JP3568871B2 - 管内面腐食点検における劣化度合評価方法 - Google Patents

管内面腐食点検における劣化度合評価方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄塔等の大型構造物の構造部材やプラント類の配管部材に用いられる鋼管の内部の腐食箇所を検出し劣化度合を判定する管内部腐食点検における劣化度合評価方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鉄塔等の鋼管には、防錆性・耐久性・コスト面で有利な溶融亜鉛めっきが広く用いられているが、溶融亜鉛めっき処理された鋼管部材も、使用する環境や経年劣化等により内面から腐食が発生することもあるため、工業用内視鏡による定期的な鋼管内面検査を行っている。この工業用内視鏡による検査は、鋼管内面の様子をビデオテープに録画し、収録された映像を確認して行っているが、構造物全体にわたって観察したビデオテープが膨大な量となるため、ビデオテープからの腐食箇所の自動検出が望まれていた。
【0003】
そのため、本出願人は、録画したビデオ画像から腐食の著しい箇所を自動検出することを目的に、腐食部周辺の色彩情報を利用して腐食領域を確実に自動検出する方法を出願している(特願平8−41005号)。この方法では、工業用内視鏡等により撮像した映像をビデオテープに収録し、画像処理機能を備えたコンピュータにより前記ビデオテープから腐食の著しい箇所を自動検出し、静止画として保存するなどしている。画像処理については、腐食箇所とその他の部分の色の違い(明度・彩度・色相)を利用して腐食箇所を検出し、明度・彩度・色相の画像を各ブロックに分割して各ブロックの代表値(最頻値など)を求め、この代表値が所定の設定値範囲内のブロックを腐食箇所と判定している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、鋼管内面を観察した画像は、▲1▼鋼管奥行き方向で形状の歪みが発生する、▲2▼鋼管奥行き方向で色彩情報が変化する、また▲3▼前述の方法では劣化度合の評価基準が定められていなかった、などの点から劣化度合の評価を定量的に行うことができなかった。
【0005】
本発明は、前述のような問題点を解消すべくなされたもので、その目的は、亜鉛めっき鋼管などの管内面の内部腐食をコンピュータによる画像解析で自動的に検出し、その判定に際して、鋼管内面の劣化度合を定量的に正確に評価することのできる管内部腐食点検における劣化度合評価方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1の管内面腐食点検における劣化度合評価方法は、照明を備えた撮像手段を管の内部に挿入して管の内面を撮像し、腐食箇所のある静止画に対して管の中心点を中心とする同心円の評価範囲を設定し、この評価範囲を管奥行き方向に複数の同心円ブロックに分割し、分割された同心円ブロック毎に、カラーサンプルから得られた管奥行き方向の色彩変化を用いて、管内の表面状態を判定するためのしきい値を補正すると共に、画像処理により得られた色彩情報に対して前記補正されたしきい値によるしきい値処理を実施して管内の表面状態を求め、この同心円ブロック毎の劣化状態を管奥行き方向の面積歪みで補正して劣化度合を判定する。
【0007】
撮像手段には、光ファイバーによるライトガイド・イメージガイドからなる内視鏡(ファイバースコープ)方式あるいはランプ・CCDカメラ・電気信号ケーブルによるビデオイメージスコープ方式などを用い、例えば、この撮像手段で撮影した映像をビデオテープ(あるいは光磁気ディスクなど)に収録しておき、この収録した画像から腐食の顕著な箇所を画像処理機能を備えたコンピュータを用いて自動検出し、この画像を静止画として保存し、この静止画に対して劣化度合の定量的な評価を行う。なお、これに限らず、取得映像を直接コンピュータに出力し、コンピュータで腐食箇所を検出・判定し、腐食箇所が検出された画像のみを収録するようにするなどしてもよい。
