工業的に安全かつ容易に製造することが強く要望されており、特許文献1〜8にリン酸モノエステル含量の高いリン酸エステルの製造法が報告されている。しかしながら、これらいずれの方法においてもリン酸モノエステル比率(得られるリン酸モノエステルとリン酸ジエステルの合計量に対するリン酸モノエステルの割合、以下同様)とリン酸含量において満足できるものではなく、また、工業上特殊な装置等が必要となるなど、その利用分野が制限されていた。
これらの欠点を改良したリン酸モノエステルの製造法として、特許文献9には、リン酸化剤と有機ヒドロキシ化合物を反応させた後、有機溶剤を用いてリン酸モノエステルを析出させ更にリン酸化剤あるいは有機ヒドロキシ化合物を加えて反応を行う方法が開示されている。しかしこの方法においては、スラリーあるいは分離溶液に五酸化リン等を加えて更に反応を繰り返すが、操作が煩雑になると共に最終の反応物を得るために反応を2回以上繰り返す必要があり、サイクルタイムが長くなり生産性が悪くなる。更に、リン酸モノエステル比率やオルトリン酸含量についてもまだ十分に満足できるものではない。
特開昭50−64226号公報 特公昭41−14416号公報 特公昭42−6730号公報 特公昭43−26492号公報 特公平5−66958号公報 特公昭57−61358号公報 特許第3115489号公報 特許第2774458号公報 特開2003−128684号公報
本発明の課題は、工業上容易に極めて高純度のリン酸モノエステルを生産性良く製造でき、リン酸ジエステル含量が少なく、リン酸モノエステル純度が高くオルトリン酸及び未反応有機ヒドロキシ化合物含量の少ないリン酸モノエステルの製造法を提供することにある。
本発明は、オルトリン酸、ポリリン酸及び五酸化リンから選ばれる1種以上のリン酸化剤と有機ヒドロキシ化合物とを反応させてリン酸モノエステルを製造するに際し、以下の工程(1)及び(2)を行い、工程(2)において2回目以上の反応に加えられるリン酸化剤及び有機ヒドロキシ化合物あるいは水の合計量を基準にした下記式(I)で表される値が1.5以上2.5以下で、且つ下記式(II)で表される値が2.7以上3.3以下となる条件で反応を行う、リン酸モノエステルの製造法を提供する。
(1)リン酸化剤と有機ヒドロキシ化合物を反応させる1回目の反応工程
(2)n(nは1以上の整数を示す)回目の反応工程で得られた反応物に有機溶剤を混合し、該混合液からリン酸モノエステルを析出させ、得られたスラリーから析出物を分離してリン酸モノエステルを得た後、得られた分離溶液にリン酸化剤と有機ヒドロキシ化合物を加え、更に(n+1)回目のリン酸化反応を行う操作を繰り返す工程。
Figure 2007326819
本発明の製造法により、工業上容易に極めて高純度のリン酸モノエステルを生産性良く製造でき、リン酸ジエステル含量が少なく、リン酸モノエステル純度が高くオルトリン酸及び未反応有機ヒドロキシ化合物含量の少ないリン酸モノエステルを製造することができる。
本発明において、五酸化リンとは無水リン酸で分子式はP410あるいはP25で表される。またポリリン酸とは、下記式(C)で表されるピロリン酸、下記式(D)で表されるトリリン酸等のオルトリン酸が縮合した形でピロ結合を持ったもので、下記一般式(E)で表される直鎖の縮合リン酸、あるいは分岐鎖及び環状鎖の縮合リン酸から選ばれる1種あるいはそれらの混合物で、オルトリン酸換算で100重量%以上のリン酸を示す。
Figure 2007326819
本発明においては、リン酸化剤として、これらのオルトリン酸、ポリリン酸及び五酸化リンから選ばれる1種以上を用いて反応を行う。
