JP3845487B2 - 静電型スピーカ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、静電型電気音響変換器に関し、特に、振動板として薄いセラミック平面板、好ましくはジルコニア平面板を使用することにより、広い帯域と良好な音質が得られる静電型スピーカに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、スピーカは、電気信号を空気の振動である音波に変換する働きをする電気音響変換器であり、コーン型ダイナミックスピーカや静電型スピーカ等がある。
【0003】
例えば図6に示すように、コーン型ダイナミックスピーカ10は、機械板として機械的強度等の材料特性、音圧特性の面から円錐型のコーン紙12を用いている。永久磁石14により、センターポール16とヨーク18との間に生じている磁界の中に、コーン紙12の内方端部に取り付けられたボイスコイル20があり、このボイスコイル20に流れる電流に応じてフレミングの左手の法則に従ってコーン紙12が振動するようになっている。
【0004】
前記のようなコーン型ダイナミックスピーカ10は、振動板としての音圧特性、材料特性の面からコーン紙12を用いるようにしているが、図6に示すように、コーン紙12の内側中心部分において音響的な歪みλが生じる。この歪みλは、コーン紙12の一方の片面から発生する音波w1と相対する他の片面から発生する音波w2のベクトルがパラレルでないために干渉を起こして生じるものと考えられる。
【0005】
この音響的な歪みλは、スピーカ10から発する音の鮮明さを喪失させたり、音像の定位感をぼやかすという現象を引き起こす。
【0006】
そこで、従来から、前記コーン型ダイナミックスピーカ10の諸問題を解消することができる平面型の振動板を用いた静電型スピーカが実用化されている。
【0007】
図7及び図8に示すように、この静電型スピーカ30は、例えば平面円形状の振動板32と、同じく平面円形状の電極を兼ねた固定板34とがリング状のスペーサ部材36を間に挟んで重ね合わされて、振動板32の一方の板面に形成された電極38と固定板34とが互いに対向するように配置されることで一つのコンデンサが構成されるようになっている。
【0008】
そして、前記電極38及び固定板34間に電圧をかけることによって、振動板32と固定板34との間に静電力が働き、この静電力で振動板32が振動するようになっており、入力信号電圧に比例した音響出力を出すために、信号電圧eにバイアス電圧Eを重畳させて前記電極38及び固定板34間に加えるようにしている。
【0009】
この静電型スピーカ30においては、駆動力が振動板32の全面にかかるため、図9に示すように、分割振動を起こしにくく、前記コーン型ダイナミックスピーカ10において発生していた音響上の歪みも生じない。しかも、振動板32が同相で振動するため、良好な音響特性を得ることができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記のような静電型スピーカ30については、多くの公知例があるが、これら公知例においては、例えば特開昭52−18577号公報に示されるように、振動板32として薄いプラスチックやポリエステルなどのような高分子膜が使用されている。
【0011】
そのため、従来の静電型スピーカ30を湿度の高い環境下で使用した場合、振動板32において吸湿現象が生じ、音割れなどの原因になるおそれがある。また、高分子膜による振動板32は、機械的強度が低く、弾性率も低いことから、音声信号の振幅を大きくして駆動すると、振動板32の振動速度が音声信号に追従できなくなり、音の鮮明さの喪失や音像の定位感がぼけるなどの現象が生じるおそれがある。そのため、音声信号の振幅(音量)をあまり大きくすることができない、という欠点がある。
【0012】
一方、例えば特開昭61−7797号公報において、セラミック平面板を振動板として利用することが提案されている。これは、コーン型ダイナミックスピーカ10で生じる音波の干渉を防ぎ、併せて共振を除去することを目的としている。
【0013】
しかし、前記提案例は、あくまでもマグネット式のスピーカを想定しており、静電型スピーカを想定したものではないため、厚さ等の各種パラメータの取り扱いが異なっている。
【0014】
更に、例えば特公昭56−53920号公報には、厚さ40〜60μm前後の振動板を使用する例が開示されている。この例は、機械的強度のみに着目したものであり、音声信号に対する高追従性や軽量性などを考慮した場合、いまだ不十分な値であると考えられる。
