JP3335303B2 - 非線形素子及び表示装置 - Google Patents

非線形素子及び表示装置

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JP3335303B2
JP3335303B2 JP02898198A JP2898198A JP3335303B2 JP 3335303 B2 JP3335303 B2 JP 3335303B2 JP 02898198 A JP02898198 A JP 02898198A JP 2898198 A JP2898198 A JP 2898198A JP 3335303 B2 JP3335303 B2 JP 3335303B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、比較的単純な構造
で高コントラストな画像表示が可能な表示装置及びそれ
に好適な非線形素子に関する。
【0002】
【従来の技術】マトリクス型の表示装置は、例えば液晶
表示装置の場合には、駆動方法により単純マトリクス型
のものとアクティブマトリクス型のものとに大別され
る。前者単純マトリクス型表示装置は構造が簡単で製造
プロセス上の制約も無いため、安価に製造できるという
特徴を有する。しかし、実効電圧に反応するネマティッ
ク液晶を用いた場合等にはクロストークが発生するとい
う問題があり、また、画像表示の方法がダイナミック表
示となるので一般にコントラストが低い。これに対し
て、後者のアクティブマトリクス型表示装置は個々の画
素にダイオードやトランジスタ等のアクティブ素子を設
けて画素を選択駆動するのでクロストークの発生が抑制
され、また、画像表示の方法がスタティック表示となる
のでコントラストも高い。しかし、画素毎にアクティブ
素子を設ける必要があるので歩留まりが低く、また、プ
ロセス上の多くの制限が存在する。
【0003】両者の問題を解決するために、従来から例
えば特開平1−4721号公報や特開平1−17025
号公報に開示されているように、構造が簡単なマトリク
ス型の表示装置に自発分極を有する強誘電体素子を組み
合わせることが提案されている。この方法によれば、比
較的構造が単純で高コントラストな画像表示を実現する
ことができる。
【0004】例えば特開平1−4721号公報に開示さ
れている表示装置は、図12に示すように、マトリクス
型の液晶表示装置の各画素毎に自発分極を有する非線形
素子(強誘電体層103)が設けられている。各画素に
おいては、X方向及びY方向に設けられたバスライン電
極(データバスライン電極111及び走査バスライン電
極112)の間に、液晶層110の容量と強誘電体層1
03の容量とが直列に接続されている。
【0005】強誘電体層103は、一方のガラス基板1
01a上に設けられたバスライン電極(第1電極)12
1と画素電極(第2電極)122とに接続されている。
他方のガラス基板101b上にはバスライン電極(透明
電極)112が設けられている。
【0006】この表示装置において、画素の選択時に
は、両バスライン電極112、111間にあるしきい値
以上の電圧が印加されると強誘電体層103が自発分極
を起こし、この自発分極によって発生した電荷で液晶層
110の容量が充電される。一方、画素の非選択時に
は、強誘電体103の自発分極のメモリー性を利用して
液晶110の容量に充電された電荷を保持することがで
きる。
【0007】従って、従来の単純マトリクス型液晶表示
装置に比べてクロストークが低減され、高コントラスト
な画像表示が可能となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の強誘電体素子を用いた表示装置においては以下
に示すような2つの問題がある。
【0009】(1)強誘電体の電気特性は、通常、図1
3に示すE−D(電界強度−電荷密度)曲線で表される
ような印加電圧の極性に対して略対称な非線形性を示
す。但し、このような対称な非線形性が得られるのは、
強誘電体層の両側に接続された2つの電極が同じ導電性
材料からなる場合である。
【0010】これに対して、図12に示した強誘電体素
子の場合、強誘電体層103は表示装置のバスライン電
極である第1電極121と画素電極である第2電極12
2とに接続されている。このように、強誘電体層に接続
されている2つの電極が異なる材料で構成されている
と、両電極との接続界面でエネルギー準位の差が生じて
所謂接合型のダイオード特性が付加されてしまうので、
強誘電体素子が印加電圧の極性に対して非対称な電気特
性を示す。
【0011】ところで、液晶等の表示媒体に常時DC電
圧が印加されると、一般に、液晶材料が分解したり、電
極でのイオン吸着等が発生したりして信頼性が悪くなる
傾向がある。これを防ぐためには、各画素で1フレーム
毎に正負の極性を反転させる交流駆動(極性反転駆動)
により表示装置の駆動を行うのが望ましい。この交流駆
動を行うためには、印加電圧の極性に対して対称な電気
特性を有する非線形素子を用いて表示媒体を駆動するの
が好ましい。
【0012】従って、上述のような印加電圧の極性に対
して非対称な電気特性を示す強誘電体素子は、交流駆動
を行うための非線形素子として好ましくない。
【0013】(2)強誘電体の種類としては、一般に、
強誘電ポリマー、アモルファス(非晶質)の無機強誘電
体及び結晶化された無機強誘電体等があるが、結晶化さ
れた無機強誘電体、特にPZTに代表される無機酸化物
強誘電体は信頼性や非線形性の点で優れている。
【0014】このような無機酸化物強誘電体を図12に
示した強誘電体素子に適用する場合、強誘電体層103
の下層にバスラインである第1電極121が設けられて
いるので、強誘電体層103を酸素雰囲気中で結晶化す
るプロセスに第1電極121が曝されることになる。よ
って、第1電極121の材料としては、このプロセスに
耐えうる導電性材料を選択する必要がある。
【0015】ところで、一般に、表示装置において大画
面化を図るためには、表示信号を伝送するバスライン電
極の材料として比抵抗の値が小さい導電性材料を使用す
ることが望ましい。
【0016】しかし、上述のようにバスライン電極の材
料が強誘電体の結晶化プロセスに耐えうる導電性材料に
限定されると、Al、Cu等の熱酸化しやすい材料は比
抵抗値が小さくても使用することができない。
【0017】本発明は、上述したような従来技術の課題
を解決すべくなされたものであり、印加電圧の極性に対
して対称な電気特性を示す非線形素子とそれを用いた信
頼性の高い表示装置を提供することを目的とする。さら
