JP3324989B2 - インナーミラーの脱落構造 - Google Patents

インナーミラーの脱落構造

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両に搭載される
インナーミラーに係り、特に、運転者との衝突時等、イ
ンナーミラーに外力が作用した際には、即時にこのイン
ナーミラーを脱落させて衝突による危険を回避し得るイ
ンナーミラーの脱落構造に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、乗用車やトラック等の車両のフ
ロントガラス上部近傍には、後方視認用のインナーミラ
ーが搭載されている。インナーミラーは、後方の安全を
確認する上で必要不可欠なものであるが、取付位置が運
転者の頭部に近接しているため、車両を急停止させたと
きや、車両が衝突した場合には、運転者の頭部がこのイ
ンナーミラーと衝突することがあり、思わぬ怪我につな
がることがあった。そこで、従来においては、運転者頭
部との衝突等によりインナーミラーに外力が加えられた
場合には、即時にこのインナーミラーを脱落させること
により、運転者との衝突による危険を回避するための脱
落機構を具備したインナーミラーが実用に共されてい
る。
【0003】このようなインナーミラーの従来例として
は、例えば、特公平4−49000号公報に記載された
ものが知られている。図12は、この従来例に記載され
たインナーミラーの構成を示す説明図であり、このイン
ナーミラーは車体に固定されるベース21と、ベースス
テー22と、ルームミラー用のステー23とから構成さ
れている。そして、ステー23とベースステー22とは
スクリュー24と皿バネ25との係合により固定され、
ベースステー22とベース21との間はコ字状の凹凸面
とCリング26とにより固定されている。そして、ステ
ー23を回転させる方向に外力が加えられた時には、皿
バネ25が撓むことによりステー23とベースステー2
2との係合が外れ、ステー23をスライドさせる方向に
外力が加えられた時には、Cリングが撓むことにより、
ベースステー22とベース21との係合が外れることに
より、ルームミラーが脱落するようになっている。
【0004】しかしながら、このような従来におけるイ
ンナーミラーの脱落構造においては、外力が加えられる
方向が回転方向であるか、スライド方向であるかによ
り、皿バネ25が撓んで外れる場合と、Cリング26が
撓んで外れる場合とがあり、インナーミラーが脱落する
条件となる荷重の大きさにばらつきが発生し、安定性が
悪いという欠点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、従来
におけるインナーミラーの脱落構造においては、インナ
ーミラーに対し、外力が加えられる方向によりインナー
ミラーの脱落の条件が異なるので、脱落するための荷重
にばらつきが発生するという欠点があった。
【0006】この発明はこのような従来の課題を解決す
るためになされたものであり、その目的とするところ
は、外力の加えられる方向によらず、ほぼ同一の大きさ
の外力が作用したときに安定して脱落するインナーミラ
ーの脱落構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本願請求項1に記載の発明は、インナーミラーに固
定されたステーを、車両内部の天井部適所に設置された
ベースに係合させて固定し、前記インナーミラーに外力
が加えられた際には、前記ステーとベースとの係合部を
離脱させることにより、外力による衝撃を回避するイン
ナーミラーの脱落構造において、前記ベースの、前記ス
テーとの連結面には、内側に鈍角的に折り曲げられた一
対のリップ面が形成され、前記ステーの、前記ベースと
の連結面には、サポート部材及びスプリング部材が設置
され、前記サポート部材は、前記ステーに固定される基
部と、該基部の対向する2辺からほぼ直角方向に立ち上
がる側面部と、該側面部の端辺から略直角方向外側に折
り曲げられたフック部と、から構成され、前記スプリン
グ部材は、C字形状部と、該C字形状部の両端部から内
側に向けて折り曲げられた折り曲げ部と、から構成さ
れ、前記サポート部材のフック部を前記スプリング部材
のC字形状部に嵌合させると共に、該C字形状部を前記
ベースのリップ面に係止して、前記ステーをベースに固
定し、前記インナーミラーに外力が加えられた際には、
前記C字形状部がリップ面から外れることにより、当該
インナーミラーを脱落させることが特徴である。
【0008】また、請求項2に記載の発明は、前記ベー
スに形成されたリップ面は、内側が円錐面形状とされた
