JP3552754B2 - 有機性汚水の高度処理方法およびその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、し尿の活性汚泥処理水やごみ埋立浸出水の活性汚泥処理水などの有機性汚水を処理する有機性汚水の高度処理方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、し尿やごみ埋立浸出水などは、活性汚泥法によって生物学的に処理されている。しかし、このとき排出される活性汚泥処理水にはフミン質を主体とする生物難分解性の有機物が高濃度に残存しており、この生物難分解性有機物がCODや着色の原因となっている。そのため、凝集沈殿処理と活性炭吸着処理を組み合わて行ったり、あるいはオゾン酸化処理によって生物分解性を向上させた後に生物学的処理を行うことにより、このような生物難分解性有機物を除去している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、凝集沈殿処理と活性炭吸着処理を組み合わせて行う従来の処理方法では、処理コストが高いという問題がある。オゾン酸化処理と生物学的処理を組み合わせた方法においても、生物学的処理を良好に行うために、オゾン酸化処理水中の溶存酸素および溶存オゾンを予め除去しなければならず、そのための還元剤のコストが高いという問題がある。
【0004】
本発明は上記問題を解決するもので、し尿の活性汚泥処理水やごみ埋立浸出水の活性汚泥処理水など、生物難分解性有機物を含む有機性汚水を経済的かつ高度に処理できるようにすることを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するために、本発明の有機性汚水の高度処理方法は、生物難分解性有機物を含む原水をオゾン反応槽に供給して、原水中の生物難分解性有機物を生物分解性の有機物や窒素分にオゾン酸化分解し、このオゾン酸化処理水を生物学的に処理する有機性汚水の高度処理方法において、オゾン反応槽より流出するオゾン酸化処理水を空気曝気し、溶存酸素を低減したオゾン酸化処理水を好気・嫌気性ろ床に導入し、メタノールを添加して、オゾン酸化処理水中の溶存酸素を生物学的に除去するとともに、この好気・嫌気性ろ床において、溶存酸素が除去されたオゾン酸化処理水を生物学的に嫌気性処理し、好気・嫌気性ろ床より流出する嫌気性処理水を好気性ろ床に導入して生物学的に好気性処理するようにしたものである。
【0007】
また、本発明の有機性汚水の高度処理装置は、生物難分解性有機物を含む有機性汚水を高度処理する有機性汚水の高度処理装置であって、生物難分解性有機物を含む原水を原水供給管により導入して原水中の生物難分解性有機物をオゾン酸化処理するオゾン反応槽と、オゾン反応槽から流出するオゾン酸化処理水を酸化処理水供給管により導入して、オゾン酸化処理水中の溶存酸素を生物学的に除去するとともに、溶存酸素が除去されたオゾン酸化処理水を生物学的に嫌気性処理する好気・嫌気性ろ床と、酸化処理水供給管の途中に介装し、オゾン酸化処理水を空気曝気して溶存酸素を低減する曝気装置と、好気・嫌気性ろ床から流出する嫌気性処理水を嫌気性処理水供給管により導入して生物学的に好気性処理する好気性ろ床と、オゾン反応槽の底部に接続して、オゾン反応槽内の原水にオゾンを供給するオゾン供給手段と、好気・嫌気性ろ床の流入側に接続して、好気・嫌気性ろ床内に流入したオゾン酸化処理水にメタノールを添加するメタノール供給手段と、好気性ろ床の底部に接続して、好気性ろ床内に流入した嫌気性処理水に空気を供給する給気手段とを備えたものである。
【0008】
【作用】
上記構成により、生物難分解性有機物を含む原水はオゾン反応槽においてオゾン酸化処理され、この結果、生物分解性の向上された有機物や窒素分、および溶存酸素を高濃度で含むオゾン酸化処理水が好気・嫌気性ろ床に送られる。
【0009】
好気・嫌気性ろ床に流入したオゾン酸化処理水は、高濃度で含む溶存酸素により好気的条件下にあり、このため、好気・嫌気性ろ床におけるオゾン酸化処理水流入口近傍では好気性処理が行われる。すなわち、好気・嫌気性ろ床に担持された好気性微生物が、溶存酸素を消費しつつ生物分解性有機物を酸化分解する。
【0010】
このようにして溶存酸素が消費される結果、オゾン酸化処理水がろ床のほぼ中間位置に達するまでに溶存酸素はほぼ完全に除去されることになり、これ以降は嫌気性処理に移行する。すなわち、好気・嫌気性ろ床に担持された嫌気性微生物が、生物分解性有機物を水素供与体として利用しつつ窒素分を除去する。
【0011】
なお、上記したように溶存酸素除去と嫌気性処理において生物分解性有機物が利用されるので、流入したオゾン酸化処理水中に含まれる生物分解性有機物だけでは不十分であり、この不足分を補うBOD源として、添加されたメタノールが利用される。
