JP3344758B2 - 生分解性樹脂発泡体の製造方法 - Google Patents
生分解性樹脂発泡体の製造方法Info
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Description
製法に関し、さらに詳しくはデンプン及びポリビニルア
ルコール系樹脂粒子を主成分とする、例えばシート、フ
イルム、包装資材(例えば、カップトレー、クッション
材、保護シート、保護フイルム)などの崩壊性発泡体成
形体の製法に関する。
例えばプラスチックなどの合成高分子材料の廃棄処理に
関する技術の開発に対する要求が増している。その一つ
として、従来の石油系プラスチックに代わり得る生分解
性プラスチックに注目が集まっている。
第4,138,784号がデンプンとエチレン/アクリル
酸共重合体(EAA)からなる組成物を、特開平3−3
1333号公報がエチレン/ビニルアルコール共重合体
(EVOH)と変性デンプンからなる組成物を開示して
いる。生分解性プラスチックを用いた発泡性材料は、特
開平2−298525号公報に開示されている。この公
開特許に記載された発泡性材料は、発泡剤として水を用
いているが、弾性、圧縮強さの点で、例えばパッキング
などとしては不十分なものである。また、特開平2−1
4228号公報には、水を含むデンプンと、実質的に水
に不溶性の合成熱可塑性ポリマーからなる発泡性材料が
開示されている。特表平4−500833号公報には、
デンプンとEAA及び/又はEVOHからなる生分解性
プラスチック発泡物品が開示されている。
デンプン/EVOH組成物にグリセリンなどの可塑剤及
び発泡剤を加え、溶融混合し、押出成形して製造され、
密度の低い、例えば0.6g/ccの発泡体が得られる
が、連続気泡と独立気泡とが混在し、気泡の大きさが不
均一であり、成形体表面には気泡が抜けた穴が全面に生
じて表面が凹凸で荒れた成形体しか得られない。
機により、高圧下で混練すると、デンプンはα化して溶
融し、溶融物を常圧下に放置すると膨化する。そのよう
な発泡体を緩衝用工業資材として使用するとなると、耐
水性、強度が著しく不足する。
ンと含水ポリビニルアルコール系樹脂(以下PVAと言
う)を用いた、高発泡倍率でも、十分な強度を有する生
分解性樹脂発泡体を提供しようとするものである。
に本発明者等は鋭意検討を行った。その結果、含水して
いるデンプン系高分子、含水しているPVAにノニオン
性界面活性剤、増粘剤および無機充填剤を加えた組成物
を130〜200℃にて溶融すると共に、成形機のノズ
ルを通過する溶融体の剪断速度を103sec-1以上に
設定し、発泡させる方法により上記課題を解決できるこ
とを見い出して本発明を完成させた。即ち本発明は、含
水率が5〜30重量%のデンプン系高分子、含水率が5
〜30重量%のPVA、ノニオン性界面活性剤、増粘
剤、および無機フィラーが混合されて製造され、全体の
含水率が5〜30重量%である組成物を溶融し、特定温
度でかつ溶融体に特定の剪断速度をかけて発泡させるこ
とを特徴とする生分解性樹脂発泡体の製法を要旨とす
る。以下、本発明を詳細に説明する。
く含水率が5〜30重量%のデンプン系高分子、含水率
が5〜30重量%のPVAを出発原料とし、これにノニ
オン性界面活性剤、増粘剤、及び無機フィラーを混合し
て製造され、全体の含水率が5〜30重量%の組成物を
特定の剪断力下に溶融発泡させることを特徴とする生分
解性樹脂発泡体の製法を要旨とする。本発明の発泡体で
は、生分解性樹脂として、デンプン系高分子とPVAを
用いる。デンプン系高分子とEVOHの重量比は、通常
1:9〜9:1である。デンプン系高分子の割合が余り
に少ないときは生分解性ないし崩壊性が損なわれ、一方
その割合が余りに多いときは発泡体の機械的物性が不足
するようになる。また、組成物中における生分解性樹
脂、即ちデンプン系高分子とPVAの割合は40〜95
重量%、好ましくは50〜90重量%とする。
(トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、甘藷デンプ
ン、コムギデンプン、キッサバデンプン、サゴデンプ
ン、タピオカデンプン、モロコシデンプン、コメデンプ
ン、マメデンプン、クズデンプン、ワラビデンプン、ハ
スデンプン、ヒシデンプン等):物理的変性デンプン
(α−デンプン、分別アミロース、湿熱処理デンプン
等):酵素変性デンプン(加水分解デキストリン、酵素
分解デキストリン、アミロース等):化学分解変性デン
