JP3555812B2 - 有機性汚水の高度処理方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、下水などのアンモニア性窒素を含有する有機性汚水を高度に浄化する処理方法に関し、特に前記有機性汚水からアンモニア性窒素を従来技術よりも著しく高い除去率で除去することができる有機性汚水の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
下水などのアンモニア性窒素を含有する有機性汚水を処理してその窒素を除去する方法として最も代表的な技術は、硝化液循環型生物学的硝化脱窒素法である。この技術は、有機性汚水をまず生物学的脱窒素部に供給し、そこで後の硝化部から循環されてくる硝化液と混合されて脱窒素反応が生じ、そこで得た脱窒素液を硝化部に供給してアンモニアを硝化(酸化)し、その硝化液の一部を前記の脱窒素部に循環し、他部を沈殿槽に供給し、沈降する活性汚泥を分離し、上澄液の処理液を得る方法である。
この硝化脱窒素法を改良した方法として、反応速度が小さい硝化部に硝化菌を固定したゲル担体を投入し硝化速度を高める技術も最近実用化されている。従来の方法では、下水を処理する場合において窒素除去率が80%程度が得られており、処理水にはアンモニアがほとんど残らないところまで行っているが、硝酸性窒素が10mg/リットル程度残留するという問題点がある。従って、この方法では、窒素除去率を90%以上にすることは原理的に不可能であり、放流水域の富栄養化を防止することには極めて不十分であった。
【0003】
さらに、硝化液を脱窒素部に循環する水量が莫大であり(原水水量の3倍以上)、循環ポンプの駆動に要する動力が多大であるという欠点もある。
また、有機性汚水からのアンモニアの化学的除去方法としては、ゼオライトによる選択的イオン交換吸着法が公知であり、下水を生物学的硝化脱窒素が行われない通常の活性汚泥法で処理した後、ゼオライトでアンモニアを吸着除去する方法が過去において検討されているが、アンモニアを吸着したゼオライトの再生薬品として塩化ナトリウム水溶液を使用している関係で、塩化ナトリウム、アンモニアを高度に含む再生排液が多量に発生し、この処分も極めて困難であった。そのため、この方法が実用化された例はなかった。
【0004】
このような技術的背景から、本発明者は、先に生物学的硝化脱窒素法とゼオライト吸着法を結合した新技術(特開平8−52494号公報)を提示した。この方法では窒素除去率が約95%と高いものであり、処理水の全窒素含有量が約2mgと低い優れた方法である。しかし、この方法でも、ゼオライト再生排液の処分については難点があり、高濃度の塩化ナトリウム、アンモニアを含んだ再生排液が発生するため、合理的に処分できなかった。また所要時間の長い硝化工程及びポンプ所要動力の多大な硝化液循環工程を省略することができなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、生物学的硝化脱窒素法とゼオライト吸着法を結合した処理方法において伴う問題点を解決することを課題とするものであり、所要時間の長い硝化工程を不要にでき、ゼオライトの再生及び再生排液の合理的な処分が可能である新規な処理方法を提供することを課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記の課題を解決するために、前記の生物学的硝化脱窒素法とゼオライト吸着法を結合した処理方法において伴う問題点が生ずる原因や各工程の組合せについて検討した結果、活性汚泥法のプロセス構成を変革し、かつゼオライトによる選択的イオン交換法、再生法を新規な態様で統合することにより、上記課題を解決できることを見出した。すなわち、本発明は、下記の手段により前記の課題を解決することができた。
(1)アンモニア性窒素を含有する有機性汚水を生物学的脱窒素部に供給して脱窒素した後、好気性生物処理し、該生物処理水をゼオライト充填層に供給してアンモニアを吸着除去して処理水を得る汚水処理工程(A)、該ゼオライト充填層への生物処理水の供給を停止し、該ゼオライト充填層処理水の一部を該ゼオライト充填層に通水しながら、前記層の下部から酸素含有ガスで曝気し、該ゼオライトに固定された硝化菌によってゼオライトに吸着したアンモニアを硝化してゼオライトから脱着させてゼオライトを再生させ、再生排水を流出させる吸着剤再生工程(B)、該再生工程からの再生排水を前記生物学的脱窒素部に供給する循環工程(C)を有することを特徴とする有機性汚水の高度処理方法。
