JP3345729B2 - 振動機構及び振動ローラ - Google Patents

振動機構及び振動ローラ

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JP3345729B2 JP33766493A JP33766493A JP3345729B2 JP 3345729 B2 JP3345729 B2 JP 3345729B2 JP 33766493 A JP33766493 A JP 33766493A JP 33766493 A JP33766493 A JP 33766493A JP 3345729 B2 JP3345729 B2 JP 3345729B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、振動ローラ等の振動式
締固め機械、振動杭打機その他の振動機械に使用される
振動機構に係り、起振軸の回転方向を変えることによ
り、振幅の切換えができ、起動・停止に共振を発生しな
い振動機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の振動機構として、第1に、起振軸
に固定偏心質量素子を取付け、振動用の油圧モータを作
動させて偏心錘を有する起振軸を回転させて振動を発生
させる構造が挙げることができる。
【0003】第2に挙げられるのは、起振軸の回転方向
を変えることにより、振幅の切換えができる振動機構で
ある図13に示す構造であり、起振軸55の固定偏心質
量素子56に対して両側に可動偏心質量素子57,5
7′を設けた構造である。起振軸55は、油圧モータへ
の圧油の供給方向の切換えにより、回転方向が異なるよ
うに構成され、例えば起振軸55が正回転するときは、
図13の(a−1),(a−2)に示すように、起振軸
55の固定偏心質量素子56に対して両側の可動偏心質
量素子57,57′の偏位の方向が逆となって、起振力
は打消す方向に作用し、低い振幅となる。対して、起振
軸55が逆回転するときは、図13の(b−1),(b
−2)に示すように、起振軸55の固定偏心質量素子5
6に対して可動偏心質量素子57,57′の偏位の方向
が一致して、起振力は合成されて高い振幅となる。
【0004】第3には、実開平5−42307号公報に
開示された起振力発生装置が挙げられる。この構造は、
起振軸に1対の偏心錘を設け、これら偏心錘を相対称に
回動可能に構成し、起振軸を回転駆動し、偏心錘の回動
角を変えることで、偏心錘による起振力を多段階または
無段階に変え得るようにしたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】これら従来の振動機構
には、それぞれ、下記するような問題点を有するもので
あった。第1に挙げた構造では、起振軸の起動時・停止
時に共振が発生して、各種振動対象(路面等)に悪影響
を与えることである。その例を振動ローラの場合で説明
する。
【0006】振動ローラの場合、転圧輪を振動させて転
圧作業を行うが、走行停止時に振動を停止させずに、そ
のまま振動を続けると、停止した地面が大きく沈下して
しまい、転圧面に大きな凹凸を生じてしまうので、前後
進操作装置の前後進レバーと連動させて、走行時には、
起振軸を回転させて転動輪を振動させているが、走行停
止には、起振軸回転を停止させて振動がかからないよう
にしているのが通例である。
【0007】ところが、図12は、従来の第1に挙げた
振動装置を有する振動ローラについて、振動ローラの起
振軸回転数を停止指示してから、完全に起振軸の回転が
止まるまでの転圧輪の振動振幅等の時間的経緯のグラフ
であるが、このグラフから分かるように、起振軸の回転
起動時および停止時に、転圧輪の共振点を通過して、転
圧輪が共振し、転圧する路面状況によっては、転圧路面
上に小さな波状の凹凸を発生させてしまうことがあっ
た。このように、振動ローラに限らず、従来の第1に挙
げた振動装置では、起振軸の起動時および停止時におけ
る共振が問題であった。
