JP3337157B2 - 核磁気共鳴装置 - Google Patents

核磁気共鳴装置

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JP3337157B2
JP3337157B2 JP21858393A JP21858393A JP3337157B2 JP 3337157 B2 JP3337157 B2 JP 3337157B2 JP 21858393 A JP21858393 A JP 21858393A JP 21858393 A JP21858393 A JP 21858393A JP 3337157 B2 JP3337157 B2 JP 3337157B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は核磁気共鳴装置に関し、
特に拡散係数または組織灌流による擬似拡散係数を測定
する核磁気共鳴装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、核磁気共鳴装置において、対
象物体の拡散係数または組織灌流による擬似拡散係数を
測定する方法が、種々提案されている。現在、特に広く
使用されているのはStejskal-Tannerのパルスシーケ
ンス(E.O. Stejskal and J.E. Tanner,The Jou
rnal of Chemical Physics,42号,288-292頁,1965年)
を基礎としたものである。この方法は、拡散係数などを
測定するために、高周波磁場による核スピンの励起の
後、互いに補償する二つ以上の傾斜磁場を印加した後、
信号を取得するものである。ここで、「互いに補償する」
という意味は、分子が移動していないときには、核スピ
ンの位相を回転させる影響を相殺するということであ
る。しかし、実際には、拡散の影響により、傾斜磁場の
印加強度・時間に応じた割合で信号強度が減衰する。そ
こで、傾斜磁場の印加強度および時間を変化させたとき
の信号強度の減衰量から、拡散係数を求めることが可能
となる。この拡散係数を測定するために印加する傾斜磁
場は、拡散感受傾斜磁場(Motion Probing Gradient)
と呼ばれている。また、信号強度の減衰量に与える傾斜
磁場の影響を数値化したものは、傾斜磁場因子と呼ばれ
ている。なお、拡散係数の測定に関する他の例として
は、例えば、特開平4-135538号公報,同4-357934号公報
に開示された技術などが挙げられる。以降、簡単のため
に拡散係数と組織灌流による擬似拡散係数をまとめて、
単に「拡散係数」と呼ぶことにする。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、磁場
不均一に起因する拡散係数の誤差については、全く考慮
されていない。すなわち、磁場不均一がある場合、拡散
感受傾斜磁場の印加強度の設定値と、実際に核スピンが
受ける傾斜磁場強度とが異なり、傾斜磁場因子の計算値
と実際の値との間に誤差が生じる。この結果、傾斜磁場
因子を用いて計算される拡散係数にも誤差が生じる。例
えば、実際の傾斜磁場因子が計算値よりも大きい場合に
は、拡散係数は大きく計算されてしまう。この誤差は、
磁場不均一にほぼ比例し、拡散感受傾斜磁場の印加強度
にほぼ反比例する。この誤差は、単に拡散係数の信頼性
を低下させるだけではなく、拡散画像において、たとえ
同じ拡散係数であっても、場所によって拡散係数が異な
っているように見せてしまう。本発明は上記事情に鑑み
てなされたもので、その目的とするところは、従来の技
術における上述の如き問題を解消し、磁場不均一に起因
する拡散係数の誤差を除去し、正確な拡散係数を求める
ことが可能な、核磁気共鳴装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の上述の目的は、
静磁場、傾斜磁場および高周波磁場の各磁場発生手段
