JP3735281B2 - 有機性廃水の処理装置および処理方法 - Google Patents

有機性廃水の処理装置および処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、し尿、浄化槽汚泥、家畜糞尿あるいは食品工業廃水等といった有機性廃水の処理装置および処理方法に関し、さらに詳しくは、有機性廃水の生物処理によって生じた汚泥の処理装置および処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
し尿、浄化槽汚泥、家畜糞尿あるいは食品工業廃水等といった有機性廃水の処理には、微生物を利用した生物処理が使用されている。図7は、従来の生物処理を利用した有機性廃水の処理装置を示す説明図である。各所から集められたし尿等の有機性廃水は、夾雑物除去装置511によってビニールや紙等の夾雑物を取り除かれた後、生物処理槽504に投入される。
【0003】
生物処理槽504に投入された有機性廃水は、生物処理槽504中の微生物(活性汚泥)の働きによって、有機性廃水中の有機物、窒素、リン等が処理される。生物処理後の処理液は汚泥分離装置505へ送られ、ここで重力沈降による分離、または膜分離により処理液中の余剰汚泥が分離される。上澄水、または膜濾過水は、高度処理装置506で処理されて無色透明な処理水となり、河川等へ放流される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
生物処理において発生する余剰汚泥は、脱水、乾燥した後焼却等によって処理されていた。このように、従来の有機性廃水の処理装置では、廃水処理の他に別途余剰汚泥の処理が必要で多額なコストを要していた。そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、余剰汚泥の処理に手間を要さない有機性廃水の処理装置および処理方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明に係る有機性廃水の処理装置は、有機性廃水をオゾン処理するオゾン反応槽と、当該オゾン反応槽でオゾン処理された有機性廃水を生物処理する生物処理槽と、前記生物処理において発生する余剰汚泥を分離する汚泥分離装置と、当該余剰汚泥を前記オゾン反応槽へ戻す返送手段と、前記汚泥分離装置で分離された余剰汚泥を貯えるとともに、前記オゾン処理に使用した排オゾンによって前記余剰汚泥をオゾン処理する余剰汚泥貯留槽と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
この有機性廃水の処理装置は、生物処理において発生する余剰汚泥を分離し、これを生物処理槽の前段に設けた有機性廃水をオゾン処理するオゾン反応槽に戻すことで、有機性廃水とともに余剰汚泥をオゾン処理する。これにより、余剰汚泥をオゾン処理して生物処理するサイクルを繰り返すことができる。すなわち、余剰汚泥中に生物分解しきれなかった難分解性有機物が残存しても、生物処理において発生する余剰汚泥をオゾン反応槽へ戻すことを繰り返すことで、最終的に難分解性有機物はほとんど残らず生物分解できる。この処理装置では、オゾン処理と生物分解だけで有機性廃水中の難分解性有機物を分解し、余剰汚泥を処理できるので、従来の燃焼等による余剰汚泥処理と比較して処理コストを大幅に低減できる。また、余剰汚泥を生物処理槽の前段に設けられたオゾン反応槽に戻すだけなので、余剰汚泥処理の手間も大幅に低減でき、また自動化も容易である。
【0007】
