JP3344761B2 - 生分解性樹脂発泡体の製造方法 - Google Patents

生分解性樹脂発泡体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生分解性樹脂発泡体の
製造方法に関し、さらに詳しくはデンプン及びポリビニ
ルアルコール系樹脂を主成分とする、例えばシート、フ
イルム、包装資材(例えば、カップトレー、クッション
材、保護シート、保護フイルム)などの崩壊性発泡体成
形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、環境問題に対する関心が高まり、
例えばプラスチックなどの合成高分子材料の廃棄処理に
関する技術の開発に対する要求が増している。その一つ
として、従来の石油系プラスチックに代わり得る生分解
性プラスチックに注目が集まっている。
【0003】生分解性プラスチックとしては、米国特許
第4,138,784号がデンプンとエチレン/アクリ
ル酸共重合体(EAA)からなる組成物を、特開平3−
31333号公報がエチレン/ビニルアルコール共重合
体(EVOH)と変性デンプンからなる組成物を開示し
ている。生分解性プラスチックを用いた発泡性材料は、
特開平2−298525号公報に開示されている。この
公開特許に記載された発泡性材料は、発泡剤として水を
用いているが、弾性、圧縮強さの点で、例えばパッキン
グなどとしては不十分なものである。また、特開平2−
14228号公報には、水を含むデンプンと、実質的に
水に不溶性の合成熱可塑性ポリマーからなる発泡性材料
が開示されている。特表平4−500833号公報に
は、デンプンとEAA及び/又はEVOHからなる生分
解性プラスチック発泡物品が開示されている。
【0004】このような生分解性プラスチック発泡体は
デンプン/EVOH組成物にグリセリンなどの可塑剤及
び発泡剤を加え、溶融混合し、押出成形して製造され、
密度の低い、例えば0.6g/ccの発泡体が得られる
が、連続気泡と独立気泡とが混在し、気泡の大きさが不
均一であり、成形体表面には気泡が抜けた穴が全面に生
じて表面が凹凸で荒れた成形体しか得られない。また、
生デンプンは、含水しており、押出機により、高圧下で
混練すると、デンプンはα化して溶融し、溶融物を常圧
下に放置すると膨化する。そのような発泡体を緩衝用工
業資材として使用するとなると、耐水性、強度が著しく
不足する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、含水デンプ
ンと含水ポリビニルアルコール系樹脂(以下PVAと言
う)を用いた、高発泡倍率でも、十分な強度を有する生
分解性樹脂発泡体を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題は、含水率が5
〜30重量%のデンプン系高分子、含水率が5〜30重
量%のPVA、及びノニオン性界面活性剤を含んでな
り、全体の含水率が10〜40重量%である組成物を溶
融し、水による発泡と必要に応じ発泡剤による発泡とを
組合わせて発泡させることを特徴とする生分解性樹脂発
泡体の製造方法により解決される。更に詳しく言えば、
本発明では上記した如く含水率が5〜30重量%のデン
プン系高分子、含水率が5〜30重量%のPVAを出発
原料とし、これにノニオン性界面活性剤を混合して製造
され全体の含水率が5〜30重量%にコントロールされ
た組成物を溶融し、発泡させることを特徴とする生分解
性樹脂発泡体の製造方法を要旨とする。本発明の成形体
では、生分解性樹脂として、デンプンとPVAを用い
る。デンプンとPVAの重量比は、通常2:8〜8:2
である。
【0007】デンプンとしては、種々のものが使用で
き、例えばトウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、甘
藷デンプン、コムギデンプン、キッサバデンプン、サゴ
デンプン、タピオカデンプン、モロコシデンプン、コメ
デンプン、マメデンプン、クズデンプン、ワラビデンプ
ン、ハスデンプン、ヒシデンプン等:物理的変性デンプ
ン(α−デンプン、分別アミロース、湿熱処理デンプン
等):酵素変性デンプン(加水分解デキストリン、酵素
分解デキストリン、アミロース等):化学分解変性デン
プン(酸処理デンプン、次亜塩素酸酸化デンプン、ジア
ルデヒドデンプン等):化学変性デンプン誘導体(エス
テル化デンプン、エーテル化デンプン、カチオン化デン
プン、架橋デンプン等)などが例示できる。
【0008】本発明のPVAとは、ポリ酢酸ビニルの部
分ケン化物あるいは、完全ケン化物のみならず、ビニル
エステル及びそれと共重合しうる単量体、たとえば、エ
チレン(但しビニルエステルとエチレンとの共重合体ケ
ン化物についてはエチレン含有量が10モル%以上のも
のは除く)、プロピレン、イソブチレン、α−オクテ
ン、α−ドデセン、α−オクタドデセン等のオレフィン
類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン
酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類あるい
はその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル等、アク
リロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類、ア
クリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレ
ンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン
酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩、アルキル
