JP3323537B2 - 微細構造評価装置及び微細構造評価法 - Google Patents

微細構造評価装置及び微細構造評価法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は微細構造評価装置及び微
細構造評価法に関し、例えば光源手段からの光を対象物
(被測定物)上の微小領域に順次照射し、該対象物の微
細構造又は対象物面上の異物により散乱される散乱光を
検出系で光電的に検出し、その信号を解析評価すること
により微細構造の光学的評価や異物の検出等を行なっ
た、例えばエッジ評価装置、位置決め装置、そしてパタ
ーン線幅測定装置、異物検査装置等に好適なものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来より微細なパターンのエッジや線幅
そして微細パターン線等の外形状を検出し評価するよう
にした、微細構造評価装置が種々と提案されている。例
えば微細構造としてウエハ面上のパターンのエッジ部分
を検出し、レチクルとウエハとの位置合わせを行うよう
にしたエッジ検出装置が知られている。
【0003】図23は知られているエッジ検出装置の光
学系の要部概略図である。同装置ではレーザ光源2aか
らのレーザ光をビームエキスパンダー3aにより光束径
を拡大させて、スリット4aで光束径を調整して射出さ
せている。そして収束レンズ6aで収束しウエハ8a面
上のパターン10のエッジ部分10a領域を照射してい
る。尚、同図におけるx−y座標軸上の曲線A,Bは光
ビームの強度分布を模式的に示している。
【0004】パターン10のエッジ部分10aからは他
の部分に比べて多くの散乱光が発生する。そこでこのと
きの散乱光の有無又は強度を光電検知器14で検出し、
該光電検出器14からの信号を利用してパターン10の
エッジ部分10aの位置を検出している。即ちパターン
10の位置情報を検出している。
【0005】同図に示すエッジ検出装置はレーザ光を微
小スポットに収束して対象物10を走査し、エッジ部1
0aで散乱された散乱光の散乱分布特性の有無又は強度
を収束光軸に対してある角度に配置された光電検知器1
4により光電的に検出して、エッジ部10aの位置を検
出している。このときレーザ光の投光スポット形状を楕
円形に変形するためのスリットから成る光束変形手段4
aを設け、これにより楕円形の短軸方向のスポット幅を
小さくして検出分解能をあげている。
【0006】この他、従来より検査する対象物上の微小
異物の検出装置として、レーザ光を対象物に対して斜め
から照射し、異物からの散乱光をある位置に配した受光
素子にて検出する異物検査装置が提案されている。
【0007】図45は特開昭62−118206号公報
で提案されているパターン線寸法測定装置の要部概略図
である。同図においてレーザ光源156からのレーザ光
束160をハーフミラー157を介して対物レンズ15
5で集光し、振動ステージ151上に載置した被検出物
152面上のパターン153に照射している。そしてパ
ターン153からの散乱光や反射光束161を対物レン
ズ155で集光し、該パターン153を受光器158面
上に結像している。このときバイブレーター4により振
動ステージ151をパターン153の測定方向と同一方
向に振動させている。そして受光器158から得られる
信号162を信号処理部159で処理し、これよりパタ
ーン153の寸法を求めている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】図23に示すエッジ検
出装置では、収束光に対して所定の角度に配置固定した
光電検知器14により、微細構造に基づく散乱光を検出
しているため、 (1−1)散乱光の有無のみ、あるいは散乱光の一部の
強度変化しか検出していないために、エッジ部分の境界
のおおよその位置しか検出することができない。
【0009】(1−2)後述する様な形の散乱光の散乱
分布特性に含まれる微細構造情報の解析処理を行なって
いないために、微細構造の形状を評価することができな
い。
【0010】(1−3)対象物の微細構造を光学的に高
分解能で評価することが難しい。等の問題点があった。
【0011】又、従来の異物検査装置では対象物の微細
構造による散乱光と、異物による散乱光との判別が困難
で、微小異物を光学的に高分解能で検査することが難し
いという問題点があった。
【0012】図23に示す従来のパターン線寸法測定装
置では被検出物152のパターン153と光学的に共役
な位置に受光器158を配置してパターン153からの
反射光や散乱光に基づく信号を受光器158で検出し
て、これよりパターン153の寸法を測定している。こ
の為、従来のパターン線寸法測定装置は照明光学系で得
られる光束のスポット径が照明光束の1波長程度である
為、スポット径より小さな波長以下の寸法の幅を持つパ
ターン線幅を測定することができず、又パターン線の基
準面からの高さを測定することができないといった問題
点があった。本発明は、微細構造を持つ対象物上の微小
領域に光を照射した場合に微細構造や微小異物から生じ
る散乱光の散乱分布特性を検出し、その散乱分布特性に
含まれる微細構造の情報を抽出処理することにより、従
来の光学顕微鏡の持つ分解能を越えた高い分解能で微細
構造の外形状等の光学的評価を行なうことのでき、又微
小異物を容易に検出することができる微細構造評価装置
及び微細構造評価法の提供を目的とする。
【0013】この他、本発明は微細パターン線等の微細
構造を持つ対象物上の微小領域にスポット径の異なる光
を照射した場合に微細構造から生じる散乱光の散乱分布
特性を検出し、その散乱分布特性に含まれる微細構造の
情報を抽出処理することにより、従来の光学顕微鏡の持
つ分解能を越えた高い分解能で微細構造の外形状等の光
学的評価を行なうことができる微細構造評価装置及び微
細構造評価法の提供を目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明の微細構
造評価装置は、光源手段からの光束を微細構造をもつ対
象物に入射させる照明光学系と、該対象物の微細構造に
基づく散乱光の分布検出する検出系、該検出系で得
られた分布の極値の位置、数強度の少なくとも一つに
基づき該微細構造を評価する信号処理系と、を有する
とを特徴としている。請求項2の発明は請求項1の発明
において、前記信号処理系による評価は前記対象物の微
細構造の外形を検出することを含むことを特徴としてい
る。 請求項3の発明は請求項1の発明において、前記信
号処理系による評価は前記対象物の微細構造の位置情報
を検出することを含み、該信号処理系からの信号を用い
て駆動手段により、該対象物を所定位置に駆動させてい
ることを特徴としている。
【0015】請求項4の発明の微細構造評価装置は、光
源手段からの光束を微細構造をもつ対象物に導光する照
明光学系と、前記光束と前記対象物とを相対的に走査す
る走査系と、該対象物の微細構造に基づく散乱光の分布
を検出する検出系と、該検出系で得られた分布の極値の
位置、数、強度の少なくとも一つの前記走査に伴う変化
に基づき該微細構造を評価する信号処理系と、を有する
ことを特徴としている。 請求項5の発明は請求項4の発
明において、前記信号処理系による評価は前記対象物の
微細構造の外形を検出することを含むことを特徴として
いる。請求項6の発明は請求項4の発明において、前記
信号処理系による評価は前記対象物の微細構造の位置情
報を検出することを含み、前記信号処理系からの信号を
用いて駆動手段により、該対象物を所定位置に駆動させ
ていることを特徴としている。
【0016】請求項7の発明の微細構造評価法は、光束
を微細構造を持つ対象物に照射し、該対象物から生じる
散乱光の分布を検出し、該散乱光の分布の極値の位置、
数、強度の少なくとも一つを用いて該微細構造を評価す
ることを特徴としている。
【0017】請求項8の発明の微細構造評価法は、光束
で微細構造を持つ対象物を走査し、該対象物から生じる
散乱光の分布を検出し、該散乱光の分布の極値の位置、
数、強度の少なくとも一つの前記走査に伴う変化に基づ
き該微細構造を評価することを特徴としている。
【0018】請求項9の発明の異物検査装置は、光源と
該光源からの光束を対象物上に照射する光学系と、該照
射領域と該対象物とを相対的に走査するための走査系
と、該対象物により散乱された光の分布を検出する検出
系と、該検出された分布の極値の数又は位置に基づき対
象物上の異物の有無を検出する演算処理系と、を有する
ことを特徴としている。
【0019】請求項10の発明の微細構造評価装置は、
光源手段からの光束を微細構造をもつ対象物に入射さ
せ、スポット径可変部により照射光束のスポット径を可
変とする照明光学系と、該対象物の微細構造に基づく散
乱光の分布を検出する検出系と、該検出系で得られた分
布の極値の位置、数、強度の少なくとも一つの前記スポ
ット径の変化に伴う変化に基づき該微細構造を評価する
信号処理系と、を有することを特徴としている。 請求項