と、検査対象からの核磁気共鳴信号を検出する信号検出
手段と、該信号検出手段による検出信号の演算およびパ
ルスシーケンスの制御を行う計算機と、該計算機による
演算結果を出力する出力手段とを具備し、前記計算機
は、磁場不均一データの空間的な傾斜成分を計算し、前
記傾斜成分と、拡散係数を測定するデータの取得時に印
加される傾斜磁場とを加算したのち、場所に依存する
斜磁場因子を計算し、前記傾斜磁場因子を用いて前記拡
散係数を計算することを特徴とする核磁気共鳴装置によ
って達成される。
【0005】
【作用】拡散感受傾斜磁場の傾斜方向と、磁場不均一の
傾斜成分が同一方向のときには傾斜磁場因子は増強さ
れ、逆方向のときには、傾斜磁場因子は減少させられ
る。そのため、同一方向のときには傾斜磁場因子は計算
値よリ大きくなリ、拡散係数は大きく計算される。逆方
向のときには傾斜磁場因子は計算値より小さくなり、拡
散係数は小さく計算される。従来技術ではこの点を考慮
していないために、計算された拡散係数に磁場不均一に
起因する誤差が混入していた。これは、傾斜磁場因子が
場所によらず一定値であるとしていたためである。そこ
で、本発明に係る核磁気共鳴装置においては、磁場不均
一に応じて場所の関数となる傾斜磁場因子を拡散係数の
計算に用いることで、磁場不均一の影響を除去する。す
なわち、まず、磁場不均一と拡散係数測定における印加
傾斜磁場の両方を考慮して、傾斜磁場因子を計算する。
この傾斜磁場因子は磁場不均一の項があるために、場所
によって異なる値をとる。炊に、従来と同様の拡散係数
測定方法を用いてデータを取得する。最後に、取得した
データから、場所の関数である傾斜磁場因子を用いて、
拡散係数を計算する。これによリ、正確な拡散係数を測
定することが可能となる。
【0006】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。図1は、本発明の一実施例に係る核磁気共
鳴装置における拡散係数測定方法を実施する検査装置
(以下、単に「検査装置」という)の概略構成図である。図
において、1は静磁場 H0を発生する磁石、2は対象物
体、3は高周波磁場の発生と対象物体2から生じる信号
の検出のためのコイル、4,5,6はそれぞれX方向,
Y方向およびZ方向の傾斜磁場を発生させるための傾斜
磁場発生コイルである。また、7は上記各傾斜磁場発生
コイル4,5,6に電流を供給するためのコイル駆動装
置、8は計測されたデータの演算を行うための計算機、
9は計算機8での演算結果を表示するためのCRTディ
スプレイである。
【0007】次に、本検査装置の動作の概要を説明す
る。対象物体2の核スピンを励振する高周波磁場 H
1は、シンセサイザ10により発生させた高周波を変調
装置11で波形整形,電力増幅し、コイル3に電流を供
給することにより発生させる。コイル駆動装置7から電
流を供給された傾斜磁場発生コイル4、5、6は傾斜磁
場を発生し、対象物体2からの信号を変調する。この変
調された信号はコイル3により受信され、増幅機12で
増幅、検波装置13で検波された後、計算機8に入力さ
れる。計算機8は演算後、演算結果をCRTディスプレ
イ9で表現する。なお、計算機8は予めプログラムされ
たタイミング,強度で各装置が動作するように制御を行
う。上述のプログラムのうち、特に高周波磁場,傾斜磁
場,信号受信のタイミングや強度を記述したものは、パ
ルスシーケンスと呼ばれている。
【0008】図2に、本発明の一実施例に係る拡散係数
測定の流れ図を示す。ステップ15では、拡散係数測定
用パルスシーケンスとパラメータを決定する。ステップ
16では、予め取得された磁場不均一データと、ステッ
プ15で決定された拡散係数測定用パルスシーケンスか
ら、傾斜磁場因子を計算する。但し、磁場不均一データ
が予め取得されていない場合は、ここで、磁場不均一デ
ータを測定する。前述の如く、傾斜磁場因子は磁場不均
一の項を含むため、場所によって異なる値をとる。ステ