プン(酸処理デンプン、次亜塩素酸酸化デンプン、ジア
ルデヒドデンプン等):化学変性デンプン誘導体(エス
テル化デンプン、エーテル化デンプン、カチオン化デン
プン、架橋デンプン等)など、およびこれらの2以上の
混合物が用いられる。なお、化学変性デンプン誘導体の
うちエステル化デンプンとしては、酢酸エステル化デン
プン、コハク酸エステル化デンプン、硝酸エステル化デ
ンプン、リン酸エステル化デンプン、尿素リン酸エステ
ル化デンプン、キサントゲン酸エステル化デンプン、ア
セト酢酸エステル化デンプンなど、エーテル化デンプン
としては、アリルエーテル化デンプン、メチルエーテル
化デンプン、カルボキシメチルエーテル化デンプン、ヒ
ドロキシエチルエーテル化デンプン、ヒドロキシプロピ
ルエーテル化デンプンなど、カチオン化デンプンとして
は、デンプンと2−ジエチルアミノエチルクロライドの
反応物、デンプンと2,3−エポキシプロピルトリメチ
ルアンモニウムクロライドの反応物などを挙げることが
できる。
分ケン化物あるいは、完全ケン化物のみならず、ビニル
エステル及びそれと共重合しうる単量体、たとえば、エ
チレン(但しビニルエステルとエチレンとの共重合体ケ
ン化物についてはエチレン含有量が10モル%以上のも
のは除く)、プロピレン、イソブチレン、α−オクテ
ン、α−ドデセン、α−オクタドデセン等のオレフィン
類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン
酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類あるい
はその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル等、アク
リロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類、ア
クリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレ
ンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン
酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩、アルキル
ビニルエーテル類、N−アクリルアミドメチルアンモニ
ウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロラ
イド、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド等のカ
チオン基を有する化合物、ビニルケトン、N−ビニルピ
ロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリオキシエ
チレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレ
ン基などのオキシアルキレン基を有する不飽和単量体等
との共重合体ケン化物が挙げられるが、必ずしもこれに
限定されるものではない。PVAのケン化度は60〜1
00モル%、好ましくは80〜100モル%、また重合
度は500〜4000、好ましくは700〜3000の
範囲から選ぶことが必要である。
重量%とし、組成物全体の含水率を5〜30重量%、好
ましくは10〜20重量%とする理由は次ぎの通りであ
る。デンプン中に含有される水は溶融可塑化に効果があ
り、又、PVA中の水はその結晶性を乱す作用があるの
で、これ又、すみやかに可塑化が出来る。水はデンプ
ン、PVAの粉末にあとで添加されるよりも予め含水し
たデンプン、PVAの方が混和性もよく、すぐれた物性
の発泡体が得られる。含水方法としては、無水又は低含
水の粉末に水を直接散布したり、加温加圧下該粉末と水
を混和する方法等いずれも採用出来る。PVAは品種に
よっては水に溶解してしまうものもあるが実用上差し支
えない。しかし本発明では含水PVAは粒子状を保つ
様、含水率、ケン化度、重合度、粒径等をコントロール
することが有利である。組成物全体の含水率が下限以下
ではいずれの場合も均一な発泡が困難となり、一方逆に
上限以上では、発泡密度が低下する。
のが使用できる。なかでも、ポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエー
テル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロッ
クポリマー、ポリオキシエチレンアルキルアミンエーテ
