JP6609388B1 - ゴム材料の劣化状態の診断装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ゴム材料の劣化状態を精度よく客観的に診断することができる診断装置を提供する。【解決手段】診断装置1は、ゴム材料を顕微鏡により撮像した対象画像を取得するデータ取得部14Aと、対象画像を異常検知モデルに入力したときの異常検知モデルからの出力に基づいて、ゴム材料の劣化状態を診断する診断部14Bとを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、ゴム材料の劣化状態の診断装置、プログラム及び方法に関する。
ゴム材料で構成されるタイヤの劣化状態は、例えば、タイヤの表面に生じるクラックを観察することにより検査することができる。特許文献1は、タイヤの表面の画像を撮影し、当該画像を画像処理することで、クラックを精度よく観察できるようにしている。
特開2017−166942号公報
タイヤの劣化は、1つには、タイヤを構成するゴム材料の劣化によって生じる。ゴム材料の劣化は、外力や熱、摩擦の作用等によるゴム材料の構造変化により生じ得る。このようなミクロな世界の変化は、タイヤのクラックのように肉眼で観察することはできず、たとえ顕微鏡画像からであっても、人が目で見て精度よく客観的に捉えることは難しい。しかし、ミクロな世界でのゴム材料の変質を正確に捉えることができれば、そのような技術は、タイヤに限らず、耐久性の高いゴム材料の開発等、様々な目的に活用することができる。
本発明は、ゴム材料の劣化状態を精度よく客観的に診断することができる診断装置、プログラム及び方法を提供することを目的とする。
第1観点に係るゴム材料の劣化状態の診断装置は、前記ゴム材料を顕微鏡により撮像した対象画像を取得するデータ取得部と、前記対象画像を異常検知モデルに入力したときの前記異常検知モデルからの出力に基づいて、前記ゴム材料の劣化状態を診断する診断部とを備える。
第2観点に係る診断装置は、第1観点に係る診断装置であって、前記対象画像を多数のパッチ画像に分割し、前記多数のパッチ画像を前記異常検知モデルに入力したときの前記出力に基づいて、前記多数のパッチ画像に含まれる異常データを検知し、前記異常データとして検知されたパッチ画像に対応する領域を前記ゴム材料に劣化が生じている劣化領域と判断する。
第3観点に係る診断装置は、第2観点に係る診断装置であって、前記診断部は、前記ゴム材料における前記劣化領域の位置を示すマッピング画像を生成する。
第4観点に係る診断装置は、第2観点又は第3観点に係る診断装置であって、前記診断部は、前記パッチ画像毎に前記出力として異常度を取得し、前記異常度に応じて前記異常データを検知する。
第5観点に係る診断装置は、第1観点から第4観点のいずれかに係る診断装置であって、前記対象画像は、前記ゴム材料の表面部近傍の断面の画像である。
第6観点に係る診断装置は、第1観点から第5観点のいずれかに係る診断装置であって、前記異常検知モデルは、劣化していないゴム材料を顕微鏡により撮像した画像のみを学習画像として生成されたモデルである。
第7観点に係るゴム材料の劣化状態の診断プログラムは、以下のことをコンピュータに実行させる。
(1)前記ゴム材料を顕微鏡により撮像した対象画像を取得すること
(2)前記対象画像を異常検知モデルに入力したときの前記異常検知モデルからの出力に基づいて、前記ゴム材料の劣化状態を診断すること
第8観点に係るゴム材料の劣化状態の診断方法は、異常検知モデルを記憶したコンピュータを用いて実施され、以下のことを含む。
(1)前記コンピュータが、前記ゴム材料を顕微鏡により撮像した対象画像を取得すること
(2)前記コンピュータが、前記対象画像を前記異常検知モデルに入力したときの前記異常検知モデルからの出力に基づいて、前記ゴム材料の劣化状態を診断すること
以上の観点によれば、ゴム材料を顕微鏡により撮像した対象画像を、異常検知モデルに入力したときの同モデルからの出力に基づいて、ゴム材料の劣化状態が診断される。よって、ゴム材料の劣化状態を精度よく客観的に診断することができる。