に、本発明は、バスライン電極の材料が限定されず大画
面化を図ることができる表示装置を提供することを第2
の目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の非線形素子は、
電極間に強誘電体層が挟まれてなる非線形素子部を2つ
有し、一方の非線形素子部の一方の電極と、他方の非線
形素子部の該一方の電極とは逆極性側の電極とが電気的
に接続された非線形素子であって該強誘電体層の一方
側に下層電極が設けられ、該強誘電体層の他方側にその
上を覆う絶縁膜を間に介して2つの上層電極が設けら
れ、該2つの上層電極が該絶縁膜に設けられた2つの開
口部の各々で該強誘電体層と接しており、一方の非線形
素子部が該下層電極及び一方の上層電極で挟まれた強誘
電体層部分からなり、他方の非線形素子部が該下層電極
及び他方の上層電極で挟まれた強誘電体層部分からな
り、そのことにより上記目的が達成される。
【0019】前記2つの非線形素子部が同一基板表面に
沿って並設されていてもよい。
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】前記2つの上層電極が同一の導電性材料か
らなっていてもよい。
【0024】本発明の表示装置は、表示媒体を挟んで対
向配置された一対の基板の一方にマトリクス状に画素電
極が設けられ、該画素電極と該画素電極に電位を与える
走査バスライン電極又はデータバスライン電極との間に
本発明の非線形素子が設けられ、そのことにより上記目
的が達成される。
【0025】前記表示媒体が液晶からなっていてもよ
い。
【0026】前記走査バスライン電極又は前記データバ
スライン電極が前記強誘電体層と一部重畳するように設
けられ、前記2つの上層電極の一方が該強誘電体層と重
畳する走査バスライン電極部分又はデータバスライン電
極部分からなり、他方の上層電極が該強誘電体層と前記
画素電極とを接続する接続電極からなっていてもよい。
【0027】前記2つの上層電極の一方が前記強誘電体
層と前記画素電極とを接続する第1接続電極からなり、
他方の上層電極が該強誘電体層と前記走査バスライン電
極又は前記データバスライン電極とを接続する第2接続
電極からなっていてもよい。
【0028】前記走査バスライン電極又は前記データバ
スライン電極は、前記第2接続電極よりも比抵抗値が小
さい導電性材料からなっていてもよい。
【0029】以下、本発明の作用について説明する。
【0030】本発明にあっては、電極間に強誘電体層が
挟まれてなる非線形素子部の2つが、一方の非線形素子
部の一方の電極と、他方の非線形素子部の逆極性側の電
極とが電気的に接続されている。このように2つの非線
形素子部を直列にバックツーバック接続することによ
り、個々の非線形素子部が印加電圧の極性に対して非対
称な電気特性を有していても、各々の非対称性が打ち消
し合って解消される。
【0031】上記2つの非線形素子部を同一基板表面に
沿って並設すれば、同一工程により非線形素子部を形成
することができるので、同一の特性を有する2つの非線
形素子部を容易に得ることができる。
【0032】上記強誘電体層を挟んで1つの下層電極と
2つの上層電極とを設けることにより、下層電極及び一
方の上層電極で挟まれた強誘電体層部分を一方の非線形
素子部、下層電極及び他方の上層電極で挟まれた強誘電
体層部分を他方の非線形素子部として、2つの非線形素
子部が直列にバックツーバック接続された非線形素子を
容易に形成することができる。また、同じ下層電極上に
強誘電体層を形成することにより2つの非線形素子部の
特性が均一化され、印加電圧の極性に対してより対称性
が良い電気特性を有する非線形素子を得ることができ
る。
【0033】この2つの上層電極を、強誘電体層との重
なり部の幅方向又は長さ方向に沿って寸法を均一にし、
長さ方向又は幅方向の寸法を重なり部よりも大きくする
と、各層をフォトリソグラフィ技術によりパターン形成
する際にフォトマスクのアライメント精度が悪いために
許容範囲内で重ね合わせのずれが生じても、非線形素子
部の面積が変化せず、容易に均一な素子面積とすること
ができる。
【0034】また、強誘電体層の一方側に1つの下層電
極を設け、他方側にその上を覆う絶縁膜を間に介して2
つの上層電極を設けて絶縁膜の2つの開口部で強誘電体
層と接するようにすることにより、下層電極及び一方の
開口部で強誘電体層と接している上層電極で挟まれた強
誘電体層部分を一方の非線形素子部、下層電極及び他方
の開口部で強誘電体層と接している上層電極で挟まれた
強誘電体層部分を他方の非線形素子部として、2つの非
線形素子部が直列にバックツーバック接続された非線形
素子を容易に形成することができる。また、各層のパタ
ーン形成の際のフォトマスクのアライメント精度に依存
せず、絶縁膜に設けられた開口部の形状(スルーホー
ル)の形状のみで非線形素子部の素子面積が決定される
ため、容易に均一な素子面積とすることができる。
【0035】上記2つの上層電極を同一の導電性材料で
形成すると、2つの非線形素子部の特性をさらに均一に
することができるので、これらを直列にバックツーバッ
ク接続することにより、印加電圧の極性に対して完全に
対称な電気特性を有する非線形素子を得ることができ
る。
【0036】本発明にあっては、画素電極と走査バスラ
イン電極又はデータバスライン電極との間に本発明の非
線形素子を設けているので、この非線形素子の電気特性
によりにより表示媒体の電圧を制御することができる。
よって、マトリクス構成を有する表示装置においてもク
ロストークを低減して高コントラストな画像表示が可能
となる。また、印加電圧の極性に対して対称性を有する
非線形素子を用いるので、交流駆動を行っても表示媒体
にDC電圧が印加されることはない。
【0037】従って、例えば、表示媒体として液晶を用
いても、液晶材料が分解したり電極でのイオン吸着が生
じたりして信頼性が悪くなることはない。
【0038】上記2つの上層電極を同一の導電性材料で
形成すると、2つの非線形素子部の特性をさらに均一に
することができるので、これらを直列にバックツーバッ
ク接続することにより印加電圧の極性に対して完全に対
称な電気特性を有する非線形素子を得ることができる。
【0039】上記強誘電体層と重畳する走査バスライン
電極部分又はデータバスライン電極部分を一方の上層電
極とし、強誘電体層と画素電極とを接続する接続電極を
他方の上層電極とすると、バスライン電極と接続電極と
を同一の工程で形成することができるので非線形素子を
容易に作製することができる。また、走査バスライン電