ップ17では、ステップ15で決定されたパルスシーケ
ンスを用いて測定を行う。また、ステップ18では、ス
テップ15で計算された傾斜磁場因子とステップ17で
測定されたデータとから、拡散係数を計算する。以下
に、各ステップでの処理について、詳細に説明する。
【0009】まず、ステップ15とステップ17につい
て、詳細に説明する。図3に、拡散画像測定のパルスシ
ーケンスの一例を示す。ここで、拡散画像とは、空間的
な位置の関数として拡散係数を表わすものである。拡散
感受傾斜磁場の強度を一つ固定して、スライス傾斜磁場
22の印加とともに励起高周波磁場パルス19を印加
し、対象物体内のあるスライス内に核磁気共鳴現象を誘
起する。次に、反転高周波磁場パルス20を印加するこ
とで磁化を反転し、これによりエコー21を形成する。
エコー21は、リードアウト傾斜磁場23が印加された
状態でサンプリングされ、データとして格納される。
【0010】更に、このリードアウト傾斜磁場の印加に
よりエコーピークにずれが生じないように、励起高周波
磁場パルス19と反転高周波磁場パルス20との間に、
一旦核スピン位相をディフェーズしておくための傾斜磁
場24を、所定時間印加しておく。また、励起高周波磁
場パルス19と反転高周波磁場パルス20との間、およ
び反転高周波磁場パルス20とエコー21のサンプリン
グとの間に、互いに補償する二つの拡散感受傾斜磁場2
7,28を印加し、この二つの拡散感受傾斜磁場を強度
の時間積分が等しくなるように調整する。すなわち、二
つの拡散感受傾斜磁場が、核スピンの位相を回転させる
影響を相殺するように調整する。
【0011】エコー21のサンプリングに先立ち、核ス
ピンの位相にエンコード方向の位置情報を付加するため
のエンコード傾斜磁場25を印加する。このエンコード
傾斜磁場の強度は、プログラムに従って変更されなが
ら、複数回の測定が繰り返される。例えば、エンコード
傾斜磁場をM回変化して、N点サンプリングすれば、N
×M点の2次元データが得られる。こうして得られたデ
ータを2次元フーリエ変換することで、拡散感受傾斜磁
場が一つ固定されたときの2次元画像が取得できる。以
下、この拡散感受傾斜磁場の印加強度を変更して、同様
な撮像を複数回繰り返す。
【0012】但し、拡散感受傾斜磁場の印加方向は、リ
ードアウト方向と同一である必要はなく、任意の方向で
よい。また、一軸だけではなく、二軸同時や三軸同時に
印加してもよい。また、後で図6に示すように、スライ
ス内の位置情報を付与するための傾斜磁場を印加する方
法、または、マルチスライスと呼ばれる方法により、3
次元画像を取得することも可能である。上記実施例によ
れば、磁場不均一の影響を除去した正確な、拡散係数を
空間的な位置の関数として表わす拡散画像を計測するこ
とができる。なお、図3に示した拡散係数の測定方法
は、一例を示したものであり、他の測定方法にも、本発
明は適用可能である。
【0013】例えば、図4は、STEAM(Stimulated
Echo Acquisition Mode)と呼ばれる方法のパルスシ
ーケンスで、以下に、その動作概要を説明する。まず、
拡散感受傾斜磁場強度を一つ固定する。スライス傾斜磁
場22の印加とともにπ/2−高周波磁場パルス29を
印加し、対象物体内のあるスライス内に核磁気共鳴現象
を誘起する。次に、π/2−高周波磁場パルス30を印
加し、更に、π/2−高周波磁場パルス31を印加し
て、これによりエコー21を形成する。エコー21は、
リードアウト傾斜磁場23が印加された状態でサンプリ
ングされ、データとして格納される。
【0014】更に、このリードアウト傾斜磁場の印加に
より、エコーピークにずれが生じないように、サンプリ
ングに先立ち、一旦、スピン位相をディフェーズしてお
くための傾斜磁場24を所定時間印加しておく。また、
π/2−高周波磁場パルス29とπ/2−高周波磁場パ
ルス30の間、および、π/2−高周波磁場パルス31
