JP3337119B2 - Pwm制御装置 - Google Patents
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Description
力変換器をPWM(パルス幅変調)制御するPWM制御
装置に係り、特に、スイッチング周波数の低い場合にお
いて、ビート現象を抑制し、かつ、高応答な制御システ
ムを実現する技術に関する。
の代表例としては、三角波キャリアと指令値とを比較
し、PWMパルスを作成する三角波比較法がある。現在
では、この技術をディジタル化し、一定周期(キャリア
波の周期に相当)毎に指令値に相当するパルス幅を演算
し、ビットのオン・オフによりPWM制御を行ってい
る。これらのPWM方式には、大別して非同期PWM制
御と同期PWM制御の2つがある。キャリア周波数が指
令値の周波数(本発明では、PWM変調される指令値
は、正弦波等の周期関数である。)に比べて十分高い場
合には、キャリア周波数を一定値に固定する非同期PW
M制御が用いられる。これは、汎用インバータ、圧延機
駆動インバータ、FA用サーボ等に採用されている。キ
ャリア周波数と指令値の周波数が比較的接近している場
合には、キャリア周波数が常に指令値の周波数の整数倍
になるように同期を取るPWM方式(同期PWM制御)
が用いられる。この場合、指令値の周波数の変化に従っ
て、キャリア周波数とそれらの比率(整数比)を変化さ
せなければならない。これは、電気車や無効電力補償装
置等、大容量の電力変換器に使用されている。
キャリア周波数が指令値の周波数に対して十分高い周波
数である場合に用いられ、キャリア周波数と指令値の周
波数の比は、15〜20倍以上必要であると言われてい
る。これ以下の比率では、低次高調波の増加、ビート現
象の発生等の問題が生じ、著しく性能が劣化する。この
状態で電動機を駆動すると、大きなトルク脈動が発生す
る。よって、指令値の周波数に対してキャリア周波数を
十分高く設定すれば、これらの問題は生じないが、スイ
ッチング損失が増大し、効率が劣化する等、別の問題が
生じてくる。また、大容量の電力変換器では、使用する
半導体素子に限界があり、物理的にキャリア周波数を高
くすることができない。同期PWM制御の場合、低いキ
ャリア周波数であっても、高調波はある程度抑制され、
ビート現象は完全に抑制できる。しかし、指令値の周波
数に依存して、キャリア周波数とパルス数(キャリア周
波数と指令値周波数の比率)を切り替えなければならな
いため、制御回路が複雑になる、パルス数の切り替えに
伴う脈動(切り替えショック)が発生する、等が問題と
して残る。さらに、同期PWM制御で電動機を駆動する
場合には、瞬時トルクの制御が難しくなり、システムの
高応答は望めなくなる。電動機を開ループで駆動するよ
うなシステムであれば問題ないが、圧延機駆動のように
閉ループ制御により瞬時トルクを制御する必要のあるシ
ステムに対しては、適用は難しい。仮にそのようなシス
テムに適用すれば、応答は非常に遅くなり、制御性能が
劣化する。また、文献(参考文献:「H8年電気学会産
業応用部門全国大会、講演論文集、No.96、p.
