JP3325529B2 - 生体親和性薄膜を被覆した生体材料 - Google Patents

生体親和性薄膜を被覆した生体材料

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人工歯根(インプ
ラント)、人工関節および骨固定具などの生体材料に関
し、特に、生体親和性薄膜を被覆した生体材料に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、人工歯根、人工関節および骨固定
具などの生体材料として用いられる生体材料として、厚
膜コーティングを施した生体材料や、緻密体の生体材料
が知られている。厚膜コーティングの思想は生体親和性
材料の開発の歴史からみて、ある程度の必然性があっ
た。また、チタンやチタン合金もまた人工歯根材料とし
て利用されてきた。
【0003】初期に開発された生体材料に、ハイドロキ
シアパタイト、β−TCP(リン酸三カルシウム)また
はこれらの混合物の緻密体があった。そして、強度面の
改善を求められて、次に開発された生体材料は、生体適
合性があり、かつ比強度の面からある程度評価されてい
たチタンおよびチタン合金表面にハイドロキシアパタイ
トおよびβ−TCPをプラズマ溶射で被覆した複合材料
であった。プラズマ溶射で形成される膜は、ハイドロキ
シアパタイトの変形した結晶構造を持つα−TCPを生
じやすく、また通常30μm以上のいわゆる厚膜に形成
される。
【0004】チタンやチタン合金は、本質的には、生体
内でバイオイナートであって、そのままでは早期に骨組
織と強固に接合できない。一方、ハイドロキシアパタイ
トは、生体親和性が高いが、強度が弱く、加工も容易で
ない。そこで、これらの組み合わせで補完しあうことが
提案された。
【0005】犬の大腿骨に埋入した初期の実験では、緻
密体の生体材料が、1年間に1μmの速度で骨と置換
(骨誘導)されていた。しかも、緻密体の生体材料と骨
との境界は平滑ではなく、緻密体の生体材料は破骨、造
骨のリモデリング作用により激しく浸食を受けてフィヨ
ルド状またはモザイク状になる。
【0006】本来、母材に被覆厚が30μm以上となる
厚膜コーティングを施すか、または緻密体の生体材料を
用いる従来の思想では、それぞれに使用するハイドロキ
シアパタイトの量的補償で、前述したような生体内での
熾烈な環境に対抗しようとした。すなわち、予めチタン
表面をブラストして粗面化してから、激しく浸食を受け
て減耗する厚さ以上の被覆厚の厚膜コーティングを施し
た生体材料や、緻密体の生体材料を埋入していた。しか
し、ハイドロキシアパタイトそのものに関しては、厚膜
コーティングよりも強固で、生体骨並みの強度を持つと
いわれた緻密体の生体材料であるが、前述のように、激
しく浸食を受け、強度が劣化して、破折事故が相次ぐ結
果となった。
【0007】また、厚膜コーティングを施した生体材料
では、生体内で膜質が劣化することによると思われる剥
離事故が発生する。これは、プラズマ溶射に代表される
厚膜コーティングの被覆方法では、そのもののバインデ
ィング作用で強度を保たせるので、亀裂に対して極めて
弱いためである。さらに、被膜が母材(多くは金属チタ
ン)から剥離した後に、厚膜コーティングが母材と生体
骨との間に障壁となって残存し、生体骨と母材との接触
を妨げてしまうことも剥離事故のあとに自己修復が起こ
らない原因となる。
【0008】この間には、バイオガラス技術の転用によ
るガラスコーティング法も開発された。しかし、ガラス
・釉薬の類は、焼き付けるのに1000℃前後の高温を
要するため、チタン母材の極度の表面酸化と強度劣化が
避けられない。さらに、ガラス・釉薬の類は、本来厚膜
コーティングに適するのであって、薄膜コーティングを
行うと、点状のコーティングとなる。そこで、このよう
なガラスコーティング法による薄膜コーティングは採用
されなかった。
【0009】一方、最近では、薄膜コーティングが可能
な手法として、スパッタリング法、塗布熱分解法(特公
平3−60502号)およびバイオミメティック法等が
次々に開発されている。