11の発明は請求項10の発明において、前記微細構造
は微細パターン線より成り、前記検出系で得られる信号
を利用して、走査系により該微細パターン線への照射光
束の位置を調整していることを特徴としている。 請求項
12の発明は請求項11の発明において、前記信号処理
系による評価は前記微細パターン線の幅及び基準面から
の高さ情報を検出することを含むことを特徴としてい
る。
【0020】請求項13の発明の微細構造評価法は、照
射光束のスポット径を可変とするスポット径可変部を有
する照明光学系からスポット径の異なる光束を微細構造
を持つ対象物に順次照射し、該対象物から生じる散乱光
の分布を検出し、該散乱光の分布の極値の位置、数、強
度の少なくとも一つを用いて該微細構造を評価すること
を特徴としている。
【0021】請求項14の発明の微細構造評価法は、照
射光束のスポット径を可変とするスポット径可変部を有
する照明光学系からスポット径の異なる光束で微細構造
を持つ対象物を順次走査し、該対象物から生じる散乱光
の分布を検出し、該散乱光の分布の極値の位置、数、強
度の少なくとも一つの前記走査に伴う変化に基づき該微
細構造を評価することを特徴としている。
【0022】請求項15の発明は請求項13又は14の
発明において、前記微細構造は微細パターン線より成
り、前記評価は該微細パターン線の幅及び基準面からの
高さを検査することを含むことを特徴としている。
【0023】請求項16の発明の微細構造評価装置は、
被検物に光束を照射するための照明手段と、前記照明手
段による前記被検物への光束照射状態を変化させる為の
照射状態変化手段と、前記照明手段によって照明される
被検物からの散乱光の分布の強度が極値となる部分を検
出する検出手段と、前記照射状態変化手段による光束照
射状態変化中における前記検出手段の検出する前記極値
となる部分の分布特性の変化に基づいて前記被検物の微
細構造を評価する為の演算手段とを有することを特徴と
している。 請求項17の発明は請求項16の発明におい
て、前記照射状態変化手段は被検面を光束走査する手段
を有することを特徴としている。 請求項18の発明は請
求項16の発明において、前記照射状態変化手段は照射
光束のスポット径を可変とするスポット径可変部を有す
ることを特徴としている。 請求項19の発明は請求項1
6の発明において、前記演算手段は前記微細構造の外形
を求めることを特徴としている。 請求項20の発明は請
求項16の発明において、前記演算手段は前記微細構造
のパターン線幅及び基準面からの高さを検出することを
特徴としている。 請求項21の発明は請求項16の発明
において、前記演算手段は前記微細構造の異物の有無を
検出することを特徴としている。
【0024】
【実施例】図1は本発明の実施例1の要部概略図であ
る。同図において1は光源手段、2は微細構造を持った
対象物(被測定物)、3は照明光学系であり光源手段1
からの光11を対象物2の微小領域21に収束させて照
明するためのものでありレンズ系31及び所定の分光特
性の光束のみを通過させるフィルタ系32とから構成さ
れる。4は検出系であり対象物2の微細構造により散乱
する散乱光41の散乱分布特性を検出するための受光面
が対象物側に向けられた受光素子の配列を備える光電変
換器を含んでいる。5は信号処理系であり検出系4で検
出された散乱分布特性の信号から微細構造を解析してい
る。対象物2は矢印で示される様に不図示の駆動手段に
よって装置に対して駆動される。
【0025】本実施例において、光源手段1の種類とし
ては半導体レーザ、He−Neレーザ、Arレーザ等の
コヒーレント光束を放射する光源や、発光ダイオード、
ハロゲンランプ等のインコヒーレント光束を放射する光
源等が使用可能であり、微細構造評価の対象に適するも
のをその都度選定している。
【0026】本実施例では、まず光源手段1から放射さ
れる光11を照明光学系3で収束光35とし、これを対
象物(例えばマスク等、あるいは光を通過しないウエハ
等でも原理は同様)2上の微小領域21に収束させる。
対象物2に収束された収束光35は微小領域21内の微
細構造(例えばパターン等)に依存する散乱分布特性を
もって散乱する。散乱光41は検出系4により取り込ま
れて、散乱光41のもつ散乱分布特性が光電変換されて
検出される。検出系4は、透過散乱光や反射散乱光を検
出するものである。検出された散乱分布特性から、微細
構造の情報を信号処理系5にてS/Nよく抽出、解析
し、高分解能に微細構造の光学的評価を行なう。
【0027】その際の散乱分布特性から対象物2の微細
構造の情報を抽出する基本的な例を示す。
【0028】図2は、微細なエッジ(以下対象物2の微
細な高度差のある段、透明部と不透明部の境界、隣り合
う相異なる物質の境界等を「エッジ」と呼ぶ)のある対
象物に、収束光を投光する場合の座標系を含む概略図を
示している。対象物の境界面(エッジ)51は、紙面に
垂直な方向(x方向)に一様な面で完全導体である。エ
ッジ51の座標系として原点を50、y軸を52、z軸
を53のように設定する。このエッジ51に対してz軸
53を光軸に持つように収束光35を投光すると、この
収束光35はある散乱分布特性をもって散乱する。この
散乱分布特性を図2の原点50に対して波長の1,00
0倍程度離れたファーフィールド領域で測定する。入射
光の条件としては、波長λが0.6328μm、ビーム
スポット直径が1.2μmで、焦点面がy軸52上にあ
るようなガウスビームを収束光35として用い、エッジ
51の高さ55をλ/8ずつ変化させた場合の散乱分布
特性を図3、図4に示す。
【0029】まず図3、図4の散乱分布特性を説明する
前に本発明に係る散乱分布特性の基本的な評価方法につ
いて以下に述べる。
【0030】今、対象物上の微細なエッジ構造を有する
微小領域に、光を照射した場合に生じる散乱分布特性が
図22に示すようであったとする。同図において半径方
向軸101は散乱光の強度を示し、円周方向軸102は
散乱角度を示す。散乱分布特性には一般に散乱光強度の
極値が存在する。それは図22を例にとると極値10
3,104,105,106,107といった形で生じ
る。そして散乱分布特性は光の照射されている微小領域
の構造情報を含んでおり、散乱分布特性の極値の数、及
び位置、及び強度は、エッジ51の高さ、エッジ51の
傾き等のエッジの微細構造を反映しているので、照明光
条件が同一であれば微細構造によって一意に決まるもの
である。散乱分布特性から微細構造を評価する方法とし
ては、 (2−1)対象物の微小領域に照射される照明光の条件
と検出された散乱分布特性の極値の数、位置及び強度か
ら、予め計算された対応表を参照するか、または予め求
められた関係式を用いて分析を行ないながら照射光で対
象物を走査していくことにより微細構造を評価する方
法。
【0031】(2−2)対象物の微小領域に照射される
照明光と該対象物とを相対的に走査して、散乱分布特性
を検出し、その極値の数、位置及び強度の変化を解折す
ることにより、微細構造を評価する方法。が挙げられ
る。
【0032】次に本実施例で得られた図3、図4の散乱
分布特性について説明する。
【0033】図3、図4の半径方向軸101は散乱光の
強度を表す。単位はデシベルであり、0[dB]は境界
面51が完全導体平面であるときの散乱強度の最大値を
示す。図3、図4の半円周方向軸102は散乱角度を示
しており、その方向は図2のy軸52から反時計回りを
正方向とする。そして半円の中心が図2の原点50と一
致している。
【0034】図3、図4のエッジの高さ順に散乱分布特
性を見ると、散乱分布特性の極大値や極小値の位置や個
数が、エッジの高さ(h)55の微小な変化に対して、
大きく変化しているのが分かる。一例として図3(A)
〜図3(D)そして図4(A)〜図4(D)までの極小
値の位置と、エッジの高さとの関係を図5に示す。図5
の横軸403はエッジの高さを示し、縦軸404は極小
値の位置(散乱角度)を示している。図5の白丸401
は、図3、図4の極小値301,302,303,30
4,305,306,307,308の角度を示してお
り、黒丸402は図3、図4の極小値315,316,
317,318の角度を示している。
【0035】図3、図4に示したような散乱分布特性は
エッジの形状や入射条件(波長、光軸位置、入射角、焦
点面位置、ビームスポット径等)によって異なってくる
が、散乱分布特性の極値の位置や数、極値の強度やその
変化等が、微細構造の情報を含んでいることがわかる。
【0036】そこで本実施例では図5の関係を用いて予
め対応表を作成するか、又、エッジの高さと極小値の位
置との関係式を作成して、信号処理系により散乱分布特
性の極小値の位置及び数を解析することにより対象物上
の微細なエッジの高さを求めている。これを対象物を移
動させて所定領域について行ない、この間の散乱分布特
性の変化から領域全体の微細構造を測定できる。
【0037】図6は、本発明の実施例2の要部概略図で