p.277−280)において、非同期PWMでありな
がら、ビート現象を抑制する方式が提案されている。し
かし、この文献の方式では、ビート現象を抑制するため
の補償アルゴリズムが複雑であり(三角関数による座標
変換を2回、掛け算、割り算を数回必要)、補償演算に
時間を費やしてしまう欠点がある。
て生じるビート現象を簡単な補償アルゴリズムを用いて
抑制するとともに、それによって電動機の制御性能を劣
化することはなく、高速応答が可能なPWM制御装置を
提供することにある。
に、PWM制御においては、ある特定の微小周期Tcを
最小単位として、指令値に対してパルスの立ち上がり時
刻あるいは立ち下がり時刻の少なくとも一方を決定し、
PWM波形を出力するので、この微小周期Tc内の期間
において前記指令値が一定値になるように、指令値を直
流量から交流量に変換する際の変換位相φを前もって補
償し、この微小周期Tcの期間だけ変換位相角を一定値
の位相φ’に固定する。ここで、電力変換器に対する直
流量の指令値を演算する制御演算周期をTsとしたと
き、微小周期Tcと制御演算周期Tsとは、Tc=K×
Ts(Kは2以上の整数)の関係式で表わされ、微小周
期Tcの期間内で制御演算周期Ts毎に演算される直流
量の指令値を一定値の位相φ’を用いて交流量に座標変
換する。
用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態を示すP
WM制御装置であり、PWMインバータによって三相誘
導電動機を駆動する誘導電動機の速度制御システムを示
す。図1において、1は誘導電動機5の回転速度を制御
する速度制御器、2は誘導電動機の電流を制御する電流
制御器、3は電流制御器2の出力に基いてPWM波形を
発生するPWM発生器、4は誘導電動機5を駆動するイ
ンバータ、6は誘導電動機5の電流を検出する電流検出
器、7は誘導電動機の回転速度を検出する速度検出器で
ある。電流制御器2は、実際の電流検出値iu、iv、
iwをdq座標軸に変換する座標変換器21、座標変換
の変換位相φを演算する積分器22、dq座標軸上の電
圧指令vd*、vq*を出力するPI制御器23、本発明
の特徴である指令値補償器24からなる。また、PWM
発生器3は、三角波発生器32において三角波キャリア
et(t)を発生する三角波発生器32、この値と三相
交流電圧指令vu、vv、vwを比較し、PWM波形を
発生する比較器31からなる。
電動機5の速度指令ωr*を速度制御器1に入力する
と、速度検出器7によって検出された実際の速度ωrを
読み込み、電流指令id*、iq*と、誘導電動機5の一
次角周波数ω1を演算する。id*、iq*は、誘導電動
機5のdq座標軸(回転座標軸)上の電流指令値であ
り、それぞれ励磁電流成分、トルク電流成分を表わす。
一方、実際の電流検出値iu、iv、iwと変換位相φ
を入力して座標変換器21からid、iqを出力する。
id*、iq*とid、iqの偏差に基いてPI制御器2
3により比例積分演算を行い、dq座標軸上の電圧指令
vd*、vq*を出力する。また、一次角周波数ω1を積
分器22を介して変換位相φを出力する。指令値補償器
24ではdq軸上の電圧指令vd*、vq*を三相交流電
圧指令vu、vv、vwに変換すると同時に、一次角周
波数ω1、変換位相φ、三角波発生器32の出力に基づ
いてこれらの指令値に対して補償をかける。vu、v
v、vwと三角波発生器32の三角波キャリアet
(t)値を比較器31で比較し、PWM波形pu、p
v、pwを発生する。PWM波形は、インバータ4の
u、v、w各相のスイッチング素子を駆動し、誘導電動
機5に電圧指令vu、vv、vwに応じた電圧を印加す
る。この結果、誘導電動機は、速度指令ωr*の回転速
度で駆動される。
構成を説明する。図2は、図1のブロック構成図を実際
に構成する部品に置き換えたものである。図2の部品番
