JP3354899B2 - 窯業系板材の塗装方法及びその装置 - Google Patents

窯業系板材の塗装方法及びその装置

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泰史 小川
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、窯業系板材の塗
装方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】繊維補強セメント製建材などの窯業系建
材は、そのままであると表面が平坦で色彩も灰白色〜灰
黒色の無彩色であるため意匠性に乏しい。そこで、この
種建築用板材の表面に凹凸模様を付し、さらに各種彩色
に塗装することが一般に良く行われている。
【0003】このような彩色塗装の一種としてグラデー
ション塗装があり、壁板表面に付された凹凸模様の高低
変化とマッチさせて彩色の濃度を変化させた塗装を行な
う場合がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記グラデ
ーション塗装を行なう具体的手段として、スプレー塗装
が考えられるが、スプレーによるグラデーション塗装は
塗料の粘度や窯業系板材の板温などにより仕上がりが影
響されるので、均一に仕上げるのが非常に困難で均一な
品質のものが得られない欠点がある。
【0005】一方、このような彩色塗装を確実に仕上げ
する手段として印刷があるが、グラデーション用の版を
模様種が変わる都度製造しなければならないので少量多
品種の装飾板などの場合は実施が困難となる問題があっ
た。また、ロール表面のドットの分布密度やドットの大
きさを凹凸模様に合わせて変化させることによってグラ
デーション用の版とする場合もあるが、窯業系板材の凹
凸模様に合わせて版を製造するのが非常に手間がかか
り、しかも繰り返しのない模様に対しては対応できず汎
用性がないといった問題があった。
【0006】この発明は、上記問題を解消し、一種の塗
装ロールでどのような凹凸模様でもその凹凸差に応じた
グラデーション塗装を施すことを課題としてなされたも
のである。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の窯業系
板材の塗装方法は、弾性層表面を有し、該弾性層表面に
微細な凹凸を均一分布させて形成してなる塗装ロール
を、表面凹凸模様を付した窯業系板材の表面に該窯業系
板材の厚さ方向に設定した基準面に対する押圧力が一定
となるよう圧接し、凸部頂点はロールに対する接触圧力
を強く、逆に凹部はロールに対する接触圧力を弱いかゼ
ロとすることにより、この変化を凸部より凹部へ向けて
グラデーションとなるように塗装することを特徴とする
ものである。
【0008】この発明の方法によれば、凸部頂点はロー
ルに対する接触圧力が強く、逆に凹部はロールに対する
接触圧力が弱いかゼロとなるので、この接触圧力に応じ
て転移される微細な凹凸の密度が変化し、この変化がグ
ラデーションとしてあらわれるのである。請求項2の窯
業系板材の塗装装置は、塗料タンクの塗料を所定の膜厚
で表面に保持する塗料供給ロールと、該塗料供給ロール
と接して回転可能に軸支され前記塗料が転移される塗装
ロールであって、表面が弾性層とされ該弾性層表面に微
細凹凸が、微細凹凸の線数を40〜67Lpiとして均
一分布させて形成してなる塗装ロールと、該塗装ロール
を、表面に凹凸模様を有する窯業系板材表面に一定圧で
押圧する手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0009】この装置によれば、同一ロールであっても
窯業系板材に対する前記ロールの押圧力を一定にするだ
けでグラデーション塗装が容易に実施できる。そして、
均一な微細凹凸の線数を40〜67Lpiとすることに
より上記のグラデーションと塗装が特に良好になされ
る。ここにLpiとは、格子状に規則性を持って並んだ
微細凹凸の細かさを表わす単位をいい、1インチあたり
の線数を言う。
【0010】密度を40〜67Lpiとするのは、40
Lpiより粗くすると、塗料を止めるための微細凹部の
分布密度が粗くなって微妙に変化するグラデーションが
現われないためであり、67Lpiより細かくすると微
細凹部の分布密度が密になり過ぎ均一な「べた塗り」塗
装となるか塗装不能となってしまうためである。
【0011】
【発明の実施の形態】次にこの発明の実施の形態を説明
する。 実施の形態1 図1は実施の形態1であるこの発明の方法を実施する装
置の側面図、図2は塗装ロールの断面図、図3は塗装ロ
ールの表面部の断面図である。
【0012】図1において、1は塗装ロールを示し、窯
業系板材2表面にグラデーション塗装を施すための塗装
ロールである。塗装ロール1には、塗料供給ロール3が
接触され、この塗料供給ロール3へは塗料タンク4の塗
料5が供給され、接触回転することにより塗料5が塗装
ロール1へ供給可能とされている。
【0013】上記塗装ロール1は図2に断面を拡大して
示すように金属芯1a周囲に同心状に形成した中間弾性
層1bと表面弾性層1cとからなり、表面弾性層1c表
面には図3に示すように微細な凹凸1dが均一分散状に
形成されている。この微細な凹凸1dは例えばレーザ彫
刻などによる線刻とされ、凹凸模様の高低差、分布密度
