JP3339673B2 - 離脱防止形管継手 - Google Patents

離脱防止形管継手

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JP3339673B2 JP16634298A JP16634298A JP3339673B2 JP 3339673 B2 JP3339673 B2 JP 3339673B2 JP 16634298 A JP16634298 A JP 16634298A JP 16634298 A JP16634298 A JP 16634298A JP 3339673 B2 JP3339673 B2 JP 3339673B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は水道用、下水道、ガ
スなど地下に埋設する管路の離脱防止形管継手に係る。
【0002】
【従来の技術】地下に埋設する管路を形成する管の主体
は敷設時の施工性に優れたダクタイル鋳鉄管である。こ
の管は一方の管端を拡径した受口内へ他方の管端の挿口
を挿入し、両者の間隙へゴム輪を介装して管路の水密性
を維持し、管内の上水や下水、家庭用ガスなどの流体を
供給する管路の主要な役割を務めている。管路は地下に
埋設されているから、管と管との離脱防止が重要な要素
であり管の継手から漏水が起こって貴重な水資源を浪費
することがあってはならない。
【0003】現在、ダクタイル鋳鉄管に用いられる継手
は規格化された各形式によって接合され、とくに最近は
地震の災害を考慮した伸縮性や可撓性を求める声が高
い。一方、地中に設された水道水用などの管路は、周知
の通り直管だけで構成されているわけではなく、必ず直
管と異形管の組合わせによって道路などの屈曲に追従し
た管路を形成するのが一般の原則である。地震などの急
激な縦揺れ・横揺れに対しては当然この揺動に追随した
管路の可撓性が必要な条件となる。しかし、異形管と直
管との管継手部分について言えば、離脱防止と過度の入
り込み防止が大きな前提となることは言うまでもない
が、単純に可撓性を大きく許容して耐震性を強化する直
管の思想をそのまま援用し、管継手の屈曲や伸縮を自由
に許容すると、却って管路全体の機能を喪失する逆効果
もあり得ることに着目しなければならない。
【0004】このような事情から、異形管を含む管路の
接合においては前後を強固に一体化して異形管に生じる
不平均力に対抗する構造、いわゆる剛結構造を目指した
KF形継手が広く使用されている。KF形継手は直管と
直管同士の接合にも適用されるが、とくに異形管を含む
管接合に慣用化されており、図3に示すように受口10
1の内周面に環状溝113を周設してロックリング10
4を嵌入する一方、挿し口102の外周面にも環状溝1
22を周設してロックリング104を挿し口の環状溝1
22へ円周の数箇所から均等にセットボルト105によ
って押し付けて位置を固定している。さらに受口と挿し
口間にゴム輪103を介装して水封を保つように押輪1
06と受口フランジ111とをT頭ボルト・ナット10
7によって締結して外端面から押圧する構成としてい
る。
【0005】KF形継手の現地接合においては、ロック
リング104を受口の環状溝113と挿し口の環状溝1
22との間へ嵌め込んでセットボルト105によって不
動の位置に固定しなければならないから、この構成とす
るには次のような施工手順が必要となる。 まず接合の最初の段階として、縮まり勝手で一つ割環
状体のロックリング104を受口の環状溝113に張り
付ける。このためには図4に例示するようなロックリン
グの拡大器具108を使用してロックリングの分割面を
押し広げる作業が必要となる。 ここで受口内へ挿し口を挿入すると、挿し口先端と拡
大器具108とが衝き当って器具は自然に外れて落下
し、さらに挿し口の挿入を続けてロックリングが挿し口
の環状溝122へ落ち込むまで進める。 受口の外周面を均等に配分した数箇所のタップ孔から
セットボルト105を捩じ込み、ロックリングを挿し口
全周の環状溝112内へ張り付かせる。 受口外周面上へ突出したセットボルトの上半部に止水
用のシールリング109付きのシールキャップ110を
捩じ込み、工具で締め付けてタップ孔周辺の止水構造を
形成する。 受口の端部からゴム輪103を押し込み、押輪106
を介してT頭ボルト・ナット107を締結してゴム輪1
03を所定の位置まで締め付け管内流水を止水する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】KF管継手の接合工事
に際しては、前記のように受口の環状溝113に拡大器
具108を使ってロックリング104を張り付ける手順
があり、受口内へ挿し口が進入してその先端が衝き当る
と拡大器具は必ず管内に落下し回収することを前提とす
るから、落下の衝撃によって管内面に施されたシールコ
ートや粉体塗装面を傷つけ、せっかく与えられた防食作
用が局部的に損われる可能性がある。
【0007】また、ロックリングを固定するために受口
の数箇所を貫通したセットボルトが必要であり、このセ
ットボルトを均等に締め付けた上、さらに受口外周面上
へ突出するセットボルトの頭部に止水用のシールキャッ
プを被せて締め付けなければならない。この作業自体が