本発明の一実施形態に係るゴム材料の劣化状態の診断装置の構成を表す機能ブロック図。 正常なタイヤの断面の顕微鏡画像の例。 劣化タイヤの表面部近傍の断面の顕微鏡画像の例。 診断処理の流れを示すフローチャート。 異常検知モデル(DAGMM)の概略図。 図3の顕微鏡画像に対応する劣化領域を示すマッピング画像の例。 マッピング画像の別の例。 実施例の説明のために定義される正常領域及び異常領域を説明する図。 実施例に係る正常領域に属するテスト画像の異常度の分布を示すヒストグラム。 実施例に係る異常領域に属するテスト画像の異常度の分布を示すヒストグラム。 実施例に係る異常度が高いテスト画像の例。 実施例に係る異常度が中程度のテスト画像の例。 実施例に係る異常度が低いテスト画像の例。
以下、本発明の一実施形態に係るゴム材料の劣化状態の診断装置、プログラム及び方法について説明する。
<1.診断装置の概要>
図1に、本発明の一実施形態に係るゴム材料の劣化状態の診断装置1の構成を表す機能ブロック図を示す。本実施形態に係る診断装置1は、タイヤの断面を撮像した画像から、タイヤの劣化状態を診断する装置である。ここでの診断の対象となる画像(以下、対象画像ということがある)は、顕微鏡により撮像された画像である。このような対象画像には、タイヤを構成するゴム材料の構造に関する特徴が写し出される。
ゴム材料は、弾性を有する高分子化合物であり、典型的には、複数の配合物が共に混練されることにより生成される。配合物の種類としては、例えばモノマー(ブタジエン、スチレン等)、フィラー(シリカ、カーボン等)及び架橋剤等が挙げられる。図2は、電子顕微鏡によりゴム材料からなるタイヤの断面を撮像した画像である。図2の画像では、グレースケールで表された明暗(濃淡)により特定の配合物を判別することができる。例えば、カーボンの凝集体が相対的に暗いエリアとして画像に現れる一方、シリカの凝集体が相対的に明るいエリアとして現れる。よって、対象画像には、フィラーの分散状態の情報、より具体的には、フィラー凝集体のサイズや、フィラー凝集体間の距離、フィラーのポリマー相に対する分配率等の情報が含まれる。
タイヤを構成するゴム材料の構造は、走行によるタイヤの劣化により変化する。診断装置1は、対象画像からタイヤを構成するゴム材料の構造の変化、特にフィラーの分散状態の変化を捉え、これに基づきタイヤの劣化状態を診断する。ここでの診断には、異常検知の手法が利用される。異常検知では、与えられたデータが正常であるという仮定の下、学習が行われ、学習済みのデータとの比較に基づき、新たなデータの異常度が算出される。
タイヤにおいて地面に接する走行面近傍の表面部と、これよりもタイヤの回転軸に近い内部とでは、前者の方が劣化が顕著である。表面部の方が、外力や熱、摩擦等の作用の影響を受けやすいからである。図3は、走行を繰り返した劣化タイヤの表面部近傍の断面を、電子顕微鏡により撮像した画像である。一方、図2は、劣化していない正常なタイヤの断面の画像である。図2及び図3を比較すると分かる通り、劣化タイヤの表面部においては、劣化(正常時からの変化)が観察されるが、内部においては劣化(正常時からの変化)が観察されない。しかし、劣化タイヤの表面部における劣化領域と非劣化領域との境界は漠然としており、人が目で見て客観的に両者の境界を区別することは難しい。よって、どこが劣化領域であるかを明確に指定することができないため、劣化タイヤの画像を用意することが難しい。これに対し、正常なタイヤの画像は比較的用意し易い。劣化タイヤであっても、内部は概ね劣化していないし、新品タイヤであれば、劣化していないと言えるからである。よって、ここでは、正常なタイヤの画像で学習を行う異常検知の手法が利用される。
診断装置1の診断結果は、タイヤの劣化状態を把握することが望まれる様々な場面で利用することができる。本方法によれば、タイヤの劣化部分を精度よく客観的に特定することができるため、劣化部分のデータを正常部分のデータから区別して収集することが可能になる。よって、ゴム材料の劣化の特性を効率的に研究することが可能になり、例えば、耐久性の高いゴム材料の開発を助けることができる。以下、診断装置1のハードウェア構成について説明した後、診断装置1による診断処理の流れについて説明する。
<2.診断装置のハードウェア構成>
