JP3332769B2 - 遠心脱液装置 - Google Patents

遠心脱液装置

Info

Publication number
JP3332769B2
JP3332769B2 JP33499996A JP33499996A JP3332769B2 JP 3332769 B2 JP3332769 B2 JP 3332769B2 JP 33499996 A JP33499996 A JP 33499996A JP 33499996 A JP33499996 A JP 33499996A JP 3332769 B2 JP3332769 B2 JP 3332769B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
drum
laundry
centrifugal
motor
speed
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP33499996A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH09290089A (ja
Inventor
友彦 池田
剛一 初田
佳隆 角本
雅文 西野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sanyo Electric Co Ltd
Original Assignee
Sanyo Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sanyo Electric Co Ltd filed Critical Sanyo Electric Co Ltd
Priority to JP33499996A priority Critical patent/JP3332769B2/ja
Publication of JPH09290089A publication Critical patent/JPH09290089A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3332769B2 publication Critical patent/JP3332769B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、籠状のドラムに洗
濯物を収容し、該ドラムを水平軸を中心に高速で回転さ
せて脱水又は溶剤の脱液(ここでは、脱水及び溶剤の脱
液を合わせて「脱液」という)を行なう遠心脱液装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】ドラム式の遠心脱液装置は、洗浄後の洗
濯物を籠状のドラムに収容し、そのドラムを水平軸を中
心にして高速回転させる構造となっている。このような
遠心脱液装置における大きな問題点の1つは、洗濯物が
ドラム内周壁に不均等に分散している状態でドラムを高
速回転させると、回転軸回りの質量分布のアンバランス
によって異常振動や異常騒音が発生することである。
【0003】この問題点を解決することを目的とした遠
心脱液装置が従来から提案されている。例えば、特開平
6−254294号公報に記載の遠心脱液装置におい
て、ドラム高速回転による脱液運転を行なう前に、ドラ
ム低速回転によってドラム内の洗濯物を均等に分散配置
させるバランス調整方法が開示されている。より詳しく
は、まず短時間ドラムを低速で回転させ(例えばドラム
外周の遠心力加速度比が1.2〜1.5Gで5秒程
度)、次いでその回転速度よりは若干速いが脱液運転時
の回転速度よりは充分に低い回転速度でドラムを回転さ
せる(例えば2.3〜2.6Gで20秒程度)という2
段階の回転制御により洗濯物の均一分散化を図るもので
ある。
【0004】また、上記従来技術では、ドラム内の洗濯
物のアンバランスに起因する偏荷重を検出する手段とし
て装置の台座に振動監視センサを設置し、ドラムの回転
速度を脱液運転を行なうための高速回転速度にまで上昇
させたときに該振動監視センサが異常振動を検知すると
回転速度を下げるようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
装置においては、洗濯物の分散化を行なうためのバラン
ス調整運転時の回転速度と偏荷重検出時の回転速度とは
大きな差がある。通常、1回のドラム低速回転をもって
確実に洗濯物が均一に分散されるとは限らないから、バ
ランス調整運転と偏荷重検出とを繰り返し反復して行な
うことになると、結果的に脱液行程に長時間を要してし
まうという問題が生じる。
【0006】更に、偏荷重を検出する際にはドラムの回
転速度を脱液運転を行なうための回転速度近傍にまで上
昇させるため、甚だしく大きな偏荷重がある場合にはモ
ータに大きな負荷がかかり故障の原因となるという問題
もある。
【0007】本出願人は、上記問題を解決するための遠
心脱液装置を特願平7−96282号において提案して
いる。この新しい遠心脱液装置では、ドラムを回転駆動
するモータに流れるモータ電流の変動成分に基づきドラ
ム内の洗濯物の偏在状態が判断される。そして、偏荷重
が大きいと判断された場合にはバランス調整運転が実行
され、偏荷重が小さいと判断された場合に高速の脱液回
転が実行される。
【0008】本発明は上記出願に係る遠心脱液装置を更
に改良したものであり、その目的とするところは、ドラ
ム内の洗濯物を短時間でほぼ均等に分散配置した上で脱
液を実行することにより、脱液運転時の異常振動や異常
騒音の発生を回避することができると共に、効率的な脱
液を行なうことができる遠心脱液装置を提供することに
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
になされた本発明に係る第1の遠心脱液装置は、籠状の
ドラムに洗濯物を収容し該ドラムを水平軸を中心に回転
させて洗濯物の脱液を行なう遠心脱液装置において、 a)前記ドラムを回転駆動させるモータと、 b)洗濯物が遠心力によりドラム内周壁面に押し付けられ
て回転しているときに該洗濯物の偏在 に起因する偏
荷重の大きさを検出する検出手段と、 c)該検出手段にて検出された偏荷重の大きさが所定値以
下であるか否かを判定する判定手段と 、 d)前記偏荷重の存在する部分がドラムの上方に到達した
ことを検知する位置検知手段と、 e)洗濯物に作用する遠心力が重力に勝る回転速度にて前
記ドラムが回転するように前記モータ を制御し、こ
のとき前記判定手段にて偏荷重の大きさが所定値より大
きいと判定された場合 には、前記位置検知手段によ
り偏荷重がドラムの上方に到達したことを検知すると、
偏荷重 の原因となっている洗濯物を重力により落下
分散させるべく遠心力が重力よりも小さくなる 回転
速度に前記ドラムを短時間減速させ、前記判定手段にて
偏荷重の大きさが所定値以下に収まった場合にドラムの
回転速度を上昇させて脱液を実行する高速脱液回転速度
にて前記ド ラムが回転するように前記モータを制御
する運転制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0010】本発明に係る第2の遠心脱液装置は、上記
第1の遠心脱液装置において、前記運転制御手段は、偏
荷重の存在する部分がドラム回転に伴って該ドラム真横
