JP3329767B2 - 鋼材の劣化・腐食検出判定方法 - Google Patents
鋼材の劣化・腐食検出判定方法Info
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物を構成する部材外部表面の劣化状態や腐食状態を検出
し判定するための鋼材の劣化・腐食検出判定方法に関す
るものである。
いは亜鉛溶射処理された鋼材の外部表面は、長期間使用
すると、地域周辺の環境、オゾンや雨水などの天候条
件、あるいは経年劣化などにより、亜鉛が侵食され、鋼
材地肌の露出に伴い腐食が進行する。現在、鋼材の劣化
状態および腐食状態は、人間が定期的に検査し、腐食の
進行度を目視検査により行っているが、人手による検査
では、検査担当者によって評価結果にばらつきが生じ、
定量的な判断が困難となっており、調査後の補修時期予
測・補修工程などの計画管理が困難であった。また、こ
れらの検査に要する労力も相当なものとなっている。
は、鉄塔等の部材外部表面の腐食状態を自動的に検出す
ることができ、また外部表面の錆色の特徴を利用して腐
食部の劣化レベル・腐食度を確実に判定することのでき
る鋼材の劣化・腐食検出判定方法および検出システム装
置を開発し、既に出願している(特願平9−30070
7号)。
判定方法において、亜鉛めっきされた鋼材表面の腐食状
況を画像処理で劣化診断する場合、数段階に区分した劣
化度基準サンプル(実際に劣化・腐食した鋼材片、劣化
レベルI〜IV等)を用いて劣化診断を行なうことにな
る。しかし、屋外で診断対象となる部材を撮影しようと
すると、撮影条件の変動によって、判定する部材の色の
特徴量(明度・彩度・色相)が変化するため、鋼材の劣
化レベルを正確に判定することができない問題がある。
そのため、劣化度基準サンプルに基づいて設定した判定
のためのしきい値を撮影条件に合わせて変動させる必要
があるが、従来においては、簡便な補正方法がなかっ
た。
くなされたもので、その目的は、鉄塔等の鋼材外部表面
の劣化度を色の特徴量を用いて自動検出・判定する際
に、屋外の様々な撮影条件により変動する色の特徴量を
簡便に補正することができ、劣化度診断を常に安定して
精度良く行なうことのできる鋼材の劣化・腐食検出判定
方法を提供することにある。
食判定方法は、撮像手段(デジタルビデオカメラ、デジ
タルカメラ、フォトCDなど)により構造物を構成する
鋼材の外部表面と鋼材の劣化度に対応する既知のカラー
サンプルとを同時に撮像し、検出されたカラーサンプル
の色の特徴量から撮影条件により変動する色の特徴量の
変動分を求め、検出された鋼材の色の特徴量を判定する
しきい値を前記変動分で補正して鋼材の劣化レベルを判
定することを特徴とする(請求項1)。
つを用い(請求項2)、鋼材およびカラーサンプルの特
徴を検出し、腐食状態の検出・劣化レベルの判定を行な
う。腐食状態の検出・劣化レベルの判定は、例えば、明
度・彩度・色相の画像をブロックもしくは画素に分割し
て各ブロックの代表値(最頻値等)を求め、この代表値
としきい値とを比較して各ブロックもしくは画素の劣化
の状態を鋼材外部表面の全体にわたって調べ劣化度を判
定する。
して鋼材外部表面に着脱自在に貼付する(請求項3)。
カラーサンプルは、数段階の劣化レベル(I〜IV等)に
対応する色見本もしくはカラー写真等から構成する。
腐食した鋼材片からなる劣化度基準サンプルの色の特徴
量(明度L0 ・彩度C0 ・色相H0 )を求め、これに近
似のカラーサンプルを選定し、この色の特徴量(明度L
s ・彩度Cs ・色相Hs )を基準値とし、劣化度基準サ
ンプルを用いて劣化度判定のためのしきい値(明度L th
・彩度Cth・色相Hth)を設定しておく。鋼材の劣化診
断を行なう前に、鋼材と同時に撮影されたカラーサンプ
