JP3333443B2 - 積層電子部品用セラミックグリーンシートの製造方法 - Google Patents

積層電子部品用セラミックグリーンシートの製造方法

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JP3333443B2
JP3333443B2 JP34254697A JP34254697A JP3333443B2 JP 3333443 B2 JP3333443 B2 JP 3333443B2 JP 34254697 A JP34254697 A JP 34254697A JP 34254697 A JP34254697 A JP 34254697A JP 3333443 B2 JP3333443 B2 JP 3333443B2
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克也 佐瀬
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  • Preparation Of Clay, And Manufacture Of Mixtures Containing Clay Or Cement (AREA)
  • Ceramic Capacitors (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、積層コンデンサ等
の積層電子部品に用いられるセラミックグリーンシート
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のセラミックグリーンシートの製造
方法は、まず原料となるセラミック材料粉にバインダや
溶剤を加えて、数時間ボールミル等でメディアと共に撹
拌混合することにより適度な粘度をもったスラリーを作
成する。この工程では、高比重のメディアを用いて所定
時間撹拌混合することにより、セラミック材料粉が溶媒
に均一に分散混合される。ここで、原料となるセラミッ
ク材料粉は、複数種の材料粉からなることもある。例え
ば、BaTiO3が90wt%でSiO2が10wt%と
いうものである。この後に、スラリー中に残存するセラ
ミック材料粉の乾燥凝集体やその他異物を取り除くた
め、このスラリーを所定径のフィルターによりろ過す
る。尚、ここでセラミック材料粉の乾燥凝集体とは、セ
ラミック材料粉の製造過程において仮焼成によりセラミ
ック材料粉が凝集してできた凝集体をいう。
【0003】この後に、例えばドクターブレード法によ
りスラリーからセラミックグリーンシートを形成する。
このドクターブレード法では、ベースフィルム上にスラ
リーを流し、その厚みをドクターブレードとの隙間で調
整する。この後に、これを乾燥させて所定の厚みのセラ
ミックグリーンシートを得る。
【0004】積層電子部品、例えば積層コンデンサは、
このセラミックグリーンシートを用いて以下のように製
造されている。まず、セラミックグリーンシートに所定
のパターンで内部電極を印刷したものを複数枚用意す
る。次に、これらセラミックグリーンシートを必要枚数
だけ積層し、圧着してシート積層物を作成する。この後
に、シート積層物を単位部品の大きさに裁断し、これを
焼成して積層体を得る。最後に、この積層体に導電性ペ
ーストを塗布し焼成して外部電極を形成する。ここで、
セラミックグリーンシート一枚の厚みは約十〜数十μm
であり、これに印刷される内部電極の厚みは数μmであ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、部品
の小型化やコンデンサの大容量化等の点から積層枚数を
増加させたいという要望が強くなっている。このため、
セラミックグリーンシートの薄膜化が課題としてあっ
た。
【0006】しかし、セラミックグリーンシートの膜厚
が薄くなるほど、セラミック材料粉のムラが生じやす
く、この分散ムラにより積層電子部品の各種特性にもバ
ラツキが生じやすくなる。従って、これを防止するため
に、セラミック材料粉が均一に分散されるようにスラリ
ーを十分に撹拌混合する必要がある。一方、スラリーの
撹拌混合時間を長くすると、即ち分散時間を長くする
と、セラミック材料粉の一次粒子が破壊される。この一
次粒子に破壊が生じたスラリーを用いて作成したセラミ
ックグリーンシートは、シート密度が大きくなりすぎて
しまう。また、この破壊によりセラミックグリーンシー
トの特性が変化してまう場合もある。尚、ここで、一次
粒子とはセラミック材料粉の乾燥凝集体(二次粒子)が