診断装置1は、ハードウェアとしては汎用的なコンピュータであり、このようなコンピュータに所定のプログラム1Aをインストールすることにより構成される。プログラム1Aは、診断装置1に後述する処理を実行させるプログラムであり、例えば、LANやインターネット等の通信ネットワーク8を介して別の装置から、又はCD−ROM、USBメモリ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体10から取得される。
図1に示すように、診断装置1は、表示部11、入力部12、記憶部13、制御部14及び通信部15を備える。これらの部11〜15は、互いにバス線16を介して接続されており、相互に通信可能である。本実施形態では、表示部11は、液晶ディスプレイ等で構成されており、各種情報をユーザーに対し表示する。また、入力部12は、マウスやキーボード、タッチパネル、操作ボタン等で構成されており、診断装置1に対するユーザーからの操作を受け付ける。
記憶部13は、ハードディスクやフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶装置から構成されており、プログラム1Aが格納されている。記憶部13には、学習済みの異常検知モデル20が記憶される。制御部14は、プロセッサ(CPU)、ROMおよびRAM等から構成される。制御部14は、記憶部13内のプログラム1Aを読み出して実行することにより、データ取得部14A、診断部14B、結果出力部14C及び学習部14Dとして動作する。各部14A〜14Dの動作の詳細は、後述する。通信部15は、診断装置1を通信ネットワーク8や顕微鏡等の外部機器に接続する通信インターフェースとして機能する。
なお、本実施形態では、異常検知モデル20は、診断装置1に組み込まれている学習部14Dにより生成される。しかし、異常検知モデル20を学習する学習機能は、異常検知モデル20に基づいてタイヤの劣化状態を診断する診断機能から独立していてもよい。言い換えると、診断装置1には診断機能のみを実装し、別のコンピュータで学習した異常検知モデル20を記憶部13に取り込むようにしてもよい。
<3.診断処理の流れ>
次に、図4を参照しつつ、診断装置1による診断処理の流れについて説明する。診断処理は、学習済みの異常検知モデル20を用いて実行される。
まず、診断の対象となるタイヤを切断し、タイヤの表面部近傍の断面を顕微鏡で撮像することにより、対象画像を取得する。ここで使用される顕微鏡は、走査型電子顕微鏡とすることができるが、これに限定されず、その他の電子顕微鏡であってもよいし、光学顕微鏡であってもよい。対象画像の分解能(1画素当たりの撮像される対象物の長さ)は、好ましくは1〜35nm/pixelである。また、撮像時の拡大倍率は、好ましくは2500〜40000倍である。診断装置1のデータ取得部14Aは、通信部15を介して以上のような対象画像を取得し、記憶部13内に格納する(ステップS1)。
続くステップS2では、診断部14Bは、対象画像を多数のパッチ画像に分割する。このとき、パッチ画像どうしが重ならないように分割してもよいし、パッチ画像どうしの重なりを許して分割してもよい。
続いて、診断部14Bは、ステップS2で取得された多数のパッチ画像に対し、順次、ステップS3及びS4を実行する。ステップS3では、診断部14Bは、パッチ画像を異常検知モデル20に入力し、その出力として異常検知モデル20から異常度を取得する。
診断処理には、様々な異常検知モデルを採用することができるが、本実施形態の異常検知モデル20としては、好ましい例として、DAGMM(Deep Autoencoding Gaussian Mixture Model)が採用される。図5は、DAGMMの概略図である。DAGMMは、圧縮ネットワーク(Compression Network)及びクラス推定ネットワーク(Estimation Network)の2つのネットワークを含む。クラス推定ネットワークは、多層ニューラルネットワーク及び混合ガウスモデル(Gaussian Mixture Model)の2つの部分を含む。圧縮ネットワークは、次元削減に使用される。混合ガウスモデルは、ガウス分布の線形重ね合わせで表現されるモデルであり、クラス推定ネットワークは、密度推定に使用される。