なお、上記サイクルを繰り返して余剰汚泥を処理する場合には、処理すべき有機物の量が増えるので、負荷に応じた生物処理プロセスを選定するとともに、オゾン反応槽において供給するオゾン量を最適化する必要がある。ここで、余剰汚泥をオゾン処理する場合には、例えば余剰汚泥を貯留槽に溜めて、これに直接オゾンを吹き込む等してオゾン処理してもよい。これによって、生物処理後の有機性廃水から余剰汚泥を分離し、この余剰汚泥をオゾン処理することで、余剰汚泥中の難分解性有機物を易分解化して、この易分解性有機物を生物処理によって容易に酸化分解可能となる。また、余剰汚泥と有機廃水との混合物に対してオゾンを吹き込む等して、余剰汚泥にオゾン処理してもよい。なお、生物処理として生物学的脱窒素処理法をはじめとし、幅広く各種の活性汚泥法に適用が可能である。
【0008】
また、次の本発明に係る有機性廃水の処理装置は、有機性廃水をオゾン処理するオゾン反応槽と、オゾン処理された有機性廃水中に存在する窒素成分を、生物学的脱窒素処理によって取り除く生物処理装置と、前記生物処理装置において発生する余剰汚泥を分離する汚泥分離装置と、前記汚泥分離装置で分離された余剰汚泥を貯えるとともに、前記オゾン処理に使用した排オゾンによって前記余剰汚泥をオゾン処理する余剰汚泥貯留槽と、オゾン処理後の余剰汚泥を前記オゾン反応槽へ戻す返送手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
この有機性廃水の処理装置は、生物学的脱窒素処理した後の有機性廃水から余剰汚泥を分離し、これを生物学的脱窒素槽の前段に設けた有機性廃水をオゾン処理するオゾン反応槽に戻すことで、有機性廃水とともに余剰汚泥をオゾン処理する。生物学的脱窒素処理では、脱窒素菌が有機性廃水中のBODを栄養源として脱窒素が進行するが、場合によってはこのBODが不足することがある。これを補うために、脱窒素処理においては脱窒素菌の栄養源としてメタノールを添加する場合がある。この処理装置では、余剰汚泥をオゾン反応槽に返送して有機性廃水とともにオゾン処理してから生物学的脱窒素処理をするので、余剰汚泥中に含まれるBODを脱窒素菌の栄養源とすることができる。このため、生物学的脱窒素処理におけるメタノールの添加量を少なくできる。また、生物処理後の有機性廃水から余剰汚泥を分離し、この余剰汚泥をオゾン処理することで、余剰汚泥中の難分解性有機物を易分解化して、この易分解性有機物を生物処理によって容易に酸化分解可能となる。
【0010】
また、次の本発明に係る有機性廃水の処理装置は、上記有機性廃水の処理装置において、さらに、前記オゾン反応槽で生ずるオゾン処理後の排オゾンによって、前記汚泥分離装置で分離された分離液をオゾン処理する第二のオゾン反応槽を備えたことを特徴とする。
【0011】
この有機性廃水の処理装置は、生物処理前のオゾン処理後に発生する排オゾンで、余剰汚泥を分離した後の分離液をオゾン処理し、この分離液中に含まれている色度成分等の難分解成分を分解する。オゾン処理した後の排オゾン中には、まだオゾンが残存しているため、これを分離液の脱色処理等に再利用するものである。そして、オゾン処理に再利用することによってオゾンが消費されるため、処理後におけるオゾン濃度はより低くなる。このように、この有機性廃水の処理装置は、上記有機性廃水の処理装置で得られる作用・効果の他に、処理後のオゾンによって、生物分解後における有機性廃水の色度等を除去すると同時に、排ガス中のオゾン濃度も低減できるという効果がある。オゾンは有害な気体であるため、排ガス中のオゾン処理が必要であるが、再利用後の気体はオゾン濃度が相当低くなっているため、オゾンの無害化処理が容易にできる。
【0012】
また、次の本発明に係る有機性廃水の処理装置は、上記有機性廃水の処理装置において、さらに、前記汚泥分離装置で分離された分離液をオゾン処理する第二のオゾン反応槽を備え、当該第二のオゾン反応槽で生ずるオゾン処理後の排オゾンを、前記オゾン反応槽に供給することを特徴とする。
【0013】
