JP3330537B2 - 屋根軒先用ヒータ装置およびこれを備えた屋根 - Google Patents

屋根軒先用ヒータ装置およびこれを備えた屋根

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JP3330537B2
JP3330537B2 JP34537597A JP34537597A JP3330537B2 JP 3330537 B2 JP3330537 B2 JP 3330537B2 JP 34537597 A JP34537597 A JP 34537597A JP 34537597 A JP34537597 A JP 34537597A JP 3330537 B2 JP3330537 B2 JP 3330537B2
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Sekisui Kasei Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として寒冷地域
の建物の屋根の軒先部を加温するために用いられる屋根
軒先用ヒータ装置およびこの屋根軒先用ヒータ装置が備
えられた屋根に関する。
【0002】
【従来の技術】積雪量の多い地方においては、屋根上に
多量の雪が積もると、その雪の荷重によって家屋を破損
するおそれがあるため、その建物の住人などが屋根上に
上がって、雪下ろしなどの除雪作業を行う必要がある。
この除雪作業は、住人にとって面倒な作業であり、大き
な負担となっていた。
【0003】そこで、この雪下ろしなどの除雪作業の手
間を省くために、特開平7−119335号公報や特開
平7−293039号公報には、瓦などの屋根材の表面
や内部に電熱線を配設することにより、屋根上の雪を融
かす技術が開示されている。また、特開平8−2809
4号公報には、内部に線状の発熱線が埋め込まれた屋根
用の融雪シートが開示されており、この融雪シートを屋
根材の表面に配設することによって、屋根上の融雪を行
うことができると記載されている。さらに、特開平8−
177174号公報には、内部に発熱体が埋め込まれた
発熱マットを屋根材の裏面に敷設することにより、屋根
上の融雪を行う技術が開示されている。また、上記公開
公報に開示された技術以外にも、屋根材の下に配設した
ヒートパイプを通して温水を循環させることにより、屋
根上の融雪を行う技術も提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
いずれの技術においても、屋根上の積雪を融かすことは
できるが、屋根の軒先まで加温することはできないの
で、融雪によって生じた水が軒先で凍って氷柱が形成さ
れたり、風によって屋根の軒先に庇のように突き出した
雪庇(雪の吹き溜り)が形成されたりする。
【0005】この軒先に形成される氷柱や雪庇は、寒冷
時には巨大なものに成長するため、その荷重によって屋
根を破損したり、また、落下した場合には軒先の下にい
る人に危険を及ぼすおそれがある。したがって、軒先に
氷柱や雪庇が形成された場合には、この氷柱や雪庇を除
去する必要があり、その作業は住人にとって面倒な作業
となっていた。
【0006】そこで、この発明の目的は、上述の技術的
課題を解決し、屋根の軒先における融雪を行うことがで
き、かつ、軒先における氷柱や雪庇などの形成を防止す
ることのできる屋根軒先用ヒータ装置およびこの屋根軒
先用ヒータ装置を備えた屋根を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの請求項1記載の発明は、屋根の軒先付近の所定部位
に取り付けられて、軒先を加温するための屋根軒先用ヒ
ータ装置であって、PTC発熱体素子を合成樹脂で絶縁
被覆することによって形成されたヒータユニットと、上
記所定部位に対応した形状に形成された伝熱面およびこ
の伝熱面の反対面側に突出した取付部を有し、この取付
部に上記ヒータユニットが取り付けられた伝熱部材と