分散工程により分離したものである。
【0007】従って、セラミックグリーンシートを適切
なシート密度に形成するために、スラリーの作成工程に
おけるセラミック材料粉の分散状態が重要である。しか
しながら、従来は、所定の高比重メディアを用いて所定
時間の撹拌混合処理を行っていたため、適切な分散状態
にするための制御が困難であった。
【0008】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、セラミック材料粉の
分散が良好な積層電子部品用セラミックグリーンシート
の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1の発明は、セラミック材料粉と分散媒との
混合液にエネルギーを加えることによりセラミック材料
粉の2次粒子を1次粒子に分離させて懸濁液であるスラ
リーを作成する工程と、このスラリーをシート状に乾燥
形成する工程とを備えた積層電子部品用セラミックグリ
ーンシートの製造方法において、前記スラリー作成工程
では、セラミック材料粉に加えるエネルギー量をセラミ
ック材料粉の一次粒子の破壊が生じるエネルギー量以下
となるように、セラミック材料粉の一次粒子の粒径に対
して500倍以上4000倍以下の粒径のメディアを前
記混合液に混合させて撹拌混合を行うことを特徴とす
る。
【0010】この発明によれば、スラリー作成工程にお
いて、セラミック材料粉に加えるエネルギーによりセラ
ミック材料粉の二次粒子が一次粒子に分離されるが、さ
らに一次粒子が破壊されることはない。従って、良好な
分散状態のスラリーを作成することができる。ここで、
セラミック材料粉に加えるエネルギーは、メディアの持
つエネルギーである。つまり、メディアの持つエネルギ
ーによりセラミック材料粉の二次粒子が一次粒子に分離
される。また、このメディアとしてはセラミック材料粉
の一次粒子の粒径に対して500倍以上4000倍以下
の粒径のものを用いる。この範囲内でメディアの粒径を
適宜変更することで、セラミック材料粉に加えるエネル
ギーを制御し、良好な分散状態のスラリーを作成するこ
とができる。
【0011】また、請求項2の発明は、セラミック材料
粉と分散媒との混合液にメディアを加えて撹拌混合する
ことによりセラミック材料粉の2次粒子を1次粒子に分
離させて懸濁液であるスラリーを作成する工程と、この
スラリーをシート状に乾燥形成する工程とを備えた積層
電子部品用セラミックグリーンシートの製造方法におい
て、前記スラリー作成工程では、時間に対するセラミッ
ク材料粉の比表面積の変化率が所定値以上となった場合
にスラリー作成工程を終了させることにより、セラミッ
ク材料粉に加えるエネルギー量を制御することを特徴と
する。
【0012】ところで、セラミック材料粉の一次粒子が
破壊されたときのセラミック材料粉の比表面積の変化
は、セラミック材料粉の二次粒子が一次粒子に分離した
ときの比表面積の変化よりも大きい。また、セラミック
材料粉の分散工程では、セラミック材料粉は、まず二次
粒子となっているものが一次粒子に分離し、その後に一
次粒子が破壊される。
【0013】従って、本発明によれば、この比表面積の
変化率に基づきセラミック材料粉に加えるエネルギー量
を制御することにより、良好な分散状態のスラリーを作
成することができる。具体的には、セラミック材料粉の
比表面積の変化率が所定値以上となった場合に分散工程
を終了させることにより、セラミック材料粉の二次粒子
のほとんどが一次粒子となり、しかも一次粒子のほとん
どが破壊されていない状態のスラリーを作成することが
できる。
【0014】さらに、請求項3の発明は、セラミック材
料粉と分散媒との混合液にメディアを加えて撹拌混合す
ることによりセラミック材料粉の2次粒子を1次粒子に
分離させて懸濁液であるスラリーを作成する工程と、こ
のスラリーをシート状に乾燥形成する工程とを備えた積
層電子部品用セラミックグリーンシートの製造方法にお
いて、前記スラリー作成工程では、時間に対するセラミ
ック材料粉の比表面積の変化率が、それ以前の所定時刻
における変化率より大きくなった場合にスラリー作成工
程を終了させることにより、セラミック材料粉に加える
エネルギー量を制御することを特徴とする。
【0015】本発明によれば、前記請求項2の発明と同
様に、この比表面積の変化率に基づきセラミック材料粉
に加えるエネルギー量を制御することにより、良好な分
散状態のスラリーを作成することができる。具体的に