【0008】
管奥行き方向の面積歪み補正は、評価範囲をn分割した同心円の半径rを用いた補正係数K=r/r(k=1,2,…,n、rは最外径)を用い、管奥行き方向に収縮する面積を幾何学的に補正し、前記画像解析で得られた赤錆・黒錆等の面積に前記補正係数を乗じて正確な劣化度合を得る。
【0009】
ラーサンプルはキャリブレーション試験体の内面に貼り付け、実際の撮影と同じ条件で内視鏡等により撮影し、管奥行き方向の色彩変化を検出し、この検出結果に基づいて、劣化状態を判定するしきい値を管奥行き方向の位置毎に補正する。
【0010】
本発明の請求項2の劣化度合評価方法は、請求項1の劣化度合評価方法において、管径による色彩変化を用いて、管内の表面状態を判定するためのしきい値を補正することを特徴とする。管径の異なるm種類のキャリブレーション試験体にカラーサンプルを貼り付け、実際の撮影と同じ条件で内視鏡等により撮影し、管径により変化する色彩を検出し、この検出結果に基づいて、劣化状態を判定するしきい値を管径毎に設定する。
【0011】
以上のような構成において、画像処理機能を備えたコンピュータにより管内面の腐食箇所が自動的に検出され、管内面の腐食状態が判定される。鋼管内面の溶融亜鉛めっき等の色は灰色などの基本的に無彩色であり、腐食箇所は錆色すなわち薄茶〜濃茶色などの有彩色であり、色を利用した画像処理により腐食状態を自動的に検出し、劣化度合を判定することができる。
【0012】
また、色彩情報(明度・彩度・色相、あるいはRGB信号など)を用いて腐食箇所を判定することにより、腐食箇所を誤検出なく確実に判定することができる。即ち、例えば、濃淡画像における明度のみでは、腐食箇所以外の明度の小さい部分があるため、腐食箇所を特定することが難しいが、彩度を用いることにより、腐食箇所の有彩色と鋼材表面自体の無彩色を明確に区別することができる。従って、一定の明度以上の領域について、有彩色の判定を行い、さらに色相による錆色判定を行うことにより、より正確な腐食領域の検出および腐食度合の判定を行うことができる。
【0013】
また、鋼管内外部表面を覆っている亜鉛は、時間経過に伴う侵食によって徐々に膜厚が薄くなる。このため、鋼管内外部表面が呈する色彩は、亜鉛特有の灰色(無彩色に近い色)から錆特有の茶色系(有彩色)に変化し、さらに部分的な黒錆による黒色へと一部が変化する。これらの領域の明度、彩度、色相、面積、面積比などを検出し、判定することにより、腐食進行度、劣化進行度を定量的に把握することができる。また、検出した鋼管内部表面の明度・彩度・色相、面積、面積比などと、腐食状況を厳密に調査集約された劣化度基準値(明度・彩度・色相、面積、面積比など)とを比較することで、鋼材の断面状況、即ちメッキ膜厚残存量を明確に推定することができる。
【0014】
さらに、管奥行き方向の面積歪みで検出結果を補正し、管奥行き方向の色彩変化で判定のためのしきい値を補正し、鋼管径毎に判定のためのしきい値を設定することで、照明光のむらなどがあっても、劣化度合の定量的な判定を正確に定量的に行うことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。図1は、本発明の管内面腐食点検における劣化度合評価方法を実施するための装置の1例を示したものである。図2は、腐食箇所の顕著な箇所の画像を保存する方法を示したものである。図3は、保存した静止画に対する画像処理の方法を示したものである。図4〜図8は、基本的な画像解析の1例を示したものである。
【0016】