ある。本実施例では微細構造のエッジ部を検出するエッ
ジ評価装置に応用した場合を示している。
【0038】同図において1は光源手段、2は微細構造
を持った対象物、3′は照明光学系であり光源手段1か
らの光を収束させて対象物2の微小領域21を照明して
いる。照明光学系3′は、光源手段1側にレンズ系31
a及びフィルタ系32aを有し対象物2側にレンズ系3
1b及びフィルタ系32bを有し、フィルタ系32とレ
ンズ系31bとの間に対象物2からの散乱光を検出系
4′に導入するためのビームスプリッタ33とを有して
いる。検出系4′は対象物2の微細構造により散乱する
散乱光41の散乱分布特性を検出するためのフィルタ系
42と一次元CCDや二次元CCD等の光電検知器43
を有している。5は信号処理系であり検出系4′で検出
された散乱分布特性の信号から対象物2の微細構造を解
析している。6は走査系であり収束光35と対象物2と
を相対的に走査している。7は計算機であり信号処理系
5により処理されたデータを演算処理し、対象物2の微
細構造の外形状を求めている。
【0039】本実施例において、光源手段1の種類とし
ては実施例1と同様半導体レーザ、He−Neレーザ、
Arレーザ等のコヒーレント光束を放射する光源や、発
光ダイオード、ハロゲンランプ等のインコヒーレント光
束を放射する光源等が使用可能であり、微細構造評価に
適するものをその都度選定している。
【0040】本実施例では、まず光源手段1から放射さ
れる光11を照明光学系3′で微細なエッジ構造を持つ
対象物2上の微小領域21に収束させる。対象物2に収
束された収束光は微小領域21内のエッジ構造に依存す
る散乱分布特性をもって散乱する。このときの散乱光4
1は対象物2側のフィルタ系32bとレンズ系31bを
介してビームスプリッタ33にて反射し散乱光41aと
して分離され検出系4に導入される。散乱光41aが平
行光である場合は、微小領域21と検出系4′の検出面
とは互いにフーリエ変換の関係にある。検出系4′に導
入された散乱光41aは検出系4′の光電検知器43に
よりその散乱分布特性が光電変換されて検出される。検
出された散乱分布特性は信号処理系5により解析され
る。解析された結果は、さらに計算機7により処理さ
れ、エッジ形状等の外形状の評価が行なわれる。このと
き走査系6により対象物2と収束光35とを相対的に走
査することにより対象物2のエッジ部分に対して照射さ
れる微小領域21の位置が変わり、それによって散乱分
布特性が変化するので、それを順次信号処理系5及び計
算機7で解析処理する。
【0041】次に本実施例における信号処理の方法につ
いて述べる。図7、図8は本実施例における散乱分布特
性の解析方法の考え方を表す説明図である。
【0042】図7は図2と同様に対象物2の微細なエッ
ジの断面を示している。このエッジ51の高さは0.2
μmである。収束光の条件として、波長0.6328μ
m、ビームスポット直径1.2μmのガウスビームと
し、ビームウエストの位置をy軸上にとる。このような
エッジに対して走査系により上述の収束光で走査する。
このときの走査系の光軸が図7のa,b,c,の位置に
あるときの散乱分布特性はそれぞれ図8(A)、
(B)、(C)のようになる。各図において散乱分布特
性の極小値601,602,603に対して次のことが
分かる。
【0043】(3−1)極小値の位置(散乱角度)は、
収束光の走査(光軸のy軸方向の位置)によって変化せ
ずにエッジの高さのみに依存する。これより、入射光条
件が決まれば、散乱分布特性の極小値の位置から、エッ
ジの高さを求めることができる。
【0044】(3−2)極小値の強度はエッジに対する
走査系の光軸の位置によって変化し、エッジの近傍で最
小値をとる。最小値をとる位置は、エッジの傾斜角およ
び高さによって異なる。
【0045】(3−3)走査系の光軸の移動量に対する
極小値の強度の変化量は、エッジの傾斜に依存してい
る。
【0046】以上の特徴から、本実施例では対象物に対
して収束光を走査して、その散乱分布特性の極値の変化
に関する情報を解析することにより、微細なエッジを評
価している。即ちエッジの位置を検出している。
【0047】次に対象物を収束光で走査した時の散乱分
布の極小値の強度変化の様子を図9、図10に示す。
【0048】図9、図10における横軸71は収束光の
光軸の位置を示している。また縦軸72は散乱分布特性
の極小値の強度をデシベル単位で示している。また、各
図において下に示された図は、対応する対象物のエッジ
形状を示す。図9(A)と図9(B)とを比較するとエ
ッジの傾斜角が異なるため両図において、強度が最小と
なる位置73a,73bや、強度の変化の様子が異なっ
ていることが分かる。図10(A)と図10(B)にお
いても同様である。また、エッジの高さが変わると同じ
傾斜角のエッジでも極小値強度が最小となる位置73
a,73b,73c,73dが変化することが分かる。
本実施例ではこの性質を使うことにより極値の強度変化
からエッジの傾斜を知り,また最小値の位置からエッジ
の位置をも検出している。
【0049】本実施例におけるエッジ評価の方法につい
て、図11でさらに詳しく述べる。図11(A)は微細
構造を持つ対象物上のエッジ部分51の断面図である。
このエッジ51は便宜上紙面に垂直な方向に一様とす
る。原点88は本装置の走査系6の基準点である。y軸
82上の点はエッジ51に対する収束光の光軸の位置を
示している。z軸83はエッジの高さ方向を示す。この
ようなエッジ51に対して、y軸82方向に収束光を走
査すると、エッジ部分に収束光が照射される時には、図
8で示したように散乱分布特性は光軸の位置により変化
する。収束光の走査により散乱分布特性に極小値が生じ
ると、その位置(散乱角度)はエッジの高さに依存して
いるので、本実施例では予め作成しておいた対応表や、
予め作成しておいたエッジの高さと極小値の位置との関
係式を用いることによりエッジの高さを求めている。
【0050】また、図11(B)は検出される極小値の
強度が走査によって変化する様子を示している。ここで
縦軸84は散乱分布特性の極値の強度を示す。また、図
11(C)は極小値の強度の微分値を示したものであ
る。同図において縦軸85は極小値の強度の微分値を示
す。図11(B)において散乱分布特性の極小値の強度
が最小になる位置86は、図9、図10で示したように
エッジ51の傾斜角や、高さによって異なる。そして極
小値の強度変化の割合(微分値)はエッジ51の傾斜角
に依存しており、傾斜角が90度に近いほど変化が大き
い。
【0051】そこで本実施例では、例えば図11(C)
のように極小値強度の微分値を求めて、幅87の大きさ
を求めることにより、予め作成しておいた対応表を用い
て、エッジの傾斜角を求めている。また、エッジの高さ
は、上述のように極小値の位置から分かるので、以上の
解析によりエッジの形状を評価している。
【0052】図12、図13は上述の処理の流れのフロ
ーチャートである。
【0053】以上の説明では、対象物2で生じる散乱光
の予め決めた断面に関する一次元的な空間分布の特性を
示したが、一つの断面に関する空間分布だけでなく複数
の相異なる断面に関する空間分布の特性を検出したり、
空間の予め決めた範囲に3次元的に広がる散乱光の空間
分布を全て検出したりして、対象物2の微細構造の3次
元的な評価を行うようにしてもいい。
【0054】又、本実施例では、対象物2を動かして、
光で対象物2を走査していたが、光学系に対象物2側が
テレセントリックな走査系を使用し、ガルバノミラー、
ポリゴンミラー或いは回動する平行平板等のスキャナー
により光を連続的に偏向し、対象物2を垂直入射光で走
査してもいい。
【0055】又、本実施例の装置は、対象物に形成され
たパターンの構造の検出だけでなく、後述する様に対象
物上に存在する傷やゴミ等の異物を検出するのにも、使
用できる。例えば、半導体素子の製造工程においては、
回路パターンが形成されたレチクルやマスクに付着した
異物の存在が問題になるので、この異物を検出する装置
が使用されるが、本実施例の装置の検出の対象物2を回
路パターンが形成されたレチクルやマスクにし、異物の
検出を行うことが可能に成る。この場合、装置に上述し
た波長フィルターの他に、レチクルやマスクの回路パタ
ーンからの回折光を光電検知器43に対して遮光する遮
光フィルターを設けて、異物による散乱光を遮光フィル
ターを介して選択的に光電検知器43で受光するように
するといい。
【0056】図14は本発明の図6に示す微細構造評価
装置を用いて2つの対象物の位置決めを行った実施例3
の位置合わせを行う際の2つの対象物のエッジ断面を表
す説明図である。
【0057】図14において201は位置を合わせる基
準となる一方の対象物のエッジ断面であり、202は基
準対象物201に対して位置を合わせようとする他方の
対象物のエッジ断面である。また図14のy軸200は
本実施例の微細構造評価装置における対象物への収束光
35の走査方向を示しており、原点88は本装置の走査