本発明に用いられる有機ヒドロキシ化合物としては、炭素数8〜30の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和アルコール、炭素数6〜30の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和アルコールへの炭素数2〜4のアルキレンオキサイド付加物(平均付加モル数1〜100)、アルキルフェノール(アルキル基の炭素数6〜20)への炭素数2〜4のアルキレンオキサイド付加物(平均付加モル数1〜100)等が挙げられる。これら有機ヒドロキシ化合物は、工程(2)において有機溶剤を加えることによりリン酸モノエステルが析出する必要があるので、その析出性の点から、炭素数8〜30の直鎖の飽和もしくは不飽和アルコールが好ましく、更に炭素数8〜30の直鎖の飽和アルコールが好ましい。これらは2種以上の混合物として用いても良い。
本発明の工程(1)においては、リン酸化剤と有機ヒドロキシ化合物を反応させて、リン酸モノエステル、リン酸ジエステル及びオルトリン酸等を含む反応物を得る。このとき次の工程(2)で用いる有機溶剤の存在下で反応を行っても良い。仕込み方法は特に限定されないが、リン酸化剤としてオルトリン酸あるいはポリリン酸あるいは水と五酸化リンを用いる場合、オルトリン酸あるいはポリリン酸あるいは水を五酸化リンよりも先に仕込む方が、リン酸モノエステル比率が高くなり好ましい。
反応は、温度50〜120℃で0.1〜20時間行うことが好ましく、70〜100℃で0.5〜12時間行うことが更に好ましい。
リン酸化剤として110〜118重量%のポリリン酸を用いると、リン酸モノエステル比率においてリン酸モノエステル純度が高くなり好ましい。この場合、110〜118重量%のポリリン酸はそれ以下の濃度のポリリン酸あるいはオルトリン酸あるいは水と五酸化リンとを調整し使用しても良い。
このときのリン酸化剤と有機ヒドロキシ化合物あるいは水の仕込み条件は、反応でのゲル化低減及びリン酸モノエステル比率の点から、上記式(I)で表される値が0.8以上1.8以下で、且つ上記式(II)で表される値が2.7以上3.3以下となる条件で行うことが好ましく、上記式(I)で表される値が0.9以上1.6以下で、且つ上記式(II)で表される値が2.8以上3.1以下となる条件で行うことが更に好ましい。
本発明の工程(2)においては、まず上記のような工程(1)で得られた反応物に有機溶剤を混合し、該混合物からリン酸モノエステルを析出させる。このとき有機溶剤は工程(1)のリン酸化反応前に加えておいても良い。
有機溶剤としては、反応物中のリン酸モノエステルを析出させることができるものであれば良いが、反応に用いるリン酸化剤と反応しないという観点から、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素又は芳香族炭化水素等の炭化水素系溶剤が好ましい。反応物からのリン酸モノエステルの分離性及び溶剤の回収を効率よく行う観点から、炭素数5〜8の脂肪族炭化水素系溶剤が更に好ましく、n−ヘキサン又はn−ヘプタンが特に好ましい。これらの1種以上を組み合わせて用いることもできる。なおリン酸モノエステルの析出性を高めるため、有機溶剤中の水分含有量は0.5重量%以下であることが好ましい。有機溶剤の使用量は、リン酸モノエステルの分離性を良くし、反応でのリン酸モノエステル比率を向上させる観点から、反応で得られるリン酸モノエステル混合物に対して、好ましくは0.3〜10重量倍であり、更に好ましくは0.5〜5重量倍である。
有機溶剤と混合しても該混合液からリン酸モノエステルが析出しない場合に、析出させる方法としては、該混合液の温度を下げる方法、リン酸モノエステルの析出を促進させる第3成分を添加する方法等の方法が挙げられるが、リン酸モノエステルの使用目的によっては第3成分の除去が必要となる場合もあり、温度を下げる方法が簡便で好ましい。