は、本発明では、セラミック材料粉の一次粒子が破壊さ
れはじめると、セラミック材料粉の比表面積が、二次粒
子が一次粒子に分離する過程における比表面積よりも大
きくなる。従って、このような場合にスラリー作成工程
を終了させることにより、良好な分散状態のスラリーを
作成することができる。即ち、セラミック材料粉の二次
粒子のほとんどが一次粒子となり、しかも一次粒子のほ
とんどが破壊されていない状態のスラリーを作成するこ
とができる。
【0016】
【0017】
【0018】尚、ここで一次粒子とは、多くの粒子が存
在する状態(粉体)の中で、個々の粒子が他の粒子と凝
集していないで、単独に存在している粒子の状態をい
う。また、二次粒子とは、一次粒子が他の一次粒子と結
合・凝集して、見掛け上さらに大きな粒子になっている
粒子の状態をいう。本発明において、二次粒子として
は、例えばセラミック材料粉の仮焼成時に生じる乾燥凝
集体等がある。
【0019】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態) 本発明の第1の実施の形態にかかるセラミックグリーン
シートの製造方法について図1を参照して説明する。図
1は、セラミックグリーンシートの製造工程を説明する
フローチャートである。
【0020】まず、セラミック材料粉とバインダと溶媒
及びメディアをボールミル分散機に入れて所定時間撹拌
混合を行う(ステップSa1)。メディアの持つエネル
ギーによりセラミック材料粉をスラリー中に十分に分散
させるためである。この分散工程において、セラミック
材料粉の乾燥凝集体が一次粒子に分離される。ここで所
定時間としては、例えば約24時間である。
【0021】セラミック材料粉とバインダと溶媒は、そ
れぞれ100:15:100の割合で混合する。また、
セラミック材料粉としては、例えば、BaTiO3が9
0wt%、SiO2が10wt%のセラミック粉体が用
いられる。このセラミック粉体は、一次粒子の粒径は約
0.5μmである。バインダとしては、例えばポリビニ
ルブチラールが用いられる。溶媒としては、例えば、エ
タノールが用いられる。
【0022】本発明が特徴とする点は、このスラリー作
成工程の分散時に用いるメディアとして適切なものを選
択することにより、良好な分散状態のスラリーを作成す
ることである。本実施の形態では、メディアとしてはビ
ーズ状のZrO2(以下「ジルコニアビーズ」とい
う。)を用い、その粒径を、セラミック材料粉の一次粒
子の粒径の500倍以上4000倍以下の範囲内で選択
することとした。本実施の形態では、セラミック材料粉
の一次粒子の粒径として0.5μmのものを用いたの
で、ジルコニアビーズの粒径は0.25mm〜2.0m
mの範囲内で選択する。また、このジルコニアビーズを
スラリー全体に対して約200wt%の割合でボールミ
ル分散機に入れた。
【0023】このようにして作成されたスラリーを、所
定径のフィルターによりろ過してスラリー中に残存する
セラミック材料粉の乾燥凝集体や混入した異物等を取り
除く(ステップSa2)。本実施の形態では、このフィ
ルターとして、3μm径のものを用いた。
【0024】最後に、このスラリーをドクターブレード
法によりシート状のセラミックグリーンシートに作成す
る(ステップSa3)。このドクターブレード法では、
ベースフィルム上にスラリーを流し、その厚みをドクタ
ーブレードとの隙間で調整する。この後に、これを乾燥
させて所定の厚みのセラミックグリーンシートを得る。
ここでは、シート厚を約6μmとした。
【0025】このようなセラミックグリーンシートの製
造方法の評価として、表1に示すようなデータを得た。
【0026】表1は、実施例1〜4として、ジルコニア
ビーズの粒子径を前記範囲内で変化させたものを測定し
た。即ち、実施例1では0.3mm径、実施例2では
0.8mm径、実施例3では1.5mm径、実施例4で
は2.0mm径のジルコニアビーズを用いた。また、比
較例としてジルコニアビーズの粒子径を前記範囲外とし
たものを測定した。即ち、比較例1では0.1mm径、
比較例2では3.0mm径のものを用いた。
【0027】また、表中のフィルター通過性とは、スラ
リー作成後にフィルターによりろ過する工程において、
フィルターに目詰まりが生じるか否かを示すものであ
る。一般的に、スラリー中にセラミック材料粉の乾燥凝
集体が多量に残存する場合に目詰まりが生じる。また、
耐湿負荷試験NG発生率とは、このセラミックグリーン
シートを用いて積層電子部品を製造し、この積層電子部