極又はデータバスライン電極は強誘電体層の上層にある
ので、これらのバスライン電極が強誘電体層の結晶化プ
ロセスの影響を受けず、これによりバスライン電極の材
料が限定されることはない。但し、上層電極及び下層電
極の材料としては、同様の電気特性を有するものが好ま
しい。
【0040】上記強誘電体層と画素電極とを接続する第
1接続電極を一方の上層電極とし、強誘電体層と走査バ
スライン電極又はデータバスライン電極とを接続する第
2接続電極を他方の上層電極とすると、第1接続電極と
第2接続電極とを同一の工程で形成することができるの
で非線形素子を容易に作製することができる。また、走
査バスライン電極又はデータバスライン電極が強誘電体
層の上層にあるので、これらのバスライン電極が強誘電
体層の結晶化プロセスの影響を受けることはない。よっ
て、バスライン電極の材料が限定されず、熱酸化しやす
いAl、Cu等の低抵抗な材料でも用いることができ
る。
【0041】特に、走査バスライン電極又はデータバス
ライン電極を第2接続電極よりも比抵抗値が小さい導電
性材料を用いて形成すると、バスライン電極をさらに低
抵抗化して表示信号の遅延を低減する必要がある大画面
表示装置を実現することができる。
【0042】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照しながら説明する。
【0043】(実施形態1)図1は本実施形態1の表示
装置の平面構成を示す図である。
【0044】この表示装置は、表示媒体を挟む一対の基
板の一方に、マトリクス状に配置された画素電極13
と、その近傍を通るデータバスライン電極11とが設け
られ、画素電極13とデータバスライン電極11とが非
線形素子20を介して接続されている。また、他方の基
板には、データバスライン電極11と交差する方向に走
査バスライン電極12が設けられて画素電極13と対向
している。
【0045】図2(a)は、この表示装置の1画素当た
りの平面構成を示す図であり、図2(b)はそのA−
A’線による断面図である。
【0046】一方の基板1aに設けられた非線形素子2
0は、タンタル(Ta)等の金属膜からなる下層電極2
の上に多結晶状態のPZTからなる強誘電体層3が設け
られ、その上に2つの開口部4a、4aを有する絶縁膜
4が設けられている。その上にタンタル(Ta)等の金
属膜からなるデータバスライン電極11及び接続電極5
が絶縁膜4を介して強誘電体層3と一部重畳するように
設けられ、各々開口部4a、4aを介して強誘電体層3
と接している。
【0047】これにより、図3に示すように、非線形素
子20の容量Cfeは、2つの非線形素子部の容量Cf
e1、Cfe2を直列にバックツーバック接続した構造
となる。なお、図3(a)において、実線Eは電気信号
の経路を示す。
【0048】その接続電極5の上に一部重畳するように
ITO等の透明導電膜からなる画素電極13が設けら
れ、接続電極5を介して強誘電体層3と接続されてい
る。
【0049】また、他方の基板1bには、ITO等の透
明導電膜からなる走査バスライン電極12が設けられ、
両基板の間に液晶層10が封入されている。
【0050】この表示装置は、例えば以下のようにして
作製することができる。
【0051】まず、図4(a)に示すように、一方の基
板1aの上に導電性薄膜を成膜し、その導電性薄膜を所
定の形状にパターニングして下層電極2を形成する。本
実施形態では、液晶パネル用のコーニング社製#173
7ガラス等の透明なガラス基板1a上に、スパッタリン
グ蒸着法によりTaを約0.1μmの厚みで成膜し、こ
れをフォトリソグラフィー技術とドライエッチング技術
を用いてパターニングすることにより下層電極2を形成
した。
【0052】次に、図4(b)に示すように、アモルフ
ァスの強誘電体層3aを形成する。本実施形態では、P
bOを10%過剰に含むPb1.1(Zr0.5Ti
0.5)O3.1をターゲットとして用いた高周波マグ
ネトロンスパッタリング蒸着法によりPb、Zr、Ti
及びOを主成分とする非晶質(アモルファス)からなる
強誘電体層3aを約0.3μmの厚みで成膜した。この
アモルファスの強誘電体層3aは、後述する結晶化アニ
ールを行うことにより、強誘電体特性を示す多結晶のチ
タン酸ジルコン酸鉛Pb(Zr0.5Ti0.5
、略してPZTとなる。なお、このアモルファスの
強誘電体層3aは、ゾルゲル法やMOCVD法、レーザ
ーアブレーション法等により形成してもよい。
【0053】続いて、図4(c)に示すように、アモル
ファスの強誘電体層にレーザー光を照射して多結晶の強
誘電体層3とする。本実施形態では、XeClのエキシ
マレーザー光をアモルファスの強誘電体層3aに垂直に
照射した。このXeClのエキシマレーザー光は波長3
08nmの紫外光であり、一方、PZTの吸収端は50
0nm〜600nmであることから、強誘電体層3aが
エキシマレーザー光を吸収して急速に加熱し、その温度
で自ら結晶化する。このときのエキシマレーザー光の照
射条件は、酸素雰囲気中で500mJ、20Hzの10
Wとし、0.6秒間の照射を行った。その結果、ペロブ
スカイト結晶構造を有する多結晶のPZT膜3が得られ
た。
【0054】その後、図4(d)に示すように、多結晶
の強誘電体層3を所定の形状にパターニングする。本実
施形態では、フォトリソグラフィー技術とドライエッチ
ング技術を用いてパターニングを行った。PZTのドラ
イエッチングには、フッ素系ガスや塩素系ガスを用いる
ことができる。なお、ここではアモルファスのPZTを
レーザーアニール処理により結晶化した後でパターニン
グを行ったが、アモルファスのPZTをパターニングし
た後でレーザーアニール処理により結晶化してもよい。
【0055】次に、図4(e)に示すように、絶縁膜4
を形成して強誘電体層3上に2つの開口部(スルーホー
ル)4a、4aを形成する。本実施形態では、スパッタ
リング蒸着法を用いてTaを約0.2μmの厚み
で成膜し、フォトリソグラフィー技術とドライエッチン
グ技術を用いて2つのスルーホール4a、4aを形成し
た。このスルーホールは、強誘電体層3の電極取り出し
部分に相当する。このときの絶縁膜4としては、TiO
やSiO等を用いてもよい。
【0056】続いて、図4(f)に示すように、導電性
薄膜を成膜して所定の形状にパターニングすることによ
り、データバスライン電極11及び接続電極5を形成す
る。本実施形態では、スパッタリング蒸着法によりTa
を約0.25μmの厚みで成膜し、これをフォトリソグ
ラフィー技術とドライエッチング技術を用いてパターニ