【0015】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、高湿度の環境下でも音質を損ねることがなく、しかも、振動板の駆動振幅を大きくすることが可能で、音量の向上を図ることができる静電型スピーカを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る静電型スピーカは、厚さ1μm以上、30μm以下のセラミック平面板を振動板とし、前記セラミック平面板がジルコニアであることを特徴とする。
【0017】
これにより、セラミック平面板は吸湿性がないため、静電型電気音響変換器を高湿度の環境下で使用しても、音質を損ねることがない。また、セラミック平面板は、高弾性率材料であるため、振動板の駆動振幅を大きくすることができ、これによって音量を大きくすることが可能となる。しかも、平面状の振動板であるため、円錐形のコーン紙を使用したコーン型ダイナミックスピーカのような音の干渉は起こらず、音質をより一層向上させることができる。
【0018】
ここで、厚さが30μmを超えるセラミック平面板を振動板として使用すると、静電気による力では十分に振動せず、大きな音を得ることができない。厚さが1μm未満のセラミック平面板を振動板として使用すると、機械的強度が極めて低く、事実上、振動板として利用することができない。
【0019】
そして、前記振動板を構成するセラミック平面板として、ジルコニアを用いることが好ましい。
【0020】
また、本発明に係る静電型スピーカは、厚さ1μm以上、30μm以下のセラミック平面板にて構成された振動板と、セラミックスからなる電極板と、スペーサ部材とにより構成され、前記振動板と前記電極板の表面にはそれぞれ電極が配置され、前記スペーサ部材が前記振動板と前記電極板とにより挟持され、前記振動板、前記電極板及び前記スペーサ部材により囲まれた空間を有することを特徴とする。この場合、前記振動板と前記電極板及び前記スペーサ部材をそれぞれジルコニアにて構成してもよい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る静電型スピーカの実施の形態例(以下、単に実施の形態に係る静電型スピーカと記す)を図1〜図5を参照しながら説明する。
【0022】
まず、図1に示すように、第1の実施の形態に係る静電型スピーカ50Aは、例えば平面多角形状(円形も含む)を有し、かつ表面に電極膜52が形成された振動板54と、同じく平面多角形状(円形も含む)の電極板56とが例えばリング状のスペーサ部材58を間に挟んで重ね合わされて構成されている。
【0023】
また、この第1の実施の形態に係る静電型スピーカ50Aにおいては、振動板54の表面に形成された電極膜52と前記電極板56との間に振動板54側を正極とする一つのバイアス電源60(バイアス電圧E)と音声信号eの発生源(音声信号源)62が接続されている。
【0024】
前記スペーサ部材58と電極板56との固着並びに振動板54とスペーサ部材58との固着は例えば接着剤を用いて行われる。また、スペーサ部材58は、プラスチック、熱硬化性フェノール樹脂、アクリル樹脂等の絶縁物を使用している。なお、図示していないが、電極膜52から外部へ配線接続するために、前記スペーサ部材58を必要に応じて金属製のリングを用い、電極板56とは適宜絶縁する。
【0025】
そして、この第1の実施の形態に係る静電型スピーカ50Aにおいては、前記振動板54として、厚さ1μm以上、30μm以下のセラミック平面板にて構成するようにしている。
【0026】
セラミック平面板は吸湿性がないため、静電型スピーカ50Aを高湿度の環境下で使用しても、音質を損ねることがない。また、セラミック平面板は、高弾性率材料であるため、振動板54の駆動振幅を大きくすることができ、これによって音量を大きくすることが可能となる。しかも、平面状の振動板54であるため、円錐形のコーン紙を使用したコーン型ダイナミックスピーカのような音の干渉は起こらず、音質をより一層向上させることができる。
【0027】
なお、図1において、電極板56をセラミック製とし、その上に固定極としての電極を形成してもよい。この場合、セラミック一体の静電型スピーカ50Aとなり、耐蝕性の良好なものとなる。
【0028】
ところで、振動板54を構成するセラミック平面板の厚さとして、30μmを超えると、静電気による力では振動板54が十分に振動せず、大きな音を得ることができない。従って、セラミック平面板の厚さとしては、20μm以下であることが好ましい。この場合、振動板54の駆動振幅を更に大きくすることができ、音質及び音量の点で有利となる。
