JP3347867B2 - 疑似ウィスカーの発生しない無電解めっき液 - Google Patents
疑似ウィスカーの発生しない無電解めっき液Info
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Description
ウィスカーの発生しない無電解めっき液に関する。
上、小型化、高性能化に伴って、これを実装するキャリ
アー、例えばTAB(Tape Automated
Bonding)テープやプリント回路配線板の配線密
度も極めて高いものが必要になり、従ってその配線ライ
ン幅やピッチ間隔も極めて狭いものが必要になってい
る。一般に、ICを実装するには、ワイヤーボンディン
グ法、フリップチップ法、TABテープ法があるが、特
にTABテープにおいては、ICのバンプとTABのイ
ンナーリードの接続やアウターリードの接続に錫めっき
による方法が採用されている。錫めっきの場合、狭ピッ
チで最大の問題となるのがウィスカーの発生であり、数
ミクロンメートルの長さのウィスカーでさえ、回路ショ
ートの危険性をはらんでいる。
っき法があり、置換型、還元型等多数の無電解錫めっき
法が提案されているが、ウィスカー防止の観点からは、
特にウィスカーの発生機構が解明されていなかったため
いずれも満足できるものがない状況である。
に問題となるウィスカーの発生を防止するための研究を
鋭意実施し、ウィスカーの発生過程を追及する中で、ウ
ィスカーには、めっき中に生成成長しめっき終了後は成
長しないものと、めっき後数日経過した後生成成長する
ものの2種類が存在することを突きとめた。このうち、
めっき中に生成し、成長するものを疑似ウィスカーと命
名し、数日後生成し、成長する従来から知られているも
のを真正ウィスカーと命名した。図1には真正ウィスカ
ー(7000倍)を、図2には疑似ウィスカー(200
00倍)の顕微鏡写真をそれぞれ示す。なお、真正ウィ
スカーはその結晶中に銅も含まれるが、疑似ウィスカー
は純粋な錫からなる。本発明者らは、それぞれのウィス
カーについてその防止策を研究したが、真正ウィスカー
に関しては、めっき直後高温でアニール処理を施すこと
によってその生成、成長を防止することが出来るため、
疑似ウィスカーが防止できれば、ウィスカー防止対策と
しては完成するものと考え、疑似ウィスカーの発生しな
い錫めっき液を提供することを目的として種々検討を重
ねた結果、本発明をなすに至ったものである。
は、アルカンスルホン酸、ホウフッ化錫、次亜燐酸、チ
オ尿素及びポリエチレングリコール又はその誘導体を必
須成分とする。このめっき液において、さらにフェノー
ルスルホン酸を含有させても良い。
成する成分の中で疑似ウィスカーの発生に最も大きく関
与する組成成分は、有機化合物であることを見出した。
これらの有機化合物の代表的なものはフェノールスルホ
ン酸や界面活性剤であり、これに代わって疑似ウィスカ
ーの発生に最も影響が少なく、めっき液の特性を向上さ
せる有機化合物の選定を行なった。その結果、アルカン
スルホン酸及びポリエチレングリコール又はその誘導体
の組合せ、もしくはアルカンスルホン酸、フェノールス
ルホン酸及びポリエチレングリコール又はその誘導体の
組合せが最も疑似ウィスカーの発生が少なく、めっき被
膜特性も優れていることを見出した。
錫、塩化錫、有機酸錫等多数の錫塩が存在するが、その
中でめっき液が安定(2価の錫が酸化されて4価の錫と
なり、溶解度が小さいため白色沈殿を生じ、液中に懸濁
するが、これが最も少ない)しているのはホウフッ化錫
であった。銅は錫よりも貴であり、一般には置換反応は
起らない。これを可能にするのが錯化剤であり、チオ尿
素がよく知られている。またチオ尿素の再生剤としてフ
ェノールスルホン酸、2価の錫の酸化防止あるいは液の
安定剤として次亜燐酸塩、めっきむらの解消剤として界
面活性剤等が知られている。なお、錫源としてホウフッ
化錫の代わりにアルカンスルホン酸錫を用い、ホウフッ