この有機性廃水の処理装置は、余剰汚泥を分離した後の分離液を第二のオゾン反応槽でオゾン処理し、そのときに発生する排オゾンで余剰汚泥および生物処理前の有機性廃水をオゾン処理する。このように、オゾン処理後の排オゾンをオゾン処理に再利用するため、この酸化にオゾンが消費されて処理後におけるオゾン濃度はより低くなる。このように、この有機性廃水の処理装置は、上記有機性廃水の処理装置で得られる作用・効果の他に、処理後のオゾンを再使用することで余剰汚泥や有機性廃水の難分解成分を易分解化しつつ、オゾン濃度も低減できるという効果がある。オゾンは有害な気体であるため、排ガス中のオゾン処理が必要であるが、再利用後の気体はオゾン濃度が相当低くなっているため、オゾンの無害化処理が容易にできる。
【0014】
また、次の本発明に係る有機性廃水の処理方法は、オゾン処理された有機性廃水を生物処理した際に発生する余剰汚泥を分離した後、前記オゾン処理後の排オゾンを当該余剰汚泥に供給して当該余剰汚泥をオゾン処理し、このオゾン処理した余剰汚泥を再び生物処理することを特徴とする。
【0015】
この有機性廃水の処理方法は、生物処理後の有機性廃水から余剰汚泥を分離し、この余剰汚泥をオゾン処理することで、余剰汚泥中の難分解性有機物を易分解化して、この易分解性有機物を生物処理によって容易に酸化分解可能となる。特に、オゾン処理した余剰汚泥を生物分解し、この生物分解において生じた余剰汚泥をオゾン処理して、これを生物分解するというサイクルを繰り返すことによって、最終的に余剰汚泥中をほとんど完全に分解処理できる。このため、従来のように余剰汚泥を別途焼却処理等によって処理する必要がなく、処理コストを大幅に低減でき、また余剰汚泥の燃焼による環境負荷も小さくできる。なお、生物処理として生物学的脱窒素処理をする場合に本発明を適用してもよい。
【0016】
なお、余剰汚泥を予めタンクなどに貯蔵しておき、一定量が溜まったら人手によってこの余剰汚泥をオゾン反応槽へ投入するようにしてもよい。また、オゾン処理設備を持たない水処理施設等から余剰汚泥を集め、これをオゾン反応槽へ投入して、難分解性有機物を易分解化し、これを生物処理するようにしてもよい。このようにすると、例えば生物処理として生物学的脱窒素処理を行う場合で、脱窒素菌の栄養分が不足して自己の施設では補えない場合等には、栄養分として他から集めた余剰汚泥を供給できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものが含まれるものとする。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1に係る有機性廃水の処理装置を示す説明図である。この有機性廃水の処理装置は、オゾン処理手段で処理された有機性廃水を生物処理槽で生物処理し、その後汚泥分離装置で分離された余剰汚泥を再びオゾン反応槽に戻す点に特徴がある。この処理装置においては、まず貯留槽1に溜められた家畜糞尿やし尿等の有機性廃水がオゾン処理手段であるオゾン反応槽2に供給される。オゾン反応層2にはオゾン発生器3で生成されたオゾンが吹き込まれており、生物処理では分解され難い難分解性有機物をオゾン酸化によって低分子化して易分解化する。このオゾン処理によって次の生物処理槽4における生物分解が容易になり、廃水中の有機物を十分に分解できる。
【0019】
図2は、この発明の実施の形態1に係るオゾン反応槽を示す説明図である。実施の形態1においては、汚泥分離装置5(図1参照)で分離された余剰汚泥をこのオゾン反応槽2に戻して、余剰汚泥に対してもオゾン処理をする。このため、図2に示すように、オゾン反応槽2には家畜糞尿やし尿等の有機性廃水供給管20と、余剰汚泥供給管21とが備えられている。また、オゾンガスは側面に複数のオゾン供給孔22aが設けられた散気装置22によって、オゾン反応槽2の下部から供給される。散気装置22のオゾン供給孔22aからオゾン反応槽2内へ供給されたオゾンは、気泡となってオゾン反応槽2内の有機性廃水中を上昇する。この気泡の上昇によって、オゾン反応槽には鉛直方向に循環する流れが形成され、有機性廃水が十分に攪拌される。