ルの色の特徴量(明度Ls ' ・彩度Cs ' ・色相Hs '
)を求め、カラーサンプルの前記基準値と比較して変
動分(ΔL・ΔC・ΔH)を算出し、この変動分を用い
て前記しきい値を補正し、補正されたしきい値(明度L
th’・彩度Cth’・色相Hth’)により鋼材の劣化レベ
ルを判定する。屋外の様々な撮影条件に対して、色の特
徴量の変動分を劣化レベル判定のしきい値の補正に反映
できるため、常に安定して精度良く劣化診断を行なうこ
とができる。また、マグネットシート等を介して着脱自
在に貼付けられるカラーサンプルを使用するため、判定
のためのしきい値の補正を簡便に安価に行なうことがで
きる。
に基づいて説明する。この実施形態は、鉄塔を構成する
鋼材の外部表面の腐食状態を検出し、劣化レベルを判定
する場合に適用した例である。図1は本発明の方法およ
び実施するための装置を示したものである。図2は撮影
条件によって変動する検出値を示したものである。図3
は画像処理における原画像と解析画像の例を示したもの
である。図4は彩度・色相・明度のヒストグラムの1例
を示したものである。図5は腐食判定マップ例を示した
ものである。
ジタルビデオカメラやデジタルカメラ等(赤外線カメラ
や宇宙衛星に使用されている特殊カメラ等を含む)のカ
メラ1により、鉄塔の亜鉛めっきされた鋼材2の外部表
面と、鋼材表面に貼付したカラーサンプル3とを同時に
撮影し、撮影された映像信号を画像処理ボード(映像入
出力機能・画像処理機能)5aが内蔵されたコンピュー
タ5に入力し、このコンピュータ5において、後述する
ような画像処理を行なうと共に、後述するようにカラー
サンプル3の検出信号に基づいて劣化度判定のためのし
きい値を補正して、腐食箇所の検出、劣化レベル(腐食
度)の判定を行なう。
に対応する色見本あるいはカラー写真等からなり、マグ
ネットシート4等の表面に取付けて鋼材2の外部表面に
着脱自在とし、作業者が被写体位置に順次取付けながら
カメラ1で撮影を行なう。カメラ1で捉えた映像は、例
えば、コンピュータ5およびカラーモニター6に出力
し、カラーモニター6に映像を表示すると共に、コンピ
ュータ5で腐食箇所を検出・判定し、腐食箇所が検出さ
れた映像のみをビデオテープレコーダー7に自動的に収
録する。また、最終的に得られた腐食箇所およびその判
定結果はビデオテープや光磁気ディスク等に鋼材番号順
に保存され、表示・プリントアウトされる。なお、カメ
ラ1で捉えた映像を全てビデオテープレコーダー7に収
録しておき、その後この映像を再生してコンピュータ5
で腐食個所の検出・判定を行なうようにしても良い。
を以下に示す。 (a) 検査対象物のみの抽出:カメラ1で得られた原画像
から明度画像(後述)を求め、この明度画像に対して雑
音除去処理・エッジ抽出を行い、二値化する。例えば、
雑音除去には、メディアンフィルタを、エッジ抽出に
は、ラプラシアンフィルタを用いる。この二値画像に対
してHough変換を行い、直線を検出する。Hough変換
は、画像解析・認識において点の集合から直線の方程式
を求める方法であり、二値画像のデータの濃度の低い点
の集合から近似直線を求め、これを部材の外形線とす
る。この直線に囲まれている領域を検査対象部材とす
る。
徴 ・鋼材は溶融亜鉛めっき、または亜鉛溶射が施されてい
る…無彩色(灰色) ・腐食領域は初期…赤色(赤錆)、中期…黒色(但し、
周囲は赤色)、末期…穴(但し、周囲は黒色でその外側
が赤色)
色としての赤錆領域を抽出するために、明度(輝度)L
…(色の明暗の度合)、彩度C …(色の鮮やかさの
度合)、色相H …(赤〜オレンジ〜緑〜青)を利用す
る。カメラから出力される信号は通常の伝送系でのアナ
ログ処理により、YuvもしくはRGB信号へ変換され
る。変換された信号をデジタル化し、直交変換(RGB
→Lab、もしくはYuv→RGB→Lab)により、