【0008】第2に挙げた構造では、第1に挙げた問題
点も有するが、そのほかに、図13の起振軸55の回転
方向が切換わる毎に、可動偏心質量素子57,57′に
形成した回り止め部材58,58′の端部が固定偏心質
量素子56にぶつかり、回り止め部材58,58′が破
損する事故を起こしがちであった。また、第3の構造で
は、偏心量の切換えに、ラック・ピニオン機構や油圧シ
リンダ等の特別な駆動装置を必要とし、構造が複雑で組
立てにくく、またメンテナンスが大変で、高価なものと
なる問題点があった。
【0009】本発明は、従来技術のもつ上記の問題点を
解決し、起動・停止に共振を発生せず、起振軸の回転に
より可動偏心質量素子の回り止め部材が破損するような
ことがなく、かつ、偏心量切換えのための特別の駆動装
置を必要としない簡単の構造の振動機構を提供すること
を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するために、起振軸10と直交する方向に枢軸6を
有し、枢軸6まわりに回転可能な偏心錘であるメインウ
ェイト6aを備え、起振軸10を回転させて振動を発生
させる振動機構であって、起振軸本体側の部材18a
と、メインウェイト側の部材6bとを、起振軸の重心が
実質的に起振軸の軸心上に位置するように、挟み込んで
保持しようとする弾性部材7と、前記メインウェイト6
a上に先の枢軸6とは別の枢軸8と、その枢軸8まわり
に回転自在で、前記メインウェイト6aよりも質量の小
さな、小偏心錘であるパイロットウェイト8aとを備
ことを特徴とする振動機構を構成した。
【0011】前記弾性部材7は、ねじりコイルバネによ
り構成されていることを特徴とし、また、上記の振動機
構を備える振動ローラを構成した。
【0012】
【作用】起振軸起動時に、質量の小さなパイロットウエ
イトに加わる慣性力を利用して、パイロットウエイトを
メインウエイトに対して、相対的に回転移動させて、メ
インウエイトに加わる力のバランスをくずして、質量の
大きなメインウエイトを枢軸まわりに回転させる。そし
て、起振軸の回転方向を切換えて、高振幅と低振幅に切
換える。
【0013】
【実施例】以下に、本発明の振動機構を振動ローラに用
いた実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は振
動ローラの振動機構の平面断面図である。図1におい
て、転動輪1内には、左右の鏡板2,2′が離間して設
けられ、この鏡板2、2′と一体に起振機ケ−ス3が取
付けられている。この起振機ケ−ス3の内部に、後に説
明する可変振幅振動機構4が収装される。
【0014】左側のフレーム11には、防振部材12A
を介して支持体13Aが取着され、この支持体13Aに
減速機付走行駆動用モータ14を取付ける。この減速機
付走行駆動用モータ14の回転駆動部14aが、転動輪
1の鏡板2と一体の支持部材15に固定されているの
で、その回転駆動により、転動輪1は転動することにな
る。
【0015】一方、右側のフレーム11には、防振部材
12Bを介して支持体13Bを取着し、この支持体13
Bの軸受部材13B′に、軸受16を介して軸穴17a
を有する輪軸17を取付ける。輪軸17は、右側の鏡板
2に固定される。図2を参照して、前記起振機ケ−ス3
の内部には、2枚の板状の支持部材18,18を離間し
て対向するように配設する。板状の支持部材18,18
の左側の端部には、蓋材19を被着し、この蓋材19に
形成したボス部材20を、起振機ケ−ス3の左側寄りに
設けた支持体21に軸受22を介して軸支する。
【0016】前記板状の支持部材18,18の右側の端
部にはボス部材23を一体的に取付け、その右端を輪軸
17に軸支する。このボス部材23の軸線上には、シャ
フト24の一端がスプライン結合される。また、前記右
側の支持体13Bの軸受部材13B′の端部には、転動
輪1の軸心に位置させて、支持部材25を介して起振用
駆動モ−タ9を設置し、その駆動軸9aにシャフト24
