JP3338697B2 - ワイヤハーネス取付構造 - Google Patents

ワイヤハーネス取付構造

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ワイヤハーネス取
付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車に装備された各種の電気機器への
電力供給源としてオルタネータ(オルタネーチング・カ
レント・ジェネレータ:交流発電機)が従来より知られ
ており、図7及び図8に示す如く、この種のオルタネー
タ1は、エンジン2の車両前方側の側面部分に付帯装備
されており、オルタネータ1のプーリ3とクランクシャ
フト4のプーリ5と冷却ファン(図示せず)のプーリ6
とがファンベルト7により連動するようになっていて、
このファンベルト7を介し伝達されたクランクシャフト
4の動力を受けてオルタネータ1が発電を行うようにな
っている。
【0003】即ち、前記オルタネータ1においては、プ
ーリ3に伝達されたトルクにより、バッテリで励磁され
た磁極が内部で回転して固定のコイルに三相交流電流を
生じさせ、これをダイオードで整流することにより直流
として取り出し得るようになっている。
【0004】そして、このオルタネータ1は、その下端
部分をエンジン2の側面部分に対しブラケット8を介し
て取付けられ、その上端部分をオルタネータブレース9
を介して取付けられている。
【0005】ここで、前記オルタネータブレース9は、
一端をエンジン2の前面部分にボルト締結して車幅方向
外側へ張り出すように延びており、その他端側に形成し
た円弧状の長孔10の適宜位置にてボルト締結を行うこ
とにより、下方のブラケット8におけるボルト締結箇所
を基点としたオルタネータ1の傾動姿勢を調整してファ
ンベルト7の張り具合を適切に調整し得るようにしてあ
る。
【0006】また、特に図9に拡大して示す如く、前記
オルタネータブレース9には、その長手方向中途部に上
向きに張出部11が突設されており、この張出部11に
形成した係合孔12に対し、図10に示す如く、オルタ
ネータ1のワイヤハーネス13(組み配線)を把持した
クリップ14のプラグ部15を差し込んで係合するよう
にしている。
【0007】ここで、図10及び図11に示されている
ように、前記クリップ14は、一端にプラグ部15を備
えたベルト状に形成されており、該プラグ部15の基端
部分に形成したスリット16に対し、ワイヤハーネス1
3の外周に巻き回した他端側を挿通させて係止固定させ
ることによりワイヤハーネス13を把持し得るように構
成されている。
【0008】また、前記プラグ部15の両側に幅方向へ
拡縮自在に弾性変形する掛止爪17が形成されていると
共に、前記プラグ部15の基端側にスカート部18が鍔
状に形成されており、前記オルタネータブレース9の張
出部11の係合孔12に前記プラグ部15を圧入するこ
とにより前記張出部11の裏側に前記各掛止爪17を係
止させ得るようにしてあり、この際に前記スカート部1
8が前記張出部11の表側に圧接して前記各掛止爪17
と協働した挾圧固定を成すようになっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、オルタ
ネータブレース9にクリップ14を取付けるにあたって
は、先の図8に示されている通り、オルタネータブレー
ス9の張出部11に対しクリップ14を正規取付け側と
なる反エンジン2側(車両前方側)から取付けてワイヤ
ハーネス13が高温の排気マニホールド19に近接して
しまうような事態を極力避けるようにする必要がある
が、前述した如き従来構造では、張出部11がオルタネ
ータブレース9の本体側と同一の板状物として形成され
ていたため、張出部11に対しクリップ14のプラグ部
15を前後何れの方向からも支障なく取付けることがで
き、クリップ14のプラグ部15を誤取付け側となるエ
ンジン2側(車両後方側)から取付けてしまうような誤
取付けが起こる虞れがあった。
【0010】本発明は上述の実情に鑑みてなしたもの
で、オルタネータブレースなどの取付部材にワイヤハー
ネスをクリップにて取付ける場合における誤取付けを確
実に防止し得るようにすることを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、ワイヤハーネ
スをクリップにて取付部材に取付ける構造において、前
記取付部材の正規取付け側の側面に対し一部のみを重ね
て相互間に段差部分が形成されるようにブラケット部
設けられ、前記クリップがブラケット部の係合孔に対し
プラグ部を差し込んで係合する形式となっており、プラ
