JP3344307B2 - 細径発泡電線及びその製造方法 - Google Patents
細径発泡電線及びその製造方法Info
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Description
の高発泡した細径絶縁電線、これを用いた多芯ケーブル
及びその製造方法に関する。詳細には、本発明は、高速
データ通信用に適する、導体との密着力に優れ且つ良好
な外観、ばらつきのない低い誘電率を有する高発泡の細
径ポリオレフィン絶縁電線、これを用いた多芯ケーブル
及びその製造方法に関する。
絶縁電線としては、発泡度を高くするために、例えば特
公昭61−11412号公報にはスエリング比55%以
上のプラスチック材料を用いて発泡度60%以上の高発
泡絶縁電線を製造する方法が、また、特公昭63−56
652号公報には、エチレン−プロピレン弾性共重合
体、高密度ポリエチレン、エチレン−プロピレンブロッ
ク共重合体のブレンドを発泡させて発泡度60%以上の
高発泡絶縁電線を製造する方法が知られている。即ち、
発泡度を高くするために、このように特定のスエリング
比の材料を用いたり、エチレン−プロピレン共重合体エ
ラストマー等のブレンドを用いたりする方法であるが、
細径発泡絶縁電線を製造する場合に、導体との密着力が
弱くなり、ストリップ長がばらついて端末加工が劣ると
言う欠点がある。これは、導体との密着力は導体と絶縁
体との接触面積が小さければ小さい程弱くなるため、細
径絶縁電線で細い導体を使用して発泡度を高くすると密
着力は著しく弱くなるからである。
公昭48−42314号公報には、心線上に薄肉の非発
泡(充実)絶縁被覆を施した後、ポリエチレン発泡絶縁
層を被覆する薄肉発泡絶縁電線の製造方法が知られてい
るが、良好な外観で高発泡の細径発泡電線を得ることが
困難である。これは、導体上に薄肉の非発泡絶縁被覆を
設けると、発泡層の肉厚は薄くせざるを得なくなり、必
要な発泡度は高くなるために、より薄肉、高発泡の押出
が必要になり、細径の高発泡電線を得ることは困難にな
るからである。
発泡絶縁押出によって発泡絶縁電線を製造する際に、導
体が押出機に入る前に導体を冷却して、導体と絶縁体と
の密着力を上げる方法が知られているが、細径発泡絶縁
電線を製造しようとすると、必要な発泡度が得られな
い。この方法も導体周りの絶縁体を急冷して発泡を抑
え、導体との密着力を上げるので、従来法の充実非発泡
層を設ける場合と同じく、導体周りで発泡していない分
を発泡層で補わなければならないため、細径薄肉高発泡
の絶縁電線を得るのは困難である。
ついて種々検討した結果、カルボン酸又はカルボン酸無
水物基含有共単量体を含む共重合体の部分金属塩を10
重量%以上含有する、スエリング比が55%以上のポリ
オレフィンを導体上に高発泡に押出発泡して特定の3つ
の物性要件を兼備する発泡絶縁電線を形成することによ
り、特に高速データ通信用に適する、導体との密着力に
優れた且つ良好な外観、ばらつきのない誘電率を有する
細径で且つ高発泡のポリオレフィン絶縁電線を提供でき
ることを見出し、本発明を完成するに至った。
以下、絶縁被覆厚0.8mm以下の発泡ポリオレフィン
絶縁電線であって、 (A) 該ポリオレフィンがカルボン酸又はカルボン酸無水
物基含有共単量体を含む共重合体の部分金属塩を10重
量%以上含有するポリオレフィンであって、且つスエリ
ング比55%以上を有するものであり、 (B) 該発泡ポリオレフィン絶縁電線が下記 等価誘電率が1.6より小さい、 等価誘電率のばらつきが±0.1以内であり、 導体引抜力が100g/50mm以上である の3つの要件を兼備する、発泡ポリオレフィン絶縁電線
を提供する。また、 導体径0.4mmφ以下、絶縁
被覆厚0.8mm以下の発泡ポリオレフィン絶縁電線の
製造方法であって、 (A) 該ポリオレフィンがカルボン酸又はカルボン酸無水
物基含有共単量体を含む共重合体の部分金属塩を10重
量%以上含有し、且つスエリング比が55%以上有する
ポリオレフィンを、化学発泡剤及び/又は不活性気体発
泡剤を用いて、発泡度50%以上に押出発泡して導体上
に発泡層を形成するものであり、しかも (B) 形成された発泡ポリオレフィン絶縁電線が以下の3