の回転位置を上方向に通過した後ドラム最高位置を過ぎ
て他方のドラム真横の回転位置を下方向に通過するまで
のドラム半回転期間の範囲内にて減速を行なうことを特
徴としている。
【0011】本発明に係る第3の遠心脱液装置は、上記
第2の遠心脱液装置において、前記運転制御手段は、洗
濯物に作用する遠心力が重力に勝る回転速度にて前記ド
ラムが回転するように前記モータを制御した状態で該ド
ラムが複数回回転する毎に1回、洗濯物に作用する遠心
力が重力よりも小さくなる回転速度にドラムを短時間減
速させることを特徴としている。
【0012】本発明に係る第4の遠心脱液装置は、上記
第1乃至第3のいずれかの遠心脱液装置において、前記
運転制御手段が、前記ドラム底部の洗濯物が液体に接触
する状態に該液体が保持されているときに洗濯物に作用
する遠心力が重力に勝る回転速度にて該ドラムが回転す
るべく前記モータを制御し偏荷重の判定及びドラムの減
速を実行することを特徴としている。
【0013】本発明に係る第5の遠心脱液装置は、上記
第4の遠心脱液装置であって洗濯物の洗浄又はすすぎに
引き続いて脱液を実行する遠心脱液装置において、前記
運転制御手段が、洗浄又はすすぎに用いた液体を所定量
だけドラム内に残して排出した後に前記モータを制御し
て偏荷重の判定を行なうことを特徴としている。
【0014】本発明に係る第6の遠心脱液装置は、上記
第5の遠心脱液装置において、前記運転制御手段が、前
記判定手段にて偏荷重の大きさが所定値以下に収まった
場合に前記高速脱液回転速度よりも低い所定の脱液回転
速度でドラムが回転するように前記モータを制御して予
備脱水を行なった後に、再度回転速度を低下させて偏荷
重の判定を行ない、このとき前記判定手段にて偏荷重の
大きさが所定値より大きいと判定された場合には、前記
位置検知手段により偏荷重がドラムの上方に到達したこ
とを検知すると、偏荷重の原因となっている洗濯物を重
力により落下分散させるべく遠心力が重力よりも小さく
なる回転速度に前記ドラムを短時間減速させ、前記判定
手段にて偏荷重の大きさが所定値以下に収まった場合に
前記高速脱液回転速度にて前記ドラムが回転するべく前
記モータを制御することを特徴としている。
【0015】なお、上記第1乃至第6のいずれかの遠心
脱液装置において、前記検出手段は、前記モータに流れ
るモータ電流を検出する電流検出手段と、該モータ電流
の変動振幅を求める算出手段とから構成し、前記判定手
段は該算出手段の出力を所定の値と比較して判定する構
成とすることが好ましい。
【0016】また、このような構成では、前記検知手段
は前記電流検出手段にて検出されたモータ電流の変動の
ピーク位置に基づき検知信号を出力する構成とすること
ができる。
【0017】更に、前記運転制御手段は、偏荷重の検出
時に洗濯物に作用する遠心力と重力とが均衡する回転速
度の近傍にて前記ドラムが回転するように前記モータを
制御することが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明に係る第1の遠心脱液装置
では、運転制御手段は、洗濯物がドラムの内周壁面に押
し付けられた状態で回転する状態、すなわち洗濯物に作
用する遠心力が重力に勝る状態でドラムが回転するよう
にモータを制御し、この回転の間に検出手段は洗濯物の
偏在に起因する偏荷重の大きさを検出する。判定手段に
おける所定値を予め適当に定めておくことにより、検出
した偏荷重の大きさがその所定値以下である場合に、そ
の状態のまま脱液運転に移行しても異常振動を生じない
ようにすることができる。したがってこの場合には、運
転制御手段はドラムを高速脱液回転速度まで上昇させる
べくモータを制御して脱液を実行する。
【0019】一方、偏荷重の大きさが所定値より大きい
場合には、洗濯物の偏在を解消するためのバランス調整
運転が必要であると判断する。この場合、位置検知手段
により偏荷重すなわち洗濯物の多い部分がドラムの上方
に到達したことを検知すると、運転制御手段はドラムを
短時間の間だけ減速するべくモータを制御する。この結
果、洗濯物に作用していた遠心力が弱まり、積み重なっ
ている洗濯物の内のドラム回転軸に近い側の洗濯物が重
力により落下する。その後直ちに、運転制御手段はドラ
ムの回転速度が減速前の状態に戻るようにモータを制御
する。そして、洗濯物の移動により生じた新しい偏荷重
の状態を検出手段により検出し、偏荷重の大きさが所定
値以下に収まっている場合にはドラムの回転速度を上昇
させて脱液を実行する。偏荷重の大きさが所定値より大
きい場合には、再度バランス調整運転を実行する。この
ように、運転制御手段は集積している洗濯物をドラム内
周壁上の他の部分に分散させるようにドラムの回転を制
御するため、最終的に洗濯物はドラム内周壁面にほぼ均
等に分散する。
【0020】第2の遠心脱液装置では、上述の如く偏荷
重の原因となっている洗濯物を分散させるために、運転
制御手段は、偏荷重の存在する部分がドラム回転に伴っ
てドラム真横の回転位置を上方向に通過した後ドラム最
高位置を過ぎて他方のドラム真横の回転位置を下方向に
通過するまでのドラム半回転期間の範囲内で減速を行な
う。すなわち、ドラム1回転期間内において減速時間を
長くてもドラム半回転期間とし、それ以外の期間は遠心
力が重力に勝る回転速度に戻すように制御している。
【0021】洗濯物の分散を更に効果的に行なうには、
偏荷重が適当な回転位置に到達したときにドラムを減速
することが好ましい。ドラム内の洗濯物には遠心力と共
に慣性力も働くため、偏荷重がドラムの最高位置を通過
した後に減速を行なっても洗濯物は落下しにくい。この
ため、洗濯物をドラム内周壁から離脱させて適当に分散
させるためには、偏荷重がドラム最高位置近傍からその
手前方向に90°の回転位置の範囲内にあるときに減速
することが好ましい。
【0022】上述のように一回ドラムを減速させると洗
濯物の配置は大きく変わるから、偏荷重の検出と減速運
転とを交互に行ない、偏荷重の大きさが所定値以下に収
まったときに減速運転を打ち切るとよい。一旦ドラムを
減速すると即座に減速前の回転速度に安定的に復帰させ
ることは難しく、また偏荷重の大きさと位置とを検出す
るには、少なくとも1回転以上ドラムの回転速度を偏荷
重検出時の回転速度に保つ必要がある。そこで第3の遠
心脱液装置では、偏荷重検出時の回転速度にてドラムが
回転するようにし、偏荷重の大きさが所定値よりも大き
いときには1回だけドラムを短時間減速させた後に元の
回転速度に戻してドラムが複数回回転する間に再度偏荷
重を検出し、まだ偏荷重の大きさが所定値よりも大きい
ときには再度1回だけドラムを短時間減速させる、とい
う制御を繰り返し行なうようにしている。
【0023】ところで、上述のようにバランス調整運転
により洗濯物の分散を行なうには、ドラム内部で洗濯物
が或る程度自由に移動できることが必要である。しかし
ながら、布団のような体積の大きな洗濯物がドラムに収
容されると、ドラム内の空間を狭め、他の洗濯物の移動
・分散を妨げる。そこで、第4の遠心脱液装置は、ドラ
ム内に液体(水や溶剤)が溜まっている状態で偏荷重の
検出及びバランス調整運転を行なうようにしている。ド
ラム内の洗濯物はドラム内周壁面に張り付いて回転する
が、ドラム底部を通過する際に液体に接触し新たにその
液体を吸収する。このため、洗濯物はほぼ常時液体を充
