JP2001178813A - 生体親和性薄膜を持った医療材料 - Google Patents

生体親和性薄膜を持った医療材料

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JP2001178813A JP36532099A JP36532099A JP2001178813A JP 2001178813 A JP2001178813 A JP 2001178813A JP 36532099 A JP36532099 A JP 36532099A JP 36532099 A JP36532099 A JP 36532099A JP 2001178813 A JP2001178813 A JP 2001178813A
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正志 細沼
Hiroshi Mitsui
弘 三井
Hei Shu
萍 周
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MIIMU KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄くて剥離しにくく、生体内で耐食性のある
生体親和性被膜を有する医療材料を提供する。 【解決手段】 チタン又はチタン合金の基材上に塗布熱
分解法によりペロブスカイトの薄層を設けた医療材料、
およびこのペロブスカイト層の上にさらにハイドロキシ
アパタイト層を設けた医療材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は薄くて剥離しにく
く、生体内で耐食性のある生体親和性被膜を持った医療
材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】人工関節、骨固定具及び人工歯根等の生
体インプラント材は、事故等により骨が欠損した場合や
歯が抜けた場合等に、残っている骨に接続したり顎骨に
植え込んだりして生来のものに近い形で使用でき、快適
な生活を維持することを可能にするため最近更に重要性
を増している。しかしながらこれらのインプラント材は
人体に埋め込むものであるため、人体に無害であること
が必須であり、このほかに強度が十分である、加工性が
ある、溶出しない、適度の比重がある、生体への親和性
がある等の条件を具備するものでなければならない。
【0003】上記した各条件のすべてを満たす材料とし
て合成ハイドロキシアパタイトセラミックスが提案され
たことがあった。このアパタイトセラミックスの結晶構
造は骨や歯の主成分のアパタイトと同じであり、生体親
和性は極めて良好で、生体埋入後の骨組織や軟部組織と
の同化は非常に優れている。しかしこのアパタイトセラ
ミックスは従来の材料と同様に強度が弱い、加工性が悪
い等の欠点があり、その用途は次第に骨充填材等に限定
されていった。従来からインプラント材として使用され
ているα−アルミナ、貴金属類及びステンレススチール
等の合金は、上記各条件の少なくとも一つの条件を欠
き、更に共通の欠点として生体に対する親和性に欠け、
インプラント材としては不適格であった。その中ではチ
タンやチタン合金は本質的には生体不活性であり骨とは
直接接合しないものの、ある程度の生体適合性がありか
つ高い比強度を持つことから次第にインプラント材の中
心的な構造材となってきた。しかし依然として本質的に
骨伝導性が悪い、生体内腐食がある等の問題を抱えてい
る。
【0004】金属チタンそのものは本来非常に活性な金
属であり、酸素との親和性が高く容易に表面酸化皮膜を
形成して不動態化するが、その酸化皮膜が存在すること
ができない環境ではアルミニウムと同程度に活性溶解す
る。生体内においては、この酸化皮膜の存在が重要な意
味を持つ。酸化皮膜は食塩水に対して安定だから、生体
内でも多くの場合チタンは安定である。酸化皮膜は塩酸
等の非酸化性酸中で徐々に厚みが減少し、ついには保護
膜としての性質を失いチタンは溶解するが、その前に通
常は傷つくことによりその効果を失い、その部分から溶
解が始まる。生体内では塩酸は破骨細胞等の作用によっ
て分泌される。このとき体液中には通常溶存酸素やFe
3+イオンといった酸化剤があるから溶解は抑制される
が、供給が途絶えれば溶解は再開される。溶解が長く続
くとその部分にはチタンの水素化物が形成され脆化す
る。またチタンは生体内で、水を含まず酸化剤を含む有
機物に覆われると、不動態化せず腐食する。このとき応
力が存在すると腐食はさらに促進される。
【0005】また、細胞膜の内外での溶質濃度や溶質種
の違い、細胞膜のイオン選択透過性等により生体内では
生物電気が生じており、例えばスクリューが骨髄液と骨
外の組織細胞に接していれば生物電気化学現象により、
体液が酸性なら電位の高い部分ではアノードとして金属
が溶出し、電位の低い部分ではカソードとして水素発生
や酸化剤の還元が起こる可能性がある。なお、生体用チ
タン合金は通常機械的強度を高める目的で使用される。
チタンの耐食合金にはTi−PdやTi−Pt合金が知
られているが、生体用チタン合金としては用いられてい
ない。Ti−Mo合金も耐食性が向上するが、Moを2
0〜30%と大量に含有させる必要があり、高比重かつ
難加工性となるのでやはり用いられていない。
【0006】このような金属チタンの溶出の可能性を防
止する目的で、上記金属チタンに自然に生成する酸化皮
膜の厚みは数nm〜数十nmであるのに対し、従来あら
かじめ数百nm〜1μm程度の表面酸化皮膜を形成させ
る方法が用いられてきた。熔融塩中での陽極酸化や酸素
イオン注入等により酸化チタンTiO2 層が得られる。
700℃前後での高温酸化でもよいがやや膜質が悪い。
これを真空中で650〜850℃に加熱すると金属チタ
ンと酸化皮膜界面に明瞭なTiO層が形成され、傾斜組
成となって密着性が向上する。意図的に表面酸化層を厚
くしたチタン合金は現在も骨固定具等に用いられてい
る。
【0007】金属チタンの生体適合性は表面酸化チタン
皮膜の生体適合性に他ならないが、金属チタンは疑似体
液中で表面にリン酸カルシウムを2〜3nm程度ではあ
るが形成するといわれており、これが他の金属より生体
適合性に優れている一因であると考えられている。しか
しさらにリン酸カルシウム化合物層が成長するというこ
とはないから、本質的には生体不活性な材料といってよ
く、骨伝導性を目的とする用途には不適である。
【0008】従ってこれらの欠点を解消するためにはお
互いの長所を併せ持つ複合材とし、そのためには強固な
