JP3346007B2 - セメントの水和発熱抑制剤 - Google Patents
セメントの水和発熱抑制剤Info
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- C04B24/24—Macromolecular compounds
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セメントの水和に伴う
発熱を抑制し、もって、発熱による硬化コンクリートの
ひび割れ(以下、温度ひび割れという)を防止するため
のセメントの水和発熱抑制剤に関する。
発熱を抑制し、もって、発熱による硬化コンクリートの
ひび割れ(以下、温度ひび割れという)を防止するため
のセメントの水和発熱抑制剤に関する。
【0002】
【従来の技術】温度ひび割れが発生する主な理由は、セ
メントの水和発熱によってコンクリートの内部と外部の
間に温度差が生じ、この温度差に起因する応力が、硬化
コンクリートの引張強度を上回るからである。従って、
セメントの水和発熱を抑制し、コンクリート内・外部間
の温度差を小さくすることは、温度ひび割れを防止する
うえで有効な手段となる。このような考えに基づき、従
来、次の物質からなるセメントの水和発熱抑制剤が提案
されている。 a)尿素(特開昭62-223048 号公報) b)5〜60℃に融点または転移点をもつ蓄熱物質(特
開平3-69542 号公報) c)冷水可溶分5〜90重量%のデキストリン(特開昭
55-75950号公報) d)加水分解性タンニン(特開昭63-117941 号公報)
メントの水和発熱によってコンクリートの内部と外部の
間に温度差が生じ、この温度差に起因する応力が、硬化
コンクリートの引張強度を上回るからである。従って、
セメントの水和発熱を抑制し、コンクリート内・外部間
の温度差を小さくすることは、温度ひび割れを防止する
うえで有効な手段となる。このような考えに基づき、従
来、次の物質からなるセメントの水和発熱抑制剤が提案
されている。 a)尿素(特開昭62-223048 号公報) b)5〜60℃に融点または転移点をもつ蓄熱物質(特
開平3-69542 号公報) c)冷水可溶分5〜90重量%のデキストリン(特開昭
55-75950号公報) d)加水分解性タンニン(特開昭63-117941 号公報)
【0003】上記物質がセメントの水和発熱を抑制する
機構は次のように考えられる。すなわち、上記a,bは
物質自体の吸熱作用を利用するものであり、コンクリー
ト中で尿素は加水分解する際に熱を吸収し、また上記蓄
熱物質は融解または相転移の際に潜熱を吸収することに
より水和発熱を抑制する。一方、上記c,dはセメント
の水和反応を遅延することにより水和発熱を抑制するも
のであり、デキストリンは粉体の溶解によりデキストリ
ン分子を放出し、また、加水分解性タンニンは加水分解
によりタンニン分子を放出し、コンクリートの液相中に
放出されたこれらの物質がセメントの水和反応を遅延さ
せて水和発熱を抑制する。
機構は次のように考えられる。すなわち、上記a,bは
物質自体の吸熱作用を利用するものであり、コンクリー
ト中で尿素は加水分解する際に熱を吸収し、また上記蓄
熱物質は融解または相転移の際に潜熱を吸収することに
より水和発熱を抑制する。一方、上記c,dはセメント
の水和反応を遅延することにより水和発熱を抑制するも
のであり、デキストリンは粉体の溶解によりデキストリ
ン分子を放出し、また、加水分解性タンニンは加水分解
によりタンニン分子を放出し、コンクリートの液相中に
放出されたこれらの物質がセメントの水和反応を遅延さ
せて水和発熱を抑制する。
【0004】
【発明の解決課題】しかしながら、上記尿素および蓄熱
物質は、吸熱量が添加量に依存するので、有意な効果を