号は図1のブロック番号に対応する。1は速度制御を行
うマイクロプロセッサ(以下、マイコン1という。)で
ある。ここでは、速度指令ωr*と実速度ωrを読み込
み、id*、iq*とω1の演算を行う。2は電流制御を
行うマイコン(以下、マイコン2という。)である。こ
こでは、PWM発生器3からのint信号(割り込み信
号)を受けて、電流制御の演算処理を行う。メモリに書
き込まれたプログラムに従い、PI制御と指令値補償を
行う(マイコンの性能によっては、マイコン1の機能の
一部あるいは全部をマイコン2に組み込むことも可能で
ある。)。3はPWM発生器であり、ゲートアレイで構
成する。
ここでは、Tsを周期とする割り込み信号(int信号
(図3(a)))と指令値補償を行うためのNs信号
(図3(b))を発生し、マイコン2に出力する。in
t信号は、図3に示すように三角波キャリアに同期して
出力される。このint信号を受けて、マイコン2で
は、電流制御の演算処理を行い、電圧指令をPWM発生
器3に出力する。この電圧指令の転送のタイミングは、
次のint信号に合わせているため、電圧指令値vu、
vv、vwが新たに書き換えられるのにTsの時間を要
する(演算遅れがTsである)。本実施形態では、Ts
の周期を三角波キャリアの半周期Tc(三角波キャリア
の正のピークから負のピーク、あるいは、負のピークか
ら正のピークまでの期間と定義)に対して、Ts=Tc
/4としている。図3(b)のNs信号は、マイコン2
において演算処理を行う際に、現在の三角波キャリアの
位置を知るための信号である。このNs信号を用いて、
指令値補償を行う(詳細は後述する。)。マイコン2よ
り出力された電圧指令v(t)*は、PWM発生器3の
内部で発生される三角波キャリアet(t)と比較され
(図3(c))、PWMパルス(同図(d))が出力さ
れる。PWMパルスpu、pv、pwは、インバータの
ゲートドライブ回路42に送られ(図2)、インバータ
主回路41のGTO素子を駆動する。インバータ主回路
41は、図2のようにGTO素子を用いた三相フルブリ
ッジにより構成され、誘導電動機5を駆動する。誘導電
動機5には、電流を検出するための電流検出器6(電流
センサとAD変換器により構成)と、回転速度を検出す
るための速度検出器7(エンコーダとカウンタにより構
成)が接続されている。
算処理内容を説明する。マイコン1では、誘導電動機5
の速度制御の演算処理を行う。図4に速度制御のブロッ
ク構成図を示す。11は誘導電動機の速度指令ωr*を
発生する速度指令値発生器、12はωr*と実際の誘導
電動機の回転速度ωrの偏差に基づいて電動機のトルク
電流指令iq*を演算するPI制御器、13は誘導電動
機のすべり周波数ωs*を演算するすべり周波数演算
器、14は誘導電動機の励磁電流指令id*を発生する
励磁電流指令発生器である。図5に、速度制御ブロック
の演算処理のフローチャートを示す。ωr*とωrを読
み込み、比例積分演算によりiq*を演算する。得られ
たiq*を用いて、次式に従って誘導電動機のすべり周
波数ωs*を演算する。
の一次角周波数ω1を計算する。以上がマイコン1の動
作である。基本的には、誘導電動機のベクトル制御の速
度制御とω1演算を行っている。
に電流制御の演算処理のフローチャートを示す。まず、
初期設定としてカウンタNの値を零にする。このカウン
タは、演算処理を一度行う度にインクリメントされ、i
nt信号入力時の時刻tを演算するのに用いられる。時
刻tは、後述する指令値補償において使用される。カウ
ンタの初期化の後、PWM発生器3からのint信号
(割り込み信号)の発生を待つ。int信号が発生した
後、int信号の発生時刻tを計算する。その後、マイ
コン1より電流指令id*、iq*とω1を読み込み、ω
1を積分して座標変換位相φを計算する。続いて、電流
検出値iu、iv、iwを読み込み、それらをdq座標