とエコー21のサンプリングの間に、互いに補償する二
つの拡散感受傾斜磁場27,28を印加する。この二つ
の拡散感受傾斜磁場を、強度の時間積分が等しくなるよ
うに調整する。また、エコー21のサンプリングに先立
ち、スピンの位相にエンコード方向の位置情報を付加す
るためのエンコード傾斜磁場25を印加する。
【0015】このエンコード傾斜磁場の強度は、プログ
ラムに従って変更されながら、複数回の測定が繰り返さ
れる。例えば、エンコード傾斜磁場をM回変化して、N
点サンプリングすれば、N×M点の2次元データが得ら
れる。こうして得られたデータを2次元フーリエ変換す
ることで、拡散感受傾斜磁場が一つ固定されたときの画
像が取得できる。以下、この拡散感受傾斜磁場の印加強
度を変更して、同様な計測を複数回繰り返す。上記実施
例によれば、磁場不均一の影響を除去した正確な、拡散
係数を空間的な位置の関数として表わす拡散画像を計測
することができる。
【0016】本発明は、拡散化学シフト画像の測定方法
にも適用可能である。ここで、拡散化学シフト画像と
は、空間的かつ化学シフト的な位置の関数として拡散係
数を表わすものである。また、化学シフトとは、分子に
よって同一原子の核スピンであっても共鳴周波数が異な
ることを言う。拡散化学シフト画像の場合にも、前述の
拡散画像測定の場合と同様に、磁場不均一によって拡散
係数の計算値に誤差が生じる。この誤差についても、本
発明に係る測定方法により磁場不均一のデータを求め
て、傾斜磁場因子を補正することで、除去することが可
能である。図5に、拡散化学シフト画像測定のパルスシ
ーケンスを示す。まず、拡散感受傾斜磁場の強度を一つ
固定する。
【0017】スライス傾斜磁場22の印加とともに励起
高周波磁場パルス19を印加し、対象物体内のあるスラ
イス内に核磁気共鳴現象を誘起する。次に、反転高周波
磁場パルス20を印加することで磁化を反転し、これに
よりエコー21を形成する。エコー21はサンプリング
され、データとして格納される。励起高周波磁場パルス
19と反転高周波磁場パルス20との間、および、反転
高周波磁場パルス20とサンプリングとの間に、互いに
補償する二つの拡散感受傾斜磁場27,28を印加す
る。この二つの拡散感受傾斜磁場を、強度の時間積分が
等しくなるように調整する。また、サンプリングに先立
ち、スピンの位相に空間方向の情報を付加するために、
互いに直交する二つのエンコード傾斜磁場32,33を
印加する。このエンコード傾斜磁場の強度は、プログラ
ムに従って変更されながら、複数回、測定が繰り返され
る。
【0018】このとき、例えば、各々のエンコード傾斜
磁場をM回変化させ、N点サンプリングすると、N×M
×M点の3次元データが得られる。こうして得られたデ
ータを3次元フーリエ変換することで、拡散感受傾斜磁
場が一つ固定されたときの化学シフト画像が取得でき
る。以下、この拡散感受傾斜磁場の印加強度を変更して
同様な撮像を複数回繰り返す。また、ステップ16で使
用する磁場不均一データを用いて、化学シフトの磁場不
均一による周波数ずれを補正してもよい。ステップ15
では、上述のような測定パルスシーケンスを選択し、高
周波磁場や傾斜磁場の印加タイミング,印加強度,印加
方向などを決定する。
【0019】ステップ17では、ステップ15で決定し
た測定方法に従い、測定を行う。また、必要ならば、高
周波磁場や傾斜磁場の印加タイミング,印加強度などの
微調整を行う。次に、ステップ16での処理について説
明する前に、磁場不均一データの取得方法について、図
6を用いて説明する。但し、この方法は磁場不均一デー
タ取得方法の一例であり、この方法に限るものではな
い。また、すでに磁場不均一データが得られている場合
には、データを取得する必要はなく、該データを使用し
てもよい。スライス傾斜磁場22の印加とともに励起高
周波磁場パルス19を印加し、対象物体内のあるスライ
ス内に核磁気共鳴現象を誘起する。
