JP3349647B2 - スピーカ - Google Patents

スピーカ

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  • Diaphragms For Electromechanical Transducers (AREA)
  • Electrostatic, Electromagnetic, Magneto- Strictive, And Variable-Resistance Transducers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、振動板として平面
板を用いたスピーカに関し、特に、広い帯域と良好な音
質を得る上で好適なスピーカに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、スピーカは、電気信号を空気の
振動である音波に変換する働きをする電気音響変換器で
あり、コーン型ダイナミックスピーカや静電型スピーカ
等が知られている。
【0003】例えば図6に示すように、コーン型ダイナ
ミックスピーカ10は、振動板として、機械的強度等の
材料特性、音圧特性の面から円錐型のコーン紙12を用
いている。永久磁石14により、センターポール16と
ヨーク18との間に生じている磁界の中に、コーン紙1
2の内方端部に取り付けられたボイスコイル20があ
り、このボイスコイル20に流れる電流に応じてフレミ
ングの左手の法則に従ってコーン紙12が振動するよう
になっている。
【0004】前記のようなコーン型ダイナミックスピー
カ10は、上述したように、振動板として、音圧特性、
材料特性の面からコーン紙12を用いるようにしている
が、図6に示すように、コーン紙12の内側中心部分に
おいて音響的な歪みλが生じる。この歪みλは、コーン
紙12の一方の片面から発生する音波w1と相対する他
の片面から発生する音波w2のベクトルがパラレルでな
いために干渉を起こして生じるものと考えられる。
【0005】この音響的な歪みλは、スピーカ10から
発する音の鮮明さを喪失させたり、音像の定位感をぼや
かすという現象を引き起こす。
【0006】そこで、前記コーン型ダイナミックスピー
カ10の諸問題を解消することのできる平面状の振動板
を用いたスピーカが研究されており、静電型スピーカで
は実用化されている。
【0007】この平面状の振動板を用いたスピーカにお
いては、駆動力が振動板の全面にかかるため、分割振動
を起こしにくく、前記コーン型ダイナミックスピーカ1
0において発生していた音響的な歪みがないという利点
を有する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記のよう
な平面状の振動板を用いたスピーカについては、多くの
公知例があるが、例えば特開昭61−7797号公報に
は、セラミックスの平面板を用いたスピーカが開示され
ている。
【0009】この公知例では、確かに平面状の振動板を
用いているが、その図面(第1図)に示されているとお
り、駆動源であるボイスコイルは、前記振動板に垂直に
設けられたボイスコイルボビンに巻かれたものであり、
この場合、振動板としては、ボイスコイルボビン及びボ
イスコイルを含むボイスコイル部を支えるだけの強度が
必要であり、振動板自体を極端に薄くすることができな
い。そのため、振動板を駆動させるために相応の力が必
要であり、繊細な音まで忠実に再現できないおそれがあ
る。
【0010】また、平面状の振動板を駆動させる方法と
しては、静電型スピーカのような駆動方法がある。静電
型スピーカは、例えば図7及び図8に示すように、平面
状の振動板32と、平面状の電極を兼ねた固定板34と
をリング状のスペーサ部材36を間に挟んで重ね合わせ
て、振動板32の一方の板面に形成された電極38と固
定板34とを互いに対向するように配置することで一つ
のコンデンサを構成するようにしている。
【0011】そして、前記電極38及び固定板34間に
電圧をかけることによって、振動板32と固定板34と
の間に静電力が働き、この静電力で振動板32が振動す
るようになっており、入力信号電圧に比例した音響出力
を出すために、信号電圧eにバイアス電圧Eを重畳させ
て前記電極38及び固定板34間に加えるようにしてい
る。
【0012】つまり、従来の静電型スピーカにおいて
は、バイアス電源などの専用電源が必要であり、あまり
一般的なものではなかった。
【0013】本発明はこのような課題を考慮してなされ
たものであり、従来のマグネット型の利点を活かしつ
つ、薄くて振動しやすい平面状の振動板を駆動すること
ができ、繊細な音まで忠実に再現することができるスピ
ーカを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明に
係るスピーカは、セラミックスで構成された厚さ1μm