分に含んだ状態になっている。液体を充分に吸収してい
ると布団のような大きな洗濯物であっても体積が比較的
小さくなっているから、ドラム回転軸を中心とした空間
が確保されてバランス調整運転において洗濯物が分散し
易くなる。
【0024】また、洗浄やすすぎに引き続いて脱液が実
行される洗濯機に用いられる遠心脱液装置では、洗浄や
すすぎの終了直前にはドラム内に液体が溜まった状態に
ある。そこで第5の遠心脱液装置では、この液体を上述
のような脱液行程時の偏荷重の検出及びバランス調整運
転に利用する。すなわち、洗浄やすすぎに利用した液体
を排出する際にドラム内に適宜量を残して維持し、その
状態からドラムを回転させて偏荷重の検出を行なう。こ
れにより、無駄な給液の時間が省け、水や溶剤も有効に
利用できる
【0025】上述のようにドラム内の洗濯物が液体を充
分に含んだ状態でバランス調整運転を行なうと、或る条
件の洗濯物に対しては適当な分散が困難である。例え
ば、各洗濯物の吸液率が大きく相違する場合、上記の如
くバランス調整を行なった後に高速脱液回転を実行する
と、バランスが崩れて異常振動等を生じる恐れがある。
そこで第6の遠心脱液装置では、洗濯物が液体を充分に
含んだ状態でバランス調整を行なった後に液体をドラム
内から排出し、その後に高速脱液回転速度よりも低い所
定の脱液回転速度で予備脱液を行なう。このとき所定の
脱液回転速度は、偏荷重の変動があっても異常振動等を
生じない程度の回転速度に抑えられる。そして、予備脱
水の後に再度回転速度を低下させて偏荷重の検出を行な
い、偏荷重の大きさが所定値より大きいときにはバラン
ス調整運転を実行する。
【0026】上記第1乃至第6の遠心脱液装置では、偏
荷重の大きさや回転位置を検知するためにドラムを回転
駆動するモータのモータ電流を利用すると都合が良い。
すなわち、モータ電流検出手段が検出するモータ電流の
変動は偏荷重を反映したものとなるから、算出手段はド
ラムが1回転する間の変動振幅を求め、判定手段はこの
変動振幅を所定値と比較することにより偏荷重の大きさ
を判定することができる。
【0027】また、このようなモータ電流の変動では、
偏荷重の原因となっている洗濯物がドラム上方の回転位
置に至るときにピークが現われるから、このピーク位置
すなわちドラム1回転期間中のピークの発生するタイミ
ングに基づいて偏荷重がドラム上部に達したタイミング
を検知することができる。
【0028】更に、このようなモータ電流の変動はモー
タの回転速度が低い方が顕著であるため、運転制御手段
が洗濯物に作用する遠心力と重力とが均衡する回転速度
よりも若干速い程度の回転速度でドラムを駆動すれば、
偏荷重の検出の精度を向上させることができる。
【0029】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る遠心脱液装
置によれば、ドラムの高速回転を行なうことなく偏荷重
を確実に検出することができるので、異常振動や異常騒
音の発生を完全に回避することができる。
【0030】また、従来の遠心脱液装置は、比較的長時
間低速回転を継続し、しかも偏荷重の存在する位置を全
く考慮せず試行錯誤的に低速回転を行なっていたため、
バランス調整に時間がかかっていた。これに対し、本発
明の遠心脱液装置では、ドラム1回転期間内で低速回転
を行ない、しかも洗濯物の多い部分を狙って分散化を行
なうため、偏荷重の解消がより確実に且つ短時間の内に
行なえる。更には、偏荷重判定時の回転速度とバランス
調整時の回転速度との差が小さいため、たとえ1回のバ
ランス調整運転で偏荷重が解消されない場合であって
も、その結果を速やかに検知して再度バランス調整運転
を行ない、短時間の間に洗濯物を適当に分散させること
ができる。したがって、脱液運転が長引くことなく効率
的な脱液を行なうことができる。
【0031】
【実施例】以下、本発明に係る遠心脱液装置の第1の実
施例(以下「実施例1」という)を図面を参照しつつ説
明する。図1は本発明による遠心脱液装置の実施例1の
遠心脱水装置を搭載したドラム式洗濯機の構成を示す図
であり、(a)は側面断面図、(b)はドラム周囲の要
部の構成を示す背面図である。また、図2はこの洗濯機
の電気系構成図である。
【0032】まず図1に基づき、このドラム式洗濯機の
全体構成を説明する。フレーム50の内部には外槽52
が配置され、外槽52の内部には洗濯物を収容するため
のドラム54が主軸64に軸支されている。ドラム54
の周壁には通水孔56が形成されており、外槽52内に
供給された水がこの通水孔56を通してドラム54内へ
流入し、またドラム54内で洗濯物から脱水された水は
外槽52へ排出される。ドラム54内周壁には、回転に
伴って洗濯物をかき上げるためのバッフル58が互いに
120°の間隔をもって3箇所に設置されている。洗濯
物は洗濯物投入口62からドラム54内へ収容される。
【0033】主軸64は外槽52に装着された軸受66
によって保持され、その先端には主プーリ68が取り付
けられている。外槽52の下側にはドラム54を回転駆
動するためのモータ22が設置され、そのモータ22の
回転軸にはモータプーリ72が取り付けられている。モ
ータプーリ72の回転はVベルト70を通して主プーリ
68に伝達される。洗浄やすすぎのための水は、給水口
74を介し給水バルブ76により水量が調節されて外槽
52へ供給される。洗浄やすすぎ終了後の水は、排水バ
ルブ80により開閉される排水口78を通して排出され
る。回路部82は後述する制御部10やインバータ制御
回路20等から構成されており、モータ22に対し駆動
電圧を印加する。
【0034】回転センサは、主プーリ68を挟んで外槽
52の外壁に設置された発光部241とフレーム50の
内壁に設置された受光部242とから構成される。発光
部241と受光部242との間に位置する主プーリ68
のリング状部材には開口部69が設けられており、ドラ
ム54が1回転する間に1回のみ発光部241からの光
が開口部69を通過して受光部242に到達する。この
受光信号を基に、受光部242はドラム54の回転に同
期した検出信号(回転マーカ)を生成する。
【0035】次に、回路部82を中心とした電気的構成
及び動作を図2に基づき説明する。主としてマイクロコ
ンピュータを中心に構成される制御部10は、中央制御
部12、回転速度制御部14、偏荷重判定部16及びメ
モリ18等から成る。偏荷重判定部16は、ピーク検出
部161、減速位置指示部162、振幅算出部163及
び振幅判定部164等から構成される。メモリ18に
は、洗浄、すすぎ及び脱水等の各洗濯行程を進めるため
の運転プログラムが予め記憶されている。使用者が操作
部28にてキー操作を行ない脱水モード(例えば脱水す
る洗濯物の繊維の種類等)を選択した上で「脱水開始」
を指示すると、中央制御部12は、対応する運転プログ
ラムをメモリ18から読み出し、この運転プログラムを
実行することにより脱水行程における各処理を進める。
【0036】回転速度制御部14は、ドラム54の回転
方向を含む回転速度指示信号をインバータ制御回路20
に出力する。インバータ制御回路20は回転速度指示信
号をパルス幅変調(PWM)信号に変換し、このPWM
信号に応じた駆動電圧をモータ22へ印加する。モータ
22に流れる電流はモータ電流検出回路26によって検
