JP3325721B2 - 半導体エピタキシャル成長方法 - Google Patents

半導体エピタキシャル成長方法

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JP3325721B2 JP23127794A JP23127794A JP3325721B2 JP 3325721 B2 JP3325721 B2 JP 3325721B2 JP 23127794 A JP23127794 A JP 23127794A JP 23127794 A JP23127794 A JP 23127794A JP 3325721 B2 JP3325721 B2 JP 3325721B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、GaAs基板上への
ZnSe系多元混晶層の半導体エピタキシャル成長方法
に関するもので、特に半導体レーザを作製する分子線エ
ピタキシャル成長に適している。
【0002】
【従来の技術】従来の技術を半導体レーザの作製のため
に、GaAs基板上にZnSSe/ZnCdSeを分子
線エピタキシャル(MBE)成長する場合を例にとって
説明する。この系の分子線エピタキシャル成長では、II
−VI族とIII −V族は互いの不純物となるために、図7
に示すように、GaAs系成長室1とZnSe系成長室
2と各成長室1,2の相互間でGaAs基板3を真空状
態で搬送するための超高真空搬送室4とを真空状態で結
合した装置を用いる。
【0003】はじめに、図7に示すように、GaAs系
成長室(MBE装置)1にn型GaAs基板3を設置し
て、n型GaAs基板3の表面の酸化膜を590℃でA
s分子線を照射しながら除去する。その上に、Siを添
加したn型GaAs層を300nm程度成長する。その
後、高真空で結合されたZnSe系成長室(MBE装
置)2にn型GaAs基板3を搬送する。
【0004】その後、図8に示すように、基板温度を2
80℃にして、まず塩素を添加したZnSe層7を20
nm成長する。塩素はKセルの温度130℃程度にした
ZnClを用いて分子線として供給する。また、このと
きのZnとSeの分子線強度比(VI/II比)は、1以上
とする。その値は、約1.5から2程度が最適である。
【0005】さらに、同じくn型GaAs基板3に格子
整合する組成の塩素を添加したZnMgSSe層8を上
記と同程度のZnとSeの分子線強度比(VI/II比)で
成長する。上記ZnMgSSe層8上に無添加で格子整
合するZnSSe層9を光閉じ込め層として80nm程
度成長する。
【0006】つぎに、活性層に相当するZnCdSe層
10を60nm程度成長する。その上に、無添加の光閉
じ込め層のZnSSe層11を80nmを成長し、さら
にp型クラッド層の活性窒素添加のZnMgSSe層1
2を成長する。そして、最上部のp型コンタクト層とし
ては、活性窒素を添加したZnSe/ZnTe超格子層
13を作製する。
【0007】以上の分子線エピタキシャル成長工程によ
り半導体レーザ構造が作製される。このような半導体レ
ーザ構造では、活性層が量子細線構造を有することが望
まれる。活性層に量子細線構造を作製するには、例え
ば、活性層成長中にエッチングによる微細加工を導入す
ることが考えられる。そのためには、成長の中断が必要
であり、さらにはその後の埋め込み再成長が必要とな
る。しかし、このような方法では、微細加工時の制御
性、加工ダメージ、周期的構造の作製、成長中断による
界面欠陥の導入等の問題があるため、量子細線構造の作
製例はいまだない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、分子
線エピタキシャル成長層上に量子細線構造を作製する場
合には、成長層のエッチングによる微細加工により細線
構造を作製して、その後再度成長を行わなくてはならな
い。しかしながら、ZnSe系の多元混晶における量子
細線構造は、量子細線の密度や微細加工時のダメージ、
再成長界面の劣化等を伴い、特性の良好な量子細線構造
を得ることができなかった。
【0009】したがって、この発明の目的は、分子線エ
ピタキシャル成長を中断することなく1回の分子線エピ
タキシャル成長で量子細線構造を作製することができ、
特性の良好な量子細線構造を得ることができる半導体エ
ピタキシャル成長方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明の半導体エピタ
キシャル成長方法は、ZnSe系の多元混晶を分子線エ
ピタキシャル成長する半導体エピタキシャル成長方法に
おいて、供給する分子線強度比(VI/II比)を制御する
ことにより成長機構を制御して一度の連続した分子線エ
ピタキシャル成長により量子細線構造を作製することを
特徴とする。
【0011】つまり、最初に、GaAs基板上方にSe
安定化面を有する層を形成し、つぎにII族とVI族の分子
線強度比(VI/II比)が1以下となる条件でII族とVI族
の分子線を供給することによりSe安定化面を有する層
の上にZnSeを含む第1の多元混晶層を3次元的に成
長させ、第1の多元混晶層の表面に[110]方向に平
行な周期的構造を形成し、その後で、周期的構造を有す