図1(a) において、工業用内視鏡1は、キセノンランプ等を有する検出ヘッド2と、光ファイバーによるライトガイド・イメージガイドを有する長尺の伝送ケーブル3からなり、この伝送ケーブル3の基端にキセノンランプ光源ユニット4が接続され、この光源ユニット4に映像コントロールユニット5を介してビデオテープレコーダー(あるいは光磁気ディスクシステムなど)6およびカラーモニター7が接続されている。
【0017】
このような工業用内視鏡1を亜鉛めっき鋼管P内を移動させて鋼管内面を撮影し、これを検査対象の部材全数にわたって実施し、VTR6に収録する。また、工業用内視鏡1の先端部には、検出ヘッド2を常に鋼管Pの中心に保持することのできる内視鏡ホルダー8を設け、撮影された画像の中心に鋼管Pの奥行き方向に向かって収束する中心点が位置するようにし、後述する画像解析における評価範囲の設定を容易に行えるようにする。この内視鏡ホルダー8は、鋼管半径方向に伸縮するガイド部を鋼管内面に押圧接触させる構造のもの(特願平8−41006号の撮像手段ホルダー)を使用することができる。なお、内視鏡ホルダー8に限らず、動画像処理(オプティカルフロー検出)などにより画像中の鋼管の前記中心点を検出するようにしてもよい。
【0018】
前述のようにして撮影された検査ビデオテープは膨大な量となるため、図1(b) に示すように、専用コンピュータ9により検査ビデオテープの映像から腐食の顕著な箇所の映像をリアルタイムで自動検出し、検出した腐食箇所の映像をVTR6等に静止画として保存する。専用コンピュータ9は、カラー画像処理ボード(映像入出力機能・画像処理機能)が内蔵されており、後に詳述するような画像処理を実施し、腐食領域の持つ色彩情報を利用して、腐食の顕著な箇所の映像を自動検出する。
【0019】
腐食の顕著な腐食箇所は、亜鉛が腐食した白錆、亜鉛−鉄合金層の鉄成分が酸化し変色した赤錆、母材が露出し酸化鉄のみの黒錆があり、後述する色彩情報を利用した画像処理により、白錆・赤錆・黒錆を見つけ出し、これら白錆・赤錆・黒錆が密集している箇所を腐食領域と判定する(図2(a) の左側のA部分)。腐食領域のみを確実に検出するためには、検出された白錆・赤錆・黒錆の周辺状況を利用して腐食領域を決定する。即ち、先ず黒錆に着目し黒錆の画像に対して膨張処理を行って黒錆候補領域を連結し、次に腐食の特徴が最も顕著に現れている白錆と赤錆の境界に着目し白錆の画像と赤錆の画像に対してAND処理を行い、得られたブロックを核とし、この核近傍を探索して周囲に黒錆もしくは赤錆が検出された場合、そのブロックを腐食候補ブロックとする。
【0020】
図2(b) に示すのは、検出された腐食候補ブロックとVTRの経過時間の関係との関係を示すグラフである。腐食の著しい鋼管の場合、腐食は鋼管長手方向に帯状に現れるため、連続して多数のブロックが検出され、そのピーク(図中の○印)における経過時間を把握することで腐食の著しい箇所の特定が可能となる。このピークの画像を静止画として保存する。図2(c) は、その静止画の例を示したものである。
【0021】
なお、以上は検査対象の部材全体にわたってビデオテープに収録する場合を示したが、これに限らず、例えば、取得映像を直接コンピュータ9に出力し、コンピュータ9で腐食箇所を検出・判定し、腐食箇所が検出された画像のみをVTR6に収録してもよい。また、取得映像を直接コンピュータ9に取り込み、現場においてリアルタイムで処理することもできる。
【0022】
次に、前述のようにして得られた静止画に対して画像処理を行い、鋼管内面の劣化度合を定量的に評価するが、その前に画像処理および劣化度合判定の1例について以下に説明する。
【0023】
Figure 0003568871
【0024】
(2) 有彩色としての赤錆領域の抽出
有彩色としての赤錆領域を抽出するために、
明度(輝度):L …(色の明暗の度合)
彩度 :C …(色の鮮やかさの度合)
色相 :H …(赤〜オレンジ〜緑〜青)
を利用する。
【0025】
(3) カラー表現
カメラから出力される信号は通常の伝送系でのアナログ処理により、YuvもしくはRGB信号へ変換される。変換された信号をデジタル化し、直交変換(RGB→Lab、もしくはYuv→RGB→Lab)により、Labカラーに変換する。なお、このLabカラーによる方法の他、Yuv等の色彩情報により直接評価することもできる。ここで、RGB信号は次の(1)・(2)式を用いて図4に示すLabモデルに変換され、さらに(3)・(4)式により彩度Cおよび色相Hが得られる。なお、Yuvの場合は、図5に示すカラーモデルとなる。
【0026】
【数1】
Figure 0003568871
【0027】
(4) 腐食領域の特徴量評価パラメータとしては、それぞれの基準領域からの差分も合わせて、
▲1▼ 明度:L,ΔL=L−L ……(5)
▲2▼ 彩度:C,ΔC=C−C ……(6)
▲3▼ 色相:H,ΔH=H−H ……(7)
の3組6種類を用いる。なお、L ,C ,H は基準値である。
【0028】
(5) 具体的な検出判定手法(例)
図6に示すように、カメラで撮像した原画像のRGBの3つの画像から式(1)〜(4)によって明度L・彩度C・色相Hの画像を得る。このような画像に対して、ノイズの影響を受けにくい腐食領域の判定を行うため、以下の処理を行う。▲1▼ L,a,bの画像をm×nのブロックに分割する(画素単位でもよい)。▲2▼ 各ブロック内の画素の値の最頻値を求めるために、L,a,bそれぞれにおける各ブロック内のヒストグラムを作成し(図7参照)、ヒストグラムの頻度が最大となる値を最頻値L ,a ,b とする。▲3▼ この最頻値L ,a ,b を用いてL,C,Hの腐食判定マップを作成する(図8参照)。この腐食判定マップ(例)では、最頻値の最小値と最大値の間を16等分して濃淡表示している。
【0029】
(6) より正確な腐食領域の検出
▲1▼明度Lによる関心領域の設定(例)
彩度Cの腐食判定マップにおいては、明度Lが小さいにもかかわらず、彩度Cが大きい腐食ではない領域が白ブロックとなってノイズ状に点在することがあるため、次式に示すように明度にしきい値L thを使用して腐食判定のための関心ブロック(x,y) を明度の高いブロックに制限する。
(x,y) :{g(x,y) >L th} (L th=55) ……(8)
▲2▼彩度Cによる腐食判定
腐食領域のブロックは、彩度の低い領域と高い領域が混在していることから、彩度Cのヒストグラムで右側裾野の累積頻度がS%を越える時の彩度Cの値をC pSと定義し、しきい値C thを越えるブロックを腐食領域の候補と判定する。
【0030】
(7) 色相の利用(例)
色相の腐食判定マップを用いて、ブロック毎の色相ヒストグラムを求める(図7参照)。腐食部には、0°〜90°の範囲の色相Hを有する画素が存在するため、0°〜90°の範囲の画素数がしきい値H thを越えるブロックを腐食部とする。ブロック毎の彩度ヒストグラムで各ブロックの彩度判定を行い、この彩度判定で腐食の候補領域とされたブロックに対して前記の色相判定を行う。
【0031】
(8) 評価パラメータによる劣化度評価(例)
図7は、鋼材から切り出した腐食試験片の定性的な検討結果であり、腐食試験片で解析を行った結果、劣化レベルに応じて色の特徴に差がでていることがわかった。図7において、劣化レベルIは、亜鉛層が残存しているため、カラーの原画像では灰色であり、劣化レベルIVは、殆どが赤錆状態で下部が鉄地侵食のため黒錆状態となっている。従って、劣化レベルIVは、劣化レベルIと比較して、彩度Cの大きい画素が増大し、色相Hでは茶色を示す範囲(90 °近傍) の画素が増大し、明度Lは低くなる傾向がある。
【0032】
(9) 劣化度合の判定例