含むことを特徴とする屋根軒先用ヒータ装置である。
【0008】このヒータ装置が屋根の軒先付近に配置さ
れた場合、ヒータユニットから発生する熱によって軒先
を加温することができる。したがって、屋根の軒先に積
もった雪を融解することができる。また、屋根に傾斜が
ついている場合に、屋根上で雪が融けて生じた水が軒先
へ流れて、その水が軒先で凍ることによって氷柱が形成
されたり、風によって屋根の軒先に庇のように突き出し
た雪庇が形成されたりするといったことを防止すること
ができる。
【0009】また、ヒータユニットは、発熱体が合成樹
脂で絶縁被覆されることによって形成されているので、
内部に融雪水などの水分が浸入するおそれがない。ゆえ
に、この屋根軒先用ヒータ装置は、融雪水や雨水がかか
る場所であっても安全に使用することができる。なお、
ヒータユニットが複数備えられている場合には、各ヒー
タユニットから引き出されたリード線と電源から延びた
電源コードとの接続部分が、たとえば合成樹脂製のケー
スなどによって絶縁被覆されて、この接続部分における
防水性が確保されているのが好ましい。伝熱部材の伝熱
面が軒先付近の所定部位に対応した形状に形成されてい
るので、その伝熱面を所定部位にほぼ密着させることが
できる。また、取付部が伝熱面の反対面側に突出してい
るので、たとえば、ヒータユニットに設けられた位置決
め用突起を取付部に形成された位置決め用の孔に挿通さ
せることにより、伝熱部材に対するヒータユニットの位
置決めが達成される構成が採用されても、位置決め用突
起が伝熱面と所定部位との密着の妨げとなることがな
い。よって、ヒータユニットから発生する熱を軒先へ良
好に与えることができ、軒先における良好な融雪効果、
氷柱および雪庇の発生の防止効果を発揮することができ
る。さらにまた、発熱体として自己温度制御機能を有す
るPTC発熱体素子が用いられているので、発熱温度を
制御するためにサーモスタットなどを含む発熱温度制御
回路が不要であり、装置のコストを低減することができ
る。また、自動温度制御機能により、温暖時には低出力
となって無駄な電力消費を抑制することができ、寒冷時
には高出力となって氷柱および雪庇の形成を効果的に防
止することができる。
【0010】請求項2記載の発明は、上記ヒータユニッ
トは、PTC発熱体素子を合成樹脂製の一対の絶縁ケー
ス内に収容した構成を有し、一方の絶縁ケースの表面を
上記取付部に接触させた状態で上記伝熱部材に取り付け
られていて、上記一方の絶縁ケースは、ポリマアロイを
含む材料を用いて形成されていることを特徴とする請求
項1記載の屋根軒先用ヒータ装置である。ポリマアロイ
は良好な熱伝導性を有しているので、請求項2の発明に
よれば、PTC発熱体素子からの発熱を良好に伝熱部材
に伝えることができ、これにより軒先をより良好に加温
することができる
【0011】なお、この屋根軒先用ヒータ装置は、屋根
の軒先縁部に設けられた部材に取り付けられるのが好ま
しく、たとえば、内樋が設けられた屋根においては、陸
梁の端部に主として美観のために設けられた化粧板の裏
面に、伝熱部材の伝熱面を密着させた状態に取り付けら
れるとよい。また、内樋が設けられていない屋根におい
ては、たとえば、垂木の端部を隠すために設けられる、
いわゆる鼻隠しの裏面に伝熱部材の伝熱面を密着させた
状態に取り付けられるとよい。
【0012】
【0013】請求項記載の発明は、軒先を加温するた
めのヒータ装置を備えた屋根であって、上記ヒータ装置
としては、請求項1または2記載の屋根軒先用ヒータ装
置が適用されていることを特徴とする屋根である。この
構成によれば、請求項1または2に記載の屋根軒先用ヒ
ータ装置が適用されているので、屋根の軒先に積もった
雪を融解することができる。また、軒先における氷柱や
雪庇の発生を防止することができる。
【0014】さらに、屋根軒先用ヒータ装置に加えて、
瓦などの屋根材を加温するための装置を備えることによ
り、雪下ろしや氷柱および雪庇の除去などの作業に要す