軸上の電流検出値id、iqに座標変換する。この時の
変換式は次式となる。
より電圧指令vd*、vq*を演算する。vd*、vq*
は、指令値補償のルーチンに送られ、三相交流電圧指令
に変換されると同時に補償処理が行われる。補償後の電
圧指令値vu、vv、vwを新たな電圧指令値として、
PWM発生器(ゲートアレイ)3に転送する。最後にカ
ウンタ値Nをインクリメントし、電流制御の演算処理が
終了する。
ず、図7を用いて指令値補償のない場合の問題点につい
て説明する。PWMとは、図3(c)、(d)のよう
に、三角波キャリアet(t)のTc期間を最小単位と
して、電圧指令v(t)*の高さをパルスの幅に変換す
るものである。v(t)*の高さを正確にパルス幅に変
換するには、Tc期間において、v(t)*が一定でな
ければならない。v(t)*がTc期間内で大きく変化
すると、三角波キャリアet(t)がどのようなタイミ
ング(位相)でv(t)*と交差するかによって、出力
されるパルス幅が変化してしまい、誤差が発生する。す
なわち、三角波キャリアet(t)の周波数fcと、電
圧指令v(t)*の周波数f1の関係は、Tc期間内で
v(t)*を一定とみなすためには、fc≫f1である
必要がある。図7(a)は、fcに対して比較的f1が
高く、Tc期間において、v(t)*が大きく変化して
いる例である。このような場合、出力されるPWMパル
ス幅は、三角波キャリアet(t)と、電圧指令値v
(t)との位相関係に強く依存して変化し、非同期形の
PWM(fc/f1が3の倍数で、かつ奇数でない場
合)では、これが原因となり、ビート電流が発生する
(参考文献:「H8年電気学会産業応用部門全国大会、
講演論文集」、No.96、p.p.277−28
0)。ビート成分は、誘導電動機を駆動した時のトルク
脈動の原因となるので問題である。
題点について述べる。前述したように、ビート発生の原
因は、Tc期間内で電圧指令v(t)*が大きく変化す
ることによる。よって、Tc期間内で電圧指令v(t)
*が一定となれば、ビートは大幅に抑制される。最も簡
単に電圧指令v(t)*をTc期間内で一定にするに
は、電流制御の演算周期TsをTcに等しくすればよ
い。ビートの抑制を目的にした訳ではないが、Tc=T
sとする公知例は、多数存在する(例えば、「特開平3
−60381号公報」等)。しかし、Tc=Tsとした
場合には、次のような問題が生じる。インバータに使用
されるスイッチング素子が本実施形態のようにGTOで
ある場合、スイッチング周波数(=キャリア周波数)を
高くすることはできないため、Tcの方を短くすること
は不可能である。よって、Tc=Tsとするには、電流
制御の演算周期Tsの方を長くしてTcに等しくする必
要がある。しかしながら、この場合は、電流制御の制御
演算遅れが大きな問題となる。例えば、キャリア周波数
fc=500Hz(Tc(=Ts)=1ms)とし、電
流応答を1000rad/s(応答時間が1ms)に設
定したとする。電流指令id*、iq*が変化してから、
電圧指令v(t)*が書き替わるまで、1制御周期(1
ms)を必要とするので、結局、無駄時間だけで1ms
の遅れとなる。この後、電流は1msをかけて応答する
ので、トータルとして2msの応答となり、大幅に応答
性能が低下してしまう。設定応答(制御ゲイン)を大き
くして、無理に応答を高くしようとすると、今度はオー
バーシュートを引き起こし、GTO素子を過電流により
破壊する恐れが出てくる。よって、電流の速い応答を実
現するには、Tsは短いほどよい。また、負荷の短絡や
GTO素子の破壊等の異常時においても、Tsは短いほ
ど速い対応が可能であり、被害を最小限に抑えることが
できるというメリットもある。以上の説明で明らかなよ
うに、電流の高応答を実現する上では、電流制御の演算
周期Tsは短い方がよく、ビート成分を抑制するために
は、電圧指令値v(t)*はTc期間内で一定値となる