【0020】
オゾン反応槽2に供給される余剰汚泥は固形物濃度が高く粘性が高いが、オゾン反応槽2内には上記循環流が形成されているので、この循環流によって有機廃水中に溶解する。また、オゾンの気泡が有機廃水中を上昇する過程で余剰汚泥に衝突するため、この作用によっても余剰汚泥が有機性廃水中に溶解しやすくなる。オゾン反応槽で低分子化されて易分解化された有機性廃水は、生物処理槽4(図1参照)に送られて生物処理される。
【0021】
生物処理が終了したあとの処理液は、汚泥分離装置5に送られて、ここで重力沈降による濃縮、または膜分離によって処理液中の余剰汚泥が分離される。余剰汚泥が分離された後の処理液は、高度処理装置6に送られ、ここで活性炭吸着等の高度処理を受けて無色透明の処理水となって河川等に放流される。
【0022】
汚泥分離装置5で分離された余剰汚泥は一旦余剰汚泥貯留槽7に集められた後、余剰汚泥の返送手段であるポンプ8によってオゾン反応槽2へ送られる。オゾン反応槽2へ送られた余剰汚泥は、上記余剰汚泥供給管21(図2参照)からオゾン反応槽2内へ供給される。
【0023】
上述したように、オゾン反応槽2内に供給された余剰汚泥は、オゾンの気泡によってオゾン反応槽2内の有機性廃水と十分に混合されて、難分解性有機物が酸化分解され低分子化される。余剰汚泥は、生物処理槽4で生物分解されなかったものであるため、これをオゾン酸化によって生物が分解しやすいように低分子化するのである。そして次の生物処理槽4で、オゾン酸化によって低分子化された余剰汚泥が生物分解され、この生物分解で処理できなかった有機物は汚泥分離装置5で余剰汚泥として分離され、再びオゾン反応槽2でオゾン酸化される。この工程を繰り返すことで、最終的にほとんどすべての余剰汚泥が生物分解される。なお、オゾン反応槽2で処理する有機性廃棄物の量は、有機性廃水の原水のみを処理する場合よりも多くなる。このため、返送する余剰汚泥の量に比例してオゾン供給量を増やして、オゾン処理能力を高くすることが必要である。
【0024】
このように、この発明の実施の形態1に係る有機性廃水の処理装置では、余剰汚泥をオゾン反応槽2に戻してオゾン酸化させ、生物分解しやすい形にして生物分解する。このため、これまでは、脱水・乾燥させた後、焼却等によって余剰汚泥を処理していたが、この処理装置ではこのような余剰汚泥の処理工程が不要になる。その結果、余剰汚泥処理の手間を要さず、また、乾燥、焼却のためにエネルギーを消費しないので経済的であり、環境負荷も軽減できる。
【0025】
(変形例1)
図3は、実施の形態1に係る有機性廃水の処理装置における第一の変形例を示す説明図である。この有機性廃水の処理装置は、オゾン反応でオゾン処理した後に発生する排オゾンで余剰汚泥を予備オゾン処理した後に、処理後の余剰汚泥をオゾン反応槽に戻す点に特徴がある。汚泥分離装置5で分離された余剰汚泥は、余剰汚泥貯留槽71に一旦貯えられる。この余剰汚泥貯留槽71の底部には、オゾンを供給するためのオゾン散気管72が設けられている。
【0026】
オゾン反応槽2で有機性廃水と余剰汚泥とをオゾン処理した後には排オゾンが発生するが、オゾン処理に使用したすべてのオゾンが処理液に溶け込める訳ではなく、この中にはまだオゾン処理に使用できる成分が残っている。そこで、この排オゾンをオゾン反応槽2の上部に設けられた排気口23から取り出して、余剰汚泥貯留槽71内のオゾン散気管72に供給し、余剰汚泥を予備的にオゾン処理するのである。
【0027】