ル、ポリオキシエチレンラノリンアルコールエーテル等
のエーテル型のノニオン性界面活性剤が、本発明の製造
方法にとって特に好ましい。ノニオン性界面活性剤は、
組成物の0.5〜10重量%、好ましくは2〜5重量%
である。0.5重量%以下では、気泡の破壊がおこり、
水蒸気が逃散してしまうので、小さな密度の製品が得難
く、10重量%を超えると、組成物の粘度が低くなり、
気泡の安定化が不足して気泡サイズが不均一となる。
増粘剤を加える。増粘剤は該組成物の溶融時における溶
融粘度を一定以上に保持するため用いるもので、組成物
中の樹脂成分である澱粉系高分子、あるいはPVAを架
橋させる作用を有するものが使用できる。例えば、ホウ
酸;ホウ砂;グリオキサール、マロンアルデヒド、コハ
ク酸アルデヒド、グルタルアルデヒド、アジプアルデヒ
ド、マレインアルデヒド、2−ペンテン−1,5−ジア
ルデヒド、o−フタルジアルデヒド、イソフタルジアル
デヒド、テレフタルジアルデヒド等のジアルデヒド類;
ホルムアルデヒド;エピクロルヒドリン;アクロレイ
ン;オキシ塩化リン;トリメタリン酸;尿素を挙げるこ
とができる。増粘剤の配合量は組成物中0.05〜5重
量%の範囲にするのが実用的である。本発明においては
発泡成形時における溶融した組成物の粘度をコントロー
ルすることも有利であり、本発明に用いる組成物中の下
記無機フィラーを除いた成分(すなわち、含水デンプ
ン、含水PVA、非イオン性界面活性剤、増粘剤、およ
び必要な場合水)を混合し、160℃において5分置い
た後の溶融粘度が10,000poise以上とするの
が望ましい。従って、増粘剤の量は上記混合物が上記条
件で上記の溶融粘度を示すように調節する。
ィラーを加える。無機フィラーとしては、タルク、炭酸
カルシウム、炭酸マグネシウム、クレー、天然ケイ酸、
シラス、カーボンブラック、ホワイトカーボン、チタン
ホワイト、ガラスビース等を例示できる。無機フィラー
は、組成物の1〜30重量%、好ましくは3〜20重量
%である。本発明で用いる発泡用組成物には、上記成分
に加え、発泡成形体の所望の特性及び用途に応じて、種
々の添加剤、例えば、紫外線安定剤、難燃剤、抗菌剤、
酸化防止剤、潤滑剤、架橋助剤などを加えることもでき
る。
発泡方法と同様に行え、ポリオレフィンやポリスチレン
の押出あるいは射出発泡装置が利用できる。本発明の組
成物の全ての成分を混合し、押出又は射出発泡装置に供
給して溶融し、押出して直接発泡体を得ることも可能で
あるが、組成物の全部または一部を押出機に供給して溶
融混練を行って、一旦、コンパウンド化し、次いで、こ
のコンパウンドと組成物の残余成分を混合し、押出又は
射出発泡装置に供給して発泡体を得る方法が好適に採用
される。
〜200℃に限定する必要があり、130℃以下では発
泡不良となり、一方200℃以上では樹脂が劣化して実
用性に乏しい。又成形機のノズルを通過する溶融体の剪
断速度を103sec-1以上、好ましくは104〜106
sec-1に設定することが不可欠であり、かかる条件に
よって発泡密度の向上や気泡サイズの微小化が達成出来
る。本発明でいう剪断速度は溶融体が成形機のノズルを
通過する時の状態で定義され4Q/πr3〔但しQは樹
脂の吐出量(cm3/sec)、rはノズルの半径(c
m)〕にて算出される。射出成形の条件としてはシリン
ダー温度130〜200℃、金型温度10〜80℃、射
出圧力200〜2000kg/cm2の条件が採用さ
れ、押出成形の条件としてはダイ温度及びスクリュー圧
縮部温度を130〜200℃に設定する条件が採用され
る。
の微小化が達成された発泡体が得られる。
する。なお実施例中、「部」、「%」は重量基準であ
る。 実施例1〜3、比較例1〜5 (1)成分の混合 含水率14重量%のコンスターチ、含水率30%のPV
A(ケン化度99.0モル%、重合度1100、粒径1
0メッシュアンダー)、ノニオン性界面活性剤、ポリオ
キシエチレンノニルフェニルエーテル(HLB=1
7)、およびホウ酸を表1に示す割合でヘンシェルミキ
サーに仕込み混合した。 (2)コンパウンドペレットの調製 その混合物を2軸押出機(直径30mm、L/D=3
0)を用いて、シリンダー温度110℃、ダイス温度1
10℃、スクリュー回転数130rpmで溶融混練り
し、5mmφノズル2本のダイスより押出し、冷風後粉
砕し、コンパウンドを得た。このコンパウンドは発泡し
ていなかった。このペレットを熱風乾燥機で乾燥し、含
水率を調整した。
ーを用いて、荷重50kg、L/D=1/10mmのオ
リフィス、160℃、5分の条件で測定した。 (4)発泡体の製造 (2)で得たコンパウンドに表1の割合のタルク(樹脂
強化用、粒径1.7ミクロン)をドライブレンドし、以
下の条件で射出発泡成形を行って発泡体を得た。 射出成形機;日精樹脂工業(株)製PS60E12AS
E型 スクリュー吐出部温度;実施例1 180℃、実施例2
180℃、実施例3 160℃ 金型温度;実施例1 40℃、実施例2 40℃、実施
例3 40℃ ノズルでの剪断速度;実施例1 3×103s
ec-1、 実施例2 1.9×105sec-1、 実施例3 1.9×105sec-1、 比較例1〜5 1.9×105sec-1 射出圧力;実施例1 450kg/cm2、 実施例2及び3 1800kg/cm2 比較例1〜5 1800kg/cm2 なお、比較のために、組成物が非イオン性界面活性剤、
ホウ酸、タルクを含まない場合(比較例1)、ホウ酸、
タルクを含まない場合(比較例2)、ホウ酸を含まない
場合(比較例3)、タルクを含まない場合(比較例
4)、組成物含水率が多すぎる場合(比較例5)につい
ても実施例1に準じて発泡体の製造を試みた。又、剪断
速度が2.5×102sec-1と低い直径5mmのノズ
ルを用いた押出発泡成形時の例を比較例6に示した。組
成物の組成、コンパウンドの溶融粘度、発泡体の品質を
まとめて表1、表2に示す。
る。 ×:不良 ダイスから出た直後は発泡するが、すぐに
縮む。
5.2重量%のポテトスターチをPVAとして実施例4
ではケン化度86.5、重合度1700、粒度2mm以
下のPVAを実施例5としてポリオキシエチレンアリル
エーテルと酢酸ビニルとの共重合体ケン化物(オキシア
ルキレン基の含量は5モル%、オキシアルキレン基の縮
合度10、ケン化度98.5モル%、重合度700、粒
度2mm以下をそれぞれ用いた他は実施例1と同じ原料
を用いて、同じ方法によって成分の混合、コンパウンド
ペレットの調製、コンパウンドペレットの溶融粘度の測
定、射出発泡を行った。組成物の組成、コンパウンドの
溶融粘度、発泡体の品質をまとめて表3に示す。
好な、微細な独立気泡を有する低密度の生分解性樹脂発
泡体を得ることができる。
Claims (1)
- 【請求項1】 含水率が5〜30重量%のデンプン系高
分子、含水率が5〜30重量%のポリビニルアルコール
系樹脂(但し、共重合成分がエチレンの時はその含有量
は10モル%未満)、ノニオン性界面活性剤、増粘剤、
および無機フィラーが混合されて製造され、全体の含水
率が5〜30重量%である組成物を130〜200℃に
て溶融させると共に成形機のノズルを通過する溶融体の
剪断速度を103sec-1以上に設定し、発泡させるこ
とを特徴とする生分解性樹脂発泡体の製造方法。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8580293A JP3344758B2 (ja) | 1993-03-19 | 1993-03-19 | 生分解性樹脂発泡体の製造方法 |
US08/105,681 US5308879A (en) | 1992-09-07 | 1993-08-13 | Process for preparing biodegradable resin foam |
EP93114198A EP0587078B1 (en) | 1992-09-07 | 1993-09-04 | Process for preparing biodegradable resin foam |
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Applications Claiming Priority (1)
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JPH06271693A JPH06271693A (ja) | 1994-09-27 |
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JP (1) | JP3344758B2 (ja) |
-
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- 1993-03-19 JP JP8580293A patent/JP3344758B2/ja not_active Expired - Fee Related
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