以上、30μm以下の振動板上にコイルを平面状に形成
されていることを特徴とする。
【0015】即ち、セラミックスで構成された振動板上
に直接平面状のコイルを形成し、そのコイルから発生す
る磁界で振動板を駆動させる。これにより、従来の磁界
発生源であるボイスコイルを支える必要がなくなるた
め、振動板を薄くすることができる。具体的には、厚さ
1μm以上、30μm以下の振動板を得ることができ
る。
【0016】因みに、従来の円錐コーンによるスピーカ
の振動板(膜)の厚さは、例えば特公昭56−5392
0号公報にも記載されているように、40〜50μm前
後となっているが、本発明では、上述したように、更に
薄くすることができ、音声信号に対する追従性、並びに
様々な音声の再現性を向上させることができる。
【0017】そして、前記振動板を構成するセラミック
は、ジルコニア、窒化珪素、炭化珪素、アルミナのい
ずれかを主成分としている(請求項2記載の発明)。
【0018】この場合、セラミックスにて構成された振
動板は吸湿性がないため、スピーカを高湿度の環境下で
使用しても、音質を損ねることがない。また、ジルコニ
ア、窒化珪素、炭化珪素、アルミナのいずれかを主成分
とするセラミックスは弾性率が高く、比弾性率について
も、従来のプラスチック振動板の材料の弾性率よりも大
きい。しかも、薄い平面板として加工しやすいので、前
記セラミックスは平面状の振動板の材料として好適であ
る。そのため、セラミックスから構成された平面状の振
動板、円錐形のコーン紙を使用したコーン型ダイナミ
ックスピーカのような音の干渉は起こらず、音質をより
一層向上させることができる。
【0019】
【0020】
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るスピーカのい
くつかの実施の形態例を図1〜図7を参照しながら説明
する。
【0022】まず、図1に示すように、第1の実施の形
態に係るスピーカ50Aは、例えば平面多角形状(円形
も含む)を有し、かつ一主面に導体によるコイル52が
形成された振動板54と、同じく平面多角形状(円形も
含む)の固定板56とが例えばリング状のスペーサ部材
58を間に挟んで重ね合わされて構成されている。
【0023】振動板54は、厚さ1μm以上、30μm
以下のセラミック平面板にて構成するようにしている。
セラミック平面板は吸湿性がないため、この第1の実施
の形態に係るスピーカ50Aを高湿度の環境下で使用し
ても、音質を損ねることがない。また、セラミック平面
板は、比弾性率が高く、音質を向上させることができ
る。しかも、平面状の振動板54であるため、円錐形の
コーン紙を使用したコーン型ダイナミックスピーカのよ
うな音の干渉は起こらず、音質をより一層向上させるこ
とができる。
【0024】ところで、振動板54を構成するセラミッ
ク平面板の厚みが30μmを超えると、振動板54が十
分に振動せず、大きな音を得ることができない。従っ
て、セラミック平面板の厚みとしては、20μm以下で
あることが好ましい。この場合、振動板54の駆動振幅
を更に大きくすることができ、音質及び音量の点で有利
となる。
【0025】振動板54を構成するセラミック平面板と
しては、ジルコニアを用いることが好ましい。ジルコニ
アは焼結体として利用するものであるが、弾性率が20
0GPaと高く、また、密度が5.9g/cm3 である
ため、比弾性率は3.4×1011cm2 /sec2 であ
り、従来のプラスチック振動板の材料である例えばポリ
エステルの弾性率2GPa、密度1.38g/cm3
比弾性率0.14×1011cm2 /sec2 と比べ、音
質向上として有利である。
【0026】特に、イットリアを2〜4mol%添加し
た、主として正方晶、又は主として正方晶及び立方晶よ
りなるジルコニアは、曲げ強度が約400〜1000M
Paと高く、焼結体を構成する結晶粒子径も0.1〜
0.5μm程度と小さいため、薄い平面板として加工す
るのに極めて好都合である。
【0027】なお、前記ジルコニア以外では、例えば窒
化珪素、炭化珪素、アルミナなどのセラミックスが、弾
性率が高く、かつ薄い平面板として加工しやすいため、
静電型スピーカ50Aの振動板54の材料として好適に
使用することができる。
【0028】一方、コイル52は、図2に示すように、
線幅が数μm〜1mm程度の導体を例えば振動板54の
中心部分を始端として振動板54の外周に向かって渦巻
き状に、かつ平面状に形成することによって構成されて
いる。導体間の隙間は数μm〜数100μm程度であ
る。導体としては、銅、アルミニウムなどの金属、ある
いはITOなどの酸化物導体を、蒸着、スパッタリング
などによる薄膜で形成、又は印刷法などによる厚膜など
で形成できる。なお、コイル52における振動板54の
外周側端部を便宜的に終端と記す。
【0029】また、この第1の実施の形態に係るスピー
カ50Aにおいては、図1に示すように、振動板54の