の他端を結合させて、駆動力を伝達する。したがって、
シャフト24,右側のボス部材23,板状の支持部材1
8,18および左側のボス部材20のそれぞれは、本発
明における起振軸10を構成する。
【0017】さて、板状の支持部材18,18間には、
枢軸6を有し、枢軸6まわりに回転可能な半月状の偏心
錘であるメインウエイト6aを取付ける。また、図3、
図4を参照して、メインウエイト6a上に、別の枢軸8
を有し、この枢軸8まわりに回転自在で、前記メインウ
エイト6aよりも質量の小さな、半月状の小偏心錘であ
るパイロットウエイト8aを取付ける。
【0018】メインウエイト6aの枢軸6には、図2に
示すように、ねじりコイルばねからなる弾性部材7を取
付け、このばねの両端7a.7bでもって起振軸本体側
の部材18aと、メインウエイト側の部材6bとを、起
振軸の重心が実質的に起振軸の軸心上に位置するよう
に、挟み込んで保持している。
【0019】図5および図6は、本発明に係る振動機構
の信号回路図および油圧回路図である。起振用駆動モー
タ9に油圧を供給する油圧ポンプ41に接続された油圧
供給回路中には、切換弁である電磁バルブ42を作動さ
せるための振幅切換スイッチ43が、中立位置検出リミ
ットスイッチ38とともに接続されており、この切換ス
イッチ43を切り換えることで油圧の供給方向を切り換
えて起振用駆動モータ9の正逆の回転方向を切り換える
ことができる。起振用駆動モータ9の回転駆動力は、そ
の出力軸に連結された起振軸10に伝達され、起振軸1
0を起振用駆動モータ9の回転方向と同方向へ回転駆動
する。中立位置検出リミットスイッチ38は、走行の操
作レバーである図示しない前後進レバーを中立位置(停
止位置)に操作した時に、カム等により、レバー操作に
連動して、OFF となる(通常はONとなっている)スイッ
チである。
【0020】前記振幅切換スイッチ43は、切換えによ
り低振幅(L)または高振幅(H)のいずれかを選択し
て、電磁バルブ42の電磁コイル Sol1, Sol2のいず
れかに信号を送出する。切換スイッチ43を低振幅
(L)に選択した場合は、電磁バルブ42の電磁コイル
Sol1に信号が送られ、例えば起振用駆動モータ9に順
方向に圧油が供給され起振軸10が正回転する。対し
て、振幅切換スイッチ43を高振幅(H)に選択した場
合は、電磁バルブ42の電磁コイル Sol2に信号が送ら
れ、起振用駆動モータ9に逆方向に圧油が供給され起振
軸10が逆回転する。なお、図5の符号45は、自動と
手動の切換えスイッチである。
【0021】次に、メインウエイトに取付けたパイロッ
トウエイトの作用について、説明する。その概要は、起
振軸起動時に、質量の小さなパイロットウエイト8aに
加わる慣性力を利用して、パイロットウエイト8aをメ
インウエイト6aに対して、相対的に回転移動させて、
メインウエイト6aに加わる力のバランスをくずし、質
量の大きなメインウエイト6aを枢軸まわりに回転させ
る。そして、起振軸の回転方向を切換えて、高振幅と低
振幅に切換えるものである。
【0022】上記した振動機構の原理について、以下に
説明する。図3の(a−1)と(a−2)は、起振軸と
直交する方向に枢軸6を有し、枢軸6まわりに回転可能
な半月状の偏心錘であるメインウエイト6a上に、別の
枢軸8まわりに回転自在で、前記メインウエイト6aよ
りも質量の小さな、小偏心錘であるパイロットウエイト
8aを付けて、後述する弾性部材7によりメインウエイ
ト6aの位置を保持して、起振軸の重心を起振軸の軸心
上に保っている状態である。
【0023】この状態で、起振軸を同図の右廻りに回転
させると、パイロットウエイト8aは、起振軸に対して
相対的に、左回転方向の慣性力を受けて、図3の(b−
2)に示すように、回り止め部材8cに当接するまで、
左回転する。そして、今まで、メインウエイト6aの枢
軸6まわりには、回そうという力のモーメントは発生し
ていなかったが、パイロットウエイト8aの回転運動に
より、バランスがくずれて、メインウエイト6aはパイ