ことを特徴とする。請求項3に記載の発明は、前記スプ
リング部材の折り曲げ部は、C字形状部の面に対して略
直交する方向に突起するへ字形状に構成され、前記ベー
スの、ステーとの連結面には、前記へ字形状部と係合し
て、インナーミラーの前後方向へのガタつきの発生を阻
止するガタ止め突起を形成したことを特徴とする。
【0009】上述の如く構成された本発明によれば、ス
テーの、ベースとの連結面にサポート部材を固定し、更
に、このサポート部材のフック部にスプリング部材を係
止し、このスプリング部材の外周部をベースに形成され
たリップ面内側の円錐面に係止させる。そして、衝突等
によりミラー本体に外力が加えられた場合には、サポー
ト部材のフック部がスプリング部材を押しつける方向に
力が加えられるので、スプリング部材はリップ面を摺動
して、該リップ面から脱落することになり、これによ
り、ミラー本体がベースから脱落する。
【0010】スプリング部材は円錐面と接触して固定さ
れているので、力の加えられる方向に関わらず、ほぼ同
一の力が加えられたところでミラー本体がベースから脱
落することになる。これにより、ミラー本体に外力が加
えられた際には確実にこれを脱落させることができ、衝
突による危険を回避することができる。
【0011】また、脱落したミラー本体を再度ベースに
取り付ける際には、サポート部材に組み付けられた状態
にあるスプリング部材のC字形状部をベースのリップ面
に沿って挿入すれば、円形スプリングが若干内側に撓ん
だ状態で2つのリップ面の間に納められることにより、
極めて容易に取り付けることができるようになる。更
に、ステーとベースとを固定した際には、スプリング部
材の折り曲げ部に形成されたヘ字形状の突起がベースに
形成されたガタ止め突起と接触することになるので、ミ
ラー本体の前後方向へのガタつきを防止することができ
る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。図1は、本発明に係る脱落構造が適
用されたインナーミラーの構成を示す説明図であり、同
図に示すように、このインナーミラーはベース1、ステ
ー2及びミラー本体4から主として構成され、車両のフ
ロントガラス13にはベース1が固定され、更に、この
ベース1に対してステー2が着脱可能に係合され、且
つ、このステー2の先端部に形成された球状継手3にミ
ラー本体4が傾動可能に軸支されている。従って、運転
者は、このミラー本体4の角度を適宜変更することがで
き、後方視野範囲を選択することができる。
【0013】図2はベース1とステー2との連結面の構
成を示す説明図、図3は図2におけるA−A断面図、図
4は同B−B断面図、図5は、同C−C断面図、図6は
同D矢視図をそれぞれ示している。また、図7(a)
は、ベース1の、ステー2との連結面を示し、同図
(b)は同図(a)に示すリップ面6を裏面側から見た
図である。
【0014】図7(a)に示すように、ベース1とステ
ー2との接触面は、略矩形状を成しており、ベース1側
の4隅部にはそれぞれベースダボ5が形成され、このベ
ースダボ5がステー2の取付面と接触して固定される
(図6参照)。また、ベース1側の、互いに対向する2
辺に沿ってリップ面6が形成されており(図4参照)、
該リップ面6は、端部が内側に鈍角的に折り曲げられて
おり、この内面の中央部は図7(b)に示すように、円
錐面10とされている。なお、図7(b)に示す符号s
に示す斜線部分は、貫通している部位を示している。
【0015】更に、ベース1のステー2との接触面に
は、図7(a)の符号pに示す前後方向(車体の前後方
向)のガタ止め面及び符号qに示す左右方向(車体の左
右方向)のガタ止め面がそれぞれ形成されており、ベー
ス1とステー2とを連結した際に、ステー2がこのガタ
止め面p,qと接触することにより前後方向、左右方向
のガタつきを防止している。また、図5、図7(a)に
典型的に示されるように、ベース1には、断面三角形状
に突起したガタ止め突起11が2個所に形成されてお
り、後述するように、ステー2をベース1に連結した際
には、円形スプリング8の折り曲げ部8bのヘ字状突起
部分がこのガタ止め突起11と係合することにより、前
後方向のガタつきを防止する。
【0016】図4に示されるように、ステー2とベース
1とは、サポート部材7及び円形スプリング8(スプリ
ング部材)とにより脱落可能に連結されている。図8
は、サポート部材7の構成を示す斜視図であり、同図に
示すように、このサポート部材7は、中央部に透孔7d
が穿設された基部7aと、該基部7aの対向する2辺か
ら直角方向に立ち上がる側面部7bと、この側面部の端