工程(2)におけるn回目の反応工程で得られた反応物と有機溶剤の混合温度は、リン酸エステル反応物の組成、有機溶剤の種類、量によって異なるが、リン酸エステルが有機溶剤に溶解するため及び分解したり着色することを防止するため、80℃以下であることが好ましい。
工程(2)では、n回目の反応工程で得られた反応物と有機溶剤の混合溶液から、主にリン酸モノエステルを析出物とし、またリン酸ジエステル、リン酸、その他の不純物を主に母液に溶解したまま残存させる。リン酸モノエステルが析出していない場合は、例えば冷却操作を行う。この操作により、未反応の有機ヒドロキシ化合物及び着色物質は母液に含まれる。冷却操作の温度は、リン酸エステル反応物の組成、有機溶剤の種類、量によって異なるが、−10〜60℃で行うことができる。析出温度より5℃高い過飽和温度から、析出温度より25℃低い温度までの範囲内で行うことが好ましい。更に好ましくは、リン酸モノエステルが析出し、未反応の有機ヒドロキシ化合物が析出しない条件で行うことが好ましい。
またこのような析出処理によって得られた、析出物と母液を含有するスラリーから、濾過及び遠心分離等の一般的な固液分離法により析出物をケークとして分離し、リン酸モノエステルをケークとして、またリン酸等を含む分離溶液を得る。本発明では、分離溶液とはスラリーから析出物を分離後の溶液である。分離溶液には主にオルトリン酸のほか、ポリリン酸、リン酸ジエステル及び未反応の有機ヒドロキシ化合物などが含まれる。
次に、得られた分離溶液に、リン酸化剤と有機ヒドロキシ化合物を加え、更に(n+1)回目のリン酸化反応を行うことにより分離溶液に含まれるオルトリン酸、ポリリン酸及び有機ヒドロキシ化合物を再反応させ、リン酸モノエステルを得る。この場合、未反応の有機ヒドロキシ化合物、オルトリン酸及びポリリン酸量を少なくし、リン酸モノエステル比率を高くする観点から、上記式(I)で表される値が1.5以上2.5以下で、且つ上記式(II)で表される値が2.7以上3.3以下となる条件で行うことが必要である。好ましくは上記式(I)で表される値が1.6以上2.3以下で、且つ上記式(II)で表される値が2.8以上3.1以下となる条件で行う。
上記式(I)で表される値が、小さくなると反応物において生成するリン酸ジエステルが少なくなりリン酸モノエステル比率は高くなるが、その反面リンの反応率が著しく低下し副生するオルトリン酸量が多くなる。大きくなると副生するオルトリン酸量は少なくなるが、生成するリン酸ジエステルが多くリン酸モノエステル比率が低くなることから、1.5以上2.5以下で行う必要がある。また上記式(II)で表される値が3.0のときに、リン酸化剤と水及び有機ヒドロキシ化合物の比が化学的量論量となり、2.7以上3.3以下にすることで未反応の有機ヒドロキシ化合物及びポリリン酸量を少なくすることができる。
工程(2)において、分離溶液に加えるリン酸化剤と有機ヒドロキシ化合物の量としては、ケークとして取り出したリン酸エステル量に見合う原料を加えることが好ましい。反応は、温度50〜120℃で0.1〜20時間行うことが好ましく、70〜100℃で0.5〜12時間行うことが更に好ましい。この場合温度を上昇させるため溶剤を蒸留などにより系外に取り除いても良い。また取り除いた溶剤は工程(2)を繰り返す場合、リン酸モノエステルを析出させる有機溶剤として使用しても良い。
工程(2)において、(n+1)回目のリン酸化反応により得られた反応物は再び有機溶剤を用いてリン酸モノエステルを析出させ、得られたスラリーから析出物を分離することによりリン酸モノエステルを得る。この場合、用いられる有機溶剤としては、反応物中のリン酸モノエステルを析出させることができるものであれば良く、2種類以上の混合物で良いが、後工程で有機溶剤とリン酸モノエステルを分離、再使用することを考慮すると1種類の有機溶剤を用いることが好ましい。