グ部の中心から該プラグ部の基端側に鍔状に形成されて
いるスカート部の外縁までの最短距離が、ブラケット部
側の係合孔の中心から誤取付け側の段差部分までの最短
距離よりも大きくなるように構成されていることを特徴
とするものである。
【0012】
【0013】このようにすれば、取付部材のブラケット
部に誤取付け側からクリップのプラグ部を差し込んで係
合させようとしても、該プラグ部の基端側のスカート部
が取付部材の誤取付け側の段差部分と干渉して前記プラ
グ部の差し込みが阻止されるので、クリップの誤取付け
が確実に防止されることになる。
【0014】また、クリップがブラケット部に対し平坦
部を重ね合わせてボルト締結する形式である場合には、
平坦部のボルト孔の中心から平坦部外縁までの最短距離
が、ブラケット部側のボルト孔の中心から誤取付け側の
段差部分までの最短距離よりも大きくなるように構成す
れば良い。
【0015】このようにすれば、取付部材のブラケット
部に誤取付け側からクリップの平坦部を重ね合わせてボ
ルト締結させようとしても、該平坦部が取付部材の誤取
付け側の段差部分と干渉して前記平坦部のプラグ部への
重ね合わせが阻止されるので、クリップの誤取付けが確
実に防止されることになる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面を
参照しつつ説明する。
【0017】図1及び図2は本発明を実施する形態の一
例を示すもので、図7〜図11と同一の符号を付した部
分は同一物を表わしている。
【0018】図1に示す如く、本形態例においては、オ
ルタネータブレース9の長手方向中途部に上向きに張出
部20を突設し、該張出部20の正規取付け側となる反
エンジン2側(車両前方側)の側面に対し一部のみを重
ねて相互間に段差部分22,22’が形成されるように
ブラケット部21を溶接し、図2に二点鎖線で示す如
く、前記ブラケット部21に対し誤取付け側となるエン
ジン2側からクリップ14を取付けようとした場合に、
該クリップ14の適宜部位がエンジン2側の段差部分2
2’と干渉してクリップ14の取付けが阻止されるよう
に構成している。
【0019】即ち、ここに図示している例では、先の図
10及び図11と略同様の形式のクリップ14を採用し
ており、このクリップ14は、ブラケット部21の係合
孔23に対しプラグ部15を差し込んで係合する形式と
なっているので、プラグ部15の中心から該プラグ部1
5の基端側に鍔状に形成されているスカート部18の外
縁までの最短距離L1が、ブラケット部21側の係合孔
23の中心からエンジン2側の段差部分22’までの最
短距離L2よりも大きくなるようにしてある。
【0020】而して、このようにすれば、オルタネータ
ブレース9のブラケット部21にエンジン2側からクリ
ップ14のプラグ部15を差し込んで係合させようとし
ても、該プラグ部15の基端側のスカート部18がオル
タネータブレース9のエンジン2側の段差部分22’と
干渉して前記プラグ部15の差し込みが阻止されるの
で、クリップ14の誤取付けが確実に防止されることに
なる。
【0021】従って、上記形態例によれば、オルタネー
タブレース9へのクリップ14の取付け時における誤取
付けを確実に防止することができるので、ワイヤハーネ
ス13が高温の排気マニホールド19(図8参照)に近
接してしまうような事態を未然に回避し得てワイヤハー
ネス13の熱による破損を防ぐことができる。
【0022】尚、ブラケット部21の係合孔23に対し
プラグ部15を差し込んで係合する形式のクリップ14
としては、例えば、図3に示す如く、弾性変形するフッ
ク状の把持部24にワイヤハーネス13を把持させるよ
うにしたものや、図4に示す如く、パースロックと称さ
れる方式で一対のS字状のアーム部25を捻り係合させ
ることにより両アーム部25の間にワイヤハーネス13
を把持させるようにしたものなどがあり、何れの場合に
も本形態例に示した如き同様の構造を適用することで誤
取付けを防止できる(図3及び図4中における機能的に
従来のクリップと同様の部分については図2の符合と同
じものを付してある)。
【0023】また、図5は一般的にPクリップと称され
ているクランプ型のクリップ14’を採用した場合を例
示したものであり、このクリップ14’は、側面形状が
Pの字型を成すように折り返して円弧状の中途部分にワ
イヤハーネス13を挟み込み、その両端部が成す平坦部
26を取付け相手側に対し重ね合わせてボルト締結する
形式となっているが、このようなブラケット部21に対
し平坦部26を重ね合わせてボルト締結する形式のクリ
ップ14’の場合には、図6に示す如く、平坦部26の
ボルト孔27の中心から平坦部26外縁までの最短距離