系6の基準点である。
【0058】位置合わせの手順としては、最初に基準対
象物201のエッジ位置203の位置を収束光の走査に
より検出し、図6の計算機7によりこの位置を記憶す
る。次に対象物202に交換し、エッジ位置204の位
置の検出を行なって、先程位置決めした基準対象物20
1のエッジ位置203に一致するように対象物202を
移動させる。これにより双方の位置決めを行なう、即ち
対象物20の位置を先程の対象物201の位置に一致
させる。
【0059】次に位置合わせの原理をしめす。収束光走
査により基準対象物201のエッジ位置203を検出
し、この位置を計算機7にて記憶する。次に対象物20
2に替えてエッジ位置204を同様に検出し、計算機7
にて双方のエッジ位置203,204間の距離205を
求める。そして、この距離205に相当する距離だけ駆
動手段を有する走査系6によって対象物202の位置を
移動させることにより基準対象物201と対象物202
の位置合わせを行なう。
【0060】次に図15を用いて位置合わせのためのエ
ッジ位置の検出の方法について述べる。図15(A)は
微細構造を持つ対象物上のエッジ部分の断面図であり、
図14の対象物201,202と同様である。このエッ
ジ51は紙面に垂直な方向に一様とする。y軸82はエ
ッジ51に対する収束光の光軸の位置を示している。z
軸83はエッジの高さ方向を示す。このようなエッジ5
1に対して、y軸82方向に収束光35を走査すると、
エッジ51に収束光が照射される時には、図7、図8で
示したように散乱分布特性は光軸の位置により変化す
る。収束光の走査により散乱分布特性に極小値が生じる
と、その位置(散乱角度)はエッジの高さに依存してい
るので、本実施例では予め作成しておいた対応表や、予
め作成しておいたエッジの高さと極小値の位置との関係
式を用いることによりエッジの高さを求めている。
【0061】図15(B)はその検出される極小値の強
度が走査によって変化する様子を示している。ここで縦
軸84は散乱分布特性の極値の強度を示す。図15
(C)は極小値の強度の微分値を示している。ここで縦
軸85は極小値の強度の微分を示す。
【0062】図15(B)において散乱分布特性の極小
値の強度が最小になる位置212は、図9、図10で示
したようにエッジ51の傾斜角や、高さに依存してい
る。そのために、位置212は一般にエッジ51の端点
211とは一致しない。しかし上述のようにエッジ51
の高さは求めることが可能である。
【0063】そこで本実施例では以下の方法によってエ
ッジ51の傾斜角を求めて、これにより距離213を求
めている。すなわち極小値の強度変化の割合(微分値)
はエッジ51の傾斜角に依存しており、傾斜角が90度
に近いほど変化が大きい。そこで、本実施例では例えば
図15(C)のように極小値強度の微分値を求めて、幅
87の大きさを求めることにより、予め作成しておいた
対応表や関係式を用いて、エッジの傾斜角を求めてい
る。エッジ51の傾斜角及び高さを知り、予め作成して
おいた対応表や、関係式から位置212を求めている。
位置212が分かれば、エッジ51の高さと傾斜角が分
かっているのでこれよりエッジ51の端点211の位置
及び距離213を決めている。
【0064】以上の操作を基準対象物201と対象物2
02について行ない、基準対象物201で定めたエッジ
位置203に対象物202のエッジ位置204がくるよ
うに図6の走査系6によって対象物202を移動するこ
とにより、位置決め操作を行なっている。
【0065】図16、図17は上述の処理の流れのフロ
ーチャートである。ただし収束光照射プロセス1001
から端点211検出プロセス1002までを操作(A)
とする。
【0066】図18は本発明の図6に示す微細構造評価
装置を用いて対象物上のパターンの線幅を測定する実施
例4の測定するパターン線の断面を表す説明図である。
【0067】図18において501はパターン幅を測定
しようとしているパターン線の垂直断面である。原点8
8は本装置の走査系6の基準点であり、y軸82は本装
置の対象物への収束光35の走査方向を示す。またz軸
83はパターン線501の高さ方向を示す。パターン線
501において502,505はパターン線501の下
端点を示し、503,504はパターン線501の上端
点を示す。
【0068】今、パターン線幅として端点502と端点
505との間の距離510を測定するとする。パターン
線幅測定の原理としては、まず、収束光走査によりパタ
ーン線501の下端点502を検出し、この位置を計算
機7にて記憶する。次に、同様の走査によりパターン線
501の下端点505を検出し、この位置を計算機7に
て記憶する。下端点502と下端点505の位置を求め
ることによりパターン線幅510を計算機7にて計算し
ている。
【0069】次に図19を用いてそのパターン線幅測定
のための各端点の位置検出の方法について述べる。図1
9(A)は対象物上の微細なパターン線501の断面図
である。このパターン線501は紙面に垂直な方向に一
様とする。y軸82はエッジ51に対する収束光の光軸
の位置を示している。z軸83はパターン線501の高
さ方向を示す。このようなパターン線501に対して、
y軸82方向に収束光35を走査すると、エッジ部分に
収束光が照射される時には、図8で示したように散乱分
布特性は光軸の位置により変化する。収束光の走査によ
り散乱分布特性に極小値が生じると、その位置(散乱角
度)はパターン線の高さ506に依存しているので、本
実施例では予め作成しておいた対応表や、予め作成して
おいた高さと極小値の位置との関係式を用いることによ
りパターン線の高さ506を求めている。
【0070】図19(B)は検出される極小値の強度が
走査によって変化する様子を示している。ここで縦軸8
4は散乱分布特性の極値の強度を示す。図19(C)は
極小値の強度の微分値を示している。ここで縦軸85は
極小値の強度の微分を示す。図19(B)において散乱
分布特性の極小値の強度の最小値520,530の位置
511,512は、図9、図10で示したのと同様にパ
ターン線501のエッジ部分の傾斜角や、高さに依存し
ている。そのために、位置511,512は一般にエッ
ジの下端点502,505とは一致しない。しかし上述
のようにパターン線501の高さは求めることが可能で
ある。
【0071】そこで本実施例では以下の方法によってパ
ターン線のエッジ部分の傾斜角も求めて、これより傾斜
角と高さの情報を用いて位置502,505を求めてい
る。すなわち極小値の強度変化の割合(微分値)はパタ
ーン線501のエッジ部分の傾斜角に依存しており、傾
斜角が90度に近いほど変化が大きい。
【0072】そこで本実施例では、例えば図19(C)
のように極小値強度の微分値を求めて、幅521,53
1の大きさを求めて、これより予め作成しておいた対応
表や関係式を用いて、エッジ部分の傾斜角を求めてい
る。即ちパターン線501のエッジ部分の傾斜角及び高
さを求め、これより予め作成しておいた対応表や、関係
式から位置502,505を決めている。これにより、
パターン線幅に相当する距離510を求めている。
【0073】図20、図21に上述の処理の流れをフロ
ーチャートで示す。
【0074】尚、本実施例では位置502,505が求
められるのと同様に位置503,504も求めることが
でき、これよりパターン線501の上部の幅513も本
装置により同様に求めることが可能である。
【0075】次にレチクルやウエハ面上に付着した異物
を回路パターン等の微細構造と区別して検出する異物検
査装置について説明する。
【0076】図24は本発明の実施例5の異物検査装置
の要部概略図である。基本構成は図6のエッジ評価装置
と略同じである。本実施例の各要素を図6の要素と一部
重複するが順次説明する。
【0077】同図において1は光源手段、2は微細構造
を持った被検対象物、3′は照明光学系であり光源手段
1からの光を収束させて対象物2の微小領域21に照明
している。照明光学系3′は光源手段1側にレンズ系3
1a及びフィルタ系32aを有し、対象物2側にレンズ
系31b及びフィルタ系32bを有し、フィルタ系32
とレンズ系31bとの間に対象物2からの散乱光を検出
系4′に導入するためのビームスプリッタ33とを有し
ている。
【0078】検出系4′は対象物2の微細構造により散
乱する散乱光41の散乱分布特性を検出するためのフィ
ルタ系42と1次元CCDや2次元CCD等の光電検知
器43を有している。5は信号処理系であり検出系4′
で検出された散乱分布特性の信号から対象物2の微細構
造を解析している。6は走査系であり収束光35と対象
物2とを相対的に走査している。7は計算機(演算処理
系)であり信号処理系5により処理されたデータを演算
処理し、対象物2上の微小異物の有無を検出している。
【0079】本実施例において、光源手段1の種類とし
ては図6のエッジ評価装置と同様に半導体レーザ、He
−Neレーザ、Arレーザ等のコヒーレント光束を放射