部から外側に折り曲げられたフック部7cとから構成さ
れている。そして、図4に示すように基部7aに穿設さ
れた透孔7dにスクリュー9を挿通させ、これをステー
2に螺合させることにより、サポート部材7はステー2
に固定される。
【0017】図9は、円形スプリング8の構成を示す斜
視図であり、図示のように、この円形スプリングは、弾
力性を有する線バネにて構成され、一部が欠切された円
形状を成すC字形状部8aと、このC字形状部8aの2
つの端部からC字状の内側へほぼ平行に折り曲げられた
折り曲げ部8bと、から構成され、更に、該折り曲げ部
8bはそれぞれ上方向に向けてへ字形状に屈曲されてい
る。
【0018】そして、図2、図4に示されるように、サ
ポート部材7のフック部7cの端部(合計4個所)は、
それぞれ円形スプリング8に係合され、且つ、この円形
スプリング8はベース1に形成された円錐面10(図7
(b)参照)に係合されるので、円形スプリング8の付
勢力(円形スプリング8が円錐面10を押しつける力)
により、該円形スプリング8はベース1に固定され、ひ
いてはステー2がベース1に固定されることになる。ま
た、円形スプリング8の折り曲げ部8bは、へ字形状に
上方に突起しているので、この突起部分が、ベース1に
形成されたガタ止め突起11(図5参照)の傾斜面と接
触することになる。
【0019】次に、上記の如く構成された本実施形態の
作用について説明する。本実施形態の脱落機構が適用さ
れたインナーミラーにおいて、ステー2をベース1に固
定する際には、まず、図4に示すようにサポート部材7
の4隅に円形スプリング8のC字形状部8aを係止さ
せ、更に、スクリュー9を用いてサポート部材7をステ
ー2に締め付け固定する。その後、図5の矢印Y5に示
す方向から円形スプリング8のC字形状部8aをリップ
面6に沿って挿入すれば、円形スプリング8が若干内側
に撓んだ状態で2つのリップ面6の間に納められ、各リ
ップ面6を内側から外側に押しつける方向に付勢力が作
用するので、この付勢力によりステー2をベース1に固
定することができる。
【0020】また、ベース1側に形成されたベースダボ
5が、ステー2側の取付面と接触し(図6参照)、前後
方向ガタ止め面p、左右方向ガタ止め面qによりステー
2の横ズレが防止でき、且つ、円形スプリング8の折り
曲げ部8bがガタ止め突起11と接触するので、ステー
2をベース1に取り付けた状態において、ガタつきの発
生を防止することができる。
【0021】そして、図1に示すミラー本体4に外力が
作用した場合には、図10の矢印Y1,Y2に示す方向
からの力が加えられることになるから、サポート部材7
のフック部7cが円形スプリング8を押しつけることに
なり、この力により、円形スプリング8には矢印Y3,
Y4に示す方向から力が加えられるので、円形スプリン
グ8は、ベース1に形成されたリップ面6の内側を摺動
しながら内側に押し縮められ、図11に示すようにリッ
プ面6の先端部内径よりも小さくなった時点で、円形ス
プリング8はベース1から脱落することになり、ひいて
は、ステー2がベース1から脱落する。これにより、衝
突時の衝撃を回避することができる。
【0022】また、図7(a)、(b)に示したよう
に、リップ面6の中央部内面側は円錐面10に形成され
ており、円形スプリング8はこの円錐面10に当接され
るので、外力の加えられる方向に関わらず、円形スプリ
ング8が変形することになり、ほぼ一定の力でステー2
がベース1から脱落することになる。
【0023】このようにして、本実施形態におけるイン
ナーミラーの脱落構造では、サポート部材7及び円形ス
プリング8を使用してステー2をベース1に連結してお
り、また、ベース1に形成された円錐面10に円形スプ
リング8が係止されて固定される構成であるので、ベー
ス1に対してステー2を簡単に組み付けることができ、
また、外力の加えられる方向に関わらず、ほぼ一定の力
にてミラー本体を脱落させることができるので、運転者
の頭部が衝突した場合等において、ミラー本体を確実に
脱落させて衝撃を回避することができると共に、小さい
力でむやみに脱落するというトラブルも回避することが
できる。
【0024】更に、円形スプリング8の折り曲げ部8b
に形成されたヘ字状の突起がベース1に形成されたガタ
止め突起11と接触することにより、ステー2の前後方
向へのガタつきを防止することができる。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るイン
ナーミラーの脱落構造では、ステーにサポート部材を固
定し、更に、このサポート部材のフック部にスプリング