出され、偏荷重判定部16へ入力される。
【0037】ドラム54内で洗濯物が偏在していると、
モータ電流はその偏在に起因する偏荷重に応じた変動成
分を有する。図3は偏荷重がある場合のモータ電流実効
値の波形の一例である。回転マーカは、回転センサ24
により得られるドラム54の1回転の周期を示す信号で
ある。モータ電流の変動はモータ22の負荷トルクの変
動により生じるから、モータ電流の正のピークはドラム
54の1回転期間内において負荷トルクが最大になるタ
イミングで発生する。負荷トルクは偏荷重の原因である
洗濯物を重力に抗してドラム54の上部に持ち上げよう
とするときに最大となる。したがって、通常、偏荷重が
ドラム54内の最高位置から手前側約90°の回転位置
の範囲内に存在するときにモータ電流の正のピークが出
現する。
【0038】一方、モータ電流の変動の振幅値は偏荷重
の大きさを反映している。図4は偏荷重の大きさとモー
タ電流変動の振幅値との関係の一例である。予めこのよ
うな関係を調べておくことにより、変動振幅に基づき偏
荷重の大きさを得ることができる。なお、モータ電流の
変動要因は必ずしも偏荷重だけではないため、偏荷重に
依る変動振幅を精度良く求めるためには、モータ電流の
変動成分からドラム54の回転速度近傍の周波数成分の
みを抜き出すフィルタ処理を行なうとよい。
【0039】偏荷重判定部16では、モータ電流検出回
路26の出力に基づいて以下のように偏荷重の検出及び
判定が行なわれる。ピーク検出部161では、回転マー
カの間隔毎つまりドラム54の1回転期間毎にモータ電
流の変動の正及び負のピークが検出される。検出された
正のピークの位置情報は減速位置指示部162に、ピー
ク値情報は振幅算出部163に入力される。前述のよう
に、正のピークが発生するタイミングにおいて偏荷重は
ほぼ定まった回転位置(通常ドラム54内の最高位置か
ら手前の約90°の回転位置の範囲内)に到達するか
ら、減速位置指示部162では、正のピークの発生した
タイミング或いは正のピークから所定の時間分だけ速い
又は遅いタイミングにてパルス信号が生成され、回転速
度制御部14に入力される。
【0040】振幅算出部163では、正及び負のピーク
値に基づきドラム54の1回転期間毎にモータ電流の変
動振幅値が算出される。前述のようにこの振幅値は偏荷
重の大きさに対応しているから、振幅判定部164では
振幅値が所定値以下であるか否かが判定され、所定値以
下であるときに正レベルの信号が出力される。判定のた
めの基準である所定値は、高速脱水回転時に許容される
偏荷重の大きさに応じて予め設定される。
【0041】回転速度制御部14は、ドラム54が所定
の回転速度で回転するようにモータ22を制御している
間に偏荷重の判定結果及び減速位置を指示するパルス信
号を受け、それに応じて回転速度指示信号を修正する。
【0042】続いて、上記構成の洗濯機における脱水行
程時の制御手順を図5のフローチャートに沿って説明す
る。
【0043】脱水行程の開始前、ドラム54内の洗濯物
は図6(a)に示すように底部に積み重なった状態にあ
る。使用者が操作部28にて「脱水開始」のキー操作を
行なうと、これを受けて回転速度制御部14はモータ2
2を起動し、まず洗濯物に作用する遠心力が重力に若干
勝る低速回転速度N1にてドラム54が回転するような
回転速度指示信号を出力し、インバータ制御回路20は
これに応じた駆動電圧をモータ22に印加する(ステッ
プS10)。低速回転速度N1はドラム径に応じて決め
られることが好ましく、例えばドラム径が700[mm]の
場合には50〜60[rpm]程度、910[mm]の場合には
80〜90[rpm]程度が適当である。
【0044】ドラム54が低速回転速度N1にて回転す
ると、全ての洗濯物は遠心力によりドラム54内周壁面
に押し付けられた状態で回転する(図6(b)参照)。
このとき、偏荷重判定部16では、モータ電流検出回路
26にて検出されたモータ電流の変動成分に基づいて偏
荷重の大きさが検出され、例えば500[g]以下である
か否か、すなわちモータ電流の変動振幅が偏荷重500
[g]に相当する振幅値以下であるか否かが判定される
(ステップS11)。
【0045】モータ電流の変動振幅が所定の振幅値以下
であると判定されるとステップS12へと進み、中速脱
水回転が実行される。すなわち、回転速度制御部14は
振幅判定部164から正レベルの信号を受けると中速回
転速度N2にてドラム54が回転するような回転速度指
示信号を出力し、インバータ制御回路20はこれに応じ
た駆動電圧をモータ22に印加する。例えば、中速回転
速度N2は500[rpm]程度が適当である。中速脱水回転
が所定時間だけ実行されると、洗濯物の粗絞りが終了す
る。
【0046】中速脱水回転の後にステップはS13へと
進み、高速脱水回転が実行される。すなわち、回転速度
制御部14は高速回転速度N3にてドラム54が回転す
るような回転速度指示信号を出力し、インバータ制御回
路20はこれに応じた駆動電圧をモータ22に印加す
る。高速回転速度N3は、洗濯物の布傷みを極力抑える
ために繊維の種類等に応じた値であることが好ましいか
ら、使用者によって指定された脱水モードに応じた値と
するか又は自動的に検出した負荷量に応じた値とするこ
とが好ましい。標準的には、例えば700[rpm]程度が
適当である。高速脱水回転が所定時間だけ実行される
と、洗濯物は充分に脱水される。そして、所定時間経過
後にドラム54の回転は停止され、脱水行程が終了す
る。
【0047】ステップS11にて偏荷重が所定値よりも
大きいと判定された場合、ステップS14〜S16へと
進み、洗濯物をドラム54内周壁面に均等に分散するた
めのバランス調整運転を実行する。このバランス調整運
転では、次のような手順でドラム54の回転制御が遂行
される。
【0048】まず、回転速度制御部14はドラム54の
回転速度を先の低速回転速度N1に維持するように制御
する(ステップS14)。洗濯物の偏在に起因する偏荷
重がドラム54の最高位置近傍乃至はその手前の回転位
置に到達すると、減速位置指示部162からパルス信号
が回転速度制御部14に入力される(ステップS1
5)。このパルス信号が入力されると、ドラム54の回
転速度がごく一時的に低下するように、回転速度制御部
14は分散回転速度N4にてドラム54が回転するよう
な回転速度指示信号を所定の減速時間tの間だけ出力す
る(ステップS16)。
【0049】このような急激な減速は、ドラム54の内
周壁面に押し付けられた状態で回転する洗濯物に作用し
ている遠心力を一時的に重力よりも小さくすることを目
的としている。すなわち、積み重なっている洗濯物がド
ラム54の上部に到達したときにパルス信号は入力され
る筈であるから、このタイミングでドラム54を減速さ
せると、偏荷重の原因となっている洗濯物が重力により
落下して分散する(図6(c)参照)。
【0050】分散回転速度N4及び減速時間tを適正に
設定することにより、積み重なっている洗濯物のうちの
ドラム回転軸側に位置している洗濯物のみを落下させる
ことができる。すなわち、ドラム54内の各洗濯物に作
用する遠心力はドラム回転軸からの距離に比例するか
ら、ドラム回転軸の近くに位置している洗濯物ほど作用
する遠心力が小さい。このため、全ての洗濯物に作用す
る遠心力が重力に勝っている状態からドラム54を減速