化錫の代わりにホウフッ酸を用いても良い。
液1リットル中10グラムから60グラムが適当であ
る。10グラム以下ではピンホールの多いめっき被膜と
なり、60グラム以上では、めっき被膜上に粒子状の錫
結晶が多数生成し、外観的にもめっきむらを生じる。チ
オ尿素は銅と反応してイオン化傾向を逆転させる。この
量が多すぎる(240グラム/リットル以上)と疑似ウ
ィスカーの発生が多くなり、少なすぎる(80グラム/
リットル以下)とめっき速度が遅くなり、錫めっき表面
に多数の結晶粒を生じ、めっき表面の平滑性、均一性が
無くなる。次亜燐酸塩は錫イオンの酸化防止に必要であ
り、多いほど良いが、溶解度に限界があり、60℃から
70℃でのめっき液中での溶解度は50グラム/リット
ルから60グラム/リットルである。疑似ウィスカー発
生防止の観点からは、有機化合物が存在しないほうが良
いが、めっき被膜の特性向上には必須であるので、前述
のように有機化合物の中で最も疑似ウィスカーの発生が
少ないのはアルカンスルホン酸とポリエチレングリコー
ル又はその誘導体の組合せ、もしくはアルカンスルホン
酸、フェノールスルホン酸及びポリエチレングリコール
又はその誘導体の組合せであるが、アルカンスルホン酸
の量としては、多すぎる(240グラム/リットル以
上)場合はめっき液の浸透性が強くなりすぎて、レジス
トや糊剤の層間にめっき液が侵入して製品の品質上の問
題を発生しやすくなり、少なすぎる(80グラム/リッ
トル未満)とめっき被膜の特性の劣化が認められる。ア
ルカンスルホン酸の例としては、メタンスルホン酸、エ
タンスルホン酸、プロパンスルホン酸、2−プロパンス
ルホン酸、ブタンスルホン酸、2−ブタンスルホン酸、
ペンタンスルホン酸、クロルプロパンスルホン酸等が挙
げられるが、中でもメタンスルホン酸が最も好ましい。
量は、少なすぎる(0.1グラム/リットル以下)とめ
っきむらやめっき面の部所による結晶の大きさの差を生
じ、光沢むらやめっき厚の差を生じる。多すぎる(30
グラム/リットル以上)と疑似ウィスカーの発生が認め
られる。ポリエチレングリコールの分子量は4000以
下のものに疑似ウィスカーの発生を誘起しない効果が認
められ、分子量が低いほど溶解性が良好であるが、逆に
めっき液の増粘効果が低く、分子量400程度が最適で
ある。ポリエチレングリコールの誘導体の例としては一
般に界面活性剤として使用されているポリオキシエチレ
ンノニルフェニルエーテルやポリオキシエチレンオクチ
ルフェニルエーテル等を挙げることができる。
適な組合せを示せば、以下のようである。 めっき液 ホウフッ化錫(金属錫に換算して); 10〜60グラム/リットル 次亜燐酸ナトリウム; 20〜50グラム/リットル チオ尿素; 80〜240グラム/リットル アルカンスルホン酸; 80〜240グラム/リットル ポリエチレングリコール又はその誘導体; 0.1〜30グラム/リットル である。
ホウフッ化錫(メタル換算して)35グラム/リット
ル、チオ尿素210グラム/リットル、次亜燐酸ナトリ
ウム40グラム/リットル、メタンスルホン酸160グ
ラム/リットルポリエチレングリコール又はその誘導体
からなる液のポリエチレングリコール又はその誘導体の
種類及び濃度を変化させてTABの銅パターン上の錫め
っきパターン上における疑似ウィスカーの発生状況、め
っき面の性状、レジストや糊面への浸透性、液寿命等に
つきテストした。得られた結果を表1に示す。表1にお
いて、No.1〜4はポリエチレングリコールとしてP
EG#400を用い、その濃度を変化させたもの、N
o.5〜8はポリエチレングリコールの誘導体としてポ
リオキシエチレンノニルフェニルエーテルを用いメタン
スルホン酸の濃度を変化させたもの、No.9〜11は
ポリエチレングリコールの誘導体としてポリオキシエチ
レンオクチルフェニルエーテルを用いてその濃度を変化
させると共にメタンスルホン酸の濃度を変化させたもの
をそれぞれ示す。
リットル以上含む液では、疑似ウィスカーは全く発生し