図3からは明らかではないが、オゾン散気管72の側面にはオゾン供給孔が設けられており、このオゾン供給孔から余剰汚泥に前記排オゾンを供給する。余剰汚泥中を排オゾンの気泡が上昇する間にオゾンが溶け込み、余剰汚泥がオゾン酸化分解されて易分解化される。オゾン処理後の余剰汚泥はポンプ8によってオゾン反応槽2へ返送され、ここで有機性廃水とともにオゾン処理されて易分解化され、生物分解槽4で生物処理される。
【0028】
この変形例に係る有機性廃水の処理装置では、オゾン処理に使用した排オゾンで予め余剰汚泥をオゾン処理し、余剰汚泥中の難分解成分を易分解化するので、オゾン反応槽2における余剰汚泥の処理速度を速くできる。このため、この処理装置では、大量の有機性廃水であっても迅速に処理できる。また、排オゾンを利用するため、この処理をするために新たにオゾン発生装置を設ける必要もなく、余計な費用は発生しない。なお、余剰汚泥貯留槽71でオゾン処理された後の余剰汚泥を、直接生物分解槽4へ供給して、オゾン反応槽2によるオゾン処理の負担を軽減してもよい。
【0029】
ここで、通常排オゾンは有害な物質であるため、活性炭等で分解して処理していた。しかし、この変形例に係る処理設備では排オゾン中に含まれるオゾンを活性汚泥の予備処理に利用するため、排オゾン中のオゾン濃度は低くなる。このため排オゾンの処理に際しては、大規模な吸着設備は必要とせず、また活性炭等のオゾン分解剤の寿命も長くすることができるので経済的である。
【0030】
(変形例2)
図4は、実施の形態1に係る有機性廃水の処理装置における第二の変形例を示す説明図である。この有機性廃水の処理装置は、オゾン反応層でオゾン処理に使用した排オゾンによって汚泥分離装置で分離した分離液をオゾン処理し、且つ余剰汚泥をオゾン反応槽に戻してオゾン処理した後再び生物処理する点に特徴がある。すなわち、オゾン反応槽2で、有機性廃水と余剰汚泥とをオゾン処理した後には排オゾンが発生するが、この中に残っているまだオゾン処理に使用できる成分を利用して、汚泥分離後の液体をオゾン処理するものである。
【0031】
オゾン反応槽2における排オゾンは、オゾン反応槽2の上部に設けられた排気口23から取り出される。そして、汚泥分離装置5で分離された分離液を、第二のオゾン反応槽200内のオゾン散気管212に供給し、分離液をオゾン処理する。このようにすると、分離液中に残った色度成分等の難分解性成分がオゾン処理によって酸化分解されるので、無色透明の処理液が得られる。また、排オゾンを利用するため、この処理をするための新たなオゾン発生器は不要であり余計な費用は発生しない。
【0032】
さらに、この変形例に係る処理装置では排オゾン中に含まれるオゾンを活性汚泥の予備処理に利用するため、排オゾン中のオゾン濃度は低くなる。このため排オゾンの処理設備に大規模なものは不要であり、また活性炭等のオゾン分解剤の寿命も長くすることができるので経済的である。
【0033】
(変形例3)
図5は、実施の形態1に係る有機性廃水の処理装置における第三の変形例を示す説明図である。この有機性廃水の処理装置は、汚泥分離装置で分離した分離液を第二のオゾン反応槽でオゾン処理し、このときの排オゾンを生物処理槽前段のオゾン反応槽に導いて余剰汚泥と有機性廃水とをオゾン処理した後、これらを生物処理する点に特徴がある。この有機性廃水の処理装置では、生物処理を終えた有機性廃水は汚泥分離装置5に導かれて、ここで余剰汚泥を分離する。
【0034】
汚泥分離装置5で分離された処理液は第二のオゾン反応槽202に送られて、色度成分等の難分解性成分が、低分子の易分解性成分に分解される。また、分離された余剰汚泥は、ポンプ8によって、貯留槽1と生物処理槽4との間に設けられているオゾン反応槽201に返送される。このオゾン反応槽201では、貯留槽1から搬送される有機性廃水の原水と、余剰汚泥貯留槽7から搬送される余剰汚泥とが混合される。
【0035】