本発明においては、工程(2)の操作は1回以上繰り返し行う。つまり工程(2)の操作を1回以上繰り返すことにより、目的物であるリン酸モノエステルをケークとして取り出すことができ、副生するオルトリン酸、ポリリン酸、リン酸ジエステル及び未反応の有機ヒドロキシ化合物を分離溶液として分離し、リサイクルして反応させることによりリン酸モノエステルを得ることができる。これによりオルトリン酸及び未反応の有機ヒドロキシ化合物等の不純物を含む分離溶液を廃棄することなくリン酸モノエステルを得ることができ、低コストでリン酸モノエステルを生産することができると共に廃棄物を低減することができる。
上記のような工程(1)及び(2)を行うことにより有機溶剤を含むケークとして得られるリン酸モノエステルは、蒸留或いは乾燥等の分離法により有機溶剤を取り除き、リン酸モノエステルを得ることができる。また有機溶剤を含むケークとして得られたリン酸モノエステルは、更に上記に示す有機溶剤などを用いて晶析を行い、含まれる未反応の有機ヒドロキシ化合物、反応により生成した着色物及びリン酸ジエステルを取り除き、更に高純度のリン酸モノエステルを得ることができる。
以下の例において、生成物の分析は次の方法で行った。
<リン酸モノエステル、ジエステル及びオルトリン酸の分析>
特許第3115489号公報段落番号0020〜0023記載の方法により算出し、実施例及び比較例においては重量%で求めた後、モル%に換算して用いた。
<未反応アルコールの分析>
特許第3115489号公報段落番号0024記載の方法により算出し、実施例及び比較例においては重量%で求めた後、モル%に換算して用いた。
実施例1
1000mLの反応容器に窒素雰囲気下でラウリルアルコール112.3g(0.603モル)を加え、30℃にて攪拌しながら116.0重量%のポリリン酸68.5g(P25・nH2Oとして表すとP25 57.5g(0.405モル)、H2O 11.0g(0.602モル))を20分かけて加えた。そのとき反応熱により反応槽内温度は75℃になった。増粘がみられたためn−ヘキサンを21.4g加え85℃に昇温した後、4.5時間反応を行った(工程(1))。この工程(1)における上記式(I)で表される値は1.00、上記式(II)で表される値は2.98である。
その後n−ヘキサンを更に350.0g加え、50℃で溶解した後、冷却したところ17℃でリン酸モノエステルの析出がみられた。14℃にてNo.2の濾紙を用いて濾過により固液分離を行い、ケーク(1)として181.3gと分離溶液を得た。ケーク(1)の分析結果を表1に示す。
このようにして得られた分離溶液全量に85重量%のオルトリン酸11.8g(P25・nH2Oとして表すとP25 7.3g(0.051モル)、H2O 4.5g(0.252モル))及び五酸化リン(有効分98.5重量%)26.0g(0.180モル)を加え、39℃にて20分間攪拌した。その後70℃にてラウリルアルコール82.3g(0.442モル)を加え、n−ヘキサンを留去しながら昇温し87℃にて4.1時間反応を行った。この工程における上記式(I)で表される値は1.75、上記式(II)で表される値は3.00である。
その後、留去したn−ヘキサンを反応液に戻すと共にn−ヘキサン87.6gを加え、45℃で溶解した後冷却したところ15℃でリン酸モノエステルの析出がみられた。15℃にてNo.2の濾紙を用いて濾過により固液分離を行い、ケーク(2)として183.9gと分離溶液を得た。ケーク(2)の分析結果を表1に示す。
得られた分離溶液全量に、上記と同様に同じ量の85重量%オルトリン酸、五酸化リン及びラウリルアルコールを加え同様にn−ヘキサンを留去しながら反応を繰り返した。この工程における上記式(I)で表される値は1.75、上記式(II)で表される値は3.00である。