極めて煩瑣であるし、接合時に下方に位置する狭隘な場
所で締め付ける作業は一層面倒であり、その水封作用も
必ずしも信頼性が高いとは言い難い。止水を必要とする
箇所が多いということ自体、埋め戻した後の漏水の危惧
に対して好ましくない条件であると言わざるを得ない。
【0008】また、接合後の継手構造の点から見れば、
主止水部であるゴム輪よりも管継手の奥側、すなわち管
内通水に近い連通箇所Pに近い側にセットボルトが外周
面から突出しているので、埋設した管路の近傍で他の掘
削工事が行なわれたとき、過って機械的な損傷を受け直
ちに止水作用が失われて漏水を起こす可能性も否定でき
ず、使用中においても構造的に万全とは言えない面もあ
る。
【0009】さらに構造的な課題として、挿し口の外周
面に環状溝122を刻設することを前提とするから、従
来に比べその箇所の管厚が薄くなるので、所定の管強度
を保持するためには管全体の肉厚を大きく設定せざるを
得ず、その結果、全重量が増加して材料コストの上昇と
搬送や接合工事の取り扱いに関して不利な条件を形成す
ることにもなる。
【0010】本発明は以上の課題を解決するために、セ
ットボルトをなくして管内流水が漏水する可能性のある
止水部分の個数を最小限に留め、またロックリングを取
り付けるための煩瑣な作業を解消して作業能率を向上す
ると共に、取付け用器具の落下衝撃に伴う耐食面損傷の
懸念を払拭した新しい離脱防止形管継手の提供を目的と
する。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係る離脱防止形
管継手は、受口1と挿口2、両者間へ介装するゴム輪
3、受口フランジ11と締結するT頭ボルト・ナット7
によって前記ゴム輪3の外端面31を押圧して水封する
押輪6、及び挿し口2の外周面21上に周設した挿し口
突部22と係合して離脱を防止するロックリング4を受
口内周面に具えた形式からなり、受口1の内周面12に
受口突部13を周設し、ロックリング4は該受口突部1
3に嵌合する環状溝41と、内周側テーパ42、外周側
テーパ43をそれぞれ設けて前記挿し口突部22に対向
する内端面44、該内端面44と逆側にあってバックア
ップリング5を介してゴム輪3の内端面32に押圧され
る外端面45を一体的に連続して断面コ字形で一つ割開
き勝手の環状体で形成することによって前記の課題を解
決した。
【0012】すなわち、この構成における大きな特徴の
一つはセットボルトなしにロックリングを受口内周面に
装着固定した点であり、他の一つとして挿し口に環状溝
を設けない点が挙げられる。この2点によって前記の課
題が相互に関連し合ってすべて解消され、信頼性の高い
離脱防止形管継手が実現される作用と効果に繋がる。
【0013】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施形態を示す縦
断正面図(A)とロックリング4だけの拡大断面図
(B)であり、管接合を完了した継手部分の位置関係を
表わす。受口1の内周面12には受口突部13を設け、
挿し口2の先端23近くの外周面21には挿し口突部2
2を設ける。挿し口突部22は環状体で形成し、とくに
ロックリング4の内周側テーパ42と対向する頂部コー
ナを切り欠いて外側テーパ24を設けることが好まし
い。挿し口突部22は隅肉溶接によって固定する方法が
望ましい。受口1の出口開口端と挿し口2の外周面21
間に止水用のゴム輪3を介装し、ゴム輪3の外端面31
を二つ割の押輪6で押圧するように押輪6は受口フラン
ジ11とT頭ボルト・ナット7によって規定トルクで締
結している。一方、ゴム輪3の内端面32はバックアッ
プリング5を介してロックリング4の外端面45と圧接
して押輪6の締結力を伝達している。バックアップリン
グ5は一つ割であるロックリングの割れ目などによるゴ
ム輪の損傷を防ぐために介入した部材である。
【0014】ロックリング4は開き勝手の一つ割環状体
で形成した金属またはプラスチック材で製作し、その断
面は図1のようにコ字形である。中央付近は環状溝41
を凹設して受口突部13に嵌合し、環状溝41を挟んで
外端面45はバックアップリング5の側面と圧接し、反
対側の内端面44は挿し口突部22の側面と対向する
が、その両コーナーは切り欠いて内周側テーパ42と外
周側テーパ43とを形成している。このテーパー部はロ
ックリング4を受口突部13に嵌合するときに必要な一
つの特徴である。
【0015】図2(A)〜(D)は本発明に係る管継手
を接合するときの手順を示したものである。 図(A)においては挿し口2の外周面21へゴム輪
3、バックアップリング5、ロックリング4を順に装着
する。
【0016】図(B)においては受口1の内周面12
内へ挿し口2を十分に挿し込み、挿し口2の先端23を
受口の最深の段差14に対向させる。さらにこのロック
リング4を手動、または簡単な工具を使って受口突部1
3手前まで押し込むが、このときは開き勝手一つ割のロ
ックリング4は若干押し縮められて受口の内周面12
(平行部)に張り付く。
【0017】図(C)においてはバックアップリング
5とゴム輪3を押し進め、ロックリング4の外端面45
とバックアップリング5、およびロックリング5とゴム
輪3の内端面32とがそれぞれ当接するまで押し込む。