部材を係止し、このスプリング部材のC字形状部をベー
スのリップ面に係止しているので、外力の作用する方向
に関わらずほぼ一定の力が作用した時点でミラー本体を
脱落させることができる。また、スプリング部材を内側
に押しつけることによりワンタッチ操作でステーをベー
スに固定することができるので、一旦脱落したステーを
簡単にベースに固定することができる。
【0026】更に、ステーをベースに固定した際には、
スプリング部材の折り曲げ部に形成されたヘ字状の突起
が、ベースに形成されたガタ止め突起と接触するので、
前後方向へのガタつきを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の脱落機構が適用されるインナーミラー
の構成を示す外観図である。
【図2】ベースとステーとの連結面の様子を示す説明図
である。
【図3】図2におけるA−A断面図である。
【図4】図2におけるB−B断面図である。
【図5】図2におけるC−C断面図である。
【図6】図2におけるD矢視図である。
【図7】(a)は、ベースの、ステーとの連結面を示す
説明図であり、(b)は、(a)に示したリップ面の裏
面側の様子を示す説明図である。
【図8】サポート部材の構成を示す斜視図である。
【図9】円形スプリングの構成を示す斜視図である。
【図10】ミラー本体に外力が加えられたときに、サポ
ート部材に加えられる力の方向を示す説明図である。
【図11】円形スプリングがリップ面から脱落する様子
を示す説明図である。
【図12】従来におけるインナーミラーの脱落機構の構
成を示す説明図である。
【符号の説明】
1 ベース 2 ステー 3 球状継手 4 ミラー本体 5 ベースダボ 6 リップ面 7 サポート部材 7a 基部 7b 側面部 7c フック部 7d 透孔 8 円形スプリング(スプリング部材) 8a C字形状部 8b 折り曲げ部 9 スクリュー 10 円錐面 11 ガタ止め突起 13 フロントガラス p 前後方向ガタ止め面 q 左右方向ガタ止め面
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60R 1/04

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インナーミラーに固定されたステーを、
    車両内部の天井部適所に設置されたベースに係合させて
    固定し、前記インナーミラーに外力が加えられた際に
    は、前記ステーとベースとの係合部を離脱させることに
    より、外力による衝撃を回避するインナーミラーの脱落
    構造において、 前記ベースの、前記ステーとの連結面には、内側に鈍角
    的に折り曲げられた一対のリップ面が形成され、 前記ステーの、前記ベースとの連結面には、サポート部
    材及びスプリング部材が設置され、 前記サポート部材は、前記ステーに固定される基部と、
    該基部の対向する2辺からほぼ直角方向に立ち上がる側
    面部と、該側面部の端辺から略直角方向外側に折り曲げ
    られたフック部と、から構成され、 前記スプリング部材は、C字形状部と、該C字形状部の
    両端部から内側に向けて折り曲げられた折り曲げ部と、
    から構成され、 前記サポート部材のフック部を前記スプリング部材のC
    字形状部に嵌合させると共に、該C字形状部を前記ベー
    スのリップ面に係止して、前記ステーをベースに固定
    し、前記インナーミラーに外力が加えられた際には、前
    記C字形状部がリップ面から外れることにより、当該イ
    ンナーミラーを脱落させることを特徴とするインナーミ
    ラーの脱落構造。
  2. 【請求項2】 前記ベースに形成されたリップ面は、内
    側が円錐面形状とされたことを特徴とする請求項1記載
    のインナーミラーの脱落構造。
  3. 【請求項3】 前記スプリング部材の折り曲げ部は、C
    字形状部の面に対して略直交する方向に突起するへ字形
    状に構成され、 前記ベースの、ステーとの連結面には、前記へ字形状部
    と係合して、インナーミラーの前後方向へのガタつきの
    発生を阻止するガタ止め突起を形成したことを特徴とす
    る請求項1記載のインナーミラーの脱落構造。
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JP4807698B2 (ja) * 2005-03-14 2011-11-02 株式会社ホンダロック 車両用ルームミラーの結合装置
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