つの要件を兼備する ことを特徴とする、発泡ポリオレフ
ィン絶縁電線の製造方法。 等価誘電率が1.6より小さい 、 等価誘電率のばらつきが±0.1以内であり 、 導体引抜力が100g/50mm以上である 。
配線スペースの問題等から細径化が進んでいる。また、
データ通信速度は絶縁体の誘電率の平方根に反比例する
ことから、絶縁体の誘電率を下げるために発泡した絶縁
体が用いられ、発泡度は高いほど伝送速度が速くなる。
従来の外径が太く発泡度も低い発泡電線を製造する場合
は、導体と絶縁体の接触面積が大きいため、比較的容易
に導体と発泡絶縁層を密着させることが出来る。
と、発泡層と導体との接触面積が小さくなるため、導体
と絶縁層とを密着させることは非常に困難になる。導体
と発泡層との密着力が弱いと電線を切断した時に導体が
突出したり、ストリップした時にストリップ長がばらつ
くという問題が生じる。特に導体外径が0.4mmより
小さく発泡度が50%以上の発泡絶縁電線を製造する際
にはこの問題が顕著になる。さらに、発泡絶縁層の外径
が小さいと良好な押出外観を得ることが非常に難しくな
る。発泡絶縁層の厚みが0.8mmより小さいと発泡絶
縁層の外観が荒れてしまうことが多い。
製造する際に、スエリング比が55%以上のポリオレフ
ィン、特に三井デュポンポリケミカル社製のアイオノマ
ーである、カルボン酸又はカルボン酸無水物基含有共単
量体を含む共重合体の部分金属塩を10重量%以上含有
するポリオレフィンを発泡層に用いることにより、導体
との密着性に優れ且つ良好な外観、ばらつきのない低い
誘電率を有する高発泡の細径ポリオレフィン絶縁電線及
びその製造方法を提供する。また、本発明では、細径の
導体上に高発泡度の発泡層を形成しても、導体との密着
力が維持できるため端末加工時にストリップ長のばらつ
きなく加工できる利点がある。
は、スエリング比が55%以上、好ましくは60%以上
のポリオレフィンを使用することが必須である。この場
合、ポリオレフィンのスエリング比の上限についてはそ
の目的を達成するなら特に制限されないが、スエリング
比は高いほど気泡径の小さい良好な外観の発泡電線が得
られるので好ましく、一般には65%程度のスエリング
比を有すれば良い。また、スエリング比が55%未満で
は気泡径が大きくなり易く、良好な外観の発泡電線を得
られなくなるので好ましくない。ここで言うスエリング
比(%)とは、JIS−E6760に又はASTM−D
1238−70等に規定されたメルトインデクサーによ
りメルトインデックス(MI)を測定する際(測定温度
1900C、荷重2160g)に得られる押出物の外径
をdsとし、メルトインデクサーにセットされているオ
リフイスの内径をd0 とした時に、下式(1) で表され
る。
剤が発泡してしまうため、本発明におけるスエリング比
はすべて発泡剤を含まないベース樹脂のブレンド物につ
いて測定したものである。
イオノマーを10重量%以上、好ましくは20重量%以
上含有するポリオレフィンを使用する必要がある。ポリ
オレフィン中のアイオノマー含有量が10重量%未満で
は導体との密着力が不十分となり好ましくない。ここで
言うアイオノマーとは、カルボン酸又はカルボン酸無水
物基含有共単量体を含む共重合体の部分金属塩を指し、
代表的にはエチレンとカルボン酸又はカルボン酸無水
物、特にα,β不飽和カルボン酸又はそのカルボン酸無
水物との共重合体の部分金属塩であり、例えば特公昭3
9−6810号公報に記載される方法によって製造でき
る。
酸、メタクリル酸、エタクリル酸、イタコン酸、フマル
酸等の炭素数3〜8のα,β不飽和カルボン酸又はその
カルボン酸無水物との共重合体;またはこれに更にアク
リル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチ
ル、アクリル酸nブチル、メタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチル、メタクリル酸nブチル、メタクリル酸イ
ソブチル、フマル酸ジメチル等の炭素数4〜8のα,β
不飽和カルボン酸エステルを第3成分として含有する3
元共重合体中のカルボン酸又はその無水物基の一部又は
