JP3349420B2 - 廃プラスチック処理装置の防食処理方法 - Google Patents

廃プラスチック処理装置の防食処理方法

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    • C23GCLEANING OR DE-GREASING OF METALLIC MATERIAL BY CHEMICAL METHODS OTHER THAN ELECTROLYSIS
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は超臨界水により廃プ
ラスチックを処理するための廃プラスチック処理装置の
防食処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、天然又は合成高分子化合物を超臨
界水又は亜臨界水を用いて分解することが知られてい
る。一方、塩化ビニル樹脂、トリクロロトリフロロエチ
レンなどの塩素を含む廃プラスチックを処理する装置で
はこのような樹脂から塩素が分離し、その塩素によりス
テンレス鋼等の装置材料が激しく腐食される。腐食の程
度は装置材料の化学成分、水溶液中のCl濃度によって
異なるが、特に超臨界水による処理は高温、高圧で行う
こととなる。このため、装置材料にステンレス鋼を用い
た場合、塩素イオンによる孔食、隙間腐食、応力腐食割
れなどが特に生じ易い。このための対策として、特殊な
化学組成からなるニッケル系合金が用いられている。
【0003】しかし、ニッケル系合金は高価であり、装
置建設コストが非常に高くなる。そのため、塩化ビニル
樹脂、ポリクロロトリフロロエチレンなどの塩素を含む
廃プラスチックを処理する装置では、このような樹脂を
超臨界水で直接処理するのを避けた方法が開発されてい
る。すなわち、まず別途脱塩素装置を用いて300〜3
50℃で熱分解して、樹脂から塩素を除去する。そし
て、残留した脱塩素された樹脂を超臨界水により処理す
るようにした廃プラスチック処理方法も開発されてい
る。ところが、この方法では脱塩素することにより、装
置材料としては比較的安価なステンレス鋼が使用できる
ものの、直接処理するプロセスに比べて、プロセスが複
雑で、装置構成機器が多くなる。その結果、装置建設コ
ストが非常に高くなるという課題をなお残していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記従来技術
の実状に鑑み、超臨界水で前記廃プラスチックを直接処
理する装置に関し、安価なステンレス鋼の適用を可能と
する、廃プラスチック処理装置の防食処理方法を提供す
ることを目的する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、超臨界水によ
り廃プラスチックを処理するための処理装置を防食処理
する方法であって、ステンレス鋼製の廃プラスチック処
理装置に少なくとも一種以上のアルカリ金属塩を含む水
溶液を所定量張り込み、しかる後に脱気し、次いで超臨
界条件まで昇温、昇圧した後、該温度と圧力を一定期間
保持するといった工程を含む。本発明では、防食処理方
法によりステンレス鋼の表面には数μmの緻密な黒色皮
膜が形成される。該皮膜は耐食性、耐傷付性、耐摩耗性
に優れており、飽和NaCl水溶液を含む超臨界水条件
下でも全く腐食されない。本発明により形成される黒色
皮膜は、Fe3 4 及びFeCr2 4 からなる酸化皮
膜であり、組成は従来の前記不働態化処理皮膜と同等で
ある。しかし、本発明により形成された黒色皮膜は従来
の不働態化処理皮膜の数十nmに比べ数μmと非常に厚
く耐食性、耐傷付性、耐摩耗性が大幅に優れている。こ
の皮膜は防食処理時間を長くすることによって厚くする
ことができる。
【0006】
【発明の実施の形態】図1に本発明にかかる廃プラスチ
ック処理装置の防食処理方法の各工程を示す。本発明
は、ステンレス鋼を用いた廃プラスチック処理装置の防
食処理方法である(図1中のA)。一般に、ステンレス
鋼を常圧で硝酸、硝酸とフッ酸の混酸等に浸漬すること
により、ステンレス鋼の表面に数十nmの酸化皮膜を形
成し、不働態化され、耐食性が向上することはよく知ら
れている。しかし、不働態化処理した皮膜は非常に薄い
ために装置製作時、建設時の当て傷あるいはプロセス流
体に含有される固形分の衝突や高流速液体の摩耗によっ
て消滅することが多く、ニッケル系合金を使用せざるを
得ないようなところは適用できないのが現状である。本
発明はこのような常識を打ち破って、画期的な不働態処
理方法を考案した。また、本発明は超臨界水により廃プ
ラスチックを処理する方法に用いられる装置に関するも
のである。本発明において超臨界水とは、温度:200
〜800℃、圧力:20.0〜918kgf/cm2
範囲で温度及び圧力を適切に調整した超臨界状態の水を
いう。さらには、温度:250〜450℃、圧力:51
〜510kgf/cm2 の範囲で温度及び圧力を適切に
調整したものが好ましい。また、用語「超臨界水」に
は、本発明の適用に支障がない限り、亜臨界水も含まれ
る。
【0007】本発明では、まず、少なくとも一種以上の
アルカリ金属塩を含む水溶液を装置内に張り込む(図1
中の工程B)。用いられるアルカリ金属塩はNa、Kの
硫酸塩、亜硫酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、硝酸塩、塩化
物の単独、あるいは混合物が用いられる。その濃度は1
00mg/L〜飽和溶解量までであるが、好ましくは
1,000〜10,000mg/Lである。
【0008】次いで、本発明では、N2 置換等の脱気処
理を行い、水溶液中の溶存酸素を0.5mg/L以下に
調整する(図1中の工程C)。溶存酸素量が0.5mg
/Lを越える条件では、本発明の目的とするFe3 4
及びFeCr2 4 からなる耐食性に優れた不働態皮膜
は形成されず、Fe2 3 が主体で柔軟でポーラスな皮
膜が付着している状態であり、防食効果は得られない。
【0009】そして、本発明では、装置内の温度、圧力
を超臨界条件まで昇温、昇圧する(図1中の工程D)。
不働態皮膜は超臨界水条件以下の例えば、300℃、1
00kg/cm2 の処理温度、処理圧力でも形成される
が厚さが非常に薄く、本発明の目的とする皮膜と同等の
膜厚を得るためには非常に長時間を要し、経済性面でも
実用的ではない。さらに、超臨界状態で一定時間装置を
保持する(図1中の工程E)。通常この保持時間は、1
0時間以上好ましくは50〜100時間である。
【0010】
【実施例】皮膜の形成 10mm×50mm×2mmの表1に示すステンレス鋼
の試験片を複数個入れた内容積500mLのオートクレ
ーブの中に表1に示す組成の水溶液を100mL張り込
み、図1の手順で脱気処理して、液中の溶存酸素を0.