る第1の多元混晶層上に第1の多元混晶層より大きなバ
ンドギャップを有する第2の多元混晶層を、II族とVI族
の分子線強度比(VI/II比)が1以上となる条件でII族
とVI族の分子線を供給することにより3次元的成長を抑
制して2次元的に成長させ、周期的構造を埋め込んで成
長表面を平坦化し量子細線構造を作製する。
【0012】
【作用】この発明によれば、II族とVI族の分子線強度比
(VI/II比)が1以下となる条件で分子線エピタキシャ
ル成長を行うと、[110]方位に平行で、[311]
A面が成長面として周期的構造を有する3次元的成長
(縞状の成長)となり、細線構造が形成される。その上
に、II族とVI族の分子線強度比が1以上となる条件で分
子線エピタキシャル成長を行うと、縞状を抑制して2次
元的成長となり前記周期的構造を埋め込んで成長表面を
平坦化し量子細線構造が実現できる。
【0013】
【実施例】この発明の実施例を、活性層が量子細線で形
成された半導体レーザ構造の作製工程に従って説明す
る。n型GaAs基板3上の酸化膜を除去しn型GaA
s層を成長してZnSe系成長室に搬送し、塩素添加の
ZnSe層7、ZnMgSSe層8、ZnSSe層9を
成長するところまでは、図1(a)にも示したが従来の
技術に示した通りである。ここまでの成長では、前述の
ようにVI/II比が1.5から2程度ということでSeの
供給が若干多めになっている。
【0014】この条件下での成長では、RHEED(反
射高速電子線回折)のパターンを図2(a),(b)に
示すが、[110]、[−110]の両方の方位からの
観測でもストリーク状になっており、平坦な成長表面が
得られていることが分かる。また、[110]方位から
のパターンでは2倍構造が観測され、成長中の表面はS
e安定化面となっておりSeダイマによる(2×1)の
周期的構造を有していることが分かる。なお、「ストリ
ーク状」とは、線状の輝線によるパターンで、成長層が
原子層オーダーで平坦なことを示す。
【0015】つぎに、図1(b)に示すように、活性層
に相当するZnCdSe層(第1の多元混晶層)14を
60nm程度成長する。このときのVI/II比はZnの供
給量を増やし、1以下としてII族の分子線供給が多い状
態で成長を行う。VI/II比の変更については、Znのセ
ルを2本用意して切り替えることにより容易に連続成長
が可能である。II族の供給過多での成長では、II族元素
が基板表面での拡散が十分でないため、島状成長になり
やすい。さらに、その拡散の面方位依存性により、結果
的に縞状成長となっている。
【0016】ZnCdSe層14の成長後のRHEED
のパターンを図3(a),(b)に示した。成長表面に
高指数の面([311]A面)による周期的構造がある
ためにV字型のパターンが観測されている。図4(a)
に示すように、直下のZnSSe層9まではSe安定化
面であり、Seダイマ15は[−110]方位に平行で
あり(2×1)の周期的構造を有している。一方、Zn
ダイマ16は[110]方位に平行であり、ZnCdS
e層14はZn供給過多でZn安定化面が成長面となっ
ている。面内での成長速度の異方性はダイマの方向に依
存している。すなわち、ダイマ方向に成長しやすいの
で、図4(b)に示したようにZnCdSe層14は
[110]方向に成長が早くなり周期的構造を有するよ
うになる。特に、その成長表面の面方位はZn面が先行
し、図5(a),(b)に示すように[311]A面に
よる周期的構造が形成されている。なお、図5(a)は
細線構造を示す概略図で、同図(b)は同図(a)の一
部を拡大した概略図である。
【0017】その上に、ZnCdSe層14より大きな
バンドギャップを有する無添加の光閉じ込め層のZnS
Se層11を80nm成長する。このときのVI/II比は
1.5から2程度で、Se供給が若干多めになってい
る。この条件下での成長ではRHEEDのパターンは再
びストリーク状になっており、平坦な成長表面が得られ
ていることが分かる。すなわち、細線構造はこの時点で
埋め込まれている。
【0018】さらに、p型クラッド層の活性窒素添加の
ZnMgSSe層12、p型コンタクト層である活性窒
素を添加したZnSe/ZnTe超格子層13を作製す
る。以上の分子線エピタキシャル成長工程により活性層
が量子細線で形成された半導体レーザ構造が作製形成さ
れる。さらに、図6(a)に示すように、電極17を部
分的に形成することにより利得導波型のレーザが形成さ
れ、図6(b)に示すように、ZnMgSSe層12を
ZnMgSSe層18で埋め込み、その上にZnSe/
ZnTe超格子層13および電極17を形成することに
より屈折率導波型レーザが作製できる。これらのレーザ
は量子細線による活性層を有し、利得効率の高い特性が
実現できる。
【0019】
【発明の効果】この発明の半導体エピタキシャル成長方
法によれば、量子細線構造を形成する工程において、II
族とVI族の分子線強度比(VI/II比)が1以下となる条
件で分子線エピタキシャル成長を行うと、[110]方
位に平行な周期的構造を有する3次元的成長となり、細
線構造が形成される。その上にII族とVI族の分子線強度
比(VI/II比)が1以上となる条件で分子線エピタキシ