【0010】また、Bio−Medical Mate
rials and Engineering 7(1
997)67−81には、ハイドロキシアパタイトのア
ンダーコートにペロブスカイト(CaTiO3 )を設け
ることが開示されている。その被覆全体の厚みは、4μ
mで、ハイドロキシアパタイト層内にβ−TCPが含ま
れている。さらに、犬の骨についてその骨置換性が述べ
られているが、具体的に顎骨に対する適用性については
触れられていない。
【0011】また、金属材料とリン酸カルシウム化合物
の被覆層の間に生体内での親和性が比較的良好で耐食性
が大きい酸化物層を設けることが、特公平2−1406
0号公報に記載されている。
【0012】また、母材の表面をブラスト及び/または
エッチング処理により粗面化してリン酸カルシウム化合
物などとの密着性を向上させることが、特公平3−60
502号公報に記載されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の厚膜
コーティングによる生体材料の前記諸問題を克服して、
熾烈な環境に対する強度を有する生体材料を提供するこ
とを目的とする。
【0014】本発明は、生体骨と母材とが骨誘導により
結合するまでの間だけ存在する生体親和性被膜を有する
チタン材生体材料を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明に係る生体材料
は、表面粗さがRa:1.5μm以上またはRz:10
μm以上のチタンまたはチタン合金に、その酸化物層、
ペロブスカイト層、及びハイドロキシアパタイトとβ−
TCPの層が順次設けられ、2〜3ヶ月の間に前記チタ
ンまたはチタン合金と生体骨とが結合されるように、
イドロキシアパタイトとβ−TCPの層が凸頂部で1μ
m以下で、該結合が経時的に凹部内に進行するように、
ハイドロキシアパタイトとβ−TCPの層が凹部内で1
〜10μmである。ハイドロキシアパタイトとβ−TC
Pの層が、それぞれの単層か、またはこれらの混合物の
層であることが望ましい。また、チタンまたはチタン合
金の酸化物層及びペロブスカイト層の厚さがそれぞれ2
μm以下であることが望ましい。
【0016】本発明に係る生体材料の製法は、チタンま
たはチタン合金の基板をRa:1.5μm以上またはR
z:10μm以上の表面粗さにブラストし、さらに酸エ
ッチングをした後に、ペロブスカイト層を設け、さらに
凸頂部で1μm以下で、凹部内で1〜10μmの厚さの
ハイドロキシアパタイトとβ−TCPの層を設ける。こ
の際、チタンまたはチタン合金の酸化物層及びペロブス
カイト層をそれぞれ2μm以下の厚さに設けることが望
ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明による生体材料は、熱分解
法によれば、Ti/TiO2 /CaTiO3/Ca
5 (PO4 3 ・(OH)及びCa3 (PO4 2 の層
構成で、熱分解法によれば、金属チタンあるいはチタン
合金の上に加熱によって形成された酸化チタン、アンダ
ーコーティングされたペロブスカイト、トップコーティ
ングされたハイドロキシアパタイト及びβ−TCPが積
層される。例えば、TiやCaに注目すると、それぞれ
傾斜した組成になっている。すなわち、隣接する各化合
物間(金属チタンを含む)で、チタンやカルシウム原子
(イオン)は熱拡散が可能となり、剥離につながりやす
い明瞭な界面が形成されるのを防いでいる。
【0018】該生体親和性被膜は、生体骨とインプラン
トとの間に初期に存在するわずかなギャップを骨誘導に
よって早急に埋めることによって、揺動を抑制する程度
の被覆厚以上で、かつ母材の金属チタン(あるいはその
合金)とその表面を覆う酸化チタンが最終的に生体骨と
結合する時までの期間に、徐々に消滅する程度の被覆厚
以下に、小さく抑えられることによって、従来の厚膜コ
ーティングを施した生体材料の欠点を克服できる。
【0019】ハイドロキシアパタイトの緻密体が1年間
に1μmだけ生体骨と置換されることが実験でわかって
いる。しかし、コーティング手法によっては緻密な被膜