ロットウエイト8aと共に、図3の(b−1)のよう
に、左回転の力を受けて、ねじりコイルばねのメインウ
エイト6aを戻そうという力のモーメントとつり合うま
で、図3の(c−1)と(c−2)に示すように回転移
動して、偏心量の大きな高振幅位置となる。
【0024】また、同様にして、図4の(a−1)と
(a−2)は、メインウエイト6a上に、回転可能にパ
イロットウエイト8aを付けて、弾性部材にてメインウ
エイト6aの位置を保持して、起振軸の重心を起振軸の
軸心上に保っている状態である。
【0025】この状態で、起振軸を同図の左廻りに回転
させると、パイロットウエイト8aは、起振軸に対して
相対的に、右回転方向の慣性力を受けて、図4の(b−
2)に示すように、回り止め部材8cに当接するまで、
右回転する。そして、今まで、メインウエイト6aの枢
軸6まわりには、回そうという力のモーメントは発生し
ていなかったが、パイロットウエイト8aの回転運動に
より、バランスがくずれて、メインウエイト6aはパイ
ロットウエイト8aと共に、図4の(b−1)のよう
に、右回転の力を受けて、図4の(c−1)のストッパ
27まで、回転移動して、偏心量の少ない低振幅位置と
なる。
【0026】以上2つのケースは、起振軸の回転起動前
に、パイロットウエイト8aが、まだ、慣性力によっ
て、回転移動する予定位置にない場合であったが、起振
軸の回転起動時に、パイロットウエイト8aが、既に、
慣性力による移動予定後のストッパ位置に存在するとき
は、パイロットウエイト8aのメインウエイト6aに対
する相対回転移動しなくても、メインウエイト6aはパ
イロットウエイト8aと共に、偏心することとなるの
は、もちろんである。
【0027】なお、図3および図4のように、メインウ
エイト6aが半月状(軸対称の相似した半月形の組合せ
も含む)になっておれば、特開昭53−136773号
公報に記載されている通り、起振軸が回転していても、
遠心力の作用による枢軸6まわりに回そうという力のモ
ーメントが、発生しない。従って、メインウエイト6a
を枢軸6まわりに動かそうとする時に、メインウエイト
6の遠心力による力のモーメントに逆らって動かすよう
なことがないので、メインウエイト6の回転位置を調整
するのに要する力は非常に小さくて済み、パイロットウ
エイト8aの動きに対するメインウエイト6の動きの感
度を高めて、振幅切換えを容易にし、より効果的であ
る。
【0028】続いて、起振軸本体側の部材と、メインウ
エイト側の部材とを、起振軸の重心が実質的に起振軸の
軸心上に位置するように、挟み込んで保持しようとする
弾性部材の作用について説明する。その概要は、起振軸
の回転を開始すると、メインウエイト6には、メインウ
エイト6とパイロットウエイト8aとによる、遠心力と
それら自身の自重による力のモーメントが加わるが、共
振点付近の起振軸回転数以下では、弾性部材でもって、
メインウエイト6aを枢軸6まわりに、回転移動しない
ようにして、起振軸の重心を実質的に起振軸の軸心上に
保つようにしていることである。
【0029】図7、図8および図9にて、その構成の原
理を説明をする。図7の(a)は、2つのばねが、ばね
に取付けられた当て板を介して、部材Aと部材Bを上下
方向双方より、与圧Fo を加えて挟み込んでいる。部材
Bに加わる上方向の力Fと部材Bの変位の関係は、図7
の(b)のようになる。部材Bは、上に動かそうとする
のに、Fo 以上の力を上方向に加えないことには、変位
せず、下に動かそうとするには、Fo 以上の力を下方向
に加えないことには、変位しないことがわかる。
【0030】図8の(a)は、本実施例の弾性部材の構
成を主とした説明図であり、パイロットウエイト等の記
載は、省略されている。2つのばねが、ばねに取付けら
れた当て板を介して、起振軸本体側の部材Aと、メイン
ウエイト側の部材Bとを、上下方向双方より与圧Fo を
加えて挟み込んでいる図である。本実施例の弾性部材の
役割の原理は、図7の原理を応用したものであり、この
場合も、図7の(b)と同様に図8の(b)のようにな