【0012】
好気・嫌気性ろ床より送られた嫌気性処理水は、好気性ろ床において好気性処理され、嫌気性処理水中に残存する生物分解性有機物は生物学的に分解除去される。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の有機性汚水の高度処理方法が行われる処理装置の全体構成を示す。図1において、1はオゾン反応槽、2は好気・嫌気性ろ床、3は好気性ろ床である。
【0014】
オゾン反応槽1は、上方に開口して原水供給管4を設けており、槽底部に、槽内のオゾン酸化処理水を好気・嫌気性ろ床2に導く酸化処理水供給管5を設けるとともに、槽外のオゾン発生機6から導かれたオゾン供給管7を接続させている。酸化処理水供給管5には、曝気装置8が介装されている。
【0015】
好気・嫌気性ろ床2は、内部に担体としての活性炭9(あるいは他の多孔質材)を充填しており、活性炭9にはBOD酸化菌や脱窒菌などの微生物が付着されている。好気・嫌気性ろ床2は、上部にオゾン反応槽1から導かれた酸化処理水供給管5を接続させ、底部にろ床2内の嫌気性処理水を流出させる嫌気性処理水供給管10を設けるとともに、ろ床2の上方に開口してメタノール供給管11を設けている。
【0016】
好気性ろ床3は、内部に担体としての活性炭12(あるいは他の多孔質材)を充填しており、活性炭12にはBOD酸化菌などの微生物が付着されている。好気性ろ床3の底部には好気・嫌気性ろ床2から導かれた嫌気性処理水供給管10と空気を供給する給気管13とが接続されており、ろ床2の上部には槽内の好気性処理水を流出させる好気性処理水排出管14が設けられている。
【0017】
上記構成における作用を説明する。
オゾン反応槽1に、原水供給管4より原水を供給し、オゾン発生機6よりオゾン供給管7を通じて酸素源のオゾンを供給する。オゾン反応槽1に流入した原水は槽1内を下降する間に槽内を上昇するオゾンと混合され、これにより、原水中に含まれる生物難分解性有機物は部分的にオゾン酸化されて、生物分解性の有機物や硝酸性窒素とされる。そして、生物分解性の有機物や硝酸性窒素を含むオゾン酸化処理水が、酸化処理水供給管5を通じて好気・嫌気性ろ床2に送られる。このとき、槽1から流出するオゾン酸化処理水はほぼ飽和状態に溶存酸素を含んでおり、上記したような酸素源オゾンの場合は通常、30〜40(mg/l)と高濃度の溶存酸素を含んでいるので、管路において曝気装置8により空気曝気し、溶存酸素を低減させる。そして、DO値7〜8(mg/l)程度となったオゾン酸化処理水を好気・嫌気性ろ床2に導入する。
【0018】
好気・嫌気性ろ床2に流入したオゾン酸化処理水は、ろ床2の上部において、メタノール供給管11によりメタノール添加される。なお、ろ床2に流入したオゾン酸化処理水はオゾン原水が50〜300(mg/l)なら通常、30〜100(mg/l)程度の生物分解性有機物を含んでいるが、嫌気性処理において生物分解性有機物が不足することがないように、ここでBOD源としてのメタノールが添加される。メタノール添加量としては、ろ床2出口において生物分解性有機物が少し残留する程度が好ましく、通常、30(mg/l)程度の割合で添加される。
【0019】
メタノール添加されたオゾン酸化処理水は活性炭9の間を下降し、この間に活性炭9に付着された微生物と接触する。このときのオゾン酸化処理水は、高濃度で含む溶存酸素により好気的条件下にあり、このため、オゾン酸化処理水流入口近傍では好気性処理が行われる。すなわち、活性炭9に担持されたBOD酸化菌などの好気性微生物が、溶存酸素を消費しつつオゾン酸化処理水中の生物分解性有機物を酸化分解する。
【0020】
このようにして溶存酸素が消費される結果、オゾン酸化処理水がろ床2のほぼ中間位置に達するまでに溶存酸素はほぼ完全に除去されることになり、これ以降は溶存酸素が存在しない嫌気条件が確保される。したがって、ろ床2のほぼ中間位置以降は、嫌気性処理が行われる。すなわち、嫌気的条件下において、活性炭9に担持された脱窒菌などの嫌気性微生物が、生物分解性有機物を水素供与体として利用しつつ硝酸性窒素を還元除去する。そして、このようにして脱窒された嫌気性処理水が、嫌気性処理水供給管10を通じて好気性ろ床3に送られる。
【0021】
好気性ろ床3に送られた嫌気性処理水は、給気管13より供給される空気とともにろ床3の底部から流入し、活性炭12の間を上昇する間に、空気中の酸素と混合されつつ活性炭12に付着された微生物と接触する。これにより、嫌気性処理水中に残存するメタノールなどの生物分解性有機物は、好気的条件下で生物学的に分解される。好気性処理水は好気性処理水排出管14より流出する。
【0022】