【0020】次に、反転高周波磁場パルス20を印加す
ることで磁化を反転し、これによりエコー21を形成す
る。ここで、典型的には、励起高周波磁場パルスとして
信号強度が最大となるπ/2パルスが用いられ、反転高
周波磁場パルスとしては、πパルスが用いられる。励起
高周波磁場パルス19からエコー21までの時間は、エ
コー時間(TE)と呼ばれている。エコー21は、リード
アウト傾斜磁場23が印加された状態でサンプリングさ
れ、データとして格納される。更に、このリードアウト
傾斜磁場の印加によりエコーピークにずれが生じないよ
うに、励起高周波磁場パルス19と反転高周波磁場パル
ス20との間に、一旦、核スピン位相をディフェーズし
ておくための傾斜磁場24を、所定時間印加しておく。
【0021】また、エコー21のサンプリングに先立
ち、核スピンの位相にエンコード方向の位置情報を付加
するためのエンコード傾斜磁場25と、スライス内の位
置情報を付加するための傾斜磁場26を印加する。この
傾斜磁場25と26の強度は、プログラムに従って変更
されながら、複数回の測定が繰り返される。例えば、傾
斜磁場26をL回、傾斜磁場25をM回変化して、N点
ずつサンプリングすれば、N×M×L点の3次元データ
が得られる。こうして得られたデータを3次元フーリエ
変換することで、画像1が取得できる。次に、反転高周
波磁場パルス20の印加タイミングをずらしてエコー時
間を変化させ、上と同様な計測を行って画像2を取得す
る。
【0022】ここで、画像1と画像2の位相は、エコー
時間のずれと磁場不均一に応じた量だけ回転している。
これは、次の式(数1)で表わされる。
【数1】 なお、上式(数1)中でvは位置を表わし、Δθ(v)は画
像1と画像2との位相差(rad)、γは磁気回転比(rad/
Ts)、ΔH0(v)は磁場不均一(T)、また、Δtは画像
1と画像2とのエコー時間の差(s)である。この式(数
1)を用いて位相差Δθ(v)から、磁場不均一ΔH0(v)
を求める。
【0023】但し、測定対象がスライス方向に短い場合
には、スライス傾斜磁場22を印加せずに、測定を行う
ことが可能である。また、傾斜磁場26を印加せずに、
マルチスライスと呼ばれる方法で、3次元の磁場不均一
データを取得してもよい。この方法は、励起スライスを
変化させて3次元データを構成するものである。また、
ステップ16で詳しく説明するが、拡散係数測定パルス
シーケンスで、拡散感受傾斜磁場の印加方向によって
は、3次元の磁場不均一データを得る必要はない。この
場合には、傾斜磁場26を印加せずにM×L点の2次元
データを測定し、2次元フーリエ変換して画像を構成
し、2次元の磁場不均一データを取得すればよい。
【0024】なお、本パルスシーケンスの傾斜磁場の方
向,強度,時間などを、図3に示した拡散画像測定用パ
ルスシーケンスの画像化に必要な傾斜磁場、すなわち、
拡散感受傾斜磁場以外のスライス傾斜磁場,リードアウ
ト傾斜磁場,エンコード傾斜磁場のものと同一とするこ
とで、化学シフトによる位置ずれの影響などを除去する
ことが可能である。また、磁場不均一の測定方法はこれ
に限ったものではない。例えば、化学シフト画像測定パ
ルスシーケンスを用いて、磁場不均一による共鳴周波数
の差を直接測定する方法などがある。
【0025】次にステップ16について詳細に説明す
る。まずステップ14で得られた 磁場不均一データΔ
0(v)から磁場不均一の傾斜成分ベクトル g(v)=
(gx(v) gy(v) gz(v))を、次の式(数2)で計算す
る。
【数2】
【0026】なお、実際のデータは離散点で取得される
ため、式(数2)の偏微分は、差分で計算する。次に、ス
テップ15で決定された印加傾斜磁場と上で計算された
磁場不均一の傾斜成分とを合わせて、傾斜磁場因子b
(v)(s/m2)を、次の式(数3)で計算する。
【数3】 ここで、γは磁気回転比(rad/s)、u,tは時間(s)、
G(u)=(Gx(u) Gy(u) Gz(u))は 時刻uでの傾斜