表面に形成されたコイル52の始端と終端との間に音声
信号eの発生源(音声信号源)60が接続されている。
【0030】前記振動板54とスペーサ部材58との固
着並びに前記固定板56とスペーサ部材58との固着は
例えば接着剤を用いて行われる。スペーサ部材58は、
プラスチック、熱硬化性フェノール樹脂、アクリル樹脂
等の絶縁物を使用している。
【0031】固定板56は、セラミックス等の絶縁体に
て構成され、該固定板56の一主面(振動板54と対向
する面)には、導体によるコイル62が形成されてい
る。このコイル62も前記振動板54に形成されている
コイル52と同様に、線幅が数μm〜1mm程度の導体
を例えば固定板56の中心部分を始端として固定板56
の外周に向かって渦巻き状に、かつ平面状に形成するこ
とによって構成されている。導体間の隙間は数μm〜数
100μm程度である。
【0032】固定板56の表面に形成されたコイル62
の始端と終端との間には、コイル62の終端側を正極と
する一つの直流電源64(電圧E)が接続されている。
【0033】そして、第1の実施の形態に係るスピーカ
50Aにおいては、振動板54上に形成されたコイル5
2に音声信号源60を通じて音声信号(電流信号)eが
供給されることから、コイル52への電流供給によって
発生する磁界により、振動板54が音声信号eに追従し
て振動することになる。
【0034】このように、第1の実施の形態に係るスピ
ーカ50Aにおいては、振動板54上に形成されたコイ
ル52から発生する磁界で振動板54を駆動させること
ができるため、従来の磁界発生源であるボイスコイルを
支える必要がなくなり、振動板54を薄くすることがで
きる。具体的には、厚さ1μm以上、30μm以下の振
動板54を得ることができる。その結果、音声信号eに
対する追従性、並びに様々な音声の再現性を向上させる
ことができる。
【0035】また、第1の実施の形態に係るスピーカ5
0Aにおいては、固定板56に形成されているコイル6
2に直流電源64を通じて直流電流を供給することによ
り、コイル62が直流電磁石の機能を果たす。これによ
り発生する磁界と、振動板54上のコイル52に発生す
る交流信号に応じた磁界との間に働く吸引力、反発力に
よって振動板54が振動する。
【0036】次に、第1の実施の形態に係るスピーカ5
0Aの変形例について図3を参照しながら説明する。
【0037】この変形例に係るスピーカ50Aaは、図
3に示すように、前記第1の実施の形態に係るスピーカ
50Aとほぼ同じ構成を有するが、固定板56の一主面
にリング状の永久磁石を含む層66が形成されている点
で異なる。このリング状の層66は、例えば内側がS
極、外側がN極となるように磁極が形成されており、わ
ずかの隙間を空けて複数個が同心円状に配置されてい
る。磁界は、この隙間から外部に出て、振動板54上の
コイル52で発生する磁界との相互作用が働く。
【0038】この場合、リング状の層66にて前記直流
電磁石と同様の機能を果たすことから、直流電源64の
接続を不要にすることができ、スピーカ50Aaの小型
化、軽量化をより促進させることができる。なお、固定
板56を永久磁石とし、リング状の層66を省くことも
可能である。
【0039】次に、図4を参照しながら第2の実施の形
態に係るスピーカ50Bについて説明する。なお、図1
と対応するものについては同符号を付してその重複説明
を省略する。
【0040】この第2の実施の形態に係るスピーカは、
図4に示すように、前記第1の実施の形態に係るスピー
カ50Aとほぼ同じ構成を有するが、振動板54として
セラミックス平面板の代わりに、厚さ0.5μm以上、
30μm以下の金属箔70を用いている点で異なる。そ
して、この金属箔70の一主面(固定板56と対向する
面)にSiO2 やSiN、プラスチック等からなる絶縁
膜72が形成され、該絶縁膜72の表面に導体による前
記コイル52が形成されている。
【0041】金属箔70は吸湿性がないため、この第2
の実施の形態に係るスピーカ50Bを高湿度の環境下で
使用しても、音質を損ねることがない。また、金属箔7
0は比弾性率も高く、例えばアルミニウムでは2.81
×1011cm2 /sec2 、ステンレスでは2.44×
1011cm2 /sec2 、チタンでは2.39×10 11
cm2 /sec2 、ニッケルでは2.30×1011cm
2 /sec2 、ベリリウム銅では1.54×1011cm
2 /sec2 であり、音質の向上が可能である。しか
も、平面状の振動板54であるため、円錐形のコーン紙
を使用した従来のコーン型ダイナミックスピーカ10の
ような音の干渉は起こらず、音質をより一層向上させる
ことができる。
【0042】振動板54を構成する金属箔70の厚みが
30μmを超えると、振動板54が十分に振動せず、大
きな音を得ることができない。従って、金属箔70の厚
みとしては、20μm以下であることが好ましい。この