【0007】
なお、本発明において用いる「ゼオライト」としては、ゼオライト、モデルナイト、クリノプチライト、合成ゼオライトなどのゼオライト系鉱物を総称するものである。
従来の生物学的硝化脱窒素法は、処理水中にアンモニアを残留させないことを基本的な設計思想としているため、脱窒素部を先にし、脱窒素部から硝化部に導入し、硝化部からの流出スラリを沈殿槽に導き、残留する窒素分を硝酸性窒素の形で含有する処理水を得ることを必須としている。硝化脱窒素の段階を2段に重ねて行う場合においても同様である。
【0008】
これに対して、本発明は、硝化部という工程を除き、活性汚泥法の曝気槽の前段に嫌気的な脱窒素部を設け、後記するゼオライトの生物再生水中の硝酸性窒素を有機性汚水の有機炭素源を利用して脱窒素するものである。次に、生物学的脱窒素槽の流出水中の少量の残留BODを好気性生物処理、例えば活性汚泥処理槽に流入させ、BODを除去する。この活性汚泥処理工程では硝化を起こさせる必要はなく、BODを除去するだけでよいので、短時間の反応槽で良い。硝酸性窒素が生成すると、後段のゼオライト吸着塔で吸着されないで、処理水に入ってしまうためである。
【0009】
次に活性汚泥処理槽からの流出スラリを固液分離槽(沈殿槽など)に導き、アンモニアを意図的に残留させた処理水を粒状ゼオライト充填槽に供給し、アンモニアを選択的イオン交換吸着して除去し、アンモニアが高度に除去された処理水を得る。ゼオライトへの原水通水速度は下水処理に適用する場合、SV3〜30(1/H)、好ましくはSV4〜8(1/H)とするのがよい。
このようにして運転を続けると、ゼオライトのアンモニア吸着量が飽和するので、この時点で通水を止め、粒状ゼオライトの再生を行う。再生法として種々の方法を検討した結果、次のように行うことらって効果的に粒状ゼオライトを生物学的に再生できることを見いだした。
【0010】
すなわち、原水(沈殿池越流水)の通水を止め、図1のようにゼオライト充填槽処理水の一部をゼオライト層を有するゼオライト充填槽11に通水しながら(SV1〜5程度が好ましい)、前記ゼオライト充填槽11の下部から酸素含有ガス(空気、酸素、酸素富化空気のいずれか)を曝気させる。この結果、ゼオライトの表面に硝化菌が自然増殖して固定化される。この硝化菌によってゼオライトに吸着されたアンモニアが次の反応によって硝酸性窒素に酸化される。
NH4 + + 2O2 → NO3 - + 2H+ + H2 0 (1)
また、次の反応も同時に生起していることが推定された。
NH4 + + NO3 - → N2 + 2H2 0 (2)
生成した硝酸性窒素及び窒素ガスはゼオライトへの吸着性を持たないので、ゼオライトから離脱し液側に移行し、ゼオライトが再生される。硝酸性窒素を含有する再生排水は、前記生物学的脱窒素部に供給し、原水中の有機炭素源(BOD)を脱窒素菌のための有機炭素源として生物学的に窒素に還元され脱窒素される。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明を実際に実施する態様を図面により説明すると、原水1は脱窒素槽2に導入して脱窒素反応を行わせ、そこからの流出スラリ3を曝気槽4に導入し、空気5による曝気で好気性処理を行わせ、そのスラリを沈殿槽7に入れて汚泥を沈殿分離させ、上澄水8を第1ゼオライト充填槽10に送りアンモニアを除去させる。第1ゼオライト充填槽10から流出する水は処理水13としてその大半を取り出す。沈殿槽7からの汚泥9は、その大部分を返送汚泥15として脱窒素槽2に返送し、残りの汚泥は余剰汚泥16として系外に排出する。
既に処理に用いてアンモニアを吸着している第2ゼオライト充填槽11には処理水13の一部を導入し、空気12を吹き込み、生物処理することによりゼオライトを再生する。同槽11から出た水は生物再生排水14として原水1と合流させる。
【0012】
ゼオライト充填層を備えたゼオライト充填槽は図1のように2系列用意しておき、一方のゼオライト充填槽11の生物再生中に、原水をもう一方のゼオライト充填槽10に通水し、アンモニアを吸着除去するようにするのが良い。