品に対して耐湿負荷試験を行った場合に、NGが発生す
る発生率である。ここで、耐湿負荷試験は、「JIS
C 5102」の試験方法により行った。具体的には、
電圧20V、温度40℃、湿度95%、時間500hの
もとで試験した。また、ここで積層電子部品としては、
その一例である積層コンデンサを製造し、その内部電極
の膜厚は1.2μmとした。
【0028】
【表1】 この表が示すように、本実施の形態のセラミックグリー
ンシートの製造方法により製造された積層電子部品は、
耐湿負荷試験NG発生率が低いものとなっている。即
ち、スラリー作成工程において使用するメディアを、セ
ラミック材料粉の一次粒子粒径の500倍以上4000
倍以下とすることで、セラミックグリーンシートの分散
状態及びシート密度を制御することができた。これによ
り、分散状態の良好なスラリーを製造することができる
ので、セラミック材料粉の分散が良好なセラミックグリ
ーンシートを製造できる。従って、このセラミックグリ
ーンシートから製造される各種製品の特性及び信頼性を
向上させ、かつ、安定化させることができ、製造歩留ま
りも向上する。
【0029】(第2の実施の形態) 本発明の第2の実施の形態にかかるセラミックグリーン
シートの製造方法について、図2及び図3を参照して説
明する。図2は本実施の形態にかかるセラミックグリー
ンシートの製造工程を説明するフローチャート、図3は
スラリー作成工程におけるセラミック材料粉の比表面積
の変化を示すグラフである。
【0030】スラリーを作成するには、まず、セラミッ
ク材料粉とバインダと溶媒及びメディアをボールミル分
散機に入れて撹拌混合を開始する(ステップSb1)。
ここでは、セラミック材料粉等の各種材料は第1の実施
の形態と同様である。また、ボールミル分散機に入れら
れるメディアは、0.3mm径のジルコニアビーズであ
る。
【0031】次に、スラリー中から試料を抜き出しスラ
リーの比表面積を測定する(ステップSb2)。
【0032】次に、前回測定時から所定時間Tだけ経過
するまで前記撹拌混合を行い、所定時間Tが経過した際
に、再びスラリー中から試料を抜き出しスラリーの比表
面積Sを測定する(ステップSb3,ステップSb
4)。ここで、前回測定時からの所定時間Tとしては、
例えば1時間である。
【0033】次に、前回測定時と今回測定時の比表面積
Sの差Sdから求められる所定時間Tに対する比表面積
の差Sdの変化率R(=Sd/T)を算出する(ステッ
プSb5)。そして、この変化率Rが所定値Rcを超え
たかどうかを評価し、その結果、比表面積の変化率Rが
所定値Rcを超えていない場合には、撹拌混合作業を継
続するために処理を再びステップSb3に移す。比表面
積の変化率Rが所定値Rcを超えた場合には、撹拌混合
作業を終了させてスラリーが完成される(ステップSb
6,ステップSb7)。
【0034】この後に、第1の実施の形態と同様に、所
定径のフィルターによりスラリーをろ過し(ステップS
b8)、最後に、ろ過後のスラリーからドクターブレー
ド法を用いてセラミックグリーンシートを形成する(ス
テップSb9)。
【0035】このスラリー作成工程における時間に対す
るセラミック材料粉の比表面積Sの変化は、図3のグラ
フに示すようになっている。即ち、撹拌混合を開始して
セラミック材料粉の分散が開始されると、まず、セラミ
ック材料粉の乾燥凝集体が一次粒子に分離されはじめ
る。この時には、変化率Raで比表面積Sが増加する。
やがて、スラリー中の乾燥凝集体のほとんどが一次粒子
に分離すると、一次粒子の破壊が始まる。一次粒子の破
壊が始まると、比表面積Sは変化率Raよりも大きい変
化率Rbで増加するようになる。従って、前記所定値R
cをRa<R<Rbとなるように予め設定しておけばよ
い。
【0036】以上のステップS21〜S25により、ス
ラリーが作成される。ここで、このスラリー中には、セ
ラミック材料粉の乾燥凝集体はほとんど含まれず、しか
も乾燥凝集体が分離した一次粒子は破壊されていない。
即ち、セラミック材料粉の分散状態が良好なものとなっ
ている。
【0037】このセラミックグリーンシートの製造方法
によれば、作成されたスラリーにはセラミック材料粉の
乾燥凝集体がほとんど含まれず、しかも乾燥凝集体が分
離した一次粒子はほとんど破壊されていない。従って、
このスラリーを用いてセラミックグリーンシートを作成
すると、セラミック材料粉の分散が良好なものとなる。
【0038】このようなセラミックグリーンシートの製
造方法の評価として、表2に示すようなデータを得た。