ングすることによりデータバスライン電極11及び接続
電極5を形成した。
【0057】その後、図4(g)に示すように、導電性
薄膜を成膜して所定の形状にパターニングすることによ
り、画素電極13を形成する。本実施形態では、スパッ
タリング蒸着法により透明導電性材料であるITO膜を
約0.15μmの厚みで成膜し、これをフォトリソグラ
フィー技術とドライエッチング技術を用いてパターニン
グすることにより画素電極13を形成した。
【0058】以上によりガラス基板1a上に、下層電極
2及びデータバスライン電極11で挟まれた強誘電体層
3部分からなる一方の非線形素子部と、下層電極2及び
接続電極5で挟まれた強誘電体層3部分からなる他方の
非線形素子部とがバックツーバックで直列に接続された
非線形素子20が形成され、データバスライン11と画
素電極13とが非線形素子20を介して電気的に接続さ
れる。
【0059】他方の基板1bの上には導電性薄膜を成膜
し、その導電性薄膜を所定の形状にパターニングして走
査バスライン電極12を形成する。本実施形態では、液
晶パネル用のコーニング社製#1737ガラス等の透明
なガラス基板1b上に、スパッタリング蒸着法によりI
TOを約0.2μmの厚みで成膜し、これをフォトリソ
グラフィー技術とドライエッチング技術を用いてパター
ニングすることにより走査バスライン電極12を形成し
た。なお、両基板の作製はいずれを先に行っても良い。
【0060】次に、このようにして得られた一対の基板
の上に、印刷法等によりポリイミド膜等の配向膜(図示
せず)を約0.05μmの厚みで塗布して焼成し、ラビ
ングによる配向処理を施す。
【0061】その後、両基板を図2(a)に示したよう
に対向配置して、その間隙に液晶10を封入する。そし
て、偏光特性を利用する表示モードの液晶を使用する場
合には、上記一対のガラス基板1a、1bの外側に偏光
板を配置する。以上により本実施形態の表示装置が完成
する。
【0062】図5は、このようにして得られる表示装置
の等価回路図である。この図に示すように、各画素にお
いてX方向及びY方向に設けられたデータバスライン電
極11及び走査バスライン電極12の間に、表示媒体で
ある液晶層10の容量Clcと非線形素子20の容量C
feとが直列に接続されている。
【0063】この表示装置において、画素の選択時に
は、両バスライン電極11、12間にあるしきい値以上
の信号電圧が印加されると強誘電体層13が自発分極を
起こし、この自発分極によって発生した電荷で液晶層1
0の容量Clcが充電される。一方、画素の非選択時に
は、強誘電体103の自発分極のメモリー性を利用して
液晶10の容量Clcに充電された電荷を保持すること
ができる。従って、従来の単純マトリクス型液晶表示装
置に比べてクロストークが低減され、高コントラストな
画像表示が可能となる。
【0064】さらに、本実施形態1においては、図3に
示したように、非線形素子20の容量Cfeが、2つの
非線形素子部の容量Cfe1、Cfe2を直列にバック
ツーバック接続した構造を有するという特徴がある。
【0065】このため、非線形素子20全体としての容
量Cfeは Cfe=(Cfe1×Cfe2)/(Cfe1+Cfe
2) で表される。
【0066】従って、非線形素子20によれば、個々の
非線形素子部が印加電圧の極性に対して非対称な電気特
性を有していても、これらの非線形素子部を直列にバッ
クツーバック接続することで非対称性が解消される。
【0067】非線形素子20の電気特性が印加電圧の極
性に対して完全に対称になれば、表示装置を交流駆動
(極性反転駆動)する際に、液晶層10等の表示媒体に
DC成分が印加されることがない。よって、液晶材料の
分解や電極でのイオン吸着の発生等の不良も生じ難くな
り、信頼性の優れた表示装置を得ることができる。
【0068】ここで、2つの非線形素子部は一方の非線
形素子部上に他方の非線形素子部を形成することも可能
であるが、本実施形態1のように、2つの非線形素子部
を同一の基板表面に沿って並設することにより、上述し
たような製造プロセスにより2つの非線形素子部を同一
工程で同時に形成することができる。
【0069】また、2つの非線形素子部は下層電極を別
々に形成して配線や接続電極等により電気的に接続して
もよいが、本実施形態1のように1つの下層電極2の上
に強誘電体層3を設けることにより製造プロセスが容易
となり、また、2つの非線形素子部の特性をより均一化
することができるので好ましい。
【0070】さらに、本実施形態1では、強誘電体層3
の上に2つの上層電極(データバスライン電極11と接
続電極5)を同じ導電性材料を用いて同一工程で形成し
ているので、2つの非線形素子部の容量Cfe1、Cf
e2を完全に特性の等しいものにすることが可能とな
る。よって、非線形素子の印加電圧に対する非線形性を
完全に対称なものにすることができる。
【0071】また、データバスライン電極11は強誘電
体層3の上層に設けられているため、アモルファスの強
誘電体層3aの結晶化プロセスに曝されることはない。
よって、従来のように材料が限定されることはなく、低
抵抗な材料を用いることができる。
【0072】また、上層電極(データバスライン電極1
1と接続電極5)が絶縁膜4の開口部4a、4aを介し
て強誘電体層3と接しているので、非線形素子部の面積
が絶縁膜4の開口部4aの形状のみで決定される。この
場合、各非線形素子部の面積の精度は、絶縁膜4をパタ
ーニングするフォトリソグラフィ工程に用いられるフォ
トマスクの精度で決定される。よって、下層電極2、強
誘電体層3及び上層電極をフォトリソグラフィー技術で
パターニングする際にフォトマスクのアライメント精度
が悪くて重ね合わせずれが生じても、非線形素子部の面
積が変化せず、均一な素子サイズを容易に実現すること
ができる。
【0073】さらに、本実施形態1では、レーザーアニ
ール法により強誘電体の結晶化を行っているため、以下
のような効果を得ることができる。
【0074】(1)まず、一対の基板1a、1bとして
安価で大面積化が容易なガラス基板を用いて、比較的大
画面の表示装置を作製することができる。
【0075】従来では、無機のアモルファス強誘電体を
結晶化させる際にRTA法等により600℃の高温焼成
を施しており、通常、無機の強誘電体を用いて不揮発性
メモリーを作製する際には下地基板としてSiウェハー
等の半導体基板を用いるため、このような高温焼成プロ
セスでも問題を生じることはなかった。
【0076】しかし、本実施形態1の表示装置の場合に
は、Siウェハーの代わりに透明なガラス基板を用いて