なお、ゼオライトへの硝化菌の付着を促進し、生物再生がスタートアップ時から円滑に進むようにするためには次の方法が推薦できる。すなわち、運転当初に原水をゼオライト充填層に通水しながら、同層の下部から酸素含有ガスを供給して曝気すると、所要時間経過後にゼオライト表面に硝化菌が高濃度に固定化される。この状態になってから曝気を止め、原水を通水すると、アンモニアのゼオライトへの吸着が行われ、かつゼオライトの生物再生時に速やかに硝化反応が進ことが認められた。
【0013】
ゼオライト生物再生の所要時間は、本発明者の実験によれば、ゼオライトのアンモニアの吸着量によって変化し、再生を開始する時点のゼオライトのアンモニア吸着量が多い程当然、再生時間は長くなるが、アンモニア吸着量が5〜10mgN/g・ゼオライトの場合に、12〜24時間程度で十分な再生が可能であることが認められた。
この外の本発明の他の実施態様として、次のような方法を採用することができる。
▲1▼ 活性汚泥処理工程、又は脱窒素部に粒状ゲルなどの微生物付着担体を共存させ、BOD除去速度、脱窒素速度を向上させる方法。
▲2▼ 生物処理工程の脱窒素槽の前に嫌気槽を追加し、原水と返送汚泥を嫌気槽に供給した後、図1の脱窒素部に流入させる構成とし生物脱リンを生起させる方法。
▲3▼ 生物処理槽に無機凝集剤を添加して、リンを凝集除去する方法。
【0014】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
図1に示す処理工程に従って、第1表に示す平均水質をもつ下水を対象に、本発明の方法の実証試験を行った。粒状ゼオライトには、ジークライト工業(株)の製品である山形県産産出の天然粒状ゼオライト(平均粒径2〜3mm)を使用した。試験条件を第2表に示す。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】
実験の結果、処理が定常状態になってからのゼオライト槽流出水の水質は、第3表に示すように窒素が高度に除去されており、T−Nが2mg/リットル以下の処理水が安定して得られた。
【0018】
【表3】
【0019】
【発明の効果】
本発明においては、次に挙げる効果を有する。
(1)生物学的脱窒素技術とゼオライトによる選択的イオン交換反応を新規な態様で結合し、かつ粒状ゼオライトを新規な生物再生法によって再生し、再生排水を生物学的脱窒素部で処分するようにしたので、処理水にアンモニア性窒素及び硝酸性窒素が極めて微量しか残留せず、高度の窒素除去率が安定して得られる。
(2)反応速度が遅い硝化工程が不要であり、硝化液の脱窒素部への循環も不要であるので、生物処理槽の所要容積が小さくてすみ、建設コストが低く、循環ポンプ動力も不要であるので、省エネルギーが図れる。
(3)ゼオライト充填槽でSSのろ過も同時に行えるので、一石二鳥の効果がある。
(4)ゼオライトを生物再生するので、ゼオライト再生薬品が不要である。また、再生排液の処分も生物学的に簡単に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機性汚水の高度処理方法の一態様を表した工程図を示す。
【符号の説明】
1 原水
2 脱窒素槽
3 流出スラリ
4 曝気槽
5 空気
6 スラリ
7 沈殿槽
8 上澄水
9 汚泥
10 第1ゼオライト充填槽
11 第2ゼオライト充填槽
12 空気
13 処理水
14 生物再生排水
15 返送汚泥
16 余剰汚泥
【発明の属する技術分野】
本発明は、下水などのアンモニア性窒素を含有する有機性汚水を高度に浄化する処理方法に関し、特に前記有機性汚水からアンモニア性窒素を従来技術よりも著しく高い除去率で除去することができる有機性汚水の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
下水などのアンモニア性窒素を含有する有機性汚水を処理してその窒素を除去する方法として最も代表的な技術は、硝化液循環型生物学的硝化脱窒素法である。この技術は、有機性汚水をまず生物学的脱窒素部に供給し、そこで後の硝化部から循環されてくる硝化液と混合されて脱窒素反応が生じ、そこで得た脱窒素液を硝化部に供給してアンモニアを硝化(酸化)し、その硝化液の一部を前記の脱窒素部に循環し、他部を沈殿槽に供給し、沈降する活性汚泥を分離し、上澄液の処理液を得る方法である。