L3が、ブラケット部21側のボルト孔28の中心から
エンジン2側の段差部分22’までの最短距離L4より
も大きくなるように構成すれば良い。
【0024】このようにすれば、オルタネータブレース
9のブラケット部21にエンジン2側からクリップ1
4’の平坦部26を重ね合わせてボルト締結させようと
しても、該平坦部26がオルタネータブレース9のエン
ジン2側の段差部分22’と干渉して前記平坦部26の
プラグ部15への重ね合わせが阻止されるので、クリッ
プ14’の誤取付けが確実に防止されることになる。
【0025】尚、本発明のワイヤハーネス取付構造は、
上述の形態例にのみ限定されるものではなく、オルタネ
ータブレースなどのエンジンに取付けられた取付部材以
外にも、シャシやキャブなどに取付けられた各種の取付
部材に対し、エンジンからの熱害や路面からの飛石によ
る損傷等を避ける目的でクリップの取付け方向を規制し
たい全ての場合に適用できること、また、クリップの形
状は図示する例に限定されないこと、その他、本発明の
要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得るこ
とは勿論である。
【0026】
【発明の効果】上記した本発明のワイヤハーネス取付構
造によれば、オルタネータブレースなどの取付部材にワ
イヤハーネスをクリップにて取付ける場合における誤取
付けを確実に防止することができるので、クリップを誤
って正規取付け側でない誤取付け側から取付けてしまっ
た場合に、ワイヤハーネスがエンジンからの熱害や路面
からの飛石による損傷等を受けてしまうような事態を未
然に回避し得てワイヤハーネスの破損を防ぐことができ
るという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する形態の一例を示す斜視図であ
る。
【図2】図1のブラケット部をクリップと共に上方から
見た平面図である。
【図3】クリップの変形例を示す側面図である。
【図4】クリップの別の変形例を示す側面図である。
【図5】図2とは取付けの形式が異なるクリップの一例
を示す斜視図である。
【図6】図5のクリップに適用した別の形態例を示す平
面図である。
【図7】オルタネータの配置状態を説明する正面図であ
る。
【図8】図7の要部についての斜視図である。
【図9】従来例を示す斜視図である。
【図10】図9の張出部をクリップと共に上方から見た
平面図である。
【図11】図10のクリップの側面図である。
【符号の説明】
1 オルタネータ 2 エンジン 9 オルタネータブレース(取付部材) 13 ワイヤハーネス 14 クリップ 14’ クリップ 15 プラグ部 18 スカート部 21 ブラケット部 22 段差部分 22’ 段差部分 23 係合孔 26 平坦部 27 ボルト孔 28 ボルト孔 L1 最短距離 L2 最短距離 L3 最短距離 L4 最短距離
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02G 3/30 F16B 2/22 F16B 5/06 F16B 19/00 F16L 3/12

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ワイヤハーネスをクリップにて取付部材
    に取付ける構造において、前記取付部材の正規取付け側
    の側面に対し一部のみを重ねて相互間に段差部分が形成
    されるようにブラケット部が設けられ、前記クリップが
    ブラケット部の係合孔に対しプラグ部を差し込んで係合
    する形式となっており、プラグ部の中心から該プラグ部
    の基端側に鍔状に形成されているスカート部の外縁まで
    の最短距離が、ブラケット部側の係合孔の中心から誤取
    付け側の段差部分までの最短距離よりも大きくなるよう
    に構成されていることを特徴とするワイヤハーネス取付
    構造。
  2. 【請求項2】 ワイヤハーネスをクリップにて取付部材
    に取付ける構造において、前記取付部材の正規取付け側
    の側面に対し一部のみを重ねて相互間に段差部分が形成
    されるようにブラケット部が設けられ、前記クリップが
    ブラケット部に対し平坦部を重ね合わせてボルト締結す
    る形式となっており、平坦部のボルト孔の中心から平坦
    部外縁までの最短距離が、ブラケット部側のボルト孔の
    中心から誤取付け側の段差部分までの最短距離よりも大
    きくなるように構成されていることを特徴とするワイヤ
    ハーネス取付構造。
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