のが望ましい。前述した文献(参考文献:「H8年電気
学会産業応用部門全国大会、講演論文集」、No.9
6、p.p.277−280)において、これらの問題
点を解決する補償方法が記されているが、座標変換を2
回行う必要があり、また、除算を行う必要があるため、
マイコンでの処理時間が問題になる。
することなく、ビートを抑制し、高速応答のPWM制御
装置を実現するとともに、高い電流応答の誘導電動機制
御システムを実現する。図8ならびに図9を用いて、本
発明の特徴である指令値補償器24の動作について説明
する。242はdq座標軸上の指令値vd*、vq*と座
標変換位相φ’を用いて三相交流指令vu、vv、vw
に変換する座標変換器である。座標変換器242におい
ては、次式の演算が行われる。
に用いる位相φ’を計算する変換位相演算器である。従
来の座標変換器では、現時点での位相であるφに基いて
(数3)の演算を行い、vu、vv、vwを求めてい
る。その結果、図7(a)のv(t)のように、Tc期
間内でv(t)*が変化し、ビートが発生する。ビート
を抑制するには、図7(b)のように、座標変換後の交
流指令値をTc期間内で一定に保てばよい。それには、
座標変換に用いる位相φをTc期間内で一定値に固定す
ればよい。すなわち、φの値をTc期間を代表する値
φ’に固定し、時間的に変化しないようにする。ただ
し、vd*、vq*の変化ならびにω1の過渡変化には、
Tsの周期で対応できるようにしておけば、応答の遅れ
が生じることはない。
大した図である。現時刻をt、その時の位相をφとす
る。Tc期間の開始時刻t0と、終了時刻t1に対応す
る位相をφ0、φ1とすると、
みや遅れを生じさせないことを考えれば、Tcの中心に
相当する位相とするのが望ましい。すなわち、
位相角であり、また、t>t0+Tc/2であれば過去
の位相角となる。しかし、何れの場合も、現時点でのφ
ならびにω1に基いて(数5)に従ってφ’の計算を行
う。例えば、φ’が過去の値であるからといって、メモ
リー内に過去のφ’を記憶しておくようなことはしな
い。あくまでも、現時点でのφ、ω1に基いて推定計算
するため、ω1の急変等の過渡時においても、高速応答
が可能になる。
令値補償のフローチャートを示す。Ns信号(図3
(b))の値と現在の時刻t(図6)の値から、Tc期
間の初期値t0のみを演算する。Ns=3の場合は、演
算遅れが1サンプル(Ts)あることを考慮すると、t
0は次のTc期間の開始時刻が基準となる。t0を求め
た後、(数5)に従ってφ’を計算し、その後φ’の位
相で(数3)によりvd*、vq*を三相交流指令vu、
vv、vwに座標変換する。本実施形態による指令値補
償を行うと、座標変換は従来通りの1回で済み、変換位
相φ’の演算が増えるのみである。このため、マイコン
の演算処理時間を増加することなく、ビート成分の抑制
が可能となる。
期間の中間における位相角(φ’=φ0+ω1Tc/
2)としたが、例えば、制御系全体に遅れ、あるいは進
みが存在し、それらを補償したい場合には、φ’=φ
0、あるいはφ’=φ1のように任意の位相に固定する
ことも可能である。ビート抑制のみを考えた場合、Tc
期間の座標変換位相を固定することが重要なポイントで
あるため、その意味においてはφ’は任意の値でよい。
また、本実施形態では、Tc/Ts=4の場合の例を説
明したが、Tc>Tsであれば、全く同様の原理に基い
て適用可能である。例えば、制御回路にアナログ演算器
を用いた場合、Tsはほぼ零とみなすことができる。こ
の場合、Tc/Ts=∞となるが、Tc期間の中間に相
当する位相φ’は、Tsに無関係に定義できるので、こ
のφ’を用いて座標変換を行うことにより、全く同様の
効果が得られる。
法の関係について簡単に説明する。図11(a)は、本
発明による補償を行う前の三角波キャリアと指令値v*