得ようとするとコンクリート中にこれらの物質を多量に
添加しなければならない。ところが、コンクリート中に
尿素を多量に添加すると、加水分解により多量の炭酸お
よびアンモニアが生成し、これらがコンクリートの中性
化を促進する原因や悪臭の原因となる。また、上記蓄熱
物質は高価であり、大幅なコスト高になるなど、それぞ
れ実用上の問題を有している。一方、上記デキストリン
および加水分解性タンニンは、比較的少量の添加で水和
発熱を抑制する(以下、抑制作用という)ことができる
が、同時にセメントの水和開始時期も遅らせ(以下、遅
延作用という)、これらの作用が不可分の関係にある。
従って、特に、コンクリートが夏場のような高温度下に
置かれると、遅延作用が著しくなり、型枠の脱型時期の
延長や、ブリージング量の増大などの問題が生じ易い。
本発明は、従来のセメントの水和発熱抑制剤における、
かかる実情に鑑みてなされたもので、少量の添加でも大
きな発熱抑制効果を発揮し、かつ高温度下でも遅延作用
に起因する上記問題を生じないセメントの水和発熱抑制
剤を提供することを目的とする。
物質は、吸熱量が添加量に依存するので、有意な効果を
得ようとするとコンクリート中にこれらの物質を多量に
添加しなければならない。ところが、コンクリート中に
尿素を多量に添加すると、加水分解により多量の炭酸お
よびアンモニアが生成し、これらがコンクリートの中性
化を促進する原因や悪臭の原因となる。また、上記蓄熱
物質は高価であり、大幅なコスト高になるなど、それぞ
れ実用上の問題を有している。一方、上記デキストリン
および加水分解性タンニンは、比較的少量の添加で水和
発熱を抑制する(以下、抑制作用という)ことができる
が、同時にセメントの水和開始時期も遅らせ(以下、遅
延作用という)、これらの作用が不可分の関係にある。
従って、特に、コンクリートが夏場のような高温度下に
置かれると、遅延作用が著しくなり、型枠の脱型時期の
延長や、ブリージング量の増大などの問題が生じ易い。
本発明は、従来のセメントの水和発熱抑制剤における、
かかる実情に鑑みてなされたもので、少量の添加でも大
きな発熱抑制効果を発揮し、かつ高温度下でも遅延作用
に起因する上記問題を生じないセメントの水和発熱抑制
剤を提供することを目的とする。
【0005】
【課題の解決手段】この目的達成のため、本発明者は、
セメントの水和反応に関与する水和発熱抑制剤につい
て、さらに詳細にその機構を研究した結果、下記の知見
を得、この知見に基づいて、遅延作用に起因する問題を
生じないセメントの水和発熱抑制剤を完成するに至っ
た。一般に、セメントの水和は、接水後数時間の水和反
応が始まるまでの時期(以下、誘導期という)を経た
後、水和反応が活発な時期(以下、加速期という)に移
行することが知られている。本発明者は上記水和発熱抑
制剤から放出される遅延物質が誘導期において遅延作用
を示し、加速期において抑制作用を示すことを見出し
た。これをデキストリンについてみると、上記cの冷水
可溶分を5〜90重量%含有するデキストリンとは、温
度21℃の水150mlに、これを10g加え、温度を
20〜23℃に1時間保持した場合、水に溶解するデキ
ストリンを5〜90重量%含むものであり、これをコン
クリートに添加すると、数時間に及ぶ誘導期に、コンク
リートの液相中にデキストリン分子が溶出し、これが水
和開始時期を遅らせる。特に、コンクリートの打ち込み
温度や環境温度が高い場合、溶出するデキストリン量は
さらに多くなり、遅延作用が増大して誘導期が長くなる
ので脱型時期が大幅に遅れる。また、上記dの加水分解
性タンニンも、セメントの練り混ぜ直後から、加水分解
反応によりタンニン分子を放出し、同様の現象を示す。
上記知見に基づき、本発明に係るセメントの水和発熱抑
制剤は、遅延物質の放出時期を調整したものであって、