全部を金属イオン架橋させたものである。
は2種以上を混合して用いても良い。このように、上記
共重合体の部分金属塩は、特にエチレンと炭素数3〜8
のα,β不飽和カルボン酸又はそのカルボン酸無水物と
の共重合体の分子間が金属イオンで架橋された構造を有
するものである。好ましくはエチレンとアクリル酸及び
/又はメタクリル酸の共重合体の亜鉛、ナトリウム、カ
リウム、マグネシウムの部分金属塩である。該共重合体
の部分金属塩のMFRは、約0.1〜500、好ましく
は約1〜100である。共重合体の部分金属塩のMFR
が約0.1未満では成形性が不良となり、逆に500を
超えると発泡層の強度が不足する。
水物成分の含有量は、一般に約0.5〜15モル%、好
ましくは約1〜6モル%である。共重合体中のカルボン
酸又はカルボン酸無水物成分の含有量が約0.5%未満
では導体との密着力が不足し、また15モル%を超えて
含有すると発泡絶縁被覆の強度が不足するので好ましく
ない。更に、第3成分としてα,β不飽和カルボン酸エ
ステルを含有させても良く、そのエステルの含有量は、
一般に約0.2〜15モル、好ましくは約1〜10モル
%である。
しては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等
の1価金属イオン;マグネシウム、カルシウム、ストロ
ンチウム、バリウム、銅、亜鉛等の2価金属イオンまた
はアルミニウム、鉄等の3価金属イオンが挙げられる。
特に、金属イオンとして亜鉛イオン、ナトリウムイオン
を用いたものは、低吸湿性であるために電気特性の変化
が少なく好ましい。金属化合物の形で用いられる金属イ
オンは、上記共重合体中の酸の含量、190℃及び21
50g荷重におけるMFR(メルトフローレート、g/
10分)等によってその添加量が変化するが、一般には
約10%以上、好ましくは約15〜80%のカルボン酸
又はその無水物基を中和する量で用いられる。
ィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレ
ンーαオレフイン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重
合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン
−アクリル酸メチル共重合体、エチレンープロピレンゴ
ムなどが挙げられる。この中、ポリエチレンとしては低
密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度
ポリエチレン、超低密度ポリエチレンのいずれでも良
い。ポリプロピレンとしてはポリプロピレンホモポリマ
ーの他にエチレンとのブロックコポリマーやランダムコ
ポリマーを用いても良い。これらのポリオレフィンは誘
電率が小さい方が電気特性が良くなるので好ましいが、
アイオノマーとブレンドしてスエリング比が55%以上
あれば特に制限されない。該ポリオレフィンのMFRは
アイオノマーと十分にブレンドできて発泡成形できれば
特に制限されないが、通常0.1〜20を用いるのが望
ましい。
を配合しても良い。該添加剤としては、酸化防止剤、光
安定剤、紫外線防止剤、帯電防止剤、滑剤、有機又は無
機の充填剤、金属不活性化剤、発泡助剤、核剤、染顔
料、架橋剤、架橋助剤等を挙げることができる。
体を含む共重合体の部分金属塩を10重量%以上含有す
る、スエリング比55%以上のポリオレフィン材料を押
出機に装填して導体径0.4mmφ以下の導体上に、発
泡絶縁被覆厚0.8mm以下となるように、化学発泡剤
及び/又は不活性気体発泡剤を用いて、発泡度50%以
上に発泡押出被覆して、 等価誘電率が1.6より小
さく、 等価誘電率のばらつきが±0.1以内であ
り、 導体引抜力が100g/50mm以上である、
の3つの要件を兼備するように、細径の高発泡ポリオレ
フィン絶縁電線とする必要がある。上記ポリオレフィン
材料は、予め単軸又は多軸押出機、バンバリーミキサー
を用いて混練して均一配合物にすることが望ましい。
リオレフィン材料を用いて高発泡させたので、導体径
0.4mmφ以下の細径導体上に、発泡絶縁被覆厚0.