る手間を省くことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に、この発明の実施の形態
を、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、この
発明の一実施形態にかかる屋根軒先用ヒータ装置が備え
られた屋根の軒先部を示す断面図である。この屋根1
は、一般的な家屋に備えられている瓦葺きの屋根であ
り、その軒先2には、軒先2における氷柱や雪庇などの
形成の防止や軒先2に積もった雪の融解のために軒先2
を加温する屋根軒先用ヒータ装置3が備えられている。
【0016】具体的に説明する。屋根1は、柱4の上端
に固定されて水平方向に延在した軒桁5と、軒桁5と直
交する水平方向に延在した陸梁6と、陸梁6に対して傾
斜して設けられた合掌梁7と、複数の合掌梁7に架け渡
された母屋(母屋桁)8と、母屋8に受けられて合掌梁
7と平行に設けられた垂木9と、垂木9上に敷設された
野地材10と、野地材10上に敷き詰められた瓦11と
を有している。
【0017】屋根1にはさらに、野地材10の下端縁に
沿って設けられた内樋12と、陸梁6の先端に取り付け
られて、内樋12に沿って延びた支持板13とを備えて
いる。内樋12は、断面略U字状に形成されており、一
方の端縁が野地材10の下端縁に連結され、他方の端縁
が連結板14を介して支持板13に連結されることによ
って、上方が開放された状態に保持されている。
【0018】支持板13の表面は、主として美観のため
に金属製の化粧板15によって覆われている。化粧板1
5は、断面コ字状の部分16を有しており、この断面コ
字状部分16と支持板13との間には空間17が形成さ
れている。屋根軒先用ヒータ装置3は、空間17内に収
容されて、化粧板15の支持板13に対向する面15a
に取り付けられている。
【0019】図2は、屋根軒先用ヒータ装置3の構成を
示す斜視図である。屋根軒先用ヒータ装置3は、化粧板
15の支持板13に対向する面15a(図1参照)に取
り付けられる伝熱部材31と、伝熱部材31に取り付け
られた2本のヒータユニットH1,H2(以下、総称す
るときには「ヒータユニットH」という。)とを有して
いる。
【0020】伝熱部材31は、熱伝導性に優れた金属
板、たとえば亜鉛鉄板を折曲加工することによって作成
されたものであり、その中央部には長手方向に沿って凸
所32が形成されている。すなわち、伝熱部材31は、
図2において、上面がヒータユニットHを取り付けるた
めの取付面とされた取付部33と、取付部33の長手方
向に沿った両側縁から立ち下がる一対の立ち下がり部3
4,35と、立ち下がり部34,35の下端縁からそれ
ぞれ取付部33と平行に延設された延設部36,37と
を備えている。延設部36,37の下面36a,37a
は、ほぼ面一となるように形成されており、伝熱部材3
1は、延設部36,37の下面36a,37aが化粧板
15の面15aにほぼ密着した状態に取り付けられる。
【0021】ヒータユニットHは、内部にPTC発熱体
素子(詳細は後述する)を収容している4つの円板部3
8と、4つの円板部38を連結している連結部39とを
含んでいる。ヒータユニットHは、伝熱部材31の長手
方向に沿うように、円板部38においてリベット40で
取付部33の上面に取り付けられている。ヒータユニッ
トHの一方端部からは、一対のリード線41,42が引
き出されている。これらのリード線41,42は、各ヒ
ータユニットHに図外の商用交流電源からの電圧が並列
に印加されるように、接続ケース43の内部において電
源コード44と接続されている。
【0022】上記の構成により、図外の商用交流電源の
電圧が印加されて各ヒータユニットHから発生した熱
は、取付部33に与えられて伝熱部材31を伝播し、延
設部36,37の下面36a,37aから化粧板15に
伝達される。すなわち、この実施形態においては、化粧
板15にほぼ密着した延設部36,37の下面36a,