水和反応の誘導期においては遅延物質を殆ど放出せず、
加速期に至って遅延物質を放出する性質を有する物質を
主成分としたものである。
セメントの水和反応に関与する水和発熱抑制剤につい
て、さらに詳細にその機構を研究した結果、下記の知見
を得、この知見に基づいて、遅延作用に起因する問題を
生じないセメントの水和発熱抑制剤を完成するに至っ
た。一般に、セメントの水和は、接水後数時間の水和反
応が始まるまでの時期(以下、誘導期という)を経た
後、水和反応が活発な時期(以下、加速期という)に移
行することが知られている。本発明者は上記水和発熱抑
制剤から放出される遅延物質が誘導期において遅延作用
を示し、加速期において抑制作用を示すことを見出し
た。これをデキストリンについてみると、上記cの冷水
可溶分を5〜90重量%含有するデキストリンとは、温
度21℃の水150mlに、これを10g加え、温度を
20〜23℃に1時間保持した場合、水に溶解するデキ
ストリンを5〜90重量%含むものであり、これをコン
クリートに添加すると、数時間に及ぶ誘導期に、コンク
リートの液相中にデキストリン分子が溶出し、これが水
和開始時期を遅らせる。特に、コンクリートの打ち込み
温度や環境温度が高い場合、溶出するデキストリン量は
さらに多くなり、遅延作用が増大して誘導期が長くなる
ので脱型時期が大幅に遅れる。また、上記dの加水分解
性タンニンも、セメントの練り混ぜ直後から、加水分解
反応によりタンニン分子を放出し、同様の現象を示す。
上記知見に基づき、本発明に係るセメントの水和発熱抑
制剤は、遅延物質の放出時期を調整したものであって、
水和反応の誘導期においては遅延物質を殆ど放出せず、
加速期に至って遅延物質を放出する性質を有する物質を
主成分としたものである。
【0006】
【発明の構成】具体的には、以下の構成からなるセメン
トの水和発熱抑制剤である。 (1) アルファー化した酸化デンプンの粉粒体を主成
分とする、セメントの水和発熱抑制剤。 (2) アルファー化した酸化デンプンの粉粒体を主成
分とし、弱アルカリ性下で徐々に溶解する上記(1) のセ
メントの水和発熱抑制剤。 (3) 上記粉粒体の粒度が0.1〜2000μm であ
る上記(1) または(2)のセメントの水和発熱抑制剤。
トの水和発熱抑制剤である。 (1) アルファー化した酸化デンプンの粉粒体を主成
分とする、セメントの水和発熱抑制剤。 (2) アルファー化した酸化デンプンの粉粒体を主成
分とし、弱アルカリ性下で徐々に溶解する上記(1) のセ
メントの水和発熱抑制剤。 (3) 上記粉粒体の粒度が0.1〜2000μm であ
る上記(1) または(2)のセメントの水和発熱抑制剤。
【0007】
【具体的な説明】本発明で云うアルファー化とは、酸化
デンプンを溶剤の存在下で糊化温度以上に加熱すること
をいう。溶剤としては、水、ジメチルスルホキシド、ジ
メチルホルムアミド等の1種、または2種以上を混合し
たものを使用することができる。酸化デンプンを、上記
溶剤中に懸濁して加熱するか、または加熱した溶剤に投
入して糊化する。糊化後、乾燥して粉砕し、またはスプ
レードライによって粉粒体にする。その他の方法によっ
て粉粒体にして良い。もっとも、風乾状態の酸化デンプ
ンを、密封容器内で糊化温度以上に加熱することによ
り、乾燥、造粒工程を経ることなく、アルファー化した
酸化デンプンの粉粒体を得ることもできる。これらの粉
粒体はアルファー化により、酸化デンプンの結晶部分が
非結晶化され、水に膨潤後、溶解する。
デンプンを溶剤の存在下で糊化温度以上に加熱すること
をいう。溶剤としては、水、ジメチルスルホキシド、ジ
メチルホルムアミド等の1種、または2種以上を混合し
たものを使用することができる。酸化デンプンを、上記
溶剤中に懸濁して加熱するか、または加熱した溶剤に投
