JP3352383B2 - 調質圧延機の油圧圧下制御方法及び装置 - Google Patents

調質圧延機の油圧圧下制御方法及び装置

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JP3352383B2 JP05961698A JP5961698A JP3352383B2 JP 3352383 B2 JP3352383 B2 JP 3352383B2 JP 05961698 A JP05961698 A JP 05961698A JP 5961698 A JP5961698 A JP 5961698A JP 3352383 B2 JP3352383 B2 JP 3352383B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、油圧圧下装置によ
りロールの圧下が制御される調質圧延機の油圧圧下制御
方法及び装置に係り、特に、溶接点通過処理中に加減速
や手介入を行った場合でも、圧下位置の変更が可能であ
り、適正な圧延荷重を得ることが可能な、調質圧延機の
油圧圧下制御方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】冷間圧延において、焼なましを終えたコ
イルの機械的性質を改善し、同時に形状の改善並びにダ
ルやブライト等の表面仕上げを行う調質圧延機(スキン
パスミルとも称する)においては、鋼板に目標伸び率を
与えるために、図3に示す如く、調質圧延機10の前後
に設置されているテンションロール20やデフレクタロ
ール22の回転数を測定し、該測定値に基づいて算出し
た伸び率が所定値となるように、張力を制御している。
これは、一般的に伸び率制御と呼ばれており、この伸び
率制御を行っている際には、油圧圧下装置12の油圧シ
リンダ14の圧下位置Sは、一定値にして張力を制御し
ている。図において、16は、圧延荷重Pを検出するた
めのロードセル、18は、該ロードセル16で検出され
た圧延荷重Pに応じて、油圧圧下装置12に入力する圧
下位置変更量ΔS′を求めるための演算器である。
【0003】ところで、鋼板8は溶接により接合されて
いる。従って、該溶接部に起因するロール疵を防止する
ため、従来は、当該材の所定圧延荷重とするために設定
していた圧下位置から、溶接点での圧延荷重を所定の圧
延荷重に低下させて、溶接点を通過させた後、次の材料
の設定圧延荷重とする圧下位置に設定していた。
【0004】例えば、特開平6−190422には、調
質圧延方法として、特異点あるいはナローラップシーム
溶接点が、調質圧延機を通過する直前までにライン速度
をミル通過速度に減速させ、該ミル通過速度に到達した
後、そのライン速度を保持すると共に、伸び率制御から
一定荷重制御に切り換え、上記特異点あるいはナローラ
ップシーム溶接点が該調質圧延機を通過した後、圧延荷
重あるいは張力のうち、少なくとも一方を操作し、その
目標範囲に到達後、伸び率制御に切り換えると共に、前
記ミル通過速度から加速する方法が記載されている。
【0005】このような従来の切り換え制御を行うため
の演算器18の構成例を、図4に示す。図4において、
18Aは、溶接点の設定圧延荷重Pmと、前記ロードセ
ル16で検出された実績圧延荷重Pの差ΔPを求める減
算器、18Bは、該差ΔPから圧下位置変更量ΔS′を
求めるための変換器、18Cは、圧下位置変更量と加減
速補償量の和を求める加算器、18Dは、定常時に前記
加算器18Cの出力を圧下位置変更量ΔS′として出力
して圧下位置制御を行い、一方、溶接点通過処理時に
は、前記変換器18Bの出力を圧下位置変更量ΔS′と
して出力して荷重制御を行うための切換器である。
【0006】このような従来例において、油圧圧下装置
12で圧下位置の指令値Sを演算しているので、演算器
18は、位置の変更量ΔS又は荷重変更量をそれぞれ演
算し、油圧圧下装置12に出力し、該油圧圧下装置12
が油圧シリンダ14の圧下位置Sの制御を行っている。
又、手介入による位置の変更量は、直接油圧圧下装置1
2に入力される。油圧圧下の位置制御は、演算器18で
求めた圧下位置変更量ΔS′を、油圧圧下装置12に出
力し、該油圧圧下装置12が、油圧シリンダ14の実績
圧下位置Sを前記油圧圧下位置変更量ΔS′だけ変更す
ることによって行われる。圧下位置変更量ΔS′が零の
場合には、油圧圧下装置12は油圧シリンダ14の実績
圧下位置Sを保持する。
【0007】更に、切換器18Dで、油圧シリンダ14
の圧下位置Sを一定値にした圧下位置制御と、前記溶接
点通過処理中の荷重制御とを切り替えている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前記のように、従来の