密着性を実現できる金属−セラミックス、セラミックス
−セラミックス接合技術が必要であるが、この技術とし
ては現在のところプラズマ溶射法やスパッタリング法等
が知られており、プラズマ溶射法が実用に供されてい
る。
【0009】プラズマ溶射法アパタイトコーティング被
覆にはアパタイト粉末またはアパタイトとアルミナの混
合粉末を溶射して得る基本的な方法、及びβ−TCP
(リン酸三カルシウム)粉末をプラズマ溶射した後に塩
化カルシウムの濃厚溶液中に浸漬し、高温高圧下で水熱
結晶育成法を行うことによって結晶変換されたアパタイ
ト被膜を得る再結晶法が代表的な方法である。
【0010】プラズマ溶射法はこのような接合には有用
であるが、複雑な形状を有する材料に対して表面全体に
被覆することが困難であること、またその特性上多孔質
材の内部までを被覆することが不可能であり、また高価
な装置を要すること、溶射用として調質するのに比較的
費用を要するアパタイト粒子の歩留まりが悪いこと、コ
ーティングと基材の接合が必ずしも十分でない等の欠点
を有する。コーティング層と金属チタンの界面はおおむ
ね物理的に付着しているだけでカルシウムやチタン原子
(イオン)の相互拡散層が少ない。
【0011】コーティング層には表面では圧縮、界面で
は引張りの残留応力が生じ、またチタン基材の界面近傍
で引張り残留応力が生じる。その傾向は、コーティング
膜厚が大きいほど残留応力の値も大きくなる(但野茂、
東藤正浩、柴野純一、鵜飼隆好:日本機械学会論文集
(A編)63巻607号(1997−3)542−549)。この応力はコ
ーティングが連続層であることから発生する。つまり、
コーティング層が分割されたブロックであったり、ミク
ロなセル構造や繊維質の積層であったりすれば緩和され
るが、プラズマ溶射法や後で述べるスパッタリング法に
よるコーティング層ではセラミックスの連続層を構築す
る製造法であり、それにより層そのもののバインディン
グ力も加わって基材に接着する力を持つことになる。し
かしその接着力はあくまで物理的な接着力であり、基材
からコーティング層に向かって連続した相互拡散層を積
層したものではない。残留応力はひび割れを発生しやす
くし、またひび割れが発生すればコーティング層のバイ
ンディング力がなくなるからコーティングの剥離の可能
性が高まる。
【0012】このため通常整形外科、歯科を問わず、ハ
イドロキシアパタイトコーティング製品の取り扱い注意
または警告事項として、損傷を避けるため過度の衝撃を
与えない旨の記述がある。
【0013】一方、ハイドロキシアパタイト緻密体を犬
の皮下に埋入し、重量変化を調べた実験では、表面から
約1年に1μmの速度で溶解したといわれる(伏見昌樹
他:Orthopaedic ceramic Implants, Vol.6, 27-29, 19
86)。しかも、緻密体表面は破骨・造骨のリモデリング
作用により激しく侵食を受けてモザイク状になった。緻
密体より溶解速度の大きいプラズマ溶射法アパタイトコ
ーティング層では生体内での膜質の劣化によるものと思
われる剥離事故が近年見られるようになってきた。さら
に悪いことには、プラズマ溶射法では生体内での過酷な
腐食環境に量的補償で対抗するため、通常30μm以上
の厚膜コーティングを施すが、これがチタン基材から剥
離した後にチタンと骨との間に障壁となって残存し、チ
タンと骨との接触を妨げ、再びチタンと骨が接合する機
会を奪ってしまう。
【0014】スパッタリング法は製造コストが高く、ま
た膜形成速度が小さいことからアパタイトコーティング
の実用化の目安とされる1μm程度までしか厚くするこ
とが出来ず、用途に応じてこれ以上任意の厚さに調整で
きないこと、さらに全面にわたってCa/P=1.67
の化学量論組成が困難なこと、ハイドロキシアパタイト
の特徴とされる水酸基の存在が確認されていないこと等
の欠点がある。
【0015】多くの医療材料のコーティング層は骨髄内
で安定でなければならない。ネジを挿入する際の力学的
ストレス(摩擦力)によるコーティング層の剥離が起こ
ると、チタンやチタン合金は骨髄内で露出することにな
る。これに骨髄内の豊富な血液による侵食が加わると、
チタンやチタン合金の流出の可能性が出てくる。ネジの
場合、骨折に使用されることがほとんどであるため特に
常に力学的ストレスが骨癒着までの期間強くかかること
になり、表面の損傷は更に促進される可能性がある。こ
のような結果としてチタンやチタン合金が骨髄内へ流出
してきた場合、全身へのさまざまな悪影響が懸念され
る。これは人工関節、歯科インプラント、髄内釘でも十
分に心配されることであるが、ネジでは特にその危険性
が大きい。その理由は、ネジが多く使われる部位は骨髄
が豊富にあり、骨髄から全身への血液の流通が非常に速
やかであるからである。
【0016】本発明者らの一人は、これらアパタイトコ
ーティング被覆の欠点を解消するために、金属基材表面
にアパタイト及びβ−TCP被覆層を形成する際に、カ
ルシウムの有機化合物とリンの有機化合物を溶解した有
機溶媒塗布液を塗布し、加熱してアパタイト及びβ−T
CP被覆層を形成するようにした複合材の製造方法を提
案した(特公平3−60502)。その着想は生体内で
実際に起きる骨生成のメカニズムから得られたものであ
る。塗布熱分解法ハイドロキシアパタイト被覆は生体内
の物質を模して、酸性リン酸エステルと脂肪酸カルシウ
ムを出発物質として金属チタン上に直接熱エネルギーに
よってハイドロキシアパタイト層を合成し焼付けようと
したものである。この点があらかじめアパタイトを合成
しておいて後から金属チタン上に付着させようとするプ
ラズマ溶射法やスパッタリング法との手法上の大きな違
いである。
【0017】これによりプラズマ溶射法やスパッタリン
グ法の欠点を解消することは出来たが、一方で実際の動
物実験に供したところ、4週間後の骨埋入引抜き強度測
定で優れた結果を示したものが、8週間後の同測定では
逆に強度が落ち、組織学的観察で炎症反応が見られた。
これは被膜作製時の高温焼成中にハイドロキシアパタイ
トCa5(PO4)3・(OH)がチタン基材及び高温酸化皮
膜TiO2 と反応・分解し、下地チタン基材の凸部には
ペロブスカイトCaTiO3 が生じ、凹部には生体に為
害性があるといわれるチタンのリン化合物が生じたため
であった。
【0018】本発明者らの一人は、この問題点を解消す
るために、チタン基材上に塗布熱分解法によってあらか
じめ為害性がなく既にカルシウム成分を含有しているた
めに高温焼成中にアパタイトを分解する恐れのないペロ
ブスカイトCaTiO3 を被覆してから塗布熱分解アパ