り、部材Bを、上に動かそうとするのに、Fo以上の力
を上方向に加えないことには、変位せず、下に動かそう
とするのに、Fo 以上の力を下方向に加えないことに
は、変位しないことがわかる。
【0031】図9の(a)は、図8の(a)の弾性部材
に、ねじりコイルばねを用いた場合である。図8の
(a)では、通常のコイルばねを使用して、また、ばね
に取付けられた当て板を介して、起振軸本体側の部材A
と、メインウエイト側の部材BとをFo の力を加えて、
挟み込んでいたが、この場合は、ばねの両端でもって直
接、力のモーメントMo で挟み込んでいる。力と変位の
関係の代わりに、モーメントと変位角度の関係で表現す
ると、図9の(a)は、図9の(b)のようになる。こ
の原理を利用して、Mo の値を、共振点付近の起振軸回
転数以下では、メインウエイトとパイロットウエイトと
による、遠心力とそれら自身の自重による力のモーメン
ト以上の値にすれば、識別番号〔0025〕で述べたこ
とが実現できる。ただし、これは、ねじりコイルばねを
使用せずに、図8の(a)のような構成でも実現可能で
ある。
【0032】図9の構造を利用したパイロットウエイト
付きの実際の実施例は、図3、図4の通りである。これ
を、図10および図11のグラフを使用して説明する。
図10の横軸は、メインウエイトの変位角度(以下、偏
心角度と呼ぶ)θであり、メインウエイトが起振軸によ
ってちょうど二分される位置にある時を0゜としてい
る。実施例においては、メインウエイトがこの位置にあ
る時に、起振軸の重心が、実質的に起振軸の軸心上にあ
るのに相当する。縦軸は、メインウエイトの枢軸まわり
に加わる力のモーメントである。枢軸まわりに加わる力
のモーメントの種類としては、偏心錘に加わる遠心力に
よって発生するモーメントと、偏心錘自身の自重による
モーメントがある。
【0033】偏心錘に加わる遠心力によって発生するモ
ーメントについては、実施例の場合、メインウエイトは
半月形状であるため、メインウエイトでは発生せず、パ
イロットウエイトによる力のモーメント(計算は、最も
偏った位置で行った)のみである。偏心錘自身の自重に
よるモーメントとしては、メインウエイトとパイロット
ウエイトによるものがある。図11における何本かの曲
線は、それぞれ、所定の起振軸回転数におけるメインウ
エイトの偏心角度に対するメインウエイトの枢軸まわり
に加わる力のモーメントMwの曲線であり、 遠心力によって発生する力のモーメント(パイロットウエイトによる) + 偏心錘自身の自重による力のモーメント(メインウエイトによる) + 偏心錘自身の自重による力のモーメント(パイロットウエイトによる) の値を示す。
【0034】また、原点を通り縦軸に添って立ち上が
り、66kgcm近辺で斜め上に行く線は、実施例における
ねじりコイルばねによって、メインウエイトを起振軸の
軸心方向に戻そうとして、メインウエイトの枢軸まわり
に加わる力のモーメントMsの線(なぜ、このような折
れ線となるかについては、弾性部材の原理構成で説明し
たとおりである)である。
【0035】このグラフのMw線とMs線の交点の動き
を追うことにより、起振軸回転を上げていくと、どのよ
うにメインウエイトが偏心角度0゜の状態から偏心して
定常回転状態になるか、また、起振軸回転を下げていく
と、どのようにメインウエイトが定常回転状態から偏心
角度0゜の状態になるかが、以下のとおり分かる(○で
囲んだ数字は、図10における○で囲んだ数字の点に該
当する)。 起振軸停止状態では、偏心角度は0゜である。 〜起振軸回転を上げて行くが、偏心角度は依然とし
て0゜のままである。 起振軸回転数が2000rpm となると、パイロットウ
エイトの遠心力等による力のモーメントMwが初めてね
じりコイルばねの初期圧による力のモーメントMsoと同
一の値となる。 少しでも回転数が2000rpm を超えると、パイロッ
トウエイトの遠心力等によるモーメントMwが、ねじり
コイルばねの初期圧による力のモーメントMsoに打ち勝