【0029】
ここで、一つの実験例を示す。この実験例は、セラミック平面板で構成された振動板54の厚さを適宜変えて、振動板54が一定の歪み(たわみ等)を得るのに必要な力がどのように変化するかをみたものである。その実験結果を図2に示す。この図2において、縦軸の力は、静電型スピーカ50Aのサイズ、バイアス電圧Eの大きさ、振動板54と電極板56との間隔などの種々の条件によって異なるため、絶対値では示していない。
【0030】
図2の実験結果から、振動板54の厚さが30μmを超えると必要な力が急激に高くなることがわかる。厚さが20μm以下のときは比較的少ない力で振動する。このことから、上述したように、厚さが30μmを超えるセラミック平面板を振動板54として使用すると、静電気による力では十分に振動せず、大きな音を得ることができない。従って、振動板54の厚さとしては20μm以下が好ましい。なお、厚さが1μm未満のセラミック平面板を振動板54として使用すると、機械的強度が極めて低く、事実上、振動板54として利用することができない。
【0031】
振動板54を構成するセラミック平面板としては、ジルコニアを用いることが好ましい。ジルコニアは、弾性率が200GPaと高く、また、密度が5.9g/cm3 であるため、比弾性率(弾性率/密度)は3.4×1012cm2 /sec2 であり、従来のプラスチック振動板の材料である例えばポリエステルの弾性率2GPa、密度1.38g/cm3 、比弾性率0.14×1012cm2 /sec2 と比べ、音質向上として有利である。
【0032】
特に、イットリアを2〜4mol%添加した、主として正方晶、又は主として正方晶及び立方晶よりなるジルコニアは、曲げ強度が約400〜1000MPaと高く、焼結体を構成する結晶粒子径も0.1〜0.5μm程度と小さいため、薄い平面板として加工するのに極めて好都合である。
【0033】
なお、前記ジルコニア以外では、例えば窒化珪素、炭化珪素、アルミナなどのセラミックスが、弾性率が高く、かつ薄い平面板として加工しやすいため、静電型スピーカ50Aの振動板54の材料として好適に使用することができる。
【0034】
図3に前記各種セラミックスの比弾性率と、比較例としてポリエステル(従来の振動板の材料)の比弾性率を示す。これら各種セラミックスは、いずれのセラミックスでも、従来から振動板材料として使用されてきた高分子フイルム、例えばポリエステルよりも比弾性率が1〜2桁高い。また、弾性率も2桁高く、音声信号源62の印加電圧eを上げて振動板54の駆動振幅が大きくなっても十分に追従することができる。
【0035】
そして、前記セラミック平面板は、例えばドクターブレード、リバースロールコータなどの公知の成形方法で成形したグリーンシートを焼成することで得られる。また、有機フイルム上に印刷法で形成する方法、有機フイルム上にアルコキシド溶液などから析出、沈殿させる方法、有機フイルム上に導電層を形成した上で電気泳動法により成膜する方法なども適用可能である。
【0036】
一方、前記振動板54の表面に形成される電極膜52は、導電性の膜であれば何でも使用可能であるが、例えば、金、銀、アルミニウム、銅などの金属膜、あるいはITOなどの酸化物を始めとする各種透明電極膜などを例えばスパッタリングなどで形成する方法でも得ることができる。
【0037】
次に、第2の実施の形態に係る静電型スピーカ50Bについて図4を参照しながら説明する。
【0038】
この第2の実施の形態に係る静電型スピーカ50Bは、図4に示すように、例えば平面多角形状(円形も含む)で、かつ多数の貫通孔70が形成された一方の電極板72と、同じく平面多角形状(円形も含む)で、かつ多数の貫通孔74が形成された他方の電極板76とが例えばリング状のスペーサ部材78を間に挟んで重ね合わされ、スペーサ部材78の高さ方向中間部に一対の電極板72及び76間の空間を仕切るように、これら電極板72及び76の板面に対して平行に振動板80が架張されて構成され、該振動板80の表面には電極膜82が形成されている。
【0039】
また、この第2の実施の形態に係る静電型スピーカ50Bにおいては、一対の電極板72及び76間に、一方の電極板72側を正極とする二つのバイアス電源84及び86(共にバイアス電圧E)が接続され、これらバイアス電源84及び86の接点aと振動板80の表面に形成された電極膜82との間に音声信号源88が接続されて構成されている。前記スペーサ部材78と一対の電極板72及び76との固着並びに振動板80とスペーサ部材78との固着は例えば接着剤を用いて行われる。
【0040】