タイト被覆をする方法を発表した(P. Zhou, M. Akao:
Bio-Medical Materials and Engineering Vol.7 (1997)
67-81)。ここでは詳細な被覆層の物性評価、純水を用
いた耐食性及び骨皮質内での骨伝導性に関する知見を報
告したが、未だ塗布熱分解法ペロブスカイトコーティン
グ層単独での生体親和性、また塗布熱分解法アパタイト
コーティング層の耐久性について十分な知見は得られて
いなかった。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】医療材料として用いる
チタンやチタン合金さらにそれらに意図的に強固な表面
酸化皮膜を形成した材料は、骨伝導性に代表される生体
親和性にやや劣り、生体に埋入する前後で表面に傷が付
くと過酷な生体内の腐食環境によって腐食する恐れがあ
った。一方ハイドロキシアパタイトコーティング材は、
優れた骨伝導性を持つが、骨固定具のように生体内への
埋入後一定期間後に取り出すような用途にはかえってマ
イナスの働きを有し、また生体内の破骨・造骨リモデリ
ング作用によって浸食を受ける。本発明が解決しようと
する課題は、生体内において十分な生体親和性を持ち、
生体内に埋入する前後で多少の傷が付いても下地の基材
を保護し、さらに生体内の破骨・造骨リモデリング作用
によって浸食を受けない医療材料を提供する点にある。
また、チタン基材/塗布熱分解法ペロブスカイト被覆/
塗布熱分解法アパタイト被覆の複合材において、優れた
骨伝導性については確認がなされたが、臨床応用とし
て、従来にない被覆複合材の基材に対する結合性と過酷
な生体内における耐食性については未だ知り得ていなか
った。本発明が解決しようとする課題は、臨床において
激しい衝撃及び引張り・圧縮・ねじりの各応力が加えら
れても被覆複合材としての機能を出来得る限り損なうこ
とのない医療材料を提供する点にある。さらに、本発明
が解決しようとする課題は、大量かつ安全に熱分解コー
ティングを製造する自動化工程を提供する点にある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は、まず第一に、
チタンまたはチタン合金基材の各部位の表面に、カルシ
ウムの有機化合物とチタンの有機化合物を有機溶媒に溶
解したコーティング液を塗布し加熱焼成することによっ
て主としてペロブスカイトから成る層を設けた医療材料
に関するものであり、これによって基材より生体親和性
があり、自己修復性があり、さらにアパタイトのように
強烈な骨伝導性がないためにかえって手術後取り出しや
すい医療材料を得る事ができる。第二には、用途に応じ
てさらにその上に、カルシウム有機化合物とリンの有機
化合物を有機溶媒に溶解したコーティング液を塗布し加
熱焼成することによって主としてハイドロキシアパタイ
トとβ‐TCPから成る層を順次設けた医療材料に関す
るものであり、これによって臨床において激しい衝撃及
び引張り・圧縮・ねじりの各応力が加えられた場合、剥
離することなく過酷な生体内での腐食に耐えることがで
きる医療材料が得られる。さらに第三には、塗布熱分解
コーティングに適した自動生産工程を提示し、これによ
り製品を大量かつ安全に供給できる生産体制が得られ
る。以下本発明を詳細に説明する。
【0021】本発明の材料の1形態は、ペロブスカイト
層のみを有する。ペロブスカイト層のみを有する材料
は、ペロブスカイト層による基材侵食及び基材からの有
害イオンの流出防止効果に加えて、生体内ではペロブス
カイト層上に次第にリン酸カルシウム化合物層が形成さ
れるという利点を有する。すなわち、多くのイオン結合
体がその結晶構造中の成分が抜け出してより安定な化合
物組成へ変換するように、このペロブスカイトCaTi
3 もカルシウムイオンが抜けて液中のリンと反応して
リン酸カルシウム化合物となって付着するとともに、最
終的にはそれ自体次第に不活性な二酸化チタンTiO2
へ変換することになる。このようにペロブスカイトCa
TiO3 層は、表面酸化チタン皮膜と異なり、少し表面
に傷がついた程度ならば、そこにアパタイトを形成して
チタンを保護するという自己修復作用を持つことになる
とともに、ハイドロキシアパタイトのように破骨・造骨
リモデリングメカニズムによる標的にもならず、生体内
できわめて安定した状態を保つことになる。安定性のみ
ならず生体組織との関係においても、ペロブスカイトC
aTiO3はハイドロキシアパタイトのような強力な骨
伝導性を持たないと同時に、チタン表面酸化皮膜より生
体親和性がよいという利点を持つ。整形外科用骨固定具
において、プレートは通常骨皮質上に置かれ、髄内釘
(ネイル)、鋼線(キルシュナーワイヤー)、脊椎推弓
フック等はほとんど骨髄組織と接触させて埋入される
が、骨折が治癒した後これらを取り除く際、これらは骨
性癒着していてはならないので、ペロブスカイトコーテ
ィングはこれらについて用いると好適である。ネジ(ス
クリュー)はレンチやドライバーにて着脱できるので、
骨性癒着は必ずしも問題ではなく、埋入期間や術式の難
易度によってコーティングの種類を決定すればよい。一
方、人工歯根、人工関節及び脊椎椎体固定用ケージは部
分的にせよ骨性癒着していなければならないので、この
部分はハイドロキシアパタイトコーティングが適する
が、骨性癒着を避けたい部分にはペロブスカイトコーテ
ィングが適する。さらに、初期固定のみを目的とする場
合にはハイドロキシアパタイトコーティングの厚みを調
整するという工夫が必要となる。ただし、初期固定は医
療材料の生体内での初期の動揺をできるだけ早く収束さ
せ、骨伝導後は必ずしもハイドロキシアパタイトコーテ
ィング層を必要としないということを意味するので、こ
の場合は実質的にペロブスカイトコーティングの機能も
併せ持つということになる。このように医療材料の機能
と埋入部位によってペロブスカイトコーティングとハイ
ドロキシアパタイトコーティングは使い分けられなけば
ならない。上記各医療材料で補足的に使用されるナット
とワッシャー、ワイヤー固定用スリーブ、ネイルエンド
キャップも同様である。
【0022】最近、チタン及びチタン合金の表面にカル
シウムイオン注入、またはスパッタ蒸着によりCaTi
3 層を形成することが塙らにより研究され(金属, Vo
l.68(1998) No.2, 115-120及び日本金属学会秋季大会講
演概要1998年p521)、疑似体液中でチタン表面酸化皮膜よ
り容易に厚くリン酸カルシウムが生成するという現象が