37aが、各ヒータユニットHから発生する熱を化粧板
15に伝達するための伝熱面をなしている。これによ
り、化粧板15が伝熱部材31から与えられる熱によっ
て温められるので、屋根1の軒先2(図1参照)に積も
った雪を融解することができ、また、軒先2において氷
柱や雪庇などが形成されるのを防止することができる。
【0023】図3は、屋根軒先用ヒータ装置3の断面図
であり、特にヒータユニットHの内部構成を示してい
る。また、図4は、ヒータユニットHの内部構成を示す
分解斜視図である。ヒータユニットHは、上記したよう
に、4つの円板部38の内部にそれぞれPTC特性を有
するセラミックス半導体からなるPTC(Positive Tem
perature Coefficient)発熱体素子50を備えている。
このPTC発熱体素子50は、ヒータユニットHの長手
方向に沿って上下に対向配置された上給電部材51およ
び下給電部材52の間に、互いに一定の間隔をあけて並
列に接続されている。PTC発熱体素子50および給電
部材51,52からなる発熱ユニットは、上絶縁ケース
53および下絶縁ケース54によって絶縁封止されてい
る。
【0024】PTC発熱体素子50は、たとえばチタン
酸バリウムなどを主原料としたもので、室温からキュリ
ー温度(抵抗急変温度)までは低抵抗であるが、キュリ
ー温度を越えると急に抵抗値が増大する特性を有する感
熱素子である。この特性により、PTC発熱体素子50
は、キュリー温度を下回る温度下において電圧が印加さ
れると、最初は低温であるために抵抗値が小さいので大
電流が流れ、PTC発熱体素子50の温度が急激に上昇
する。そして、PTC発熱体素子50の温度がキュリー
温度を越えると、抵抗値が急に増大するために電流量が
減少し、その結果、PTC発熱体素子50の発熱量は減
少する。そのため、PTC発熱体素子50は、一定温度
以上に温度が上がることがなく、ある温度で安定して熱
平衡状態を保つ。すなわち、PTC発熱体素子50は自
己温度制御機能を有している。
【0025】PTC発熱体素子50は、全体として扁平
な円筒状に形成されており、その中央部には、図4に示
すように、取付孔55が上下面に貫通して形成されてい
る。取付孔55は、下絶縁ケース54に形成された位置
決め軸56が挿通可能な大きさに形成されている。ま
た、PTC発熱体素子50の上面および下面には、それ
ぞれ電極57,58が形成されている。電極57,58
は、たとえばオーミックコンタクト電極形成用およびカ
バー用の銀ペーストをPTC発熱体素子50に塗布した
後に、このPTC発熱体素子50を560℃にて5分間
加熱することによって焼成することができる。
【0026】図4に示すように、上給電部材51は、P
TC発熱体素子50の個数と同数の円形平板部51aお
よびこれらの円形平板部51aを連結している長尺平板
部51bを含み、導電性を有する金属薄板によって一体
に形成されている。また、下給電部材52もPTC発熱
体素子50の個数と同数の円形平板部52aおよびこれ
らの円形平板部52aを連結している長尺平板部52b
を含み、導電性を有する金属薄板によって一体に形成さ
れている。円形平板部51a,52aは、PTC発熱体
素子50の外径にほぼ等しい大きさに形成されており、
その中央部には、それぞれPTC発熱体素子50に形成
された取付孔55とほぼ同径の取付孔59,60が貫通
形成されている。
【0027】給電部材51,52は、上給電部材51の
円形平板部51aが電極57に接触し、下給電部材52
の円形平板部52aが電極58に接触するように配置さ
れており、PTC発熱体素子50は一対の給電部材5
1,52に挟持された状態になっている。また、上給電
部材51の長尺平板部51bおよび下給電部材52の長
尺平板部52bは、互いに平行、かつ対向方向において
互いにずれた状態になっている。また、給電部材51,
52の一方端部には、一端が図2に示す接続ケース43
内において電源コード44に接続されたリード線41,
42の他端が半田付けによって接続されている。したが