ち、偏心角度が0゜の状態から、2000rpm のMw線とM
s線の右側の交点近辺となり、偏心角度は、45゜近辺
となる。 〜起振軸回転数がさらに上がるに従って、ねじりコ
イルばねによる力のモーメントMsの右上がりの直線に
そって、偏心角度が大きくなって行く。 起振軸回転数が3000rpm となると、偏心角度は、
65゜近辺となる。 〜起振軸回転数を3000rpm より下げて行くと、Ms
の斜めの直線を左下に添って偏心角度が小さくなって行
く。ここで、2000rpm を通過しても、パイロットウエイ
トは既に偏心しており、その分大きな力のモーメントが
加わっているので、偏心角度は0゜にはならない。 起振軸回転数が1670rpm となると、偏心角度は、
15゜近辺となる。 〜 起振軸回転数が1670rpm から下がって行くと、パ
イロットウエイトの遠心力等によるモーメントMwの大
きさが、ねじりコイルばねの初期圧による力のモーメン
トMso以下となってしまうので、偏心角度は15゜か
ら、急に0゜となる。
【0036】図10の説明は、高振幅の場合について行
ったが、実施例では、高振幅、低振幅の切換えを、起振
軸の回転方向の切換えにて行っている。低振幅側の回転
としたときには、定常回転数となる前に、メインウエイ
トがストッパに当たって、それ以上の偏心角度にならな
いようになっていて、振幅を低く押さえている。
【0037】図11は、高振幅だけでなく、低振幅の場
合についても、図10のグラフと、メインウエイトの偏
心角度と偏心モーメントの関係より求めた、起振軸回転
数と偏心モーメントの推移のグラフである。ここに、偏
心モーメントとは、起振力Fを求める以下の式で、偏心
質量をm、起振軸軸心から偏心質量重心までの距離r、
起振軸の角速度ωとしたときのm×rに相当する。 F=(m×r)×ω2
【0038】以下、図11に添って、偏心モーメントの
推移を説明する。 A.高振幅側に回転したときの起振軸回転数に対する偏
心モーメントの推移 起振軸停止状態では、偏心モーメントは、0kgcm
である。 〜起振軸回転を上げて行くが、偏心モーメントは依
然として0kgcmのままである。 起振軸回転数が2000rpm となると、パイロットウ
エイトの遠心力等による力のモーメントMwが、初めて
ねじりコイルばねの初期圧による力のモーメントMsoと
同一の値となり、この回転数を境として、偏心モーメン
トも変化する。 少しでも回転数が2000rpm を超えると、偏心モー
メントは、46kgcm近辺の値にはね上がる。 〜起振軸回転数がさらに上がるに従って、偏心モー
メントは、斜め右上がりの曲線に添って、上昇する。 起振軸回転数が3000rpm となると、偏心モーメン
トは、60kgcm近辺の値になる。 〜起振軸回転数を3000rpm より下げて行くと、〜
で通った曲線を逆方向にたどるが、2000rpm を通過し
ても、偏心モーメントは、回転を上げたときの経路とは
異なり、急激に、偏心モーメントは、0kgcmとはならな
い。 起振軸回転数が1670rpm となると、偏心モーメン
トは、17kgcm近辺の値となる。 〜 起振軸回転数が1670rpm から少しでも下がると、
偏心モーメントは、0kgcmとなる。以降、起振軸回転が
0rpm になるまで、その値を保つ。
【0039】B.低振幅側に回転したときの起振軸回転
数に対する偏心モーメントの推移 起振軸停止状態では、偏心モーメントは、0kgcm
である。 〜起振軸回転を上げて行くが、偏心モーメントは依
然として0kgcmのままである。 起振軸回転数が2000rpm となると、パイロットウ
エイトの遠心力等による力のモーメントMwが、初めて
ねじりコイルばねの初期圧による力のモーメントMsoと
同一の値となり、この回転数を境として、偏心モーメン
トも変化する。 ′ 少しでも回転数が2000rpm を超えると、偏心モー
メントは、はね上がるが、高振幅の場合と異なりメイン
ウエイトが、ストッパで、偏心角度を制限されるので、
35kgcmに止まる。 ′〜′起振軸回転数がさらに上がっても、偏心モー