このようにして、オゾン酸化分解と生物学的処理とを組み合わせたことによって、汚水中の難生物分解性有機物をほぼ無機物まで分解できる。このとき、好気・嫌気性ろ床2の前半において生物学的に溶存酸素を除去するようにしたので、Na SO などの還元剤を添加することなく嫌気的条件を確保でき、コストを低減できる。なお、オゾン発生機6において空気源でオゾンを発生させた場合は、オゾン酸化処理水中のDO値は通常7〜8(mg/l)となっているので、曝気装置8により空気曝気を行う必要はない。オゾン反応槽1においてオゾン単独で必要な分解効率が得られない場合は、UVや触媒などを併用してオゾン酸化を促進する。
【0023】
なお、上記した実施例の構成に代えて、図2に示したように、オゾン反応槽1の底部に接続して原水供給管21を設け、オゾン反応槽1の上部と好気・嫌気性ろ床2の底部に接続して酸化処理水供給管22を設け、好気・嫌気性ろ床2の上部と好気性ろ床3の上部に接続して嫌気性処理水供給管23を設け、好気性ろ床3の底部に接続して嫌気性処理水排出管24を設け、好気・嫌気性ろ床2の底部にメタノール供給管25を設けてもよい。この場合、オゾン反応槽1、好気・嫌気性ろ床2、好気性ろ床3における被処理水の流れの上向・下向が逆になるが、上記実施例と同様に処理を行うことができる。
【0024】
さらに、図示を省略するが、好気・嫌気性ろ床2の上部と好気性ろ床3の底部に接続して嫌気性処理水供給管を設け、好気性ろ床3の上部に接続して嫌気性処理水排出管を設けてもよい。
【0025】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、オゾン反応槽において生物難分解性有機物の生物分解性を向上させ、このオゾン酸化処理水を生物処理するに際し、オゾン酸化処理水中に含まれる溶存酸素を好気・嫌気性ろ床の前半で生物学的に除去するようにしたため、好気・嫌気性ろ床の後半では嫌気的条件が確保される状態において良好に脱窒を行うことができる。これにより、嫌気的条件を確保するための還元剤の添加が不要になり、コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機性汚水の高度処理方法が行われる一実施例の高度処理装置の概略構成を示した説明図である。
【図2】本発明の有機性汚水の高度処理方法が行われる他の実施例の高度処理装置の概略構成を示した説明図である。
【符号の説明】
1 オゾン反応槽
2 好気・嫌気性ろ床
3 好気性ろ床
4 原水供給管
5 酸化処理水供給管
6 オゾン発生機
7 オゾン供給管
8 曝気装置
10 嫌気性処理水供給管
11 メタノール供給管
13 給気管
21 原水供給管
22 酸化処理水供給管
23 嫌気性処理水供給管
25 メタノール供給管

Claims (2)

  1. 生物難分解性有機物を含む原水をオゾン反応槽に供給して、原水中の生物難分解性有機物を生物分解性の有機物や窒素分にオゾン酸化分解し、このオゾン酸化処理水を生物学的に処理する有機性汚水の高度処理方法において、オゾン反応槽より流出するオゾン酸化処理水を空気曝気し、溶存酸素を低減したオゾン酸化処理水を好気・嫌気性ろ床に導入し、メタノールを添加して、オゾン酸化処理水中の溶存酸素を生物学的に除去するとともに、この好気・嫌気性ろ床において、溶存酸素が除去されたオゾン酸化処理水を生物学的に嫌気性処理し、好気・嫌気性ろ床より流出する嫌気性処理水を好気性ろ床に導入して生物学的に好気性処理することを特徴とする有機性汚水の高度処理方法。
  2. 生物難分解性有機物を含む有機性汚水を高度処理する有機性汚水の高度処理装置であって、生物難分解性有機物を含む原水を原水供給管により導入して原水中の生物難分解性有機物をオゾン酸化処理するオゾン反応槽と、オゾン反応槽から流出するオゾン酸化処理水を酸化処理水供給管により導入して、オゾン酸化処理水中の溶存酸素を生物学的に除去するとともに、溶存酸素が除去されたオゾン酸化処理水を生物学的に嫌気性処理する好気・嫌気性ろ床と、酸化処理水供給管の途中に介装し、オゾン酸化処理水を空気曝気して溶存酸素を低減する曝気装置と、好気・嫌気性ろ床から流出する嫌気性処理水を嫌気性処理水供給管により導入して生物学的に好気性処理する好気性ろ床と、オゾン反応槽の底部に接続して、オゾン反応槽内の原水にオゾンを供給するオゾン供給手段と、好気・嫌気性ろ床の流入側に接続して、好気・嫌気性ろ床内に流入したオゾン酸化処理水にメタノールを添加するメタノール供給手段と、好気性ろ床の底部に接続して、好気性ろ床内に流入した嫌気性処理水に空気を供給する給気手段とを備えたことを特徴とする有機性汚水の高度処理装置。
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