この硝化脱窒素法を改良した方法として、反応速度が小さい硝化部に硝化菌を固定したゲル担体を投入し硝化速度を高める技術も最近実用化されている。従来の方法では、下水を処理する場合において窒素除去率が80%程度が得られており、処理水にはアンモニアがほとんど残らないところまで行っているが、硝酸性窒素が10mg/リットル程度残留するという問題点がある。従って、この方法では、窒素除去率を90%以上にすることは原理的に不可能であり、放流水域の富栄養化を防止することには極めて不十分であった。
【0003】
さらに、硝化液を脱窒素部に循環する水量が莫大であり(原水水量の3倍以上)、循環ポンプの駆動に要する動力が多大であるという欠点もある。
また、有機性汚水からのアンモニアの化学的除去方法としては、ゼオライトによる選択的イオン交換吸着法が公知であり、下水を生物学的硝化脱窒素が行われない通常の活性汚泥法で処理した後、ゼオライトでアンモニアを吸着除去する方法が過去において検討されているが、アンモニアを吸着したゼオライトの再生薬品として塩化ナトリウム水溶液を使用している関係で、塩化ナトリウム、アンモニアを高度に含む再生排液が多量に発生し、この処分も極めて困難であった。そのため、この方法が実用化された例はなかった。
【0004】
このような技術的背景から、本発明者は、先に生物学的硝化脱窒素法とゼオライト吸着法を結合した新技術(特開平8−52494号公報)を提示した。この方法では窒素除去率が約95%と高いものであり、処理水の全窒素含有量が約2mgと低い優れた方法である。しかし、この方法でも、ゼオライト再生排液の処分については難点があり、高濃度の塩化ナトリウム、アンモニアを含んだ再生排液が発生するため、合理的に処分できなかった。また所要時間の長い硝化工程及びポンプ所要動力の多大な硝化液循環工程を省略することができなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、生物学的硝化脱窒素法とゼオライト吸着法を結合した処理方法において伴う問題点を解決することを課題とするものであり、所要時間の長い硝化工程を不要にでき、ゼオライトの再生及び再生排液の合理的な処分が可能である新規な処理方法を提供することを課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記の課題を解決するために、前記の生物学的硝化脱窒素法とゼオライト吸着法を結合した処理方法において伴う問題点が生ずる原因や各工程の組合せについて検討した結果、活性汚泥法のプロセス構成を変革し、かつゼオライトによる選択的イオン交換法、再生法を新規な態様で統合することにより、上記課題を解決できることを見出した。すなわち、本発明は、下記の手段により前記の課題を解決することができた。
(1)アンモニア性窒素を含有する有機性汚水を生物学的脱窒素部に供給して脱窒素した後、好気性生物処理し、該生物処理水をゼオライト充填層に供給してアンモニアを吸着除去して処理水を得る汚水処理工程(A)、該ゼオライト充填層への生物処理水の供給を停止し、該ゼオライト充填層処理水の一部を該ゼオライト充填層に通水しながら、前記層の下部から酸素含有ガスで曝気し、該ゼオライトに固定された硝化菌によってゼオライトに吸着したアンモニアを硝化してゼオライトから脱着させてゼオライトを再生させ、再生排水を流出させる吸着剤再生工程(B)、該再生工程からの再生排水を前記生物学的脱窒素部に供給する循環工程(C)を有することを特徴とする有機性汚水の高度処理方法。
【0007】
なお、本発明において用いる「ゼオライト」としては、ゼオライト、モデルナイト、クリノプチライト、合成ゼオライトなどのゼオライト系鉱物を総称するものである。
従来の生物学的硝化脱窒素法は、処理水中にアンモニアを残留させないことを基本的な設計思想としているため、脱窒素部を先にし、脱窒素部から硝化部に導入し、硝化部からの流出スラリを沈殿槽に導き、残留する窒素分を硝酸性窒素の形で含有する処理水を得ることを必須としている。硝化脱窒素の段階を2段に重ねて行う場合においても同様である。
【0008】