表2では、比較例としてボールミル分散機による分散工
程を、スラリーの比表面積変化とは無関係に所定時間行
ったものを示す。具体的には、この比較例として、分散
時間を12時間固定とした比較例1と、24時間固定と
した比較例2とを示す。
【0039】また、表中の耐湿負荷試験NG発生率は、
第1の実施の形態と同様に、このセラミックグリーンシ
ートを用いて積層電子部品を製造し、この積層電子部品
に対して耐湿負荷試験を行った場合に、NGが発生する
発生率である。
【0040】
【表2】 この表が示すように、比較例1では、セラミック材料粉
の乾燥凝集体が十分に一次粒子に分離される前にスラリ
ー作成工程が終了してしまうので、このスラリーからセ
ラミックグリーンシートを作成するとシート密度が低い
ものとなる。一方、比較例2では、セラミック材料粉の
乾燥凝集体が一次粒子に分離され、さらに、一次粒子が
破壊されてしまったので、このスラリーからセラミック
グリーンシートを作成するとシート密度が高いものとな
る。即ち、スラリーにおけるセラミック材料粉の分散状
態が所望の状態となっていない。従って、これから製造
された積層電子部品の耐湿負荷試験NG発生率が高いも
のとなる。
【0041】本実施の形態のセラミックグリーンシート
の製造方法では、スラリー作成工程の所要時間が比較例
1と比較例2との間である18時間となった。この製造
方法により製造された積層電子部品は、耐湿負荷試験N
G発生率が低いものとなっている。即ち、セラミック材
料粉の乾燥凝集体のほとんどが一次粒子に分離され、し
かもほとんどの一次粒子が破壊されていないので、セラ
ミックグリーンシートの分散状態及びシート密度が良好
なものとなる。従って、このセラミックグリーンシート
から製造される各種製品の特性及び信頼性を向上させ、
かつ、安定化させることができ、製造歩留まりも向上す
る。
【0042】尚、本実勢の形態では、所定時間Tとして
1時間を設定し、この時間間隔で比表面積Sを測定し、
比表面積の変化率Rを算出したが、他の時間間隔に設定
してもよい。特に、所定時間Tを短くとれば比表面積の
変化率Rとしてより高精度のものを算出できる。
【0043】尚、本実施の形態では、スラリー作成工程
中における時間に対するセラミック材料粉の比表面積S
の変化率Rが予め設定した所定値Rcとなった時点でこ
の工程を終了したが、以下のようにしてもよい。即ち、
この工程開始から所定時間後(例えば、開始直後や数時
間後)におけるセラミック材料粉の比表面積Sの変化率
0を測定する。次に、この変化率R0から所定値Rc’
を算出する。そして、この所定値Rc’を用い、スラリ
ー作成工程中における単位時間に対するセラミック材料
粉の比表面積Sの変化率Rがこの所定値Rc’となった
時点でこの工程を終了する。ここで、変化率R0から所
定値Rc’への算出は、例えば、R0に所定定数(例え
ば2)を乗じたり所定定数を加えたりすることにより、
0<Rc’となる値を求める。尚、この所定値Rc’
は、セラミック材料粉の一次粒子が破壊される過程にお
ける変化率Rbよりも小さい値となるように算出する。
【0044】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1の発明に
よれば、スラリー作成工程において、セラミック材料粉
に加えるエネルギーによりセラミック材料粉の二次粒子
が一次粒子に分離されるが、さらに一次粒子が破壊され
ることはない。従って、良好な分散状態のスラリーを作
成することができる。ここで、セラミック材料粉に加え
るエネルギーは、メディアの持つエネルギーである。つ
まり、メディアの持つエネルギーによりセラミック材料
粉の二次粒子が一次粒子に分離される。また、このメデ
ィアとしてはセラミック材料粉の一次粒子の粒径に対し
て500倍以上4000倍以下の粒径のものを用いる。
この範囲内でメディアの粒径を適宜変更することで、セ
ラミック材料粉に加えるエネルギーを制御し、良好な分
散状態のスラリーを作成することができる。
【0045】さらに、請求項の発明によれば、セラミ
ック材料粉の比表面積の変化率に基づきセラミック材料
粉に加えるエネルギー量を制御することにより、良好な
分散状態のスラリーを作成することができる。
【0046】さらに、請求項の発明によれば、セラミ
ック材料粉の比表面積の変化率が所定値以上となった場
合に分散工程を終了させることにより、セラミック材料
粉の二次粒子のほとんどが一次粒子となり、しかも一次
粒子のほとんどが破壊されていない状態のスラリーを作
成することができる。従って、良好な分散状態のスラリ
ーを確実に作成することができる。
【0047】さらに、請求項の発明によれば、セラミ
ック材料粉の一次粒子が破壊されはじめると、セラミッ
ク材料粉の比表面積が、二次粒子が一次粒子に分離する
過程における比表面積よりも大きくなるので、かかる場
合にスラリー作成工程を終了させることにより、良好な
分散状態のスラリーを作成することができる。即ち、セ
ラミック材料粉の二次粒子のほとんどが一次粒子とな
り、しかも一次粒子のほとんどが破壊されていない状態
のスラリーを作成することができる。
【0048】以上のように、本発明によれば、良好な分
散状態のスラリーを作成することができるので、このス
ラリーから、セラミック材料粉の分散が良好なセラミッ
クグリーンシートを確実に製造することができる。従っ
て、このセラミックグリーンシートから、特性及び信頼
性の高い各種製品を製造することができる。尚、ここ
で、各種製品とは、例えば積層電子部品等のセラミック
製品であり、さらに具体的な例としては、積層コンデン
サや積層インダクタや積層LCフィルタやセラッミク多
層基板等である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態のセラミックグリーンシート
の製造工程を説明するフローチャート
【図2】第2の実施の形態のセラミックグリーンシート
の製造工程を説明するフローチャート
【図3】スラリー作成工程におけるセラミック材料粉の
比表面積の変化を示すグラフ
【符号の説明】
Sa1〜Sa3、Sb1〜Sb9…セラミックグリーン
シートの製造工程
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B28C 1/06

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミック材料粉と分散媒との混合液に
    エネルギーを加えることによりセラミック材料粉の2次
    粒子を1次粒子に分離させて懸濁液であるスラリーを作
    成する工程と、このスラリーをシート状に乾燥形成する
    工程とを備えた積層電子部品用セラミックグリーンシー
    トの製造方法において、 前記スラリー作成工程では、セラミック材料粉に加える
    エネルギー量をセラミック材料粉の一次粒子の破壊が生
    じるエネルギー量以下となるように、セラミック材料粉
    の一次粒子の粒径に対して500倍以上4000倍以下
    の粒径のメディアを前記混合液に混合させて撹拌混合を
    行うことを特徴とする積層電子部品用セラミックグリー
    ンシートの製造方法。
  2. 【請求項2】 セラミック材料粉と分散媒との混合液に
    メディアを加えて撹拌混合することによりセラミック材
    料粉の2次粒子を1次粒子に分離させて懸濁液であるス
    ラリーを作成する工程と、このスラリーをシート状に乾
    燥形成する工程とを備えた積層電子部品用セラミックグ
    リーンシートの製造方法において、 前記スラリー作成工程では、時間に対するセラミック材
    料粉の比表面積の変化率が所定値以上となった場合にス
    ラリー作成工程を終了させることにより、セラミック材
    料粉に加えるエネルギー量を制御することを特徴とする
    積層電子部品用セラミックグリーンシートの製造方法。
  3. 【請求項3】 セラミック材料粉と分散媒との混合液に
    メディアを加えて撹拌混合することによりセラミック材
    料粉の2次粒子を1次粒子に分離させて懸濁液であるス
    ラリーを作成する工程と、このスラリーをシート状に乾
    燥形成する工程とを備えた積層電子部品用セラミックグ
    リーンシートの製造方法において、 前記スラリー作成工程では、時間に対するセラミック材
    料粉の比表面積の変化率が、それ以前の所定時刻におけ
    る変化率より大きくなった場合にスラリー作成工程を終
    了させることにより、セラミック材料粉に加えるエネル
    ギー量を制御することを特徴とする積層電子部品用セラ
    ミックグリーンシートの製造方法。
JP34254697A 1997-12-12 1997-12-12 積層電子部品用セラミックグリーンシートの製造方法 Expired - Lifetime JP3333443B2 (ja)

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