JPH09324213A - 板厚12mm以下の高力ボルト摩擦接合用鋼板の製造方法 - Google Patents
板厚12mm以下の高力ボルト摩擦接合用鋼板の製造方法Info
- Publication number
- JPH09324213A JPH09324213A JP14569896A JP14569896A JPH09324213A JP H09324213 A JPH09324213 A JP H09324213A JP 14569896 A JP14569896 A JP 14569896A JP 14569896 A JP14569896 A JP 14569896A JP H09324213 A JPH09324213 A JP H09324213A
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- Japan
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- steel plate
- less
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- strength bolt
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- Heat Treatment Of Steel (AREA)
- Heat Treatment Of Strip Materials And Filament Materials (AREA)
- Connection Of Plates (AREA)
Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【課題】 摩擦接合面に凹凸を有し、かつ表面が硬いこ
とにより、安定して高いすべり係数を発現する高力ボル
ト摩擦接合用鋼板の製造方法。 【解決手段】 鋼材組成のC、Si、Mn、Al、T
i、B、Nの重量%が特定され、さらに重量%が特定さ
れたCu、Ni、Cr、Mo、Nb、Vの1種または2
種以上を含有する鋼を、再加熱後、熱間圧延し、その圧
延最終パス直前に高圧水によるスケール除去を十分に行
い、最終圧延パスを鋼板表面に付与すべき凹凸形状に対
応した凹凸付きロールで圧延して、最終的に鋼板表面に
十点平均粗さRzが0.2mm以上となる粗度を付与した
後放冷し、引続き再加熱焼入れを行い、鋼板表面から1
mmまでがヴィッカース硬さで250以上を特徴とする板
厚12mm以下の高力ボルト摩擦接合用鋼板の製法。
とにより、安定して高いすべり係数を発現する高力ボル
ト摩擦接合用鋼板の製造方法。 【解決手段】 鋼材組成のC、Si、Mn、Al、T
i、B、Nの重量%が特定され、さらに重量%が特定さ
れたCu、Ni、Cr、Mo、Nb、Vの1種または2
種以上を含有する鋼を、再加熱後、熱間圧延し、その圧
延最終パス直前に高圧水によるスケール除去を十分に行
い、最終圧延パスを鋼板表面に付与すべき凹凸形状に対
応した凹凸付きロールで圧延して、最終的に鋼板表面に
十点平均粗さRzが0.2mm以上となる粗度を付与した
後放冷し、引続き再加熱焼入れを行い、鋼板表面から1
mmまでがヴィッカース硬さで250以上を特徴とする板
厚12mm以下の高力ボルト摩擦接合用鋼板の製法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高力ボルト摩擦接合
用鋼板の製造方法に関するもので、板厚12mm以下の比
較的薄手の鋼板を対象とし、建築、橋梁などにおける鋼
構造物の摩耗接合部に利用できる。
用鋼板の製造方法に関するもので、板厚12mm以下の比
較的薄手の鋼板を対象とし、建築、橋梁などにおける鋼
構造物の摩耗接合部に利用できる。
【0002】
【従来の技術】高力ボルトの摩擦接合において、日本建
築学会の設計施工指針では、接合耐力上重要となる摩擦
面は、黒皮除去された良好な赤錆面で、すべり係数が
0.45を上回る処理を施し、また、すべり係数はすべ
り耐力試験により確認する必要があるとされている。通
常、良好な赤錆状態であればすべり係数は0.45を上
回ることが知られており、すべり耐力試験は省略される
場合が多い。
築学会の設計施工指針では、接合耐力上重要となる摩擦
面は、黒皮除去された良好な赤錆面で、すべり係数が
0.45を上回る処理を施し、また、すべり係数はすべ
り耐力試験により確認する必要があるとされている。通
常、良好な赤錆状態であればすべり係数は0.45を上
回ることが知られており、すべり耐力試験は省略される
場合が多い。
【0003】赤錆状態のすべり係数は0.6程度の値が
得られることもあるが、環境因子や鋼材組成などにより
錆生成状態が異なるためバラツキが大きく、すべり係数
は0.45として設計されているようである。
得られることもあるが、環境因子や鋼材組成などにより
錆生成状態が異なるためバラツキが大きく、すべり係数
は0.45として設計されているようである。
【0004】摩擦接合面のすべり係数は、接合耐力上高
いほど好ましいことは明らかであり、特開昭51−52
628号公報では施工前に接合面に凹凸をつけたり、特
開平1−206104号公報では接合面に耐食性金属を
溶射して高い摩擦抵抗を発生させている。しかし、摩擦
接合面のすべり係数は鋼材表面の粗さの増大に伴って高
くなる傾向にあるが、表面粗さを増してもある値以上に
はならないという問題があった。
いほど好ましいことは明らかであり、特開昭51−52
628号公報では施工前に接合面に凹凸をつけたり、特
開平1−206104号公報では接合面に耐食性金属を
溶射して高い摩擦抵抗を発生させている。しかし、摩擦
接合面のすべり係数は鋼材表面の粗さの増大に伴って高
くなる傾向にあるが、表面粗さを増してもある値以上に
はならないという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、摩擦接合面
に凹凸を有し、かつ表面が硬いことにより、安定して高
いすべり係数を発現する板厚12mm以下の高力ボルト摩
擦接合用鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
に凹凸を有し、かつ表面が硬いことにより、安定して高
いすべり係数を発現する板厚12mm以下の高力ボルト摩
擦接合用鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、鋼材組
成が重量%で、C:0.10〜0.25%、Si:0.