する光源や、発光ダイオード、ハロゲンランプ等のイン
コヒーレント光束を放射する光源等が使用可能であり、
異物検査に適するものを選定している。
【0080】本実施例では、まず光源手段1から放射さ
れる光11を照明光学系3′で微細なエッジ構造を持つ
対象物2上の微小領域21に収束させる。対象物2に収
束された収束光は微小領域21内のエッジ構造に依存す
る散乱分布特性をもって散乱する。このときの散乱光4
1は対象物2側のフィルタ系32bとレンズ系31bを
介してビームスプリッタ33にて反射し散乱光41aと
して分離され検出系4′に導入される。照明光学系3′
や検出系4′におけるフィルタとしては、一定割合の光
強度を吸収するNDフィルタや、偏光フィルタ、ローパ
スフィルタ等、散乱分布特性の測定に最適なものを選定
する。検出系4′において散乱光41aが平行光である
場合は、微小領域21と検出系4′の検出面とは互いに
フーリエ変換の関係にある。このとき検出系4′では対
象物2の微小領域21に対して、ファーフィールド領域
の散乱分布特性が測定される。検出系4′に導入された
散乱光41aは検出系4′の光電検知器43によりその
散乱分布特性が光電変換されて検出される。検出された
散乱分布特性は信号処理系5により解析される。解析さ
れた結果は、さらに計算機7により処理され、エッジ構
造による散乱信号と微小異物による散乱信号とを分離す
ることにより微小異物の有無が検査される。
【0081】このとき走査系6により対象物2と収束光
35とを相対的に走査することにより対象物2上の微小
領域21の位置が変わり、それによって散乱分布特性が
変化するので、それを順次信号処理系5及び計算機7で
解析処理して対象物2の検査すべき面全体の異物検査を
行なう。
【0082】次に対象物2からの散乱分布特性を解析し
て対称物2面上の異物の有無の検査を行なう方法につい
て述べる。
【0083】図25は微細なエッジ構造を持つ対象物2
に、照明光学系3′により収束光を投光する場合の座標
系を含むエッジ断面図を示している。対象物の境界面エ
ッジ部分703は紙面に垂直な方向(x方向)に一様な
面で完全導体である。エッジ203の座標系として原点
を704、y軸を701、z軸を702のように設定す
る。このようなエッジに対して収束光35を、その光軸
がz軸に平行になるように(即ち、対象物2の境界面2
2に対して垂直に)投光すると、この収束光35はある
散乱分布を持って散乱する。
【0084】この散乱分布特性を図25の原点704に
対して波長の1,000倍程度離れたファーフィールド
領域で検出系4′にて測定する。ここでエッジ703の
高さは0.1μm程度である。又、収束光35の条件と
して、波長0.6328μm、ビームスポット直径1.
0μmのガウスビームとし、ビームウエストの位置をy
軸上にとる。このようなエッジに対して走査系により上
述の収束光でY軸方向に走査する。このとき収束光の光
軸が図25のa,b,c,d,eの位置にあるときに測
定される散乱分布特性はそれぞれ図26(A),
(B),(C),(D),(E)のようになる。
【0085】図26は上述したエッジに対して光走査を
行なった場合の散乱分布特性を示す図である。図26の
横軸801は、対象物のエッジ構造により散乱される光
の散乱方向を示しており、図25の原点704を中心と
してy軸201の正方向から半時計回りを正方向とす
る。又縦軸802は、測定される散乱光の強度を示して
いる。単位はデシベルであり、0[dB]は対象物2の
境界面22が完全導体平面であるときに収束光を投光し
たときに測定される散乱強度の最大値を示している。図
26に示した散乱分布特性より以下のことが分かる。
【0086】(4−1)極小値の位置θe(散乱角度)
は、収束光の走査(光軸のy軸方向の位置)によって変
化せずに収束光の波長とエッジの高さのみに依存する。
従って収束光の波長と対象物のエッジの高さが予め既知
である場合には、エッジに対する光走査により極小値が
どの位置に生じるかは、予め作成しておいた対応表や、
予め作成しておいたエッジの高さと極小値の位置との関
係式を用いることにより知ることができる。又、逆にエ
ッジに対する光走査において、散乱分布の極小値の位置
からエッジの高さを知ることが可能である。
【0087】(4−2)対象物のエッジ段差がλ/2以
下の場合、散乱分布特性における極小値は、高さに依存
する位置(散乱角度)θeに1個だけ生じる。
【0088】(4−3)極小値の強度はエッジに対する
光軸の位置によって変化し、エッジの近傍で最小値をと
る。
【0089】本実施例においては、このようにエッジに
対する収束光走査によって得られる散乱分布特性の極小
値の位置が、投光する収束光の条件が決まっていれば、
エッジ段差によって決ることを利用して、この極小値の
変化からゴミからの散乱信号を分離することを特徴とし
ている。
【0090】次に対象物表面上にゴミが付着していると
きに、散乱分布特性がどのようになるかを説明する。
【0091】図27は球形のゴミが表面に付着している
対象物2に、照明光学系3により収束光を投光する場合
の座標系を含む断面図を示している。ここでゴミ901
は直径0.3μmの球形である。又対象物の境界面90
3は紙面に垂直な方向(x方向)に一様な面である。座
標系として原点を原点を704、y軸を701、z軸を
702のように設定する。
【0092】この散乱分布特性を図27の原点704に
対して波長の1,000倍程度離れたファーフィールド
領域で測定する。投光する収束光35の条件は、図25
で述べたのと同様に波長0.6328μm、ビームスポ
ット直径1.0μmのガウスビームとし、ビームウエス
トの位置をy軸上にとる。このようなゴミ901に対し
て走査系により上述の収束光でY軸方向に走査する。こ
のとき収束光の光軸が図27のa,b,c,d,eの位
置にあるときに測定される散乱分布特性はそれぞれ図2
8(A),(B),(C),(D),(E)のようにな
る。
【0093】図28は図27で示したゴミに対する散乱
分布特性を示している。図の横軸801や、縦軸802
は図26と同様である。この図28より以下のことが分
かる。
【0094】(5−1)エッジに対する光走査により測
定される散乱分布特性と異なり、上述した収束光条件で
はゴミに対する散乱分布特性において極小値が2個生じ
る。 (5−2)極小値の生じる位置θgはエッジを光走査し
たときの極小値の位置θeと異なる。
【0095】このことと図26で述べたことから、対象
物2の表面を光走査して得られる散乱分布特性におい
て、極小値の数が2個であったり、予め計算されている
極小値の位置θeと異なる位置に極小値が存在している
場合に、対象物2の表面の収束光によって照射されてい
る微小領域内にエッジ構造でないもの、或は微小異物が
存在していると判定することが可能である。
【0096】次に対象物2のエッジ近傍にゴミが付着し
ている場合について述べる。
【0097】図29はエッジ近傍(エッジから0.3μ
m離れた位置)に球形のゴミが付着している場合のモデ
ルである。エッジは図25で示したのと同様であり、ゴ
ミは図27で示したものと同様である。球形のゴミ90
1と対象物2の境界面22との接点を原点704とし、
y軸を701、z軸を702のように設定する。
【0098】この散乱分布特性を図27の原点704に
対して波長の1,000倍程度離れたファーフィールド
領域で測定する。投光する収束光35の条件は、図25
で述べたのと同様に波長0.6328μm、ビームスポ
ット直径1.0μmのガウスビームとし、ビームウエス
トの位置をy軸上にとる。このような近傍にゴミが付着
したエッジに対して走査系により上述の収束光でY軸方
向に走査する。このとき収束光の光軸が図29のa,
b,c,d,e,f,g,hの位置にあるときに測定さ
れる散乱分布特性はそれぞれ図30(A),(B),
(C),(D),(E),(F),(G),(H)のよ
うになる。
【0099】図30はゴミが付着したエッジに対する散
乱分布特性を示している。図30から以下のことが分か
る。
【0100】(6−1)0.1μm程度の高さのエッジ
に対する光走査では、散乱分布特性に極小値が1個だけ
生じる、このようなエッジの近傍に0.3μm程度の
ゴミが付着している場合は、極小値が2個生じる。
【0101】(6−2)極小値の位置θegは、一般的
に図26のθeや図28のθgとは異なる。
【0102】以上のことから、対象物の微細なエッジに
対して光走査を行ない、散乱光の散乱分布特性を測定
し、その極小値の数や位置を解析することによって、 (イ)極小値が2個あるなら異物が存在する (ロ)極小値の位置がθeと異なるなら、異物が存在す
る と判定している。本実施例ではこれによって対象物上に
付着する異物を検出している。
【0103】例えば、回路パターンが形成されたレチク
ルやマスクに付着した異物を検出する場合、照明光学系
によって1.0μm程度のスポット径に絞った収束光
で、その表面を光走査し、散乱分布特性の極小値の位置
や数を信号処理系と計算機により解析して、収束光の照
射されている微小領域内の構造が、エッジ構造なのかゴ
ミなのかを判別し、これにより異物の検出を行ってい
る。
【0104】又、回路パターンが形成されたレチクルや
マスクに付着した異物を検出する場合、その回路パター
ンを予め計算機に記憶させておく。そして対象物を光走
査するときに、位置決め等により対象物のどの部分を走
査しているのかを知り、予め計算される散乱分布特性の
極小値の位置や数と、実際に測定される極小値の位置や
数とを比較することによって、異物を発見している。
【0105】以上の説明では、対処物2で生じる散乱光
の予め決めた断面に関する1次元的な空間分布特性を示
したが、3次元的に広がる空間分布特性を検出して、対
象物2に付着するゴミの3次元的な検出を行なうことも
可能である。
【0106】図31は、本発明の実施例6の微細構造評
価装置の要部概略図である。同図において1は光源手
段、2は微細パターン線等の微細構造を持った対象物、
3″は照明光学系であり、光源手段1からの光を収束さ
せて収束光35として対象物2の微小領域21を照明し
ている。
【0107】照明光学系3″は、光源手段1側にレンズ
系31a、フィルタ系32a、対象物2の微小領域21
への照射光束のスポット径を可変とするスポット径可変
部34、そしてフィルタ系34aとを有し、対象物2側
にレンズ系31b及びフィルタ系32bを有している。
そしてフィルタ系34aとレンズ系31bとの間に対象
物2からの散乱光を検出系4″に導入するためのビーム
スプリッタ33を有している。
【0108】検出系4″は対象物2の微細構造により散
乱する散乱光41の散乱分布特性を検出するためのフィ
ルタ系42と一次元CCDや二次元CCD等の光電検知
器43を有している。5は信号処理系であり、検出系
4″で検出された散乱分布特性の信号から対象物2の微
細構造を解折している。6は走査系であり、収束光35
と対象物2とを相対的に走査したり、収束光35の光軸
と対象物2上の微細パターン線の中心とを一致させたり
している。7は計算機であり、信号処理系5により処理
されたデータを演算処理し、対象物2の微細構造の外形
状例えばパターン線の幅や高さ情報等を求めている。
【0109】本実施例において、光源手段1の種類とし
ては半導体レーザ、He−Neレーザ、Arレーザ等の
コヒーレント光束を放射する光源や、発光ダイオード、
ハロゲンランプ等のインコヒーレント光束を放射する光
源等が使用可能であり、微細構造評価に適するものをそ
の都度選定している。
【0110】本実施例では、まず光源手段1から放射さ
れる光11を照明光学系3″で微細なパターン線構造を
持つ対象物2上の微小領域21に収束させる。測定対象
となるパターン線の幅は、通常の照明光学系で収束させ
得るスポット径以下(=波長以下)のサイズであるか
ら、収束光35はそのパターン線を包含するように照射
される。対象物2に収束された収束光35は微小領域2
1のパターン線構造及び、収束光の光軸の位置やスポッ
ト径に依存する散乱分布特性をもって散乱する。このと
きの散乱光41は、対象物2側のフィルタ系32bとレ
ンズ系31bを介してビームスプリッタ33にて反射
し、散乱光41aとして分離され検出系4″に導入され
る。
【0111】照明光学系3″や検出系4″におけるフィ
ルタとしては、一定割合の光強度を吸収するNDフィル
タや、偏光フィルタ、ローパスフィルタ等、散乱分布特
性の測定に最適なものを選定する。
【0112】検出系4″において散乱光41aが平行光
である場合は、微小領域21と検出系4″の検出面とは
互いにフーリエ変換の関係にある。このとき検出系4″
では対象物2の微小領域21に対して、ファーフィール
ド領域の散乱分布特性が測定される。検出系4″に導入
された散乱光41aは検出系4″の光電検知器43によ
りその散乱分布特性が光電変換されて検出される。検出
された散乱分布特性は信号処理系5により信号抽出さ
れ、その極値の位置や数の情報が計算機7により解折さ
れる。解折された散乱分布特性に非対称性が存在する場
合、収束光35の光軸がパターン線の中心に一致してい
ないので、このときは走査系6により収束光35の光軸
とパターン線の位置を相対的に移動させて、散乱分布特
性に非対称性がなくなるようにフィードバックをかけな
がら収束光35の位置をパターン線の中心に合わせる。
【0113】対象物2を照射する収束光35の光軸と、
測定するパターン線の中心が合致すると、検出される散
乱分布特性は対称性を持つようになる。この状態で光軸
を固定し、計算機7の指令により収束光35のスポット
径をスポット径可変部34を用いて適当に設定して散乱
分布特性を検出し、後述する方法により計算機7で解折
してパターン線の高さを求める。その後続いて収束光3
5のスポット径をスポット径可変部34にて変化させる
(以下これをスポット径走査と称する)。
【0114】スポット径可変部34により収束光35の
スポット径を変化させる方法としては、例えば絞りを光
束中に挿脱可能に設置してこれを光束中にいれることに
よりレンズ系31bの見かけ上の開口数を変化させた
り、倍率可変のビームエクスパンダを用いてレンズ系3
1bに入射されるビーム径を変化させたりするといった
ものが適用可能である。そして収束光35のスポット径
を変化させるたびに、検出系4″により散乱分布特性を
測定し、その極値の位置や数がスポット径に対してどの
ように変化するかを信号処理系5によりS/Nよく信号
抽出し、計算機7にて解折することにより、スポット径
以下のサイズのパターン線の幅を測定している。
【0115】まず本実施例において、最初にパターン線
に収束光を照射して散乱分布特性を検出する基本的な例
を示す。図32は収束光35のスポット径以下のサイズ
のパターンを持つ対象物2に、収束光35を投光する場
合の座標系を示している。対象物2の境界面1051
は、紙面に垂直な方向(x方向)に一様な面で完全導体
である。1054は対象物2に設けたパターン線の断面
を示しており、線幅がa(μm)、高さがh(μm)で
あるとする。また、収束光35のスポット径を図のw
(μm)とする。
【0116】従って以下ではスポット径とはスポットの
直径のことを示している。同図においてエッジの座標系
として原点を50、y軸を52、z軸を53のように設
定する。このパターン線1054に対してz軸53を光
軸に持つように収束光35を照射すると、この光はある
散乱分布特性をもった散乱光41として散乱する。この
散乱分布特性を図2の原点50に対して波長の 1,000倍
程度離れたファーフィールド領域で検出系4″にて測定
する。このような場合に検出される散乱分布特性の例を
図33に示す。
【0117】この図33に示す散乱分布特性は、パター
ン線1054として、 幅 a:0.2μm 高さh:0.3μm を対象としており、入射光の条件として、 波長λ:0.6328μm ビームスポット直径w:
1.6μm で、焦点面がy軸52上にあるようなガウスビームを収
束光として用いた場合に得られるものである。
【0118】次に図33の座標系について説明する。図
33の横軸301は、対象物2上のパターン線1054
により散乱される光の散乱方向を示しており、図32の
原点50を中心としてy軸52の正方向から反時計回り
を正方向とする。また縦軸302は、測定される散乱光
41の強度を示している。単位はデシベルであり、0
[dB]は対象物2の境界面1051が完全導体平面で
あるときに収束光35を照射したときに測定される散乱
強度の最大値を示している。
【0119】図33に示した散乱分布特性より以下のこ
とが分かる。
【0120】(イ−1)1311,1312,1313
のような極大値が存在する。
【0121】(イ−2)1321,1322のような極
小値が存在する。
【0122】(イ−3)収束光35の光軸がパターン線
1054の中心(z軸)に一致している場合は、散乱分
布特性は散乱角度90(deg)に対して対称形であ
る。
【0123】収束光35の光軸の位置がパターン線10
54の中心からずれている場合は、検出される散乱分布
特性に非対称性が生じる。
【0124】次にこの非対象性を利用して、収束光35
の光軸とパターン線1054の中心とを一致させる方法
について述べる。
【0125】図34は図32で述べたのと同様なパター
ン線1054に対して、収束光35の光軸がパターン線
1054の中心からずれた場合のモデルを示している。
図32の場合と同様にパターン線として、 幅 a:0.2μm 高さh:0.3μm とし、入射光の条件として、 波長λ:0.6328μm ビームスポット直径w:
1.6μm で、焦点面がy軸52上にあるようなガウスビームを収
束光として用いる。今、収束光35の光軸の位置が、図
の35a,35b,35cのように、パターン線105
4の中心と光軸との相対距離がそれぞれ0.2μm、
0.1μm、0μmである場合に検出系4で検出される
散乱分布特性はそれぞれ図35(A),図35(B),
図35(C)のようになる。
