JP3331623B2 - 好気性処理装置 - Google Patents

好気性処理装置

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佳美 今井
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  • Treatment Of Biological Wastes In General (AREA)
  • Activated Sludge Processes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は好気性処理装置に係り、
特にジメチルスルホキシド(DMSO)を含む排水を好
気性処理するにあたり、DMSOの分解過程で発生する
硫化メチル(DMS)やメチルメルカプタン(MM)に
よる悪臭の発生を防止した好気性処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、液晶パネル製造分野でジエチレン
グルコールモノブチルエーテル、2−アミノエタノー
ル、2,2−アミノエチルアミノエタノールなどにDM
SOを添加してなる洗浄剤が用いられている。このよう
な洗浄剤に含まれる各成分は、当該各成分で馴養した細
菌を用いることにより生物分解することが可能であり、
基本的に活性汚泥処理が可能である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年、半導体製造工程
や液晶パネル製造工程でDMSOが多く使用されるよう
になり、これらDMSO含有排水の処理方法が重要とな
っているが、一般的な活性汚泥処理により、これらのD
MSO含有排水を処理すると、DMSOの生分解の過程
で発生する代謝物のうち、DMS及びMMが残留し、曝
気槽や処理水から臭気が発生する。このため、従来、D
MSO含有排水の活性汚泥処理は困難であるとされてい
た。
【0004】従って、DMSやMMの残留が少なく、こ
れらの悪臭対策が十分に行なえる、DMSO含有排水の
活性汚泥処理が要望されている。
【0005】本発明は上記従来の実情に鑑みてなされた
ものであって、曝気処理によりDMSやMM等の悪臭ガ
スが発生する物質を含む排水の好気性処理装置であっ
て、その分解過程で発生する悪臭の問題を解決した好気
性処理装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の好気性処理装
置は、曝気処理により悪臭ガスが発生する排水の好気性
処理装置であって、直列に連絡された3槽以上の複数の
曝気槽と、被処理排水が流入する第1の曝気槽に、酸素
含有ガスを散気する手段と、下流側に曝気槽が連絡され
ている上流側の各曝気槽から排出された散気排ガスを次
の下流側の曝気槽に散気する手段と、前記第1の曝気槽
の流出液を固液分離する手段と、該固液分離手段で分離
された汚泥を第1の曝気槽に返送する手段とを備えてな
ることを特徴とする。
【0007】請求項2の好気性処理装置は、請求項1の
装置において、被処理排水がジメチルスルホキシドを含
むものであることを特徴とする。
【0008】
【0009】請求項の好気性処理装置は、請求項3の
装置において、第2の曝気槽及び第2の曝気槽より後段
の曝気槽のうちの少なくとも1つの曝気槽の内部に充填
材を備えてなることを特徴とする。
【0010】なお、以下においては、被処理排水として
主にDMSO含有排水を処理する場合について説明する
が、本発明の好気性処理装置は、DMSO含有排水に限
らず、曝気処理により悪臭ガスが発生する排水であれ
ば、他の排水にも有効である。
【0011】
【作用】DMSOの生分解経路は、DMS、MMを経由
して最終的には硫酸イオンまで、また、DMSからアル
デヒド、ギ酸を経由して炭酸ガスまで分解されること
が、Bont, Dijken等により報告されている(J.Gen.Micr
obiol., Vol.127(1981))。また、宮地、永見等により、
DMSOとDMSの分解に関与する酵素と、MMに関与
する酵素は発現形態が異なり、DMSO、DMS分解酵
素は基質が不足した状態においては早急に酵素の発現が
停止することが報告されている(第26回、第27回下水道
研究発表会講演集)。本発明者らの検討においても、D