05〜0.60%、Mn:1.0〜2.5%、Al:
0.060%以下、Ti:0.005〜0.030%、
B:0.0005〜0.0030%、N:0.0060
%以下を含有し、かつTi−3.4N>0を満足し、さ
らにCu:0.5%以下、Ni:0.5%以下、Cr:
0.5%以下、Mo:0.5%以下、Nb:0.05%
以下、V:0.05%以下の1種または2種以上を含有
する鋼を、再加熱後、熱間圧延し、その圧延最終パス直
前に高圧水によるスケール除去を十分に行い、最終圧延
パスを鋼板表面に付与すべき凹凸形状に対応した凹凸付
きロールで圧延して、最終的に鋼板表面に十点平均粗さ
Rzが0.2mm以上となる粗度を付与した後放冷し、引
続き再加熱焼入れを行い、鋼板表面から少なくとも1mm
までがヴィッカース硬さで250以上とすることを特徴
とする板厚12mm以下の高力ボルト摩擦接合用鋼板の製
造方法である。
成が重量%で、C:0.10〜0.25%、Si:0.
05〜0.60%、Mn:1.0〜2.5%、Al:
0.060%以下、Ti:0.005〜0.030%、
B:0.0005〜0.0030%、N:0.0060
%以下を含有し、かつTi−3.4N>0を満足し、さ
らにCu:0.5%以下、Ni:0.5%以下、Cr:
0.5%以下、Mo:0.5%以下、Nb:0.05%
以下、V:0.05%以下の1種または2種以上を含有
する鋼を、再加熱後、熱間圧延し、その圧延最終パス直
前に高圧水によるスケール除去を十分に行い、最終圧延
パスを鋼板表面に付与すべき凹凸形状に対応した凹凸付
きロールで圧延して、最終的に鋼板表面に十点平均粗さ
Rzが0.2mm以上となる粗度を付与した後放冷し、引
続き再加熱焼入れを行い、鋼板表面から少なくとも1mm
までがヴィッカース硬さで250以上とすることを特徴
とする板厚12mm以下の高力ボルト摩擦接合用鋼板の製
造方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】鋼材のすべり係数を高めるために
は、ショットあるいはサンドブラストなどにより摩擦接
合面の表面粗さを増す方法がとられる。しかし、ブラス
ト処理などでは表面粗さ、すなわち表面凹凸の高低差
は、鋼種やショット粒などにもよるが高々0.15mm程
度であり、これによるすべり係数の増加には自ずと限界
がある。
は、ショットあるいはサンドブラストなどにより摩擦接
合面の表面粗さを増す方法がとられる。しかし、ブラス
ト処理などでは表面粗さ、すなわち表面凹凸の高低差
は、鋼種やショット粒などにもよるが高々0.15mm程
度であり、これによるすべり係数の増加には自ずと限界
がある。
【0008】また、本発明者らの研究によれば、同一の
表面粗さですべり係数を高めるためには表面硬さを高め
ることが必要である。すなわち、摩擦接合面となる鋼板
表面に適切な凹凸を施し、かつ表面硬さを上げることで
高すべり係数を顕著に向上させることを見出し、本発明
に至ったものである。
表面粗さですべり係数を高めるためには表面硬さを高め
ることが必要である。すなわち、摩擦接合面となる鋼板
表面に適切な凹凸を施し、かつ表面硬さを上げることで
高すべり係数を顕著に向上させることを見出し、本発明
に至ったものである。
【0009】以下、本発明について説明する。すべり係
数の観点からは、摩擦接合面となる鋼板表面の粗度が大
きく、硬さは高いほど良い。鋼板表面の凹凸の付け方
は、圧延後に機械加工やレーザー加工など種々の方法が
あるが、本発明においては最も安価で高効率な加工方法
である、熱間圧延工程における圧延ロールによる転写と
した。熱間での転写となるためきわめて容易である。
数の観点からは、摩擦接合面となる鋼板表面の粗度が大
きく、硬さは高いほど良い。鋼板表面の凹凸の付け方
は、圧延後に機械加工やレーザー加工など種々の方法が
あるが、本発明においては最も安価で高効率な加工方法
である、熱間圧延工程における圧延ロールによる転写と
した。熱間での転写となるためきわめて容易である。
【0010】ロール転写のためには、上述の鋼組成を有