【0126】次に図35の座標系について説明する。図
35の横軸1301は、対象物2上のパターン線105
4により散乱される光の散乱方向を示しており、図32
の原点50を中心としてy軸52の正方向から反時計回
りを正方向とする。また縦軸1302は、測定される散
乱光の強度を示している。単位はデシベルであり、0
[dB]は対象物2の境界面1051が完全導体平面で
あるときに収束光35を照射したときに測定される散乱
強度の最大値を示している。
【0127】図35(A),図35(B)より、収束光
35の光軸が図34のy軸52の負の位置にある場合、
散乱分布特性は散乱角度90(deg)に対して非対象
であることが分かる。一方図35(C)より、収束光3
5の光軸がパターン線54の中心に合致した場合、散乱
分布特性は散乱角度90(deg)に対して対象である
ことがわかる。
【0128】従って、例えば散乱角度で0(deg)か
ら90(deg)の間にある極小値の方が強度が小さい
場合は、走査系6によって収束光35の光軸をy軸52
の正方向に移動させればパターン線1054の中心に一
致させることが可能である。逆に散乱角度で90(de
g)から180(deg)の間にある極小値の強度が小
さい場合は、走査系6によって収束光35の光軸をy軸
52の負方向に移動させれば良いことがわかる。
【0129】以上のことから、検出系4″で検出された
散乱分布特性から信号処理系5にて極小値の情報を抽出
して、計算機7により解折すれば、走査系6に情報をフ
ィードバックして収束光35の光軸をパターン線105
4の中心に移動させることが可能である。
【0130】収束光35の光軸とパターン線1054の
中心との位置合わせが終わったら、光軸を固定した状態
で、スポット径可変部34により、収束光35のスポッ
ト径wを適当に選定した値に設定し、パターン線105
4からの散乱分布特性を検出する。そして、得られた分
布の極小値の位置や数を解折することによって、パター
ン線1054の高さhを求める。
【0131】図36にパターン線1054の高さhによ
って検出される散乱分布特性が変化する様子を示す。パ
ターン線1054の幅をa:0.3μmとし、入射光の
条件として 波長λ:0.6328μm ビームスポット直径
w:1.6μm で、焦点面がy軸52上にあるようなガウスビームを収
束光として用いている。
【0132】図36において、横軸1301及び縦軸1
302は図33で説明したものと同様である。また、図
36の曲線20a,20b,‥‥20fはそれぞれパタ
ーン線1054の高さhが0.1μmから0.6μmま
で0.1μmずつ異なった場合の散乱分布特性をの曲線
を示している。この図は散乱角度90(deg)に対し
て対称形であるので、0(deg)〜90(deg)の
範囲で説明する。
【0133】まず、高さhの微小な変化に対して、散乱
分布特性は大きく変化することが分かる。また、パター
ン線の高さhがλ/2(〜0.3μm)を越えると曲線
20d,20e,20fのように、極小値が部分125
1の他に部分1252にも生じることが分かる。このよ
うな散乱分布特性は収束光の波長λとスポット径wが決
まれば、パターン線1054の高さhでほぼその外形が
決まり、パターン線1054の幅aには余り依存しな
い。
【0134】従って、例えば計算機7内に参照テーブル
を作成しておいて、得られた散乱分布特性と比較するこ
とで容易に高さhを得ることが可能である。
【0135】次に収束光35のスポット径wをスポット
径可変部34にて変化させて散乱分布特性を測定する
(スポット径走査)。スポット径の変化によって検出さ
れる散乱分布特性も変化するが、その極値の位置や数の
変化からパターン線1054の幅a及び高さhを求める
方法について以下に述べる。
【0136】図32において、幅aが0.2μm、高さ
hが0.3μmのパターン線1054に対してスポット
径wを0.8μm,1.4μm,2.2μm,3.0μ
mと変化させた場合に、散乱分布特性がどのように変化
するかを示したものが図37である。散乱分布特性16
01,1602,1603,1604がスポット径0.
8μm,1.4μm,2.2μm,3.0μmにそれぞ
れ対応している。図37より、スポット径wが大きくな
るにつれて極小値の位置が散乱角度90(deg)に近
づき、極小値の強度が次第に大きくなっていることが分
かる。
【0137】次にパターン線1054の高さhはそのま
まにしておいて、パターン線1054の幅aのみを0.
3μm,0.4μmと変えた場合の散乱分布特性の変化
の様子をそれぞれ図38,図39に示す。
【0138】図37,図38,図39を比較すると、ス
ポット径wの変化に対して散乱分布特性の外形はあまり
変化しないが、極小値の強度の変化の様子が異なってい
ることが分かる。次にこの変化の様子をグラフにして図
40,図41に示す。
【0139】図40は図37,図38,図39の散乱分
布特性の極小値の強度(1610,1710,181
0)がパターン線1054を照射する収束光のスポット
径wの変化に対して、どのように変化するのかをプロッ
トしたものである。図40の横軸91は収束光のスポッ
トの直径を表し、縦軸92は検出された散乱分布特性の
極小値の強度を表す。図40より、スポット径w変化さ
せることにより、極小値の強度が変化し、その変化はパ
ターン線1054の幅aによって異なっていることが分
かる。
【0140】図41は図37,図38,図39の散乱分
布特性の極小値の散乱角度(1610,1710,18
10)がパターン線1054を照射する収束光のスポッ
ト径wの変化に対して、どのように変化するのかをプロ
ットしたものである。図41の横軸91は収束光35の
スポットの直径を表し、縦軸93は検出された散乱分布
特性の極小値の散乱角度を表す。図41より、スポット
径wを変化させると極小値の散乱角度は変化するが、そ
の変化の様子はパターン線1054の幅aが変わっても
同じである事が分かる。この極小値の散乱角度の変化は
入射光のガウスビームの広がり角θ=λ/πw0 に依存
しているため、これからは幅aの情報は得られない。
【0141】以上、図40と図41から、収束光35の
スポット径wの変化に対してパターン線1054の幅a
の違いが現れるのは図40に示すように散乱分布の極小
値の強度であるから、計算機によって、スポット径wと
極小値との関係を解折する。
【0142】図42は図40を模式的に示した図であ
る。図42の横軸91及び縦軸92は図40で示したも
のと同様である。収束光35をパターン線1054の中
心に照射し、そのスポット径wを変えた場合、例えばパ
ターン線1054の幅がaの場合は、曲線1010aの
様になり、幅がbの場合は、曲線1010bの様にな
る。従って、散乱分布特性を検出し、スポット径wに対
するその極小値の強度変化を計算機7内で解折してやる
ことにより、例えば、グラフの極小値1111の位置を
見つけることでパターン線幅aを求めることが可能であ
る。
【0143】図43にパターン線1054の高さhを、
又図44にパターン線1054のパターン線幅aを求め
るフローチャートを示す。
【0144】以上の各実施例においては対象物2を動か
して光で対象物2を走査していたが、光学系に対象物2
側がテレセントリックな走査系を使用し、ガルバノミラ
ー、ポリゴンミラー或は平行平面板等のスキャナにより
光を連続的に偏向し、対象物を垂直入射で走査すること
も可能である。
【0145】
【発明の効果】本発明によれば前述の如く対象物の微細
なパターン等の微細構造より生じる散乱光や異物からの
散乱光の散乱分布特性を検出し、該散乱分布特性に基づ
く散乱情報信号を処理することにより微細構造のエッ
ジ、高さ、幅等の外形状そして異物からの有無を高分解
能で評価することができる微細構造評価装置及び微細構
造評価法を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1の要部概略図
【図2】 図1の対象物のエッジ部分の説明図
【図3】 エッジから生ずる散乱分布特性の説明図
【図4】 エッジから生ずる散乱分布特性の説明図
【図5】 エッジの高さと散乱分布特性の極小値の位
置との関係を示す説明図
【図6】 本発明の実施例2の要部概略図
【図7】 走査位置とエッジとの関係を示す説明図
【図8】 図7におけるエッジからの散乱分布特性の
説明図
【図9】 エッジの走査位置による極小値の強度変化
を示す説明図
【図10】 エッジの走査位置による極小値の強度変化
を示す説明図
【図11】 エッジの断面とエッジ位置検出の説明図
【図12】 図11のエッジ位置検出のフローチャート
【図13】 図11のエッジ位置検出のフローチャート
【図14】 本発明の実施例3にかかるエッジの位置決
めの説明図
【図15】 図14の位置決めの原理説明図
【図16】 図15の位置決めのフローチャート
【図17】 図15の位置決めのフローチャート
【図18】 本発明の実施例4に係るパターン線幅の測
定の説明図
【図19】 図18のパターン線幅の測定の原理説明図