また、第二のオゾン反応槽202でオゾン処理に使用された後の排オゾンは、第二のオゾン反応槽202の上部に備えられたオゾン排出口231から取り出されて、オゾン反応槽201の底部に設けられたオゾン散気管222から供給される。なお、このオゾン散気管222は、上記第一の変形例で説明したものと同様である(図2参照)。このオゾン散気管222の側面に設けられたオゾン供給孔から、オゾン反応槽201内の有機性廃水等に排オゾンを供給する。そして、有機性廃水の原水と、余剰汚泥との混合液である処理液中を排オゾンの気泡が上昇する間に、処理液中の難分解性有機物が酸化分解されて易分解化される。
【0036】
このように、生物分解後の処理液をオゾン処理した排オゾンを利用して、有機性廃水の原水と余剰汚泥とをオゾン処理し、これらの難分解性有機物を易分解化する。このため、有機性廃水の原水および余剰汚泥中の難分解性有機物は次の生物処理槽4で処理できる。また、生物分解後の余剰汚泥をオゾン処理した後再び生物分解するサイクルを繰り返すので、余剰汚泥はほぼ完全に分解できる。さらに、排オゾンを利用するため、新たにオゾン発生装置を設ける費用も要せず、オゾンを有効利用できる。
【0037】
また、通常排ガスは有害な物質であるオゾンを相当量含んでいるため、これを活性炭等で分解して処理していた。しかし、この変形例に係る処理設備では、排ガス中に含まれるオゾンを有機性廃水の原水と活性汚泥との予備オゾン処理に利用するため、排ガス中のオゾンは少なくなる。このため排オゾンの処理に際しては、大規模な吸着設備は必要とせず、また活性炭等のオゾン分解剤の寿命も長くすることができるので経済的である。
【0038】
(実施の形態2)
図6は、この発明の実施の形態3に係る有機性廃水の処理装置を示す説明図である。この有機性廃水の処理装置は、実施の形態1に係る有機性廃水の処理装置において、生物処理槽の代わりに生物学的脱窒素処理装置を備えた点に特徴がある。なお、実施の形態1の変形例に係る有機性廃水の処理装置において、生物処理槽を生物学的脱窒素装置に置き換えることができるのはいうまでもない。
【0039】
この処理装置においては、まず貯留槽1に溜められた家畜糞尿やし尿等の有機性廃水がオゾン反応槽2に供給される。ここで、生物処理では分解され難い難分解性有機物をオゾン酸化によって低分子化することで易分解化され、この易分解化された有機性廃水は生物学的脱窒素処理装置40へ送られる。生物学的脱窒素処理装置40において、硝化菌の働きにより有機性廃水中の有機性窒素とアンモニア性窒素とが酸化されて、亜硝酸性窒素や硝酸性窒素に変えられる。そして、これらの亜硝酸性窒素や硝酸性窒素は脱窒菌の働きによって窒素ガスに変えられる。
【0040】
このとき、脱窒菌は有機性廃水中のBODを栄養源とする。そして、脱窒菌が脱窒反応をするには、有機性廃液中のBOD量と有機性窒素およびアンモニア性窒素の量T−N(Total Nitrogen:総窒素量)との比BOD/T−Nが2〜3である必要がある。ところで、処理対象である有機性廃水の中にはBOD/T−Nが1前後の場合もあり、このような場合にはBODが不足するため脱窒素反応が起こらない。
【0041】
このような場合、従来は脱窒素菌の栄養源とするため、メタノールを処理対象である有機性廃水に加えていた。しかし、この有機性廃水の処理装置においては、汚泥分離装置5で分離された余剰汚泥がオゾン反応槽2に戻されるため、この余剰汚泥を脱窒素菌の栄養源とすることができる。この目的のため、BOD/T−Nから脱窒素作用に必要なBOD量を求めて、このBOD量を確保できる量の余剰汚泥をオゾン反応槽2へ返送する。その結果、余剰汚泥を脱窒素菌の栄養源とした分だけメタノール添加量を少なくできるので、経済的である。
【0042】