する鋼を再加熱後、熱間圧延し、その圧延最終パス直前
に高圧水によるスケール除去を十分に行い、最終圧延パ
スを鋼板表面の所要凹凸形状に対応した凹凸付きロール
で圧延する必要がある。スケール除去が不十分である
と、凹部にスケールが残るなど、後述する粗度確保が困
難となるためである。
する鋼を再加熱後、熱間圧延し、その圧延最終パス直前
に高圧水によるスケール除去を十分に行い、最終圧延パ
スを鋼板表面の所要凹凸形状に対応した凹凸付きロール
で圧延する必要がある。スケール除去が不十分である
と、凹部にスケールが残るなど、後述する粗度確保が困
難となるためである。
【0011】最終的な鋼板表面の十点平均粗さRzを
0.2mm以上に限定した理由は、ショットブラストなど
により容易に付け得る粗度以上でなければ本発明の効果
を最大限に活かせないためである。なお、凹凸の形状は
図1に示すような角錐形、山形など先端が鋭い方が好ま
しい。
0.2mm以上に限定した理由は、ショットブラストなど
により容易に付け得る粗度以上でなければ本発明の効果
を最大限に活かせないためである。なお、凹凸の形状は
図1に示すような角錐形、山形など先端が鋭い方が好ま
しい。
【0012】上記のように摩擦接合面に凹凸を付け表面
粗度を増しただけではすべり係数を顕著に向上させるこ
とはできず、表面硬さを増す必要がある。表面硬さを増
す方法は、一般的に焼入処理が最も簡単であり、熱間圧
延後直接冷却する方法が最もエネルギーロスが小さく好
ましい。
粗度を増しただけではすべり係数を顕著に向上させるこ
とはできず、表面硬さを増す必要がある。表面硬さを増
す方法は、一般的に焼入処理が最も簡単であり、熱間圧
延後直接冷却する方法が最もエネルギーロスが小さく好
ましい。
【0013】しかし、硬化のため焼入れることが目的で
あるため、水冷開始温度として鋼の変態開始温度Ar3
点以上とする必要があるが、本発明が対象とする板厚1
2mm以下の比較的薄手の鋼板では、圧延中のロールの抜
熱や自然冷却により特に表層でAr3 点以上の温度を確
保するのが困難となる。その結果、後述するように表層
部での硬さ確保が困難となる。そこで、圧延後一旦放冷
し、再加熱焼入れを行うこととした。後述する表層硬さ
が確保できれば、焼入れ後焼戻ししても本発明の効果を
損なうものではない。
あるため、水冷開始温度として鋼の変態開始温度Ar3
点以上とする必要があるが、本発明が対象とする板厚1
2mm以下の比較的薄手の鋼板では、圧延中のロールの抜
熱や自然冷却により特に表層でAr3 点以上の温度を確
保するのが困難となる。その結果、後述するように表層
部での硬さ確保が困難となる。そこで、圧延後一旦放冷
し、再加熱焼入れを行うこととした。後述する表層硬さ
が確保できれば、焼入れ後焼戻ししても本発明の効果を
損なうものではない。
【0014】すべり係数を顕著に改善するためには、表
面硬さは高いほど良く、ヴィッカース硬さ250以上に
限定した。上限は特に規定しないが、後述する組成の限
定範囲により自ずと制限を受けるものである。また、こ
の硬さは実際にボルト締結試験によれば鋼板全断面にわ
たる必要はなく、鋼板表面から少なくとも1mm以上の深
さがあれば良い。むしろ、ボルト穴の穴あけ作業の点か
らは全断面ではなく表層のみ硬いことが好ましい。
面硬さは高いほど良く、ヴィッカース硬さ250以上に
限定した。上限は特に規定しないが、後述する組成の限
定範囲により自ずと制限を受けるものである。また、こ
の硬さは実際にボルト締結試験によれば鋼板全断面にわ
たる必要はなく、鋼板表面から少なくとも1mm以上の深
さがあれば良い。むしろ、ボルト穴の穴あけ作業の点か
らは全断面ではなく表層のみ硬いことが好ましい。
【0015】このような熱間圧延後の直接焼入処理によ
って上記硬さを得るためには、鋼材組成をも限定し、焼
入性を高める必要がある。以下に各成分の限定理由を説
明する。Cは、焼入性を高める上で最も有効な元素であ
る。ヴィッカース硬さ250以上を容易に得る上で、