そして、この第2の実施の形態に係る静電型スピーカ50Bにおいても、厚さ1μm以上、30μm以下のセラミック平面板にて振動板80を構成し、前記セラミック平面板として、ジルコニア、窒化珪素、炭化珪素、アルミナのいずれかを使用するようにしている。
【0041】
そのため、前記第1の実施の形態に係る静電型スピーカ50Aと同様に、静電型スピーカ50Bを高湿度の環境下で使用しても、音質を損ねることがなく、また、振動板80の駆動振幅を大きくすることができ、これによって音量を大きくすることが可能となる。しかも、平面状の振動板80であるため、音質をより一層向上させることができる。
【0042】
次に、第3の実施の形態に係る静電型スピーカ50Cについて図5を参照しながら説明する。なお、図4と対応するものについては同符号を付してその重複説明を省略する。
【0043】
この第3の実施の形態に係る静電型スピーカ50Cは、図5に示すように、前記第2の実施の形態に係る静電型スピーカ50Bとほぼ同じ構成を有するが、一対の電極板72及び76におけるそれぞれの対向面に、多数の貫通孔90を有するエレクトレットフイルム(帯電性を有するプラスチックフイルム)92が貼着され、更に、二つのバイアス電源84及び86(図4参照)が省略された構成を有する。
【0044】
エレクトレットフイルム92は、例えば図5のように予め帯電していることから、無信号時において、一方の電極板72は正に帯電し、他方の電極板76は負に帯電し、これによって、一対の電極板72及び76間に一方の電極板72側を正とするバイアス電圧Eがかかった状態と等価となる。このため、第1の実施の形態では必要であった二つのバイアス電源84及び86を省略することが可能となり、静電型スピーカ50Cの小型軽量化を促進させることができる。
【0045】
そして、この第3の実施の形態に係る静電型スピーカ50Cにおいても、前記第2の実施の形態に係る静電型スピーカ50Bと同様に、厚さ1μm以上、30μm以下のセラミック平面板にて振動板80を構成し、該セラミック平面板として、ジルコニア、窒化珪素、炭化珪素、アルミナのいずれかを使用するようにしている。
【0046】
そのため、前記第2の実施の形態に係る静電型スピーカ50Bと同様に、音質を損ねることがなく、また、振動板80の駆動振幅を大きくすることができ、これによって音量を大きくすることが可能となる。しかも、平面状の振動板80であるため、音質をより一層向上させることができる。
【0047】
このように、静電型として必要な電界は、前記第3の実施の形態に係る静電型スピーカ50Cのように、一対の電極板72及び76上にエレクトレットフイルム92を形成して永久静電界を利用する方法や、第1及び第2の実施の形態に係る静電型スピーカ50A及び50Bのように、直流のバイアス電圧Eを印加する方法のいずれでも可能である。
【0048】
また、第1の実施の形態に係る静電型スピーカ50Aのように、電極板56が一方だけのシングル型や、第2及び第3の実施の形態に係る静電型スピーカ50B及び50Cのように、電極板72及び76が振動板80の両側にあるプッシュプル型のいずれでも可能である。
【0049】
また、電極板と振動板との間隔は0.2mmから5mm程度の範囲で任意に設定可能であり、バイアス電圧Eは50Vから数1000V程度まで任意に設定可能である。交流信号(音声信号e)の電圧も0〜1000Vrms程度まで任意に設定することができる。
【0050】
前記各実施の形態においては、本発明に係る静電型電気音響変換器を静電型スピーカに適用した例を示したが、その他、マイクロホンやヘッドホンにも適用することができる。
【0051】
【実施例】
実施例1
イットリアを3mol%含むジルコニアをドクターブレードで成形し、キャリアフイルムから剥離した後、空気中1400℃で焼成し、結晶相が主として正方晶よりなる厚さ5μmのジルコニアを作製した。
【0052】
前記ジルコニアの表面にアルミニウムを蒸着法で形成し、有効直径約50mmの振動板54を得た。
【0053】
そして、図1に示す第1の実施の形態に係る静電型スピーカ50Aにおいて、前記振動板54を用い、電極板56を銅とし、スペーサ部材58を有機高分子樹脂(熱硬化性フェノール樹脂等)とし、振動板54と電極板56との間隔を2mmとしてシングル型の静電型スピーカ50Aを組み立てた。
【0054】
この組み立てた静電型スピーカ50Aにおいて、バイアス電源60のバイアス電圧Eを直流500Vとし、音声信号源62の信号eを交流300Vrmsの電圧信号としたところ、20Hzから20kHzまで明瞭な音が発生した。
実施例2
前記実施例1と同様な組成で、厚さ10μmのジルコニアを作製し、その両面にITOをスパッタリングで形成し、有効直径100mmの振動板80を作製した。