MSOの分解はHypomicrobium に属するDMSO分解菌
が存在する活性汚泥を用いることで分解はされるが、負
荷量や濃度の変動に対し、代謝物のDMSが残留し悪臭
が発生し易い状況であった。また、前述した液晶パネル
製造工程で使用される有機物にDMSOを混合した場
合、DMSO単独の処理よりも、さらにDMSの残留が
生じ易い傾向にあることも判明した。
【0012】これらの報告例や検討結果から、DMSO
の分解は次のような特徴を持つものと推察される。 DMSOからDMSへの分解は容易に行なわれる
が、DMSからMMへの分解効率は、負荷量、濃度変
化、他の有機物との共存の有無などの条件により大幅に
低下する可能性がある。
【0013】 DMSOからDMS、また、DMSか
らMMに分解する酵素は、基質濃度により酵素の発現量
が大きく異なり、基質の供給が停止したり、低濃度、低
負荷になったときには分解が停止する。
【0014】本発明の好気性処理装置は、DMSO含有
有機性排水を活性汚泥処理等の好気性処理するにあた
り、特にDMSの残留による悪臭の発生を防止したもの
であり、3槽以上の複数の曝気槽を直列に連絡して、被
処理排水を3段階以上の多段処理にて曝気処理する。
【0015】これにより、排水中の生分解が容易な有機
物は第1曝気槽で分解され、後段の第2、第3………曝
気槽では、それぞれ、前段の第1、第2………曝気槽で
分解が不十分な有機物又は代謝物の分解が行なわれる。
【0016】因みに、一般的な活性汚泥処理設備のよう
に、単一曝気槽で全ての有機物を分解しようとすると、
有機物の分解性、分解速度の差により、一部が分解不十
分な状態で流出する危険性がある。特に、DMSO分解
では、上述の如く、DMSOからDMSへの分解速度よ
り、DMSからMMへの分解速度が低いと予想され、D
MSの処理が不十分のまま流出することとなる。
【0017】これに対して、本発明の好気性処理装置で
は、多段にて曝気処理することにより、負荷量や濃度の
変動により前段の曝気槽で処理が不十分のDMSについ
ても、後段の曝気槽で効率的に処理することが可能とな
る。
【0018】また、曝気槽の排ガスにはDMSやMMが
含有され、これらは微量でも悪臭源となるため、脱臭処
理が不可欠となる。従って、曝気槽の排ガスはピートモ
スを充填した生物脱臭設備で別途処理することも考えら
れる。
【0019】本発明の好気性処理装置では、前段の曝気
槽の排ガスを後段の曝気槽の通気源として散気すること
により、前の曝気槽の排ガスをそれぞれ後段の曝気槽
で十分に脱臭処理することができる。
【0020】このような本発明の好気性処理装置は、特
にDMSO含有排水の処理に有効であり、DMSOの分
解過程で発生するDMSやMMを高度に処理してDMS
やMMに起因する悪臭を確実に防止することができる。
【0021】特に、第1曝気槽の流出液を固液分離する
固液分離手段を設け、この固液分離手段で分離された汚
泥を第1曝気槽に返送することにより、第1曝気槽の細
菌相と第2曝気槽以降の曝気槽の細菌相とのそれぞれに
特徴をもたせ、第1曝気槽と第2曝気槽以降の曝気槽と
で異なる分解機能を付与し、より効率的な処理を行なえ
る。
【0022】また、この場合において、第2曝気槽以降
の曝気槽の少なくとも1つに充填材を設けることによ
り、当該曝気槽の細菌に特異性をもたせ、所定の物質を
優先的に分解するように機能させることにより、より一
層効率的な処理を行なえる。例えば、DMSO含有排水
の処理においては、第1曝気槽は各基質の濃度変動に抵
抗性のある完全混合方式が適しているが、後段の第2、
第3曝気槽では、主に第1曝気槽で処理できなかったD
MSやMMを分解する細菌を優先的に保持することが重
要であり、そのために、充填材を用いた接触曝気方式と
するのが好適である。
【0023】
【実施例】以下に図面を参照して本発明の実施例につい
て詳細に説明する。図1は本発明の好気性処理装置の一
実施例を示す系統図である。
【0024】本実施例の好気性処理装置は、直列に連絡
された3槽の曝気槽、即ち、第1曝気槽1、第2曝気槽
2、第3曝気槽3と、第1曝気槽1と第2曝気槽2との
間に設けられた中間沈殿槽4と、第3曝気槽3の後段に
設けられた最終沈殿槽5とを備えてなる。第1曝気槽
1、第2曝気槽2及び第3曝気槽3内には、それぞれ散