メントは、35kgcmの値を維持する。 ′ 起振軸回転数が3000rpm となっても、偏心モーメ
ントは、35kgcmの値のままである。 ′〜′起振軸回転数を3000rpm より下げて行くと、
′〜′で通った直線を逆方向にたどるが、2000rpm
を通過しても、偏心モーメントは、回転を上げたときの
経路とは異なり、35kgcmの値を保つ。 ′〜 起振軸回転数が1800rpm 近辺より下がると、
メインウエイトが、ストッパより離れて、高振幅の起振
軸回転を下げたときと同じ経路をたどる。 起振軸回転数が1670rpm となると、偏心モーメン
トは、17kgcm近辺の値となる。 〜 起振軸回転数が1670rpm から少しでも下がると、
偏心モーメントは、0kgcmとなる。以降、起振軸回転が
0rpm になるまで、その値を保つ。
【0040】なお、実施例の場合、起振装置の振動数
(単位:vpm 〔vibration per minute〕)は、起振装置
の振動数(単位:rpm )の値と等しい。そして、振動の
振幅は、振動対象物によって多少異なるが、起振軸の偏
心モーメントに概ね比例する。従って、起振軸回転数と
振動振幅の関係のグラフの変化パターンも、概ね図11
のようなパターンとなる。
【0041】振動ローラの場合転動輪の共振点は、起振
軸回転で600〜800rpmくらいであるので、図1
0、図11の説明のように、起振軸10の回転数に対す
るメインウエイトの動きが推移すれば、起振軸起動時
も、起振軸停止時も、共振点通過時は、ねじりコイルば
ね7の与圧により、起振軸の重心が実質的に起振軸の軸
心上に保持されるので、共振することはない。共振点
が、他の値の時には、適切なばね定数を持つ、ねじりコ
イルばねを選定すれば同様に共振を防止できる。
【0042】なお、事実上は、起振軸の重心を完全に起
振軸の軸心上に位置せしめることは困難で、実際の例で
は、起振軸の重心をほぼ起振軸の軸心上に位置させさえ
すれば、共振点の通過でロールを大きく振動させること
はない。したがって、本明細書において、起振軸の重心
を「実質的に」起振軸の軸心上に位置せしめるとの文意
は、起振軸の重心を完全にまたはほぼ起振軸の軸心上に
位置させて振幅をほぼ零する現象を指すものとする。
【0043】
【発明の効果】以上説明した本発明の振動機構によれ
ば、起振軸起動時に、質量の小さなパイロットウエイト
に加わる慣性力を利用して、パイロットウエイトをメイ
ンウエイトに対して、相対的に回転移動させて、メイン
ウエイトに加わる力のバランスをくずして、質量の大き
なメインウエイトを枢軸まわりに回転させる。そして、
起振軸の回転方向を切換えて、高振幅と低振幅に切換え
る機構であり、振動機構の付いた振動体(振動ローラの
ロール等)を、共振させずに、振動の起動・停止ができ
る。
【0044】なお、本構成にて、メインウエイトの形状
を半月状にすれば、起振軸回転中に、メインウエイトが
どの角度にあっても、メインウエイト自身による枢軸ま
わりの大きなモーメントが発生せず、比較的小さなばね
定数の弾性部材を使用でき、パイロットウエイトの動き
に対するメインウエイトの動きの感度を高めて、振幅切
換えを容易にして、より効果的である。
【0045】また、起振軸の回転切換により可動偏心質
量素子の回り止め部材が破損するといった従来の振動機
構のもつ欠点を解消し得る。
【0046】偏心量切換えには、メインウエイトに取付
けたパイロットウエイトと、起振軸の重心が実質的に起
振軸の軸心上に位置するように起振軸本体側の部材とメ
インウエイト側の部材とを挟み込んで保持する弾性部材
とを備えるだけでよいので、従来の振動機構のように特
別の駆動装置を必要とせず、特に、弾性部材として、ね
じりコイルばねを使用すれば、構造が簡単となり、組立
性、保守性が向上する。
【0047】さらに、振動ローラが、上記のような振動
機構を備えれば、振動締固め作業中の走行発進時および
停止時に、転圧面を大きく部分的に沈下させないように
通常振動を止めるが、その際に、ロールが共振しないの