Labカラーに変換する。なお、このLabカラーによ
る方法の他、Yuv等の伝送信号により直接評価するこ
ともできる。RGB信号は公知の式を用いてLabモデ
ルに変換され、さらにa・bから彩度Cおよび色相Hが
得られる。この変換により得られる明度・彩度・色相を
それぞれL* ・C* ・H* とする。
ように、カメラで撮像した原画像のRGBの3つの画像
から前述の変換によって明度L* ・彩度C* ・色相H*
の画像を得る。このような画像に対して、ノイズの影響
を受けにくい腐食領域の判定を行うため、 L* ,a
* ,b* の画像をm×nのブロックに分割する(画素単
位でもよい)。 各ブロック内の画素の値の最頻値を
求めるために、L* ,a* ,b* それぞれにおける各ブ
ロック内のヒストグラムを作成し(図4参照)、ヒスト
グラムの頻度が最大となる値を最頻値L* p ,a* p ,
b* p とする。 この最頻値L* p ,a* p ,b* p
を用いてL* ,C* ,H* の腐食判定マップを作成する
(図5参照)。この腐食判定マップ例では、最頻値の最
小値と最大値の間を16等分して濃淡表示している。
図4は、鉄塔の山形鋼から切り出した腐食試験片の定性
的な検討結果であり、腐食試験片で解析を行った結果、
劣化レベルに応じて色の特徴に差がでていることがわか
った。図4において、劣化レベルIは、亜鉛層が残存し
ているため、カラーの原画像では灰色であり、劣化レベ
ルIVは、殆どが赤錆状態で下部が鉄地侵食のため黒錆状
態となっている。従って、劣化レベルIVは、劣化レベル
Iと比較して、彩度C* の大きい画素が増大し、色相H
* では茶色を示す範囲(90 °近傍) の画素が増大し、明
度L* は低くなる傾向がある。なお、鉄塔の山形鋼の場
合、谷側よりも山側の方が劣化が進行する傾向があり、
また幅方向では先端の刃側が劣化する傾向が大きい。
験片の劣化レベル判定を行った例であり、劣化レベル
I、劣化レベルIVにおける腐食判定マップを示す。この
図5において、(イ)は赤錆を対象とする彩度C* の腐
食判定マップ、(ロ)は黒錆を対象とする明度L* の腐
食判定マップである。ここで、彩度C* の腐食判定マッ
プでは、腐食領域は薄茶〜濃茶色(有彩色)をしている
ため、明るく表示される。明度L* の腐食判定マップで
は、灰色(無彩色) でも茶色(有彩色)でも明るく表示
される。図5(a) の劣化レベルIにおいては、全体が亜
鉛層の灰色で下端の一部に腐食が認められる程度である
ため、(イ)の彩度C* では全体が黒く、一部の赤錆部
分が白く表示され、(ロ)の明度L* では黒錆がないた
め全体がほぼ白く表示されている。図5(b) の劣化レベ
ルIVにおいては、全体が赤錆状態で下部が黒錆状態であ
るため、(イ)の彩度C* では赤錆部分が白く広範囲に
表示され、下部の黒錆部分は黒く表示され、(ロ)の明
度L* では下部の黒錆部分が黒く表示されている。従っ
て、図5の彩度C* と明度L* の腐食判定マップによ
り、赤錆および黒錆の有無、即ち劣化レベルを判定でき
る。また、色相の腐食判定マップにおいては、赤錆部分
には、0°〜90°の範囲の色相H *を有する画素が存
在するため、0°〜90°の範囲の画素数がしきい値H
* thを越えるブロックを赤錆部分とすることができる。
さらに、赤錆領域および黒錆領域の面積を求め、これら
の大きさから、あるいは赤錆部分と黒錆部分の面積割合
から、劣化レベルを判定することもできる。
果から各劣化レベルI〜IVについての劣化基準度(彩度
C* ・明度L* ・色相H* のしきい値)を予め設定して
おき、実際の鋼材を撮影した検出結果から得られた腐食
判定マップの各ブロックにおける彩度C* ・明度L* ・
色相H* の値(各ブロックの最頻値等)と前記しきい値
とを比較することで、劣化レベルを判定する。