気板1A、2A、3Aが設けられており、散気板1Aに
は空気の導入管11が接続されている。第1曝気槽1及
び中間沈殿槽4及び第2曝気槽2は密封槽とされてお
り、第1曝気槽1及び中間沈殿槽4の排ガスは第2曝気
槽2に散気されるように、散気板2Aに配管12、1
3、14が接続されている。また、第2曝気槽2の排ガ
スは第3曝気槽3に散気されるように、散気板3Aに配
管15が接続されている。なお、第3曝気槽3及び最終
沈殿槽5は開放槽とされている。
【0025】6は被処理排水(本実施例ではDMSO含
有排水)の貯留槽、21は被処理排水を第1曝気槽1に
送給する配管、22は第2曝気槽の流出水を中間沈殿槽
4に送給する配管、23は中間沈殿槽4の分離水を第2
曝気槽2に送給する配管、24は第2曝気槽2の流出水
を第3曝気槽3に送給する配管、25は第3曝気槽3の
流出水を最終沈殿槽5に送給する配管、26は最終沈殿
槽5の分離水を処理水として系外へ排出する配管であ
る。また、27は中間沈殿槽4の沈降汚泥を第1曝気槽
1に返送する配管、28は最終沈殿槽5の沈降汚泥を第
2曝気槽2に返送する配管である。
【0026】なお、第1曝気槽1は、充填材のない完全
混合方式の曝気槽であるが、第2曝気槽2及び第3曝気
槽3はそれぞれ充填材2B、3Bを充填した接触曝気方
式とされている。
【0027】本実施例の好気性処理装置により、DMS
O含有排水を処理するには、まず、貯留槽6内のDMS
O含有排水を配管21より第1曝気槽1に送給して、散
気板1Aからの空気により曝気処理する。第1曝気槽1
の流出水は、配管22より中間沈殿槽4に送給されて固
液分離され、沈降汚泥は配管27より返送汚泥として第
1曝気槽1に返送され、一方、分離水は配管23より第
2曝気槽2に送給される。第2曝気槽2においては、配
管12、13、14を経て導入され、散気板2Aより散
気された、第1曝気槽1及び中間沈殿槽4の排ガスによ
り、第2段目の曝気処理が行なわれる。第2曝気槽2の
流出水は、配管24より第3曝気槽3に送給され、配管
15を経て導入され散気板3Aより散気された、第2曝
気槽2の排ガスにより、第3段目の曝気処理が行なわれ
る。第3曝気槽3の流出水は、配管25より最終沈殿槽
5に送給されて固液分離され、沈降汚泥は配管28より
返送汚泥として第2曝気槽2に返送され、一方、分離水
は処理水として配管26より系外へ排出される。
【0028】このような3段階の曝気処理による処理に
あたり、第1曝気槽1は、完全混合方式であるため、導
入される各基質の濃度変動に抵抗性があり、主にDMS
OからDMSへの分解が行なわれる。これに対して、接
触曝気方式の第2、3曝気槽2、3では、充填材2B、
3Bに、主にDMSやMMを分解する細菌が優先的に保
持されて、主としてDMSやMMの分解が行なわれる。
しかして、前段の曝気槽で処理不十分の物質をそれぞれ
後段の曝気槽で処理することにより、DMSO、DM
S、MMが高度に分解処理された高水質の処理水が得ら
れる。
【0029】一方、第1曝気槽1や中間沈殿槽4の排ガ
ス中には、前述の如く、DMSやMMに起因する悪臭が
あるが、この排ガスを、第2、第3曝気槽2、3の散気
源として順次送給することにより、含有されるDMSや
MMを第2、3曝気槽2、3で処理し、悪臭を完全に除
去することができる。従って、第3曝気槽3において
は、排ガスの捕集、脱臭処理手段は不要となる。このよ
うに、前段の曝気槽の排ガスを後段の曝気槽の散気とし
て用いることから、本発明においては、第1曝気槽の酸
素供給源として、酸素濃度の高いものを用いるのが有利
である。
【0030】なお、図示の実施例は本発明の一実施例で
あって、本発明はその要旨を超えない限り、何ら図示の
ものに限定されるものではない。
【0031】例えば、曝気槽の設置数や充填材の有無な
どについても、被処理排水の濃度やDMSO含有割合、
その他の条件等によって適宜設定され、第1曝気槽にも
充填材を設ける場合もある。
【0032】また、本実施例では、貯留槽6にDMSO
含有排水を貯留した後、第1曝気槽1に送給するが、こ
のように被処理排水の貯留槽を設けることにより、処理
の安定化が図れ、極めて有利である。即ち、DMSO及
びDMS分解酵素は基質が不足すると機能発現性が低下
する誘導酵素であるため、DMSO含有排水は常に一定