5mg/L以下に調整した。その後、オートクレーブを
外部加熱用電気炉に設置した錫浴中に入れ、500℃、
250kg/cm2 に調整し、表1に記載の時間保持し
た。その後、試験片を取り出し、表1に示すステンレス
鋼の試験片の表面に形成された黒色の緻密な皮膜の厚さ
を、試験片断面の電子顕微鏡観察により計測した。さら
に、蛍光X線分析とX線回折測定により皮膜の化合物を
同定した。
【0011】腐食試験 ついで、内容積500mLのオートクレーブの中に前記
処理後の試験片と飽和NaCl水溶液80mLを張り込
んだ後、N2 ガス置換法により、気相中の酸素をN2
換するとともに液中の溶存酸素を0.5mg/L以下に
調整した後、500℃、250kg/cm2 の超臨界条
件で3ヶ月間の腐食試験を行った。結果は表1に示す通
りである。なお、表1中No.31からNo.39につ
いては、前記防食処理と腐食試験において溶存酸素を
0.5mg/L以上の1.0〜1.5mg/Lに調整し
た。
【0012】結果と考察 本発明の前記した各工程の処理条件を満たすNo.1か
らNo.28については、いずれの材料も、腐食減量は
0.01mm/y以下で、孔食、割れ等の異常も認めら
れなかった。しかし、アルカリ金属塩を添加しないN
o.29、超臨界水を用いなかったNo.30について
は孔食が認められた。さらに、溶存酸素を0.5mg/
L以上の1.0〜1.5mg/Lに調整したNo.31
からNo.39については、腐食減量が0.5mm/y
を超え、孔食が認められた。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0013】この結果から了解されるように、本発明の
防食処理方法により、処理した場合、ステンレス鋼の表
面には数μmの緻密な黒色皮膜が形成される。この皮膜
は耐食性、耐傷付性、耐摩耗性に優れており、前記実施
例に示したように、飽和NaCl水溶液を含む、超臨界
水条件下でも全く、腐食されない。本発明により形成さ
れる黒色皮膜は、表1に示すようにFe3 4 及びFe
Cr2 4 からなる酸化皮膜であり、組成は従来の前記
不働態化処理皮膜と同等である。しかし、本発明により
形成された黒色皮膜は従来の不働態化処理による皮膜の
数十nmに比べ数μmと非常に厚く耐食性、耐傷付性、
耐摩耗性が大幅に優れている。また、溶存酸素を0.5
mg/L以上とすると、本発明の目的とするFe3 4
及びFeCr2 4 からなる耐食性に優れた不働態皮膜
は形成されず、Fe23 が主体で柔軟でポーラスな皮
膜が付着している状態であり、防食効果は得られないこ
とも了解される。
【0014】
【発明の効果】上記したところから明かなように、本発
明によれば、超臨界水で前記廃プラスチックを直接処理
する装置に関し、安価なステンレス鋼の適用を可能とす
る、廃プラスチック処理装置の防食処理方法が提供され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の防食方法の手順の概要を示す工程図で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田畑 正敬 東京都千代田区丸の内二丁目5番1号 三菱重工業株式会社内 (72)発明者 鵜川 直彦 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22 号 三菱重工業株式会社広島研究所内 (72)発明者 金子 雅人 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22 号 三菱重工業株式会社広島研究所内 (72)発明者 小林 一登 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22 号 三菱重工業株式会社広島研究所内 (72)発明者 長谷川 繁夫 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22 号 三菱重工業株式会社広島研究所内 (72)発明者 松原 亘 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22 号 三菱重工業株式会社広島研究所内 (72)発明者 岩崎 謙二 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22 号 三菱重工業株式会社広島研究所内 (56)参考文献 特開 平10−88146(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23F 15/00 B09B 3/00 B29B 17/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステンレス鋼製の廃プラスチック処理装
    置に少なくとも一種以上のアルカリ金属塩を含む水溶液
    を所定量張り込み、しかる後に脱気し、次いで超臨界条
    件まで昇温、昇圧した後、該温度と圧力を一定期間保持
    することを含む廃プラスチック処理装置の防食処理方
    法。
  2. 【請求項2】 溶存酸素量が0.5mg/L以下になる
    ように脱気することを特徴とする請求項1の廃プラスチ
    ック処理装置の防食処理方法。
  3. 【請求項3】 上記アルカリ金属塩がNa、Kの硫酸
    塩、亜硫酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、硝酸塩、塩化物か
    ら成る群から選択した少なくとも一種以上であることを
    特徴とする請求項1又は2の廃プラスチック処理装置の
    防食処理方法。
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