すると、重なり合っている洗濯物のうちのドラム回転軸
に近い位置にある洗濯物が先に落下する。したがって、
適当な減速を行なうことにより、ドラム54の内周壁面
側の洗濯物をその面に張り付いたまま回転させる一方、
ドラム54の回転軸側にある洗濯物のみを落下させ分散
することができる。
【0051】上述のような短時間の減速の後に、再び低
速回転速度N1にてドラム54は回転され(ステップS
10)、偏荷重の大きさが再び判定される(ステップS
11)。偏荷重が所定値以下に収まっていない場合に
は、再度ステップS14〜S16のバランス調整運転を
実行して洗濯物の分散を促進する。通常、数回程度バラ
ンス調整運転を繰り返し行なうことにより、洗濯物はド
ラム54の内周壁面にほぼ均等に分散され偏荷重が所定
値以下に収まる。このように複数回バランス運転を繰り
返してもドラム54の回転速度は低速回転速度N1の近
傍で変動するだけなので、短時間内にバランス調整が完
了する。
【0052】上述のバランス調整運転では、例えばドラ
ム径が910[mm]の場合、低速回転速度N1を80[rpm]
程度としたときに分散回転速度N4を40[rpm]程度、減
速時間tを0.15秒程度とすれば、洗濯物を好適に分
散させることができる。すなわち、この低速回転速度N
1ではドラム54の1回転に要する時間は0.75秒で
あるから、減速時間tはドラム54の1回転期間の約1
/5である。分散回転速度N4及び減速時間tは、低速
回転速度N1、ドラム径、洗濯物の量、更にはモータ2
2の応答特性等、種々のパラメータにより影響を受ける
ため、予め適正な値を選定しておくことが好ましい。
【0053】また、洗濯物の適度な分散には、減速を開
始するタイミングつまり偏荷重が存在する回転位置も大
きく関係する。ドラム54内の洗濯物には遠心力と同時
に慣性力が作用しているから、偏荷重がドラム54の最
高位置を通過した後に遠心力を重力より小さくしても洗
濯物はドラム54内周壁面から離れにくく、適当な分散
を行なうことができない。このため、洗濯物を効果的に
落下させるためには、偏荷重がドラム54の最高位置近
傍から手前側90°の回転位置の範囲内にあるときに減
速することが好ましい。
【0054】上述したようなドラム54の回転速度等の
条件においては、モータ電流の正のピークは偏荷重がド
ラム54の最高位置よりも手前側30°〜45°程度の
回転位置の範囲内に到達したときに出現する。この出現
のタイミングは回転速度等により変化する。また、減速
位置指示部162からのパルス信号が回転速度制御部1
4に入力された後に実際にドラム54が減速するまでの
時間は、回転速度制御部14やインバータ制御回路20
の構成によっても相違する。このため、上述のように偏
荷重が適当な回転位置に達した時点で減速を行なうため
に、減速位置指示部162では、モータ電流の正のピー
ク位置から適宜所定時間(所定角度)だけ手前又は後ろ
にパルス信号を発生させるようにしてもよい。
【0055】次に、本発明に係る遠心脱液装置の第2の
実施例(以下「実施例2」という)を説明する。この実
施例2の遠心脱水装置を搭載したドラム式洗濯機の全体
構成及び電気系構成は実施例1による図1及び図2と同
一である。しかしながら、実施例2の洗濯機では制御部
10のメモリ18に格納されている運転プログラムが実
施例1のものとは相違しており、このため脱水行程時の
制御動作が相違する。
【0056】実施例1の遠心脱水装置では、バランス調
整運転時に偏荷重の原因となっている洗濯物がドラム内
周壁面から落下して洗濯物が移動・分散する。しかしな
がら、例えば布団のように極めて大きな体積を有する洗
濯物がドラム54に収容されると次のようなことが起こ
る。すなわち、布団は洗浄後又はすすぎ後の水を充分に
吸収した状態では比較的体積が小さくなっているが、偏
荷重を測定するために低速回転速度N1までドラム54
の回転速度を上昇させると、回転は遅いものの徐々に脱
水されて、特に脱水の度合が大きいドラム回転軸側では
布団の弾力性が回復し体積が膨らんでしまう。このた
め、ドラム54の中央部で空間が狭くなり、バランス調
整を行なおうとしても他の洗濯物の自由な移動が阻ま
れ、結果としてバランス調整をうまく行なうことができ
ない(図8(a)参照)。
【0057】実施例2の遠心脱水装置は、上述のような
場合でも洗濯物のバランス調整を行なうことができるよ
うにしたものである。図7は、この洗濯機における脱水
行程の制御手順を示すフローチャートである。
【0058】この種のドラム式洗濯機では、一般に外槽
52内にその容積の1/4〜1/2程度の水を溜めた状
態で洗浄やすすぎを行なう。従来の洗濯機では、この洗
浄又はすすぎ終了後の水を完全に排出した後に脱水行程
を開始するが、この洗濯機では洗浄又はすすぎに使用し
た水の一部を外槽52に残した状態で脱水行程を開始す
る。例えばすすぎ行程終了後、排水バルブ80を開放し
すすぎ水の排出を始める(ステップS20)。水位セン
サ(図示しない)により外槽52内の水位を検知し、所
定水位にまで減少したことを検知したとき(ステップS
21)、排水バルブ80を閉鎖する(ステップS2
2)。所定水位としてはドラム54底部に適度な量の水
が現われている程度が好ましく、後述の理由により多量
の水を残しておくことは好ましいくない。例えば水深度
(外槽52の底辺から外槽52の中心までの高さを10
等分し、中心を水深度=10、底辺を水深度=0として
表わした数値)=1程度としておくとよい。
【0059】このとき、ドラム54内の各洗濯物は充分
に水を含み、比較的体積が小さな状態でドラム54底部
に積み重なっている。次に、回転速度制御部14はモー
タ22を起動し、洗濯物に作用する遠心力が重力に若干
勝る低速回転速度N1にてドラム54が回転するような
回転速度指示信号を出力し、インバータ制御回路20は
これに応じた駆動電圧をモータ22に印加する(ステッ
プS23)。
【0060】ドラム54が低速回転速度N1にて回転す
ると、全ての洗濯物は遠心力によりドラム54内周壁面
に押し付けられた状態で回転する(図8(b)参照)。
このときの回転速度は遅いが、ドラム54内周壁面に張
り付いて回転する洗濯物からは回転に伴って水が絞り出
される。しかしながら、ドラム54底部には水が溜まっ
ているため、ドラム54底部を通過する洗濯物はこの水
に接触して吸水し充分な水を含むことになるため脱水は
進まない。このため、従来の洗濯機であれば脱水により
体積が増す洗濯物も、あまり膨らむことなく回転し続け
る。
【0061】このとき外槽52底部に溜まっている水は
ドラム54の回転に対する抵抗となる。このため、多量
の水をドラム54底部に残しておくと、偏荷重と同様に
モータ電流を変動させる要因となり偏荷重の検出に支障
をきたす。このような理由により、上記所定水位はドラ
ム54の回転に伴い洗濯物が充分に吸水できる範囲にお
いて、できるだけ低くしておくほうがよい。
【0062】上述の如くドラム54が回転されていると
きに、偏荷重判定部16では、モータ電流検出回路26
にて検出されたモータ電流の変動振幅が所定の振幅値以
下であるか否かが判定される(ステップS24)。モー
タ電流の変動振幅が所定の振幅値以下であると判定され
ると、排水バルブ80を開放し外槽52に残っている水
を全て排出する(ステップS28、図9(a)参照)。