の波形を示したもの(図7(a)と全く同じもの)であ
る。Tc期間の定義を、パルスの立ち上がりあるいは立
ち下がり時刻の一方を決める周期とすると、これまで本
発明として説明してきた通りに、図11(b)のような
補償波形vが得られる。この図では、点P1、P3、P
5においてパルスが立ち上がり、点P2、P4において
パルスが立ち下がるように動作する。Tc期間は、三角
波キャリアの半周期(三角波のピークから次のピークま
での期間)に相当する。次に、Tc期間の定義を、パル
スの立ち上がりと立ち下がり時刻の両方を決定する期間
とすると、Tc期間は、図11(c)のようになる。こ
の場合は、Tc期間を三角波キャリアの正のピークから
次の正のピークまで(一周期)と定義したことになる。
このTc期間を補償期間として本発明を適用すると、補
償後の指令値は同図のvのようになる。指令値を一定に
するという意味においては、図11(c)の場合でも目
的は達成されているため、ビートの抑制効果は維持さ
れ、前述の場合と同様の効果が得られる。しかし、図1
1(b)のvと、同図(c)のvを比較すると、vに含
まれる高調波に大きな差が生じている。図11(c)の
vに含まれる高調波成分は、同図(b)に比べ多いた
め、結果的にはPWMパルス波に高調波成分が多く含ま
れることになる。この条件で電動機を駆動した場合、ビ
ートによるトルク脈動は抑制されるが、それに代って、
低次高調波によるトルク脈動が増加することになる。同
様に、図11(d)のようにTc期間を定義しても、ビ
ートに関しては、ある程度の抑制効果が得られるが、低
次高調波はやはり増加する。PWM制御の基本的な考え
方(指令値の大きさを幅に変換するという考え方)か
ら、PWMの基本単位は図11(a)(b)のTc期間
であると、みなすことができる。よって、この単位で本
発明による図11(b)のように補償を行うのが、ビー
ト抑制、低次高調波抑制の意味において、最も効果的で
ある。しかし、ビートの抑制のみを考えた場合には、図
11(c)、(d)のようなTc期間の取り方でも効果
が得られる。
た。本実施形態では、インバータ4がフルブリッジの2
レベルインバータであったが、本発明の特徴である指令
値補償は、3レベルインバータあるいはPWM制御され
る電流形インバータ等のタイプのインバータに対しても
適用可能である。また、その他のPWM制御方式(例え
ば、空間ベクトル法等)に対しても、Tc期間に相当す
るPWMパルスを作成する最小単位毎に、本発明の補償
をかけることにより、全く同様の効果が得られる。ま
た、本発明の実施形態として、誘導電動機のベクトル制
御を用いた速度制御系について述べたが、本発明は、誘
導電動機に加える電圧の指令値補償方法に特徴があるた
め、例えば、V/F制御や、センサレスベクトル制御な
どによる速度制御系に対しても適用可能である。また、
誘導電動機に限らず、同期電動機においても全く問題な
く適用可能である。以上、本発明の実施形態として、誘
導機駆動インバータシステムについて述べたが、インバ
ータと交流電動機を使用するシステムとしては、電気自
動車、電気車、圧延機駆動用インバータ、エレベータ等
があり、同様に本発明の適用が可能である。
キャリア周波数が指令値の周波数の数倍程度の条件で、
かつ、非同期PWMでインバータ等の電力変換器を制御
した場合においても、ビート現象を抑制でき、かつ、高
速応答が可能なPWM制御を行うことができる。また、
非同期PWM制御によって生じるビート現象を抑制し、
高速応答が可能なPWM制御を行うことによって、電動
機の制御性能を劣化することなく、高応答な電動機制御
システムを実現することができる。また、本発明による
指令値補償を行うと、座標変換は従来通りの1回で済
み、変換位相φ’の演算が増えるのみであるので、マイ
コンの演算処理時間を増加することなく、ビート成分の
抑制が可能となる。
と電圧指令値の波形図
波形図
の波形図