が生成できにくく、体液の侵入を容易に許す多孔質体と
なる。また、コーティングによる被膜は、1000℃以
上の焼結によって得られる緻密体より結晶性も低く、ハ
イドロキシアパタイトより溶解しやすいβ−TCPを含
む場合が多い。それぞれの要素について2倍の速度を仮
定すれば、全体で8倍となるから、置換速度は約2ヶ月
で1μmと考えた方がよい。実際のプラズマ溶射被覆の
置換速度も2〜3ヶ月で1μmといわれている。
【0020】安定した骨誘導には、通常2〜3ヶ月かか
るから、生体親和性被膜は少なくとも1μmの厚みが必
要である。しかし、チタンまたはチタン合金の基板をR
a:1.5μm以上またはRz:10μm以上の表面粗
さにブラストした場合、生じた凹部内には厚く被膜さ
れ、凸頂部は1μm以下に薄く被覆されるのが望まし
い。この凸頂部の被覆は、インプラントされた後、2〜
3ヶ月の間に骨置換され、凸頂部において、母材の金属
チタン(あるいはその合金)とその表面を覆う酸化チタ
ンが生体骨と結合する。そして、母材の金属チタン(あ
るいはその合金)とその表面を覆う酸化チタンと生体骨
との結合が経時的に凹部内に進行していく。
【0021】そこで、本発明の生体材料では、前述のよ
うに骨誘導性を有する生体親和性薄膜を1〜10μmの
厚さで被覆したチタンまたはチタン合金からなる。該生
体親和性薄膜のハイドロキシアパタイトとβ−TCP
は、それぞれの単層か、またはこれらの混合物の層で、
一般には、数ヶ月の間存在する1〜2μmの厚さである
ことが望ましく、約2年にわたって存在し続ける10μ
mの厚さまでが、骨置換の面で実用的である。しかし、
チタンまたはチタン合金の母材の表面状態にもよる。
【0022】前記チタンまたはチタン合金に、ブラスト
および酸エッチングをした後に、前記被覆を設けるとよ
い。粗面化および表面清浄化のためである。さらに、ペ
ロブスカイトの層を設けることにより、密着性を向上で
きる。具体的には、ハイドロキシアパタイト形成のコー
ティング材が直接母材のチタンに反応して、生体に炎症
反応を起こすといわれるチタンのリン化合物を生成する
のを防止するとともに、前述のように、チタンやカルシ
ウムに関して傾斜組成とすることによって各化合物間の
界面に連続性を持たせる。なお、ペロブスカイトは、生
体に対してはバイオイナート(不活性)といわれてきた
が、近年、表面にペロブスカイト層を形成するカルシウ
ムイオン注入チタン表面に模擬体液中でリン酸カルシウ
ムが容易に生成する現象が報告された。すなわち、多く
のイオン結合体が、その結晶構造中の成分が溶けだして
より安定した化合物組成となるように、このペロブスカ
イトCaTiO3 も、カルシウムイオンが抜けて液中の
リンと反応してリン酸カルシウムとなるとともに、それ
自体次第に不活性な酸化チタンTiO2 へ、変換するこ
とになる。
【0023】本発明の構成は、一般に、金属チタンない
しはその表面を薄く覆っている酸化チタンに、骨誘導性
はないが、長期の埋入によって、生体骨と強く結合する
という性質があることと、および多くの動物実験で、金
属チタンが初期には生体骨とまったく結合していない
が、数ヶ月後には、ハイドロキシアパタイトに近い結合
強度が得られることに基づいている。
【0024】次に、本発明の生体親和性被膜を被覆した
生体材料の製造方法の一態様を説明する。
【0025】先ず、原材料のチタンまたはチタン合金か
ら、NC旋盤などで切削をし、外形の形成を行う。表面
は、ブラスト加工により粗面化してから、洗浄し、塗布
熱分解法による被膜の形成を行う。
【0026】本発明に使用する塗布熱分解法は、特公平
3−60502号公報に記載されているように、化合物
溶液を母材に塗布し、乾燥した後、熱分解により被膜を
生成する方法である。
【0027】先に、ペロブスカイトCaTiO3 の組成
量のCaとTiを含む化合物溶液を塗布し、乾燥した
後、熱分解によりペロブスカイトの被膜を生成する。こ
れにより、次に行うPを含む化合物溶液と母材のチタン
またはチタン合金とが高温で反応し、有害なチタンのリ
ン化合物が生成するのを防ぐことができる。そして、ハ