そして、回転速度制御部14は予備脱水回転速度N5に
てドラム54が回転するような回転速度指示信号を出力
し、インバータ制御回路20はこれに応じた駆動電圧を
モータ22に印加する(ステップS29、図9(b)参
照)。例えば、予備脱水回転速度N5は200〜300
[rpm]程度が適当である。洗濯物の吸水量はその繊維の
種類や織り方等により相違するが、一般的に脱水開始前
の洗濯物は最終脱水後の4倍程度の重量の水を吸収して
おり、上記予備脱水を1分程度行なうことにより含まれ
ていた水の約半分を飛散させることができる。
【0063】予備脱水の後にステップはS30へ進み、
回転速度制御部14は再び低速回転速度N1にてドラム
54が回転するような回転速度指示信号を出力し、イン
バータ制御回路20はこれに応じた駆動電圧をモータ2
2に印加する。これにより、予備脱水により重量の軽く
なった洗濯物がドラム54内周壁に張り付いて回転する
状態を保ちつつドラム54の回転速度が低下する。
【0064】低速回転速度N1にてドラム54が回転し
ているときに、再び、偏荷重判定部16では、モータ電
流の変動振幅が所定の振幅値以下であるか否かが判定さ
れ(ステップS31)、所定の振幅値以下であるとステ
ップS35へ進み高速脱水回転を実行する。すなわち、
回転速度制御部14は高速回転速度N3にてドラム54
が回転するような回転速度指示信号を出力し、インバー
タ制御回路20はこれに応じた駆動電圧をモータ22に
印加する。これにより、ドラム54の回転速度は急速に
上昇する。所定時間の高速脱水回転が実行され洗濯物が
充分に脱水されると、ドラム54の回転は停止され脱水
行程が終了する。
【0065】ステップS24にて偏荷重が所定値よりも
大きいと判定された場合、実施例1のステップS14〜
S16と同様のステップS25〜S27の処理動作によ
りバランス調整運転を実行する。このときのバランス調
整運転はドラム54底部に水が溜まった状態で実行され
るため、各洗濯物が充分に吸水した状態が維持される。
したがって、布団等の大きな体積を占める洗濯物も比較
的小さな状態で存在しており、他の洗濯物が移動・分散
するための空間が確保される(図8(c)参照)。そし
て、バランス調整運転の後には再度偏荷重の検出及び判
定を行ない(図8(d)参照)、偏荷重が所定値を越え
ているときには再度バランス調整運転を繰り返す。
【0066】ステップS24にて偏荷重が所定値以下で
あると判定された場合であっても、ステップ29の予備
脱水を行なった結果、偏荷重が大きくなりそのまま高速
脱水回転に移行すると異常振動を発生する恐れが生じる
ことがある。例えば、ドラムに収容された各洗濯物の吸
水率が大きく相違していると、乾燥重量が同一であった
としても充分に吸水した状態では吸水率の大きな洗濯物
は吸水率の小さな洗濯物よりも重量が遙かに重く、この
状態でバランスをとると予備脱水により重量が変化した
ときにバランスが崩れてしまうことになる。そこで、ス
テップS31にて偏荷重が所定値よりも大きいと判定さ
れた場合も、実施例1のステップS14〜S16と同様
のステップS32〜S34の処理動作によりバランス調
整運転を実行する。このとき、各洗濯物の重量は脱水後
の状態により近くなっているので、布団のような体積の
大きな洗濯物が収容されてさえいなければ、ステップS
25〜S27のバランス調整運転時よりもより好ましい
バランスを実現することができる。また、例えば、シー
ツ等の薄く面積の広い洗濯物は、水を溜めた状態でもバ
ランス調整運転時には小さな塊となってしまうが、予備
脱水後のバランス調整運転時には容易に広がる。このた
め、このようなシーツが1枚のみ収容されている場合、
水を溜めた状態ではバランスがうまくとれなくとも予備
脱水後にはバランスがうまくとれるようになる。
【0067】なお、このような場合、ステップS24に
て偏荷重が所定値以下に収まるまでバランス調整運転を
繰り返すようにしておくと、いつまでもバランス調整運
転が続行されることがあり得る。そこで、このようなこ
とを防止するためにステップS24の偏荷重の判定を以
下のようにしてもよい。すなわち、バランス調整運転の
後に偏荷重検出を行なう毎にその偏荷重を1回前のバラ
ンス調整運転後に偏荷重の値と比較し、所定回数のバラ
ンス調整運転を実行した後にそれまでに検出した中の最
小の偏荷重の値を求める。そして、引き続くバランス調
整運転後の偏荷重の検出の際にその最小の偏荷重の値以
下又は近い値になった時点でバランス調整を終了する。
勿論、その過程で偏荷重が所定値以下になった場合には
バランス調整を終了する。このようにすることにより、
必ずしも偏荷重が所定値以下にならなくとも、その洗濯
物の条件の下で最小又はそれに近いバランス状態になっ
たときにステップS28へと進むようにするとよい。
【0068】また、ステップS31においても同様に、
必ずしも偏荷重が所定値以下にならなくとも、その洗濯
物の条件の下で最小又はそれに近いバランス状態になっ
たときに高速脱水回転に移行するようにしてもよい。但
し、この場合は偏荷重があまり小さくならない状態でド
ラム54の回転速度を最高速度まで上昇することは好ま
しくないので、高速脱水回転に移行する際の偏荷重の大
きさに応じて脱水回転の回転速度を制限するようにする
とよい。
【0069】なお、上記実施例は水を使用した遠心脱水
装置について述べたが、石油系溶剤等を使用するドライ
クリーナに本発明を適用できることは明らかである。更
には、上記実施例は一例であって、本発明の趣旨の範囲
で適宜変形や修正を行なえることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る遠心脱液装置の実施例1の遠心
脱水装置を搭載するドラム式洗濯機の側面断面図(a)
及びドラム周囲の要部の構成を示す背面図(b)。
【図2】 実施例1の遠心脱水装置の電気系構成図。
【図3】 モータ電流の変動成分の一例を示す図。
【図4】 偏荷重の大きさとモータ電流の変動振幅との
関係の一例を示す図。
【図5】 実施例1の遠心脱水装置における脱水行程時
の制御手順を示すフローチャート。
【図6】 実施例1の遠心脱水装置におけるドラム内の
洗濯物の移動状況を示す模式図。
【図7】 実施例2の遠心脱水装置における脱水行程時
の制御手順を示すフローチャート。
【図8】 実施例2の遠心脱水装置におけるドラム内の
洗濯物の移動状況を示す模式図。
【図9】 実施例2の遠心脱水装置におけるドラム内の
洗濯物の移動状況を示す模式図。
【符号の説明】
14…回転速度制御部 16…偏荷重判定部 161…ピーク検出部 162…減速位置指示部 163…振幅算出部 164…振幅判定部 20…インバータ制御回路 22…モータ 24…回転センサ 241…発光部 242…受光部 26…モータ電流検出回路 54…ドラム 80…排水バルブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 審査官 鏡 宣宏 (56)参考文献 特開 昭64−40096(JP,A) 特開 平4−141192(JP,A) 特開 平4−297298(JP,A) 実開 平2−71484(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06F 1/00 - 58/28