図8は、図7の腐食試験片の劣化レベル判定を行った例であり、劣化レベルI、劣化レベルIVにおける腐食判定マップを示す。この図8において、(イ)は赤錆を対象とする彩度Cの腐食判定マップ、(ロ)は黒錆を対象とする明度Lの腐食判定マップである。ここで、彩度Cの腐食判定マップでは、腐食領域は薄茶〜濃茶色(有彩色)をしているため、明るく表示される。明度Lの腐食判定マップでは、灰色(無彩色) でも茶色(有彩色)でも明るく表示される。
【0033】
図8(a) の劣化レベルIにおいては、全体が亜鉛層の灰色で下端の一部に腐食が認められる程度であるため、(イ)の彩度Cでは全体が黒く、一部の赤錆部分が白く表示され、(ロ)の明度Lでは黒錆がないため全体がほぼ白く表示されている。図8(b) の劣化レベルIVにおいては、全体が赤錆状態で下部が黒錆状態であるため、(イ)の彩度Cでは赤錆部分が白く広範囲に表示され、下部の黒錆部分は黒く表示され、(ロ)の明度Lでは下部の黒錆部分が黒く表示されている。
【0034】
従って、図8の彩度Cと明度Lの腐食判定マップにより、赤錆および黒錆の量・面積率で劣化レベルを判定できる。また、色相の腐食判定マップにおいては、赤錆部分には、0°〜90°の範囲の色相Hを有する画素が存在するため、0°〜90°の範囲の画素数がしきい値H thを越えるブロックを赤錆部分とすることができる。
【0035】
次に、図2で自動検出され保存された腐食の顕著な箇所の静止画に対して前述のような画像処理を行い、鋼管内面の劣化度合を定量的に評価する方法を以下に示す。
【0036】
(1)図3(a) は前記静止画の1つを示したものであり、この静止画においては、内視鏡ホルダー8などにより鋼管Pの奥行き方向の中心点Oと画像の中心が一致しており、この中心点Oを中心とする同心円の評価範囲Wを設定する。
【0037】
(2)図3(b) に示すように、評価範囲Wを中心点Oを中心とする同心円でn分割し、半径r〜rの同心円C〜Cを静止画上に設定する。
【0038】
(3)分割された各リング状ブロック内の画素の色情報を前述のL表色系に変換し、前述の画像処理により得られた明度・彩度・色相に対して各リング状ブロック毎にしきい値処理を実施し、各リング状ブロック毎に管内の表面状態を判定し、赤錆領域および黒錆領域の面積を求める。なお、この時のしきい値THは、後述する補正したしきい値を用いる。
【0039】
(4)上記(3)のしきい値処理結果、即ち各リング状ブロック毎の赤錆領域および黒錆領域の面積に対して、鋼管奥行き方向の面積歪みを補正するための重み係数Kを乗ずる。この補正係数K〜Kには、K=r/r(k=1,2,…,n、rは最外径)を用いる。
【0040】
(5)上記の(4)の面積歪みを考慮した薄錆・赤錆・黒錆の検出結果に基づいて、評価範囲Wの劣化度合を判定する。
【0041】
(6)劣化度合の判定
上記の腐食試験片などの結果から各劣化レベルI〜IVについての劣化度合判定基準(薄錆・赤錆・黒錆の量・面積率)を予め設定しておき、実際の鋼材を撮影した結果から得られた腐食判定マップと、前記しきい値を比較することで劣化度合を判定する。
【0042】
(7)屋外暴露された対象物の評価の場合、屋外の日照条件変動を補正する必要があり、専用のカラーサンプルを同時に撮影することでしきい値の補正を行っているが、鋼管内部腐食の場合には対象物の色彩情報が日照条件変動から受ける影響は少なくなる。しかし、鋼管内部の撮影では、鋼管奥行き方向および鋼管径の変化による照明光のむらが考えられる。このため、図3(c) に示すように、内面にカラーサンプル11(赤・オレンジ・黄・灰色)を貼り付けたキャリブレーション試験体10をm種類用意し、図3(d) に示すように、鋼管奥行き方向の色彩変化補正と鋼管径による色彩変化補正を行う。
【0043】
即ち、m個のキャリブレーション試験体10のカラーサンプル11を実際の撮影と同じ条件で工業用内視鏡1により撮影し、この結果に基づいて、明度・彩度・色相の前記しきい値THを鋼管奥行き方向の位置毎に補正し、また鋼管径毎に補正し、前述の判定を行う。