イドロキシアパタイトの組成量のCaとPを含む化合物
溶液を前記ペロブスカイトの被膜上に塗布し、乾燥した
後、熱分解によりハイドロキシアパタイト被膜を生成す
る。
【0028】なお、前後に、酸洗いや煮沸処理などの洗
浄も必要に応じて実施する。
【0029】さらに、前記ペロブスカイトとハイドロキ
シアパタイトを被覆するためには、300〜900℃の
熱処理温度の塗布熱分解法により行うことが望ましい。
300℃以下の熱処理温度では、結晶化が不充分であ
り、900℃以上の熱処理温度では、チタンやチタン合
金表面の酸化が急速に進行して、コーティング層が剥離
しやすくなり、さらにチタンやチタン合金の結晶粒が粗
大化して、機械的強度が劣化する。
【0030】なお、薄膜の形成には、スパッタリング法
やバイオミメティック法も利用できる。
【0031】(実施例)炭酸カルシウムを1×10-1
1×10-2Paの真空に保持しながら1050℃で2時
間加熱し、酸化カルシウムとした。この酸化カルシウム
2.80gと2−エチルヘキサン酸38.18gを還流
冷却器付きのフラスコに入れ、約120℃に加熱し溶解
させた。これを二つ調製した。そのうちの一つにチタン
イソプロポキシドを原子比でCa/P=1となるように
14.21g入れて混合し、1−ブタノール120gで
希釈してペロブスカイトコーティング液とした。さらに
もう一つに燐酸ジ(2−エチルヘキシル)を原子比でC
a/P=1.67となるように9.67g入れて混合
し、少量の水を加え1−ブタノール40gで希釈してア
パタイトコーティング液とした。
【0032】7×5×2.5mmのJIS1種チタン小
片の表面を#70のアルミナブラストで粗面化して、R
a:3.6μmおよびRz:20μmの表面粗さを得
て、さらに室温で36%塩酸に1時間浸漬し酸洗いした
後、ペロブスカイトコーティング液を塗布し600℃で
20分間焼成した。この塗布〜焼成の操作を計4回繰り
返した。X線回析による結晶相の同定を行ったところ、
チタン小片からの金属チタンの他には、少量のルチル型
の二酸化チタンと明瞭なペロブスカイト(チタン酸カル
シウム)の回析ピークが得られた。
【0033】さらにアパタイトコーティング液を塗布し
650℃で20分間焼成した。この塗布〜焼成の操作を
計6回繰り返した。
【0034】X線回析による結晶相の同定を行ったとこ
ろ、前記の結晶相の他にはアパタイトと少量のβ-TC
P(β-燐酸三カルシウム)の固有の回折ピークが得られ
た。
【0035】さらにEPMA(電子線マイクロアナライ
ザー)による断面分析から、チタン酸化物ないしはチタ
ンとカルシウムの複合酸化物の層はほぼ一体となって母
材の金属チタンに密着し、その厚みは凸部で約2μm、
凹部で約1μm、その上に燐とカルシウムの複合酸化物
層が積層され、その厚みは凸部で約1μm、凹部で約2
μmとなっていた。
【0036】ブラストによる粗面の形状は、凸部は急峻
な山の先端、凹部はなだらかな盆地に相当するので、凹
部の厚みが大きい燐とカルシウムの複合酸化物層の方が
量としては多い。
【0037】なお、アパタイトコーティング液を少量取
り、溶媒を蒸発乾固してから650℃で1時間焼成した
後、生成した粉末を赤外線吸収スペクトル分析したとこ
ろ、OH- とCO3 2ーの吸収スペクトルが見られた。こ
れはアパタイトが生体骨と同様の炭酸イオンを含むハイ
ドロキシアパタイトであることを示す。
【0038】よって、母材金属チタン上に高温酸化によ
るルチル型の二酸化チタンTiO2が形成され、中間層
としてペロブスカイト:CaTiO3 、さらに表面層に
生体親和性のあるハイドロキシアパタイト:Ca5 (P
4 )3 ・OHとβ−TCP:Ca3 (PO4 )2 の混合
相の計4層(金属チタンも含めて)が積層されていたこ
とになる。
【0039】この試料と金属チタンを家兎の頚骨の皮質
骨上に載せるような形で縛って固定して埋入し、4週間
後に引張り接着強度を測定した。さらにこの時点と2年
後に病理組織学的観察を行った。4週間後では、アパタ
イトコーティング試料は骨と強固に接着しており、引張