ては、屋外の様々な撮影条件により、検出した鋼材の色
の特徴量(彩度C* ・明度L* ・色相H* )が変化する
ため、本発明ではカラーサンプルを用い、次のような手
順で判定のためのしきい値を補正し、正確な判定を行な
う。
劣化度基準サンプル(劣化レベルI〜IV)の色の特徴量
である明度L0 ・彩度C0 ・色相H0 を予め求めてお
き、これに近似するカラーサンプル3を選定し、その明
度Ls ・彩度Cs ・色相Hs も同一条件で求めておく。
この明度Ls ・彩度Cs ・色相Hs を基準値とする。
C0 ・色相H0 を用いて劣化度判定のための明度・彩度
・色相のしきい値(最頻値等)Lth・Cth・Hth(劣化
度I〜IV)を設定し、これらをコンピュータ5に入力し
ておく。
鋼材2と共にカメラ1で撮影する。得られた鋼材2・カ
ラーサンプル3の映像信号をコンピュータ5に入力す
る。(4) コンピュータ5で鋼材2の映像信号を前述した
ように画像処理すると同時に、カラーサンプル3の明度
Ls ' ・彩度Cs ' ・色相Hs ' (劣化度I〜IV)を求
め、基準値Ls ・Cs ・Hs と比較して変動分ΔL・Δ
C・ΔHを算出し、この変動分を用いて劣化度判定のた
めのしきい値Lth・Cth・Hth(劣化度I〜IV)を補正
する。
Hth’(劣化度I〜IV)を用いて前述した(g) の劣化レ
ベルの判定を行なう。即ち、腐食判定マップの各ブロッ
クにおける彩度C* ・明度L* ・色相H* の値(各ブロ
ックの最頻値等)と補正されたしきい値Lth’・Cth’
・Hth’とを比較して劣化レベルの判定を行なう。図2
に示すように、撮影条件(カメラの絞り)により色の特
徴量(図示例では明度)が変動するが、カラーサンプル
の変動量を用いてしきい値を補正することで劣化レベル
を正確に判定することができる。
判定について説明したが、これに限らず、その他の構造
物の腐食検出・判定にも本発明を適用できることはいう
までもない。また、Labカラーでの結果を他の色表現
手法(例えばLuvカラー等)に置き換えて腐食検出・
判定を行うこともできる。
で、次のような効果を奏する。 (1) 鉄塔等の鋼材外部表面の劣化度を色の特徴量を用い
て自動検出・判定するに際し、屋外の様々な撮影条件に
よって変動する色の特徴量の変動分を劣化レベル判定の
しきい値の補正に反映できるため、常に安定して精度良
く劣化診断を行なうことができる。
貼付けられるカラーサンプルを使用するため、判定のた
めのしきい値の補正を簡便に安価に行なうことができ
る。
たものであり、(a) は鉄塔の概略正面図、(b) はカラー
サンプルの正面図、(c) は処理システムの構成図であ
る。
よびカラーサンプルの明度を示すグラフである。
像を示す図である。
彩度・色相・明度ヒストグラム例を示す図である。
である。
Claims (3)
- 【請求項1】 撮像手段により構造物を構成する鋼材の
外部表面と鋼材の劣化度に対応する既知のカラーサンプ
ルとを同時に撮像し、検出されたカラーサンプルの色の
特徴量から撮影条件により変動する色の特徴量の変動分
を求め、検出された鋼材の色の特徴量を判定するしきい
値を前記変動分で補正して鋼材の劣化レベルを判定する
ことを特徴とする鋼材の劣化・腐食判定方法。 - 【請求項2】 請求項1に記載の方法において、色の特
徴量に色の明度・彩度・色相の3つを用いることを特徴
とする鋼材の劣化・腐食検出判定方法。 - 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の方法に
おいて、カラーサンプルはマグネットシート等を介して
鋼材外部表面に着脱自在に貼付することを特徴とする鋼
材の劣化・腐食検出判定方法。
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