にもよるがその線刻密度は40〜67Lpiとされる。
【0014】なお、上記において弾性層1b、1cは表
面弾性層1cが中間弾性層1bより硬くされている。上
記塗装ロール1を、表面凹凸模様を付した窯業系板材2
の厚さ方向に設定した基準面2aに対する押圧力が一定
となるよう圧接して塗装を行なうと、図4に塗膜5aの
厚さを誇張して示すように凸模様20の頂部は塗装ロー
ル1に対する圧着力が高く、凹模様部21へ行くに従っ
て圧着力が小さくなるため、塗装ロール1より転移され
る微細凹凸の密度が圧着力に応じて自動的にコントロー
ルされ、凸模様20の頂部20aはドット密度が大き
く、凹模様21へ向かう裾野方向21aほど密度が小さ
い図4に示すようなグラデーション塗装が実現される。
【0015】実施例 次に、この発明の実施例を説明する。塗装ロール1とし
て金属芯1aに硬度20°厚さ19mmのブチルスポンジ
よりなる中間弾性層1bと、硬度65°厚さ4mmのエチ
レンプロピレンターポリマーゴムよりなる表面弾性層1
cを同心に積層してなる塗装ロールを用意し、表面層に
レーザー彫刻で40〜65Lpiの線数で線刻した。
【0016】なお、図5に拡大して示すように表面弾性
層1cに線刻した際にできる凸部1dの頂部面積s1が
基部面積s2に対し10%、20%、30%、40%、
45%、50%になるものを用意した。次に、表面に自
然石風の凹凸模様を付し全体に下地処理した上で中塗り
塗装を施した試験板を用意し、図1に示した塗装装置を
用い、印圧1〜2mmで塗装試験を実施しグラデーショ
ン塗装の程度を観察した。
【0017】ここに印圧とは塗装ロールが窯業計板材の
凸模様表面に圧着する大きさをあらわし、窯業系板材の
厚さ方向に対する長さをいう。試験結果は表1の結果と
なった。
【0018】
【表1】 表1において、40Lpiでは下線で示すように面積率20
〜40%、50Lpi、60Lpiでは面積率20〜30%、65L
piでは面積率20%のものが良いグラデーション結果が
得られ、特に65Lpi面積率20%のものが最も良かっ
た。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の窯業系
板材の塗装方法及びその装置によれば表面凹凸模様を付
した窯業系板材表面に塗装する場合、表面に微細な凹凸
を刻設したロールを一定圧で押圧して塗装するだけで凹
凸差に応じたグラデーション塗装が自動的に施され従来
困難であった凹凸模様の高低差に対応したグラデーショ
ンの着色が非常に容易に可能となる。
【0020】また、この発明の窯業系板材の塗装方法
は、窯業系板材の凹凸模様の形態に拘わりなく実施でき
るので、一種のロールさえ用意しておけば良いので非常
に安価にグラデーション塗装ができる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態における塗装装置の側面図である。
【図2】実施の形態における塗装ロールの断面図であ
る。
【図3】実施の形態における塗装ロールの表面部の断面
図である。
【図4】グラデーション塗膜の状態を示す塗膜の拡大断
面図である。
【図5】実施の形態における塗装ロールの表面部の拡大
断面図である。
【符号の説明】
1 塗装ロール 1a 金属芯 1b 中間弾性層 1c 表面弾性層 1d 微細な凹凸 2 窯業系板材 2a 窯業系板材の厚さ方向に設定した基準面 3 塗料供給ロール 4 塗料タンク 5 塗料 20 凸模様 21 凹模様
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−328027(JP,A) 特開 平10−109377(JP,A) 特公 平6−47089(JP,B2) 特公 昭57−39834(JP,B2) 特公 昭63−40151(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B05C 1/02 102 B05D 1/28 B05D 5/06 101 B05D 7/00 C04B 41/61

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弾性層表面を有し、該弾性層表面に微細
    な凹凸を均一分布させて形成してなる塗装ロールを、表
    面凹凸模様を付した窯業系板材の表面に該窯業系板材の
    厚さ方向に設定した基準面に対する押圧力が一定となる
    よう圧接し、凸部頂点はロールに対する接触圧力を強
    く、逆に凹部はロールに対する接触圧力を弱いかゼロと
    することにより、この変化を凸部より凹部へ向けてグラ
    デーションとなるように塗装することを特徴とする窯業
    系板材の塗装方法。
  2. 【請求項2】 塗料タンクの塗料を所定の膜厚で表面に
    保持する塗料供給ロールと、該塗料供給ロールと接して
    回転可能に軸支され前記塗料が転移される塗装ロールで
    あって、表面が弾性層とされ該弾性層表面に微細凹凸
    が、微細凹凸の線数を40〜67Lpiとして均一分布
    させて形成してなる塗装ロールと、該塗装ロールを、
    面に凹凸模様を有する窯業系板材表面に一定圧で押圧す
    る手段とを備えたことを特徴とする窯業系板材の塗装装
    置。
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