って、4つのPTC発熱体素子50には、図外の商用交
流電源からの電圧が電源コード44およびリード線4
1,42を介して並列に印加される。
【0028】下絶縁ケース54は、電気絶縁性を有する
合成樹脂材料を用いて、たとえば射出成形によって形成
される。下絶縁ケース54には、PTC発熱体素子50
の個数と同数の位置決め軸56が立設されている。位置
決め軸56は、下給電部材52の取付孔60、PTC発
熱体素子50の取付孔55および上給電部材51の取付
孔59にこの順で挿通されており、これにより、PTC
発熱体素子50、給電部材51,52が下絶縁ケース5
4に対して位置決めされている。また、位置決め用軸5
6には、固定用のリベット40を挿通させることができ
るリベット孔56aが形成されている。さらに、図3に
示すように、下絶縁ケース54の下面には、このヒータ
ユニットHを伝熱部材31の取付部33に対して位置決
めするための複数の位置決め用突起61が形成されてい
る。
【0029】上絶縁ケース53は、PTC発熱体素子5
0および給電部材51,52を下絶縁ケース54に取り
付けた状態で、下絶縁ケース54を射出成形用金型にセ
ットして、電気絶縁性を有する合成樹脂材料を射出成形
することによって、下絶縁ケース54と一体的に成形さ
れるものである。したがって、PTC発熱体素子50、
給電部材51,52および給電部材51,52とリード
線41,42との接続部分などは、上絶縁ケース53お
よび下絶縁ケース54によって絶縁封止される。ゆえ
に、こうして得られるヒータユニットHは、優れた電気
絶縁性および防水性を有している。
【0030】なお、上絶縁ケース53および下絶縁ケー
ス54は、熱収縮が小さく、良好な熱伝導、熱変化に耐
え得る耐熱性、水分を内部に通さない防水性および空気
を内部に通さない気密性を備え、さらに給電線36,3
7の被覆材料との密着性が良好である材料で構成される
のが好ましい。したがって、絶縁ケース53,54の材
料として、たとえば、ナイロン、ポリプロピレンおよび
ガラス繊維からなるポリマアロイなどを例示することが
できる。
【0031】また、上絶縁ケース53と下絶縁ケース5
4とを同一の材料で構成することは、互いの親和性が良
くなり、かつ熱膨張係数が等しくなるため、一体化の観
点では望ましい。しかし、熱伝導の観点に立つと、伝熱
部材31の取付部33に接触する下絶縁ケース54は伝
熱部材31に良好に熱を伝える方が良く、一方で上絶縁
ケース53は放熱しにくい方が良い。したがって、後者
の観点を優先させる場合には、互いの親和性および熱膨
張係数を考慮しつつ、下絶縁ケース54には、熱伝導性
および電気絶縁性の良好な素材、たとえば上記ポリマア
ロイを用い、上絶縁ケース51には、熱伝導性が比較的
低い素材、たとえばエポキシ樹脂を用いるとよい。
【0032】上記のようなヒータユニットHを伝熱部材
31に固定する際には、ヒータユニットHの伝熱部材3
1への取付けに先立って、まず、伝熱部材31の取付部
33に、ヒータユニットHを位置決めするための位置決
め孔62と、ヒータユニットHを固定するための固定孔
63とを形成しておく。形成する位置決め孔62の数
は、ヒータユニットHの本数および下絶縁ケース54に
形成された位置決め用突起61の個数に応じて決定され
る。また、固定孔63の数は、ヒータユニットHの本数
および1本のヒータユニットHに備えられているPTC
発熱体素子50の個数に応じて決定される。
【0033】その後、下絶縁ケース54に形成された位
置決め用突起61が取付部33に形成された位置決め孔
62に嵌まり込むように、ヒータユニットHを取付部3
3上に配置する。そして、ヒータユニットHに形成され
たリベット孔56aおよび取付部33に形成された固定
孔63にリベット40を挿通して、ヒータユニットHお
よび伝熱部材31をリベット締めする。これにより、ヒ
ータユニットHが伝熱部材31の取付部33に固定され
る。なお、ヒータユニットHは、上記したリベット40