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】籠状のドラムに洗濯物を収容し該ドラムを
    水平軸を中心に回転させて洗濯物の脱液を行なう遠心脱
    液装置において、 a)前記ドラムを回転駆動させるモータと、 b)洗濯物が遠心力によりドラム内周壁面に押し付けられ
    て回転しているときに該洗濯物の偏在に起因する偏荷重
    の大きさを検出する検出手段と、 c)該検出手段にて検出された偏荷重の大きさが所定値以
    下であるか否かを判定する判定手段と、 d)前記偏荷重の存在する部分がドラムの上方に到達した
    ことを検知する位置検知手段と、 e)洗濯物に作用する遠心力が重力に勝る回転速度にて前
    記ドラムが回転するように前記モータを制御し、このと
    き前記判定手段にて偏荷重の大きさが所定値より大きい
    と判定された場合には、前記位置検知手段により偏荷重
    がドラムの上方に到達したことを検知すると、偏荷重の
    原因となっている洗濯物を重力により落下分散させるべ
    遠心力が重力よりも小さくなる回転速度に前記ドラム
    を短時間減速させ、前記判定手段にて偏荷重の大きさが
    所定値以下に収まった場合にドラムの回転速度を上昇さ
    せて脱液を実行する高速脱液回転速度にて前記ドラムが
    回転するように前記モータを制御する運転制御手段と、 を備えることを特徴とする遠心脱液装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の遠心脱液装置において、
    前記運転制御手段は、偏荷重の存在する部分がドラム回
    転に伴って該ドラム真横の回転位置を上方向に通過した
    後ドラム最高位置を過ぎて他方のドラム真横の回転位置
    を下方向に通過するまでのドラム半回転期間の範囲内に
    て減速を行なうことを特徴とする遠心脱液装置。
  3. 【請求項3】請求項2に記載の遠心脱液装置において、
    前記運転制御手段は、洗濯物に作用する遠心力が重力に
    勝る回転速度にて前記ドラムが回転するように前記モー
    タを制御した状態で該ドラムが複数回回転する毎に1
    回、洗濯物に作用する遠心力が重力よりも小さくなる回
    転速度にドラムを短時間減速させることを特徴とする遠
    心脱液装置。
  4. 【請求項4】請求項1乃至3に記載の遠心脱液装置にお
    いて、前記運転制御手段が、前記ドラム底部の洗濯物が
    液体に接触する状態に該液体が保持されているときに洗
    濯物に作用する遠心力が重力に勝る回転速度にて該ドラ
    ムが回転するべく前記モータを制御し偏荷重の判定及び
    ドラムの減速を実行することを特徴とする遠心脱液装
    置。
  5. 【請求項5】請求項4に記載の遠心脱液装置であって洗
    濯物の洗浄又はすすぎに引き続いて脱液を実行する遠心
    脱液装置において、前記運転制御手段が、洗浄又はすす
    ぎに用いた液体を所定量だけドラム内に残して排出した
    後に前記モータを制御して偏荷重の判定を行なうことを
    特徴とする遠心脱液装置。
  6. 【請求項6】請求項5に記載の遠心脱液装置において、
    前記運転制御手段が、前記判定手段にて偏荷重の大きさ
    が所定値以下に収まった場合に前記高速脱液回転速度よ
    りも低い所定の脱液回転速度でドラムが回転するように
    前記モータを制御して予備脱水を行なった後に、再度回
    転速度を低下させて偏荷重の判定を行ない、このとき前
    記判定手段にて偏荷重の大きさが所定値より大きいと判
    定された場合には、前記位置検知手段により偏荷重がド
    ラムの上方に到達したことを検知すると、偏荷重の原因
    となっている洗濯物を重力により落下分散させるべく
    心力が重力よりも小さくなる回転速度に前記ドラムを短
    時間減速させ、前記判定手段にて偏荷重の大きさが所定
    値以下に収まった場合に前記高速脱液回転速度にて前記
    ドラムが回転するべく前記モータを制御することを特徴
    とする遠心脱液装置。
  7. 【請求項7】請求項1乃至6のいずれかに記載の遠心脱
    液装置において、前記検出手段は、前記モータに流れる
    モータ電流を検出する電流検出手段と、該モータ電流の
    変動振幅を求める算出手段とから構成され、前記判定手
    段は該算出手段の出力を所定値と比較して判定すること
    を特徴とする遠心脱液装置。
  8. 【請求項8】請求項7に記載の遠心脱液装置において、
    前記検知手段は前記電流検出手段にて検出されたモータ
    電流の変動のピーク位置に基づき検知信号を出力するこ
    とを特徴とする遠心脱液装置。
  9. 【請求項9】請求項8に記載の遠心脱液装置において、
    前記運転制御手段は、偏荷重の検出時に洗濯物に作用す
    る遠心力と重力とが均衡する回転速度の近傍にて前記ド
    ラムが回転するように前記モータを制御することを特徴
    とする遠心脱液装置。
JP33499996A 1996-02-27 1996-11-29 遠心脱液装置 Expired - Fee Related JP3332769B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33499996A JP3332769B2 (ja) 1996-02-27 1996-11-29 遠心脱液装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8-67364 1996-02-27
JP6736496 1996-02-27
JP33499996A JP3332769B2 (ja) 1996-02-27 1996-11-29 遠心脱液装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09290089A JPH09290089A (ja) 1997-11-11
JP3332769B2 true JP3332769B2 (ja) 2002-10-07