脱窒素槽41における脱窒素処理が終了すると、処理液は二次脱窒素槽42へ送られて、処理液中にわずかに残った亜硝酸性窒素や硝酸性窒素が脱窒素菌によって窒素ガスに変えられる。二次脱窒素が終了した処理液は汚泥分離装置5へ送られて、膜分離等によって余剰汚泥が分離され、分離後の処理液は高度処理装置6で活性炭の吸着処理された後、無色透明の処理水となって河川等に放流される。また、分離された余剰汚泥は余剰汚泥貯留槽7に貯えられた後、ポンプ8によってオゾン反応槽2へ戻されて酸化反応によって易分解化される。
【0043】
なお、上記説明においては生物学的脱窒素処理装置として標準脱窒素処理方式を例にとって説明したが、実施の形態3に係る有機性廃水の処理装置に適用できる生物学的脱窒素処理装置はこれに限られるものではない。例えば、ロータリアトマイザを使用した硝化脱窒素槽を備えた生物学的脱窒素装置や、ロータリアトマイザを使用した硝化脱窒素槽と膜分離装置とを併用した高負荷処理装置にも、実施の形態3に係る有機性廃水の処理装置を適用できる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係る有機性廃水の処理装置では、生物分解した後の有機性廃水から余剰汚泥を分離し、これを生物処理槽の前段に設けた有機性廃水をオゾン処理するオゾン反応槽に戻すことで、有機性廃水とともに余剰汚泥をオゾン処理するようにした。このため、余剰汚泥をオゾン処理して生物処理するサイクルを繰り返すことで、生物処理とオゾン処理とで余剰汚泥をほぼ完全に処理することができる。したがって、従来の燃焼等による余剰汚泥処理と比較して処理コストを大幅に低減でき、また、処理の手間も低減できる。また、生物処理後の有機性廃水から分離した余剰汚泥をオゾン処理することで余剰汚泥中の難分解性有機物を易分解化して、この易分解性有機物を生物処理によって分解するようにしたので、難分解性有機物を生物処理で容易に処理できる。
【0045】
また、この発明に係る有機性廃水の処理装置では、生物学的脱窒素処理した後の有機性廃水から余剰汚泥を分離し、これを生物学的脱窒素槽の前段に設けた有機性廃水をオゾン処理するオゾン反応槽に戻すことで、有機性廃水とともに余剰汚泥をオゾン処理するようにした。このため、生物学的脱窒素処理における脱窒素菌の栄養源を余剰汚泥で補うことができるので、メタノールの添加量を少なくできる。また、生物処理後の有機性廃水から分離した余剰汚泥をオゾン処理することで余剰汚泥中の難分解性有機物を易分解化して、この易分解性有機物を生物処理によって分解するようにしたので、難分解性有機物を生物処理で容易に処理できる。
【0046】
また、この発明に係る有機性廃水の処理装置では、生物処理前のオゾン処理後に発生する排オゾンで、余剰汚泥を分離した後の分離液をオゾン処理し、この液体中に含まれている色度成分等の難分解成分を分解するようにした。このようにオゾンを有効利用するので、上記有機性廃水の処理装置で得られる効果の他に、処理後のオゾンによって生物分解後における有機性廃水の色度等を除去すると同時にオゾン濃度も低くできる効果がある。
【0047】
また、この発明に係る有機性廃水の処理装置では、余剰汚泥を分離した後の分離液を第二のオゾン反応槽でオゾン処理し、そのときに発生する排オゾンを再利用して余剰汚泥および生物処理前の有機性廃水をオゾン処理するようにした。このため、オゾンの再利用によって上記有機性廃水の処理装置で得られる効果の他に、処理後のオゾンを再使用することで余剰汚泥や有機性廃水の難分解成分を易分解化しつつ、オゾン濃度も低減できるという効果がある。
【0048】