報告された。しかしすでに述べたように従来のイオン注
入法やスパッタ蒸着法は大規模な設備を要し、対象物表
面全体の被覆が困難である。また膜厚の調整も難しく、
最表面層に形成される塩基性のCaOによって生体に炎
症反応を起こす恐れがある、など問題が多く、本発明の
生体材料は膜厚が調製できる、どのような複雑な形状の
生体材料であっても表面全体に均一なペロブスカイト層
が形成されている点からいっても格段に優れている。
【0023】塗布熱分解法では、コーティング層の厚さ
は任意に設定できるが、表面全体を覆うことが出来る約
0.1μm以上の厚さから、製造コスト的に制約を受け
る数十回のコーティング回数に相当する10μm以下の
厚さの範囲が適切である。
【0024】本発明の材料の1形態は上記ペロブスカイ
ト層上にさらにハイドロキシアパタイトCa5(PO4)
3(OH) とβ−TCP Ca3(PO4)2 からなる薄層(以
下総称してリン酸カルシウム化合物層という)を設けた
ものである。これは基材とコーティング層と密着性に優
れ、過酷な生体内環境で腐食することなく、丈夫で摩擦
や衝撃に強いという特徴を有する。そのため、従来は常
に剥離を心配していなければならなかったコーティング
を有する医療材料、特に骨固定具のネジや釘なども容易
に提供できるようになった。そのメカニズムは中間層に
ペロブスカイト層を設けたこと、チタンまたはチタン合
金基材が劣化しない適度な温度で焼き付けてコーティン
グ層が形成されることから発現される。すなわち熱分解
法ペロブスカイト及びハイドロキシアパタイトコーティ
ングでは、金属チタン上に加熱によって形成された酸化
チタン、アンダーコーティングされたペロブスカイト、
トップコーティングされたハイドロキシアパタイト及び
β−TCPの各層が積層されているから、模式的に
【表1】 Ti TiO2 CaTiO3 Ca5(PO4)3(OH), Ca3(PO4)2 金属チタン 酸化チタン ペロブスカイト ハイト゛ロキシアハ゜タイト及びβ‐TCP なる4つの層が接していることになる。それぞれの物質
を構成する元素を見れば、チタン及びカルシウムに関し
て傾斜した組成を持っていることがわかる。しかも熱的
に高温に保持し、十分な元素の拡散を行っているから、
それぞれの化合物層中においても若干の傾斜組成となっ
ていることが考えられる。さらに基材の金属チタンは通
常ブラストや酸エッチングで粗面化されているから、こ
れら積層された化合物の界面は平滑ではなく互いに入り
組んでいる。実際にこれらの積層の断面を線分析すれ
ば、チタン及びカルシウムはそれぞれなだらかに傾斜し
た濃度プロファイルを持つことになる。このような互い
にアンカリングされた構造の界面は、プラズマ溶射に見
られるような明瞭な界面と異なり、部分的な剥離が応力
集中により急速に全体に波及することを妨げるように作
用する。引張りせん断接着強度の測定後の破断面の観察
からは、界面剥離は見られず、層内での割れによって破
断が生じることがわかった。
【0025】塗布熱分解法の特徴として、塗布→乾燥→
加熱焼成→空冷の操作を繰り返して積層していくため、
1回の層で生じた細かいひび割れや剥がれは次の操作で
埋められていくという過程を経てコーティング層が完成
する。仮に1回の操作で75%の部分が接合するとすれ
ば、3回の操作で (1−0.253 )×100=98%が
接合することになる。つまり、金属−セラミックス、セ
ラミックス−セラミックス接合において熱膨張率の差か
ら最も嫌われる急加熱・急冷を繰返し、補強し耐性を向
上させながらコーティング層を形成していくのである。
その補強が可能になる理由は、まず第一に液による細部
への浸透が可能になることはもちろんであるが、溶質成
分が次第に重縮合・結晶化していく過程で、熱分解ガス
等の離脱もあり、セル構造ないしは繊維構造になること
が挙げられる(例えば、中西和樹:表面、Vol.33 No.4,
(1995) 240-251)。このような構造体は亀裂の伝播に対
する耐性が高い。さらに、本特許によるコーティング層
のXPS及びAESによる分析から、コーティング層中
にはTi−C結合を含む化合物やアモルファス状のCが
ごくわずか含まれていることがわかった(中村聡、大柿
真毅、赤尾勝:歯科材料・機械 Vol.16 Special Issue
29 (1997) P-14)。チタンカーバイドTiCやアモルフ
ァスカーボンが複合材料の補強材となっていることはよ
く知られている。
【0026】本発明に使用する金属基材の材質は、生体
内で酸化皮膜が存在する限り安定なチタン及びチタン合
金とするが、いわゆるステンレススチール、コバルトク
ロム合金等の生体埋め込み用の金属/合金及び生体不活
性といわれるアルミナ、ジルコニア等の生体用セラミッ
クスにも適用可能である。チタン及びチタン合金を使用
するのは、生体内で酸化皮膜が存在する限り安定なこと
のほか、強度/比重つまり比強度が大きくかつ圧延等の
成形が比較的容易で切削等の加工技術も近年非常に向上
しているからである。その形状は棒状、板状の単純なも
のでも、機械加工により複雑な形状を持つものでもよ
く、表面は平滑なものでも多孔質なものでも対応が可能
である。表面とは生体に埋入したとき体液に触れる部分
のことをいい、人工関節の多孔質体内部や脊椎椎体固定
用ケージのケージ構造体内部も含む。基材はあらかじめ
その表面を水洗、酸洗、超音波洗浄、蒸気洗浄等により
洗浄を行いペロブスカイトを形成するコーティング液と
の接合性を向上させるのみでもよいが、さらに必要に応
じてその表面をブラストやエッチング処理により粗面化
・活性化してからペロブスカイトを形成するコーティン
グ液との接合性を高めることが望ましい。なおエッチン
グは化学的な方法ばかりではなく、グロー放電やスパッ
タリング等の物理的な方法で行ってもよい。
【0027】本発明に使用する塗布熱分解法は、特公平
3−60502号公報に記載されているように、化合物
溶液を基材に塗布し、乾燥した後、熱分解によりコーテ
ィング層を基材上に直接形成する方法である。
【0028】まず、ペロブスカイトCaTiO3 のカル
シウムとチタンの組成比、すなわち約Ca/Ti=1/
1に相当するカルシウムの有機化合物とチタンの有機化
合物を含む有機溶媒溶液を基材に塗布し、乾燥した後、
熱分解によりペロブスカイトコーティング層を生成す
る。本発明で使用できるカルシウムの有機化合物として
は、化学的に安定で有機溶媒に可溶な脂肪酸カルシウム
(カルシウム石鹸ともいう)、例えばナフテン酸、2−
エチルヘキサン酸、ステアリン酸、トール油脂肪酸、大
豆油脂肪酸等の脂肪酸(カルボキシル基を持っている)
のカルシウム塩があり、特に一定の化学組成を有しかつ
脂肪酸の中では分子量が小さいためにカルシウムの含有
量を多くすることの出来る2−エチルヘキサン酸のカル
シウム塩が好適である。脂肪酸カルシウムにはいくつか
製法があるが、脂肪酸とカルシウム酸化物を高温で反応
させる溶融法が好ましい。溶融法は最も容易であり、不
純物や調製中の危険性が少なく、コーティング液の安定
化剤として働く遊離の脂肪酸を大量に含有している。2
−エチルヘキサン酸カルシウムにはカルシウムを約5%
含む市販品があり、これを用いるのが一般的であるが、
濃度が正確でないこと、不純物の心配があること、褐色
に変色していて明らかな脂肪酸の劣化がみられることか
ら、市販品を使用することは避けた方がよい。また本発
明で使用できるチタンの有機化合物としては、チタンメ
トキシド、チタンエトキシド、チタンイソプロポキシ
ド、チタンブトキシド等のチタンアルコキシドが好適で
ある。さらに各種脂肪酸、サリチル酸、クエン酸及びア
セチルアセトンのチタン塩も使用することが出来る。た
だし脂肪酸チタンの場合は、チタンアルコキシドに脂肪
酸を加えて調製することが一般的であるから、カルシウ
ム源に過剰の脂肪酸を含む脂肪酸カルシウムを用いた場
合、実質的にチタンアルコキシドを用いるのと同じこと
になる。
【0029】さらに続けてペロブスカイトコーティング
層上にハイドロキシアパタイト等のリン酸カルシウム化
合物コーティング層を設ける場合には、リン酸カルシウ
ム化合物のカルシウムとリンの組成比、すなわちハイド
ロキシアパタイトCa5(PO 4)3・(OH)であればCa
/P≒1.67、β−TCP Ca3(PO4)2であればC
a/P≒1.5に相当するカルシウムの有機化合物とリ
ンの有機化合物を含む有機溶媒溶液を基材に塗布し、乾
燥した後、熱分解によりリン酸カルシウム化合物コーテ
ィング層を生成する。カルシウムの有機化合物として
は、上述した脂肪酸カルシウムを用いるのが好適であ
る。またリンの有機化合物としては、、リン酸ジエチ
ル、リン酸ジ−n−ブチル、リン酸ジ(2−エチルヘキ
シル)等の酸性リン酸エステルを用いるのが好適であ
る。酸性リン酸エステルにはジエステルとモノエステル
があり、通常混合物として市販されているが、純粋なジ
エステルだけの方がCa/Pの組成比の計算は容易であ
る。なお、使用できるのは酸性リン酸エステルのみであ
り、中性のリン酸トリエステルはハイドロキシアパタイ
トやβ−TCPの生成が少なく、酸化カルシウムCaO
を多く生成するから好ましくない。リン酸カルシウム化
合物がハイドロキシアパタイトの場合、水酸基源として
コーティング液中に水を添加するとハイドロキシアパタ
イトの結晶性を向上させることができる。β−TCPの
場合は水酸基を持たないため、水の存在は好ましくな
い。
【0030】さらに溶媒としては、上記化合物を安定に
溶解することが出来、かつアパタイトを生成するコーテ
ィング液では水と相互溶解することが出来ることが必要
であるため、メチルアルコール、エチルアルコール、イ
ソプロピルアルコール、ブチルアルコール等の一価のア
ルコールが好適である。また、高粘性であることが難点
であるが、有機配位子としての効果も併せ持つ、エチレ
ングリコールやグリセリン等の多価アルコールも用いる
ことができる。
【0031】コーティング液を前記基材表面に塗布する
方法としては、遠心力を利用して余分のコーティング液
を除去する回転塗布法、スプレー塗布法、ディッピング
法、静電塗装、印刷法及び刷毛塗り等従来公知の方法を
使用することが出来る。これらの中で薄層を得るために
最も適するのは遠心力を利用する回転法である。これに
より複雑な形状や表面多孔体を持った基材でも回転数を
上げればほぼ均一な塗膜厚みを得ることが出来る。基材
各部所にかかる巨大な加速度により液の移動が速やかと
なることや、回転している間に溶媒のアルコールがかな
り蒸発してコーティング液の粘度が上がり回転終了時に
は液の再移動が妨げられることも寄与しているものと思
われる。
【0032】コーティング液を前記基材表面に塗布した
後に、60℃以上300℃以下で塗布液の乾燥を行う。
直接300℃以上の加熱焼成を行うと層内に含有されて
いる有機物が一度に気化するため、急な体積変化による
皮膜のひび割れや分解ガスの大量の発生によるミクロポ
アが多く生じて強固な皮膜とはならない。このため乾燥
は上記のアルコールの蒸発が盛んになる60℃以上、多
くの脂肪酸の沸点に近く後記の加熱焼成温度の300℃
以下が好ましい。
【0033】乾燥後、300〜900℃に加熱焼成して
コーティング液の熱分解を行う。300℃以下の焼成温
度では、結晶化が不十分であり、900℃以上の焼成温
度では、チタンやチタン合金表面の高温酸化が急速に進
行して、コーティング層が剥離しやすくなり、さらにチ
タンやチタン合金の結晶粒が粗大化して、機械的強度が
劣化する。コーティング層の厚さが不足する場合には、
必要に応じて塗布〜焼成の操作を繰り返して所望の厚さ
とすることができる。
【0034】加熱焼成してリン酸カルシウム化合物コー
ティング層が形成された基材は、100℃から200℃
の塩化カルシウム水溶液中で水熱処理してコーティング
層の改質を行うことが望ましい。塩化カルシウム水溶液
でなくともハイドロキシアパタイトまたはβ−TCP粉
末の懸濁液を用いてもよいが、溶液中に大量のカルシウ
ムイオンが存在し、こびり付いた粉末の除去操作をする
必要がない塩化カルシウム溶液の方が好適である。この
ような水熱処理によって、リン酸カルシウム化合物の結
晶性を向上させ、加熱焼成直後のコーティング層中に残
留している未反応のリンの化合物をリン酸カルシウム化
合物へ転化させることができる。
【0035】本発明の薄層コーティングを有する材料
は、すでに述べたように外部からの応力(衝撃、摩擦、
引張り、圧縮、ねじり)に対して十分な強度を有し、化
学的に安定であることから、医療材料以外、例えば電子
部品などにも応用が可能である。
【0036】すでに述べたように、これらの基材は通常
歯科及び整形外科分野で用いられる人工歯根や骨固定具
等である。塗布熱分解法においては、以下三つの側面か
らこれら基材にコーティングを行うのには大変な根気と
労力を要することになる。まず第一にこれら基材は非常
に小さく、ハンドリングに細心の注意をしなければなら
ないことである。指先ないしはピンセットで操作する作
業はハンドリングという概念から外れている。これらの
基材そのままではまさに作業能率の低下や紛失の危険に
さらされる。第二に各操作(工程)において各装置はそ
れぞれ固有の固定ジグを持っているために、例えば遠心
機には遠心機に合ったジグへ装着すれば、次には基材を
1個1個外し、乾燥器には乾燥器に合ったジグへ装着し
直さなくてはならない。よって第一、第二の問題点を解
決するためには、各装置・器具に共通した最大公約数を
取った固定ジグでかつハンドリングが容易なものを用意
し、あらかじめその固定ジグへ装着してから各操作(工
程)にはいるようにすればよい。基材の大きさにもよる
が、人工関節のような大型のものでは単数、人工歯根の
ような小型の物ならば100個前後装着できるものと思
われる。第三には塗布熱分解法においては工程が多いた
めにたとえ上記の共通の固定ジグを用いたとしても、工
程間の移行が煩雑となる。人が操作することによる汚
染、大量の製品を装着した固定ジグを丸ごと落下させる
危険性等を避けるためには、工程を出来るだけ自動化す
ることが必要である。
【0037】以下に一例を挙げる。 (1) ツーピースタイプの人工歯根を想定する。 (2) 耐熱性のステンレス板に約10mm間隔に林立させ
たステンレス製の上部構造を用意する。上部構造の数は
必要に応じて設定すべきであるが、16〜32個とする
のが扱いやすい。裏面の重力中心部にはスピードコント
ロールモーターと容易にジョイントできるように軸を出
しておく。 (3) これらの上部構造にブラスト及び酸エッチングを終
えたチタン製の下部構造の人工歯根をねじ込んで確実に
固定する。 (4) スピードコントロールモーターの回転軸を下向きに
して固定ジグをジョイントさせる。一体となったこれら
を各器具・装置が円形に配置された円形のセンターライ
ンを円形に移動できるように吊下げて固定する。 (5) ペロブスカイト(数回コーティングされた後にはア
パタイト)を生成する塗布液が入った容器上に移動し、
液面の位置を認識できるセンサーとともに下降させ、所
定の位置まで人工歯根が液にディッピングされた時点で
自動的に引き上げさせる。 (6) センサーが離れるとともにモータは回転を始め、設
定された回転数で回転する。この時余分な塗布液は飛散
される。飛散された液は塗布液容器に還流できるように
する。つまり容器の上に漏斗状のブースが設置されてい
る。 (7) モーターごと固定ジグはブースの上に上昇し、モー
ターの軸から外され、1m以上の長い耐熱性ステンレス
の軸にジョイントし直される。 (8) 次にこの塗布液の入ったブースから移動し、耐熱性
ステンレスの軸に取り付けられた固定ジグは、所定の温
度に加熱されたステンレス製の円筒状の乾燥装置の上に
来る。直ちにジグは下降し、その温度で所定の時間乾燥
すると引き上げられる。 (9) 続いて所定の温度に加熱されたセラミックス製の炉
心管を備えた管状炉の上に移動する。直ちにジグは下降
し、その温度で所定の時間加熱焼成すると引き上げられ
る。 (10)数分間空冷させる。 (11)(4)に戻りスピードコントロールモーターの軸と再
ジョインとし、(5)〜(10)の操作を所定のコーティング
回数になるまで繰り返す。ここでは各器具・装置は円形
に配置されていたが、直線状に配置され、基材が固定装
着されたジグをその配置に沿って移動させる形もあり得
る。
【0038】
【発明の実施の形態】実施例実施例1 炭酸カルシウムを1×10-1〜1×10-2Paの真空に
保持しながら1050℃で2時間加熱し、酸化カルシウ
ムとした。この酸化カルシウム2.80gと2−エチル
ヘキサン酸24.82gを還流冷却器付きのフラスコに
入れ、約120℃に加熱し溶解させた。これを二つ調製
した。そのうちの一つにチタンイソプロポキシドを原子
比でCa/Ti=1となるように14.21g入れて混
合し、1−ブタノール120gで希釈してペロブスカイ
トコーティング液とした。さらにもう一つにリン酸ジ
(2−エチルヘキシル)を原子比でCa/P=1.67
となるように9.67g入れて混合し、少量の水を加え
1−ブタノール40gで希釈してアパタイトコーティン
グ液とした。
【0039】7×5×2.5mmのJIS1種チタン小
片の表面を#70のアルミナブラストで粗面化し、さら
に沸騰した20%塩酸に15分間浸漬し酸洗した後、ペ
ロブスカイトコーティング液を塗布し、100℃で20
分間乾燥させた後、600℃で20分焼成した。この塗
布〜焼成の操作を計4回繰り返した。X線回折による結
晶相の同定を行ったところ、チタン小片からの金属チタ
ンの他には少量のルチル型の二酸化チタンTiO2 と明
瞭なペロブスカイトCaTiO3の回折ピークが得られ
た。さらにアパタイトコーティング液を塗布し、100
℃で20分間乾燥させた後、650℃で20分焼成し
た。この塗布〜焼成の操作を計6回繰り返した。コーテ
ィング終了後に、沸騰した1M塩化カルシウム水溶液に
1時間浸漬し、純水でよく洗浄した。X線回折による結
晶相の同定を行ったところ、前記の結晶相の他にはアパ
タイトCa5(PO4)3(OH)と少量のβ−TCP Ca
3(PO4)2の固有の回折ピークが得られた。さらにEP
MA(電子線マイクロアナライザー)による断面分析か
ら、チタン酸化物ないしはチタンとカルシウムの複合酸
化物の層はほぼ一体となって母材の金属チタンに密着
し、その厚みは凸部で約2μm凹部で約1μm、リンと
カルシウムの複合酸化物層はその上に積層されその厚み
は凸部で約1μm凹部で約2μmとなっていた。ブラス
トによる粗面の形状は凸部は急峻な山の先端、凹部はな
だらかな盆地に相当するので、凹部の厚みが大きいリン
とカルシウムの複合酸化物層の方が量としては多い。
【0040】なお、アパタイトコーティング液を少量取
り、溶媒を蒸発乾固してから650℃で1時間焼成した
後、生成した粉末を赤外線吸収スペクトル分析したとこ
ろ、OH-とCO3 2-の吸収スペクトルが見られた。これ
はアパタイトが生体骨と同様の炭酸イオンを含むハイド
ロキシカーボネートアパタイトであることを示す。よっ
て、金属チタン基材上に高温酸化によるルチル型の二酸
化チタンTiO2が形成され、中間層としてペロブスカ
イトCaTiO3 、さらに表面層に生体親和性のあるハ
イドロキシアパタイトCa5(PO4)3・OHとβ−TC
P Ca3(PO4)2の混合相の計4層(金属チタンも含
めて)が積層されていたことになる。
【0041】アパタイトコーティング試料と酸洗のみ行
ったチタン試料を121℃のオートクレーブで1時間保
持して滅菌した後、家兎の脛骨の皮質骨上に載せるよう
な形で縛って固定して埋入し、4週間後に引張り接着強
度を測定した。4週間後では、アパタイトコーティング
試料は骨と強固に接着しており、引張り接着強度(1.