Family

ID=26408563

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP33499996A Expired - Fee Related JP3332769B2 (ja) 1996-02-27 1996-11-29 遠心脱液装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3332769B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010075217A (ja) * 2008-09-24 2010-04-08 Hitachi Appliances Inc ドラム式洗濯機

Families Citing this family (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3316427B2 (ja) * 1997-07-23 2002-08-19 三洋電機株式会社 遠心脱水装置
US6477867B1 (en) * 1998-12-23 2002-11-12 Fisher & Paykel Limited Laundry appliance
JP4726818B2 (ja) * 2007-02-08 2011-07-20 シャープ株式会社 ドラム式洗濯機
JP4830919B2 (ja) * 2007-03-09 2011-12-07 パナソニック株式会社 ドラム式洗濯機
EP1995366B1 (en) 2007-05-21 2015-05-06 Samsung Electronics Co., Ltd. Washing machine and control method of maintaining a balanced state of laundry thereof
WO2010071458A1 (en) 2008-12-17 2010-06-24 Fisher & Paykel Appliances Limited A laundry machine
JP2012120687A (ja) * 2010-12-08 2012-06-28 Samsung Yokohama Research Institute Co Ltd ボールバランサを有する回転装置
US8875332B2 (en) * 2012-07-10 2014-11-04 Whirlpool Corporation Laundry treating appliance and method of operation
WO2015176536A1 (zh) 2014-05-19 2015-11-26 海尔亚洲国际株式会社 洗衣机
JP6820090B2 (ja) 2015-07-21 2021-01-27 三星電子株式会社Samsung Electronics Co.,Ltd. 洗濯機、および、そのモータ
JP6608659B2 (ja) * 2015-09-17 2019-11-20 青島海爾洗衣机有限公司 洗濯機および洗濯機の制御方法
JP2017113232A (ja) 2015-12-24 2017-06-29 青島海爾洗衣机有限公司QingDao Haier Washing Machine Co.,Ltd. 洗濯機の制御方法
JP7142287B2 (ja) * 2018-07-13 2022-09-27 青島海爾洗衣机有限公司 洗濯機
JP7274139B2 (ja) * 2018-12-27 2023-05-16 青島海爾洗衣机有限公司 洗濯機
CN113622140B (zh) * 2021-08-03 2022-07-26 珠海格力电器股份有限公司 一种洗衣机脱水控制方法及洗衣机

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010075217A (ja) * 2008-09-24 2010-04-08 Hitachi Appliances Inc ドラム式洗濯機

Also Published As

Publication number Publication date
JPH09290089A (ja) 1997-11-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3316427B2 (ja) 遠心脱水装置
JP3332769B2 (ja) 遠心脱液装置
US5765402A (en) Spin extractor
JP3182382B2 (ja) 遠心脱水装置
JP3188209B2 (ja) 遠心脱水装置
JP3249474B2 (ja) ドラム式遠心脱水装置
JP2001062189A (ja) 洗濯機及び洗濯機の振動検知装置
JP3075961B2 (ja) 遠心脱水装置
JP3108350B2 (ja) 遠心脱水装置
JPH11164987A (ja) ドラム式洗濯機
JP3229845B2 (ja) 遠心脱水装置
JP3863632B2 (ja) 遠心脱水装置
JP3229826B2 (ja) 遠心脱液装置
JP3143355B2 (ja) 遠心脱水装置
JP3188231B2 (ja) ドラム式洗濯機
JP2000102691A (ja) ドラム式洗濯機
JP3188230B2 (ja) 遠心脱水装置
JP2000140481A (ja) ドラム式洗濯機
JP3108348B2 (ja) 遠心脱水装置
JP3182367B2 (ja) 遠心脱水装置
JPH1176688A (ja) 遠心脱水装置
JP3188210B2 (ja) 遠心脱水装置
JP3108349B2 (ja) 遠心脱水装置
JP3869542B2 (ja) 遠心脱水装置
JP2001070685A (ja) ドラム式洗濯機

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080726

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080726

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090726

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090726

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100726

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100726

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110726

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120726

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120726

Year of fee payment: 10

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130726

Year of fee payment: 11

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees