JP3348895B2 - アジャストボルト製造方法 - Google Patents

アジャストボルト製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車部品等として用
いられるアジャストボルトを製造するアジャストボルト
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車部品として用いられるアジ
ャストボルト100は、図6に示す様に、六角頭部10
1の根元にセレーション103を設けたボルト105
と、このセレーション103に嵌合する嵌合孔111を
有し、アジャスト目盛113を刻設されたプレート11
5と、を圧入により嵌合一体化して製造されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この圧入に当たって
は、正確な位置合わせが必要であり、製造工数がかか
り、製品コストの上昇を招いていた。一方、アジャスト
ボルトにおけるフランジの偏心量はかなり大きいので、
ヘッダ等で一体に製造することが困難であった。
【0004】そこで、本発明においては、ヘッダ等で一
体に製造するに適した新規な構成のアジャストボルト
製造するアジャストボルト製造方法を提供することを目
的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用】かかる目的を達
成するためになされた本発明のアジャストボルト製造方
法は、請求項2に記載した様に、ボルト頭部に偏心フラ
ンジを設け、この偏心フランジにアジャスト目盛を刻設
したアジャストボルトを製造するアジャストボルト製造
方法であって、多段加工可能な鍛造加工機を用いて、偏
心フランジより大きいフランジ原形をボルト頭部と一体
に鍛造し、該フランジ原形表面にボルト頭部から偏心さ
せてアジャスト目盛を鍛造刻設し、該アジャスト目盛の
外周に沿って前記フランジ原形をトリミング加工するこ
とによって偏心フランジを形成することを特徴とする。
【0006】 この製造方法によれば、一旦、偏心フラン
ジより大きいフランジ原形をボルト頭部と一体に鍛造し
てからトリミングする構成を採用したので、鍛造時に材
料の肉流れ方向を特別に制御する必要がない。しかも、
多段加工可能な鍛造加工機(例えばヘッダ等)を用いて
いるので、材料を回転しない様にして順次加工すること
ができ、アジャスト目盛がずれたりすることがない。
【0007】 ここで、前記トリミング加工は、請求項2
に記載した様に、前記フランジ原形を有するアジャスト
ボルト部品をトリミングダイにセットし、トリミングダ
イに向かってトリミングパンチを前進させることによっ
て前記フランジ原形を表裏から剪断開始すると共に、前
記フランジ原形の偏心フランジに相当する部分を押圧す
ることで前記セットされたアジャストボルト部品をトリ
ミングパンチ側へ押し出して前記フランジ原形を完全に
剪断することが望ましい。
【0008】 この請求項2に記載した方法によれば、ボ
ルト軸ではなく、フランジ原形の偏心フランジに相当す
る部分を押圧することでトリミングを完了する様にした
ので、ボルト軸を押した場合に生ずる様な偏ったモーメ
ントが作用せずアジャストボルトが変形することがな
い。
【0009】
【実施例】次に本発明を一層明らかにするため、本発明
を適用した好適な実施例を図面と共に説明する。図1
は、偏心フランジの付いたアジャストボルトの製造方法
として実施例で採用した工程の説明図である。
【0010】 まず、図示(A)に示す様に、材料(SC
r440H)を所定長さに切断し、これを多段式のヘッ
ダにセットする。次に、同図(B)に示す様に、ボルト
軸となる部分の絞り加工を実行する。そして、同図
(C)に示す様に、ボルト頭部をやや偏心する様にアプ
セットする。続いて、同図(D)に示す様に、この頭部
の部分を六角切りしてボルト頭部及び大きなフランジ原
形部を形成する。そして、同図(E)に示す様に、フラ
ンジ原形表面にボルト頭部から偏心させてアジャスト目
盛を鍛造刻設し、最後に同図(F)に示す様に、このア
ジャスト目盛の外周に沿ってフランジ原形をトリミング
加工することによって偏心フランジを形成する。
【0011】 ここで、最終ステージのトリミング加工に
当たっては、図2に示す様なトリミング装置を用いた。
このトリミング装置は、ヘッダ本体に固定されたトリミ
ングダイ10と、このトリミングダイ10に向かって往
復動作するトリミングパンチ12と、トリミングダイ1
0に嵌合され、[(D)六角切りステージ]までで鍛造
形成されたフランジ原形14aの付いたアジャストボル
ト部品14のボルト軸を挿入する偏心孔16を有し、か
つフランジ原形の偏心フランジに相当する部分の下面を
支える偏心ブッシュ18と、この偏心ブッシュ18をト
リミングパンチ12側へ押し出す様に付勢する皿バネ2
0と、トリミング完了後のアジャストボルト部品14の
ボルト軸を押して排出するノックアウトピン22とを備
える。
【0012】 このトリミング装置によれば、まず、アジ
ャストボルト部品14を偏心ブッシュ18の偏心孔16
にセットし、トリミングダイ10に向かってトリミング
パンチ12を前進させる。この結果、図3に示す様に、
フランジ原形14aは表裏から中心に向かって剪断が開
始される(図中A,Bの部分の剪断)。そして、ある程
度剪断が進むと、フランジ原形部の剪断抵抗面積が小さ
くなり、皿バネ20の付勢力が勝ち、偏心ブッシュ18
が押し上げられる。従って、最終的には、フランジ原形
14aは、皿バネ20による均一な押圧力を偏心フラン
ジ部分に受けて押し出されつつ完全に剪断される(図中
Cの部分の剪断)。そして、剪断完了後に、ノックアウ
トピン22を動作させてアジャストボルト部品14を排
出する。
【0013】 本実施例によれば、多段式ヘッダを用いて
いるので、ボルト頭部を回転させることなく[(D)六
角切りステージ]から[(E)マーキングステージ]へ
と材料を移動させることができ、アジャスト目盛が正確
な位置に刻設される。また、偏心フランジを最初からそ
のままの形に鍛造するのではなく、これよりも大きいフ