【0044】
なお、以上は鉄塔の構成部材の内部腐食について説明したが、これに限らず、その他の構造物や輸送管などの内部腐食にも本発明を適用できることはいうまでもない。
【0045】
【発明の効果】
本発明は以上のような構成からなるので、次のような効果を奏する。
(1) 検出した腐食箇所のある画像に対して管の中心点を中心とする同心円の評価範囲を設定し、この評価範囲を管奥行き方向に複数の同心円ブロックに分割し、分割された同心円ブロック毎に、色彩情報から管内の表面状態を求め、この同心円ブロック毎の劣化状態を管奥行き方向の面積歪みで補正して劣化度合を判定するようにしたため、管内面の劣化度合を定量的に正確に評価することができる。
【0046】
(2) カラーサンプルから得られた管奥行き方向の色彩変化を用いて、あるいは管径による色彩変化を用いて、色の特徴量を判定するためのしきい値を補正することにより、管内面の劣化度合をより正確に評価することができる。
【0047】
(3) 色彩情報(明度・彩度・色相など)を利用することにより、腐食箇所を誤検出なく確実に検出し判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の管内面腐食点検における劣化度合評価方法を実施するための装置の例であり、(a) は管内面を撮影する装置の側面図、(b) は画像解析を行う装置を示す正面図である。
【図2】本発明の腐食箇所の顕著な箇所の画像を保存する方法を示したものであり、(a) は取得画像を示す図、(b) は鋼管内位置と腐食候補ブロックの関係を示すグラフ、(c) は保存される静止画を示す図である。
【図3】本発明の保存した静止画に対する画像処理の方法を示したものであり、(a) は静止画に対する評価範囲を示す図、(b) は評価範囲の分割ブロックを示す図、(c) は色彩補正のためのキャリブレーション試験体を示す斜視図、(d) はカラーサンプルを示す図である。
【図4】画像処理に用いるRGBモデルおよびLモデルの説明図である。
【図5】画像処理に用いるYuvモデルの説明図である。
【図6】画像処理の概略手順であり、原画像と各解析画像を示す図である。
【図7】本発明の各劣化レベルにおけるサンプル画像、彩度・色相・明度ヒストグラム(例)を示す図である。
【図8】図7の画像における腐食判定マップ(例)を示す図である。
【符号の説明】
1…工業用内視鏡
2…検出ヘッド
3…伝送ケーブル
4…キセノンランプ光源ユニット
5…映像コントロールユニット
6…VTR(ビデオテープレコーダー)
7…モニター
8…内視鏡ホルダー
9…専用コンピュータ
10…キャリブレーション試験体
11…カラーサンプル
P…亜鉛めっき鋼管
A…腐食箇所

Claims (2)

  1. 照明を備えた撮像手段を管の内部に挿入して管の内面を撮像し、腐食箇所のある静止画に対して管の中心点を中心とする同心円の評価範囲を設定し、この評価範囲を管奥行き方向に複数の同心円ブロックに分割し、分割された同心円ブロック毎に、カラーサンプルから得られた管奥行き方向の色彩変化を用いて、管内の表面状態を判定するためのしきい値を補正すると共に、画像処理により得られた色彩情報に対して前記補正されたしきい値によるしきい値処理を実施して管内の表面状態を求め、この同心円ブロック毎の劣化状態を管奥行き方向の面積歪みで補正して劣化度合を判定することを特徴とする管内面腐食点検における劣化度合評価方法。
  2. 管径による色彩変化を用いて、管内の表面状態を判定するためのしきい値を補正することを特徴とする請求項1に記載の管内面腐食点検における劣化度合評価方法。
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