JP3333644B2 - 高力ボルト摩擦接合用鋼材 - Google Patents

高力ボルト摩擦接合用鋼材

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高力ボルト摩擦接合用鋼
材に関するもので、建築、橋梁などにおける鋼構造物の
摩擦接合部に利用できる。本発明鋼材を用いることによ
り安定して高い摩擦接合のすべり係数が得られ、鋼構造
物の安全性を高めることができる。
【0002】
【従来の技術】高力ボルト摩擦接合において、日本建築
学会の設計施工指針では、接合耐力上重要となる摩擦面
は、黒皮除去された良好な赤錆面で、すべり係数が0.
45を上回る処理を施し、また、すべり耐力試験により
確認する必要があるとされている。通常、良好な赤錆状
態であればすべり係数は0.45を上回ることが知られ
ており、すべり耐力試験は省略される場合が多い。
【0003】赤錆状態のすべり係数は0.6程度の値が
得られることもあるが、環境因子や鋼材組成などにより
錆生成状態が異なるためバラツキが大きく、すべり係数
は0.45として設計されているようである。
【0004】摩擦接合面のすべり係数は接合耐力上高い
ほど好ましいことは明らかであり、特開昭51−526
28号公報では接合面に施工前に凹凸をつけたり、特開
平1−206104号公報では接合面に耐食性金属を溶
射して高い摩擦抵抗を発生させている。しかし、摩擦接
合面のすべり係数は鋼材表面の粗さの増大に伴って高く
なる傾向にあるが、表面粗さを増してある値以上にはな
らないという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、請求項に示
すように摩擦接合面に凹凸を有し、かつ表面が硬いこと
により、安定して高いすべり係数を発現する高力ボルト
摩擦接合用鋼材を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、高力ボ
ルト摩擦接合用鋼材として、鋼材組成が重量%で、 C:0.10〜0.25% Si:0.05〜0.60% Mn:1.0〜2.5% Al:0.060%以下 Ti:0.005〜0.030% B:0.0005〜0.0030% N:0.0060%以下 残部が鉄および不可避的不純物からなり、かつ Ti−3.4N>0 を満足する鋼材の摩擦接合面に 高低差:0.2〜1.0mm の凹凸を有し、かつ表面から1mm以上がヴィッカース
硬さ250以上とすることである。
【0007】
【作用】鋼材のすべり係数を高めるためには、ショット
あるいはグリッドブラストなどにより摩擦接合面の表面
粗さを増す方法がとられる。しかし、ブラスト処理など
では表面粗さ、すなわち表面凹凸の高低差は、鋼種やシ
ョット粒などにもよるが高々150μm程度であり、こ
れによるすべり係数の増加には自ずと限界がある。ま
た、本発明者らの研究によれば、同一の表面粗さですべ
り係数を高めるためには、摩擦接合面の硬さ(表面硬
さ)を高めることが必要である。すなわち、摩擦接合面
に適切な凹凸を施し、かつ表面硬さを上げることで高す
べり係数を顕著に向上させることを見出し、本発明に至
った。
【0008】以下、本発明について説明する。すべり係
数の観点からは摩擦接合面の粗度が大きく、硬さは高い
ほど良い。まず、摩擦接合面の凹凸の付け方は、凹凸の
付いたロールによる転写、機械加工、レーザー加工、放
電加工、あるいは化学的方法などがあり、どのような方
法によっても良い。この時の凹凸の高低差は、積極的に
すべり係数を高めるため、ブラスト処理などにより容易
に付け得る高低差以上にする必要性から、0.2mm以
上に限定した。しかし、1.0mmを超えるとすべり係
数の顕著な向上が認められないため、上限を1.0mm
とした。なお、凹凸の形状は図1(a)に示すような角
錐形、図1(b)に示すような山形など先端が鋭い方が
好ましい。
【0009】上記のように摩擦結合面に凹凸を付け表面
粗度を増しただけではすべり係数を顕著に向上させるこ
とはできず、表面硬さを増す必要がある。
【0010】表面硬さを増す方法には、一般的には焼入
れ処理が最も簡単であるが、表面の凹凸をレーザー加
工、放電加工などによって付ける場合には、加工時の局
部的な入熱とその後の冷却によって表面のみ焼きが入
り、焼入れ処理が不要となる場合もある。表面凹凸は焼
入れ処理前後のいずれの状態で付けても良いが、機械加
工による場合には焼入れ処理前が容易であることは自明
である。
【0011】すべり係数を顕著にするためには表面硬さ
は高いほど良く、ヴィッカース硬さ250以上に限定し
た。上限は特に規定しないが、後述する組成の限定範囲
により自ずと制限を受けるものである。また、この硬さ
は鋼材全断面にわたる必要はなく、摩擦接合面表面から
最低1mm以上の深さがあれば良い。
【0012】焼入れ処理によって上記硬さを得るために
は、鋼材組成をも限定し、焼入れ性を高める必要があ
る。
【0013】Cは焼入れ性を高める上で最も有効な元素
である。ヴィッカース硬さ250以上を容易に得る上
で、0.10%以上の添加が必要である。しかし、C量
を多くし必要以上に硬さを高くしてもすべり係数の改善
効果は鈍化するため、上限を0.25%に限定した。
【0014】Siは鋼の脱酸上必要な元素で0.05%
以上添加する必要がある。しかし、多く添加すると鋼の