ビニルエーテル類、N−アクリルアミドメチルアンモニ
ウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロラ
イド、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド等のカ
チオン基を有する化合物、ビニルケトン、N−ビニルピ
ロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリオキシエ
チレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレ
ン基などのオキシアルキレン基を有する不飽和単量体等
との共重合体ケン化物が挙げられるが、必ずしもこれに
限定されるものではない。PVAのケン化度は60〜1
00モル%、好ましくは80〜100モル%、また重合
度は500〜4000、好ましくは700〜3000の
範囲から選ぶことが必要である。
【0009】デンプンおよびPVAの含水率を5〜30
重量%とし、組成物全体の含水率を5〜30重量%、好
ましくは10〜20重量%とする理由は次ぎの通りであ
る。デンプン中に含有される水は溶融可塑化に効果があ
り、又、PVA中の水はその結晶性を乱す作用があるの
で、これ又、すみやかに可塑化が出来る。水はデンプ
ン、PVAの粉末にあとで添加されるよりも予め含水し
たデンプン、PVAの方が混和性もよく、すぐれた物性
の発泡体が得られる。含水方法としては無水状、又は低
水分の粉末に水を直接散布したり、加温加圧下該粉末と
水を混和する方法等いずれも採用出来る。含水率が下限
以下ではいずれの場合も均一な発泡が困難となり、一方
逆に上限以上では、発泡密度が低下する。尚、組成物全
体の含水率を30重量%以上とする時は水を外添するこ
とはいうまでもない。
【0010】ノニオン性界面活性剤としては、既知のも
のが使用できる。好ましい界面活性剤の例は、ノニオン
性界面活性剤である。なかでも、ポリオキシエチレンア
ルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキル
エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブ
ロックポリマー、ポリオキシエチレンアルキルアミンエ
ーテル、ポリオキシエチレンラノリンアルコールエーテ
ル等のエーテル型のノニオン性界面活性剤が、本発明の
製造方法にとって特に好ましい。発泡剤としては、既知
のものが使用でき、例えば分解ガス発生型の発泡剤とし
てアゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリ
ル、p−トルエンスルホニルヒドラジド、ベンゼンスル
ホニルヒドラジドが好適であり、その添加量は発泡用組
成物100重量部に対して0.1〜1.0重量部が好ま
しい。又、溶融混練物に沸点が100℃以下の液体やガ
スを圧入して発泡させることも出来る。
【0011】本発明で用いる発泡用組成物には、上記成
分に加え、発泡成形体の所望の特性及び用途に応じて、
種々の添加剤、例えば、紫外線安定剤、難燃剤、抗菌
剤、酸化防止剤、潤滑剤、架橋助剤などを加えることも
できる。本発明において、組成物の発泡は、従来の発泡
方法と同様に行え、ポリオレフィンやポリスチレンの押
出あるいは射出発泡装置が利用できる。
【0012】
【作用】本発明においては発泡倍率が大きく、かつ独立
気泡をもつ発泡体が製造可能である。
【0013】
【実施例】次に実施例により本発明をより具体的に説明
する。 実施例1及び比較例1〜2 12.7%含水コーングリッツ、20重量%含水PVA
(ケン化度98.5モル%、重合度1750、粒度10
メッシュアンダー)、ノニオン性界面活性剤Aポリオキ
シエチレンノニルフェニルエーテル(ノイゲンEA−1
70。第一工業製薬社製)、Bポリオキシエチレンステ
アリルエーテル(エスルゲンP320、花王アトラス社
製)および分解ガス発生剤(アゾジカルボンアミド)を
表1に示す量で混合し、混合物を2軸押出機(直径30
mm、L/D=30)により、160℃の温度で、直径
5mmのノズルを持つストランドダイから押出した。得
られた発泡の性質を表1に示す。
【0014】
【表1】
【0015】実施例2 12.7%含水コーングリッツ、30%含水PVA(7
9.3モル%、重合度1100、粒度2mm以下)、及
び界面活性剤A(ノイゲンEA−170)又はCポリオ
キシエチレンラウリルエーテル(ノイゲンET−17
0、第一工業製薬社製)を表2に示す量で混合し、混合
物を2軸押出機(直径30mm、L/D=30)によ
り、110℃以下の温度で、水による発泡を抑制しつ
つ、コンパウンドペレットを製造した。次いで、シリン
ダー先端部に液体圧入孔を装着した2軸押出機(直径3
0mm、L/D=32)を用い、ブタン組成物100重
量部に対して4重量部になる様に、高圧仕込ポンプで圧
入しつつ、直径5mmのノズルを持つストランドタイか
ら押出した。得られた発泡体の性質を表2に示す。
【0016】
【表2】
【0017】
【発明の効果】本発明によれば、独立気泡を有し、密度
が0.2〜0.02g/ccの生分解性樹脂発泡体が得
られる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 含水率が5〜30重量%のデンプン系高
    分子、含水率が5〜30重量%のポリビニルアルコール
    系樹脂(但し、共重合成分がエチレンの時はその含有量
    は10モル%未満)、及びノニオン性界面活性剤が混合
    されて製造され、全体の含水率が5〜30重量%である
    組成物を溶融し、発泡させることを特徴とする生分解性
    樹脂発泡体の製造方法。
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