磁場強度(T/m)のベクトルである。拡散感受傾斜磁場
を変化させたすべての拡散係数測定についてb(v)を計
算する。
【0027】従来法と大きく異なる点は、傾斜磁場因子
の計算に磁場不均一の傾斜成分を考慮したので、傾斜磁
場因子が場所に依存する関数になっている点である。但
し、通常の拡散係数測定では磁場不均一の傾斜成分は拡
散感受傾斜磁場強度の約2%程度と非常に小さい。この
ため拡散感受傾斜磁場とクロスタームのない傾斜磁場因
子の傾斜成分は無視することができ、傾斜磁場因子の計
算を簡略化することが可能である。例えば、図3のよう
なパルスシーケンスで、拡散感受傾斜磁場と磁場不均一
だけを考慮すると、磁場不均一の傾斜成分の2次項は無
視できるため、次の式(数4)で傾斜磁場因子b(v)が計
算できる。
【数4】
【0028】ここで、Gは拡散感受傾斜磁場強度(T/
m)、gread(v)はリードアウト方向の磁場不均一の傾
斜成分(T/m)、δ,Δは図3に示した時間(s)であ
る。更に言えば、拡散係数測定によっては、3次元の磁
場不均一データは必要ではなく、2次元の磁場不均一デ
ータで十分な場合がある。例えば、図3の場合のよう
に、拡散感受傾斜磁場がスライス方向の磁場不均一の傾
斜成分とクロスタームを持たないときには、式(数4)か
ら明らかなように、スライス方向の磁場不均一を測定す
る必要はなく、2次元データを測定すればよい。なお、
ステップ17で傾斜磁場の印加時間、強度などを調整し
たときには、その値を使用してもよい。
【0029】次に、ステップ18について詳細に説明す
る。ステップ15とステップ17の説明で述べたよう
に、拡散感受傾斜磁場などを核スピンの位相を回転させ
る影響を相殺するように調整する。しかし、拡散のある
場合には、分子が移動してしまうために、核スピンの位
相を回転させる影響は相殺されず、拡散係数と傾斜磁場
の印加強度・時間に応じて信号強度が減衰する。このと
き、信号強度をS(v)とすると、次の式(数5)が成り立
つ。
【数5】
【0030】ここで、vは位置を表わし、D(v)は拡散
係数(m2/s)、S0(v)はb(v)=0のときの信号強度
である。また、b(v)は傾斜磁場因子(s/m2)である。
ステップ18では、前述のステップ17で測定された複
数のS(v)と、それに対応してステップ16で計算され
た傾斜磁場因子b(v)を式(数5)に代入して、カーブフ
ィッティングの手法を用いて、拡散係数D(v)を求め
る。カーブフィッティングとは、図7に示すように、式
(数1)によって決まるグラフとデータとの距離が最も小
さくなるように、D(v)を決定するものである。ここ
で、距離としては、通常、最小自乗距離が用いられる。
なお、図7において、例えば、1.00e+9は、1.00×10
9を表わす。
【0031】また、式(数5)は、拡散係数が一つの場合
であるが、二種類以上の物質を測定対象とした場合や、
拡散と組織灌流を分ける場合には、式(数5)の代わりに
次の式(数6)を仮定して、カーブフィッティングを行
う。
【数6】 ここで、nは求めたい拡散係数または組織灌流による擬
似拡散係数の個数で、Di(v)、Ai(v)はそれぞれ対応
する拡散係数または擬似拡散係数、b(v)=0での信号
強度である。
【0032】本発明は、制限拡散における障壁の大きさ
や障壁の浸透性などを測定する場合にも適用することが
可能である。なお、この測定方法については、例えば、
J.E.Tanner and E.O.Stejskal,The Journal of
Chemical Physics,49号,1768頁,1968年)を参考とさ
れたい。なお、上記実施例は本発明の一例を示したもの
であり、本発明はこれに限定されるべきものではないこ
とは言うまでもないことである。
【0033】
【発明の効果】以上、詳細に説明した如く、本発明によ
れば磁場不均一の影響を除去し、拡散係数または組織
灌流による擬似拡散係数を正確に求めることが可能な核