濃度の均一化した状態で供給することが重要となる。従
って、被処理排水は、図示の如く、貯留槽6を経て第1
曝気槽1に送給するのが好ましい。
【0033】以下に具体的な実施例を挙げて本発明をよ
り詳細に説明する。
【0034】実施例1 DMSO、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、
2−アミノエタノール、及び、2,2−アミノエチルア
ミノエタノールをそれぞれTOC濃度として500m/
l含有した合成排水を、図1の装置で処理した。
【0035】なお、図1の装置の概要は次のとおりであ
る。 原水流量:10リットル/日 第1曝気槽:容量3リットル、密閉式、完全混合型。 中間沈殿槽:容量3リットル、密閉式。 第2曝気槽:容量1リットル、密閉式、接触曝気(呉羽
化学(株)製:塩化ビニリデン不織繊維「バイオルー
プ」(同社商標)を槽内に充填)、苛性ソーダでpH7
に調整。 第3曝気槽:第2曝気槽と同様。ただし開放式。 最終沈殿槽:容量3リットル 通気:第1曝気槽へは、空気と工業用酸素ガスとの1対
1混合ガスを2リットル/分通気し、第2、第3曝気槽
へは、それぞれ第1、第2曝気槽の通気排ガスを通気。
【0036】この処理の結果、第3曝気槽からの排ガス
には臭気は認められなかった。また、処理水中の硫酸イ
オン濃度は1900mg/lであった。
【0037】比較のため、容量5リットルの曝気槽と容
量3リットルの沈殿槽とを用いた従来の標準活性汚泥法
により、実施例1と同じ原水流量、通気量で処理したと
ころ、曝気槽からDMSに起因する臭気の発生が激しか
った。また、処理水中の硫酸イオン濃度は1000mg
/lであった。
【0038】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の好気性処理
装置によれば、DMSO含有排水等の曝気処理により悪
臭ガスが発生する排水を高度に処理して高水質の処理水
を得ると共に、発生する悪臭をも高度に分解処理して、
臭気の発生を防止することができる。
【0039】このような本発明の好気性処理装置は、特
に、DMSO含有排水の処理に好適であり、DMSOの
分解生成物であるDMSやMMを確実に分解処理して悪
臭の発生を防止し、排ガスの脱臭処理を不要とすること
ができる。
【0040】請求項3の好気性処理装置によれば、より
一層処理効果に優れた好気性処理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好気性処理装置の一実施例を示す系統
図である。
【符号の説明】
1 第1曝気槽 2 第2曝気槽 3 第3曝気槽 1A,2A,3A 散気板 2B,3B 充填材 4 中間沈殿槽 5 最終沈殿槽 6 貯留槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 審査官 谷口 博 (56)参考文献 特開 昭56−136699(JP,A) 特開 昭58−51991(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 3/12

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 曝気処理により悪臭ガスが発生する排水
    の好気性処理装置であって、 直列に連絡された3槽以上の複数の曝気槽と、 被処理排水が流入する第1の曝気槽に、酸素含有ガスを
    散気する手段と、 下流側に曝気槽が連絡されている上流側の各曝気槽から
    排出された散気排ガスを次の下流側の曝気槽に散気する
    手段と 前記第1の曝気槽の流出液を固液分離する手段と、 該固液分離手段で分離された汚泥を第1の曝気槽に返送
    する手段と を備えてなることを特徴とする好気性処理装
    置。
  2. 【請求項2】 被処理排水がジメチルスルホキシドを含
    むものである請求項1に記載の好気性処理装置。
  3. 【請求項3】 第2の曝気槽及び第2の曝気槽より後段
    の曝気槽のうちの少なくとも1つの曝気槽の内部に充填
    材を備えてなる請求項1又は2に記載の好気性処理装
    置。
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