入して糊化する。糊化後、乾燥して粉砕し、またはスプ
レードライによって粉粒体にする。その他の方法によっ
て粉粒体にして良い。もっとも、風乾状態の酸化デンプ
ンを、密封容器内で糊化温度以上に加熱することによ
り、乾燥、造粒工程を経ることなく、アルファー化した
酸化デンプンの粉粒体を得ることもできる。これらの粉
粒体はアルファー化により、酸化デンプンの結晶部分が
非結晶化され、水に膨潤後、溶解する。
【0008】酸化デンプンは、通常、デンプンに水と酸
化剤を加え、糊化温度より低い温度でスラリー状態で反
応させるか、または糊化温度より高い温度で糊化状態で
反応させて製造することができる。スラリー状態で反応
させて製造した酸化デンプンは結晶部分が存在し、水に
溶解しないため、水和発熱抑制効果を示さない。ところ
が、本発明者は、スラリー状態で反応させて製造した酸
化デンプンをアルファー化することにより、酸化デンプ
ンが水に膨潤・溶解するようになり、その結果、水和発
熱抑制効果を示すこと、また、糊化状態で反応させて製
造した酸化デンプンは、製造過程でアルファー化される
ため、このままで水和発熱抑制効果を示すことを見出し
た。
化剤を加え、糊化温度より低い温度でスラリー状態で反
応させるか、または糊化温度より高い温度で糊化状態で
反応させて製造することができる。スラリー状態で反応
させて製造した酸化デンプンは結晶部分が存在し、水に
溶解しないため、水和発熱抑制効果を示さない。ところ
が、本発明者は、スラリー状態で反応させて製造した酸
化デンプンをアルファー化することにより、酸化デンプ
ンが水に膨潤・溶解するようになり、その結果、水和発
熱抑制効果を示すこと、また、糊化状態で反応させて製
造した酸化デンプンは、製造過程でアルファー化される
ため、このままで水和発熱抑制効果を示すことを見出し
た。
【0009】酸化剤は公知のものを使用でき、例えば、
次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、さらし
粉、過マンガン酸カリ、重クロム酸カリ、過ヨウ素酸、
硝酸、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸
カリ、過酸化水素等が用いられ、必要なら、硫酸銅、硫
酸鉄等の触媒を使用してもよい。これら酸化剤の仕込み
量は、デンプン100重量部に対し、2〜80重量部が
好適である。2重量部未満では酸化デンプンの増粘性が
大きく、好ましくない。酸化剤が80重量部を越える
と、低分子酸化生成物が多くなり、セメントに添加した
ときに水和反応の遅延が顕著になる。
次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、さらし
粉、過マンガン酸カリ、重クロム酸カリ、過ヨウ素酸、
硝酸、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸
カリ、過酸化水素等が用いられ、必要なら、硫酸銅、硫
酸鉄等の触媒を使用してもよい。これら酸化剤の仕込み
量は、デンプン100重量部に対し、2〜80重量部が
好適である。2重量部未満では酸化デンプンの増粘性が
大きく、好ましくない。酸化剤が80重量部を越える
と、低分子酸化生成物が多くなり、セメントに添加した
ときに水和反応の遅延が顕著になる。
【0010】アルファー化された酸化デンプンは粉粒体
として使用することが必要である。粉粒体の粒度は0.
1〜2000μm が適当であり、1〜1000μm が好
ましい。0.1μm 未満では、セメントに添加した際、
水和反応の誘導期から遅延物質の溶出が生じ易くなるの
で好ましくない。また粒径が2000μm を越えると、
加速期における溶出が不十分になる。
として使用することが必要である。粉粒体の粒度は0.
1〜2000μm が適当であり、1〜1000μm が好
ましい。0.1μm 未満では、セメントに添加した際、
水和反応の誘導期から遅延物質の溶出が生じ易くなるの
で好ましくない。また粒径が2000μm を越えると、
加速期における溶出が不十分になる。
【0011】アルファー化した酸化デンプンのセメント
に対する添加量は、セメント100重量部に対して、
0.05〜5重量部が適当である。添加量が0.05重
量部未満では、水和発熱抑制効果は不十分であり、5重
量部を越える添加量では、強度発現が遅くなる。添加方
法は制限されず、例えば、セメントに乾燥状態で直接に
添加するか、あるいは、コンクリートの混練時に、上記
粉粒体を混練水に分散させて使用する。また、使用され
るセメントの種類も制限されず、例えば、普通ポルトラ
ンドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、高炉セメ
ント、フライアッシュセメント、高ビーライトセメン
ト、早強セメント、膨脹セメントなど公知のセメントに
対して使用することができる。
に対する添加量は、セメント100重量部に対して、
0.05〜5重量部が適当である。添加量が0.05重
量部未満では、水和発熱抑制効果は不十分であり、5重
量部を越える添加量では、強度発現が遅くなる。添加方
法は制限されず、例えば、セメントに乾燥状態で直接に
添加するか、あるいは、コンクリートの混練時に、上記
粉粒体を混練水に分散させて使用する。また、使用され
るセメントの種類も制限されず、例えば、普通ポルトラ
ンドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、高炉セメ
ント、フライアッシュセメント、高ビーライトセメン
ト、早強セメント、膨脹セメントなど公知のセメントに
対して使用することができる。
【0012】さらに、本発明に係るセメントの水和発熱
抑制剤は、AE剤、減水剤、AE減水剤、高性能減水
剤、流動化剤、収縮低減剤、凝結促進剤、防水剤、防錆
剤などの公知のコンクリート混和剤と併用することがで
きる。
抑制剤は、AE剤、減水剤、AE減水剤、高性能減水
剤、流動化剤、収縮低減剤、凝結促進剤、防水剤、防錆
剤などの公知のコンクリート混和剤と併用することがで
きる。
【0013】本発明に係るセメントの水和発熱抑制剤は
セメントに添加して使用した場合、セメント中の弱アル
カリ性下で徐々に溶解するので、接水後、セメントの水
和反応開始までの誘導期には遅延物質が殆ど溶出せず、
セメントの水和発熱により温度が上昇する加速期におい
て遅延物質の溶出が進む。このため、水和反応の開始時
期を遅らせる問題がなく、他方、水和反応の加速期に
は、セメントの水和発熱により温度が上昇するため、遅
延物質の溶出量が多くなるので抑制作用が増大し、効果
的に水和発熱が抑制される。
セメントに添加して使用した場合、セメント中の弱アル
カリ性下で徐々に溶解するので、接水後、セメントの水
和反応開始までの誘導期には遅延物質が殆ど溶出せず、
セメントの水和発熱により温度が上昇する加速期におい
て遅延物質の溶出が進む。このため、水和反応の開始時
期を遅らせる問題がなく、他方、水和反応の加速期に
は、セメントの水和発熱により温度が上昇するため、遅
延物質の溶出量が多くなるので抑制作用が増大し、効果
的に水和発熱が抑制される。
【0014】
【発明の効果】以上のように、本発明に係るセメントの
水和発熱抑制剤は、少量の添加量でもセメントの水和発
熱を効果的に抑制でき、温度ひび割れなどの問題を確実
に防止することができる。しかも、高温下での施工にお
いても、水和反応の誘導期が長引かず、また長期材令に
おけるコンクリート強度に悪影響を及ぼすこともない。
水和発熱抑制剤は、少量の添加量でもセメントの水和発
熱を効果的に抑制でき、温度ひび割れなどの問題を確実
に防止することができる。しかも、高温下での施工にお
いても、水和反応の誘導期が長引かず、また長期材令に
おけるコンクリート強度に悪影響を及ぼすこともない。
【0015】
【実施例および比較例】本発明の実施例を比較例と共に
以下に示す。なお、本実施例は例示であり、本発明の範