また、この発明に係る有機性廃水の処理方法では、生物処理後の有機性廃水から余剰汚泥を分離し、この余剰汚泥をオゾン処理することで余剰汚泥中の難分解性有機物を易分解化して、この易分解性有機物を生物処理によって分解するようにした。このため、難分解性有機物を生物処理で容易に処理でき、また、余剰汚泥のオゾン処理、生物分解、余剰汚泥の分離、余剰汚泥の酸化処理というサイクルを繰り返すことによって、最終的に余剰汚泥中をほとんど完全に分解処理できる。このように、従来のように余剰汚泥を焼却等によって処理する必要がないため、処理コストを大幅に低減でき、また余剰汚泥の燃焼による環境負荷も小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に係る有機性廃水の処理装置を示す説明図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るオゾン反応槽を示す説明図である。
【図3】実施の形態1に係る有機性廃水の処理装置における第一の変形例を示す説明図である。
【図4】実施の形態1に係る有機性廃水の処理装置における第二の変形例を示す説明図である。
【図5】実施の形態1に係る有機性廃水の処理装置における第三の変形例を示す説明図である。
【図6】この発明の実施の形態3に係る有機性廃水の処理装置を示す説明図である。
【図7】従来の生物処理を利用した有機性廃水の処理装置を示す説明図である。
【符号の説明】
1 貯留槽
2、200、201 オゾン反応槽
3 オゾン発生器
4、504 生物処理槽
5、505 汚泥分離装置
6、506 高度処理装置
7、71 余剰汚泥貯留槽
8 ポンプ
20 有機性廃水供給管
21 余剰汚泥供給管
22a オゾン供給孔
22 散気装置
23 排気口
40 生物学的脱窒素処理装置
41 脱窒素槽
42 二次脱窒素槽
72、212、222 オゾン散気管
202 第二のオゾン反応槽
231 オゾン排出口
511 フィルタ
515 砂濾過装置

Claims (5)

  1. 有機性廃水をオゾン処理するオゾン反応槽と、
    当該オゾン反応槽でオゾン処理された有機性廃水を生物処理する生物処理槽と、
    前記生物処理において発生する余剰汚泥を分離する汚泥分離装置と、
    当該余剰汚泥を前記オゾン反応槽へ戻す返送手段と、
    前記汚泥分離装置で分離された余剰汚泥を貯えるとともに、前記オゾン処理に使用した排オゾンによって前記余剰汚泥をオゾン処理する余剰汚泥貯留槽と、
    を備えたことを特徴とする有機性廃水の処理装置。
  2. 有機性廃水をオゾン処理するオゾン反応槽と、
    オゾン処理された有機性廃水中に存在する窒素成分を、生物学的脱窒素処理によって取り除く生物処理装置と、
    前記生物処理装置において発生する余剰汚泥を分離する汚泥分離装置と、
    前記汚泥分離装置で分離された余剰汚泥を貯えるとともに、前記オゾン処理に使用した排オゾンによって前記余剰汚泥をオゾン処理する余剰汚泥貯留槽と、
    オゾン処理後の余剰汚泥を前記オゾン反応槽へ戻す返送手段と、
    を備えたことを特徴とする有機性廃水の処理装置。
  3. さらに、前記オゾン反応槽で生ずるオゾン処理後の排オゾンによって、前記汚泥分離装置で分離された分離液をオゾン処理する第二のオゾン反応槽を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の有機性廃水の処理装置。
  4. さらに、前記汚泥分離装置で分離された分離液をオゾン処理する第二のオゾン反応槽を備え、当該第二のオゾン反応槽で生ずるオゾン処理後の排オゾンを、前記オゾン反応槽に供給することを特徴とする請求項1または2に記載の有機性廃水の処理装置。
  5. オゾン処理された有機性廃水を生物処理した際に発生する余剰汚泥を分離した後、前記オゾン処理後の排オゾンを当該余剰汚泥に供給して当該余剰汚泥をオゾン処理し、このオゾン処理した余剰汚泥を再び生物処理することを特徴とする有機性廃水の処理方法。
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