8mm以下に押出被覆することができる。特に、導体径
0.2mmφ、発泡絶縁被覆厚0.15mmといった細
径電線でも良好な発泡状態で、導体密着に優れた電線を
押出被覆することができる。この場合、導体径の下限に
ついては一定の電線強度が得られるなら特に制限されな
いが、通常0.1mmφ程度までなら一定の導体引抜力
が得られる。また、発泡絶縁層の厚みの下限は、均一な
一定の等価誘電率と一定の導体引抜力が得られるなら特
に制限されないが、通常0.1mm程度までなら良好な
発泡状態で押出が可能である。
発泡剤(蒸発型発泡剤)を練り込んだ発泡ポリオレフィ
ン絶縁材料を押出機に装填して導体上に、一般に溶融押
出温度130〜250℃で、発泡度50%以上、好まし
くは60%以上で発泡押出することにより行われる。発
泡度が50%未満では等価誘電率が大きくなってしま
い、信号の伝送速度が遅くなる。また、発泡度の上限は
特に制限されないが、通常85%を越えると十分な引抜
力を得ることが難しくなる。押出温度が130℃未満で
はポリオレフィン材料が十分に溶融せず、良好な外観で
押出できないし、また250℃を超えると材料が焼けて
しまい望ましくない。
ジカルボンアミドおよびその金属塩、4,4’−オキシ
ビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、各種金属の炭
酸塩、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエン
スルホニルヒドラジド等を挙げることができ、特にアゾ
ジカルボンアミドの使用が好ましい。物理発泡剤として
は、窒素、アルゴン、炭酸ガス、メタン、プロパン、ブ
タン、ペンタン、ヘキサン、フルオロカーボン等を挙げ
ることができ、特に窒素の使用が好ましい。
レフィン樹脂材料に練り込んだものを押出発泡を行う
が、ベース樹脂全体にこれらの発泡剤を練り込んでも良
いし、予め樹脂の一部に高濃度で発泡剤を練り込んだマ
スターバッチを作っておき、これをベース樹脂とドライ
ブレンドして押出しても良い。4)発泡度は発泡電線1
m当たりの静電容量から式(2) により求めた。
発泡層を設けても良い。さらに、この発泡電線2本を撚
り合わせてツイストペアケーブルとしたり、複数本を含
む多芯ケーブルとしたり、平行にならべたテープ状電線
とすることもできる。さらに、この電線に予め架橋剤を
配合して行う化学架橋しても或いは電子線などの放射線
を照射して架橋しても良いo
製造されるが、導体径0.4mmφ以下、絶縁被覆厚
0.8mm以下であって、且つ 等価誘電率が1.6
より小さく、 等価誘電率のばらつきが±0.1以内
であり、 導体引抜力が100g/50mm以上であ
る3つの要件を兼備する必要がある。 等価誘電率は
1.6より小さく、好ましくは1.5より小さく、より
好ましくは1.2〜1.4である。 等価誘電率のば
らつきが±0.1以内と、ばらつきが殆どないことが必
要である。
ィン絶縁電線は、導体引抜力が100g/50mm以
上、好ましくは200g/50mm以上であることが必
要である。上記の場合、等価誘電率が1.6以上と高い
と信号の伝送速度が遅くなり好ましくなく、またその際
に等価誘電率のばらつきが±0.1以上と多いと伝送特
性が不安定となる欠点がある。更に、導体引抜力が10
0g/50mm未満であると、電線を切断した時に導体
が突出したり、被覆をストリップした時にストリップ長
がばらつくという問題がある。この導体引抜力の上限は
このような特性の細径の発泡ポリオレフィン絶縁電線が
得られるなら特に制限されないが、通常200g/50
mmあれば十分である。
されるが、これらは本発明の範囲を制限しない。 <導体密着力の測定> ここで導体密着力は、図1に説明するように、電線端末
50mmを残して被覆(絶縁体)3を剥がし、導体1を
導体径より若干大きい径の治具2に通して、引っ張った
時の力を測定して得られた値(g)である。 <等価誘電率の計算> 等価誘電率とは電線外径、導体径、静電容量から先の
(3) 式により計算したものを指す。
して含むアイオノマー(エチレン−メタクリル酸共重合
体、;三井デュポンポリケミカル社製の商品名「ハイミ
ラン1650」)とMI=0.8の密度=0.953の
高密度ポリエチレン(三井石油化学社製の商品名「ハイ
ゼックス5305E」)及びアゾジカルポンアミドを5
0:50:2の割合でブレンドし、二軸押出機(池貝鉄
工社製の商品名「PCM−30」)で溶融混合し、ベレ
ットを作製した.この樹脂材料を外径0・2mmφの銅
線上に肉厚0.15mmの発泡度70%の発泡電線を押
出成形した。電線表面の外観は良好で、導体密着力も4
00gあり、十分な密着力であった。なお、アイオノマ
ーと高密度ポリエチレンの50:50のブレンド物のス
エリング比は70%であった。
0.918の低密度ポリエチレン(三井石油化学社製の
商品名「ミラソン27」)及びアゾジカルポンアミドを
20:60:2の割合でブレンドし、二軸押出機(池貝
鉄工社製の商品名「PCM−30」)で溶融混合し、ベ
レットを作製した。このベレットとMI=1.2のポリ
プロピレンホモポリマー(三菱化学社製の商品名「三菱
ポリプロMH6」)を82:20の割合でドライブレン
ドした樹脂材料を発泡押出機を用いて、外径0.2mm
φの銅線上に肉厚0.15mmで発泡押出し、発泡度7
0%の発泡電線を得た。電線表面の外観は良好で、導体
密着力も250gであり、十分な密着力であった。発泡
剤を除いたこの樹脂材料のスエリング比は110%であ
った。
0.90の超低密度ポリエチレン(住友化学工業(株)
製の商品名「エクセレンVL100」)及びアゾジカル
ポンアミドを30:40:2の割合でブレンドし、二軸
押出機(池貝鉄工社製の商品名「PCM−30」)で溶
融混合し、ベレットを作製した。このベレットとMI=
1.5のエチレン−プロピレンブロックコポリマー(三
菱化学社製の商品名「三菱ポリプロEC8」)を72:
30の割合でドライブレンドした。この樹脂材料を発泡
押出機を用いて、外径0.2mmφの銅線上に肉厚0.