その後、留去したn−ヘキサンを反応液に戻すと共にn−ヘキサン87.6gを加え、溶解させた。冷却したところ20℃でリン酸モノエステルの析出がみられた。15℃にてNo.2の濾紙を用いて濾過により固液分離を行い、ケーク(3)として170.2gと分離溶液を得た。ケーク(3)の分析結果を表1に示す。
また得られたそれぞれのケーク(1)〜(3)は40℃/1kPaにて6時間、棚乾燥機にて含まれるn−ヘキサンの除去を行い、リン酸モノエステルの粉末を得た。
実施例2
有機ヒドロキシ化合物としてラウリルアルコールとミリスチルアルコールを重量比で54.3:45.7で混合した混合アルコールを用いて行った。2000mLの反応容器に窒素雰囲気下で上記混合アルコールを178.4g(0.900モル)を加え、35℃にて攪拌しながら116.0重量%のポリリン酸67.8g(P25・nH2Oとして表すとP25 57.0g(0.402モル)、H2O 10.8g(0.602モル))を10分かけて加えた後、五酸化リン(有効分98.5重量%)14.9g(0.103モル)を15分かけて加えた。そのとき反応熱により反応槽内温度は82℃になった。90℃に昇温した後、6時間反応を行った(工程(1))。この工程(1)における上記式(I)で表される値は1.50、上記式(II)で表される値は2.97である。
その後n−ヘキサンを更に520.0g加え、50℃で溶解した後、冷却したところ19℃でリン酸モノエステルの析出がみられた。5℃にて1100Gで30分間遠心分離を行い固液分離し、ケーク(4)として268.5gと分離溶液を得た。ケーク(4)の分析結果を表1に示す。
このようにして得られた分離溶液全量に85重量%のオルトリン酸16.3g(P25・nH2Oとして表すとP25 10.0g(0.071モル)、H2O 6.3g(0.350モル))及び五酸化リン(有効分98.5重量%)41.2g(0.286モル)を加え、55℃にて30分間攪拌した。その後70℃にて上記の混合アルコール135.4g(0.683モル)を加え、n−ヘキサンを留去しながら昇温し89℃にて6時間反応を行った。この工程における上記式(I)で表される値は1.95、上記式(II)で表される値は2.89である。
その後、留去したn−ヘキサンを反応液に戻し、更にn−ヘキサンを236.5g加え、62℃で溶解した後、冷却したところ21℃でリン酸モノエステルの析出がみられた。5℃にて1100Gで30分間遠心分離を行い固液分離し、ケーク(5)として224.6gと分離溶液を得た。ケーク(5)の分析結果を表1に示す。
得られた分離溶液全量に、上記の仕込み量以外同様の方法にて85重量%オルトリン酸11.3g(P25・nH2Oとして表すとP25 7.0g(0.049モル)、H2O 4.3g(0.241モル))、五酸化リン(有効分98.5重量%)32.0g(0.222モル)及び混合アルコール107.3g(0.541モル)を加え同様にn−ヘキサンを留去しながら反応を繰り返した。この工程における上記式(I)で表される値は2.24、上記式(II)で表される値は2.89である。
その後、留去したn−ヘキサンを反応液に戻し、更にn−ヘキサンを132.8g加え溶解させた。冷却したところ20℃でリン酸モノエステルの析出がみられた。5℃にて1100Gで30分間遠心分離を行い固液分離し、ケーク(6)として227.4gと分離溶液を得た。ケーク(6)の分析結果を表1に示す。
更に得られた分離溶液全量に、仕込み量以外同様の方法にて85重量%オルトリン酸15.5g(P25・nH2Oとして表すとP25 9.5g(0.067モル)、H2O 6.0g(0.331モル))、五酸化リン(有効分98.5重量%)36.8g(0.255モル)及び混合アルコール119.4g(0.602モル)を加え同様にn−ヘキサンを留去しながら反応を繰り返した。この工程における上記式(I)で表される値は1.82、上記式(II)で表される値は2.90である。