ランジ原形を鍛造する様に構成したので、鍛造時の肉流
れを厳しく制御する必要がない。そして、最終ステージ
でのトリミングに当たって、フランジを押し上げること
で剪断完了する構成を採用したので、トリミング加工時
に偏ったモーメントが生じることがなく、フランジ及び
頭部が変形することがない。
【0014】 なお、従来のトリミング装置をそのまま用
いた場合と比較すると、本実施例のトリミング装置の有
効性がより一層明瞭になる。そこで、従来のトリミング
装置を用いるとどの様な不具合があるかについて、比較
例として説明する。図4は、第1の比較例を示す。第1
の比較例は、トリミングダイ40に直接アジャストボル
トの軸をセットする様になっており、トリミングパンチ
42を下降させることで図示E部とF部を剪断し、この
状態においてノックアウトピン44を動作させてボルト
軸を押すことによってG部を剪断するというものであっ
た。このため、偏心フランジには、P・(L1−L2)
の偏心モーメントが作用し、フランジ及び頭部が軸に対
して変形してしまった。
【0015】 図5は、第2の比較例を示す。第2の比較
例はいわゆるプッシュスルー方式のトリミング装置であ
って、トリミングダイ50にダイ孔52を設けておき、
ここに偏心孔54を有するブッシュ56を嵌合し、トリ
ミングパンチ58にて部品をダイ孔52内へ押し込むこ
とによってフランジ原形を剪断するものであった。最終
的には、製品がノックアウトピン60にて押し出され
る。また、ダイ孔52の内径とトリミングパンチ58の
外径との間に0.13〜0.2mmのクリアランスが必
要であった。この方式によると、剪断はフランジ裏面側
から開始され、最後に表面が切れるということになる。
従って、クリアランスとの関係もあり、完成品の偏心フ
ランジの周縁にダレや反りが発生した。
【0016】 この様に、偏心フランジをトリミングによ
って形成するに当たって、従来の一般的なトリミング方
式をそのまま適用したのでは、製品に変形が生じた。し
かし、本実施例によれば、フランジを表裏から中心に向
かって剪断すると共に、最終的な剪断をフランジ裏面を
均一に押すことで達成しているので、フランジが偏心し
ているにもかかわらず製品に変形が生じることがない。
【0017】 以上実施例を説明したが、本発明はこの実
施例に限定されるものではなくその要旨を逸脱しない範
囲内で種々なる態様のものとして実施できることはもち
ろんである。
【0018】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明におけるアジ
ャストボルト製造方法によれば、一旦、偏心フランジよ
り大きいフランジ原形をボルト頭部と一体に鍛造してか
らトリミングする構成を採用したので、鍛造時に材料の
肉流れ方向を特別に制御する必要がない。しかも、多段
加工可能なヘッダを用いているので、材料を回転しない
様にして順次加工することができ、アジャスト目盛がず
れたりすることがない。
【0019】 特に、請求項2に記載した様に加工するこ
とで、トリミングの際に変形することもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例における製造工程の説明図である。
【図2】 実施例のトリミング装置の構成図である。
【図3】 実施例のトリミング装置の動作の説明図であ
る。
【図4】 比較例のトリミング装置の構成及び動作の説
明図である。
【図5】 比較例のトリミング装置の構成及び動作の説
明図である。
【図6】 従来のアジャストボルトの構成及び製造手順
を示す説明図である。
【符号の説明】
10・・・トリミングダイ、12・・・トリミングパン
チ、14・・・アジャストボルト部品、14a・・・フ
ランジ原形、16・・・偏心孔、18・・・偏心ブッシ
ュ、20・・・皿バネ、22・・・ノックアウトピン。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B21K 1/50 B21K 1/50 F16B 35/06 F16B 35/06 Z (56)参考文献 特開 昭62−52212(JP,A) 特開 平3−13246(JP,A) 特開 昭63−190919(JP,A) 特開 平1−284446(JP,A) 特開 昭62−187542(JP,A) 特開 昭58−119432(JP,A) 特開 昭50−102565(JP,A) 実公 昭33−944(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16B 33/00 - 33/06 F16B 35/00 - 35/06 B21K 1/46 - 1/50 B21J 9/06

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ボルト頭部に偏心フランジを設け、この
    偏心フランジにアジャスト目盛を刻設した アジャストボ
    ルトを製造するアジャストボルト製造方法であって、 多段加工可能な鍛造加工機を用いて、 偏心フランジより大きいフランジ原形をボルト頭部と一
    体に鍛造し、 該フランジ原形表面にボルト頭部から偏心させてアジャ
    スト目盛を鍛造刻設し、 該アジャスト目盛の外周に沿って前記フランジ原形をト
    リミング加工することによって偏心フランジを形成する
    ことを特徴とするアジャストボルト製造方法。
  2. 【請求項2】 前記トリミング加工は、 前記フランジ原形を有するアジャストボルト部品をトリ
    ミングダイにセットし、 トリミングダイに向かってトリミングパンチを前進させ
    ることによって前記フランジ原形を表裏から剪断開始す
    ると共に、 前記フランジ原形の偏心フランジに相当する部分を押圧
    することで前記セットされたアジャストボルト部品をト
    リミングパンチ側へ押し出して前記フランジ原形を完全
    に剪断することを特徴とする請求項1記載のアジャスト
    ボルト製造方法。
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