を用いた固定の他に、たとえば接着剤によって伝熱部材
31の取付部33に固定されてもよい。
【0034】図5は、接続ケース43の内部構成を示す
平面図である。接続ケース43は、電源コード44と各
ヒータユニットHから引き出されたリード線41,42
との接続部分を絶縁被覆するためのものであり、たとえ
ばポリマアロイなどの合成樹脂で成形されたケース本体
70およびケース蓋71(図2参照)を有している。な
お、図5には、ケース蓋71が取り除かれた状態が示さ
れている。
【0035】ケース本体70は、平面長方形状に形成さ
れており、その内部には、並列端子72,73をそれぞ
れ配置するための端子配置部74,75および過電流保
護のためのヒューズ76を配置するためのヒューズ配置
部77が区画されている。ケース本体70の周側面に
は、電源コード44から引き出されたリード線引出し部
44a,44bを内部に導入するための電源コード導入
凹部78a,78bが形成されている。また、各ヒータ
ユニットHから引き出されたリード線41,42を内部
に導入するためのリード線導入凹部79,80が形成さ
れている。
【0036】電源コード44のリード線引出し部44a
は、電源コード導入凹部78aを介してケース本体70
の内部に導入され、その先端が並列端子72に接続され
ている。また、電源コード44のリード線引出し部44
bは、電源コード導入凹部78bを介してケース本体7
0の内部に導入され、その先端がヒューズ76に接続さ
れている。ヒューズ76は、接続線81によって並列端
子73に接続されている。
【0037】一方、各ヒータユニットHから引き出され
たリード線41は、リード線導入凹部79を介してケー
ス本体70の内部に導入され、その先端が並列端子72
に接続されている。また、各ヒータユニットHから引き
出されたリード線42は、リード線導入凹部80を介し
てケース本体70の内部に導入され、その先端が並列端
子73に接続されている。上記の構成により、電源コー
ド44を図外の商用交流電源に接続すると、商用交流電
源の電圧が各ヒータユニットHに並列に印加される。
【0038】図2に示すケース蓋71は、ケース本体7
0に対応した平面長方形状に形成されており、電源コー
ド44のリード線引出し部44a,44bおよびリード
線41,42が並列端子72,73に接続された状態
(図5に示す状態)でケース本体70の上端に嵌め合わ
されて、接続ケース43を形成している。そして、この
接続ケース43内には、ケース本体70に形成されてい
る図示しない樹脂充填用開口から防水性および電気絶縁
性を有する樹脂(たとえばエポキシ樹脂)が充填されて
いる。これにより、接続ケース43内において、電源コ
ード44のリード線引出し部44a,44b、リード線
41,42および並列端子72,73が樹脂封止されて
いる。したがって、接続ケース43内に水分などが浸入
することがないので、その浸入した水分などによる短絡
が生じるおそれがない。
【0039】以上のようにこの実施形態では、2本のヒ
ータユニットH1,H2が伝熱部材31の取付部33に
取り付けられ、伝熱部材31の延設部36,37の面3
6a,37aが化粧板15の面15aにほぼ密着した状
態に取り付けられている。そのため、各ヒータユニット
Hから発生する熱は、伝熱部材31を伝播して、伝熱部
材31の延設部36,37の面36a,37aから化粧
板15に与えられることになる。これにより、化粧板1
5が伝熱部材31から与えられる熱によって良好に加温
されるので、屋根1の軒先2に積もった雪を融解するこ
とができ、また、軒先2において氷柱や雪庇などが形成
されるのを防止することができる。
【0040】また、各ヒータユニットHは、PTC発熱
体素子50および給電部材51,52からなる発熱ユニ
ットが上絶縁ケース53および下絶縁ケース54によっ
て絶縁被覆されることによって構成されている。また、
各ヒータユニットHのリード線41,42と電源コード
44との接続部分を覆う接続ケース43の内部には、エ