溶接点通過処理中は、ロードセル16で検出した圧延荷
重Pが設定荷重Pmとなるように、油圧シリンダ14の
位置を制御する荷重制御が行われている。従って、目標
の鋼板表面の粗さや伸び率を得るための、溶接点通過処
理中の加減速によって行われた圧下位置の変更は、溶接
点通過処理中は行われないことになり、それらの効果が
発揮できないばかりか、次の材料の圧延荷重が設定圧延
荷重から大きく異なってしまうという問題があった。即
ち、加減速による圧下位置の変更が必要でも、例えば図
5及び図6に示す如く、速度が増大するのに対応する圧
下位置の増加が、一部無視されてしまうので、圧延荷重
を低下させて溶接点を通過させた後、圧延荷重を同じ値
に戻したとしても、次材の圧延荷重が所定値から大きく
異なってしまう。
【0009】本発明は、前記従来の問題点を解消するべ
くなされたもので、溶接点通過処理中であっても、加減
速による圧下位置の変更が可能であり、次の材料の圧延
荷重も設定圧延荷重からずれないようにすることを課題
とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、油圧圧下装置
によりロールの圧下が制御される調質圧延機において、
溶接点通過時の圧延荷重設定値から求めた圧下位置を目
標とすることにより、溶接点通過時も圧下位置制御を行
い、且つ、溶接点通過時に、前記油圧圧下装置により制
御される圧下位置を、溶接点通過前の圧下位置から、溶
接点通過時の圧下位置に変更し、溶接点通過後に、溶接
点通過後の圧下位置に変更し、圧下位置変更量を求める
にあたっては、圧下位置変更前の実績圧延荷重と圧下位
置変更後の圧延荷重設定値の差と、ミル定数とから求め
ようにして、前記課題を解決したものである。
【0011】
【0012】
【0013】又、前記圧下位置に、加減速による圧下位
置補償量を加えるようにしたものである。
【0014】本発明は、又、ロールの圧下を制御する油
圧圧下装置を備えた調質圧延機の油圧圧下制御装置にお
いて、前記油圧圧下装置に、溶接点通過時の圧下位置変
更量と加減速による圧下位置補償量の和を入力する手段
を設けることにより、前記課題を解決したものである。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の
実施形態を詳細に説明する。
【0016】本実施形態は、図3に示したような調質圧
延機10において、鋼板8の溶接点を該調質圧延機10
に通過させるにあたって、図1に手順を示す如く、溶接
点が調質圧延機を通過する直前の実績圧延荷重Paと、
溶接点を通過処理する際の
【外1】 との差ΔPaに基づいて、圧下位置の変更量ΔSaを算
出し、圧下位置Sを、前記溶接点が調質圧延機10を通
過する直前に、前記変更量ΔSaだけ変更して溶接点を
圧延し、溶接点が前記調質圧延機10を通過した直後
に、その時の実績圧延荷重設定値Pwと、溶接点が調質
圧延機10を通過した後の
【外2】 との差ΔPbに基づいて、圧下位置の変更量ΔSbを算
出し、圧下位置Sを、前記溶接点が調質圧延機10を通
過した直後に、前記変更量ΔSbだけ変更して、調質圧
延する。
【0017】即ち、本発明においては、伸び率制御を行
っている溶接点の前後、及び、溶接点の通過処理の間、
常時、油圧シリンダ14を位置制御しており、本実施形
態における演算器18の構成は、図2に示す如く、切換
器を用いない、加算器18Cのみの極単純なものとな
る。
【0018】本実施形態において、前記演算器18は、
位置の変更量ΔSを演算し、油圧圧下装置12に出力
し、油圧圧下装置12が油圧シリンダ14の圧下位置S
の制御を行っている。加減速による圧下位置補償は、加
算器18Cで加算して行う。又、手入れによる位置の変
更量は、直接、油圧圧下装置12に入力される。
【0019】前記圧延荷重の差ΔPa、圧下位置の変更
量ΔSaは、溶接点通過前の圧下位置をSaとすると、
次式により計算することができる。
【0020】
【数1】
【0021】ΔSa=ΔPa/M …(2) ここで、Mはミル定数である。
【0022】又、前記圧延荷重の差ΔPb、圧下位置変
更量ΔSbは、次式により求めることができる。
【0023】
【数2】
【0024】ΔSb=ΔPb/M …(4)
【0025】このようにして、調質圧延機10の溶接点
通過処理に際して、溶接点通過前の圧延荷重実績値Pa
と、溶接点通過処理時の
【外3】 との差ΔPaが、(1)式により計算され、その値ΔP
aとミル定数Mから、圧下位置変更量ΔSaが(2)式
により計算される。又、荷重復帰時も、実績圧延荷重P
wと溶接点通過後の
【外4】 とから(3)式により荷重変更量ΔPbを計算し、
(4)式により圧下位置変更量ΔSbを計算するように
したので、溶接点通過処理時も油圧圧下は位置制御モー