靭性を劣化させ、表面の凹凸が潜在亀裂となって割れが
生ずる可能性があるため、上限を0.60%に限定し
た。
【0015】Mnは焼入性を増大させ、母材の靭性を確
保する上で不可欠な元素であり、その下限は1.0%で
ある。しかし、あまり多く添加しても添加量に対する硬
さ上昇の効果は鈍化するため、上限を2.5%とした。
【0016】Alは鋼の脱酸上必要な元素であるが、他
にも脱酸元素は含まれるため、必ずしも必要はなく下限
は限定しない。一方、過剰な添加は鋼の靭性を劣化さ
せ、表面の凹凸が潜在亀裂となって割れが生ずる可能性
があるため0.060%を上限とした。
【0017】TiはNを固定し、焼入れ性を顕著に高め
るBを有効に作用させるために添加するもので、次式の
Ti、Nを鋼中に含まれるTi、N量としたとき Ti−3.4>0 を満足する必要がある。この式の意味するところは、化
学量論的にTiがNを完全に固定するのに足る以上(過
剰)に添加することを意味する。しかし、上式を満足さ
せるためにあまり過剰に添加すると高価なばかりでな
く、TiCが析出しCをも固定してしまうため上限を
0.030%に限定した。一方、下限値は後述するよう
に製鋼上Nは必ず含まれるため、0.005%以上とし
た。
【0018】BはC同様焼入れ性を顕著に増大させる元
素で、0.0005%以上の添加で硬さ増大に顕著に寄
与する。しかし、0.0030%と超える添加量に対し
てその効果が小さくなるため、上限を0.0030%と
した。
【0019】Nは本発明においては不純物元素であり、
少ないほど良いが鋼の溶製上含有するものである。ただ
し、多すぎるとこれを完全固定するためのTi含有量を
増やす必要があり、コストアップにつながるため、上限
のみ0.0060%に限定した。
【0020】その他、鋼に不可避的に存在する不純物
(P、Sなど)について特に限定しない。
【0021】
【実施例】表1は本発明を実施するに当たって使用に供
した鋼の組成、表2は摩擦接合面の凹凸の高低差、表面
硬さ、250Hv以上となる表面からの深さ、すべり係
数、凹凸加工法などを示したものである。鋼A、B、
C、D、Eは本発明成分、鋼F、G、H、Iは比較成分
を示す。また、実施例1、2、4〜9のみ表面硬さを確
保するため摩擦接合面の凹凸加工後焼入れ処理を行って
いる。
【0022】表2中、実施例1〜5は、いずれも本発明
成分でかつ本発明に基づく摩擦係合面の凹凸、表面硬さ
などを有するため、0.9以上の高いすべり係数を発現
している。なお、実施例3では摩擦接合面の凹凸はレー
ザー加工のままであるが、レーザーの出力を適正に調節
することにより表面から1mm以上の硬化層を得ること
ができる例である。これに対して実施例6〜9では、鋼
組成が本発明範囲を逸脱しているため表面硬さ、深さが
不十分であったり、摩擦接合面の凹凸が本発明範囲を逸
脱しているためすべり係数が低い。また、実施例10〜
11は、鋼組成は本発明の範囲内ではあるが摩擦接合面
の凹凸が本発明範囲を逸脱していたり、焼入れ処理して
いないことによる表面硬さ不足のためすべり係数が低
い。
【0023】なお、実施例7、8はそれぞれSi、Al
が過剰に添加されており、鋼材製造、凹凸加工時には大
きな問題にはならなかったが、特に焼入れ処理後の靭性
が低く、摩擦接合面の凹凸が潜在亀裂として割れを生ず
る可能性があり、摩擦接合部の信頼性を損ねる恐れがあ
る。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
【発明の効果】本発明により、安定して高いすべり係数
(0.9以上)を容易に得ることが可能になった。その
結果、建築、橋梁分野などにおいて、高力ボルト摩擦係
合部の信頼性を高める構造部材として提供することがで
き、その工業的価値は大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】最も好ましい摩擦接合面の凹凸形状を示す模式
図で、(a)は角錐形、(b)は山形と称す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−146240(JP,A) 特開 平5−98356(JP,A) 特開 昭51−52628(JP,A) 特開 平8−41591(JP,A) 特開 平8−49040(JP,A) 特開 平7−286255(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼材組成が重量%で、 C:0.10〜0.25% Si:0.05〜0.60% Mn:1.0〜2.5% Al:0.060%以下 Ti:0.005〜0.030% B:0.0005〜0.0030% N:0.0060%以下 残部が鉄および不可避的不純物からなり、かつ Ti−3.4N>0 を満足する鋼材の摩擦接合面に 高低差:0.2〜1.0mm の凹凸を有し、かつ表面から1mm以上がヴィッカース
    硬さ250以上であることを特徴とする高力ボルト摩擦
    接合用鋼材。
JP21972194A 1994-09-14 1994-09-14 高力ボルト摩擦接合用鋼材 Expired - Fee Related JP3333644B2 (ja)

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