ポキシ樹脂などの合成樹脂が充填されている。したがっ
て、各ヒータユニットHや接続ケース43内に融雪水な
どが浸入することがなく、この屋根軒先用ヒータ装置3
が水分などによる短絡などを生じるおそれがない。ゆえ
に、融雪水や雨水がかかる場所であっても安全に使用す
ることができる。
【0041】さらに、発熱体として自己温度制御機能を
有するPTC発熱体素子50が用いられているので、発
熱温度を制御するためにサーモスタットやサーミスタな
どを含む発熱温度制御回路が不要であり、装置のコスト
を低減することができる。また、PTC発熱体素子50
は一定温度以上には発熱しないので、その発熱温度を適
切に設定しておけば、PTC発熱体素子50の発熱で化
粧板15が変形したりするおそれがない。なお、PTC
発熱体素子50の発熱温度は、PTC発熱体素子50の
材料組成を変えることによって任意の温度に設定するこ
とができる。
【0042】この発明の一実施形態の説明は以上のとお
りであるが、この発明は、上記の実施形態に限定される
ものではない。たとえば、上記の実施形態においては、
1つの伝熱部材に2本のヒータユニットが取り付けられ
ているが、1つの伝熱部材に取り付けられるヒータユニ
ットの本数は1本であってもよいし、3本以上であって
もよい。また、1本のヒータユニットに備えられている
PTC素子発熱体の個数は、上記の4個に限定されず、
任意の個数とすることができる。さらに、化粧板に取り
付けられる屋根軒先用ヒータ装置の個数も、建物の大き
さなどに応じて適当な個数にされるとよい。
【0043】また、伝熱部材の形状としては、上記の形
状に限定される必要はなく、化粧板の形状に応じて、伝
熱部材の伝熱面が化粧板にほぼ密着するような形状に適
宜に変更されるとよい。たとえば、化粧板が湾曲してい
る場合には、伝熱部材の延設部を化粧板に沿って湾曲さ
せるとよい。さらに、上記の実施形態においては、ヒー
タユニットの下絶縁ケースに形成された位置決め用突起
が、伝熱部材に形成された位置決め孔を介して化粧板に
当接することにより、伝熱部材と化粧板との密着の妨げ
となるのを回避するために、伝熱部材に凸所が形成さ
れ、その凸所にヒータユニットが取り付けられている。
しかしながら、下絶縁ケースに位置決め用突起が形成さ
れておらず、ヒータユニットが伝熱部材上の適当な位置
に配置されて接着剤によって固定される場合には、伝熱
部材に凸所が形成される必要はなく、伝熱部材は単なる
平板であってもよい。
【0044】また、上記の実施形態では、屋根軒先用ヒ
ータ装置が化粧板に取り付けられた構成を例に挙げて説
明したが、屋根軒先用ヒータ装置は、屋根の軒先に設け
られた部材に取り付けられればよく、たとえば、化粧板
以外にも内樋と支持板とを連結している連結板の裏面な
どに取り付けられていてもよい。さらには、化粧板が省
略されている場合には、支持板の裏面などに取り付けら
れてもよい。また、内樋が設けられていない屋根におい
ては、たとえば、垂木の端部を隠すために設けられる、
いわゆる鼻隠しの裏面に取り付けられるとよい。
【0045】さらに、屋根軒先用ヒータ装置に加えて、
瓦などの屋根材を加温するための装置が備えられてもよ
い。この場合には、氷柱および雪庇の除去作業に要する
手間を省くことができるうえ、雪下ろしに要する手間を
省くこともできる。その他、特許請求の範囲に記載され
た技術的事項の範囲内で、種々の設計変更を施すことが
可能である。
【0046】
【実施例】次に、さらに具体的な例について説明する。
4個のPTC発熱体素子を一対の電極板間に接続して得
られる発熱ユニットを、ポリマアロイで電気絶縁被覆し
てヒータユニットを作成した。PTC発熱体素子の最高
発熱温度は、その材料組成の調整によって約80℃に設
定されている。そして、1枚の亜鉛鉄板を折曲加工する
ことにより、伝熱面の面積が102mm×800mmの
面積となる凸所を有する伝熱部材を作成し、この凸所に
上記のようにして作成した2本のヒータユニットをリベ