ドのままでよい。従って、溶接点通過処理時に加減速等
による圧下位置変更ΔSxが発生した場合でも、(5)
式により圧下位置変更量ΔSに足し合わせた結果で圧下
位置制御すればよいので、結果として適正な荷重を得る
ことができる。
【0026】ΔS′=ΔS+ΔSx …(5)
【0027】
【実施例】溶接点通過前の実績圧延荷重Pa=800ト
ン、溶接点通過処理時の圧延荷重設定値Pw=100ト
ンの場合、(1)式より荷重変更量ΔPaは700トン
となる。ミル定数M=380トン/mmとすると、
(2)式より圧下位置変更量ΔSaは1.842mmと
なるので、これを、油圧圧下装置12へ圧下位置変更量
として出力する。
【0028】一方、荷重復帰時は、溶接点通過処理時の
実績圧延荷重Pが100トン、溶接点通過処理後の復帰
荷重設定値Psが600トンとすると、荷重変更量ΔP
bは−500トンとなり、(4)式より圧下位置変更量
ΔSbは−1.316mmとなる。
【0029】ここで、加減速による圧下位置の補正制御
が行われていたとすると、溶接点通過処理終了前にライ
ンが加速した場合、加減速等による位置変更量ΔSxが
−0.5mmであれば、(5)式より、最終位置変更量
ΔS′を−0.186mmに補正することによって、常
時位置制御で目標の荷重を得ることができ、加減速補償
も可能となる。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、溶接点通過時も、常時
圧下位置制御を行うようにしたので、溶接点通過処理中
であっても、加減速による圧下位置の変更が可能とな
り、次の材料の圧延荷重を設定圧延荷重と一致させるこ
とが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の処理手順を示す流れ図
【図2】前記実施形態で用いられている圧下位置変更量
を計算するための演算器の構成を示すブロック線図
【図3】本発明が適用される調質圧延機の全体構成を示
す構成図
【図4】前記調質圧延機で用いられている従来の演算器
の構成を示すブロック線図
【図5】従来の問題点を説明するための、溶接点通過前
後の圧下位置及び圧延荷重の変化状態の例を示す線図
【図6】図5のVI部拡大図
【符号の説明】
8…鋼板 10…調質圧延機 12…油圧圧下装置 14…油圧シリンダ S…圧下位置 16…ロードセル P…圧延荷重 18…演算器 18C…加算器 ΔS′…圧下位置変更量
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−254916(JP,A) 特開 昭56−158206(JP,A) 特開 平10−216817(JP,A) 特開 平6−79325(JP,A) 特開 平6−15318(JP,A) 特開 平6−15317(JP,A) 特開 平2−117708(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 37/62 B21B 37/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】油圧圧下装置によりロールの圧下が制御さ
    れる調質圧延機において、 溶接点通過時の圧延荷重設定値から求めた圧下位置を目
    標とすることにより、溶接点通過時も圧下位置制御を行
    い、且つ、 溶接点通過時に、前記油圧圧下装置により制御される圧
    下位置を、溶接点通過前の圧下位置から、溶接点通過時
    の圧下位置に変更し、 溶接点通過後に、溶接点通過後の圧下位置に変更し、 圧下位置変更量を求めるにあたっては、圧下位置変更前
    の実績圧延荷重と圧下位置変更後の圧延荷重設定値の差
    と、ミル定数とから求める ことを特徴とする調質圧延機
    の油圧圧下制御方法。
  2. 【請求項2】請求項に記載の調質圧延機の油圧圧下制
    御方法において、前記圧下位置に、加減速による圧下位
    置補償量を加えることを特徴とする調質圧延機の油圧圧
    下制御方法。
  3. 【請求項3】ロールの圧下を制御する油圧圧下装置を備
    えた調質圧延機の油圧圧下制御装置において、 前記油圧圧下装置に、溶接点通過時の圧下位置変更量と
    加減速による圧下位置補償量の和を入力する手段を設け
    たことを特徴とする調質圧延機の油圧圧下制御装置。
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JP5971293B2 (ja) * 2014-09-01 2016-08-17 Jfeスチール株式会社 調質圧延機の制御装置及び制御方法
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