いるので600℃の高温焼成を行うことができず、アモ
ルファス状の強誘電体層しか形成できない。
【0077】そこで、本実施形態1では、強誘電体の結
晶化を行う手段としてRTA法の代わりに上述したレー
ザーアニール法を用いることにより、紫外線の侵入長さ
をアモルファスの強誘電体層の厚み程度に抑えることが
でき、その結果、下地基板を高温に曝さずに強誘電体の
結晶化を効率よく行うことができた。
【0078】(2)また、本実施形態1では、強誘電体
層3の下層にTaからなる下層電極を設けることがで
き、電極材料の選択の幅を広げることができる。
【0079】上述のように無機のアモルファス強誘電体
を結晶化させる際にRTA法等により600℃の高温焼
成を施すと、通常、殆どの金属は酸化されてしまう。こ
のため、従来では、強誘電体層の下層電極としては60
0℃で酸化し難いPtやIr等の貴金属又はRuO
IrO等の貴金属酸化物が使用されており、製造コス
トを上昇させる原因となっていた。
【0080】そこで、本実施形態1では、強誘電体の結
晶化を行う手段としてRTA法の代わりに上述したレー
ザーアニール法を用いることにより、上述のように下地
基板を高温に曝さずに強誘電体の結晶化を効率よく行っ
て下層電極の酸化を防ぐことができる。従って、強誘電
体層の下層に形成する電極材料の選択範囲が広くなり、
貴金属又は貴金属酸化物以外の導電性材料も使用するこ
とが可能となった。
【0081】例えば、本実施形態1では比較的酸化し難
いTaを下層電極として採用したが、レーザーアニール
処理中にTaが酸化されることは殆どなく、電極として
十分使用可能であることが確認できた。
【0082】なお、下層電極2の材料としては、Taに
限定されず、酸素雰囲気中のレーザーアニール処理で殆
ど酸化されない材料であれば、どんな導電性材料を用い
てもよい。また、コストを問題にしない場合であれば、
従来のようにPtやIr等の貴金属又はRuOやIr
等の貴金属酸化物を使用してもよい。
【0083】また、本実施形態1ではガラス基板上に結
晶性に優れた無機の酸化物強誘電体を形成するためのレ
ーザーアニール法を用いたが、基板の耐熱性と下層電極
の耐熱性に問題がなければ、RTA法等の他の結晶化方
法を用いてもよい。
【0084】また、強誘電体層として使用される強誘電
体材料についても、PZTに限られず、例えばSBTや
TiBa等、他の無機強誘電体層を用いてもよい。ま
た、強誘電体特性を有していれば結晶化されていなくて
もよく、アモルファス状態であってもよい。さらに、フ
ッ化ビニリデン(ビニリデンフロライド:VDF)とト
リフルオロエチレン(TrFE)との強重合体P(VD
F/TRFE)等の強誘電体ポリマー等は、無機の結晶
性強誘電体に比べて強誘電体特性が若干劣るものの低温
で成膜することが可能であるため、ガラス基板上への形
成が容易であり、本実施形態の非線形素子及び表示装置
に使用することが可能である。
【0085】(実施形態2)本実施形態2では、ガラス
基板の代わりに石英基板を用いて非線形素子及び表示装
置を作製した例について説明する。なお、表示装置及び
非線形素子の基本的な構成は実施形態1と同様であり、
実施形態1と共通の部分については説明を省略する。
【0086】図6は本実施形態2の表示装置の製造プロ
セスを示す断面図である。
【0087】まず、図6(a)に示すように、一方の基
板である石英基板1a上に、スパッタリング蒸着法によ
り白金(Pt)を約0.1μmの厚みで成膜し、これを
フォトリソグラフィー技術とドライエッチング技術を用
いてパターニングすることにより下層電極2を形成す
る。
【0088】次に、図6(b)に示すように、ゾルゲル
法によりSr、Bi、Ta及びOを主成分とするアモル
ファスのSrBiTa(SBT)からなる強誘
電体層3aを約0.2μmの厚みで成膜した。ここで用
いたゾルゲル法は、金属アルコキシド溶液を混合して保
存液を調製し、成膜直前に加水分解させて架橋反応でゲ
ル化させ、これを基板上にスピン塗布法で均一に塗布し
て乾燥及び結晶化を行うことにより成膜する方法であ
る。なお、このアモルファスのSBTからなる強誘電体
層3aは、MOCVD法、レーザーアブレーション法等
により形成してもよい。
【0089】続いて、図6(c)に示すように、400
℃で乾燥させたSBT層をRTA法により酸素雰囲気
中、750℃でアニールを行って結晶化させる。これに
より多結晶のSBTからなる強誘電体層3が形成され
る。
【0090】その後、図6(d)に示すように、多結晶
のSBTからなる強誘電体層3をフォトリソグラフィー
技術とドライエッチング技術を用いて所望の形状にパタ
ーニングする。SBTのドライエッチングには、フッ素
系ガスや塩素系ガスを用いることができる。なお、ここ
ではアモルファスのSBTをRTA処理により結晶化し
た後でパターニングを行ったが、アモルファスのSBT
をパターニングした後でRTA処理により結晶化しても
よい。
【0091】次に、図6(e)に示すように、スパッタ
リング蒸着法を用いてTaからなる絶縁膜4を約
0.2μmの厚みで成膜し、フォトリソグラフィー技術
とドライエッチング技術を用いて強誘電体層3上に2つ
のスルーホール4a、4aを形成する。このスルーホー
ルは、強誘電体層3の電極取り出し部分に相当する。こ
のときの絶縁膜4としては、TiOやSiO等を用
いてもよい。
【0092】続いて、図6(f)に示すように、スパッ
タリング蒸着法によりTaを約0.25μmの厚みで成
膜し、これをフォトリソグラフィー技術とドライエッチ
ング技術を用いてパターニングすることによりデータバ
スライン電極11及び接続電極5を形成する。
【0093】その後、図6(g)に示すように、スパッ
タリング蒸着法により透明導電性材料であるITO膜を
約0.15μmの厚みで成膜し、これをフォトリソグラ
フィー技術とドライエッチング技術を用いてパターニン
グすることにより画素電極13を形成する。
【0094】以上により石英基板1a上に、下層電極2
及びデータバスライン電極11で挟まれた強誘電体層3
部分からなる一方の非線形素子部と、下層電極2及び接
続電極5で挟まれた強誘電体層3部分からなる他方の非
線形素子部とがバックツーバックで直列に接続された非
線形素子20が形成され、データバスライン11と画素
電極13とが非線形素子20を介して電気的に接続され
る。
【0095】このように本実施形態2においては、石英
基板1a上に実施形態1と同様な非線形素子20を形成
することができるので、実施形態1と同様な効果を奏す
ることができる。
【0096】また、本実施形態2では石英基板を用いて