囲を限定するものではない。 製造例1 水 300gに、次亜塩素酸ナトリウム10gとデンプン 100
gを加え、撹拌してスラリーにし、水酸化ナトリウムで
スラリーをpH9に調整しながら、糊化温度以下の30℃で
3時間撹拌し反応させた。反応後、スラリーを吸引ろ過
し、固形分は水洗し乾燥させた。次に、この酸化デンプ
ンを2群に分け、一方の酸化デンプン30gに水 180gを
加え、加熱撹拌して90℃に昇温し、この温度を15分間保
持して糊化した。糊液を乾燥後、乳鉢で粉砕、分級し
て、1〜 100μm のアルファー化した酸化デンプンの粉
粒体を得た。また、他方の酸化デンプン30gは、そのま
ま乳鉢で粉砕、分級して、1〜 100μm のアルファー化
しない酸化デンプンの粉粒体を得た。これを比較例に供
した。
以下に示す。なお、本実施例は例示であり、本発明の範
囲を限定するものではない。 製造例1 水 300gに、次亜塩素酸ナトリウム10gとデンプン 100
gを加え、撹拌してスラリーにし、水酸化ナトリウムで
スラリーをpH9に調整しながら、糊化温度以下の30℃で
3時間撹拌し反応させた。反応後、スラリーを吸引ろ過
し、固形分は水洗し乾燥させた。次に、この酸化デンプ
ンを2群に分け、一方の酸化デンプン30gに水 180gを
加え、加熱撹拌して90℃に昇温し、この温度を15分間保
持して糊化した。糊液を乾燥後、乳鉢で粉砕、分級し
て、1〜 100μm のアルファー化した酸化デンプンの粉
粒体を得た。また、他方の酸化デンプン30gは、そのま
ま乳鉢で粉砕、分級して、1〜 100μm のアルファー化
しない酸化デンプンの粉粒体を得た。これを比較例に供
した。
【0016】製造例2 水2000gに、デンプン 100gを加え、加熱撹拌して糊化
温度以上の90℃に昇温し、この温度を15分間保持して糊
化した。次に、この糊液に、硫酸銅0.07g、31%過酸化
水素水40gを加え、 100℃で30分間撹拌しながら反応さ
せた。反応後、反応液をスプレードライヤーで乾燥し、
造粒して、 0.1〜40μm のアルファー化した酸化デンプ
ンの粉粒体を得た。
温度以上の90℃に昇温し、この温度を15分間保持して糊
化した。次に、この糊液に、硫酸銅0.07g、31%過酸化
水素水40gを加え、 100℃で30分間撹拌しながら反応さ
せた。反応後、反応液をスプレードライヤーで乾燥し、
造粒して、 0.1〜40μm のアルファー化した酸化デンプ
ンの粉粒体を得た。
【0017】実施例1〜4 普通ポルトランドセメント 520g、豊浦標準砂1040g、
水 338gの JISモルタルに、セメント 100重量部に対
し、製造例1で得たアルファー化した酸化デンプンの粉
粒体を、おのおの 0.6重量部(3.12g)、 0.8重量部
(4.16g)加えて練り混ぜ、また製造例2で得たアルフ
ァー化した酸化デンプンの粉粒体を、おのおの 0.4重量
部(2.08g)、 0.6重量部(2.08g)加えて練り混ぜ、
それぞれ実施例1、実施例2、実施例3、および実施例
4として、モルタルの圧縮強度および温度を測定した。
圧縮強度は、モルタルを4 ×4 ×16cmに成形し、水中養
生して材令 7日および28日で測定した。また、温度の測
定方法は、練り上がったモルタルを全量、直径8.5cm、
高さ24cmのポリエチレン製の袋に詰め、この袋を内径10
cm、高さ28.5cmのステンレス製デュワー瓶内に挿入し、
熱電対を通したコルクで蓋をして、モルタルの中心部の
温度を自動的に測定した。上記の練り混ぜ、成形、水中
養生および温度測定は全て、30℃の恒温室内で行なっ
た。
水 338gの JISモルタルに、セメント 100重量部に対
し、製造例1で得たアルファー化した酸化デンプンの粉
粒体を、おのおの 0.6重量部(3.12g)、 0.8重量部
(4.16g)加えて練り混ぜ、また製造例2で得たアルフ
ァー化した酸化デンプンの粉粒体を、おのおの 0.4重量
部(2.08g)、 0.6重量部(2.08g)加えて練り混ぜ、
それぞれ実施例1、実施例2、実施例3、および実施例
4として、モルタルの圧縮強度および温度を測定した。
圧縮強度は、モルタルを4 ×4 ×16cmに成形し、水中養