その後、留去したn−ヘキサンを反応液に戻し、更にn−ヘキサンを214.9g加え溶解させた。冷却したところ20℃でリン酸モノエステルの析出がみられた。5℃にて1100Gで30分間遠心分離を行い固液分離し、ケーク(7)として197.7gと分離溶液を得た。ケーク(7)の分析結果を表1に示す。
また得られたそれぞれのケーク(4)〜(7)は40℃/1kPaにて6時間、棚乾燥機にて含まれるn−ヘキサンの除去を行い、リン酸モノエステルの粉末を得た。
比較例1
1000mLの反応容器に窒素雰囲気下で85重量%のオルトリン酸23.5g(P25・nH2Oとして表すとP25 14.5g(0.102モル)、H2O 9.0g(0.501モル))を加え、更に五酸化リン(有効分98.5重量%)33.6g(0.233モル)を徐々に添加しオルトリン酸換算で116重量%のポリリン酸を調整した。そこにラウリルアルコール187.3g(1.01モル)を加え攪拌・混合し、90℃で3時間反応を行った(工程(1))。この工程(1)における上記式(I)で表される値は2.02、上記式(II)で表される値は4.51である。
その後n−ヘキサンを149.9g加え、52℃でリン酸化反応物と均一溶解したことを確認した。次に冷却し、20℃でリン酸モノエステルを析出させ、スラリーとした後、28℃まで昇温した。その後15℃で五酸化リン(有効分98.5重量%)23.8g(0.165モル)を加え、15℃のまま3時間攪拌・混合を続け、一部の加えた五酸化リンを反応させた後、n−ヘキサンを系外に留去しながら90℃まで昇温した後、5kPaに減圧し、n−ヘキサンを完全に系外に留去し、90℃で6時間反応を行った。更に水を13.5g加え80℃で2時間加水分解を行った。このようにして得られた反応物の水分を除いた分析結果を表1に示す。
比較例2
500mLの反応容器に窒素雰囲気下でラウリルアルコール187.3g(1.01モル)を加え、85重量%のオルトリン酸23.5g(P25・nH2Oとして表すとP25 14.5g(0.102モル)、H2O 9.0g(0.501モル))を加え35℃にて攪拌・混合した。更に五酸化リン(有効分98.5重量%)57.4g(0.398モル)を撹拌しながら15分間で徐々に添加した。温度は75℃まで上昇し、更に昇温し90℃で6時間反応を行った。更に水を13.5g加え80℃で3時間加水分解を行った。このようにして得られた反応物の水分を除いた分析結果を表1に示す。
比較例3
1000mLの反応容器に窒素雰囲気下で85重量%のオルトリン酸28.3g(P25・nH2Oとして表すとP25 17.4g(0.123モル)、H2O 10.9g(0.604モル))を加え、更に五酸化リン(有効分98.5重量%)40.1g(0.278モル)を徐々に添加しオルトリン酸換算で116重量%のポリリン酸を調整した。そこにラウリルアルコール112.0g(0.601モル)を加え攪拌・混合し、90℃で3時間反応を行った(工程(1))。この工程(1)における上記式(I)で表される値は1.00、上記式(II)で表される値は3.00である。
その後n−ヘキサンを184.2g加え、65℃でリン酸化反応物と均一溶解したことを確認した。次に冷却し、24℃でリン酸モノエステルを析出させ、スラリーとした後、27℃まで昇温した。その後24℃で0.5時間保持した後、24℃にてNo.2の濾紙にて濾過してリン酸モノエステルを分離し、n−ヘキサン40.2gをそのケーク上に加えケーク洗浄を行った結果、ケーク(8)として134.4gを得た。ケーク(8)の分析結果を表1に示す。