場合、振動板54の駆動振幅を更に大きくすることがで
き、音質及び音量の点で有利となる。
【0043】また、金属箔70上にセラミックスをコー
ティングして弾性率を高くすることもできる。この場
合、セラミックスとしては、SiC、SiN、Zr
2 、Al 2 3 、ダイヤモンドなどが利用可能であ
る。
【0044】そして、この第2の実施の形態に係るスピ
ーカ50Bにおいては、前記第1の実施の形態に係るス
ピーカ50Aと同様に、振動板54上に形成されたコイ
ル52に音声信号源60を通じて音声信号(電流信号)
eが供給されることから、コイル52への電流供給によ
って発生する磁界で振動板54がその音声信号eに追従
して振動することになる。
【0045】このように、第2の実施の形態に係るスピ
ーカ50Bにおいても、前記第1の実施の形態に係るス
ピーカ50Aと同様に、振動板54を薄くすることがで
き、音声信号eに対する追従性、並びに様々な音声の再
現性を向上させることができる。
【0046】次に、第2の実施の形態に係るスピーカ5
0Bの変形例について図5を参照しながら説明する。
【0047】この変形例に係るスピーカ50Baは、図
5に示すように、前記第2の実施の形態に係るスピーカ
50Bとほぼ同じ構成を有するが、固定板56の一主面
にリング状の永久磁石を含む層66が形成されている点
で異なる。
【0048】この場合、リング状の層66にて前記直流
電磁石と同様の機能を果たすことから、直流電源64の
接続を不要にすることができ、スピーカ50Baの小型
化、軽量化をより促進させることができる。
【0049】前記第1及び第2の実施の形態に係るスピ
ーカ(各変形例も含む)においては、振動板54として
セラミック平面板及び金属箔を用いた例を示したが、そ
の他、セラミックスをコーティングしたプラスチックフ
ィルムを用いて前記振動板54を構成することもでき
る。
【0050】この場合、プラスチックとしては、ポリエ
チレン、ポリエステル、ポリスチレンなどが好ましく、
CVD、PVDなどの方法によって、SiO、Si
2 、Al2 3 などをコーティングしたものが適用で
きる。
【0051】これらのフィルムはコーティングのないフ
ィルムに比べて、吸湿性が改良されており、長期にわた
る信頼性が確保でき、スピーカの振動板54として利用
できるものである。
【0052】なお、この発明に係るスピーカは、上述の
実施の形態に限らず、この発明の要旨を逸脱することな
く、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るスピ
ーカによれば、セラミックスで構成された厚さ1μm以
上、30μm以下の振動板上にコイルを平面状に形成す
るようにしている。
【0054】このため、従来のマグネット型の利点を活
かしつつ、薄くて振動しやすい平面状の振動板を駆動す
ることができ、繊細な音まで忠実に再現することができ
るという効果が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係るスピーカを示す構成図
である。
【図2】第1の実施の形態に係るスピーカの振動板を一
方向から見た正面図である。
【図3】図3Aは、第1の実施の形態に係るスピーカの
変形例を示す構成図であり、図3Bは、図3Aのうち、
永久磁石を含む層が形成された部分を示す拡大図である
る。
【図4】第2の実施の形態に係るスピーカを示す構成図
である。
【図5】図5Aは、第2の実施の形態に係るスピーカの
変形例を示す構成図であり、図5Bは、図5Aのうち、
永久磁石を含む層が形成された部分を示す拡大図である
る。
【図6】一般的なコーン型ダイナミックスピーカの構成
と音響上の歪みを示す説明図である。
【図7】一般的な静電型スピーカの正面を示す図であ
る。
【図8】静電型スピーカを示す構成図である。
【符号の説明】
50A、50Aa、50B、50Ba…スピーカ 52…コイル 54…振動板 56…固定板 58…スペー
サ部材 60…音声信号源 62…コイル 64…直流電源 66…層(永
久磁石材料) 70…金属箔 72…絶縁膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04R 9/04 102 H04R 7/02 H04R 9/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セラミックスで構成された厚さ1μm以
    上、30μm以下の振動板上にコイルが平面状に形成さ
    れていることを特徴とするスピーカ。
  2. 【請求項2】請求項1記載のスピーカにおいて、 前記振動板を構成するセラミックスは、ジルコニア、窒
    化珪素、炭化珪素、アルミナのいずれかを主成分とする
    ことを特徴とするスピーカ。
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