生して材令 7日および28日で測定した。また、温度の測
定方法は、練り上がったモルタルを全量、直径8.5cm、
高さ24cmのポリエチレン製の袋に詰め、この袋を内径10
cm、高さ28.5cmのステンレス製デュワー瓶内に挿入し、
熱電対を通したコルクで蓋をして、モルタルの中心部の
温度を自動的に測定した。上記の練り混ぜ、成形、水中
養生および温度測定は全て、30℃の恒温室内で行なっ
た。
【0018】比較例1〜3 実施例1〜4で用いた JISモルタルに、無添加のまま、
またはセメント 100重量部に対して、製造例1のアルフ
ァー化しない酸化デンプンを 0.8重量部(4.16g)加え
て練り混ぜ、また冷水可溶分50重量%のデキストリンを
0.4重量部(2.08g)加えて練り混ぜ、それぞれを比較
例1、比較例2、比較例3とし、実施例1〜4と同一の
方法および条件でモルタルの圧縮強度および温度を測定
した。上記実施例および比較例の圧縮強度の測定結果を
表1に示し、また温度の測定結果を図1に示した。
またはセメント 100重量部に対して、製造例1のアルフ
ァー化しない酸化デンプンを 0.8重量部(4.16g)加え
て練り混ぜ、また冷水可溶分50重量%のデキストリンを
0.4重量部(2.08g)加えて練り混ぜ、それぞれを比較
例1、比較例2、比較例3とし、実施例1〜4と同一の
方法および条件でモルタルの圧縮強度および温度を測定
した。上記実施例および比較例の圧縮強度の測定結果を
表1に示し、また温度の測定結果を図1に示した。
【0019】図1に示すように、実施例1〜4のモルタ
ルの最高温度は何れも比較例1および2よりも低く、顕
著な水和発熱抑制効果を発揮していることが分かる。一
方、比較例2のアルファー化しない酸化デンプンを用い
たものは、無添加の場合と変わらず、水和発熱抑制効果
がない。また、従来のデキストリンを添加した比較例3
は、実施例3と同量の添加量でも、材令40時間経過後
にはモルタルの温度が急激に上昇し、実施例2〜4を越
える温度になる。これは、従来のデキストリンからなる
抑制剤は、水に対する可溶分の量が多く、水和反応の誘
導期にその大部分が溶出するため、加速期の水和発熱を
抑制する効果が低下するからである。これに対して、本
発明のアルファー化した酸化デンプンの粉粒体からなる
抑制剤は、酸化デンプンがアルファー化によって、可溶
化されているものの、水和反応誘導期の溶出量は少な
く、加速期において主に溶出するので、効果的に水和発
熱を抑制することができる。また、表1に示すように、
実施例1〜4のモルタルの28日材令強度は比較例1〜
3よりも高く、長期材令強度に対する悪影響も全くな
い。
ルの最高温度は何れも比較例1および2よりも低く、顕
著な水和発熱抑制効果を発揮していることが分かる。一
方、比較例2のアルファー化しない酸化デンプンを用い
たものは、無添加の場合と変わらず、水和発熱抑制効果
がない。また、従来のデキストリンを添加した比較例3
は、実施例3と同量の添加量でも、材令40時間経過後
にはモルタルの温度が急激に上昇し、実施例2〜4を越
える温度になる。これは、従来のデキストリンからなる
抑制剤は、水に対する可溶分の量が多く、水和反応の誘
導期にその大部分が溶出するため、加速期の水和発熱を
抑制する効果が低下するからである。これに対して、本
発明のアルファー化した酸化デンプンの粉粒体からなる
抑制剤は、酸化デンプンがアルファー化によって、可溶
化されているものの、水和反応誘導期の溶出量は少な
く、加速期において主に溶出するので、効果的に水和発
熱を抑制することができる。また、表1に示すように、
実施例1〜4のモルタルの28日材令強度は比較例1〜
3よりも高く、長期材令強度に対する悪影響も全くな
い。
【0020】
【表1】
【図1】実施例および比較例におけるモルタル温度の経
時変化を示すグラフ。
時変化を示すグラフ。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−298560(JP,A) 特開 平6−305799(JP,A) 特開 平1−305838(JP,A) 特開 平4−139047(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 24/38