次に濾過液を反応容器に戻して五酸化リン(有効分98.5重量%)14.5g(0.101モル)を加えた後、ラウリルアルコールを56.1g(0.301モル)を加え、n−ヘキサン還流下の72℃で2時間反応を行った後、ケーク(8)を反応容器に加え、更に72℃で5時間反応を行った。この工程における上記式(I)で表される値は∞、上記式(II)で表される値は2.98である。
更に反応容器にn−ヘキサン105.0gを加え冷却し、28℃でリン酸モノエステルの析出がみられ、33℃まで昇温した。その後30℃で0.5時間保持した後、30℃にてNo.2の濾紙にて濾過してリン酸モノエステルを分離し、n−ヘキサン60.6gをそのケーク上に加えケーク洗浄を行った結果、ケーク(9)として230.1gを得た。ケーク(9)の分析結果を表1に示す。
次に濾過液を反応容器に戻して五酸化リン(有効分98.5重量%)14.3g(0.099モル)を加えた後、ラウリルアルコール55.9g(0.300モル)を加え、n−ヘキサンを系外に留去しながら90℃まで昇温した後、5kPaに減圧しn−ヘキサンを完全に系外に留去し、90℃で1時間反応を行ったところでケーク(9)を反応容器に戻し、更に90℃で5時間反応を行った。更に水を16.1g加え、80℃で2.5時間加水分解を行った。このようにして得られた反応物の水分を除いた分析結果を表1に示す。
実施例1〜2及び比較例1〜3の結果をまとめて表1に示す。また、実施例1〜2で得られたケーク(1)〜(7)及び比較例1〜3で得られた反応終了物(加水分解物)のリン酸モノエステル比率とオルトリン酸含量との関係を図1に示す。
Figure 2007326819
表1及び図1から、本発明の実施例で得られたリン酸エステルは、リン酸モノエステル比率が高く且つオルトリン酸及び有機ヒドロキシ化合物含量が少ないことがわかる。また比較例3において反応工程でケーク(8)、(9)としてリン酸モノエステル比率が高く、オルトリン酸及び未反応有機ヒドロキシ化合物含量の少ないリン酸モノエステルが得られるが、分離したケークを再び反応工程に戻して反応することから実施例に比べてサイクルタイムが長くなると共に最終反応終了物としては、リン酸モノエステル比率、オルトリン酸及び未反応有機ヒドロキシ化合物含量において本発明の実施例より劣る。
実施例1〜2で得られたケーク(1)〜(7)及び比較例1〜3で得られた反応終了物(加水分解物)のリン酸モノエステル比率とオルトリン酸含量との関係を示す図である。

Claims (2)

  1. オルトリン酸、ポリリン酸及び五酸化リンから選ばれる1種以上のリン酸化剤と有機ヒドロキシ化合物とを反応させてリン酸モノエステルを製造するに際し、以下の工程(1)及び(2)を行い、工程(2)において2回目以上の反応に加えられるリン酸化剤及び有機ヒドロキシ化合物あるいは水の合計量を基準にした下記式(I)で表される値が1.5以上2.5以下で、且つ下記式(II)で表される値が2.7以上3.3以下となる条件で反応を行う、リン酸モノエステルの製造法。
    (1)リン酸化剤と有機ヒドロキシ化合物を反応させる1回目の反応工程
    (2)n(nは1以上の整数を示す)回目の反応工程で得られた反応物に有機溶剤を混合し、該混合液からリン酸モノエステルを析出させ、得られたスラリーから析出物を分離してリン酸モノエステルを得た後、得られた分離溶液にリン酸化剤と有機ヒドロキシ化合物を加え、更に(n+1)回目のリン酸化反応を行う操作を繰り返す工程。
    Figure 2007326819
  2. 工程(1)において1回目の反応に加えられるリン酸化剤及び有機ヒドロキシ化合物あるいは水の合計量を基準にした上記式(I)で表される値が0.8以上1.8以下で、且つ上記式(II)で表される値が2.7以上3.3以下となる条件で反応を行う、請求項1記載の製造法。
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