0.10%以上の添加が必要である。しかし、C量を多
くし必要以上に硬さを高くしても、すべり係数の改善効
果は鈍化するため、上限を0.25%に限定した。
って上記硬さを得るためには、鋼材組成をも限定し、焼
入性を高める必要がある。以下に各成分の限定理由を説
明する。Cは、焼入性を高める上で最も有効な元素であ
る。ヴィッカース硬さ250以上を容易に得る上で、
0.10%以上の添加が必要である。しかし、C量を多
くし必要以上に硬さを高くしても、すべり係数の改善効
果は鈍化するため、上限を0.25%に限定した。
【0016】Siは、鋼の脱酸上必要な元素で、0.0
5%以上添加する必要がある。しかし、多く添加すると
鋼の靭性を劣化させ、表面の凹凸が潜在亀裂となって割
れが生ずる可能性があるため、上限を0.60%に限定
した。
5%以上添加する必要がある。しかし、多く添加すると
鋼の靭性を劣化させ、表面の凹凸が潜在亀裂となって割
れが生ずる可能性があるため、上限を0.60%に限定
した。
【0017】Mnは焼入性を増大させ、母材の靭性を確
保する上で不可欠な元素であり、その下限は1.0%で
ある。しかし、あまり多く添加しても添加量に対する硬
さ上昇の効果は鈍化するため、上限を2.5%とした。
保する上で不可欠な元素であり、その下限は1.0%で
ある。しかし、あまり多く添加しても添加量に対する硬
さ上昇の効果は鈍化するため、上限を2.5%とした。
【0018】Alは鋼の脱酸上必要な元素であるが、他
にも脱酸元素は含まれるため、必ずしも必要はなく下限
は限定しない。一方、過剰な添加は鋼の靭性を劣化さ
せ、表面の凹凸が潜在亀裂となって割れが生ずる可能性
があるため、0.060%を上限とした。
にも脱酸元素は含まれるため、必ずしも必要はなく下限
は限定しない。一方、過剰な添加は鋼の靭性を劣化さ
せ、表面の凹凸が潜在亀裂となって割れが生ずる可能性
があるため、0.060%を上限とした。
【0019】TiはNを固定し、焼入性を顕著に高める
Bを有効に作用させるために添加するもので、次式のT
i,Nを鋼中に含まれるTi,N量としたとき、Ti−
3.4N>0を満足する必要がある。この式の意味する
ところは、化学量論的にTiがNを完全に固定するのに
足る以上(過剰)に添加することを意味する。
Bを有効に作用させるために添加するもので、次式のT
i,Nを鋼中に含まれるTi,N量としたとき、Ti−
3.4N>0を満足する必要がある。この式の意味する
ところは、化学量論的にTiがNを完全に固定するのに
足る以上(過剰)に添加することを意味する。
【0020】しかし、上式を満足させるためにあまり過
剰に添加すると高価なばかりでなく、TiCが析出しC
をも固定してしまうため、上限を0.030%に限定し
た。一方、下限値は後述するように製鋼上Nは必ず含ま
れるため、0.005%以上とした。
剰に添加すると高価なばかりでなく、TiCが析出しC
をも固定してしまうため、上限を0.030%に限定し
た。一方、下限値は後述するように製鋼上Nは必ず含ま
れるため、0.005%以上とした。
【0021】BはC同様焼入性を顕著に増大させる元素
で、0.0005%以上の添加で硬さ増大に顕著に寄与
する。しかし、0.0030%を超えると添加量に対し
てその効果が小さくなるため、上限を0.0030%と
した。
で、0.0005%以上の添加で硬さ増大に顕著に寄与
する。しかし、0.0030%を超えると添加量に対し
てその効果が小さくなるため、上限を0.0030%と
した。
【0022】Nは本発明においては不純物元素であり、
少ないほど良いが、鋼の溶製上含有するものである。た
だし、多すぎるとこれを完全に固定するためのTi含有
量を増やす必要があり、コストアップにつながるため、
上限のみ0.0060%に限定した。
少ないほど良いが、鋼の溶製上含有するものである。た
だし、多すぎるとこれを完全に固定するためのTi含有
量を増やす必要があり、コストアップにつながるため、
上限のみ0.0060%に限定した。
【0023】上記成分に加え、さらに含有するCu,N