2〜2.9MPa)は既にアパタイト焼結体について文
献で報告されている値と比較しても同程度かやや大きか
った。また接着様式は部分接着であり、骨が直接接して
いない所では血管・骨芽細胞・破骨細胞・及びその他骨
髄細胞等の介在が見られた。そのような所では盛んに骨
のリモデリング(骨の新陳代謝)が行われていると思わ
れる。比較として、チタン試料においても骨との直接的
接触が見られたが、強度的にアパタイトコーティング試
料に比べ劣り(0.3〜0.4MPa)、接着に関して
両者の間には質的な差異があった。2年後にはアパタイ
トコーティング試料、チタン試料ともに皮質骨や海綿骨
に包み込まれるように骨内に取り込まれていた。どちら
も旺盛な骨のリモデリングは見られなかったが、安定的
に骨と接合していた。薄膜アパタイトコーティング試料
は、チタン試料と比較して骨との初期固定性に優れ、さ
らにアパタイトコーティングが骨との置換・溶解によっ
て消失し、ペロブスカイトコーティング層が表われる時
期においても、骨との接合は安定である。
【0042】実施例2 実施例1と同様にしてペロブスカイトコーティング液及
びアパタイトコーティング液を調製した。JIS1種チ
タン材の15φ×1mm円板及び4φ×10mm円柱、
Ti−6Al−4V合金製の50×8×1mmプレート
及び3φ×30mmスクリュー(ネジ)を、沸騰させた
30%蓚酸中に30分間浸漬し酸洗した後、実施例1と
同様にしてペロブスカイトコーティング、アパタイトコ
ーティング、塩化カルシウム水熱処理さらにオートクレ
ーブ滅菌を行った。円板と円柱は雑種成犬背部皮下及び
大腿骨内にそれぞれ5〜10cm及び1〜2cmずつ離
して埋入した。埋入2、4及び8週後に周囲組織ごと取
り出し、病理組織標本を作製した後組織観察した。ま
た、プレートは大腿骨の皮質骨上に置き、ネジで固定し
て、4及び8週後に骨性癒着度評価を行った。なおプレ
ートはプライヤーとプレートベンダーを用いて骨の湾曲
に沿って曲げ、またネジ穴はあらかじめ骨にタッピング
しておいた。
【0043】ペロブスカイトコーティング試料の皮下組
織反応は、すべての期間にわたって材料周囲に出来た繊
維性結合組織被膜は薄く、炎症性細胞浸潤も認められな
かった。4週後の骨組織反応では、皮質骨部では間隙に
新生骨は形成されているが、試料表面への接合はあまり
認められなかった。髄腔内でも骨は形成されているが、
試料への接合はほとんど見られなかった。アパタイトコ
ーティング試料の皮下組織反応も、繊維性結合組織被膜
は薄く、また炎症性細胞浸潤も認められなかった。4週
後の骨組織反応では、皮質骨内で新生骨が間隙を埋めて
おり、試料表面にほぼ接合していた。髄腔内でも旺盛な
骨形成が見られ、骨梁がかなりの部分で表面に接合して
いた。なお、比較のため行った酸洗のみのチタン試料の
皮下組織反応では、4、8週でやや繊維性結合組織被膜
が厚かったほかは、炎症性細胞浸潤も少なく、組織反応
はまずまず良好だった。4週後の骨組織反応では、皮質
骨部では界面での骨形成はほとんどなく、従って試料へ
の接合は認められなかった。界面には繊維性の結合組織
(異物膜)が介在していると思われる。髄腔内でも骨形
成は少なく、試料表面への接合もほとんど認められなか
った。
【0044】骨固定具としてのプレート及びネジの骨性
癒着度評価では、ペロブスカイトコーティング試料はネ
ジは比較的容易に抜くことができ、プレートもやや骨性
癒着があったが、プライヤーで問題なく除去することが
できた。一方、アパタイトコーティング試料では、骨性
癒着が進んでおり、ネジはドライバーを慎重に強く回し
ながら抜くことができたが、プレートはプライヤーでつ
かんで動かそうと試みた結果、骨に損傷を与えることに
なったので結局中止した。特に8週後の試料は骨と一体
化しており、引き剥がすことは困難だった。なお、プレ
ートはプライヤーとプレートベンダーを用いて骨の湾曲
に沿って曲げたが、その作業によってコーティング層が
剥離した形跡は見られなかった。一方、比較のため行っ
た酸洗のみのチタン試料では、4及び8週ともネジは容
易に抜け、同時にプレートもすぐ取ることができた。
【0045】実施例3 実施例1と同様にしてペロブスカイトコーティング液及
びアパタイトコーティング液を調製した。3φ×30m
mのTi−6Al−4V合金製のスクリュー(ネジ)
を、沸騰させた30%蓚酸中に30分間浸漬し酸洗した
後、実施例1と同様にしてペロブスカイトコーティン
グ、アパタイトコーティングさらに塩化カルシウム水熱
処理を行った。5本の試料について、ネジの円周方向に
幅約1mm、長手方向にネジの頭の直下から先端にわた
って、研磨用#130の回転砥石で研削し、金属チタン
部分やコーティング界面を帯状に露出させた。部分的に
ネジ山は研削されたが、その周囲のネジ山はほとんど潰
されず、ネジとしての機能は維持された。
【0046】別の5本の試料について、遠心機のアング
ルの中心部から約12.5cmの位置に、1mmφのチ
タンワイヤーで梁を作り、やはり1mmφのチタンワイ
ヤーでフックと3.5φのループを作り、ループにネジ
を入れ、梁に吊るした。チタンワイヤーは600℃で1
時間応力除去焼鈍を施し、軟化させておいた。遠心機を
毎分2000回転に設定して回転させると、所定の回転
数に到達後ほとんど10秒以内でチタンワイヤーの梁は
遠心力に耐えられず曲がって両端の支点から外れ、試料
はアルミニウム合金製の内壁にピシッという音とともに
激突した。遠心加速度は重力の加速度をGとすると、
0.125×(2×π×2000/60)2/9.8=56
0(G)となり、試料は回転の接線方向に0.125×
2×π×2000/60=26(m/s)=94(km/
h)の初速度で放たれると計算される。遠心機内部はほ
ぼ密閉されており、アングルの回転により内部流体(空
気)もその方向へ回転しており、放たれた試料もほとん
ど減速なく、アルミニウム合金製の内壁に衝突したもの
と思われる。上記試料を121℃のオートクレーブで1
時間保持して滅菌した。家兎の脛骨にタッピングしてか
ら、ネジを埋入した。1、2、4、8、16週後、周囲
組織ごと取り出し、乾燥しエポキシ樹脂に埋め込み、慎
重に研磨し、低真空SEMでコーティング層の断面観察
を行った。(a)骨外(大部分はネジの頭) (b)骨
皮質 (c)骨髄 の各組織におけるチタン基材とコー
ティング層界面の状態を下表に示した。
【表2】
【0047】アルミニウム合金製の内壁に衝突させた試
料で、埋入第2週の試料は一部分にコーティング剥離が
見られたが、その部分のチタン合金基材につぶれたよう
な変形が見られたことから、明らかな衝突の跡と考え