ットで固定することによって屋根軒先用ヒータ装置を得
た。
【0047】こうして作成された屋根軒先用ヒータ装置
を用いて、種々の周囲温度条件下における消費電力量を
測定した。その結果を図6に示す。図6に示す結果か
ら、この屋根軒先用ヒータ装置は、周囲の温度が高くな
るに従って消費電力が小さくなることが確認された。し
たがって、この実施例に係る屋根軒先用ヒータ装置は、
常に一定の電力を供給し続けるニクロム線を用いたヒー
タ装置とは異なり、周囲温度が高い場合には消費電力を
抑えることができる、いわゆる省エネ効果の高い装置で
あることが判る。
【0048】また、この消費電力量の測定試験における
周囲温度範囲内において、伝熱面の表面温度は1℃以上
となり、これにより、屋根の軒先において融雪を良好に
行うことができ、また、氷柱や雪庇の形成を確実に防止
できることが確認された。
【0049】
【発明の効果】この発明によれば、屋根の軒先にもった
雪を融解することができる。また、屋根上で雪が融けて
生じた水が軒先へ流れて、その水が軒先で凍ることによ
って氷柱が形成されたり、風によって屋根の軒先に庇の
ように突き出した雪庇が形成されたりするといったこと
を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態にかかる屋根軒先用ヒー
タ装置が備えられた屋根の軒先付近を示す断面図であ
る。
【図2】屋根軒先用ヒータ装置の構成を示す斜視図であ
る。
【図3】屋根軒先用ヒータ装置の断面図であり、特にヒ
ータユニットの内部構成を示す断面図である。
【図4】ヒータユニットの内部構成を示す分解斜視図で
ある。
【図5】接続ケースの内部構成を示す平面図であり、ケ
ース蓋が取り除かれた状態を示している。
【図6】この発明の実施例に係る屋根軒先用ヒータ装置
における周囲温度と消費電力との関係を示すグラフであ
る。
【符号の説明】 1 屋根 2 軒先 3 屋根軒先用ヒータ装置 31 伝熱部材 36a,37a 伝熱面 50 PTC発熱体素子 53 上絶縁ケース 54 下絶縁ケース H1,H2 ヒータユニット
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−13849(JP,A) 実開 昭63−99698(JP,U) 実開 昭64−12871(JP,U) 実開 昭54−175841(JP,U) 登録実用新案3025878(JP,U) 実公 昭49−24511(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04H 9/16 E04D 13/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】屋根の軒先付近の所定部位に取り付けら
    て、軒先を加温するための屋根軒先用ヒータ装置であっ
    て、PTC発熱体素子 を合成樹脂で絶縁被覆することによっ
    て形成されたヒータユニットと、 上記所定部位に対応した形状に形成された伝熱面および
    この伝熱面の反対面側に突出した取付部を有し、この取
    付部に上記ヒータユニットが取り付けられた伝熱部材と
    を含むことを特徴とする屋根軒先用ヒータ装置。
  2. 【請求項2】上記ヒータユニットは、PTC発熱体素子
    を合成樹脂製の一対の絶縁ケース内に収容した構成を有
    し、一方の絶縁ケースの表面を上記取付部に接触させた
    状態で上記伝熱部材に取り付けられていて、 上記一方の絶縁ケースは、ポリマアロイを含む材料を用
    いて形成さ れていることを特徴とする請求項1記載の屋
    根軒先用ヒータ装置。
  3. 【請求項3】軒先を加温するためのヒータ装置を備えた
    屋根であって、 上記ヒータ装置としては、請求項1または2記載の屋根
    軒先用ヒータ装置が適用されていることを特徴とする屋
    根。
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