i,Cr,Mo,Nb,Vは、いずれも焼入れ硬化能を
増大させるために1種または2種以上を添加するもので
ある。いずれも多く添加するほど焼入性が増大し、焼入
れ時の冷却速度が比較的遅い場合でも、容易にヴィッカ
ース硬さ250以上の表面硬さを得ることができる。
i,Cr,Mo,Nb,Vは、いずれも焼入れ硬化能を
増大させるために1種または2種以上を添加するもので
ある。いずれも多く添加するほど焼入性が増大し、焼入
れ時の冷却速度が比較的遅い場合でも、容易にヴィッカ
ース硬さ250以上の表面硬さを得ることができる。
【0024】添加量の上限は、本発明鋼材はその性質上
溶接されるものではないため、一般的な鋼材のように溶
接性によって制限されるものではなく、単に硬化性に対
する効果はもちろん、合金コスト上規制したもので、C
u,Ni,Cr,Moでは0.5%、Nb,Vでは0.
05%とした。これらの選択元素は、単独添加はもちろ
ん、焼入性に対して加算性を有するため2種以上任意の
組合せをとることができる。その他、鋼に不可避的に存
在する不純物(P,Sなど)については特に限定しな
い。
溶接されるものではないため、一般的な鋼材のように溶
接性によって制限されるものではなく、単に硬化性に対
する効果はもちろん、合金コスト上規制したもので、C
u,Ni,Cr,Moでは0.5%、Nb,Vでは0.
05%とした。これらの選択元素は、単独添加はもちろ
ん、焼入性に対して加算性を有するため2種以上任意の
組合せをとることができる。その他、鋼に不可避的に存
在する不純物(P,Sなど)については特に限定しな
い。
【0025】
【実施例】表1は、本発明の有用性を例示するために用
いた鋼の成分を示したもので、鋼A〜AEは本発明成
分、鋼R1〜R4は比較成分である。これらの鋼を板厚
9mmに熱間圧延し、本発明の通りに表面凹凸および表面
硬度を付与した鋼材を、図2に示すような試験体を用い
てすべり係数を測定した。測定に当たっては、被接合母
材1、治具プレート4はSM400鋼、ボルト3はF1
0Tを用い、スプライスプレート2が本発明鋼材であ
る。表2はスプライスプレートの摩擦接合面の凹凸の高
低差および形状、250Hv以上となる表面からの深さ、
すべり係数を示したものである。
いた鋼の成分を示したもので、鋼A〜AEは本発明成
分、鋼R1〜R4は比較成分である。これらの鋼を板厚
9mmに熱間圧延し、本発明の通りに表面凹凸および表面
硬度を付与した鋼材を、図2に示すような試験体を用い
てすべり係数を測定した。測定に当たっては、被接合母
材1、治具プレート4はSM400鋼、ボルト3はF1
0Tを用い、スプライスプレート2が本発明鋼材であ
る。表2はスプライスプレートの摩擦接合面の凹凸の高
低差および形状、250Hv以上となる表面からの深さ、
すべり係数を示したものである。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】
【0030】表2中、実施例1〜31はいずれも本発明
成分で、かつ本発明に基づく摩擦接合面の凹凸、表面硬
さなどを有するため、0.7以上の高いすべり係数を発
現している。これに対して比較例32〜37では、本発
明の構成要素である鋼成分、表面硬さ、深さ、摩擦接合
面の凹凸のいずれか一つまたは複数が本発明範囲を逸脱
しているためにすべり係数が概して低い。
成分で、かつ本発明に基づく摩擦接合面の凹凸、表面硬
さなどを有するため、0.7以上の高いすべり係数を発
現している。これに対して比較例32〜37では、本発
明の構成要素である鋼成分、表面硬さ、深さ、摩擦接合
面の凹凸のいずれか一つまたは複数が本発明範囲を逸脱
しているためにすべり係数が概して低い。
【0031】なお、鋼R2,R3による比較例33,3
4は、それぞれSi,Alが過剰に添加されており、鋼
材製造、凹凸加工時には大きな問題にならなかったが、
焼入処理を施す場合には、焼入れ後の靭性が低く、摩擦
接合面の凹凸が潜在亀裂として割れを生ずる可能性があ
り、摩擦接合部の信頼性を損ねる恐れがある。