【0055】
そして、図4に示す第2の実施の形態に係る静電型スピーカ50Bにおいて、前記振動板80を用い、一対の電極板72及び76としてそれぞれ直径2mmの貫通孔70及び74が多数設けられた銅板を用い、更に、一対の電極板72及び76を振動板80の両側にそれぞれ3mmの間隔を空けて設置することによってプッシュプル方式の静電型スピーカ50Bを作製した。
【0056】
作製した前記静電型スピーカ50Bにおいて、二つのバイアス電源84及び86における各バイアス電圧Eを直流500Vとし、音声信号源88の信号eを交流250Vrmsの電圧信号としたところ、20Hzから20kHzまで十分な音圧の音が発生した。
実施例3
高純度アルミナに高純度マグネシアを1wt%添加した組成物をドクターブレード法で成形し、1600℃で焼成して厚さ15μmのアルミナを作製した。その後、前記アルミナの両面にITOをスパッタリングで形成し、有効直径100mmの振動板80を作製した。
【0057】
そして、図5に示す第3の実施の形態に係る静電型スピーカ50Cにおいて、前記振動板80を用い、一対の電極板72及び76としてそれぞれ直径2mmの貫通孔70及び74が多数設けられた銅板を用い、一対の電極板72及び76を振動板80の両側にそれぞれ3mmの間隔を空けて設置することによってプッシュプル方式の静電型スピーカ50Cを作製した。この場合、エレクトレットフイルム92として、厚さが25μm、フイルム両面間での電位差が500Vのエレクトレットフイルムを使用した。
【0058】
作製した前記静電型スピーカ50Cにおいて、音声信号源88の信号eを交流200Vrmsの電圧信号としたところ、20Hzから20kHzまで十分な音圧の音が発生した。
【0059】
なお、この発明に係る静電型スピーカは、上述の実施の形態に限らず、この発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る静電型スピーカによれば、振動板として厚さ1μm以上、30μm以下のセラミック平面板を用いるようにしている。
【0061】
このため、高湿度の環境下でも音質を損ねることがなく、しかも、振動板の駆動振幅を大きくすることが可能で、音量の向上を図ることができるという効果が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る静電型スピーカを示す構成図である。
【図2】セラミック平面板で構成された振動板の厚さを適宜変えて、振動板が一定の歪み(たわみ等)を得るのに必要な力がどのように変化するかをみた実験結果を示す特性図である。
【図3】振動板として使用される各種セラミックスの比弾性率(弾性率/密度)とポリエステル(従来の振動板の材料)の比弾性率との違いを示す表図である。
【図4】第2の実施の形態に係る静電型スピーカを示す構成図である。
【図5】第3の実施の形態に係る静電型スピーカを示す構成図である。
【図6】一般的なコーン型ダイナミックスピーカの構成と音響上の歪みを示す説明図である。
【図7】一般的な静電型スピーカの正面を示す図である。
【図8】静電型スピーカを示す構成図である。
【図9】静電型スピーカの作用を示す説明図である。
【符号の説明】
50A〜50C…静電型スピーカ 52…電極膜
54、80…振動板 56、72、76…電極板
58、78…スペーサ部材 60、84、86…バイアス電源
62、88…音声信号源 92…エレクトレットフイルム
Claims (2)
- 厚さ1μm以上、30μm以下のセラミック平面板を振動板とし、
前記セラミック平面板がジルコニアであることを特徴とする静電型スピーカ。 - 厚さ1μm以上、30μm以下のセラミック平面板にて構成された振動板と、セラミックスからなる電極板と、スペーサ部材とにより構成され、
前記振動板と前記電極板の表面にはそれぞれ電極が配置され、
前記スペーサ部材が前記振動板と前記電極板とにより挟持され、
前記振動板、前記電極板及び前記スペーサ部材により囲まれた空間を有し、
前記振動板と前記電極板及び前記スペーサ部材がそれぞれジルコニアからなることを特徴とする静電型スピーカ。
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1997
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JPH10234098A (ja) | 1998-09-02 |
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