コン2)、3…PWM発生器、4…インバータ、5…誘
導電動機、6…電流検出器、7…速度検出器、21…座
標変換器、22…積分器、23…PI制御器、24…指
令値補償器、31…比較器、32…三角波発生器、24
1…変換位相演算器、242…座標逆変換器
Claims (5)
- 【請求項1】 交流電力を入力あるいは出力する電力変
換器と、制御演算周期をTsとし、該周期Ts毎に前記
電力変換器に対する指令値を直流量で与える指令値発生
器と、前記直流量の指令値を交流量の指令値に座標変換
する座標変換器と、該座標変換器に対して交流の変換位
相φを与える位相発生器と、前記交流量の指令値に基い
て前記周期Tsよりも長い周期である周期Tc毎に、パ
ルスの立ち上がり時刻あるいは立ち下がり時刻の少なく
とも一方を決定し、PWM(パルス幅変調)波形を発生
するPWM発生器と、該PWM波形により前記電力変換
器を制御するPWM制御装置であって、 前記位相発生器の出力する変換位相φに対して、前記周
期Tcの期間内で変換位相φが一定値の位相φ’になる
ように補償する変換位相演算器を備え、前記周期Tcと
前記制御演算周期Tsとは、Tc=K×Ts(Kは2以
上の整数)の関係式で表わされ、 前記周期Tcの期間内で前記周期Ts毎に演算される直
流量の指令値を、前記一定値の位相φ’を用いて交流量
に座標変換することを特徴としたPWM制御装置。 - 【請求項2】 交流電力を入力あるいは出力する電力変
換器と、制御演算周期をTsとし、該周期Ts毎に前記
電力変換器に対する指令値を直流量で与える指令値発生
器と、前記直流量の指令値を交流量の指令値に座標変換
する座標変換器と、該座標変換器に対して交流の変換位
相φを与える位相発生器と、前記交流量の指令値と前記
周期Tsよりも長い周期である周期Tcを半周期とする
三角波キャリアとを比較して、PWM(パルス幅変調)
波形を発生するPWM発生器と、該PWM波形により前
記電力変換器を制御するPWM制御装置であって、 前記位相発生器の出力する変換位相φに対して、前記周
期Tcの期間内で変換位相φが一定値の位相φ’になる
ように補償する変換位相演算器を備え、 前記周期Tcと前記制御演算周期Tsとは、Tc=K×
Ts(Kは2以上の整数)の関係式で表わされ、 前記周期Tcの期間内で前記周期Ts毎に演算される直
流量の指令値を、前記一定値の位相φ’を用いて交流量
に座標変換することを特徴としたPWM制御装置。 - 【請求項3】 請求項1または請求項2において、前記
変換位相演算器は、前記一定値の位相φ’が前記期間T
cの中間時刻に相当する位相φになるように演算を行う
ことを特徴としたPWM制御装置。 - 【請求項4】 請求項1から請求項3のいずれかにおい
て、前記変換位相演算器は、現時刻tにおける前記位相
φの値と、前記交流指令の角周波数ω1に基いて、前記
期間Tcの中間時刻に相当する一定値の位相φ’を推定
演算することを特徴としたPWM制御装置。 - 【請求項5】 インバータに接続された交流電動機と、
該交流電動機の回転速度を検出する速度検出器と、該速
度検出器により検出された回転速度と、前記交流電動機
の速度指令とを比較し、前記交流電動機の電流指令を演
算する速度制御器と、前記交流電動機の電動機電流を検
出する電流検出器と、該電流検出器によって検出された
電流値を直流量に変換する座標変換器と、該直流量に変
換された電流値と前記電流指令値とを比較し、前記交流
電動機に加える電圧指令を直流量として演算する指令値
発生器とを有し、該直流量の指令値に基いて前記インバ
ータをPWM制御する交流電動機駆動システムにおい
て、 前記インバータを、請求項1から請求項4のいずれかに
記載したPWM制御装置を用いて制御することを特徴と
した交流電動機駆動システム。
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