一般に、ここで対象とされるパッチ画像のような多次元データの異常検知では、まず次元削減が行われ、続いて密度推定が行われる。このとき、次元削減と密度推定とが独立に行われると、局所最適解に陥ることや、モデルの表現力が乏しくなる等の課題がある。この点、図5に示すように、DAGMMでは、圧縮ネットワークにおいて自己符号化器(Autoencoder)により次元削減が行われるが、このときの低次元表現zcと、入力サンプルxとzcをデコードした再構築サンプルx'との再構築誤差zrとが同時にクラス推定ネットワークに入力される。これにより、圧縮ネットワーク及びクラス推定ネットワークが別々に学習されるのではなく、両ネットワークのパラメータが同時に最適化されるため、上述した課題が解消される。
図5を参照しつつ、DAGMMについてより具体的に説明する。DAGMMでは、下式の通り、入力サンプルxからxを次元削減した低次元表現zcが算出され、さらに低次元表現zcからxと同じ次元数の再構築サンプルx'が算出される。h(・)及びg(・)は、それぞれエンコーダ及びデコーダを表し、θe及びθdは、それぞれに従属するパラメータである。
さらに、x及びx'から再構築誤差ベクトルzrが算出され、zrに基づき、下式に定義される低次元表現ベクトルzが算出される。
次に、zがクラス推定ネットワークへ入力されることにより、下式の通り、混合ガウスモデルを構成する各分布への帰属確率γ=[γ12,・・・,γKT(Kは、混合ガウスモデルを構成する分布の数)が算出される。MLN(・)及びθmは、多層ニューラルネットワークの関数及びパラメータである。
混合ガウスモデルに属するクラスk(1≦k≦K)への帰属確率γkから、混合比φk(式中ではハット付きで示す)、平均ベクトルμk(式中ではハット付きで示す)及び共分散行列Σk(式中ではハット付きで示す)が算出され、推定密度からあるサンプルに対する確率密度が算出され、下式に定義されるエネルギーE(z)が算出される。このエネルギーE(z)が、入力サンプルの異常度である。
続くステップS4では、診断部14Bは、ステップS3でエネルギーE(z)として算出された異常度を所定の閾値と比較する。診断部14Bは、異常度が閾値以上であれば、異常検知モデル20に入力サンプルxとして入力されたパッチ画像を、タイヤに劣化が生じている劣化領域に対応する異常データと判断する。一方、診断部14Bは、異常度が閾値よりも小さければ、同パッチ画像を、タイヤに劣化が生じていない非劣化領域に対応する正常データと判断する。
以上のステップS3及びS4の繰り返しにより、対象画像に含まれるパッチ画像毎に異常度が取得され、異常度に応じて異常データであるか否かが判断される。言い換えると、多数のパッチ画像を異常検知モデル20に入力したときの出力であるそれぞれの異常度に基づいて、これらのパッチ画像に含まれる異常データが検知される。異常データとして検知されたパッチ画像に対応する領域は、タイヤの劣化領域と判断され、反対に正常データと判断されたパッチ画像に対応する領域は、タイヤの非劣化領域と判断される。すなわち、診断部14Bは、対象画像を異常検知モデル20に入力したときの出力である異常度に基づいて、タイヤの劣化状態を診断する。
以上の通り、全てのパッチ画像に対するステップS3及びS4が終了すると、対象画像を構成する微小領域毎に、当該領域が劣化領域であるか非劣化領域であるかが特定される。言い換えると、対象画像上でどの部位が劣化しており、どの部位が劣化していないかが特定される。
続くステップS5では、結果出力部14Cは、ステップS4までの診断結果に基づき、対象画像に写るタイヤの断面における劣化領域の位置を示すマッピング画像を生成する。すなわち、対象画像に対応する領域内で、劣化領域と非劣化領域とを区別して表現したマッピング画像を生成する。図6に、マッピング画像の一例を示す。図6のマッピング画像は、図3のタイヤの断面の顕微鏡画像から、上記に説明した方法で算出された異常度に基づいて実際に作成したマッピング画像である。このマッピング画像では、白色の領域は劣化領域に対応しており、黒色の領域は非劣化領域に対応している。なお、中間色のグレーの領域は、異常度が白色の領域よりも小さいが、黒色の領域よりも大きかった領域である。以上のステップS4の説明では、各パッチ領域を異常度に応じて劣化領域又は非劣化領域の2つに分類したが、このように劣化領域を劣化の度合いに応じて多段階に区別することもできる(すなわち、劣化の度合いを3段階以上に区別することができる)。