で、転圧路面に小さな波状の凹凸も発生させないで済
む。また、高振幅と低振幅の切換えもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】振動ローラに用いた場合の本発明に係る振動機
構の平面断面図である。
【図2】図1の一部を拡大して示す側面断面図である。
【図3】(a−1),(b−1),(c−1)は、それ
ぞれ、高振幅時におけるメインウエイトとパイロットウ
エイトとの関係を説明するための正面図、(a−2),
(b−2),(c−2)は、同じく側面図である。
【図4】(a−1),(b−1),(c−1)は、それ
ぞれ、低振幅時におけるメインウエイトとパイロットウ
エイトとの関係を説明するための正面図、(a−2),
(b−2),(c−2)は、同じく側面図である。
【図5】本発明に係る振動機構の信号回路図である。
【図6】本発明に係る振動機構の油圧回路図である。
【図7】(a),(b)は、メインウエイトと弾性部材
との関係を示す原理説明図である。
【図8】(a),(b)は、メインウエイトと弾性部材
との関係を示す応用説明図である。
【図9】(a),(b)は、メインウエイトと弾性部材
との関係を示す本発明の実施例説明図である。
【図10】所定の起振軸回転数におけるメインウエイト
の偏心角度に対するメインウエイトの枢軸まわりに加わ
る力のモーメントMwの曲線と、メインウエイトの枢軸
まわりに加わる力のモーメントMsとの関係を示すグラ
フである。
【図11】高振幅、低振幅双方の場合の起振軸回転数と
偏心モーメントの推移のグラフである。
【図12】従来の起振装置において、起振軸が定常回転
をしている状態で前後進レバーを前進位置または後進位
置から中立位置に操作し、起振軸の回転が停止するまで
の起振軸回転数と振動輪の振動変位振幅と振動加速度振
幅の時間的推移を示すグラフである。
【図13】(a−1),(a−2)は、従来の振動機構
を説明するための低振幅時の正面図および横断面図、
(a−1),(a−2)は、同じく、高振幅時の正面図
および横断面図である。
【符号の説明】
1 …転動輪 3 …起振機ケ−ス 4 …可変振幅振動機構 6 …枢軸 6a…偏心錘 6b…メインウエイト側の部材 7 …弾性部材 8 …枢軸 8a…パイロットウェイト 9 …起振用駆動モ−タ 10 …起振軸 18,18 …板状の支持部材 18a…起振軸本体側の部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭53−136773(JP,A) 特開 昭62−178605(JP,A) 特公 昭52−482(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E01C 19/28 E01C 19/34 B06B 1/16

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 起振軸と直交する方向に枢軸を有し、枢
    軸まわりに回転可能な偏心錘であるメインウェイトを備
    え、起振軸を回転させて振動を発生させる振動機構であ
    って、起振軸本体側の部材と、メインウェイト側の部材
    とを、起振軸の重心が実質的に起振軸の軸心上に位置す
    るように、挟み込んで保持しようとする弾性部材と、前
    記メインウェイト上に先の枢軸とは別の枢軸と、その枢
    軸まわりに回転自在で、前記メインウェイトよりも質量
    の小さな、小偏心錘であるパイロットウェイトとを備
    ことを特徴とする振動機構。
  2. 【請求項2】 前記弾性部材は、ねじりコイルバネによ
    り構成されていることを特徴とする請求項1に記載の振
    動機構。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の振動機
    構を備えたことを特徴とする振動ローラ。
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