15mmで発泡押出し、発泡度60%の発泡電線を得
た。電線表面の外観は良好で導体密着力も350gあ
り、十分な密着性であった。発泡剤を除いたこの樹脂の
スエリング比は80%であった。
0.918の低密度ポリエチレン(三井石油化学社製の
商品名「ミラソン27」)及びMI=1.2のポリプロ
ピレンホモポリマー(三菱化学社製の商品名「三菱ポリ
プロMH6」)を20:60:20の割合でブレンド
し、二軸押出機(池貝鉄工社製の商品名「PCM−3
0」)で溶融混合し、ベレットを作製した。このベレッ
トをガス発泡押出機にて窒素ガスを注入しながら外径0
・2mmφの導体上に肉厚0.15mmで発泡押出し、
発泡度65%の発泡電線を得た。電線表面の外観は良好
で、導体密着力も良好であった。
0.953の高密度ポリエチレン(三井石油化学社製の
商品名「ハイゼックス5305E」)単独やMI=2.
0の密度=0.918の低密度ポリエチレン(三井石油
化学社製の商品名「ミラソン27」)とポリプロピレン
(三菱化学社製の商品名「三菱ポリプロMH6」)のブ
レンド物で発泡押出を行った場合は、下記表1の比較例
1、2に示すように、導体との密着力が不十分で、簡単
に導体が絶縁から抜けてしまった。また、比較例3に示
すように、スエリング比が55%に満たないベーズ樹脂
材料を用いた場合は、発泡度を上げるのが難しく、55
%程度の発泡度でも表面外観が荒れてしまった。
酸又はカルボン酸無水物基含有共単量体を含む共重合体
の部分金属塩を10重量%以上含有する、スエリング比
が55%以上のポリオレフィンを導体上に高発泡に押出
発泡して発泡絶縁層を形成することにより、特に高速デ
ータ通信用に適する、導体との密着力に優れた且つ良好
な外観、ばらつきのない低い誘電率を有する細径で且つ
特定の3つの特性要件を兼備する、高発泡の細径のポリ
オレフィン絶縁電線を提供できる。
Claims (2)
- 【請求項1】 導体径0.4mmφ以下、絶縁被覆厚
0.8mm以下の発泡ポリオレフィン絶縁電線であっ
て、 (A) 該ポリオレフィンがカルボン酸又はカルボン酸無水
物基含有共単量体を含む共重合体の部分金属塩を10重
量%以上含有するポリオレフィンであって、且つスエリ
ング比55%以上を有するものであり、 (B) 該発泡ポリオレフィン絶縁電線が下記 等価誘電率が1.6より小さい、 等価誘電率のばらつきが±0.1以内であり、 導体引抜力が100g/50mm以上であるの3つ
の要件を兼備することを特徴とする、発泡ポリオレフィ
ン絶縁電線。 - 【請求項2】 導体径0.4mmφ以下、絶縁被覆厚
0.8mm以下の発泡ポリオレフィン絶縁電線の製造方
法であって、 (A) 該ポリオレフィンがカルボン酸又はカルボン酸無水
物基含有共単量体を含む共重合体の部分金属塩を10重
量%以上含有し、且つスエリング比が55%以上有する
ポリオレフィンを、化学発泡剤及び/又は不活性気体発
泡剤を用いて、発泡度50%以上に押出発泡して導体上
に発泡層を形成するものであり、しかも (B) 形成された発泡ポリオレフィン絶縁電線が以下の3
つの要件を兼備する ことを特徴とする、発泡ポリオレフ
ィン絶縁電線の製造方法。 等価誘電率が1.6より小さい 、 等価誘電率のばらつきが±0.1以内であり 、 導体引抜力が100g/50mm以上である 。
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