る。16週までの期間でネジにコーティングされた膜の
剥離はほとんどないことから、骨へのねじ込みによるコ
ーティング層の剥離、切削による切削近傍での剥離の伝
播、衝撃による剥離の伝播及び過酷な腐食環境である生
体内における繰返し応力による剥離の伝播はいずれも起
こる確率は極めて低く、このコーティングの剥離への耐
性がきわめて高いことを示している。
【0048】実施例4 実施例1と同様にしてペロブスカイトコーティング液及
びアパタイトコーティング液を調製した。3t×100
×25mm のJIS2種チタン板の両面を#60のア
ルミナ粒子でブラスチングを行った後、20%塩酸中に
20分間浸漬して酸洗を行った。引き続き、アパタイト
コーティングを12回行ったこと以外は実施例1と同様
にしてペロブスカイトコーティング、アパタイトコーテ
ィングさらに塩化カルシウム水熱処理を行った。
【0049】JISK6850「接着剤の引張りせん断
接着強さ試験方法」に基づき、次のように試料の準備及
び測定を行った。2枚のチタン板の先端25×12.5
mmの部分に接着剤アラルダイトXD911を薄く塗り
貼り合わせた後、輪ゴムで固定し、約100gの荷重を
かけ、120℃90分加熱した後、炉冷した。なお、塗
布はプラスチックへらで行い、はみ出して固化した分は
カッターで切り込みを入れ接着面積に影響しないように
した。接着して一体となった2枚のチタン板の両端を油
圧式MR型万能試験機にチャッキングし、荷重速度50
0kgf/分で引っ張り試験を行った。試験は4組行っ
た。その結果は次の通りである。
【表3】
【0050】破断面の定性分析をEPMAで行った。破
断面は対になった両面ともカルシウムとリンが一様に分
布しており、チタン板とコーティング界面ではなく、コ
ーティング層内で破断した様子が見られた。1組の試験
片では2枚の試料が使われているが、そのどちらか弱い
方の試料が先に破断したことになるから、実質的には8
試料の試験を行ったことになる。また、接着剤のみの試
験でも言えることだが、このような層内割れでは層の厚
みが薄い方がせん断破断荷重は大きくなる。今回ハイド
ロキシアパタイトを12回と実施例1の6回の2倍塗布
したから、実施例1のような6回塗りではさらにせん断
接着強さは大きくなると思われる。
【0051】
【発明の効果】まず第一に、塗布熱分解法ペロブスカイ
トコーティングを最表面層とすることによって、基材よ
り生体親和性があり、自己修復性があり、さらにアパタ
イトのように強烈な骨伝導性がないためにかえって手術
後取り出しやすい医療材料を得ることができた。第二
は、臨床において激しい衝撃及び引張り・圧縮・ねじり
の各応力が加えられても、剥離することなく過酷な生体
内での腐食に耐えながら優れた骨伝導性を維持できるこ
とから、塗布熱分解法ペロブスカイトコーティング層と
塗布熱分解アパタイトコーティング層による二層コーテ
ィング複合材の医療材料としての最適の用途を見出すこ
とができた。第三には、塗布熱分解コーティングに適し
た自動生産工程を提示することによって、製品を大量か
つ安全に供給できる生産体制を得ることができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61F 2/30 A61F 2/30 2/44 2/44 Fターム(参考) 4C059 AA08 4C060 LL13 LL15 MM24 4C081 AB03 AB04 AB05 AB06 BA17 BB04 BB08 CB02 CB03 CB05 CF012 CF022 CF032 CF121 CF142 CF151 DA01 DA02 DC03 DC04 DC05 DC14 EA02 EA04 EA05 EA06 4C097 AA03 AA10 BB01 CC02 CC03 DD06 DD07 DD09 DD10 FF03 FF04 MM05 SC07

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に、カルシウムの有機化合物とチタ
    ンの有機化合物が有機溶媒中に含有されたコーティング
    液を塗布し加熱焼成することによって、主としてペロブ
    スカイトから成る層を設けることを特徴とするチタンま
    たはチタン合金製の医療材料。
  2. 【請求項2】 名称をネジ(スクリュー)、人工歯根、
    人工関節、脊椎椎体固定用ケージ、プレート、髄内釘
    (ネイル)、鋼線(キルシュナーワイヤー)、脊椎推弓
    フック、ナットとワッシャー、ワイヤー固定用スリーブ
    及びネイルエンドキャップとする請求項1に記載の医療
    材料。
  3. 【請求項3】 チタンの有機化合物を、チタンアルコキ
    シドまたは脂肪酸チタンとする請求項1に記載のコーテ
    ィング液の製法。
  4. 【請求項4】 主としてペロブスカイト層が形成された
    表面に、さらにカルシウムの有機化合物とリンの有機化
    合物が有機溶媒中に含有されたコーティング液を塗布し
    加熱焼成することによって主としてリン酸カルシウム化
    合物から成る層を10μm以下の厚さに設けることを特
    徴とする請求項1に記載のチタンまたはチタン合金製の
    医療材料。
  5. 【請求項5】 リン酸カルシウム化合物から成る層が、
    ハイドロキシアパタイトとβ−TCPのそれぞれの単層
    か、またはこれらの混合層である請求項4に記載の医療
    材料。
  6. 【請求項6】 名称を ネジ(スクリュー)、人工歯
    根、人工関節、脊椎椎体固定用ケージとする請求項4に
    記載の医療材料。
  7. 【請求項7】 加熱焼成後に、コーティング層が形成さ
    れた基材を塩化カルシウム水溶液中に入れ、100〜2
    00℃で水熱処理を行う請求項1及び4に記載の医療材料
    の製法。
  8. 【請求項8】 コーティング液を塗布する際に、コーテ
    ィング液を基材に大量に塗布した後、遠心力を用いて余
    分なコーティング液を除去し、所定の塗膜厚を得る請求
    項1及び4に記載の医療材料の製法。
  9. 【請求項9】 単数または複数の装置を円形または直線
    状に配置させ、ジグに固定装着させた単数または複数の
    基材をその配置に沿って自動的に移動させ、さらにコー
    ティング層を形成させるための操作を順次自動的に行わ
    せることを特徴とする請求項1及び4に記載の医療材料
    の製法。
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