4は、それぞれSi,Alが過剰に添加されており、鋼
材製造、凹凸加工時には大きな問題にならなかったが、
焼入処理を施す場合には、焼入れ後の靭性が低く、摩擦
接合面の凹凸が潜在亀裂として割れを生ずる可能性があ
り、摩擦接合部の信頼性を損ねる恐れがある。
【0032】
【発明の効果】本発明により、安定して高いすべり係数
(0.7以上)を容易に得ることが可能になった。その
結果、建築、橋梁分野などにおいて、高力ボルト摩擦接
合部の信頼性を高める構造部材として提供することがで
き、その工業的価値は大である。
(0.7以上)を容易に得ることが可能になった。その
結果、建築、橋梁分野などにおいて、高力ボルト摩擦接
合部の信頼性を高める構造部材として提供することがで
き、その工業的価値は大である。
【図1】本発明の好ましい摩擦接合面の凹凸形状を示す
模式図で、本発明では(a)を角錐形、(b)を山形と
称する。
模式図で、本発明では(a)を角錐形、(b)を山形と
称する。
【図2】すべり係数測定のための試験体を示した側面図
と平面図である。
と平面図である。
1 被接合母鋼板 2 スプライスプレート(本発明鋼) 3 ボルト 4 治具プレート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/58 C22C 38/58
Claims (1)
- 【請求項1】 鋼材組成が重量%で、 C :0.10〜0.25%、 Si:0.05〜0.60%、 Mn:1.0〜2.5%、 Al:0.060%以下、 Ti:0.005〜0.030%、 B :0.0005〜0.0030%、 N :0.0060%以下 を含有し、かつTi−3.4N>0を満足し、さらに Cu:0.5%以下、 Ni:0.5%以下、 Cr:0.5%以下、 Mo:0.5%以下、 Nb:0.05%以下、 V :0.05%以下 の1種または2種以上を含有する鋼を、再加熱後、熱間
圧延し、その圧延最終パス直前に高圧水によるスケール
除去を十分に行い、最終圧延パスを鋼板表面に付与すべ
き凹凸形状に対応した凹凸付きロールで圧延して、最終
的に鋼板表面に十点平均粗さRzが0.2mm以上となる
粗度を付与した後放冷し、引続き再加熱焼入れを行い、
鋼板表面から少なくとも1mmまでがヴィッカース硬さで
250以上とすることを特徴とする板厚12mm以下の高
力ボルト摩擦接合用鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14569896A JPH09324213A (ja) | 1996-06-07 | 1996-06-07 | 板厚12mm以下の高力ボルト摩擦接合用鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14569896A JPH09324213A (ja) | 1996-06-07 | 1996-06-07 | 板厚12mm以下の高力ボルト摩擦接合用鋼板の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09324213A true JPH09324213A (ja) | 1997-12-16 |
Family
ID=15391048
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14569896A Withdrawn JPH09324213A (ja) | 1996-06-07 | 1996-06-07 | 板厚12mm以下の高力ボルト摩擦接合用鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JPH09324213A (ja) |
-
1996
- 1996-06-07 JP JP14569896A patent/JPH09324213A/ja not_active Withdrawn
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