おり、石英基板は1000℃以上の耐熱性を有するた
め、SBTの結晶化に必要な700℃〜800℃のRT
A処理にも十分対応することができる。
【0097】(実施形態3)本実施形態3では、実施形
態1及び実施形態2に比べて、非線形素子の構造を簡略
化した例について説明する。
【0098】図7(a)は、本実施形態3の表示装置の
1画素当たりの平面構成を示す図であり、図7(b)は
そのB−B’線による断面図である。
【0099】一方の基板1aに設けられた非線形素子2
0では、Ta等の金属膜からなる下層電極2の上に多結
晶状態のPZTからなる強誘電体層3が設けられ、その
上にTa等の金属膜からなるデータバスライン電極11
及び接続電極5が強誘電体層3と一部重畳するように設
けられている。
【0100】その接続電極5の上に一部重畳するように
ITO等の透明導電膜からなる画素電極13が設けら
れ、接続電極5を介して強誘電体層3と接続されてい
る。
【0101】また、他方の基板1bには、ITO等の透
明導電膜からなる走査バスライン電極12が設けられ、
両基板の間に液晶層10が封入されている。
【0102】このように本実施形態3の表示装置では、
図2に示した実施形態1の表示装置に対して、スルーホ
ール4a、4aを有する絶縁膜4が省略されている。よ
って、絶縁膜の形成プロセスを省略して製造工程を簡略
化することができる。
【0103】本実施形態3の非線形素子20において
も、下層電極2及びデータバスライン電極11で挟まれ
た強誘電体層3部分からなる一方の非線形素子部と、下
層電極2及び接続電極5で挟まれた強誘電体層3部分か
らなる他方の非線形素子部とがバックツーバックで直列
に接続された構造が得られるので、実施形態1及び実施
形態2と同様な効果を奏することができる。
【0104】(実施形態4)本実施形態4では、実施形
態3の非線形素子において、強誘電体層3と上層電極1
1、5との重ね合わせ精度が若干ずれても素子面積が一
定になるように冗長性を与えた例について説明する。
【0105】図8に本実施形態4の表示装置の平面図を
示す。
【0106】一方の基板1aに設けられた非線形素子2
0では、データバスライン電極11及び接続電極5が幅
(この図では左右)方向のサイズを均一にしてあり、強
誘電体層3の両外側(この図では左右)まで延びてい
る。
【0107】上述の図7に示した実施形態3の非線形素
子では、2つの非線形素子部の素子サイズが強誘電体層
3、データ電極11及び接続電極5をパターニングする
際の各パターンの重ね合わせ精度に大きく依存するた
め、製造プロセスを高精度化する必要があった。
【0108】これに対して、図8に示した本実施形態4
の非線形素子20では、両非線形素子部の素子サイズは
強誘電体層3とデータ電極11及び接続電極5との重な
り部分で決定されるが、各パターンの重ね合わせ精度が
図の左右方向や上下方向に若干ずれても強誘電体層3と
データ電極11及び接続電極5を重ね合わせることがで
きる。よって、製造プロセスを高精度化しなくても素子
面積を一定にすることができる。
【0109】(実施形態5)本実施形態5では、実施形
態1及び実施形態2において、非線形素子の構造を表示
装置の大画面化に有利な構造とした例について説明す
る。
【0110】図9(a)は、この表示装置の1画素当た
りの平面構成を示す図であり、図9(b)はそのC−
C’線による断面図である。
【0111】一方の基板1aに設けられた非線形素子2
0では、Ta等の金属膜からなる下層電極2の上に多結
晶状態のPZTからなる強誘電体層3が設けられ、その
上に2つの開口部4a、4aを有する絶縁膜4が設けら
れている。その上にTa等の金属膜からなる第1の接続
電極5a及び第2の接続電極5bが絶縁膜4を介して強
誘電体層3と一部重畳するように設けられ、各々開口部
4a、4aを介して強誘電体層3と接している。
【0112】その第1の接続電極5aの上に一部重畳す
るようにITO等の透明導電膜からなる画素電極13が
設けられ、第1の接続電極5aを介して強誘電体層3と
接続されている。また、第2の接続電極5bの上に一部
重畳するようにアルミニウム(Al)等の金属膜からな
るデータバスライン電極11が設けられ、第2の接続電
極5bを介して強誘電体層3と接続されている。
【0113】さらに、他方の基板1bには、ITO等の
透明導電膜からなる走査バスライン電極12が設けら
れ、両基板の間に液晶層10が封入されている。
【0114】図1に示した実施形態1の表示装置のよう
にデータバスライン電極11が強誘電体層3に直接接し
ている場合、データバスライン電極11の材料として下
層電極2の材料と同等のものを用いる必要がある。
【0115】これに対して本実施形態5においては、デ
ータバスライン電極11が第2の接続電極5bを介して
強誘電体層3と接続されているので、データバスライン
電極11の材料に関して制限を無くすることができる。
よって、大画面の表示装置を製造する場合に、データバ
スライン電極11の材料として比抵抗の小さいAlやC
u等を用いることができる。
【0116】また、本実施形態5において、第1の接続
電極5a及び第2の接続電極5bは同一工程で形成する
ことができるので、製造プロセスが増えることはない。
また、第1の接続電極5a及び第2の接続電極5bを同
一工程で形成することにより必然的に同じ材料で形成す
ることになるので、2つの非線形素子部の電気特性を均
一なものにすることができる。
【0117】(実施形態6)本実施形態6では、実施形
態3において、非線形素子の構造を表示装置の大画面化
に有利な構造とした例について説明する。
【0118】図10(a)は、この表示装置の1画素当
たりの平面構成を示す図であり、図10(b)はそのD
−D’線による断面図である。
【0119】一方の基板1aに設けられた非線形素子2
0では、Ta等の金属膜からなる下層電極2の上に多結
晶状態のPZTからなる強誘電体層3が設けられ、その
上にTa等の金属膜からなる第1の接続電極5a及び第
2の接続電極5bが設けられている。
【0120】その第1の接続電極5aの上に一部重畳す
るようにITO等の透明導電膜からなる画素電極13が
設けられ、第1の接続電極5aを介して強誘電体層3と
接続されている。また、第2の接続電極5bの上に一部
重畳するようにAl等の金属膜からなるデータバスライ
ン電極11が設けられ、第2の接続電極5bを介して強
誘電体層3と接続されている。
【0121】さらに、他方の基板1bには、ITO等の
透明導電膜からなる走査バスライン電極12が設けら
れ、両基板の間に液晶層10が封入されている。