【図20】 図19のパターン線幅の測定のフローチャ
ート
【図21】 図19のパターン線幅の測定のフローチャ
ート
【図22】 散乱分布特性の説明図
【図23】 従来の微細構造評価装置の要部概略図
【図24】 本発明の異物検査装置の要部概略図
【図25】 対象物のエッジ部分の説明図
【図26】 エッジを光走査した場合の散乱分布特性の
説明図
【図27】 対象物の平面上に付着したゴミの部分の説
明図
【図28】 ゴミを光走査した場合の散乱分布特性の説
明図
【図29】 対象物のエッジ近傍にゴミが付着した場合
の説明図
【図30】 ゴミが付着したエッジを光走査した場合の
散乱分布特性の説明図
【図31】 本発明の実施例5の要部概略図
【図32】 パターン線に収束光を照射する場合の座
標系を表す図
【図33】 パターン線による散乱分布特性を表す図
【図34】 パターン線と収束光の光軸との位置を表
す図
【図35】 パターン線の中心から収束光がずれてい
る場合の散乱分布特性を表す図
【図36】 パターン線の高さの違いに対する散乱分
布特性の変化を表す図
【図37】 スポット径の変化に対する散乱分布特性
の変化を表す図(幅0.2μm)
【図38】 スポット径の変化に対する散乱分布特性
の変化を表す図(幅0.3μm)
【図39】 スポット径の変化に対する散乱分布特性
の変化を表す図(幅0.4μm)
【図40】 スポット径と極小値の強度の関係を表す図
【図41】 スポット径と極小値の位置の関係を表す図
【図42】 スポット径と極小値の強度の関係を模式的
に表す図
【図43】 本発明においてパターン線の高さを求める
フローチャート
【図44】 本発明においてパターン線の幅を求めるフ
ローチャート
【図45】 従来の微細構造評価装置の要部概略図
【符号の説明】
1 光源手段 2 対象物 3 照明光学系 4 検出系 5 信号処理系 6 走査系 7 計算機 41 散乱光 51 エッジ部分 54 対象物の面 34 スポット径可変部 35 収束光 1054 パターン線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01B 11/00 - 11/30 102 G01N 21/84 - 21/958 G03F 1/08 H01L 21/027 H01L 21/64 - 21/66

Claims (21)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光源手段からの光束微細構造をもつ対
    象物に入射させる照明光学系と、該対象物の微細構造に
    基づく散乱光の分布検出する検出系、該検出系で得
    られた分布の極値の位置、数強度の少なくとも一つに
    基づき該微細構造を評価する信号処理系と、を有する
    とを特徴とする微細構造評価装置。
  2. 【請求項2】 前記信号処理系による評価は前記対象物
    の微細構造の外形検出することを含むことを特徴とす
    る請求項1の微細構造評価装置。
  3. 【請求項3】 前記信号処理系による評価は前記対象物
    の微細構造の位置情報を検出することを含み、該信号処
    理系からの信号を用いて駆動手段により、該対象物を所
    定位置に駆動させていることを特徴とする請求項1の微
    細構造評価装置。
  4. 【請求項4】 光源手段からの光束微細構造をもつ対
    象物導光する照明光学系と、前記光束と前記対象物と
    を相対的に走査する走査系と、該対象物の微細構造に基
    づく散乱光の分布検出する検出系、該検出系で得ら
    れた分布の極値の位置、数強度の少なくとも一つの前
    記走査に伴う変化に基づき該微細構造を評価する信号処
    理系と、を有することを特徴とする微細構造評価装置。
  5. 【請求項5】 前記信号処理系による評価は前記対象物
    の微細構造の外形検出することを含むことを特徴とす
    る請求項4の微細構造評価装置。
  6. 【請求項6】 前記信号処理系による評価は前記対象物
    の微細構造の位置情報を検出することを含み、前記信号
    処理系からの信号を用いて駆動手段により、該対象物を
    所定位置に駆動させていることを特徴とする請求項4の
    微細構造評価装置。
  7. 【請求項7】 光束を微細構造を持つ対象物に照射し、
    該対象物から生じる散乱光の分布を検出し、該散乱光の
    分布の極値の位置、数強度の少なくとも一つを用いて
    該微細構造を評価することを特徴とする微細構造評価
    法。
  8. 【請求項8】 光束で微細構造を持つ対象物を走査し、
    該対象物から生じる散乱光の分布を検出し、該散乱光の
    分布の極値の位置、数強度の少なくとも一つの前記走
    査に伴う変化に基づき該微細構造を評価することを特徴
    とする微細構造評価法。
  9. 【請求項9】 光源と該光源からの光束を対象物上に照
    射する光学系と、該照射領域と該対象物とを相対的に走
    査するための走査系と、該対象物により散乱された光の
    分布を検出する検出系と、該検出された分布の極値の数
    又は位置に基づき対象物上の異物の有無を検出する演算
    処理系と、を有することを特徴とする異物検査装置。
  10. 【請求項10】 光源手段からの光束を微細構造をもつ
    対象物に入射させスポット径可変部により照射光束の
    スポット径を可変とする照明光学系、該対象物の微細
    構造に基づく散乱光の分布を検出する検出系と、該検出
    系で得られた分布の極値の位置、数強度の少なくとも
    一つの前記スポット径の変化に伴う変化に基づき該微細
    構造を評価する信号処理系と、を有することを特徴とす
    る微細構造評価装置。
  11. 【請求項11】 前記微細構造は微細パターン線より成
    り、前記検出系で得られる信号を利用して、走査系によ
    り該微細パターン線への照射光束の位置を調整している
    ことを特徴とする請求項10の微細構造評価装置。
  12. 【請求項12】 前記信号処理系による評価は前記微細
    パターン線の幅及び基準面からの高さ情報を検出するこ
    とを含むことを特徴とする請求項11の微細構造評価装
    置。
  13. 【請求項13】 照射光束のスポット径を可変とするス
    ポット径可変部を有する照明光学系からスポット径の異
    なる光束を微細構造を持つ対象物に順次照射し、該対象
    物から生じる散乱光の分布を検出し、該散乱光の分布
    極値の位置、数強度の少なくとも一つを用いて該微細
    構造を評価することを特徴とする微細構造評価法。
  14. 【請求項14】 照射光束のスポット径を可変とするス
    ポット径可変部を有する照明光学系からスポット径の異
    なる光束で微細構造を持つ対象物を順次走査し、該対象
    物から生じる散乱光の分布を検出し、該散乱光の分布
    極値の位置、数強度の少なくとも一つの前記走査に伴
    う変化に基づき該微細構造を評価することを特徴とする
    微細構造評価法。
  15. 【請求項15】 前記微細構造は微細パターン線より成
    り、前記評価は該微細パターン線の幅及び基準面からの
    高さを検査することを含むことを特徴とする請求項13
    又は14の微細構造評価法。
  16. 【請求項16】 被検物に光束を照射するための照明手
    段と前記照明手段による前記被検物への光束照射状態
    を変化させる為の照射状態変化手段と、前記照明手段に
    よって照明される被検物からの散乱光の分布の強度が極
    値となる部分を検出する検出手段と、前記照射状態変化
    手段による光束照射状態変化中における前記検出手段の
    検出する前記極値となる部分の分布特性の変化に基づい
    て前記被検物の微細構造を評価する為の演算手段とを有
    することを特徴とする微細構造評価装置。
  17. 【請求項17】 前記照射状態変化手段は被検面を光束
    走査する手段を有することを特徴とする請求項16の微
    細構造評価装置。
  18. 【請求項18】 前記照射状態変化手段は照射光束のス
    ポット径を可変とするスポット径可変部を有することを
    特徴とする請求項16の微細構造評価装置。
  19. 【請求項19】 前記演算手段は前記微細構造の外形を
    求めることを特徴とする請求項16の微細構造評価装
    置。
  20. 【請求項20】 前記演算手段は前記微細構造のパター
    ン線幅及び基準面からの高さを検出することを特徴とす
    請求項16の微細構造評価装置。
  21. 【請求項21】 前記演算手段は前記微細構造の異物の
    有無を検出することを特徴とする請求項16の微細構造
    評価装置。
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