これに対して、本発明は、硝化部という工程を除き、活性汚泥法の曝気槽の前段に嫌気的な脱窒素部を設け、後記するゼオライトの生物再生水中の硝酸性窒素を有機性汚水の有機炭素源を利用して脱窒素するものである。次に、生物学的脱窒素槽の流出水中の少量の残留BODを好気性生物処理、例えば活性汚泥処理槽に流入させ、BODを除去する。この活性汚泥処理工程では硝化を起こさせる必要はなく、BODを除去するだけでよいので、短時間の反応槽で良い。硝酸性窒素が生成すると、後段のゼオライト吸着塔で吸着されないで、処理水に入ってしまうためである。
【0009】
次に活性汚泥処理槽からの流出スラリを固液分離槽(沈殿槽など)に導き、アンモニアを意図的に残留させた処理水を粒状ゼオライト充填槽に供給し、アンモニアを選択的イオン交換吸着して除去し、アンモニアが高度に除去された処理水を得る。ゼオライトへの原水通水速度は下水処理に適用する場合、SV3〜30(1/H)、好ましくはSV4〜8(1/H)とするのがよい。
このようにして運転を続けると、ゼオライトのアンモニア吸着量が飽和するので、この時点で通水を止め、粒状ゼオライトの再生を行う。再生法として種々の方法を検討した結果、次のように行うことらって効果的に粒状ゼオライトを生物学的に再生できることを見いだした。
【0010】
すなわち、原水(沈殿池越流水)の通水を止め、図1のようにゼオライト充填槽処理水の一部をゼオライト層を有するゼオライト充填槽11に通水しながら(SV1〜5程度が好ましい)、前記ゼオライト充填槽11の下部から酸素含有ガス(空気、酸素、酸素富化空気のいずれか)を曝気させる。この結果、ゼオライトの表面に硝化菌が自然増殖して固定化される。この硝化菌によってゼオライトに吸着されたアンモニアが次の反応によって硝酸性窒素に酸化される。
NH4 + + 2O2 → NO3 - + 2H+ + H2 0 (1)
また、次の反応も同時に生起していることが推定された。
NH4 + + NO3 - → N2 + 2H2 0 (2)
生成した硝酸性窒素及び窒素ガスはゼオライトへの吸着性を持たないので、ゼオライトから離脱し液側に移行し、ゼオライトが再生される。硝酸性窒素を含有する再生排水は、前記生物学的脱窒素部に供給し、原水中の有機炭素源(BOD)を脱窒素菌のための有機炭素源として生物学的に窒素に還元され脱窒素される。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明を実際に実施する態様を図面により説明すると、原水1は脱窒素槽2に導入して脱窒素反応を行わせ、そこからの流出スラリ3を曝気槽4に導入し、空気5による曝気で好気性処理を行わせ、そのスラリを沈殿槽7に入れて汚泥を沈殿分離させ、上澄水8を第1ゼオライト充填槽10に送りアンモニアを除去させる。第1ゼオライト充填槽10から流出する水は処理水13としてその大半を取り出す。沈殿槽7からの汚泥9は、その大部分を返送汚泥15として脱窒素槽2に返送し、残りの汚泥は余剰汚泥16として系外に排出する。
既に処理に用いてアンモニアを吸着している第2ゼオライト充填槽11には処理水13の一部を導入し、空気12を吹き込み、生物処理することによりゼオライトを再生する。同槽11から出た水は生物再生排水14として原水1と合流させる。
【0012】
ゼオライト充填層を備えたゼオライト充填槽は図1のように2系列用意しておき、一方のゼオライト充填槽11の生物再生中に、原水をもう一方のゼオライト充填槽10に通水し、アンモニアを吸着除去するようにするのが良い。
なお、ゼオライトへの硝化菌の付着を促進し、生物再生がスタートアップ時から円滑に進むようにするためには次の方法が推薦できる。すなわち、運転当初に原水をゼオライト充填層に通水しながら、同層の下部から酸素含有ガスを供給して曝気すると、所要時間経過後にゼオライト表面に硝化菌が高濃度に固定化される。この状態になってから曝気を止め、原水を通水すると、アンモニアのゼオライトへの吸着が行われ、かつゼオライトの生物再生時に速やかに硝化反応が進ことが認められた。
【0013】
ゼオライト生物再生の所要時間は、本発明者の実験によれば、ゼオライトのアンモニアの吸着量によって変化し、再生を開始する時点のゼオライトのアンモニア吸着量が多い程当然、再生時間は長くなるが、アンモニア吸着量が5〜10mgN/g・ゼオライトの場合に、12〜24時間程度で十分な再生が可能であることが認められた。