【0122】本実施形態6においても実施形態5と同様
に、データバスライン電極11が第2の接続電極5bを
介して強誘電体層3と接続されているので、大画面の表
示装置を製造する場合に、データバスライン電極11の
材料として比抵抗の小さいAlやCu等を用いることが
できる。
【0123】また、実施形態5と同様に、第1の接続電
極5a及び第2の接続電極5bを同一工程で形成するこ
とができるので製造プロセスが増えることはなく、2つ
の非線形素子部の電気特性を均一なものにすることがで
きる。
【0124】さらに、実施形態5の表示装置に対して、
スルーホール4a、4aを有する絶縁膜4を省略するこ
とができるので、絶縁膜の形成プロセスを省略して製造
工程を簡略化することができる。
【0125】(実施形態7)本実施形態7では、実施形
態3において、非線形素子の構造を表示装置の大画面化
に有利な構造とした例について説明する。
【0126】図11に本実施形態7の表示装置の平面図
を示す。
【0127】一方の基板1aに設けられた非線形素子2
0では、第1の接続電極5a及び第2の接続電極5bが
幅(この図では左右)方向のサイズを均一にしてあり、
強誘電体層3の両外側(この図では左右)まで延びてい
る。
【0128】本実施形態7においても実施形態5及び実
施形態6と同様に、データバスライン電極11が第2の
接続電極5bを介して強誘電体層3と接続されているの
で、大画面の表示装置を製造する場合に、データバスラ
イン電極11の材料として比抵抗の小さいAlやCu等
を用いることができる。
【0129】また、実施形態5及び実施形態6と同様
に、第1の接続電極5a及び第2の接続電極5bを同一
工程で形成することができるので製造プロセスが増える
ことはなく、2つの非線形素子部の電気特性を均一なも
のにすることができる。
【0130】また、実施形態6と同様に、スルーホール
4a、4aを有する絶縁膜4を省略することができるの
で、絶縁膜の形成プロセスを省略して製造工程を簡略化
することができる。
【0131】さらに、各パターンの重ね合わせ精度が若
干ずれても強誘電体層3と第1の接続電極5a及び第2
の接続電極5bを重ね合わせることができるので、実施
形態6の表示装置に比べて製造プロセスを高精度化する
必要がない。
【0132】なお、上記実施形態1〜7においては、表
示媒体として液晶を用いた液晶表示装置(LCD)につ
いて示したが、他の表示媒体を用いた表示装置、例えば
エレクトロクロミック表示装置(ECD:Electr
ochromic Display)や電気泳動表示装
置(Electrophoretic Displa
y)等にも本発明は適用可能である。
【0133】また、上記実施形態1〜7では表示装置を
構成する一対の基板の内、一方の基板にデータバスライ
ン電極11を備え、他方の基板に走査バスライン電極1
2を備えたXYマトリクスの配線構造を作製したが、強
誘電体層を直列にバックツーバック接続した非線形素子
を介してデータバスライン電極又は走査バスライン電極
と画素電極とを電気的に接続した表示装置であれば、他
の構造に本発明を適用することも可能である。例えば、
一方の基板側にデータバスライン電極と走査バスライン
電極とをXYマトリクスの配線構造で設け、非線形素子
を介してデータバスライン電極又は走査バスライン電極
と画素電極とを電気的に接続した表示装置に本発明を適
用することも可能である。
【0134】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明による場合
には、強誘電体層からなる2つの非線形素子部が直列に
バックツーバック接続されていることにより、個々の非
線形素子部が印加電圧の極性に対して非対称な電気特性
を有していても、各々の非対称性が打ち消し合って解消
される。これにより、印加電圧の極性に対して対称な電
気特性を有する非線形素子が得られる。
【0135】また、2つの非線形素子部を同一基板表面
に沿って並設することにより、同一工程で同一の特性を
有する2つの非線形素子部を容易に得ることができる。
これにより、印加電圧の極性に対する電気特性の対称性
をさらに向上させることができる。
【0136】また、強誘電体層を挟んで1つの下層電極
と2つの上層電極とを設けることにより、2つの非線形
素子部が直列にバックツーバック接続された非線形素子
を容易に形成することができる。
【0137】また、強誘電体層と2つの上層電極をフォ
トリソグラフィ技術によりパターン形成する際にフォト
マスクのアライメント精度が悪いために許容範囲内で重
ね合わせのずれが生じても非線形素子部の面積が変化し
ないように、2つの上層電極に冗長性を与えることによ
り、2つの非線形素子部の素子面積を容易に均一にする
ことができる。
【0138】また、強誘電体層の一方側に1つの下層電
極を設け、他方側にその上を覆う絶縁膜を間に介して2
つの上層電極を設けて絶縁膜の2つの開口部で強誘電体
層と接するようにすることにより、2つの非線形素子部
が直列にバックツーバック接続された非線形素子を容易
に形成することができる。この場合、2つの非線形素子
部の素子面積が各層のパターン形成の際のフォトマスク
のアライメント精度に依存せず、絶縁膜に設けられた開
口部の形状(スルーホール)の形状のみで素子面積決定
されるため、容易に2つの非線形素子部の素子面積を均
一にすることができる。
【0139】また、上記2つの上層電極を同一の導電性
材料で形成することにより、2つの非線形素子部の特性
をより均一にすることができるので、これらを直列にバ
ックツーバック接続することにより、印加電圧の極性に
対して完全に対称な電気特性を有する非線形素子を得る
ことができる。
【0140】さらに、本発明による場合には、画素電極
と走査バスライン電極又はデータバスライン電極との間
に本発明の非線形素子が設けているので、非線形素子の
電気特性により表示媒体の電圧を制御することができ
る。よって、画素がマトリクス構成を有する表示装置に
おいてもクロストークを低減して高コントラストな画像
表示が可能となる。また、印加電圧の極性に対して対称
性を有する本発明の非線形素子を用いることにより、交
流駆動(極性反転駆動)を行っても表示媒体にDC電圧
が印加されることはない。特に、2つの上層電極を同一
の導電性材料で形成することにより、2つの非線形素子
部の特性をより均一にして印加電圧の極性に対して完全
に対称な電気特性を有する非線形素子を得ることができ
る。よって、表示装置の交流駆動がさらに容易になる。
【0141】従って、表示媒体として例えば液晶を用い