さらに受口1の外端側(図の左側)へ二つ割の押輪6を
上下から挿し口を挟むようにセットし、受口フランジ1
1とを繋ぐ形でT頭ボルト・ナット7を取付ける。
【0018】この状態にセットした後、T頭ボルト・ナ
ット7を適当な工具で締め付けていくと、ゴム輪3、バ
ックアップリング5、ロックリング4の順に押圧力が伝
えられ、ロックリング4は外周側テーパ43が受口1の
受口突部13の側面に衝き当って強制的に縮径して受口
突部13と挿し口外周面21間の狭い隙間に潜り込み、
さらに締結力が加わってロックリングの環状溝41が受
口突部13と適合するまで進むと、ロックリング4は自
動的に拡径して図2(D)のように環状溝41が受口突
部13に嵌まり込む。ここでT頭ボルト・ナット7を規
定されたトルクまで締め付けて必要な止水作用が発揮で
きる相互の位置関係を形成する。
【0019】この構造に接合した管継手においては、ロ
ックリング4の内周側テーパ42に対向して挿し口突部
22にも外側テーパ24を設けているので、管内水圧、
地殻変動などによって抜け出し方向に外力が働けば、内
周側テーパ42と外側テーパ24とが相互に全面で押圧
し合ってロックリング4を押し上げ、受口1の内周面1
2へ密着する方向に働くから、ロックリング4を通して
受口〜挿し口間の離脱防止機能は一層強化される。
【0020】なお、この図2(D)で示したように、受
口突部13の内側面から段差14までの距離Lを接合後
の受口突部13の内側面から挿し口先端23までの距離
Mよりも大きくすることによって、必要であれば挿し口
先端と受口段差間に伸縮できる機能を加えることもでき
る。
【0021】
【発明の効果】本発明は以上に述べたように止水機能が
ゴム輪だけの1箇所に集約されて従来のセットボルトを
廃止したから、円周上数箇所に及ぶセットボルトの取付
けが不要となり、接合作業は受口内へ挿し口を挿入した
後、T頭ボルト・ナットの締結だけで完結し、労務の簡
略化、部材数の低減はいうまでもないが、さらに止水箇
所の集約によって漏水の危険性は一挙に軽減され、使用
中に他工事の誤操作による損傷や漏水の原因もほぼ完全
に取り除かれるなど効果は顕著である。
【0022】接合工事に当ってはロックリングを拡大す
る器具を必要としないから、煩瑣な工程の省略と共に、
器具の管内への落下衝撃によってライニング面や防食塗
装面を傷付ける虞れがなく、極めて信頼性の高い接合状
態を常に確保する。また、構造的には挿し口2の外周面
に環状溝を刻設する加工が不要であり、薄肉に伴う強度
低下を補うための増肉が不要となり、重量を増加する不
利が解消する効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す要部の縦断正面図
(A)とロックリングの拡大断面図(B)である。
【図2】(A)〜(D)の要部縦断正面図によって本発
明の実施を行なう工程を段階的に示す。
【図3】従来技術の要部の縦断正面図である。
【図4】従来技術の施工における一手順を示す要部の側
面図である。
【符号の説明】 1 受口 2 挿し口 3 ゴム輪 4 ロックリング 5 バックアップリング 6 押輪 7 T頭ボルト・ナット 11 受口フランジ 12 内周面(受口) 13 受口突部 21 外周面(挿し口) 22 挿し口突部 23 先端 24 外側テーパ 31 外端面 32 内端面 41 環状溝(ロックリング) 42 内周側テーパ 43 外周側テーパ 44 内端面 45 外端面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭55−123083(JP,A) 特開 平1−247887(JP,A) 実開 平4−133090(JP,U) 実開 平1−108489(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16L 21/02,21/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 受口1と挿口2、両者間へ介装するゴム
    輪3、受口フランジ11と締結するT頭ボルト・ナット
    7によって前記ゴム輪3の外端面31を押圧して水封す
    る押輪6、及び挿し口2の外周面21上に周設した挿し
    口突部22と係合して離脱を防止するロックリング4を
    受口内周面12に具えた離脱防止形管継手において、受
    口1の内周面12に受口突部13を周設し、ロックリン
    グ4は該受口突部13に嵌合する環状溝41と、内周側
    テーパ42、外周側テーパ43をそれぞれ設けて前記挿
    し口突部22に対向する内端面44、該内端面44と逆
    側にあってバックアップリング5を介してゴム輪3の内
    端面32に押圧される外端面45を一体的に連続して断
    面コ字形で一つ割開き勝手の環状体で形成することを特
    徴とする離脱防止形管継手。
  2. 【請求項2】 請求項1においてロックリング4の内端
    面44に対向する挿し口突部22の側面を切り欠いて内
    周側テーパ42とほぼ適合する外側テーパ24を設けた
    ことを特徴とする離脱防止形管継手。
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