この外の本発明の他の実施態様として、次のような方法を採用することができる。
▲1▼ 活性汚泥処理工程、又は脱窒素部に粒状ゲルなどの微生物付着担体を共存させ、BOD除去速度、脱窒素速度を向上させる方法。
▲2▼ 生物処理工程の脱窒素槽の前に嫌気槽を追加し、原水と返送汚泥を嫌気槽に供給した後、図1の脱窒素部に流入させる構成とし生物脱リンを生起させる方法。
▲3▼ 生物処理槽に無機凝集剤を添加して、リンを凝集除去する方法。
【0014】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
図1に示す処理工程に従って、第1表に示す平均水質をもつ下水を対象に、本発明の方法の実証試験を行った。粒状ゼオライトには、ジークライト工業(株)の製品である山形県産産出の天然粒状ゼオライト(平均粒径2〜3mm)を使用した。試験条件を第2表に示す。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】
実験の結果、処理が定常状態になってからのゼオライト槽流出水の水質は、第3表に示すように窒素が高度に除去されており、T−Nが2mg/リットル以下の処理水が安定して得られた。
【0018】
【表3】
【0019】
【発明の効果】
本発明においては、次に挙げる効果を有する。
(1)生物学的脱窒素技術とゼオライトによる選択的イオン交換反応を新規な態様で結合し、かつ粒状ゼオライトを新規な生物再生法によって再生し、再生排水を生物学的脱窒素部で処分するようにしたので、処理水にアンモニア性窒素及び硝酸性窒素が極めて微量しか残留せず、高度の窒素除去率が安定して得られる。
(2)反応速度が遅い硝化工程が不要であり、硝化液の脱窒素部への循環も不要であるので、生物処理槽の所要容積が小さくてすみ、建設コストが低く、循環ポンプ動力も不要であるので、省エネルギーが図れる。
(3)ゼオライト充填槽でSSのろ過も同時に行えるので、一石二鳥の効果がある。
(4)ゼオライトを生物再生するので、ゼオライト再生薬品が不要である。また、再生排液の処分も生物学的に簡単に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機性汚水の高度処理方法の一態様を表した工程図を示す。
【符号の説明】
1 原水
2 脱窒素槽
3 流出スラリ
4 曝気槽
5 空気
6 スラリ
7 沈殿槽
8 上澄水
9 汚泥
10 第1ゼオライト充填槽
11 第2ゼオライト充填槽
12 空気
13 処理水
14 生物再生排水
15 返送汚泥
16 余剰汚泥
Claims (1)
- アンモニア性窒素を含有する有機性汚水を生物学的脱窒素部に供給して脱窒素した後、好気性生物処理し、該生物処理水をゼオライト充填層に供給してアンモニアを吸着除去して処理水を得る汚水処理工程(A)、該ゼオライト充填層への生物処理水の供給を停止し、該ゼオライト充填層処理水の一部を該ゼオライト充填層に通水しながら、前記層の下部から酸素含有ガスで曝気し、該ゼオライトに固定された硝化菌によってゼオライトに吸着したアンモニアを硝化してゼオライトから脱着させてゼオライトを再生させ、再生排水を流出させる吸着剤再生工程(B)、該再生工程からの再生排水を前記生物学的脱窒素部に供給する循環工程(C)を有することを特徴とする有機性汚水の高度処理方法。
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JP23670996A JP3555812B2 (ja) | 1996-09-06 | 1996-09-06 | 有機性汚水の高度処理方法 |
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JPH1080697A JPH1080697A (ja) | 1998-03-31 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR100794336B1 (ko) | 2007-07-25 | 2008-01-15 | 주식회사 부강테크 | 생물여과지를 이용한 오폐수 처리장치 |
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