ないことがわかる。また界面活性剤(ポリエチレングリ
コールを含む)が極めて少ないとめっき面にむらができ
て、部所によって光沢が異なることが分かる。しかし、
界面活性剤が多すぎると疑似ウィスカーが発生するが、
界面活性剤の種類によってその適量範囲が異なることを
示している。またウィスカーの発生はバラツキが大き
く、温度、液の老朽化度、組成成分のバラツキで異な
り、統計処理をしないとその傾向は明確に把握できな
い。界面活性剤は単独ではなく、混合して使用される場
合も存在する。従って、本発明では最大公約数を取って
0.1グラム/リットル以上30グラム/リットル以下
とした。なお、この液の最大の欠点は液が極めて浸透し
やすいことにあり、レジストや糊剤の選定に際して特別
の注意が必要になる。なお、表1中のNo.4、No.
5、No.9は比較例であり、それ以外が本発明の実施
例である。
ン酸とフェノールスルホン酸を併用しためっき液を使用
した例を示す。 めっき液B ホウフッ化錫(メタル換算) 40グラム/リットル チオ尿素 210グラム/リットル 次亜燐酸ナトリウム 40グラム/リットル PEG#400 25グラム/リットル メタンスルホン酸 80グラム/リットル フェノールスルホン酸 80〜240グラム/リットル この液でめっきした結果を表2に示す。なお、表2中の
No.4は比較例であり、No.1〜3が本発明の実施
例である。
スルホン酸の併用においては、メタンスルホン酸の浸透
性が抑えられ、調和のとれためっき液となることが示さ
れた。フェノールスルホン酸が多すぎると(240グラ
ム/リットル以上)疑似ウィスカーの発生が認められ
る。
ないめっき液を使用した比較例を示す。めっき液C ホウフッ化錫(メタル換算して) 35グラム/リットル チオ尿素 210グラム/リットル 次亜燐酸ナトリウム 40グラム/リットル フェノールスルホン酸 210グラム/リットル ポリエチレングリコール#400 15ミリリットル/リットル
大長10ミクロンメートル以上の疑似ウィスカーが時々
発生し、5ミクロンメートル以上のウィスカーの発生は
防止出来ないものであった。
回路配線板、TABテープ等のIC実装時における錫め
っきに使用する場合、極めて狭い配線ライン幅やピッチ
間隔を有する場合も疑似ウィスカーの発生が防止できる
ことから、回路のショートを起さず、液寿命の長い無電
解めっき液が得られる。
写真。
鏡写真。
Claims (2)
- 【請求項1】ホウフッ化錫(金属錫に換算して);10
〜60グラム/リットル(ただし、10グラム/リット
ルおよび60グラム/リットルを除く)、 次亜燐酸ナトリウム;20〜50グラム/リットル、 チオ尿素;80〜240グラム/リットル(ただし、8
0グラム/リットルおよび240グラム/リットルを除
く)、 アルカンスルホン酸;80〜240グラム/リットル
(ただし、240グラム/リットルを除く)、分子量4000以下の ポリエチレングリコール又はその
誘導体;0.1〜30グラム/リットル(ただし、0.
1グラム/リットルおよび30グラム/リットルを除
く)を必須成分とすることを特徴とする無電解めっき
液。 - 【請求項2】 さらに、フェノールスルホン酸80〜2
40グラム/リットル(ただし、240グラム/リット
ルを除く)を配合した請求項1記載の無電解めっき液。
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Publication Number | Publication Date |
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1994
- 1994-03-15 JP JP06987394A patent/JP3347867B2/ja not_active Expired - Fee Related
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