ても、液晶材料が分解したり、電極でのイオン吸着が生
じたりすることはなく、信頼性が高い表示装置を得るこ
とができる。
【0142】また、上記強誘電体層と重畳する走査バス
ライン電極部分又はデータバスライン電極部分を一方の
上層電極とし、強誘電体層と画素電極とを接続する接続
電極を他方の上層電極とすると、バスライン電極と接続
電極とを同一の工程で形成して容易に非線形素子を作製
することができる。この場合、走査バスライン電極又は
データバスライン電極が強誘電体層の上層にあるので、
両バスライン電極が強誘電体層の結晶化プロセスの影響
を受けることはなく、これによりバスライン電極の材料
が限定されることはない。よって、下層電極と同等の電
気特性を有するものであれば熱酸化しやすい材料であっ
ても用いることができる。
【0143】また、上記強誘電体層と画素電極とを接続
する第1接続電極を一方の上層電極とし、強誘電体層と
走査バスライン電極又はデータバスライン電極とを接続
する第2接続電極を他方の上層電極とすると、第1接続
電極と第2接続電極とを同一の工程で形成して容易に非
線形素子を作製することができる。この場合にも、走査
バスライン電極又はデータバスライン電極が強誘電体層
の上層にあるので、これらのバスライン電極が強誘電体
層の結晶化プロセスの影響を受けることはなく、これに
より両データバスライン電極の材料が限定されることは
ない。
【0144】さらに、強誘電体層に接続される第2接続
電極を走査バスライン電極及びデータバスライン電極と
は別に設けているので、第2接続電極よりも比抵抗値が
小さい導電性材料、例えば熱酸化しやすいAlやCu等
の低抵抗材料を用いてバスライン電極を形成することが
できる。これにより、バスライン電極をさらに低抵抗化
して表示信号の遅延を低減することができるので、大画
面表示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1の表示装置の構成を示す平面図であ
る。
【図2】(a)は実施形態1の表示装置の1画素当たり
の構成を示す平面図であり、(b)は(a)のA−A’
線による断面図である。
【図3】(a)は実施形態1の表示装置における非線形
素子の構成を示す断面図であり、(b)はその等価回路
図である。
【図4】実施形態1の表示装置の製造工程を示す断面図
である。
【図5】実施形態1の表示装置の等価回路図である。
【図6】実施形態1の表示装置の製造工程を示す断面図
である。
【図7】(a)は実施形態3の表示装置の1画素当たり
の構成を示す平面図であり、(b)は(a)のB−B’
線による断面図である。
【図8】実施形態4の表示装置の1画素当たりの構成を
示す平面図である。
【図9】(a)は実施形態5の表示装置の1画素当たり
の構成を示す平面図であり、(b)は(a)のC−C’
線による断面図である。
【図10】(a)は実施形態6の表示装置の1画素当た
りの構成を示す平面図であり、(b)は(a)のD−
D’線による断面図である。
【図11】実施形態7の表示装置の1画素当たりの構成
を示す平面図である。
【図12】(a)は従来の表示装置の等価回路図であ
り、(b)はその1画素当たりの構成を示す断面図であ
り、(c)はその1画素当たりの構成を示す平面図であ
る。
【図13】強誘電体のE−D(電界強度−電荷密度)曲
線を示すグラフである。
【符号の説明】 1a、1b 基板 2 下層電極 3 強誘電体層 4 絶縁膜 4a 絶縁膜の開口部 5 接続電極 5a 第1の接続電極 5b 第2の接続電極 11 データバスライン電極 12 走査バスライン電極 13 画素電極 20 非線形素子 Cfe 非線形素子の容量 Clc 液晶層の容量
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1365 H01L 49/02

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極間に強誘電体層が挟まれてなる非線
    形素子部を2つ有し、一方の非線形素子部の一方の電極
    と、他方の非線形素子部の該一方の電極とは逆極性側の
    電極とが電気的に接続された非線形素子であって、該強
    誘電体層の一方側に下層電極が設けられ、該強誘電体層
    の他方側にその上を覆う絶縁膜を間に介して2つの上層
    電極が設けられ、該2つの上層電極が該絶縁膜に設けら
    れた2つの開口部の各々で該強誘電体層と接しており、
    一方の非線形素子部が該下層電極及び一方の上層電極で
    挟まれた強誘電体層部分からなり、他方の非線形素子部
    が該下層電極及び他方の上層電極で挟まれた強誘電体層
    部分からなる非線形素子。
  2. 【請求項2】 前記2つの非線形素子部が同一基板表面
    に沿って並設されている請求項1に記載の非線形素子。
  3. 【請求項3】 前記2つの上層電極が同一の導電性材料
    からなる請求項1に記載の非線形素子。
  4. 【請求項4】 表示媒体を挟んで対向配置された一対の
    基板の一方にマトリクス状に画素電極が設けられ、該画
    素電極と該画素電極に電位を与える走査バスライン電極
    又はデータバスライン電極との間に請求項1乃至請求項
    のいずれかに記載の非線形素子が設けられている表示
    装置。
  5. 【請求項5】 前記表示媒体が液晶からなる請求項4
    記載の表示装置。
  6. 【請求項6】 前記走査バスライン電極又は前記データ
    バスライン電極が前記強誘電体層と一部重畳するように
    設けられ、前記2つの上層電極の一方が該強誘電体層と
    重畳する走査バスライン電極部分又はデータバスライン
    電極部分からなり、他方の上層電極が該強誘電体層と前
    記画素電極とを接続する接続電極からなる請求項4又は
    請求項5に記載の表示装置。
  7. 【請求項7】 前記2つの上層電極の一方が前記強誘電
    体層と前記画素電極とを接続する第1接続電極からな
    り、他方の上層電極が該強誘電体層と前記走査バスライ
    ン電極又は前記データバスライン電極とを接続する第2
    接続電極からなる請求項4又は請求項5に記載の表示装
    置。
  8. 【請求項8】 前記走査バスライン電極又は前記データ
    バスライン電極は、前記第2接続電極よりも比抵抗値が
    小さい導電性材料からなる請求項7に記載の表示装置。
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