図7に、マッピング画像の別の例を示す。図7の例では、図6の例と異なり、元になる対象画像を視認可能な態様で、対象画像上に重ねて劣化領域と非劣化領域とが示される。この例では、対象画像上においてより濃い色が重ねられている領域がより劣化が進んでいる領域に対応し、より薄い色が重ねられている領域がより劣化の少ない領域に対応する。
結果出力部14Cは、マッピング画像を表示部11上に出力する。これを見たユーザーは、対象画像に対応する領域内でタイヤのどこが劣化しており、どこが劣化していないか、或いは、どこの劣化がより大きいかを把握することができる。以上により、診断処理は終了する。
次に、以上の異常検知モデル20の学習処理について説明する。既に述べた通り、異常検知モデル20は、正常なタイヤのデータのみを学習画像として生成される。このような正常なタイヤのデータとしては、劣化していない正常なタイヤ、例えば新品タイヤの断面を顕微鏡により撮像した画像を使用することができる。これに代えて又は加えて、タイヤの劣化していない部位の断面を顕微鏡により撮像した画像を使用することができる。タイヤの劣化していない部位とは、中古タイヤにおいて表面部よりもタイヤの回転軸に近い内部の部位である。どの程度、表面部から離れた部位を劣化していない部位として設定するかは、中古タイヤの状況をその断面の画像を見ながら適宜判断することができる。
学習部14Dは、学習画像を異常検知モデル20に入力することにより、異常検知モデル20のパラメータ、具体的には、上述したパラメータθe、θd及びθmを学習する。DAGMMでは、学習時にN個のサンプルが与えられたとき、以上の2つのネットワークのパラメータの最適化を行う。このとき、下式のとおりに目的関数が定義される。
ただし、L(xi,x'i)は、再構築誤差であり、低次元表現が重要な情報を含む場合は、デコードされた再構築サンプルとの誤差が小さくなることを期待した項である。E(zi)は、入力サンプルに対し算出される異常度を表す項である。P(Σ)(式中ではΣにハット付きで示す)は、混合ガウスモデルに対する正規化項である。λ1及びλ2は、各項の重みを決めるパラメータである。
<4.特徴>
以上の診断処理によれば、異常検知モデル20に基づき、ゴム材料の劣化状態を異常度として定量的に評価することができ、ゴム材料の劣化状態を精度よく客観的に診断することができる。よって、例えば、ゴム材料の開発の場面において、人の主観的な診断に頼ることなく、客観的な診断が可能になり、開発の効率化が期待される。
<5.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。以下に示す変形例の要旨は、適宜組合せることができる。
<5−1>
上記実施形態では、診断処理の対象画像として、タイヤの表面部近傍の画像が使用されたが、これよりも内部の画像を対象画像として、同様の診断処理を行ってもよい。すなわち、劣化状態を知りたいタイヤのあらゆる部位に対し、以上の診断処理を適用することができる。
<5−2>
上記実施形態では、タイヤを構成するゴム材料の劣化状態が診断されたが、同様の診断処理は、タイヤに限らず、例えばスポーツ用品や免震ゴム等のゴム材料の劣化状態の診断にも適用することができる。
以下に、本発明の実施例を説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されない。
まず、以下の手順で学習画像を用意した。電子顕微鏡により10000倍の拡大倍率で、中古タイヤの表面部近傍の断面を撮像した画像を120枚用意した。これらの120枚の画像に対し、図8に示すように走行面からより遠い下から25%の領域を正常領域と定義し、走行面により近い上から75%の領域を異常領域と定義した。さらに、120枚の画像の正常領域を、スライド幅を50ピクセルとして128ピクセル×128ピクセルのパッチ画像に分割し、これにより学習画像として17400枚のパッチ画像を得た。そして、これらの学習画像に基づき、上記実施形態と同じ手順で学習を行って、異常検知モデル(DAGMM)を作成した。