り接着強度(1.2〜2.9MPaの接着引張り強さ)
は既にアパタイト焼結体について文献で報告されている
値と比較しても同程度かやや大きかった。また接着様式
は部分接着であり、骨が直接接していない所では血管・
骨芽細胞・破骨細胞及びその他骨髄細胞等の介在が見ら
れた。そのような所では盛んに骨のリモデリング(骨の
新陳代謝)が行われていると思われる。
【0040】尚、比較のためにアパタイトコーティング
の無いチタン試料においても同様な処理を行ったが、こ
の場合、4週間後において、骨との直接的接触が見られ
たが、強度的にアパタイトコーティング試料に比べ劣り
(0.3〜0.4MPaの接着引張り強さ)、接着に関
して両者の間には質的な差異があった。
【0041】2年後にはアパタイトコーティングが骨と
の置換・溶解によって消失したが、アパタイトコーティ
ング試料、チタン試料ともに皮質骨や海綿骨に包み込ま
れるように骨内に取り込まれていた。どちらも旺盛な骨
のリモデリングは見られなかったが、安定的に骨と接触
していた。
【0042】このように、薄膜アパタイトコーティング
チタンは、金属チタンと比較して骨との間に初期固定性
に優れ、さらにアパタイトコーティングが骨との置換・
溶解によって消失する時期においても金属チタンと同様
の接着挙動を示した。
【0043】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
生体親和性薄膜を被覆した生体材料は、熾烈な環境に対
する強度を有し、生体骨と母材とが骨誘導により結合す
るまでの間だけ、該生体親和性薄膜が存在し、良好な骨
新生が可能となった。特に、生体骨との強固な結合を早
期に得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI A61F 2/30 A61F 2/30 C01B 25/32 C01B 25/32 B P (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61L 27/00 A61C 8/00 A61C 13/08 A61F 2/28 A61F 2/30

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ra:1.5μm以上またはRz:10
    μm以上の表面粗さに粗面化したチタンまたはチタン合
    金に、生体親和性薄膜としてハイドロキシアパタイトと
    β−TCPの層が設けられた生体材料であり、2〜3ヶ
    月の間に前記チタンまたはチタン合金と生体骨とが結合
    されるように、ハイドロキシアパタイトとβ−TCPの
    層が凸頂部で1μm以下で、該結合が経時的に凹部内に
    進行するように、ハイドロキシアパタイトとβ−TCP
    の層が凹部内で1〜10μmであることを特徴とする生
    体材料。
  2. 【請求項2】 ハイドロキシアパタイトとβ−TCPの
    層が、それぞれの単層か、またはこれらの混合物の層で
    あることを特徴とする請求項1に記載の生体材料。
  3. 【請求項3】 チタンまたはチタン合金と生体親和性薄
    膜の間に、チタンまたはチタン合金の酸化物層及びペロ
    ブスカイト層を設け、その厚さがそれぞれ2μm以下で
    あることを特徴とする請求項1に記載の生体材料。
  4. 【請求項4】 チタンまたはチタン合金の基板をRa:
    1.5μm以上またはRz:10μm以上の表面粗さに
    ブラストし、さらに酸エッチングをした後に、ペロブス
    カイト層を設け、さらに凸頂部で1μm以下で、凹部内
    で1〜10μmの厚さのハイドロキシアパタイトとβ−
    TCPの層を順次設けることを特徴とする生体材料の製
    法。
  5. 【請求項5】 チタンまたはチタン合金の酸化物層及び
    ペロブスカイト層をそれぞれ2μm以下の厚さに設ける
    ことを特徴とする請求項に記載の生体材料の製法。
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