Claims (3)
- 【請求項1】 アルファー化した酸化デンプンの粉粒体
を主成分とする、セメントの水和発熱抑制剤。 - 【請求項2】 アルファー化した酸化デンプンの粉粒体
を主成分とし、弱アルカリ性下で徐々に溶解する請求項
1のセメントの水和発熱抑制剤。 - 【請求項3】 上記粉粒体の粒度が0.1〜2000μ
m である請求項1または2のセメントの水和発熱抑制
剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34568793A JP3346007B2 (ja) | 1993-12-22 | 1993-12-22 | セメントの水和発熱抑制剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34568793A JP3346007B2 (ja) | 1993-12-22 | 1993-12-22 | セメントの水和発熱抑制剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07172893A JPH07172893A (ja) | 1995-07-11 |
JP3346007B2 true JP3346007B2 (ja) | 2002-11-18 |
Family
ID=18378289
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP34568793A Expired - Fee Related JP3346007B2 (ja) | 1993-12-22 | 1993-12-22 | セメントの水和発熱抑制剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3346007B2 (ja) |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100322856B1 (ko) * | 1999-06-30 | 2002-02-09 | 노재연 | 석고 및 시멘트의 수화 반응 지연제 |
JP3729340B2 (ja) * | 2001-10-03 | 2005-12-21 | 電気化学工業株式会社 | セメント混和材及びセメント組成物 |
US9376648B2 (en) | 2008-04-07 | 2016-06-28 | The Procter & Gamble Company | Foam manipulation compositions containing fine particles |
CN104609767B (zh) * | 2015-02-05 | 2017-02-01 | 江苏苏博特新材料股份有限公司 | 一种水泥水化速率调控材料及其制备方法与应用 |
CN104628297B (zh) * | 2015-02-05 | 2017-11-03 | 江苏苏博特新材料股份有限公司 | 一种水泥水化速率调控材料及其制备方法与应用 |
CN109721272B (zh) * | 2019-01-03 | 2020-02-18 | 河海大学 | 一种基于复合维生素的氧化镁缓凝剂、复合氧化镁及应用 |
US20220185733A1 (en) * | 2020-12-11 | 2022-06-16 | Sika Technology Ag | Cementitious compositions comprising oxidatively degraded polysaccharide as water reducing agents |
-
1993
- 1993-12-22 JP JP34568793A patent/JP3346007B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07172893A (ja) | 1995-07-11 |
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