次に、以下の手順で対象画像を用意した。学習画像の場合と同様に、電子顕微鏡により10000倍の拡大倍率で、中古タイヤの表面部近傍の断面を撮像した画像を43枚用意した。これらの43枚の画像において、学習画像の場合と同様に、正常領域及び異常領域を定義した。さらに、43枚の画像を、128ピクセル×128ピクセルのパッチ画像に重複なく分割した。これにより、テスト画像として、正常領域に属する1056枚のパッチ画像と、異常領域に属する3168枚のパッチ画像とを得た。
上記実施形態と同じ手順で、以上の各テスト画像に対し、学習された異常検知モデルを用いて異常度を算出した。そして、正常領域に属するテスト画像と、異常領域に属するテスト画像との異常度を比較した。その結果を、図9A及び図9Bに示す。図9Aは、正常領域に属するテスト画像の異常度の分布を示すヒストグラムであり、図9Bは、異常領域に属するテスト画像の異常度の分布を示すヒストグラムである。ただし、縦軸は、正規化されている。図9A及び図9Bからは、正常領域に属するテスト画像の殆どが、異常度が−10より小さいのに対し、異常領域に属するテスト画像の20%以上が、異常度が−10以上と大きいことが確認された。また、両領域に属するテスト画像に対し、Welchのt検定を実施したところ、有意水準1%で、「異常領域と正常領域との間で異常度に差は存在しない」という帰無仮説が棄却された。
図10A〜図10Cは、異常領域に属するテスト画像の中からサンプリングされたテスト画像を、異常度のレベル別に示している。これらの図によると、異常度が低いテスト画像は、図2で示した正常なタイヤの画像に類似していることが確認され、異常度が高いテスト画像は、異常度が低いテスト画像に比べて正常なタイヤの画像に類似していないことが確認された。
また、マッピング画像の例として挙げた図7は、本実施例において用意された対象画像に対し作成されたマッピング画像である。ここでは、異常度を3段階に分類し、異常度がより高いと判断された領域に、より濃い色を重ねた。図7からは、タイヤの表面部に近いテスト画像の多くが、異常度が高いことが確認された。
以上の結果からは、異常が発生し易いタイヤの表面部に近い領域での方が、異常度が高く検出される傾向にあることが確認された。よって、本実施例に係る診断方法を、タイヤの劣化領域及び非劣化領域の判断に使用することの優位性が確認された。
1 診断装置
1A プログラム
14 制御部
14A データ取得部
14B 診断部
14C 結果出力部
20 異常検知モデル

Claims (5)

  1. 異常検知モデルを記憶したコンピュータを用いて、ゴム材料の劣化状態を診断する診断方法であって、
    前記コンピュータが、前記ゴム材料の表面部近傍の断面を顕微鏡により2500倍以上の倍率で撮像した対象画像を取得することと、
    前記コンピュータが、前記対象画像を前記異常検知モデルに入力したときの前記異常検知モデルからの出力に基づいて、前記ゴム材料の劣化状態を診断すること
    を備える、診断方法
  2. 前記診断することは、
    前記対象画像を多数のパッチ画像に分割し、前記多数のパッチ画像を前記異常検知モデルに入力したときの前記出力に基づいて、前記多数のパッチ画像に含まれる異常データを検知し、前記異常データとして検知されたパッチ画像に対応する領域を前記ゴム材料に劣化が生じている劣化領域と判断することを含む
    請求項1に記載の診断方法
  3. 前記診断することは、前記ゴム材料における前記劣化領域の位置を示すマッピング画像を生成することを含む
    請求項2に記載の診断方法
  4. 前記診断することは、前記パッチ画像毎に前記出力として異常度を取得し、前記異常度に応じて前記異常データを検知することを含む
    請求項2又は3に記載の診断方法
  5. 前記異常検知モデルは、劣化していないゴム材料を顕微鏡により撮像した画像のみを学習画像として生成されたモデルである、
    請求項1からのいずれかに記載の診断方法

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