ャル成長を行うと、縞状を抑制して2次元的成長となり
前記周期的構造を埋め込んで成長表面を平坦化し量子細
線構造が実現できる。この結果、分子線エピタキシャル
成長を中断することなく1回の分子線エピタキシャル成
長で量子細線構造を作製することができ、特性の良好な
量子細線構造を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例の半導体エピタキシャル成
長方法による半導体レーザ構造の作製工程の一部を示す
概略図である。
【図2】この発明の一実施例の半導体エピタキシャル成
長方法による成長時のSe安定化面でのRHEEDパタ
ーンを示す概略図である。
【図3】この発明の一実施例の半導体エピタキシャル成
長方法による成長時のZn安定化面でのRHEEDパタ
ーンを示す概略図である。
【図4】この発明の一実施例の半導体エピタキシャル成
長方法による成長表面の構造を示す概略図である。
【図5】この発明の一実施例の半導体エピタキシャル成
長方法による細線構造を示す概略図である。
【図6】この発明の一実施例の半導体エピタキシャル成
長方法を利用して作製した量子細線構造を有する半導体
レーザの概略図である。
【図7】従来例およびこの発明の実施例で使用する分子
線エピタキシャル成長装置の概略図である。
【図8】従来の半導体レーザの分子線エピタキシャル成
長構造を示す概略図である。
【符号の説明】
3 n型GaAs基板 7 ZnSe層 8 ZnMgSSe層 9 ZnSSe層 10 ZnCdSe層 11 ZnSSe層(第2の多元混晶層) 12 ZnMgSSe層 13 ZnSe/ZnTe超格子層 14 ZnCdSe層(第1の多元混晶層) 15 Seダイマ 16 Znダイマ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−245446(JP,A) 特開 平7−29824(JP,A) 特開 平2−258688(JP,A) 特開 昭64−51394(JP,A) 特開 昭63−319296(JP,A) 特開 昭63−288999(JP,A) Kazunori MAEDA,Ic hiro TAKAYASU,Tets uo MINATO,Mitsuo K AWASHIMA,RHEED Obs ervation on(001)ZnS e Surface:MBE Surf ace Phase Diagram and Kinetic Behavi or of Zn AND Se,Ja panese Journal of Applied Physics,1987 年 8月,Vol.26,No.8,p p.L1326−L1329,Adatoms (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/20 H01L 21/203 H01L 29/06 H01L 33/00 H01S 5/34 - 5/347 Web of Science

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 GaAs基板上にZnSeを含む多元混
    晶層を分子線エピタキシャル成長する半導体エピタキシ
    ャル成長方法であって、前記GaAs基板上方にSe安定化面を有する層を形成
    する工程と、 II族とVI族の分子線強度比(VI/II比)が1以下となる
    条件でII族とVI族の分子線を供給することにより、前記
    Se安定化面を有する層の上にZnSeを含む第1の多
    元混晶層を3次元的に成長させ、前記第1の多元混晶層
    の表面に[110]方向に平行な周期的構造を形成する
    工程と、 前記周期的構造を有する前記第1の多元混晶層上に前記
    第1の多元混晶層より大きなバンドギャップを有する第
    2の多元混晶層を、II族とVI族の分子線強度比(VI/II
    比)が1以上となる条件でII族とVI族の分子線を供給す
    ることにより3次元的成長を抑制して2次元的に成長さ
    せ、前記周期的構造を埋め込んで成長表面を平坦化し量
    子細線構造を作製する工程とを含むことを特徴とする半
    導体エピタキシャル成長方法。
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Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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Kazunori MAEDA,Ichiro TAKAYASU,Tetsuo MINATO,Mitsuo KAWASHIMA,RHEED Observation on(001)ZnSe Surface:MBE Surface Phase Diagram and Kinetic Behavior of Zn AND Se,Japanese Journal of Applied Physics,1987年 8月,Vol.26,No.8,pp.L1326−L1329,Adatoms

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