磁気共鳴装置を実現できるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る拡散係数測定方法を実
施する際に用いられる検査装置の構成例を示す図であ
る。
【図2】実施例に係る、拡散係数測定の流れを表わす図
である。
【図3】実施例に係る、拡散画像を測定するためのパル
スシーケンスの一例を示す図である。
【図4】実施例に係る、拡散画像を測定するためのパル
スシーケンスの他の例を示す図である。
【図5】実施例に係る、拡散化学シフト画像を測定する
ためのパルスシーケンスの一例を示す図である。
【図6】実施例に係る、磁場不均一を測定するためのパ
ルスシーケンスの一例を示す図である。
【図7】傾斜磁場因子と信号強度の関係を表わすグラフ
の一例である。
【符号の説明】
1:静磁場発生用磁石、2:対象物体、3:高周波磁場
発生および信号検出用コイル、4、5、6:傾斜磁場発
生用コイル、8:計算機、9:CRTディスプレイ、1
5:拡散係数測定方法およびパラメータを決定する工
程、16:磁場不均一に応じた傾斜磁場因子を計算する
工程、17:拡散係数を測定する工程、18:拡散係数
を計算する工程、19:励起高周波磁場パルス、20:
反転高周波磁場パルス、21:エコー、22:スライス
傾斜磁場、23:リードアウト傾斜磁場、25:エンコ
ード傾斜磁場、27、28:拡散感受傾斜磁場。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 悦治 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (56)参考文献 特開 平4−135538(JP,A) 特開 平4−357934(JP,A) 特開 平4−343833(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 5/055

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 静磁場、傾斜磁場および高周波磁場の各
    磁場発生手段と、検査対象からの核磁気共鳴信号を検出
    する信号検出手段と、該信号検出手段による検出信号の
    演算およびパルスシーケンスの制御を行う計算機と、該
    計算機による演算結果を出力する出力手段とを具備し、
    前記計算機は、磁場不均一データの空間的な傾斜成分を
    計算し、前記傾斜成分と、拡散係数を測定するデータの
    取得時に印加される傾斜磁場とを加算したのち、場所に
    依存する傾斜磁場因子を計算し、前記傾斜磁場因子を用
    いて前記拡散係数を計算することを特徴とする核磁気共
    鳴装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の核磁気共鳴装置におい
    て、前記パルスシーケンスは前記磁場不均一の測定を含
    ことを特徴とする核磁気共鳴装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の核磁気共鳴装置におい
    て、前記パルスシーケンスで、前記磁場不均一の測定、
    および空間的な位置の関数としての前記拡散係数を表わ
    す拡散画像の測定に使用される傾斜磁場のうち、画像化
    に必要な傾斜磁場の印加の方向、強度、時間の一部また
    は全てを同一とすることを特徴とする各磁気共鳴装置。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の核磁気共鳴装置におい
    て、前記拡散係数または組織灌流による擬似拡散係数の
    空間分布と化学シフト分布の関数として拡散画像を測定
    することを特徴とする核磁気共鳴装置。
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